JP2007197634A - インクジェットインク及びインクジェット記録方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、様々な記録媒体への印字適性を有し、さらには低照度の活性光線によっても記録が可能なインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】活性光線反応性化合物及び色材の前駆体を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインク。
【選択図】なし

Description

本発明は、活性エネルギー線反応性高分子化合物を含むインクジェットインク、(インクジェットインクセット)とそれらを用いたインクジェット記録方法に関するものである。
インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で、高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐にわたり、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクが使用される。
特に、近年では記録速度の大幅な向上がみられ、軽印刷用途にも耐え得る性能を持つプリンタの開発も行われている。しかしながら、インクジェットプリンタにおいて、その性能を引き出すためにはインクの吸収性を付与したインクジェット専用紙が必要である。
インクの吸収性をあまり持たないコート紙やアート紙、もしくはインク吸収性の全くないプラスチックフィルム上に記録する際には、異色インク液体同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こす、いわゆるブリード等の課題があり、インクジェット記録で記録媒体に多様性を持たせる上で課題となっていた。
上記課題に対し、室温において固体状ワックス等を素材とするホットメルト型インク組成物を用い、加熱等により液化し、何らかのエネルギーを加えて噴射させ、記録媒体上に付着しつつ冷却固化して記録ドットを形成するホットメルト型インクジェット記録方法が提案されている(特許文献1、2参照。)。このホットメルト型インクは、室温で固体であるために取り扱い時に汚れることが無く、また、溶融時のインク蒸発量が実質無いため、ノズルの目詰まりを起こすことがない。更に、付着後直ちに固化するため色にじみも少なく、紙質に関係なく良好な印刷品質を提供するインク組成物であるといわれている。しかしながら、このような方法で記録された画像は、インクドットが柔らかいワックス状であるため、ドットの盛り上がりに起因する品質の劣化や、耐擦過性の不足等の課題があった。
一方、活性エネルギー線を照射することにより硬化するインクジェット記録用インクが開示されている(特許文献3参照。)。また、色材として顔料を含有し、かつ重合性材料として三官能以上のポリアクリレートを含有し、ケトン、アルコールを主溶剤とする、いわゆる非水系インクが提案されている(特許文献4参照。)。また、活性光線硬化性不飽和二重結合を有する基を含有するポリウレタン化合物、塩基性化合物、着色剤、水溶性有機溶剤及び水を含有する水系の活性光線硬化型インクジェット記録用インク組成物が提案されている(特許文献5参照。)。
しかし、これら提案されている活性光線反応性インクは、吸収性の乏しい記録媒体に対しても記録は可能となったが、記録時に高照度の活性光線を必要としたり、硬化性が不十分であるために形成した画像の耐候性が不足しているという課題を抱えており、早急な改良が求められている。
米国特許第4,391,369号明細書 米国特許第4,484,948号明細書 米国特許第4,228,438号明細書 特公平5−64667号公報 特開2002−80767号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、様々な記録媒体への印字適性を有し、さらには低照度の活性光線によっても記録が可能なインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記の構成により達成される。
1.活性光線反応性化合物及び色材の前駆体を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインク。
2.水、活性光線反応性化合物及び色材の前駆体を少なくとも含有することを特徴とする1に記載のインクジェットインク。
3.前記活性光線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性光線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることを特徴とする2に記載のインクジェットインク。
3.2に記載の活性光線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性光線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることを特徴とするインクジェットインク。
4.前記主鎖が、ポリ酢酸ビニルのケン化物であることを特徴とする3に記載のインクジェットインク。
5.前記色材の前駆体が、置換基の分解により顔料に転換され得る化合物であることを特徴とする1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
6.1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを、インクジェットヘッドにより記録媒体に吐出して活性光線を照射し、活性光線の照射以後に色材の前駆体を色材に転換して画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
7.照射する活性光線の発光波長において、色材の前駆体の光透過率が転換後の色材の光透過率よりも高いことを特徴とする6に記載のインクジェット記録方法。
本発明によれば、様々な記録媒体への印字適性を有し、さらには低照度の活性光線によっても記録が可能なインクジェットインクとそれを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明するが、本発明はこれらに限定されない。
活性光線の照射により硬化するインクがこれまでにも数多く検討されてきたが、高照度の活性光線を必要としたり、硬化性が不十分であるという課題があった。発明者はインク硬化性をより向上させるために様々な解析を行ったところ、インク中の色材による活性光線の遮蔽を解消することが、インク硬化性の向上に有効な方法であるとの結論に至った。この具現化手段について、様々な検討を行った結果、本発明に至った次第である。すなわち、活性光線反応性化合物および色材の前駆体を含有するインクを記録媒体に記録し、活性光線を照射し、さらに活性光線の照射以後に色材の前駆体を色材に転換して画像を形成する。このとき、照射する活性光線の波長において、色材の前駆体の光透過率は転換後の色材の光透過率よりも高いことが好ましい。このような設計とすることで、活性光線照射時には色材による光線の遮閉を低減し、かつ活性光線の照射以後に色材の前駆体を色材に転換することにより、十分な発色性を示す画像を得ることができ、活性光線の透過と画像における色材の発色性を両立することができる。更に、本発明のインクジェットインクが重合開始剤を含むものである場合は、重合開始剤の吸収波長も照射する活性光線の波長と重なりが大きいことが好ましい。
本発明は前記の着想と検討に基づき成されたものであるが、色材の前駆体の光透過率が転換後の色材の光透過率よりも必ずしも高い必要は無い。色材の前駆体と転換後の色材の透過率が同程度であって、活性光線の照射に有利な条件でなくても、例えば、色材への転換を同一画像内で選択的に行うことによって画像の一部のみ色調を変換したり、或いは、インクセットの一部を本発明のインクに置き換えて画像を作製し、画像の真贋判定として色材の転換処理を実施する、等の用途にも本発明のインク及び記録方法を適用することができる。
以下、本発明のインクジェットインクについて、詳細に説明する。
本発明のインクジェットインクは色材の前駆体を含有することを特徴とする。
《色材の前駆体》
本発明における色材の前駆体とは、光、熱、化学的手段などの外部刺激により、色材に転換しうる化合物を言う。このような化合物の具体例としては、ロイコ色素と顕色剤の混合物、フォトクロミズムを示す化合物、置換基の分解により顔料に転換され得る化合物などが挙げられる。
ロイコ色素と顕色剤の混合物は、感熱インキでしばしば用いられる色材の前駆体であり、その多くは前記混合物を加熱することによりロイコ色素と顕色剤が反応して色材を形成する。ロイコ色素と顕色剤の混合物を色材の前駆体として用いる本発明のインクジェットインクにおいては、記録媒体にインクを吐出後、活性光線を照射し、さらに加熱処理によりロイコ色素と顕色剤の混合物を色材に転換して画像を形成する。ロイコ色素と顕色剤の詳細については、「機能性インキの最新技術」(シーエムシー出版)の118〜135ページ、「機能性色素の最新技術」(シーエムシー出版)の141〜142ページ及び166〜174ページに記載されている。
本発明におけるフォトクロミズムを示す化合物とは、光照射により分子内の化学結合の組み換え、もしくは分子の解裂を生じ、吸収スペクトルが変化する化合物のことを言う。光照射前の化合物は必ずしも無色ではなく発色性を示す場合もあるが、本発明においては便宜上、発色性の有無に関わらず光照射前の化合物を色材の前駆体として取り扱うこととする。フォトクロミズムを示す化合物を色材の前駆体として用いる本発明のインクジェットインクにおいては、インク硬化工程において照射する活性光線により、もしくは活性光線の照射後に更に別の光を照射することにより、色材の前駆体を色材に転換して画像を形成する。フォトクロミズムを示す化合物の詳細については、「機能性インキの最新技術」(シーエムシー出版)の63〜86ページ、「機能性色素の最新技術」(シーエムシー出版)の185〜198ページに記載されている。
本発明における置換基の分解により顔料に転換され得る化合物とは、顔料骨核に特定の置換基が修飾された化合物であり、光、熱、化学的手段などの外部刺激で置換基を分解することにより、顔料に転換され得る化合物を指す。画像耐候性の点から、本発明における色材の前駆体としては、置換基の分解により顔料に転換され得る化合物を用いることが好ましい。置換基の分解により顔料に転換され得る化合物の具体例は、特開平7−150068号、特開平11−246809号、特開平11−293166号、特開2001−81354号、特開2001−226614号、特開2001−247799号、特開2001−315424号、特開2003−41145号等に記載されている。置換基の分解により顔料に転換され得る化合物(以下、顔料の前駆体、もしくは単に前駆体とも言う)について、詳細に説明する。
(顔料の前駆体)
