JP2004175874A - インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの保存安定性に優れ、液体吸収性のある被記録材のみならず液体吸収性のない被記録材を用いた場合でも、硬化性に優れ、良好な画像が形成でき、色調、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インクを提供する。
【解決手段】開環重合性の2官能モノマー、開環重合性の3官能以上のモノマーおよび油溶性染料を含有し、放射線により硬化可能なインク組成物であり、該油溶性染料がインク中に溶解しているインクジェット記録用インク組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】開環重合性の2官能モノマー、開環重合性の3官能以上のモノマーおよび油溶性染料を含有し、放射線により硬化可能なインク組成物であり、該油溶性染料がインク中に溶解しているインクジェット記録用インク組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性染料を含有し大気環境下でも放射線硬化性に優れ、かつ画像の堅牢性に優れた硬化可能なインク組成物、および該インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性のインクジェット用インクは、普通紙に印字した場合に耐水性が劣ったり、滲みが生じやすく、さらに、プラスチックなどインク吸収性のない被記録材に印字した場合には、インク液滴の付着が悪いために画像形成ができなかったり、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があったり、画像がにじみやすいといった欠点があった。
非吸水性の被記録材に対する印刷に適するものとして、被記録材との接着性に優れた多官能モノマーを用いた紫外線硬化性インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)が、水分散型のインクのために乾燥が遅く、フルカラーの画像を形成するには不十分であった。乾燥性を解決するために、インクの溶剤として揮発性の有機溶剤を用いる方法が行われてきたが、急速に乾燥させるためにはメチルエチルケトン及びエタノールなど高度に引火性があり、さらに揮発性の高い溶剤を用いる必要があった。
これらの問題点を解決するために、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェッ用インクが開示されている(例えば、特許文献2参照)が、着色成分として顔料分散物を用いているために、顔料の凝集によりノズルが目詰りし、安定してインクを吐出させることが困難であった。また、着色剤に顔料を用いると透明性が劣り、色調が不十分であるために写真画質を得ることが困難である。その問題を解決する手段として、着色剤に染料を用いた紫外線硬化型インクが開示されている(例えば、特許文献3参照)が、染料の添加により硬化性が低下する場合が多いために、高エネルギーの紫外線照射や重合開始剤の添加量を多くする必要があり、インクの保存安定性が低下したり、長期の光暴露の環境で画像が変色したり、退色しやすいといった問題点があった。更に、シリカゲルなどの無機微粒子を受像層に有する被記録材を用いた場合には、環境中の活性ガス(SOx、NOx、オゾン等)に対して画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
一方、脂環式エーテル基を含むモノマーのカチオン重合(開環重合)性の水性インクが開示されている(例えば、特許文献4参照)が、水を含有するために乾燥時間がかかったり、着色成分として顔料を用いているために、色調が不十分であるなどの問題点を有している。染料を着色剤とする溶剤系のカチオン重合(開環重合)性のインクが開示されている(例えば、特許文献5参照)が、インクジェット印字を行うには、ノズルの目詰まりを抑制するために、低揮発性の溶剤を多量に混合する必要があるため、インク吸収性のない被記録材を用いた場合には、べた付きや密着不良などの問題点がある。さらには、露光条件が明らかではなく、硬化時の染料の退色については具体的には全く示されていない。
【0003】
【特許文献1】
特表2001−512777号公報(第1〜3頁、第11〜15頁)
【特許文献2】
特開平5−214279号公報(第1頁、第4〜5頁)
【特許文献3】
米国特許第4303924号明細書(全頁)
【特許文献4】
米国特許第6232361B1号明細書(全頁)
【特許文献5】
特開平10−324836号公報(全頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、従来の紙に加え、プラスチックや金属など非吸水性の被記録材に対しても高品位な印字が可能で、かつ、インクの保存安定性、放射線硬化性、耐水性、耐光性、オゾン耐性にも優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 開環重合性の2官能モノマー、開環重合性の3官能以上のモノマーおよび油溶性染料を含有し、放射線により硬化可能なインクであり、該油溶性染料がインク中に溶解していることを特徴とする(好ましくはインクジェット記録用)インク組成物。
<2> 全モノマー成分を100としたとき、単官能モノマーの含量が0〜20質量%、粘度50mPa.s以下の2官能以上のモノマーの含量が30〜95質量%、粘度が50mPa.sより大きな3官能以上のモノマーの含量が5〜70質量%である前記<1>記載のインク組成物。
<3> 有機溶剤(好ましくは低沸点有機溶剤)が0〜30質量%の前記<1>または<2>記載のインク組成物。
<4> 光重合開始剤を含有し、開環重合により硬化することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインク組成物。
<5> 放射線が紫外線であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物。
<6> 油溶性染料の酸化電位が1.0V(対SCE)よりも貴であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
<7> 水の含有量が5%以下であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインク組成物。
<8> 油溶性染料が一般式(I)、一般式(A−I)、一般式(Y−I)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれかに記載のインク組成物。
【0006】
【化1】
【0007】
一般式(I)中:
Qは一般式(I)で表わされる化合物が可視域及び/又は近赤外域の光を吸収するために必要な原子団を表し、Aは−NR5R6又はヒドロキシ基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、B1は=C(R3)−又は=N−を表し、B2は−C(R4)=又は−N=を表し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表わす。R1とR2、R1とR5、R5とR6、R3とR5及びR3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
【0008】
【化2】
【0009】
一般式(A−I)中:
X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、−CONR1R2、−CO2R1およびスルホ基から選択される基を表す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。ただしR1、R2の両方が水素原子であることはない。 Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
Y1、Y2、Y3およびY4は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。
a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表し、それぞれ独立に、0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上16以下である。
一般式(Y−1) A−N=N−B
一般式(Y−I)中:A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。
<9> 前記<8>に記載のインク組成物であって、一般式(I)の染料を含むマゼンタインク、一般式(A−I)の染料を含むシアンインク、一般式(Y−I)の染料を含むイエローインクの3色のインクを含むインクジェット記録用インク組成物のインクセット。
<10> 前記<1>〜<8>のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて記録を行い、放射線の照射により硬化させることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
(インクジェット用インク)
本発明の放射線硬化型インクジェット用インクは、モノマーと油溶性染料を含有する組成物であり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
本発明においてモノマーの重合を進行させるための放射線としてはα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
放射線として紫外線、可視光線などを使用する場合は、重合を開始するための光重合開始剤が併用される。したがって本発明の他の構成にかかる放射線硬化性インクは、モノマー類の重合を開始するための光重合開始剤を含有するものである。
【0011】
−モノマー−
本発明において用いられるモノマーは、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与によって固体化しうる開環重合性基(以後、重合性基とも記す)を有する化合物である。モノマーは2官能の化合物と3官能以上の化合物の使用が必須であり、粘度調整や架橋密度の調整、硬化後の物性制御(強度、接着性など)のために単官能の化合物(以後、単官能モノマーと記す)を併用しても良い。
【0012】
重合性基としては、エポキシ、環状ラクトン、環状カーボネート、オキセタン、環状アミン、環状イミノエーテルが挙げられ、中でもエポキシ、オキセタン、環状イミノエーテルが好ましく、エポキシ、オキセタンが更に好ましく、エポキシ、オキセタンが特に好ましい。
【0013】
インクジェット記録を行う上で重要な液物性は粘度であり、本発明ではインクの粘度を制御する上でモノマーの粘度が重要である。インクの好ましい粘度は印字する装置にも依存するが、一般的には、8〜300mPa・sが好ましく、10〜200mPa・sがより好ましく、20〜150mPa・sが更に好ましく、20〜100mPa・sが特に好ましい。油溶性染料や重合開始剤を添加すると粘度が増加するので、モノマー混合物の好ましい粘度は、6〜300mPa・sが好ましく、8〜200mPa・sがより好ましく、18〜150mPa・sが更に好ましく、18〜100mPa・sが特に好ましい。ここで粘度は25℃の値であり、特に断りがない場合は25℃での値とする。
また、インクジェット記録装置を加熱するなどの場合で吐出温度が室温と異なる場合、吐出温度で上記の粘度となるように調製してもよい。
【0014】
インクの硬化性は分子中に重合性基の数が多いほうが良いが、一般に多官能なモノマーほど粘度が高くなる。粘度低下のために重合基のない不揮発性の低粘度の液状化合物を加えると硬化後にべたつく、非吸収性媒体との密着が悪いなどの問題点を有することから、インクの粘度低下のための液状化合物は重合性基を有することが好ましい。
【0015】
本発明のインクに用いる開環重合性のモノマーは、A)2官能のモノマー(以下、モノマーAということがある。好ましくは該モノマーの粘度が50mPa.s以下である低粘度のもの。)と、B)3官能以上のモノマー(以下、モノマーBということがある。好ましくは該モノマーの粘度が50mPa.sより大きなもの。)とを含んでおり、場合によって、C)単官能のモノマー(以下、モノマーCということがある)を含んでもよい。
モノマーAは、2官能であり、粘度は50mPa.s以下が好ましく、40mPa.s以下がより好ましく、30mPa.s以下が更に好ましく、20mPa.s以下が特に好ましい。モノマー成分の合計を100としたとき、モノマーAの含有量は、30〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜90質量%が更に好ましく、50から80質量%が特に好ましい。モノマーAは1種類でも2種類以上の混合物であっても良い。
モノマーBは、3官能〜10官能が好ましく、3官能〜6官能が特に好ましい。粘度は50mPa.sより大きいことが好ましく、51〜20000mPa. sが好ましく、51〜10000mPa.sがより好ましく、51〜7000mPa.sが更に好ましく、51〜5000mPa.sが特に好ましい。モノマーBの含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましく、20から50質量%が特に好ましい。モノマーBは1種類でも2種類以上の混合物であっても良い。
モノマーCは、0〜20質量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0016】
以下に本発明に使用できる開環重合性のモノマー(モノマーA、モノマーB、モノマーC)の例を挙げる。
エポキシ化合物としては、エチレンオキシド構造や脂環式エポキシド構造(シクロヘキセンオキシド、あるいはシクロペンテンオキシドなど)を分子構造中に含有するが、脂環式エポキシド構造をもつ化合物が好ましい。
【0017】
エチレンオキシド構造のエポキシ化合物の例としては、脂肪族エポキシ化合物やビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−800シリーズ)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−900シリーズ)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−211)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(デナコールEX−321)(以上ナガセ化成工業社製)等が、またビスフェノール型エポキシ化合物としては、エピコート827、エピコート828、エピコート834(以上油化シェルエポキシ社製)等を挙げることができる。またUVR−6200、UVR−6216(UCC社製)などのようなエポキシ化炭化水素類を使用することも出来る。
【0018】
脂環式エポキシド構造のエポキシ化合物の例としては、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン−1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、UVR−6110、UVR−6199(以上UCC社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2080シリーズ(2081、2083、2085など)、セロキサイド4000、セロキサイド3000、エポリードGT−300シリーズ、エポリードGT−400シリーズ、EHPE−3150、ETHB、CHXO(以上ダイセル化学社製)等を使用することができる。
【0019】
オキセタン化合物の具体例としては、例えば、3−エチル−3−メトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−エトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ブトキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシ−3´−フェノキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシ−3´−ブトキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−[2´−(2´´−エトキシエチル)オキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−(2´−ブトキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ベンジルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(p−tert−ブチルベンジルオキシメチル)オキセタン、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、OXT−121、OXT−221(以上東亞合成化学工業製)などを挙げることができる。
前記の、モノマーA+モノマーB+モノマーCの含有量は、モノマー全体の50〜99質量%の範囲が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜95質量%が特に好ましい。
【0020】
前記開環重合性のモノマー以外に通常の重合性モノマーを含んでいてもよい。その例としては、例えばビニルエーテル化合物が挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,9−ノナンジオールモノビニルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル,トリエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキシル−1,4−ジメチロールモノビニルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキシル1,4−ジメチロールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等の反応性ビニルエーテル単量体、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリオール類とトリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソポロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート類と水酸基含有ビニルエーテル類(例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキシル−1,4−ジメチロールモノビニルエーテル等)の反応物であるウレタンビニルエーテル、前記、水酸基含有ビニルエーテル類とポリカルボン酸クロライド類(例えば、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、テトラヒドロフタル酸ジクロライド等)の反応物であるポリエステルポリビニルエーテル等の反応性ビニルエーテルオリゴマー等を挙げることができる。