転換後の顔料の構造は特に限定されるものではないが、例えば、アゾ顔料、アゾメチン顔料、メチン顔料、ジフェニルメタン顔料、トリフェニルメタン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、インジゴ顔料、キノフタロン顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、アジン顔料、オキサジン顔料、チアジン顔料、ジオキサジン顔料、チアゾール顔料、フタロシアニン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリレン顔料等が挙げられる。これらの中でも、アセトアニライド系アゾ顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、キナクリドン顔料、ナフトールアゾ顔料、ピロロピロール顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料が好ましい。
これらの顔料は置換基を有してもよく、これら置換基としては、ハロゲン(例えば、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ペンチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、複素環基(例えば、ピリジル基、フリル基、チエニル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等)、スルフォニルアミノ基(例えば、メタンスルフォンアミド基、ベンゼンスルフォンアミド基等)等が挙げられる。
本発明に係る顔料に転換され得る化合物は、前記の顔料に対して置換基を化学修飾することにより得ることができる。置換基の修飾により顔料分子間に働く水素結合が排除され、各種溶媒に対する溶解性が向上するため、適切に溶媒を選択することにより溶解系のインクとすることも可能である。溶解系のインクとすることは、顔料を粒子状の色材として用いる場合に生じる光散乱を防止でき、その結果、活性光線照射時に光がより透過しやすくなるため、本発明においては好ましい。また、一部の顔料は、結晶構造において分子間相互作用が働くことにより強い発色性を示していることが知られている(例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール等)。顔料に転換され得る化合物とするべく、これらの顔料を化学修飾した場合、規則正しい分子の配列が乱されて分子間相互作用が働かなくなり、吸収スペクトルが変化したり、吸光度が低下する現象が見られる。具体例として、図1にキナクリドンとその前駆体の吸収スペクトルを示した。図1において、1がキナクリドンの分散物の吸収スペクトルであり、2がキナクリドンの前駆体溶液の吸収スペクトルである。この例から、キナクリドンの前駆体溶液の吸収スペクトルは、キナクリドンの分散物の吸収スペクトルから大きく変化しており、吸光度も低下していることがわかる。このような化合物を本発明における色材の前駆体として用いると、転換後の顔料に比較して前駆体の光の透過率が著しく高くなるため、特に好ましい。
化学修飾の際に導入する基としては、アシル基、オキシカルボニル基、アミノカルボニル基、チオカルボニル基、スルフォニル基、アミノスルフォニル基等が挙げられる。水を含むインクとする場合、水溶性を向上させる基を顔料に化学修飾することが好ましく、アニオン性基(例えば、SO3X、COOX等を含む置換基、Xは水素原子もしくはカウンターカチオンを表す)、カチオン性基(例えば、4級アンモニウム塩基等を含む置換基)、ノニオン性基(例えば、ポリオキシアルキレン構造を有する基、多価アルコールのエステル構造を有する基等)のいずれでもよいが、アニオン性基が好ましく、中でも、少なくとも1つの−SO3Xを含む基を化学修飾することが特に好ましい。
前記化学修飾の際に導入する基としては、下記一般式(A)で表される基が好ましい。
一般式(A)
−(J1m1(J2m2
一般式(A)において、J1は結合可能な二価の結合基を表し、該二価の結合基としては、−CO−、−COO−、−CONR−(Rは水素原子もしくはアルキル基を表す。)、−CS−、−SO2−、−SO2NR−(Rは水素原子もしくはアルキル基を表す。)、−CONHSO2−、−S−、−Si−等が好ましい。J2は結合可能な二価の結合基を表し、該二価の結合基としては、例えば、アルキレン基、フェニレン基、−O−、−COO−、−OCO−、
Figure 2007197634
(式中、Rは、例えば、ハロゲン原子、−OH等の置換基を表す。)、あるいは、これらの基を組み合わせた基が挙げられる。
一般式(A)におけるm1は1または2の整数を表し、m2は1〜3の整数を表す。
一般式(A)において、Yはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基、水溶性基を表す。Yがアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、置換アルキル基、置換アルケニル基、置換アルキニル基の時、その炭素数は2〜10であることが好ましく、それらの中でもエチル基、t−ブチル基、ベンジル基、アリル基、t−アミル基、イソプロピル基が好ましい。水を含むインクとする場合、Yは水溶性基であることが好ましく、該水溶性基としてはアニオン性基(例えば、SO3X、COOX等を含む置換基、Xは水素原子もしくはカウンターカチオンを表す)、カチオン性基(例えば、4級アンモニウム塩基等を含む置換基)、ノニオン性基(例えば、ポリオキシアルキレン構造を有する基、多価アルコールのエステル構造を有する基等)のいずれでもよいが、アニオン性基が好ましく、中でも、少なくとも1つの−SO3Xを含む基が特に好ましい。
本発明に係る顔料に転換され得る化合物としては、以下に説明する一般式(1)〜(9)で表される化合物が好ましい。以下、一般式(1)〜(8)で表される化合物について順次説明する。
一般式(1)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R1は置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基を表し、R2は置換基を有してもよいフェニル基を表し、R3は置換基を有してもよいフェニル基を表す。但し、R1、R2及びR3の少なくとも1つは、下記一般式(B)もしくは一般式(C)で表される基である。
Figure 2007197634
(一般式(B)及び一般式(C)において、R4は化学修飾により導入する置換基を表し、R5は置換基を表し、m3は0ないし3の整数を表す。R6、R7は化学修飾により導入する置換基を表し、R8は置換基を表し、m4は0ないし3の整数を表す。)]
一般式(1)において、R1で表される置換基を有してもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、t−ブチル基等が挙げられ、置換基を有してもよいアリール基としては、例えば、フェニル基、p−メトキシフェニル基等が挙げられる。
2で表される置換基を有してもよいフェニル基において、フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)等が挙げられる。R3で表される置換基を有してもよいフェニル基において、フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフロロメチル基等)、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、ニトロ基、カルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)等が挙げられる。
1、R2及びR3の少なくとも1つは、一般式(B)もしくは一般式(C)で表される基である。一般式(B)及び一般式(C)において、R4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基としては、前記一般式(A)で表される基が好ましい。一般式(B)及び一般式(C)において、R5、R8で表される置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフロロメチル基等)、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、ニトロ基、カルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)等が挙げられる。
次に、一般式(2)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R9は置換基を有してもよいフェニル基を表し、R10は水酸基、または、置換基を有してもよいアミノ基、アシルアミノ基またはカルバモイル基を表す。m5は0ないし7の整数を表す。但し、R9もしくはR10上の置換基の少なくとも1つは、前記一般式(B)もしくは一般式(C)で表される基である。]
一般式(2)において、R9で表される置換基を有してもよいフェニル基において、フェニル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフロロメチル基等)、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子等)、ニトロ基、カルバモイル基(例えば、フェニルカルバモイル基等)、スルファモイル基(例えば、フェニルスルファモイル基等)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基等)等が挙げられる。
10で表される置換基を有してもよいアミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基において、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、トリフロロメチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基、ベンズイミダゾリル基等)等が挙げられる。
9もしくはR10上の置換基の少なくとも1つは、一般式(B)もしくは一般式(C)で表される基であるが、該一般式(B)もしくは一般式(C)で表される基は、先に、一般式(1)の説明で示した一般式(B)及び一般式(C)で表される基とそれぞれ同義である。
次に、一般式(3)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R11、R12は化学修飾により導入する置換基を表し、R13、R14は置換基を表し、m6、m7は0ないし4の整数を表す。]
一般式(3)において、R11、R12で表される化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。R13、R14で表される置換基としては、例えば、ハロゲン(例えば、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ペンチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基等)が挙げられる。