【0021】
前記モノマーは本発明の効果が得られるものであれば何れでも良いが、安全性の高いものから選択されることが更に好ましい。安全性が高いモノマーとはPII(皮膚刺激性)の値が小さいものであり、PIIが4.0以下のものが好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下が更に好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下が特に好ましい。
【0022】
−光重合開始剤および増感剤−
光重合開始剤としては、光により発生した活性種が前記モノマーの開環重合反応を開始するものであれば特に制限はない。
【0023】
光重合開始剤としてはポリアリールスルホニウム塩(トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロフォスフェート、UVE−1014(ゼネラルエレクトリック社製)など)、ポリアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフィニル)ヨードニウム=テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど)、鉄アレーン錯体(イルガキュア261(チバスペシャルティケミカルズ社製)など)、スルホン誘導体(β―ケトスルホン、ジスルホンなど)などが挙げられ、ポリアリールスルホニウム塩、ポリアリールヨードニウム塩、鉄アレーン錯体が好ましい。
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
【0024】
また、光重合開始剤は、70℃まで熱分解を起こさないものであることが好ましい。70℃以下で熱分解を起こす開始剤を用いると、製品保存上問題があるため好ましくない。
これらの光重合開始剤の使用量(モノマーに対する)は特に制限されていないが、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。0.5質量%未満では硬化しないか硬化時間が遅く、20質量%を越えると溶解経時で析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりする場合があるので好ましくない。
【0025】
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるものであり、三重項増感剤、電子移動増感剤、レドックス増感剤など従来公知のものが使用できる。
光増感剤は、紫外線の長波長域、例えば300nm以上の長波長域に特性吸収を有するものが好ましい。増感剤の例としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系が好ましくい。例えばチオキサントン系としては、KAYACUREシリーズよりITX、QTX、CPTX、DETX−S(商品名:日本化薬社製)等が挙げられる。
増感剤の使用量(モノマーに対する)は、通常0〜10質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用する紫外線硬化モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
【0026】
光重合開始剤および増感剤の例としては、島健太郎「新UV・EB硬化技術と応用展開」(株式会社シーエムシー発行:1999年)の第69〜78頁に記載されている化合物などを挙げることができる。
【0027】
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
【0028】
−油溶性染料−
本発明のインク組成物において使用する油溶性染料は、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高いことが望ましい。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
【0029】
酸化電位の値(Eox)の測定方法に関しては、例えばP.Delahay著”NewInstrumental Methods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著”Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶剤中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
【0030】
本発明では、電位を一義的に規定するため0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中(染料の濃度は0.001moldm−3)で直流ポーラログラフィーにより測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とする。
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が高い)ほど試料から電極への電子が移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより高くなり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより低くなる。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより高くすることができると言える。
【0031】
本発明に使用可能な油溶性染料のうちマゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0032】
中でも、一般式(I)で表わされる化合物(以下、化合物(I)とも記す)が好ましい。
Qは化合物(I)が可視域及び/又は近赤外域の光を吸収するために必要な原子団を表し、好ましくはジアゾ成分の残基を表す。Aは−NR5R6又はヒドロキシ基を表し、好ましくは−NR5R6を表す。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、B1は=C(R3)−又は=N−を表し、B2は−C(R4)=又は−N=を表し、R1、R2、R3 及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表わす。R1とR2、R1とR5、R5とR6、R3とR5及びR3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
【0033】
R1、R2、R3及びR4の置換基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基、アルキルまたはアリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基等が挙げられ、各基は更に置換されていてもよい。
【0034】
一般式(I)で表わされる化合物のうち、以下の一般式(I−1)で表されるものが好ましい。
【0035】
【化3】
【0036】
一般式(I−1)において、R1、R2及びR4は一般式(I)におけると同義である。Dは5員ヘテロ環基を表す。該5員ヘテロ環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。
Dの好ましいヘテロ環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】
上記一般式(a)から(f)において、R7からR20は水素原子又は置換基を表し、該置換基としてはR1、R2又はR4で説明した置換基と同じ置換基が挙げられる。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
【0039】
R1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0040】
R4で表される好ましい置換基としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0041】
R5、R6は、好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。ただしR5、R6の何れかが水素原子でないことが好ましい。
【0042】
R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
D、R1、R2、R4、R5、R6で表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記R1、R2、R4で挙げた置換基を挙げることができる。
【0043】
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
前記脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル等、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0044】
本明細書において、芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
前記芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル等が含まれる。
【0045】
ヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基および無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。前記ヘテロ環基としては、5員または6員環のヘテロ環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基などが含まれる。
前記ヘテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0046】
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
【0047】
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0048】
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0049】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0050】
アルキル基またはアリール基またはヘテロ環基で置換されたアミノ基には、アルキル基、アリール基及びヘテロ環基から選択された1種又は2種の基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基はさらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子等が含まれる。
前記アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0051】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基等が含まれる。
【0052】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基等が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0053】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜12の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0054】
ヘテロ環オキシ基には、置換基を有するヘテロ環オキシ基および無置換のヘテロ環オキシ基が含まれる。前記ヘテロ環オキシ基としては、炭素原子数が2〜12のヘテロ環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基等が含まれる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0055】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0056】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0057】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。
前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ等が含まれる。
【0058】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0059】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0060】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0061】
アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。前記スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等が含まれる。
【0062】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0063】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0064】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0065】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0066】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0067】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0068】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0069】
アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基と、無置換のアルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基が含まれる。前記アルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基としては、炭素原子数が1から12のものが好ましい。前記アルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0070】
ヘテロ環オキシカルボニル基には、置換基を有するヘテロ環オキシカボニル基および無置換のヘテロ環オキシカルボニル基が含まれる。前記ヘテロ環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のヘテロ環オキシカルボニル基が好ましい。前記ヘテロ環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
【0071】
ヘテロ環スルホニルアミノ基には、置換基を有するヘテロ環スルホニルアミノ基および無置換のヘテロ環スルホニルアミノ基が含まれる。前記ヘテロ環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルホニルアミノ基が好ましい。前記ヘテロ環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0072】
ヘテロ環スルホニル基には、置換基を有するヘテロ環スルホニル基および無置換のヘテロ環スルホニル基が含まれる。前記ヘテロ環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルホニル基が好ましい。前記ヘテロ環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
【0073】
ヘテロ環スルフィニル基には、置換基を有するヘテロ環スルフィニル基および無置換のヘテロ環スルフィニル基が含まれる。前記ヘテロ環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルフィニル基が好ましい。前記ヘテロ環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
【0074】
本発明において、特に好ましい構造は、下記一般式(I−1a)で表されるものである。
【0075】
【化5】
【0076】
一般式(I−1a)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
Z3は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。中でもZ3 は5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、ヘテロ環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
【0077】
R1、R2、R5、R6は一般式(I−1)と同義である。
R41、R42は各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、スルファモイル基が挙げられる。中でも水素原子、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、ヘテロ環基が特に好ましい。
【0078】
一般式(I−1a)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(I−1)で説明した置換基、R1、R2、R4で例示した基が挙げられる。
【0079】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange’sHandbook of Chemistry 」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σp値により限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(I−1)乃至(I−1a)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0080】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0081】
前記一般式(I−1)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R1、R2は各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
R4として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
Dのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
R5およびR6として好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基であり、R5およびR6が共に水素原子ではないことである。
【0082】
尚、前記一般式(I−1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0083】
前記一般式(I−1)で表されるアゾ色素の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではない。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】
【0096】
本発明に使用可能な油溶性染料のうちシアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
中でも、一般式(A−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。
【0097】
上記一般式(A−I)において、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、−CONR1R2、−CO2R1およびスルホ基から選択される基を表す。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
X1、X2、X3およびX4は、各々−SO2−Z、−SO2NR1R2である場合が好ましい。
【0098】
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。ただし、R1およびR2の両方が水素原子であることはない。
上記の置換もしくは無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基等の具体例は後掲の(置換基の具体例)の項に記載のものが挙げられる。
【0099】
R1、R2およびZが表すヘテロ環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であっても良い。以下に、R1、R2およびZで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
【0100】
(ヘテロ環基の具体例)
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなど。
中でも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。それらはさらに後述する置換基を有していてもよい。
【0101】
Y1、Y2、Y3およびY4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4で表される一価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、またはスルホ基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
【0102】
なかでも、Y1、Y2、Y3およびY4としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0103】
Z、R1、R2、Y1、Y2、Y3およびY4が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下のような置換基を更に有してもよい。
【0104】
(置換基の具体例)
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜12の直鎖あるいは分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12の直鎖あるいは分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐鎖シクロアルケニル基など(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、および4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0105】
a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表わし、それぞれ独立に0〜4の整数である。
また、既に定義したことから当然に、a1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす、それぞれ独立の0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上16以下とする。特に好ましいのは、a1が1または2であり、b1が3または2である組み合わせであり、その中でもa1が1であり、b1が3である組み合わせが最も好ましい。
【0106】
a2およびb2、a3およびb3、a4およびb4の各組み合わせにおいても、a1およびb1の場合と同様の関係であり、好ましい組み合わせも同様である。
【0107】
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
【0108】
好ましいMついては、水素原子の他、金属原子として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が、酸化物として、VO、GeO等が、水酸化物として、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が、さらに、ハロゲン化物として、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
なかでも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0109】
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時のMはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
【0110】
Lで表される2価の連結基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO2−、イミノ基−NH−、またはメチレン基−CH2−が好ましい。
【0111】
一般式(A−I)で表される油溶性染料として特に好ましい組み合わせは以下の通りである。
【0112】
X1〜X4は、それぞれ独立に、−SO2−Zまたは−SO2NR1R2であることが特に好ましい。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
Y1〜Y4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、全てが水素原子である場合が最も好ましい。
a1〜a4は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4は、それぞれ独立に、3または2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物またはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
また、一般式(A−I)で表される油溶性染料は、イオン性親水性基を含むことが好ましく、油溶性染料一分子中、イオン性親水性基を少なくとも4個以上有するものがより好ましく、特に、イオン性親水性基がスルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を少なくとも4個以上有するものが最も好ましい。
【0113】
一般式(A−I)で表される化合物の好ましい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0114】
一般式(A−I)で表される油溶性染料の中でも、下記一般式(A−II)で表される構造の油溶性染料が更に好ましい。以下に本発明の一般式(A−II)で表される油溶性染料について詳しく述べる。
【0115】
【化6】
【0116】
上記一般式(A−II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は、一般式(A−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4とそれぞれ同義であり、好ましい例も同じである。また、Mは一般式(I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0117】
一般式(A−II)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たすことであり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
【0118】
一般式(A−II)で表される油溶性染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
【0119】
X11〜X14は、それぞれ独立に、−SO2−Zまたは−SO2NR1R2が特に好ましい。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。ただし、R1、R2が共に水素原子であることはない。
Y11〜Y18は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基またはスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
a11〜a14は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表し、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでもCuが最も好ましい。
一般式(A−II)で表される油溶性染料がイオン性親水性基を含む場合には、油溶性染料一分子中、イオン性親水性基を少なくとも4個以上有するものがより好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基および4級アンモニウムが含まれる。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジニウムイオン)が含まれる。中でも、スルホ基およびカルボキシル基が好ましい。さらに、イオン性親水性基がスルホ基であるのが最も好ましい。
【0120】
一般式(A−II)で表される化合物の好ましい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0121】
また、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、σp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
【0122】
前記一般式(A−I)および(A−II)で表される油溶性染料の具体例(例示化合物AI−1〜AI−3およびAII−1〜AII−28)を下記に示すが、本発明に用いられる油溶性シアン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】
【表13】
【0126】
【表14】
【0127】
【表15】
【0128】
【表16】
【0129】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0130】
中でも、一般式(Y−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。上記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0131】
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0132】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0133】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0134】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0135】
【化9】
【0136】
一般式(Y−II)中:
RY1及びRY3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。RY4は複素環基を表す。
【0137】
【化10】
【0138】
一般式(Y−III)中:
RY5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(RY11 )=を表し、前記RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY6は複素環基を表す。
【0139】
【化11】
【0140】
一般式(Y−IV)中:
RY7及びRY9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。RY8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基)ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。RY10 は複素環基を表す。
【0141】
前記一般式(Y−II)において、RY1及びRY3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。RY4は複素環基を表す。
【0142】
前記一般式(Y−III)において、RY5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(RY1 1 )=を表し、前記RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY6は複素環基を表す。
【0143】
一般式(Y−IV)において、RY7及びRY9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。RY8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基)、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。RY10 は複素環基を表す。
【0144】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるRY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表す置換基について以下に詳述する。
【0145】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
【0146】
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0147】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0148】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0149】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、及びRY9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0150】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0151】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0152】
RY2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0153】
RY8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。 RY1、RY3、RY5、及びRY8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0154】
RY8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
【0155】
RY8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
RY8 が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0156】