次に、一般式(4)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R15、R16、R17、R18、R19は水素原子または化学修飾により導入する置換基を表す。但し、R15、R16、R17、R18、R19の少なくとも2つは化学修飾により導入する置換基を表す。]
一般式(4)において、R15、R16、R17、R18、R19で表される化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。
次に、一般式(5)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R20、R21は化学修飾により導入する置換基を表し、R22、R23、R24は置換基を表し、m8、m9、m10はそれぞれ0ないし4の整数を表す。]
一般式(5)において、R20、R21で表される化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。R22、R23、R24で表される置換基としては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子等)等が挙げられる。
次に、一般式(6)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R25、R26は化学修飾により導入する置換基を表し、R27、R28は置換基を表し、m11、m12はそれぞれ0ないし4の整数を表す。]
一般式(6)において、R25、R26は化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。R27、R28で表される置換基としては、アルキルオキシ基(例えば、メチルオキシ基、エチルオキシ基等)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子等)等が挙げられる。
次に、一般式(7)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R29、R30は化学修飾により導入する置換基を表し、R31、R32は水素原子または置換基を表す。]
一般式(7)において、R29、R30で表される化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。
31、R32で表される置換基としては、置換基を有してもよいフェニル基が好ましく、置換基としては、例えば、ハロゲン(例えば、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、アミノ基(例えば、ジメチルアミノ基等)が挙げられる。
次に、一般式(8)で表される化合物について説明する。
Figure 2007197634
[式中、R33は化学修飾により導入する置換基を表し、R34は置換基を表す。m13は1ないし8の整数を表し、m14は0ないし8の整数を表す。]
一般式(8)において、R33で表される化学修飾により導入する置換基は、一般式(1)の説明で示したR4、R6及びR7で表される化学修飾により導入する置換基と同義であり、前記一般式(A)で表される基が好ましい。
34で表される置換基としては、例えば、ハロゲン(例えば、塩素原子等)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、ペンチル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ヘキシルオキシ基等)が挙げられる。
以下に、本発明の顔料の前駆体の具体的化合物例を示す。
Figure 2007197634
Figure 2007197634
Figure 2007197634
Figure 2007197634
Figure 2007197634
Figure 2007197634
本発明に係る顔料の前駆体は、対応する顔料を公知の方法で化学修飾することによって合成できる。顔料を化学修飾する公知の方法としては、例えば、酸クロリドもしくは酸無水物によるアシル化、クロルギ酸エステルもしくはO(COOR)2(R:アルキル基、フェニル基等)によるオキシカルボニル化、スルフォニルクロライドによるスルフォニル化等が挙げられる。
以下に、本発明に係る顔料の前駆体の合成例を記す。
合成例
例示化合物26の合成
ジメチルキナクリドン(Pig.Red122)を熱アセトンで洗浄乾燥したもの13.6g、水素化ナトリウム6.4gを乾燥したN−メチル−2−ピロリドン400ml、ヘキサメチレンフォスフォリックトリアミド(HMPA)100mlの混合物を、80℃で30分加熱撹拌した。60℃に冷却後、o−スルフォ安息香酸無水物9.2gを添加後、80℃で2時間加熱撹拌した。60℃に冷却後、o−スルフォ安息香酸無水物9.2gを添加し、80℃で8時間加熱撹拌した。混合物を室温まで冷却し、n−ヘキサン2Lに投入し撹拌後、静置した。2層に別れた上層をデカンネーションで除いた。この作業をさらに2回行うと黄褐色の固体が得られる。これを200gの氷水と混合、撹拌した。塩酸でpH9に調整後、この混合物に食塩20gを加え、60℃に加温し、一晩放冷、放置した。析出した少量の固体をろ過により除き、ろ液に更に食塩40gを加え60℃に加温し、1晩放冷、放置し、析出した固体をろ過により得た。この固体を少量の熱水に溶解し、冷却、放置し、析出した固体をろ過により目的物を得た。乾燥後の収量は8.5gであった。NMR、マススペクトルにより、得られた化合物が目的物であることを同定した。
次に、本発明に係る活性光線反応性化合物について説明する。
本発明のインクジェットインクは活性光線反応性化合物を含有することを特徴とする。本発明における活性光線反応性化合物とは、活性光線の照射により重合、架橋等の反応を起こし、インクの硬化や増粘を生じさせる化合物である。
活性光線反応性化合物を用いるインクの形態としては、活性光線反応性化合物として重合性化合物を用い、色材、添加剤以外の溶媒成分のほとんどが重合性化合物であるインクジェットインク(以降、「Aタイプのインク」とする)、或いは、水及び比較的少量の活性光線反応性化合物を含有した水性の硬化性インクジェットインク(以降、「Bタイプのインク」とする)等が挙げられる。本発明においてはいずれの形態のインクとしても良いが、環境適性、安全性及び画像光沢の点からは、水を含むBタイプのインクとすることが好ましい。
以下、A、Bそれぞれのタイプのインクで用いられる活性光線反応性化合物、及びその他の添加剤について、説明する。
《Aタイプのインク》
本発明に係るAタイプのインクにおいて用いられる活性光線反応性化合物として、重合性化合物が挙げられる。
(重合性化合物)
本発明において、Aタイプのインクに用いることのできる重合性化合物の内、ラジカル重合性化合物としては、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、同10−863号等の各公報に記載の化合物を挙げることができ、カチオン重合性化合物としては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892号、同2001−40068号、同2001−55507号、同2001−310938号、同2001−310937号、同2001−220526号等の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物等が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどのようなものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を有するものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、また目的とする特性を向上するため、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
これらのラジカル重合性化合物の内、単官能アクリレートがフレキシブルな基材に対しても、インク硬化膜を柔軟にすることができ、ひび割れ等の問題を改善できるため好ましい。さらに、単官能アクリレートの中でも、フェニル基、イソボルニル基、テトラヒドロフルフリル基を有する単官能アクリレートが密着性、柔軟性、硬化性に優れるため好ましい。
ラジカル重合性化合物の添加量はインク組成物に対し、好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
カチオン重合性化合物を用いるAタイプのインクの場合は、少なくとも1種のオキセタン化合物と、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物とを含有することが好ましく、特にオキセタン化合物と、下記脂環式エポキシ化合物を併用することが好ましくい。
エポキシ化合物としては脂環式エポキシドが特に好ましく、脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等
のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジまたはトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジまたはトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
オキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526号、同2001−310937号等の各公報に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。オキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。オキセタン化合物はオキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
オキセタン化合物の具体例について説明するが、これらに限定されるものではない。1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(A1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007197634
一般式(A1)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(A2)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 2007197634
一般式(A2)において、R1は、上記一般式(A1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
また、R3としては、下記一般式(A3)、(A4)及び(A5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
Figure 2007197634
一般式(A3)において、R4は、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルキルカルボキシル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