RY8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0157】
RY8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、
前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0158】
RY7、RY8、RY9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0159】
RY2、RY7、RY8、及びRY9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
RY8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0160】
RY8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
RY2、RY8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0161】
RY8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0162】
RY4、RY6、RY10 で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0163】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(RY11 )=を表す。RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY11 が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、RY1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0164】
【化12】
【0165】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0166】
以下に、前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−160)を示すが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成できる。
【0167】
【化13】
【0168】
【化14】
【0169】
【化15】
【0170】
【化16】
【0171】
【化17】
【0172】
【化18】
【0173】
【化19】
【0174】
【化20】
【0175】
【化21】
【0176】
【化22】
【0177】
【化23】
【0178】
【化24】
【0179】
前記油溶性染料がモノマーに溶解するのは必須であるが、経時での結晶析出がないことも重要である。一般にモノマーの溶解性パラメーター(以下、SP値という)と油溶性染料のSP値が近い方がよいと言われているが、溶解する分子(本発明では油溶性染料)と溶剤(本発明ではモノマー)の構造に依存する部分があるため、SP値のみで解釈できない場合がある。一般式(Y−I)、(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)の油溶性染料の場合、分子体積V値とSP値の2つの物性値を用いることで、溶解性と経時保存安定性に優れることを見出した。
【0180】
SP値は26〜21が好ましく、25〜21がより好ましく、24〜21が更に好ましく、24〜22が特に好ましい。V値は810〜270が好ましく、800〜300がより好ましく、750〜350が更に好ましく、700〜380が特に好ましい。
ここでV値(cm3/mol)、SP値(J0.5 / cm1.5)は、Fedorsの方法により計算した値である。これらの算出方法はPolym.Eng.Sci.の14巻(1974年)147頁に記載されている。
【0181】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0182】
本発明に使用される油溶性色素のインク組成物における含有量としては、インク組成物に対して0.05〜40質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
【0183】
−その他の成分−
本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、例えば、溶剤やポリマー、無機微粒子、表面張力調整剤、貯蔵安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、導電性塩類、pH調整剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0184】
前記溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、固体成分(油溶性染料など)の溶解性向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。
前記溶剤としては、水、低沸点有機溶剤、高沸点有機溶媒が挙げられるが、本発明では、有機溶剤(好ましくは低沸点有機溶剤)を用いることが好ましく、実質的には水を含まないことが好ましい。
前記低沸点有機溶剤は沸点が100℃以下の有機溶剤である。インクに用いる素材を混合するときに染料などの固体物質の溶解助剤として使用して混合後に除去する場合には、任意の量を使用することができる。インクの成分として含まれる場合には、環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましいが、使用する場合は安全性の高いものを用いることが好ましい。安全性が高い溶剤とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶剤であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。例えば、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0185】
前記高沸点有機溶媒は沸点が100℃より高い有機溶剤である。硬化後にべたつく、非吸収性媒体との密着が悪いなどの問題点を有することから、使用しないことが望ましいが、使用する場合は必要最小量用いるのが好ましい。高沸点有機溶媒としては例えば、脂肪族カルボン酸のエステル類、リン酸エステル類、炭化水素、ケトン類などが挙げられ、具体的には、フタル酸ジブチル、安息香酸−2−エチルヘキシル、アルキルナフタレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
【0186】
前記有機溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、インク中の使用量は0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。実質的に含まないとは、使用する素材に主要な成分以外、すなわち、不純物として含有されているものであって、意図的に添加しない場合をいう。
【0187】
前記ポリマーは、インクの極性や粘度の調整、油溶性染料の溶解性向上、硬化後のインクの被記録材との密着性、耐光性の調整などのために使用できる。前記ポリマーはインクに溶解していてもよいし、微細分散物でもよいが、インクの保存安定性や吐出性能の点から、溶解するものが好ましい。
【0188】
前記ポリマーがインクに溶解する場合には、染料やモノマーとの相溶性が高いものが好ましく、インクの粘度上昇を起こしにくい点から、分子量は100000以下が好ましく、50000以下が更に好ましく、20000以下が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられ、具体的には、ポリブチルアクリレート、ポリ(イソブチルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート)(共重合質量比95:5)、ポリ(イソプロピルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート)(共重合質量比70:30)、ポリ(ブチルメタクリレート−N−メトキシメチルアクリルアミド)(共重合質量比80:20)、ポリブチルアクリレート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(共重合質量比90:10)などが挙げられる。
【0189】
前記ポリマーが微細分散物の場合には、モノマーに実質的に溶解しないことが必須であり、更に膨潤しにくい(膨潤度が1.4以下)かまたは膨潤しないことが好ましい。インク中の分散物の粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましく、0.07μm以下が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリエステル微粒子、ウレタン−ビニル複合粒子などが挙げられ、具体的には、ポリ(アクリロニトリル−エチルアクリレート−エチレングルコールジメタクリレート)(共重合質量比60:37:3)、ポリ(スチレン−ブタジエン)(共重合質量比50:50)、などが挙げられる。
【0190】
前記ポリマーは一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、使用量は0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%が更に好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。
【0191】
前記無機微粒子は硬化物の強度の向上や表面光沢、風合い、表面の微細な模様などを制御するために加えることができる。無機微粒子の粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。無機微粒子の例としてはシリカゲル、酸化チタンなどが挙げられる。
【0192】
貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するもので、インクに溶解するものを用いる。例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、アルキル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどの求核性対アニオンをもつオニウム塩や鉄芳香族化合物塩、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはp−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェート、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。使用量は0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
【0193】
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、特開2001−181549号公報に記載されているものなどを用いてもよい。
導電性塩類はインクに溶解することが必須であり、例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
【0194】
インクの好ましい物性は印字する装置にも依存するが、一般的には、粘度は5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sが更に好ましい。表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mが更に好ましい。
【0195】
(インクジェト記録方法)
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクジェット記録用インクを用いて記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なおインクジェト記録方法は特開2001−279141号の段落番号(0247)に記載のものを用いることができる。特に好ましいのは、電荷制御方式、圧力パルス方式、音響インクジェット方式である。
【0196】
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0197】
本発明のインクジェット記録用インクは、公知の被記録材に好適に印字等することができる。例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)から(0246)に記載されているものを用いることができる。
【0198】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断りがない限り、「質量部」および「質量%」を表す。
(実施例1)
<インク01の作成>
セロキサイド2081(ダイセル化学社製) 24部、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル 60部、メチルイソブチルケトン 10部の混合物に油溶性染料(DM−1) 3.0部、光重合開始剤(UVI−6990:ユニオンカーバイド社製) 3部を加えて溶解し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
【0199】
【化25】
【0200】
<インク02の作成>
セロキサイド2081 20部、OXT−121(東亞合成化学工業製) 10部、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル 63部、メチルエチルケトン 15部の混合物に油溶性染料(DM−1) 3.0部、フッ素系ノニオン界面活性剤 0.5部、光重合開始剤(UVI−6990:ユニオンカーバイド社製) 4部を加えて溶解し、5℃減圧条件でメチルエチルケトンを留去し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
<インク03〜13の作成>
前記インク02の作成において、油溶性染料(DM−1)を表17の様に替えた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク03〜13のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0201】
<インク14の作成>
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 49部、ヘキサメチレン−1,6−ジアクリレート 25部、N−ビニルホルムアミド 15部の混合物に油溶性染料(DM−1) 2.5部、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド 4部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 1部、トリエタノールアミン 2.3部、ハイドロキノンモノブチルエーテル 0.02部を加えて溶解し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
【0202】
【化26】
【0203】
作製したインクジェット記録用インクを用いてPETフィルムに画像を記録した後に、メタルハライドランプにより100mJ/cm2で露光処理した。
インクおよび得られた記録サンプルについて、下記の評価を行った。その結果を表17に示した。
<安定性>
インクを25℃で7日間保存した後に、インクの状態と0.45μmフィルターろ過性によって評価した。
インクの変化が無くフィルターろ過性が良好な場合をA(良好)、少し濁りが生じたりわずかに沈殿が生じたものをB(許容)、凝集が多く生じたりゲル化あるいは粘度増加している場合をC(不良)として、三段階で評価した。
【0204】
<硬化性>
記録した画像を観察し、べたつきが無いものをA(良好)、べたつきが少しあるが接触したものを汚すほどではないものをB(許容)、べたつきが著しいものをC(不良)として、三段階で評価した。
<色調>
色調については、目視にてA(最良)、B(良好)およびC(不良)の3段階で評価した。
<耐光性>
前記画像を形成したPETフィルムを、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。
色素残存率が80%以上の場合をA、80%未満をB、70%未満をCとして、三段階で評価した。
【0205】
【表17】
【0206】
【化27】
【0207】
表17の結果から明らかなように、本発明の油溶性染料を用いたインクは、液体吸収性のないのPETに画像を記録した場合でも硬化性に優れていた。更に、油溶性染料が一般式(I)、一般式(A−I)、一般式(Y−I)の場合には、安定性、色調、耐光性が優れていた。
【0208】
(実施例2)
被記録材を代えて画像を記録した以外は、前記実施例1と同様にして記録サンプルを作成し、評価を行った。オゾン耐性以外は、前記実施例1と同様にして評価を行った。
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を5日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、70%以上90%未満をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0209】
【表18】
【0210】
表18の結果から明らかなように、従来の紙や液体吸収性のない被記録材の両方において良好な画像を形成でき、硬化性、色調、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れていた。フォト光沢紙においては酸化電位の高い方が良好なオゾン耐性を示すことがわかる。
【0211】
(実施例3)
前記実施例1と同様にしてPETフィルムに画像を記録した後に、メタルハライドランプの照射エネルギーを変えて硬化時の退色を調査した。
露光エネルギー100mJ/cm2の場合の露光強度は170mW/cm2、露光エネルギー500mJ/cm2の場合の露光強度は340mW/cm2であった。
<硬化時退色>
色素残存率が90%以上の場合をA、70%以上90%未満をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0212】
【表19】
【0213】
本発明のインクは100mJ/cm2のエネルギーで十分に硬化するため、露光エネルギー量を上げる必要はないが、仮に露光エネルギーが過剰に加えられても退色しにくく、露光時のエネルギー許容幅が広く汎用性に優れている。硬化時の色素堅牢性に関しては概ね酸化電位の高い油溶性染料の方が良好であることがわかる。
【0214】
(実施例4)
以下のように4色のインクセットを作成してフルカラー画像を記録し、前記実施例1と同様にして評価を行ったところ、硬化性、色調、耐水性、耐光性の何れも優れていた。
<イエローインク>
実施例1のインク09を使用した。
<マゼンタインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(DM−1) 3.0部の代わりに、油溶性染料(DM−3) 2.0部を用いた以外は、インク02の作成と同様にしてインクジェット記録用マゼンタインクを調製した。
<シアンインク>
実施例1のインク06を使用した。
<ブラックインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(DM−1) 3.0部の代わりに、油溶性染料(DM−3)1.6部、油溶性染料(AII−17)2.6部、油溶性染料(Y−103)1.8部を用いた以外は、前記イエローインクの作成と同様にしてインクジェット記録用ブラックインクを調製した。
【0215】
【化28】
【0216】
【発明の効果】
本発明によると、インクの保存安定性に優れ、液体吸収性のある被記録材のみならず液体吸収性のない被記録材を用いた場合でも、硬化性に優れ、良好な画像が形成でき、色調、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、油溶性染料を含有し大気環境下でも放射線硬化性に優れ、かつ画像の堅牢性に優れた硬化可能なインク組成物、および該インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
水性のインクジェット用インクは、普通紙に印字した場合に耐水性が劣ったり、滲みが生じやすく、さらに、プラスチックなどインク吸収性のない被記録材に印字した場合には、インク液滴の付着が悪いために画像形成ができなかったり、溶剤の乾燥が極めて遅いために印字直後には記録物を重ねずに乾燥させる必要があったり、画像がにじみやすいといった欠点があった。
非吸水性の被記録材に対する印刷に適するものとして、被記録材との接着性に優れた多官能モノマーを用いた紫外線硬化性インクが開示されている(例えば、特許文献1参照)が、水分散型のインクのために乾燥が遅く、フルカラーの画像を形成するには不十分であった。乾燥性を解決するために、インクの溶剤として揮発性の有機溶剤を用いる方法が行われてきたが、急速に乾燥させるためにはメチルエチルケトン及びエタノールなど高度に引火性があり、さらに揮発性の高い溶剤を用いる必要があった。
これらの問題点を解決するために、インク溶媒の揮発ではなく放射線によって硬化し固着するインクジェッ用インクが開示されている(例えば、特許文献2参照)が、着色成分として顔料分散物を用いているために、顔料の凝集によりノズルが目詰りし、安定してインクを吐出させることが困難であった。また、着色剤に顔料を用いると透明性が劣り、色調が不十分であるために写真画質を得ることが困難である。その問題を解決する手段として、着色剤に染料を用いた紫外線硬化型インクが開示されている(例えば、特許文献3参照)が、染料の添加により硬化性が低下する場合が多いために、高エネルギーの紫外線照射や重合開始剤の添加量を多くする必要があり、インクの保存安定性が低下したり、長期の光暴露の環境で画像が変色したり、退色しやすいといった問題点があった。更に、シリカゲルなどの無機微粒子を受像層に有する被記録材を用いた場合には、環境中の活性ガス(SOx、NOx、オゾン等)に対して画像保存性が著しく悪いという欠点を有していた。
一方、脂環式エーテル基を含むモノマーのカチオン重合(開環重合)性の水性インクが開示されている(例えば、特許文献4参照)が、水を含有するために乾燥時間がかかったり、着色成分として顔料を用いているために、色調が不十分であるなどの問題点を有している。染料を着色剤とする溶剤系のカチオン重合(開環重合)性のインクが開示されている(例えば、特許文献5参照)が、インクジェット印字を行うには、ノズルの目詰まりを抑制するために、低揮発性の溶剤を多量に混合する必要があるため、インク吸収性のない被記録材を用いた場合には、べた付きや密着不良などの問題点がある。さらには、露光条件が明らかではなく、硬化時の染料の退色については具体的には全く示されていない。
【0003】
【特許文献1】
特表2001−512777号公報(第1〜3頁、第11〜15頁)
【特許文献2】
特開平5−214279号公報(第1頁、第4〜5頁)
【特許文献3】
米国特許第4303924号明細書(全頁)
【特許文献4】
米国特許第6232361B1号明細書(全頁)
【特許文献5】
特開平10−324836号公報(全頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、従来の紙に加え、プラスチックや金属など非吸水性の被記録材に対しても高品位な印字が可能で、かつ、インクの保存安定性、放射線硬化性、耐水性、耐光性、オゾン耐性にも優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 開環重合性の2官能モノマー、開環重合性の3官能以上のモノマーおよび油溶性染料を含有し、放射線により硬化可能なインクであり、該油溶性染料がインク中に溶解していることを特徴とする(好ましくはインクジェット記録用)インク組成物。
<2> 全モノマー成分を100としたとき、単官能モノマーの含量が0〜20質量%、粘度50mPa.s以下の2官能以上のモノマーの含量が30〜95質量%、粘度が50mPa.sより大きな3官能以上のモノマーの含量が5〜70質量%である前記<1>記載のインク組成物。
<3> 有機溶剤(好ましくは低沸点有機溶剤)が0〜30質量%の前記<1>または<2>記載のインク組成物。
<4> 光重合開始剤を含有し、開環重合により硬化することを特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載のインク組成物。
<5> 放射線が紫外線であることを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載のインク組成物。
<6> 油溶性染料の酸化電位が1.0V(対SCE)よりも貴であることを特徴とする前記<1>〜<5>のいずれかに記載のインクジェットインク組成物。
<7> 水の含有量が5%以下であることを特徴とする前記<1>〜<6>のいずれかに記載のインク組成物。
<8> 油溶性染料が一般式(I)、一般式(A−I)、一般式(Y−I)から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする前記<1>〜<7>のいずれかに記載のインク組成物。
【0006】
【化1】
【0007】
一般式(I)中:
Qは一般式(I)で表わされる化合物が可視域及び/又は近赤外域の光を吸収するために必要な原子団を表し、Aは−NR5R6又はヒドロキシ基を表し、R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、B1は=C(R3)−又は=N−を表し、B2は−C(R4)=又は−N=を表し、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表わす。R1とR2、R1とR5、R5とR6、R3とR5及びR3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
【0008】
【化2】
【0009】
一般式(A−I)中:
X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、−CONR1R2、−CO2R1およびスルホ基から選択される基を表す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。ただしR1、R2の両方が水素原子であることはない。 Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
Y1、Y2、Y3およびY4は、それぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。
a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表し、それぞれ独立に、0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上16以下である。
一般式(Y−1) A−N=N−B
一般式(Y−I)中:A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。
<9> 前記<8>に記載のインク組成物であって、一般式(I)の染料を含むマゼンタインク、一般式(A−I)の染料を含むシアンインク、一般式(Y−I)の染料を含むイエローインクの3色のインクを含むインクジェット記録用インク組成物のインクセット。
<10> 前記<1>〜<8>のいずれかに記載のインクジェット記録用インク組成物を用いて記録を行い、放射線の照射により硬化させることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0010】
【発明の実施の形態】
(インクジェット用インク)
本発明の放射線硬化型インクジェット用インクは、モノマーと油溶性染料を含有する組成物であり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
本発明においてモノマーの重合を進行させるための放射線としてはα線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などを使用することができる。これらのうち、紫外線、可視光線を用いることがコスト及び安全性の点から好ましく、紫外線を用いることが更に好ましい。
放射線として紫外線、可視光線などを使用する場合は、重合を開始するための光重合開始剤が併用される。したがって本発明の他の構成にかかる放射線硬化性インクは、モノマー類の重合を開始するための光重合開始剤を含有するものである。
【0011】
−モノマー−
本発明において用いられるモノマーは、紫外線、熱または電子線等のエネルギー付与によって固体化しうる開環重合性基(以後、重合性基とも記す)を有する化合物である。モノマーは2官能の化合物と3官能以上の化合物の使用が必須であり、粘度調整や架橋密度の調整、硬化後の物性制御(強度、接着性など)のために単官能の化合物(以後、単官能モノマーと記す)を併用しても良い。
【0012】
重合性基としては、エポキシ、環状ラクトン、環状カーボネート、オキセタン、環状アミン、環状イミノエーテルが挙げられ、中でもエポキシ、オキセタン、環状イミノエーテルが好ましく、エポキシ、オキセタンが更に好ましく、エポキシ、オキセタンが特に好ましい。
【0013】
インクジェット記録を行う上で重要な液物性は粘度であり、本発明ではインクの粘度を制御する上でモノマーの粘度が重要である。インクの好ましい粘度は印字する装置にも依存するが、一般的には、8〜300mPa・sが好ましく、10〜200mPa・sがより好ましく、20〜150mPa・sが更に好ましく、20〜100mPa・sが特に好ましい。油溶性染料や重合開始剤を添加すると粘度が増加するので、モノマー混合物の好ましい粘度は、6〜300mPa・sが好ましく、8〜200mPa・sがより好ましく、18〜150mPa・sが更に好ましく、18〜100mPa・sが特に好ましい。ここで粘度は25℃の値であり、特に断りがない場合は25℃での値とする。
また、インクジェット記録装置を加熱するなどの場合で吐出温度が室温と異なる場合、吐出温度で上記の粘度となるように調製してもよい。
【0014】
インクの硬化性は分子中に重合性基の数が多いほうが良いが、一般に多官能なモノマーほど粘度が高くなる。粘度低下のために重合基のない不揮発性の低粘度の液状化合物を加えると硬化後にべたつく、非吸収性媒体との密着が悪いなどの問題点を有することから、インクの粘度低下のための液状化合物は重合性基を有することが好ましい。
【0015】
本発明のインクに用いる開環重合性のモノマーは、A)2官能のモノマー(以下、モノマーAということがある。好ましくは該モノマーの粘度が50mPa.s以下である低粘度のもの。)と、B)3官能以上のモノマー(以下、モノマーBということがある。好ましくは該モノマーの粘度が50mPa.sより大きなもの。)とを含んでおり、場合によって、C)単官能のモノマー(以下、モノマーCということがある)を含んでもよい。
モノマーAは、2官能であり、粘度は50mPa.s以下が好ましく、40mPa.s以下がより好ましく、30mPa.s以下が更に好ましく、20mPa.s以下が特に好ましい。モノマー成分の合計を100としたとき、モノマーAの含有量は、30〜95質量%が好ましく、40〜90質量%がより好ましく、50〜90質量%が更に好ましく、50から80質量%が特に好ましい。モノマーAは1種類でも2種類以上の混合物であっても良い。
モノマーBは、3官能〜10官能が好ましく、3官能〜6官能が特に好ましい。粘度は50mPa.sより大きいことが好ましく、51〜20000mPa. sが好ましく、51〜10000mPa.sがより好ましく、51〜7000mPa.sが更に好ましく、51〜5000mPa.sが特に好ましい。モノマーBの含有量は、5〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%が更に好ましく、20から50質量%が特に好ましい。モノマーBは1種類でも2種類以上の混合物であっても良い。
モノマーCは、0〜20質量%の範囲で添加するのが好ましい。
【0016】
以下に本発明に使用できる開環重合性のモノマー(モノマーA、モノマーB、モノマーC)の例を挙げる。
エポキシ化合物としては、エチレンオキシド構造や脂環式エポキシド構造(シクロヘキセンオキシド、あるいはシクロペンテンオキシドなど)を分子構造中に含有するが、脂環式エポキシド構造をもつ化合物が好ましい。
【0017】
エチレンオキシド構造のエポキシ化合物の例としては、脂肪族エポキシ化合物やビスフェノール型エポキシ化合物等が挙げられる。脂肪族エポキシ化合物としては、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−800シリーズ)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−900シリーズ)、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(デナコールEX−211)、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル(デナコールEX−321)(以上ナガセ化成工業社製)等が、またビスフェノール型エポキシ化合物としては、エピコート827、エピコート828、エピコート834(以上油化シェルエポキシ社製)等を挙げることができる。またUVR−6200、UVR−6216(UCC社製)などのようなエポキシ化炭化水素類を使用することも出来る。
【0018】
脂環式エポキシド構造のエポキシ化合物の例としては、ジシクロペンタジエンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジ(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル)メチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレン−1,2−ジ(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボン酸)エステル、UVR−6110、UVR−6199(以上UCC社製)、セロキサイド2021、セロキサイド2080シリーズ(2081、2083、2085など)、セロキサイド4000、セロキサイド3000、エポリードGT−300シリーズ、エポリードGT−400シリーズ、EHPE−3150、ETHB、CHXO(以上ダイセル化学社製)等を使用することができる。
【0019】
オキセタン化合物の具体例としては、例えば、3−エチル−3−メトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−エトキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ブトキシメチルオキセタン、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アリルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシ−3´−フェノキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2´−ヒドロキシ−3´−ブトキシプロピル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−[2´−(2´´−エトキシエチル)オキシメチル]オキセタン、3−エチル−3−(2´−ブトキシエチル)オキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ベンジルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(p−tert−ブチルベンジルオキシメチル)オキセタン、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル、OXT−121、OXT−221(以上東亞合成化学工業製)などを挙げることができる。
前記の、モノマーA+モノマーB+モノマーCの含有量は、モノマー全体の50〜99質量%の範囲が好ましく、60〜98質量%がより好ましく、70〜95質量%が特に好ましい。
【0020】