Figure 2007197634
一般式(A4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF32、またはC(CH32を表す。
Figure 2007197634
一般式(A5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(A6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
Figure 2007197634
一般式(A6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記例示化合物1、2が挙げられる。
Figure 2007197634
例示化合物1は、前記一般式(A2)において、R1がエチル基、R3がカルボニル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(A2)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(A5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(A7)で示される化合物がある。一般式(A7)において、R1は、前記一般式(A1)のR1と同義である。
Figure 2007197634
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(A8)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007197634
一般式(A8)において、R1は、前記一般式(A1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基または下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3または4である。
Figure 2007197634
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基またはプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
Figure 2007197634
更に、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(A9)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2007197634
一般式(A9)において、R8は前記一般式(A6)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基またはブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。R1は前記一般式(A6)のR1と同義である。
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す例示化合物4、5、6がある。
Figure 2007197634
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2007197634
(光重合開始剤)
本発明のAタイプのインクにおいては、硬化反応をより効率的に行なうために、光重合開始剤を添加して硬化させる。光重合開始剤は、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を用いる場合にはラジカル発生剤であり、重合性化合物としてカチオン重合性化合物を用いる場合には光酸発生剤である。ラジカル発生剤は分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
分子内結合開裂型のラジカル発生剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オンの如きアセトフェノン系;2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きα−アミノケトン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドの如きビスアシルホスフィンオキサイド系;ベンジル−メチルフェニルグリオキシエステル等が挙げられる。
一方、分子内水素引き抜き型のラジカル発生剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキ
サントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。ラジカル発生剤を使用する場合の配合量は、紫外線硬化型インクの0.01〜10.00質量%が好ましい。
これらの光重合開始剤の内、光ブリーチ性のあるビスアシルフォスフィンオキサイド、酸素阻害の影響を受けにくいα−アミノケトンが、特に小液滴における感度アップ効果が高く好ましい。ビスアシルフォスフィンオキサイド、α−アミノケトンとしては、例えばチバスペシャリティーケミカルズ社のIrgacureシリーズが利用できる。
また、本発明のAタイプのインクでは光重合開始剤を通常より多量に添加するため、光重合開始剤の分解物臭が問題となることがあり、ヒドロキシエトキシ基を含有する光重合開始剤は分解物臭が小さく好ましい。例えばチバスペシャリティーケミカルズ社のIrgacure2959は分解物臭が小さい。
光酸発生剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6−、SbF6 -、CF3SO3 -塩を挙げることができる。
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
Figure 2007197634
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
Figure 2007197634
中でもトリアリールスルホニウム塩が好ましい。
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
Figure 2007197634
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
Figure 2007197634
また、本発明のAタイプのインクは、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤を併用することもできる。そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号明細書、米国特許第4,508,811号明細書、同第5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物も用いられる。光増感剤の使用量は、インク組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
また、本発明のAタイプのインクにおいて、プラスチックフィルムのような透明基材での色の隠蔽性を上げるために、白インクを用いることが好ましい。特に、軟包装印刷、ラベル印刷においては、白インクを用いることが好ましいが、射出量が多くなるため、前述した射出安定性、記録材料のカール・しわの発生の観点から、自ずと使用量に関しては制限がある。
(重合禁止剤)
本発明のAタイプのインクにおいては、熱や活性光線による重合を抑制する重合禁止剤をインク中に添加することが好ましい。重合禁止剤としては、さまざま化合物が知られており、一般的な重合性組成物に広く配合されているものをそのまま用いることが可能である。
重合禁止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン化合物、リン系酸化防止剤、広く(メタ)アクリルモノマーに用いられるハイドロキノンモノメチルエーテルの他、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロール、水等を用いることが可能である。これらは、「高分子添加剤の開発技術」(シーエムシー発行)に詳しい。分子内にアクリル酸由来の二重結合を持ったフェノール系化合物は、その反応機構から、R・を補足可能であるため、密閉した酸素が存在しない系にて加熱された場合でも重合抑制の効果が得られるため好ましい。具体的には、住友化学製のSumilizer GA−80、Sumilizer GM、Sumilizer GS等を挙げることができる。
これらの重合禁止剤は、顔料分散物作製時に添加することが好ましいが、重合禁止剤の過剰添加は、インクとしての感度を低下させる要因となるため、インクとしての保存安定性を維持しつつ、顔料分散時の重合を防止できる量を適宜設定して配合することが望ましい。または過剰に配合しておき、分散後に抽出し、重合禁止剤の量を低減することが好ま
しい。
光重合がカチオン重合性の場合、重合禁止剤はアミン化合物または水が好ましい。アミン化合物の場合はインク全体の0.01〜1質量%添加することが好ましい。0.01質量%以上とすることにより保存安定性が良好となり、1質量%以下にすることで硬化感度に優れたインクが得られる。水の場合は1.0〜3.5質量%が好ましい。
アミン化合物の中でも4級アンモニウム塩は感度と保存性のバランスがよく、顔料を有しない透明のカチオン重合性インクでは特に好ましい。
《Bタイプのインク》
(活性光線反応性化合物)
本発明におけるBタイプのインクに含まれる活性光線反応性の例としては、分子末端に反応性基を有するグリセリンアクリレート、グリセリントリアクリレートなどの単官能、多官能の親水性の重合性化合物、主鎖に対して複数の側鎖を有しており側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物などが挙げられる。これらの中でも、記録媒体上でのカラーブリード、ビーディング防止の点から、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物(以下、架橋性高分子化合物とも言う)が好ましい。側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物は、ある程度の分子量をもった主鎖に対して側鎖間で架橋結合を形成するため、一般的な連鎖反応により重合する活性光線反応性化合物に比較し、光子一つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。特に画像光沢の点から、活性光線反応性化合物の含有量を少量とする場合、効率的に分子量増加効果を発現する前記化合物が非常に有効である。
架橋性高分子化合物としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステルまたは前記樹脂の誘導体、ならびにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種の主鎖に対して、側鎖に反応性の変性基を導入したものが挙げられる。