前記開環重合性のモノマー以外に通常の重合性モノマーを含んでいてもよい。その例としては、例えばビニルエーテル化合物が挙げられ、その具体例としては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、1,9−ノナンジオールモノビニルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル,トリエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキシル−1,4−ジメチロールモノビニルエーテル、2−クロルエチルビニルエーテル、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,9−ノナンジオールジビニルエーテル、シクロヘキシル1,4−ジメチロールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等の反応性ビニルエーテル単量体、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール等のポリオール類とトリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソポロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の有機ポリイソシアネート類と水酸基含有ビニルエーテル類(例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、1,4−ブタンジオールモノビニルエーテル、シクロヘキシル−1,4−ジメチロールモノビニルエーテル等)の反応物であるウレタンビニルエーテル、前記、水酸基含有ビニルエーテル類とポリカルボン酸クロライド類(例えば、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、テトラヒドロフタル酸ジクロライド等)の反応物であるポリエステルポリビニルエーテル等の反応性ビニルエーテルオリゴマー等を挙げることができる。
【0021】
前記モノマーは本発明の効果が得られるものであれば何れでも良いが、安全性の高いものから選択されることが更に好ましい。安全性が高いモノマーとはPII(皮膚刺激性)の値が小さいものであり、PIIが4.0以下のものが好ましく、3.0以下がより好ましく、2.0以下が更に好ましく、1.0以下がより好ましく、0.5以下が特に好ましい。
【0022】
−光重合開始剤および増感剤−
光重合開始剤としては、光により発生した活性種が前記モノマーの開環重合反応を開始するものであれば特に制限はない。
【0023】
光重合開始剤としてはポリアリールスルホニウム塩(トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロフォスフェート、UVE−1014(ゼネラルエレクトリック社製)など)、ポリアリールヨードニウム塩(ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフィニル)ヨードニウム=テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなど)、鉄アレーン錯体(イルガキュア261(チバスペシャルティケミカルズ社製)など)、スルホン誘導体(β―ケトスルホン、ジスルホンなど)などが挙げられ、ポリアリールスルホニウム塩、ポリアリールヨードニウム塩、鉄アレーン錯体が好ましい。
さらに光重合開始剤の例としては、加藤清視著「紫外線硬化システム」(株式会社総合技術センター発行:平成元年)の第65〜148頁に記載されている光重合開始剤などを挙げることができる。
これらの光重合開始剤は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、増感剤と併用しても良い。
【0024】
また、光重合開始剤は、70℃まで熱分解を起こさないものであることが好ましい。70℃以下で熱分解を起こす開始剤を用いると、製品保存上問題があるため好ましくない。
これらの光重合開始剤の使用量(モノマーに対する)は特に制限されていないが、0.5〜20質量%が好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、3〜10質量%が特に好ましい。0.5質量%未満では硬化しないか硬化時間が遅く、20質量%を越えると溶解経時で析出や分離が生じたり、硬化後のインクの強度や擦り耐性などの性能が悪化したりする場合があるので好ましくない。
【0025】
増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるものであり、三重項増感剤、電子移動増感剤、レドックス増感剤など従来公知のものが使用できる。
光増感剤は、紫外線の長波長域、例えば300nm以上の長波長域に特性吸収を有するものが好ましい。増感剤の例としては、ベンゾフェノン系、チオキサントン系が好ましくい。例えばチオキサントン系としては、KAYACUREシリーズよりITX、QTX、CPTX、DETX−S(商品名:日本化薬社製)等が挙げられる。
増感剤の使用量(モノマーに対する)は、通常0〜10質量%であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%が特に好ましい。光開始剤と増感剤の選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用する紫外線硬化モノマー、使用装置によって適宜選定すればよい。
【0026】
光重合開始剤および増感剤の例としては、島健太郎「新UV・EB硬化技術と応用展開」(株式会社シーエムシー発行:1999年)の第69〜78頁に記載されている化合物などを挙げることができる。
【0027】
紫外線や可視光線を照射する光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプなどが使用できる。
【0028】
−油溶性染料−
本発明のインク組成物において使用する油溶性染料は、退色、特にオゾンなどの酸化性物質に対する耐性を向上させるために、酸化電位が高いことが望ましい。油溶性染料の酸化電位は1.0V(vs SCE)よりも高いことが望ましい。酸化電位は高いほうが好ましく、酸化電位が1.1V(vs SCE)よりも高いものがより好ましく、1.2V(vs SCE)より高いものが更に好ましく、1.3V(vs SCE)より高いものが特に好ましい。
【0029】
酸化電位の値(Eox)の測定方法に関しては、例えばP.Delahay著”NewInstrumental Methods in Electrochemistry”(1954年 Interscience Publishers社刊)やA.J.Bard他著”Electrochemical Methods”(1980年 JohnWiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著”電気化学測定法”(1984年 技報堂出版社刊)に記載されている。
具体的に酸化電位は、過塩素酸ナトリウムや過塩素酸テトラプロピルアンモニウムといった支持電解質を含むジメチルホルムアミドやアセトニトリルのような溶剤中に、被験試料を1×10−4〜1×10−6モル/リットル溶解して、サイクリックボルタンメトリーや直流ポーラログラフィーを用いてSCE(飽和カロメル電極)に対する値として測定する。この値は、液間電位差や試料溶液の液抵抗などの影響で、数10ミルボルト程度偏位することがあるが、標準試料(例えばハイドロキノン)を入れて電位の再現性を保証することができる。
【0030】
本発明では、電位を一義的に規定するため0.1moldm−3の過塩素酸テトラプロピルアンモニウムを支持電解質として含むジメチルホルムアミド中(染料の濃度は0.001moldm−3)で直流ポーラログラフィーにより測定した値(vs SCE)を染料の酸化電位とする。
Eoxの値は試料から電極への電子の移りやすさを表し、その値が大きい(酸化電位が高い)ほど試料から電極への電子が移りにくい、言い換えれば、酸化されにくいことを表す。化合物の構造との関連では、電子求引性基を導入することにより酸化電位はより高くなり、電子供与性基を導入することにより酸化電位はより低くなる。従って、置換基の電子求引性や電子供与性の尺度であるハメットの置換基定数σp値を用いれば、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のようにσp値が大きい置換基を導入することにより酸化電位をより高くすることができると言える。
【0031】
本発明に使用可能な油溶性染料のうちマゼンタ染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等を挙げることができる。
【0032】
中でも、一般式(I)で表わされる化合物(以下、化合物(I)とも記す)が好ましい。
Qは化合物(I)が可視域及び/又は近赤外域の光を吸収するために必要な原子団を表し、好ましくはジアゾ成分の残基を表す。Aは−NR5R6又はヒドロキシ基を表し、好ましくは−NR5R6を表す。R5及びR6はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基又は複素環基を表し、B1は=C(R3)−又は=N−を表し、B2は−C(R4)=又は−N=を表し、R1、R2、R3 及びR4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を表わす。R1とR2、R1とR5、R5とR6、R3とR5及びR3とR4は互いに結合して環を形成してもよい。
【0033】
R1、R2、R3及びR4の置換基としては、特に制限されないが、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、ヘテロ環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基、アルキルまたはアリールスルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、アルキルまたはアリールスルフィニル基、ヘテロ環スルフィニル基、スルファモイル基等が挙げられ、各基は更に置換されていてもよい。
【0034】
一般式(I)で表わされる化合物のうち、以下の一般式(I−1)で表されるものが好ましい。
【0035】
【化3】
【0036】
一般式(I−1)において、R1、R2及びR4は一般式(I)におけると同義である。Dは5員ヘテロ環基を表す。該5員ヘテロ環のヘテロ原子の例には、N、O、およびSを挙げることができる。好ましくは含窒素5員ヘテロ環であり、ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。
Dの好ましいヘテロ環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環を挙げる事ができる。各ヘテロ環基は更に置換基を有していてもよい。中でも下記一般式(a)から(f)で表されるピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環が好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】
上記一般式(a)から(f)において、R7からR20は水素原子又は置換基を表し、該置換基としてはR1、R2又はR4で説明した置換基と同じ置換基が挙げられる。
一般式(a)から(f)のうち、好ましいのは一般式(a)、(b)で表されるピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましいのは一般式(a)で表されるピラゾール環である。
【0039】
R1、R2で表される好ましい置換基は、水素原子、アルキル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、シアノ基を挙げることができる。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0040】
R4で表される好ましい置換基としては水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基が挙げられ、より好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルキル基またはアリール基または複素環基で置換されたアミノ基、またはアシルアミノ基であり、中でも水素原子、アリールアミノ基、アミド基が最も好ましい。各基は更に置換基を有していてもよい。
【0041】
R5、R6は、好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基である。各基は更に置換基を有していてもよい。ただしR5、R6の何れかが水素原子でないことが好ましい。
【0042】
R1とR5、あるいはR5とR6が結合して5〜6員環を形成してもよい。
D、R1、R2、R4、R5、R6で表される各置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記R1、R2、R4で挙げた置換基を挙げることができる。
【0043】
本明細書において、脂肪族基はアルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基および置換アラルキル基を意味する。脂肪族基は分岐を有していてもよく、また環を形成していてもよい。脂肪族基の炭素原子数は1〜20であることが好ましく、1〜16であることがさらに好ましい。アラルキル基および置換アラルキル基のアリール部分はフェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。
前記脂肪族基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル等、シクロヘキシル基、ベンジル基、2−フェネチル基、ビニル基、およびアリル基を挙げることができる。
【0044】
本明細書において、芳香族基はアリール基および置換アリール基を意味する。
アリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルが特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
前記芳香族基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル等が含まれる。
【0045】
ヘテロ環基には、置換基を有するヘテロ環基および無置換のヘテロ環基が含まれる。ヘテロ環に脂肪族環、芳香族環または他のヘテロ環が縮合していてもよい。前記ヘテロ環基としては、5員または6員環のヘテロ環基が好ましい。前記置換基の例には、脂肪族基、ハロゲン原子、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アシルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基などが含まれる。
前記ヘテロ環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基および2−フリル基が含まれる。
【0046】
アルキルおよびアリールスルホニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルホニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルホニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルホニル基の例としては、それぞれメタンスルホニル基およびフェニルスルホニル基を挙げることができる。
【0047】
アルキルおよびアリールスルフィニル基には、置換基を有するアルキルおよびアリールスルフィニル基、無置換のアルキルおよびアリールスルフィニル基が含まれる。アルキルおよびアリールスルフィニル基の例としては、それぞれメタンスルフィニル基およびフェニルスルフィニル基を挙げることができる。
【0048】
アシル基には、置換基を有するアシル基および無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜12のアシル基が好ましい。前記アシル基の例には、アセチル基およびベンゾイル基が含まれる。
【0049】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子が挙げられる。
【0050】
アルキル基またはアリール基またはヘテロ環基で置換されたアミノ基には、アルキル基、アリール基及びヘテロ環基から選択された1種又は2種の基で置換されたアミノ基が含まれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基はさらに置換基を有していてもよい。無置換のアミノ基は含まれない。アルキルアミノ基としては、炭素原子数1〜6のアルキルアミノ基が好ましい。前記アルキルアミノ基の例には、メチルアミノ基およびジエチルアミノ基が含まれる。
アリールアミノ基には、置換基を有するアリールアミノ基および無置換のアリールアミノ基が含まれる。前記アリールアミノ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールアミノ基が好ましい。前記置換基の例としては、ハロゲン原子等が含まれる。
前記アリールアミノ基の例としては、アニリノ基および2−クロロアニリノ基が含まれる。
【0051】
アルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基および無置換のアルコキシ基が含まれる。前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜12のアルコキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が含まれる。前記アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基等が含まれる。
【0052】
アリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基および無置換のアリールオキシ基が含まれる。前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜12のアリールオキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルコキシ基等が含まれる。前記アリールオキシ基の例には、フェノキシ基、p−メトキシフェノキシ基およびo−メトキシフェノキシ基が含まれる。
【0053】
シリルオキシ基としては、炭素原子数が1〜12の脂肪族基、芳香族基が置換したシリルオキシ基が好ましい。前記シリルオキシ基の例には、トリメチルシリルオキシ、ジフェニルメチルシリルオキシが含まれる。
【0054】
ヘテロ環オキシ基には、置換基を有するヘテロ環オキシ基および無置換のヘテロ環オキシ基が含まれる。前記ヘテロ環オキシ基としては、炭素原子数が2〜12のヘテロ環オキシ基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基等が含まれる。前記ヘテロ環オキシ基の例には、3−ピリジルオキシ基、3−チエニルオキシ基が含まれる。
【0055】
アルコキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルオキシ基および無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、イソプロポキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0056】
アリールオキシカルボニルオキシ基には、置換基を有するアリールオキシカルボニルオキシ基および無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基が含まれる。
【0057】
アシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基および無置換基のアシルアミノ基が含まれる。前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアシルアミノ基が好ましい。
前記アシルアミノ基の例には、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、N−フェニルアセチルアミノ等が含まれる。
【0058】
ウレイド基には、置換基を有するウレイド基および無置換のウレイド基が含まれる。前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜12のウレイド基が好ましい。前記置換基の例には、アルキル基およびアリール基が含まれる。前記ウレイド基の例には、3−メチルウレイド基、3,3−ジメチルウレイド基および3−フェニルウレイド基が含まれる。
【0059】
スルファモイルアミノ基には、置換基を有するスルファモイルアミノ基および無置換のスルファモイルアミノ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイルアミノ基の例には、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ基が含まれる。
【0060】
アルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基および無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アルコキシカルボニルアミノ基の例には、エトキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0061】
アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基には、置換基を有するアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、および無置換のアルキルまたはアリールスルホニルアミノ基が含まれる。前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のスルホニルアミノ基が好ましい。前記スルホニルアミノ基の例には、メタンスルホニルアミノ基、N−フェニルメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基等が含まれる。
【0062】
カルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基および無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイル基の例には、メチルカルバモイル基およびジメチルカルバモイル基が含まれる。
【0063】
スルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基および無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記スルファモイル基の例には、ジメチルスルファモイル基およびジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が含まれる。
【0064】
アルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基および無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルコキシカルボニル基が好ましい。前記アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル基およびエトキシカルボニル基が含まれる。
【0065】
アシルオキシ基には、置換基を有するアシルオキシ基および無置換のアシルオキシ基が含まれる。前記アシルオキシ基としては、炭素原子数1〜12のアシルオキシ基が好ましい。前記アシルオキシ基の例には、アセトキシ基およびベンゾイルオキシ基が含まれる。
【0066】
カルバモイルオキシ基には、置換基を有するカルバモイルオキシ基および無置換のカルバモイルオキシ基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。前記カルバモイルオキシ基の例には、N−メチルカルバモイルオキシ基が含まれる。
【0067】
アリールオキシカルボニル基には、置換基を有するアリールオキシカルボニル基および無置換のアリールオキシカルボニル基が含まれる。前記アリールオキシカルボニル基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニル基が好ましい。前記アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル基が含まれる。
【0068】
アリールオキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアリールオキシカボニルアミノ基および無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が含まれる。前記アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。前記アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基が含まれる。
【0069】
アルキルまたはアリールまたはヘテロ環チオ基には、置換基を有するアルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基と、無置換のアルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基が含まれる。前記アルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基としては、炭素原子数が1から12のものが好ましい。前記アルキル、アリール、およびヘテロ環チオ基の例には、メチルチオ基、フェニルチオ基、2−ピリジルチオ基が含まれる。
【0070】
ヘテロ環オキシカルボニル基には、置換基を有するヘテロ環オキシカボニル基および無置換のヘテロ環オキシカルボニル基が含まれる。前記ヘテロ環オキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜12のヘテロ環オキシカルボニル基が好ましい。前記ヘテロ環オキシカルボニル基の例には、2−ピリジルオキシカルボニル基が含まれる。
【0071】
ヘテロ環スルホニルアミノ基には、置換基を有するヘテロ環スルホニルアミノ基および無置換のヘテロ環スルホニルアミノ基が含まれる。前記ヘテロ環スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルホニルアミノ基が好ましい。前記ヘテロ環スルホニルアミノ基の例には、2−チオフェンスルホニルアミノ基、3−ピリジンスルホニルアミノ基が含まれる。
【0072】
ヘテロ環スルホニル基には、置換基を有するヘテロ環スルホニル基および無置換のヘテロ環スルホニル基が含まれる。前記ヘテロ環スルホニル基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルホニル基が好ましい。前記ヘテロ環スルホニル基の例には、2−チオフェンスルホニル基、3−ピリジンスルホニル基が含まれる。
【0073】
ヘテロ環スルフィニル基には、置換基を有するヘテロ環スルフィニル基および無置換のヘテロ環スルフィニル基が含まれる。前記ヘテロ環スルフィニル基としては、炭素原子数が1〜12のヘテロ環スルフィニル基が好ましい。前記ヘテロ環スルフィニル基の例には、4−ピリジンスルフィニル基が含まれる。
【0074】
本発明において、特に好ましい構造は、下記一般式(I−1a)で表されるものである。
【0075】
【化5】
【0076】
一般式(I−1a)中、Z1はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z1はσp値が0.30以上の電子吸引性基であるのが好ましく、0.45以上の電子吸引性基が更に好ましく、0.60以上の電子吸引性基が特に好ましいが、1.0を超えないことが望ましい。好ましい具体的な置換基については後述する電子吸引性置換基を挙げることができるが、中でも、炭素数2〜12のアシル基、炭素数2〜12のアルキルオキシカルボニル基、ニトロ基、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基、炭素数1〜12のカルバモイル基及び炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基が好ましい。特に好ましいものは、シアノ基、炭素数1〜12のアルキルスルホニル基、炭素数6〜18のアリールスルホニル基であり、最も好ましいものはシアノ基である。
Z2は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。
Z3は水素原子、脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基を表す。中でもZ3 は5〜8員環を形成するのに必要な非金属原子群からなる基が好ましい。前記5〜8員環は置換されていてもよいし、飽和環であっても不飽和結合を有していてもよい。その中でも特に芳香族基、ヘテロ環基が好ましい。好ましい非金属原子としては、窒素原子、酸素原子、イオウ原子または炭素原子が挙げられる。そのような環構造の具体例としては、例えばベンゼン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロヘキセン環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、トリアジン環、イミダゾール環,ベンゾイミダゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサン環、スルホラン環およびチアン環等が挙げられる。
【0077】
R1、R2、R5、R6は一般式(I−1)と同義である。
R41、R42は各々独立に水素原子または置換基を表し、置換基としては脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、スルファモイル基が挙げられる。中でも水素原子、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アルキル及びアリールスルホニル基が好ましく、水素原子、芳香族基、ヘテロ環基が特に好ましい。
【0078】
一般式(I−1a)で説明した各基は更に置換基を有していてもよい。これらの各基が更に置換基を有する場合、該置換基としては、一般式(I−1)で説明した置換基、R1、R2、R4で例示した基が挙げられる。
【0079】
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について説明する。ハメット則はベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年にL. P. Hammett により提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J. A. Dean編、「Lange’sHandbook of Chemistry 」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。尚、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σp値により限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことはいうまでもない。また、本発明の一般式(I−1)乃至(I−1a)の中には、ベンゼン誘導体ではない物も含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本発明において、σp値をこのような意味で使用する。
【0080】
ハメット置換基定数σp値が0.60以上の電子吸引性基としては、シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えばメタンスルホニル基、アリールスルホニル基(例えばベンゼンスルホニル基)を例として挙げることができる。
ハメットσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えアシル基(例えばアセチル基)、アルコキシカルボニル基(例えばドデシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル)、アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル)、アリールスルフィニル基(例えばフェニルスルフィニル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル)、ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル)を挙げることができる。
ハメット置換基定数σp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加え、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ)、ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ)、スルホニルオキシ基(例えばメチルスルホニルオキシ基)、ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ)、2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル、ペンタクロロフェニル)、およびヘテロ環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル、2−ベンゾチアゾリル、1−フェニルー2−ベンズイミダゾリル)を挙げることができる。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、上記に加え、ハロゲン原子がなどが挙げられる。
【0081】
前記一般式(I−1)で表されるアゾ色素として特に好ましい置換基の組み合わせは、R1、R2は各々好ましくは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルバモイル基、アルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基であり、さらに好ましくは水素原子、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシ基である。
R4として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシル基、アミノ基、アミド基であり、さらに好ましくは水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、アミド基であり、もっとも好ましくは水素原子、アミノ基、アミド基である。
Dのうち、好ましくはピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環であり、さらにはピラゾール環、イソチアゾール環であり、最も好ましくはピラゾール環である。
R5およびR6として好ましくは、水素原子、アリール基、ヘテロ環基であり、R5およびR6が共に水素原子ではないことである。
【0082】
尚、前記一般式(I−1)で表される化合物の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0083】
前記一般式(I−1)で表されるアゾ色素の具体例を以下に示すが、本発明に用いられるアゾ色素は、下記の例に限定されるものではない。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】
【表4】
【0088】
【表5】
【0089】
【表6】
【0090】
【表7】
【0091】
【表8】
【0092】
【表9】
【0093】
【表10】
【0094】
【表11】
【0095】
【表12】
【0096】
本発明に使用可能な油溶性染料のうちシアン染料としては、任意のものを使用することができる。例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料あるいはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。