これらの中でも主鎖をポリ酢酸ビニルのケン化物とすることにより、側鎖の導入が簡便となり、また取り扱い性も向上する。主鎖の重合度は200以上、2000以下の範囲が好ましいが、さらには重合度が200以上、500以下であることが特に好ましい。重合度が200以上であれば、架橋反応時の適度の粘度上昇を付与することができ、前述のカラーブリードやビーディングを十分に防止することができる。また、重合度が2000以下であれば、インクに添加した際の粘度の上昇を抑制でき、良好な出射安定性を得ることができる。
側鎖については、光二量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入することができる。組み合わせる色材との反応性の観点から、側鎖としてはノニオン性、アニオン性、両性(ベタイン化合物)が好ましく、特に、色材としてアニオン性染料あるいはアニオン性顔料と組み合わせる場合には、側鎖はノニオン性またはアニオン性であることが好ましく、特に好ましくはノニオン性である。
親水性主鎖に対する側鎖の変性率は、0.8モル%以上、4.0モル%以下であることが好ましく、更には1.5モル%以上、3.0モル%以下であることが反応性の観点からより好ましい。親水性主鎖に対する側鎖の変性率が0.8モル%以上であれば十分な架橋性を有し、本発明の目的効果を得ることができる。また、4.0モル%以下であれば適度な架橋密度であるために、柔軟性のある画像膜を得やすく、膜強度が特に良好である。
光二量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報等の公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。
特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(B1)で表される化合物である。
Figure 2007197634
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はカウンターアニオンを表す。
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に、下記一般式(B2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または、下記一般式(B3)で表され、4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
Figure 2007197634
また、下記一般式(B4)で表される変性基も好ましく用いられる。
Figure 2007197634
式中、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、特開2004−189841号に示される下記一般式(B5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
Figure 2007197634
式中、R2はメチル基または水素原子を表し、nは1または2を表し、Xは−(CH2m−COO−または−O−を表し、Yは芳香族環または単結合手を表し、mは0〜6までの整数を表す。
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(B6)で表される変性基を、従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
Figure 2007197634
式中、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
(重合開始剤)
本発明に係るBタイプのインクにおいては、光重合型の変性基を有する高分子化合物を用いる場合、公知の光重合開始剤を用いることが好ましく、中でも水溶性光重合開始剤を用いることは特に好ましい。
適用可能な水溶性の光重合開始剤としては、下記一般式(B7)で表される化合物が、高分子化合物との相溶性、感度の観点から好ましい。
Figure 2007197634
式中、nは1〜5の整数を表す。
また、上記光重合開始剤は、本発明に係る高分子化合物の親水性主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
また、本発明に係るインクジェットインクにおいて、必要に応じて増感剤を使用しても良い。
本発明に用いる増感剤としてはどのようなものでも良いが、脂肪族アミン、芳香族置換基を含むアミン、ピペリジン等のアミン類、尿素、アルキル尿素、芳香族置換基を含む尿素等の尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、トリnブチルホスフィン、ネトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物の高分子化アミン、トリエタノールアミントリアクリレート等の窒素化合物、ニトリル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、インク保存安定性や出射安定性の点からアミンが好ましく、さらにはモノエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンが、インクに対する溶解性の点から特に好ましい。
添加する増感剤の量は、インク全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、さらには0.5〜5%であることが好ましい。0.1質量%以上とすることにより反応加速効果が十分に得られ、10質量%以下にすることにより画像の膜物性が良好となり、耐擦性、耐水性等の耐候性に優れた画像が得られる。
(溶媒)
本発明のBタイプのインクにおいては、水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
(その他の添加剤)
本発明のBタイプのインクには、必要に応じて、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができ、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、またはこれらの共重合体、尿素樹脂、またはメラミン樹脂等の有機ラテックス、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号および特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤等を挙げることができる。
(ラテックス)
本発明のBタイプのインクにおいては、ラテックスをインクに加えてもよい。例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル共重合体、ポリウレタン、シリコン−アクリル共重合体およびアクリル変性フッ素授脂等のラテックスが挙げられる。ラテックスは、乳化剤を用いてポリマー粒子を分散させたものであっても、また乳化剤を用いないで分散させたものであってもよい。乳化剤としては界面活性剤が多く用いられるが、スルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を用いることも好ましい。
また、本発明のBタイプのインクでは、ソープフリーラテックスを用いることが特に好ましい。ソープフリーラテックスとは、乳化剤を使用していないラテックス、およびスルホン酸基、カルボン酸基等の水に可溶な基を有するポリマー(例えば、可溶化基がグラフト結合しているポリマー、可溶化基を持つ単量体と不溶性の部分を持つ単量体とから得られるポリマー)を乳化剤として用いたラテックスのことを指す。
近年、ラテックスのポリマー粒子として、粒子全体が均一であるポリマー粒子を分散したラテックス以外に、粒子の中心部と外縁部で組成を異にしたコア・シェルタイプのポリマー粒子を分散したラテックスも存在するが、このタイプのラテックスも好ましく用いることができる。
ラテックス中のポリマー粒子の平均粒径は10nm以上、300nm以下であることが好ましく、10nm以上、100nm以下であることがより好ましい。ラテックスの平均粒径が300nm以下であると、画像の光沢感が良好であり、10nm以上とすることにより耐水性、耐擦過性に優れた画像が得られる。ラテックス中のポリマー粒子の平均粒子径は、光散乱法、電気泳動法、レーザードップラー法を用いた市販の粒径測定機器により求めることができる。
ラテックスは固形分添加量としてインクの全質量に対して0.1質量%以上、20質量%以下となるように添加することが好ましく、ラテックスの固形分添加量を0.5質量%以上、10質量%以下とすることが特に好ましい。ラテックスの固形分添加量を0.1質量%以上とすることにより、耐候性に関して十分な効果が発揮され、また20質量%以下とすることにより、経時でインク保存性の問題が生じることが少ない。
(サーマル用出射安定剤)
本発明のBタイプのインクは、サーマル型インクジェットプリンターに用いても良い。このとき、コゲーションと呼ばれるヘッドの目詰まりを解決するために、特開2001−81379号に開示されている(M1)2SO4、CH3COO(M1)、Ph−COO(M1)、(M1)NO3、(M1)Cl、(M1)Br、(M1)I、(M1)2SO3及び(M1)2CO3から選ばれる塩を加えても良い。ここでM1は、アルカリ金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムを表し、Phはフェニル基を表す。上記のアルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K、Rb、Cs等が挙げられる。又、有機アンモニウムとしては、例えば、メチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、エチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリヒドロキシメチルアミン、ジヒドロキシメチルアミン、モノヒドロキシメチルアミン、モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、N−メチルモノエタノールアンモニウム、N−メチルジエタノールアンモニウム、モノプロパノールアンモニウム、ジプロパノールアンモニウム、トリプロパノールアンモニウム等が挙げられる。
(界面活性剤)
本発明のBタイプのインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
《インクの物性》
(粘度)
本発明のインクの粘度は、特に制限はないが、2mPa・s以上、100mPa・s以下であることが好ましい。また、本発明のインクの粘度は、シェアレート依存性がない方が好ましい。
本発明でいうインク粘度(mPa・s)は、JIS Z 8809に規定されている粘度計校正用標準液で検定されたものであれば特に制限はなく、公知の方法に従って25℃で測定した粘度値であり、粘度測定装置としては、回転式、振動式や細管式の粘度計を用いることができ、例えば、Saybolt粘度計、Redwood粘度計等で測定でき、例えば、トキメック社製、円錐平板型E型粘度計、東機産業社製のE Type Viscometer(回転粘度計)、東京計器社製のB型粘度計BL、山一電機社製のFVM−80A、Nametore工業社製のViscoliner、山一電気社製のVISCO MATE MODEL VM−1A、同DD−1等を挙げることができる。
(表面張力)
また、本発明のインクジェットインクにおいては、表面張力が40mN/m以下であることが好ましく、より好ましくは20〜35mN/mである。
本発明でいうインクの表面張力(mN/m)は、25℃で測定した表面張力で値であり、その測定法については一般的な界面化学、コロイド化学の参考書等において述べられているが、例えば、新実験化学講座第18巻(界面とコロイド)、日本化学会編、丸善株式会社発行:P.68〜117を参照することができる。具体的には、輪環法(デュヌーイ法)、白金プレート法(ウィルヘルミー法)を用いて求めることができるが、本発明においては、白金プレート法により測定した表面張力値(mN/m)で表し、例えば、協和界面科学製の表面張力計CBVP−Zを使用して測定できる。
《記録媒体》
本発明のインクジェット記録方法で適用可能な記録媒体としては、各種紙、各種フィルム、各種布、各種木材、各種インクジェット用記録媒体等が使用できる。
〔印刷用塗工紙〕
印刷用塗工紙とは、印刷でしばしば用いられる塗工紙であり、一般的には上質紙や中質紙を原紙とし、紙の表面に白土等の顔料を塗布した後、平滑性を高めるためにカレンダー処理をかけて作製される。このような処理により、白色度や平滑性、印刷インクの受理性、あるいは網点再現性、印刷光沢、印刷不透明度などが向上する。塗工量により、アート紙、コート紙、軽量コート紙等の分類があり、また、紙の光沢によりグロス系、ダル系、マット系等に分類される。
アート紙は、塗工量が片面20g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、紙表面に顔料を塗工した後、カレンダー処理をかけて作製される。特アート、並アート、マット(艶消し)アート、片アート(片面塗工)、両アート(両面塗工)などの種類があり、具体的には、OK金藤N、サテン金藤N、SA金藤、ウルトラサテン金藤N、OKウルトラアクアサテン、OK金藤片面、Nアートポスト、NK特両面アート、雷鳥スーパーアートN、雷鳥スーパーアートMN、雷鳥アートN、雷鳥ダルアートN、ハイマッキンレーアート、ハイマッキンレーマット、ハイマッキンレーピュアダルアート、ハイマッキンレースーパーダル、ハイマッキンレーマットエレガンス、ハイマッキンレーディープマット等がある。
コート紙は、塗工量が片面10g/m2前後の塗工紙であり、一般的には、抄紙機の途中に設けた塗工装置で加工して作製される。コート量がアート紙より少なく、平滑度はやや落ちるものの廉価、軽量という利点がある。また、軽量コートや微塗工紙というコート量のさらに少ない種類の塗工紙も存在する。これらのコート紙の具体例として、PODグロスコート、OKトップコート+、OKトップコートS、オーロラコート、ミューコート、ミューホワイト、雷鳥コートN、ユトリロコート、パールコート、ホワイトパールコート、PODマットコート、ニューエイジ、ニューエイジW、OKトップコートマットN、OKロイヤルコート、OKトップコートダル、Zコート、シルバーダイヤ、ユーライト、ネプチューン、ミューマット、ホワイトミューマット、雷鳥マットコートN、ユトリログロスマット、ニューVマット、ホワイトニューVマット等が挙げられる。
〔非吸収性記録媒体〕
非吸収性記録媒体としては、一般的に使用されている各種フィルム等はすべて使用できる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルムなどがある。また、写真用印画紙であるレジンコートペーパーや合成紙であるユポ紙なども使用できる。
《インクジェット記録方法》
本発明のインクジェット記録方法では、活性光線を照射してインクを硬化もしくは増粘させ、活性光線の照射以後に色材の前駆体を色材に転換することを特徴とする。
以下、インクジェット用インクへの活性光線照射方法について説明する。
〔活性光線照射〕
(活性光線)
本発明でいう活性光線としては、例えば、紫外線、可視光線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられる。
紫外線を用いる場合は、光源として、例えば、数100Paから1MPaまでの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプや紫外域の発光波長を持つキセノンランプ、冷陰極管、熱陰極管、LED等従来公知の物が用いられる。
本発明のインクジェットインクにおいては、色材の前駆体を適切に選択することにより、活性光線の透過性を高くすることができるため、低照度の光線によってもインクを硬化させることが可能である。
(インク着弾後の光照射条件)
活性光線の照射条件としては、記録媒体上にインクが着弾した後、0.001〜1.0秒の間に活性光線が照射されることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5秒である。高精細な画像を形成するためには、照射タイミングができるだけ早いことが特に重要となる。
(活性光線の照射方法)
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へ紫外線を照射する方法が開示されている。本発明のインクジェット記録方法においては、これらの何れの照射方法も用いることができる。
また、活性光線の照射を2段階に分け、まずインク着弾後0.001〜2.0秒の間に前述の方法で活性光線を照射し、更に活性光線を照射する方法も好ましい態様の1つである。活性光線の照射を2段階に分けることで、よりインク硬化の際に起こる記録材料の収縮を抑えることが可能となる。
(硬化処理後の乾燥)
本発明に係るBタイプのインクジェットインクを用いて記録する場合、記録媒体上にインクを吐出し、活性光線を照射して硬化させた後、不要の水溶性有機溶媒等を除去する目的で乾燥を行うことが好ましい。
インクの乾燥手段としては、特に制限はないが、例えば、記録媒体の裏面を加熱ローラーあるいはフラットヒータ等に接触させて乾燥させる方法や印字面にドライヤー等で温風を吹き付ける手段、あるいは減圧処理により揮発成分を除去する方法等を適宜選択あるいは組み合わせて用いることができる。
(プリンター部材)
本発明のインクジェット記録方法で使用される記録装置に用いる部材としては、活性光線の乱反射によるヘッド面への照射を防ぐために、活性光線に対する透過率や反射率が低い物が好ましい。
また、照射ユニットに対してはシャッターが搭載されている物が好ましく、シャッター開閉時の照度の比がシャッター開/シャッター閉=10以上であることが好ましく100以上がより好ましく、10000以上が更に好ましい。
次いで、本発明における色材の転換方法について説明する。
〔色材の転換方法〕
本発明に係る色材の前駆体は、化学的手段、熱的手段、光照射手段、放射線的手段等の手段もしくはこれら手段を組み合わせた手段により、記録媒体上で色材に転換される。
前記化学的手段とは、色材の前駆体の色材への転換を開始もしくは促進する化合物(以下、色材化化合物ということがある。)を、何らかの方法により記録媒体上で色材の前駆体と共存させることをいう。色材化化合物としては、酸、塩基、求核剤、親電子剤、酸化剤、還元剤、配位性化合物などが挙げられ、好ましくは酸または塩基であり、特に好ましいのは酸である。色材化化合物として用いる酸は、有機酸、無機酸のいずれでもよく、有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、アクリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、サリチル酸、乳酸、シュウ酸等が挙げられ、無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。塩基は、有機塩基、無機塩基のいずれでもよく、有機塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、アミノエタノール、トリエタノールアミン、ジメチルアニリン、ルチジン等が挙げられ、無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
色材化化合物を共存させる方法としては、あらかじめ色材化化合物を含有させた専用記録媒体を用いる方法、インクの吐出前後に記録媒体上に色材化化合物を供給する方法、本発明のインクジェットインクに色材化化合物の前駆体を含有させ、インクの記録後に色材化化合物に転換する方法などがある。
インクの吐出前後に記録媒体上に色材化化合物を供給する方法としては、例えば、
1)インクジェットプリンターのヘッドから色材化化合物の溶液を画像イメージに重ねるようにしてプリントする方法
2)コーターを用いて色材化化合物の溶液を記録媒体に一様に塗布する方法
3)色材化化合物の溶液の入った浴を用意し、記録媒体をディップする方法
4)色材化化合物の溶液をスポンジ状の媒体に吸収させ、そのスポンジを記録媒体に接触させる方法
5)噴霧器により色材化化合物の溶液を記録媒体に噴霧する方法
などが挙げられる。
本発明のインクジェットインクに色材化化合物の前駆体を含有させ、インクの記録後に色材化化合物に転換する方法としては、例えば、
1)光酸発生剤や光塩基発生剤を本発明のインクジェットインクに含有させ、インクの記録後に光を照射し(活性光線の照射と兼ねられていても良い)、色材化化合物である酸や塩基を発生させる方法
2)熱により酸もしくは塩基を発生する化合物を本発明のインクジェットインクに含有させ、インクの記録後に加熱処理を行い、色材化化合物である酸や塩基を発生させる方法
などが挙げられる。
本発明に係る色材の前駆体を色材に転換させる熱的手段とは、本発明のインクジェットインクを記録媒体に吐出して活性光線を照射し、活性光線の照射以後に記録媒体を加熱することをいう。加熱温度は、50℃〜230℃の範囲が好ましく、さらに好ましくは、70℃〜190℃である。加熱手段としては、熱ローラー(例えば、電子写真用熱定着ローラー)、温風、赤外線ヒーターなどが挙げられる。
本発明に係る色材の前駆体を色材に転換させる光照射手段とは、例えば、インクを吐出後の記録媒体に紫外線、可視光、赤外線などを照射することをいう。この光照射工程は、活性光線の照射工程と兼ねられていても別であっても構わない。
次いで、本発明のインクジェット記録方法で用いるインクジェットプリンターについて説明する。
〔インクジェットプリンター〕
本発明で用いることのできるインクジェットプリンターとしては、例えば、画像形成が水平に配設され、上面で所定範囲の記録媒体の裏面(画像形成面の側と反対側となる面)を吸引装置の駆動により吸引して支持するプラテンと、記録媒体に向けてインクをノズルの吐出口から吐出する記録ヘッドと、これら記録ヘッドと活性光線を備えた照射手段を搭載し、画像形成時に走査方向に移動するキャリッジと、キャリッジに搭載されるとともに当該キャリッジを駆動するための駆動回路基板と、走査方向に沿って延在してキャリッジの移動を案内する案内部材と、走査方向に沿って延在し、その長手方向に、光学パターンが配設されたリニアスケールと、キャリッジに搭載されるとともにリニアスケールに配設された光学パターンを読み取ってクロック信号として出力するリニアエンコーダセンサとを備えて構成されている装置が挙げられる。
(記録ヘッド)
使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。
また、インクジェットヘッドにより吐出するインクの適性粘度と、本発明のインクジェットインクの粘度が一致しない場合、インクジェットヘッドに温度調整機構を装備し、必要に応じてインクの加熱・冷却を行ってインクの粘度を調整し、インクを吐出しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
実施例1
《インクセットの調製》
〔インクセット1の調製〕
下記の方法に従って、レッド画像形成用インク1、ブラック画像形成用インク1から構成されるインクセット1を調製した。
(レッド画像形成用インク1の調製)
下記の組成物を順次混合し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してレッド画像形成用インク1を調製した。
色材の前駆体(ロイコ色素):3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオラン 3部
色材の前駆体(顕色剤):4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン 3部
活性光線反応性化合物:アロンオキセタンOXT221(東亞合成社製) 60部
活性光線反応性化合物:セロキサイドC2021P(ダイセル社製) 30部
重合開始剤:UVI6992(ダウケミカル社製) 4部
(ブラック画像形成用インク1の調製)
上記レッド画像形成用インク1の調製において、色材の前駆体(ロイコ色素)について3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−メチルフルオランに代えて、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオランを用いた以外は同様にして、ブラック画像形成用インク1を調製した。
〔インクセット2の調製〕
下記の方法に従って、イエロー画像形成用インク2、マゼンタ画像形成用インク2から構成されるインクセット2を調製した。
(イエロー画像形成用インク2の調製)
下記の組成物を順次混合し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエロー画像形成用インク2を調製した。
色材の前駆体(顔料の前駆体):例示化合物39(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物) 4部
活性光線反応性化合物:アロンオキセタンOXT221(東亞合成社製) 62部
活性光線反応性化合物:セロキサイドC2021P(ダイセル社製) 30部
重合開始剤:UVI6992(ダウケミカル社製) 4部
(マゼンタ画像形成用インク2の調製)
上記イエロー画像形成用インク2の調製において、色材の前駆体(顔料の前駆体)について例示化合物39(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物)に代えて、例示化合物47(ピグメントレッド122を化学修飾した化合物)を用いた以外は同様にして、マゼンタ画像形成用インク2を調製した。
〔インクセット3の調製〕
下記の方法に従って、ブルー画像形成用インク3、バイオレット画像形成用インク3から構成されるインクセット3を調製した。
(ブルー画像形成用インク3の調製)
下記の組成物を順次混合し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してブルー画像形成用インク3を調製した。
色材の前駆体(顔料の前駆体):例示化合物43(ピグメントブルー60を化学修飾した化合物) 3部
活性光線反応性化合物:アロンオキセタンOXT221(東亞合成社製) 63部
活性光線反応性化合物:セロキサイドC2021P(ダイセル社製) 30部
重合開始剤:UVI6992(ダウケミカル社製) 4部
(バイオレット画像形成用インク3の調製)
上記ブルー画像形成用インク3の調製において、色材の前駆体(顔料の前駆体)について例示化合物43(ピグメントブルー60を化学修飾した化合物)に代えて、例示化合物38(ピグメントバイオレット19を化学修飾した化合物)を用いた以外は同様にして、バイオレット画像形成用インク3を調製した。
〔インクセット4の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク4、マゼンタインク4から構成されるインクセット4(比較例)を調製した。
(イエローインク4の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク4を調製した。
色材:ピグメントイエロー139 4部
顔料分散剤:アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製) 2部
活性光線反応性化合物:アロンオキセタンOXT221(東亞合成社製) 60部
活性光線反応性化合物:セロキサイドC2021P(ダイセル社製) 30部
重合開始剤:UVI6992(ダウケミカル社製) 4部
(マゼンタインク4の調製)
上記イエローインク4の調製において、色材についてピグメントイエロー139に代えて、ピグメントレッド122を用いた以外は同様にして、マゼンタインク4を調製した。
〔インクセット5の調製〕
下記の方法に従って、ブルーインク5、バイオレットインク5から構成されるインクセット5(比較例)を調製した。
(ブルーインク5の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してブルーインク5を調製した。
色材:ピグメントブルー60 3部
顔料分散剤:アジスパーPB821(味の素ファインテクノ製) 1部
活性光線反応性化合物:アロンオキセタンOXT221(東亞合成社製) 62部
活性光線反応性化合物:セロキサイドC2021P(ダイセル社製) 30部
重合開始剤:UVI6992(ダウケミカル社製) 4部
(バイオレットインク5の調製)
上記ブルーインク5の調製において、色材についてピグメントブルー60に代えて、ピグメントバイオレット19を用いた以外は同様にして、バイオレットインク5を調製した。
《光透過率の確認》
インクセット1〜3に含まれる色材の前駆体、及び転換後の色材について、365nmにおける光透過率を測定した。365nmは、後述する画像記録に用いる活性光線の最大発光波長である。インクセット1についてはインクを加熱することにより色材の前駆体を色材に転換させ、転換後の色材を含むインクの光透過率を測定した。インクセット2、3については、転換後の色材はそれぞれインクセット4、5に含まれるものと同じであるため、インクセット4、5を用いて光透過率を測定し、これを転換後の色材の測定結果とした。
インクセット1〜3のいずれも、転換後の色材に比較し、色材の前駆体の光透過率の方が高かった。
《インクジェット画像記録》
上記で得られたインクジェットインクセット1〜5を用いて、画像1〜5を作製した。
〔画像1〕
ノズル口径25μm、駆動周波数15kHz、ノズル数256、最小液適量6pL、ノズル密度180dpi(なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端にヘッドと同等の幅の活性光線照射装置(光源はLED、照度300mW/cm2、最大発光波長365nm)を配置し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタを用意した。
活性光線を照射しながら、インクセット1を吐出してポリエチレンテレフタレートフィルムに画像を記録した。記録画像は各々のインクのベタ画像が隣接して配置されたパターンである。この画像を、180℃に設定した電子写真用の熱定着ローラーに通したところ、記録画像上の色材の前駆体が色材に転換され、レッドのベタ画像とブラックのベタ画像が隣接した画像1が得られた。
〔画像2、3〕
前記の画像1の作製において、インクセット1をインクセット2、3に変更した以外は同様の方法により、イエローのベタ画像とマゼンタのベタ画像が隣接した画像2、ブルーのベタ画像とバイオレットのベタ画像が隣接した画像3をそれぞれ得た。
〔画像4、5〕
前記の画像1の作製において、インクセット1をインクセット4、5に変更し、画像記録後に熱定着ローラーによる処理を省略した以外は同様の方法により、イエローのベタ画像とマゼンタのベタ画像が隣接した画像4、ブルーのベタ画像とバイオレットのベタ画像が隣接した画像5をそれぞれ得た。
《画像評価》
〈インク硬化性〉
前記の画像1〜5についてベタ画像の境界部を目視観察し、下記の基準に従いインク硬化性を評価した。△以上を許容レベルとした。
◎:色の境界部において、色間の滲みは全く生じていない
○:色の境界部において、わずかに色間の滲みが生じている
△:色の境界部においてやや滲みが生じており、数mm幅の色混ざりが生じている
×:色の境界部はほとんど滲んでおり、それぞれのベタ画像も互いの色が混じっている
以上により得られた結果を、表1に示す。
Figure 2007197634
表1に記載の結果より明らかなように、本発明に係るインクジェットインクを用い、本発明のインクジェット記録方法を適用して作製した画像は、比較例に対し、インク硬化性が良好であることが分かる。
実施例2
《架橋性高分子化合物の調製》
〔架橋性高分子化合物1の調製〕
ポリアクリル酸(重合度300)100gを750gのエタノールに加熱溶解させた後、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルを3.4g(ポリアクリル酸に対する変性率は1.2モル%に相当)と触媒としてピリジンを11g加え、60℃に保ちながら24時間攪拌した。更に、この溶液の温度を95℃に上げ、水を滴下しながらエタノールを留去した後、イオン交換樹脂(三菱化学製:PK−216H)処理を行い、イオン交換樹脂を濾過した後、ピリジンを除去して不揮発性分濃度が15%の水溶液を得た。その後、純粋により希釈し、架橋性高分子化合物1の10質量%水溶液を得た。架橋性高分子化合物1は、親水性主鎖であるポリアクリル酸に複数の側鎖を有しており、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物である。
〔架橋性高分子化合物2の調製〕
グリシジルメタクリレートを56g、p−ヒドロキシベンズアルデヒドを48g、ピリジンを2g及びN−ニトロソ−フェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩を1g、それぞれ反応容器に入れ、80度の湯浴中で8時間攪拌した。
次に、重合度300、ケン化率98%のポリ酢酸ビニルケン化物の45gをイオン交換水の225gに分散した後、この溶液にリン酸を4.5gと上記反応で得られたp−(3−メタクリロキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)ベンズアルデヒドをポリビニルアルコールに対して変性率が3モル%になる様に加え、90℃で6時間攪拌した。得られた溶液を室温まで冷却した後、塩基性イオン交換樹脂の30gを加え1時間攪拌した。その後、イオン交換樹脂を濾過して、純水により希釈し、架橋性高分子化合物2の15質量%水溶液を得た。架橋性高分子化合物2は、親水性主鎖であるポリ酢酸ビニルのケン化物に複数の側鎖を有しており、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物である。
〔インクセット6の調製〕
下記の方法に従って、イエロー画像形成用インク6、マゼンタ画像形成用インク6から構成されるインクセット6を調製した。
(イエロー画像形成用インク6の調製)
下記の組成物を順次混合した後、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエロー画像形成用インク6を調製した。
色材の前駆体(顔料の前駆体):例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物) 4部
活性光線反応性化合物:A−200(新中村化学工業(株)製) 固形分として7部
エチレングリコール 5部
2−ピロリジノン 10部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタ画像形成用インク6の調製)
上記イエロー画像形成用インク6の調製において、色材の前駆体(顔料の前駆体)について例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物)に代えて、例示化合物26(ピグメントレッド122を化学修飾した化合物)を用いた以外は同様にして、マゼンタ画像形成用インク6を調製した。
〔インクセット7の調製〕
下記の方法に従って、イエロー画像形成用インク7、マゼンタ画像形成用インク7から構成されるインクセット7を調製した。
(イエロー画像形成用インク7の調製)
下記の組成物を順次混合し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエロー画像形成用インク7を調製した。
色材の前駆体(顔料の前駆体):例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物) 4部
活性光線反応性化合物:架橋性高分子化合物1 固形分として2部
エチレングリコール 10部
2−ピロリジノン 12部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタ画像形成用インク7の調製)
上記イエロー画像形成用インク7の調製において、色材の前駆体(顔料の前駆体)について例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物)に代えて、例示化合物26(ピグメントレッド122を化学修飾した化合物)を用いた以外は同様にして、マゼンタ画像形成用インク7を調製した。
〔インクセット8の調製〕
下記の方法に従って、イエロー画像形成用インク8、マゼンタ画像形成用インク8から構成されるインクセット8を調製した。
(イエロー画像形成用インク8の調製)
下記の組成物を順次混合し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエロー画像形成用インク8を調製した。
色材の前駆体(顔料の前駆体):例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物) 4部
活性光線反応性化合物:架橋性高分子化合物2 固形分として2部
エチレングリコール 10部
2−ピロリジノン 12部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタ画像形成用インク8の調製)
上記イエロー画像形成用インク8の調製において、色材の前駆体(顔料の前駆体)について例示化合物16(ピグメントイエロー139を化学修飾した化合物)に代えて、例示化合物26(ピグメントレッド122を化学修飾した化合物)を用いた以外は同様にして、マゼンタ画像形成用インク8を調製した。
〔インクセット9の調製〕
下記の方法に従って、イエローインク9、マゼンタインク9から構成されるインクセット9(比較例)を調製した。
(イエローインク9の調製)
下記の組成物を順次混合し、ビーズミルを用いて分散した後、ディゾルバーを用いて1時間プレ分散を行った。更にビーズミルを用いて練肉し、#3000の金属メッシュフィルターでろ過してイエローインク9を調製した。
色材:ピグメントイエロー139 4部
活性光線反応性化合物:A−200(新中村化学工業(株)製) 固形分として7部
エチレングリコール 5部
2−ピロリジノン 10部
活性剤:オルフィンE1010(日信化学工業社製) 1部
重合開始剤:イルガキュア2959 1部
顔料分散剤:Solsperse20000(アビシア社製) 1部
防黴剤:Proxel GXL(アビシア社製) 0.2部
以上の各組成物にイオン交換水を加え、100部に仕上げた。
(マゼンタインク9の調製)
上記イエローインク9の調製において、色材についてピグメントイエロー139に代えて、ピグメントレッド122を用いた以外は同様にして、マゼンタインク9を調製した。
《光透過率の確認》
インクセット6〜8に含まれる色材の前駆体、及び転換後の色材について、365nmにおける光透過率を測定した。365nmは、後述する画像記録に用いる活性光線の最大発光波長である。インクセット6〜8の色材の前駆体について、転換後の色材はいずれもインクセット9に含まれるものと同じであるため、インクセット9を用いて光透過率を測定し、これを転換後の色材の測定結果とした。
インクセット6〜8のいずれも、転換後の色材に比較し、色材の前駆体の光透過率の方が高かった。
《インクジェット画像記録》
上記で得られたインクジェットインクセット6〜9を用いて、画像6〜9を作製した。
〔画像6〕
ノズル口径25μm、駆動周波数15kHz、ノズル数256、最小液適量6pL、ノズル密度180dpi(なお、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを搭載し、ピエゾ型ヘッドの両端にヘッドと同等の幅の活性光線照射装置(光源はLED、照度300mW/cm2、最大発光波長365nm)を配置し、最大記録密度が1440×1440dpiであるオンデマンド型インクジェットプリンタを用意した。
活性光線を照射しながら、インクセット6を吐出してポリエチレンテレフタレートフィルムに画像を記録した。記録画像は各々のインクのベタ画像が隣接して配置されたパターンである。画像記録後、ドライヤーにより30秒間温風乾燥した後、コーターにより濃度10質量%のp−トルエンスルホン酸水溶液を塗布した。記録画像をドライヤーにより再度30秒間温風乾燥した後、180℃に設定した電子写真用の熱定着ローラーに通したところ、記録画像上の色材の前駆体が色材に転換され、イエローのベタ画像とマゼンタのベタ画像が隣接した画像6が得られた。
〔画像7、8〕
前記の画像1の作製において、インクセット6をインクセット7、8に変更した以外は同様の方法により、イエローのベタ画像とマゼンタのベタ画像が隣接した画像7、8をそれぞれ得た。
〔画像9〕
前記の画像6の作製において、インクセット6をインクセット9に変更し、画像記録後のコーターによる塗布と熱定着ローラーによる処理を省略した以外は同様の方法により、イエローのベタ画像とマゼンタのベタ画像が隣接した画像9を得た。
《画像評価》
(インク硬化性)
前記の画像1〜5についてベタ画像の境界部を目視観察し、下記の基準に従いインク硬化性を評価した。△以上を許容レベルとした。
◎:色の境界部において、色間の滲みは全く生じていない
○:色の境界部において、わずかに色間の滲みが生じている
△:色の境界部においてやや滲みが生じており、数mm幅の色混ざりが生じている
×:色の境界部はほとんど滲んでおり、それぞれのベタ画像も互いの色が混じっている
(光沢)
画像1〜6を目視観察し、下記の基準に従って光沢の評価を行った。○以上を許容レベルとした。
◎:非常に光沢が良好であり、印刷に近い質感の画像である
○:光沢はほどほどに良好であるが、シャドウ部とハイライト部の一部に違和感がある
×:インクの硬化性が悪いために画像がうまく形成できておらず、光沢の評価が困難である
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2007197634
表2に記載の結果より明らかなように、本発明に係るインクジェットインクを用い、本発明のインクジェット記録方法を適用して作製した画像は、比較例に対しインク硬化性が良好であり、かつ優れた光沢を示していることが分かる。
キナクリドンとその前駆体の吸収スペクトルを示す図である。
符号の説明
1 キナクリドンの分散物の吸収スペクトル
2 キナクリドンの前駆体溶液の吸収スペクトル

Claims (7)

  1. 活性光線反応性化合物及び色材の前駆体を少なくとも含有することを特徴とするインクジェットインク。
  2. 水、活性光線反応性化合物及び色材の前駆体を少なくとも含有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 前記活性光線反応性化合物が、主鎖に対して複数の側鎖を有し、活性光線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットインク。
  4. 前記主鎖が、ポリ酢酸ビニルのケン化物であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェットインク。
  5. 前記色材の前駆体が、置換基の分解により顔料に転換され得る化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェットインクを、インクジェットヘッドにより記録媒体に吐出して活性光線を照射し、活性光線の照射以後に色材の前駆体を色材に転換して画像形成することを特徴とするインクジェット記録方法。
  7. 照射する活性光線の発光波長において、色材の前駆体の光透過率が転換後の色材の光透過率よりも高いことを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録方法。
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CN103913952A (zh) * 2012-12-28 2014-07-09 第一毛织株式会社 用于滤色镜的感光树脂组合物和利用其的滤色镜
EP3173246A1 (en) * 2015-11-30 2017-05-31 Agfa Graphics NV Inkjet ink set for a method of manufacturing a packaging

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