中でも、一般式(A−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。
【0097】
上記一般式(A−I)において、X1、X2、X3およびX4は、それぞれ独立に、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR1R2、−CONR1R2、−CO2R1およびスルホ基から選択される基を表す。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、特に置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
X1、X2、X3およびX4は、各々−SO2−Z、−SO2NR1R2である場合が好ましい。
【0098】
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表し、特に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。ただし、R1およびR2の両方が水素原子であることはない。
上記の置換もしくは無置換の、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、またはアリール基等の具体例は後掲の(置換基の具体例)の項に記載のものが挙げられる。
【0099】
R1、R2およびZが表すヘテロ環基としては、5員または6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環であっても非芳香族ヘテロ環であっても良い。以下に、R1、R2およびZで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。
【0100】
(ヘテロ環基の具体例)
ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなど。
中でも、芳香族ヘテロ環基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。それらはさらに後述する置換基を有していてもよい。
【0101】
Y1、Y2、Y3およびY4は、各々独立に、水素原子または一価の置換基を表す。Y1、Y2、Y3およびY4で表される一価の置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基、カルボキシル基、またはスルホ基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
【0102】
なかでも、Y1、Y2、Y3およびY4としては、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
【0103】
Z、R1、R2、Y1、Y2、Y3およびY4が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下のような置換基を更に有してもよい。
【0104】
(置換基の具体例)
ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、炭素数1〜12の直鎖あるいは分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18のアラルキル基、炭素数2〜12のアルケニル基、炭素数2〜12の直鎖あるいは分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖あるいは分岐鎖シクロアルケニル基など(例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、2−メタンスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、および4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0105】
a1〜a4、b1〜b4は、X1〜X4、Y1〜Y4の数を表わし、それぞれ独立に0〜4の整数である。
また、既に定義したことから当然に、a1、b1は、a1+b1=4の関係を満たす、それぞれ独立の0〜4の整数である。ただし、a1〜a4の総和は2以上16以下とする。特に好ましいのは、a1が1または2であり、b1が3または2である組み合わせであり、その中でもa1が1であり、b1が3である組み合わせが最も好ましい。
【0106】
a2およびb2、a3およびb3、a4およびb4の各組み合わせにおいても、a1およびb1の場合と同様の関係であり、好ましい組み合わせも同様である。
【0107】
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表す。
【0108】
好ましいMついては、水素原子の他、金属原子として、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が、酸化物として、VO、GeO等が、水酸化物として、Si(OH)2、Cr(OH)2、Sn(OH)2等が、さらに、ハロゲン化物として、AlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
なかでも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0109】
また、L(2価の連結基)を介してPc(フタロシアニン環)が2量体(例えば、Pc−M−L−M−Pc)または3量体を形成してもよく、その時のMはそれぞれ同一であっても異なるものであってもよい。
【0110】
Lで表される2価の連結基は、オキシ基−O−、チオ基−S−、カルボニル基−CO−、スルホニル基−SO2−、イミノ基−NH−、またはメチレン基−CH2−が好ましい。
【0111】
一般式(A−I)で表される油溶性染料として特に好ましい組み合わせは以下の通りである。
【0112】
X1〜X4は、それぞれ独立に、−SO2−Zまたは−SO2NR1R2であることが特に好ましい。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
Y1〜Y4は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、全てが水素原子である場合が最も好ましい。
a1〜a4は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特に1であることが好ましい。b1〜b4は、それぞれ独立に、3または2であることが好ましく、特に3であることが好ましい。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物またはハロゲン化物を表し、特にCu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでも特に特にCuが最も好ましい。
また、一般式(A−I)で表される油溶性染料は、イオン性親水性基を含むことが好ましく、油溶性染料一分子中、イオン性親水性基を少なくとも4個以上有するものがより好ましく、特に、イオン性親水性基がスルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を少なくとも4個以上有するものが最も好ましい。
【0113】
一般式(A−I)で表される化合物の好ましい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0114】
一般式(A−I)で表される油溶性染料の中でも、下記一般式(A−II)で表される構造の油溶性染料が更に好ましい。以下に本発明の一般式(A−II)で表される油溶性染料について詳しく述べる。
【0115】
【化6】
【0116】
上記一般式(A−II)において、X11〜X14、Y11〜Y18は、一般式(A−I)の中のX1〜X4、Y1〜Y4とそれぞれ同義であり、好ましい例も同じである。また、Mは一般式(I)中のMと同義であり、好ましい例も同様である。
【0117】
一般式(A−II)中、a11〜a14はそれぞれ独立に1または2の整数を表し、特に好ましいのは4≦a11+a12+a13+a14≦6を満たすことであり、その中でも特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。
【0118】
一般式(A−II)で表される油溶性染料の中でも、特に好ましい置換基の組み合わせは、以下の通りである。
【0119】
X11〜X14は、それぞれ独立に、−SO2−Zまたは−SO2NR1R2が特に好ましい。
Zは、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。
R1、R2は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が最も好ましい。ただし、R1、R2が共に水素原子であることはない。
Y11〜Y18は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基またはスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
a11〜a14は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特に全てが1であることが好ましい。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物または金属ハロゲン化物を表し、Cu、Ni、Zn、Alが好ましく、なかでもCuが最も好ましい。
一般式(A−II)で表される油溶性染料がイオン性親水性基を含む場合には、油溶性染料一分子中、イオン性親水性基を少なくとも4個以上有するものがより好ましい。置換基としてのイオン性親水性基には、スルホ基、ホスホノ基、カルボキシル基および4級アンモニウムが含まれる。カルボキシル基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アルカリ金属イオン(例、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルグアニジニウムイオン)が含まれる。中でも、スルホ基およびカルボキシル基が好ましい。さらに、イオン性親水性基がスルホ基であるのが最も好ましい。
【0120】
一般式(A−II)で表される化合物の好ましい基の組み合わせについては、種々の基の少なくとも1つが上記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の基が上記の好ましい基である化合物がより好ましく、全ての基が上記の好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0121】
また、スルフィニル基、スルホニル基、スルファモイル基のような電子吸引性基を、フタロシアニンの各ベンゼン環に少なくとも一つずつ、σp値の合計で1.6以上となるように導入することが好ましい。
【0122】
前記一般式(A−I)および(A−II)で表される油溶性染料の具体例(例示化合物AI−1〜AI−3およびAII−1〜AII−28)を下記に示すが、本発明に用いられる油溶性シアン染料は、下記の例に限定されるものではない。
【0123】
【化7】
【0124】
【化8】
【0125】
【表13】
【0126】
【表14】
【0127】
【表15】
【0128】
【表16】
【0129】
本発明に使用可能な油溶性染料のうち、イエロー染料としては、任意のものを使用することができる。例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
【0130】
中でも、一般式(Y−I)で表される油溶性染料を用いることが好ましい。上記一般式(Y−I)において、A及びBは各々独立に、置換されていてもよい複素環基を表す。前記複素環としては、5員環又は6員環から構成された複素環が好ましく、単環構造であっても、2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよく、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
【0131】
Aで表される複素環としては、5−ピラゾロン、ピラゾール、オキサゾロン、イソオキサゾロン、バルビツール酸、ピリドン、ローダニン、ピラゾリジンジオン、ピラゾロピリドン、メルドラム酸及びこれらの複素環にさらに炭化水素芳香環や複素環が縮環した縮合複素環が好ましい。その中でも、5−ピラゾロン、5−アミノピラゾール、ピリドン、ピラゾロアゾール類が好ましく、5−アミノピラゾール、2−ヒドロキシ−6−ピリドン、ピラゾロトリアゾールが特に好ましい。
【0132】
Bで表される複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが好適に挙げられる。その中でも、ピリジン、キノリン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンゾイソチアゾール、チアジアゾール、ベンゾイソオキサゾールが好ましく、キノリン、チオフェン、ピラゾール、チアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソオキサゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ベンゾチアゾール、チアジアゾールがより好ましく、ピラゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾオキサゾール、イミダゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾールが特に好ましい。
【0133】
前記A及びBに置換する置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルフィニル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基が例として挙げられる。
【0134】
前記一般式(Y−I)で表される染料の中でも、一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)で表される染料がより好ましい。
【0135】
【化9】
【0136】
一般式(Y−II)中:
RY1及びRY3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。RY4は複素環基を表す。
【0137】
【化10】
【0138】
一般式(Y−III)中:
RY5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(RY11 )=を表し、前記RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY6は複素環基を表す。
【0139】
【化11】
【0140】
一般式(Y−IV)中:
RY7及びRY9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。RY8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基)ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。RY10 は複素環基を表す。
【0141】
前記一般式(Y−II)において、RY1及びRY3は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。RY2は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、カルバモイル基、アシル基、アリール基又は複素環基を表す。RY4は複素環基を表す。
【0142】
前記一般式(Y−III)において、RY5は、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アリール基又はイオン性親水性基を表す。Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表し、Zb及びZcは各々独立して、−N=、又はC(RY1 1 )=を表し、前記RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY6は複素環基を表す。
【0143】
一般式(Y−IV)において、RY7及びRY9は各々独立して、水素原子、シアノ基、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、又はイオン性親水性基を表す。RY8は水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、ウレイド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホニル基、アシル基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基)、ヒドロキシ基、又はイオン性親水性基を表す。RY10 は複素環基を表す。
【0144】
前記一般式(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)におけるRY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表す置換基について以下に詳述する。
【0145】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。
前記アルキル基としては、炭素原子数が1〜20のアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、及びイオン性親水性基が挙げられる。
【0146】
前記アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル、及び4−スルホブチルが好適に挙げられる。
【0147】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すシクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。
前記シクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましく、前記置換基の例としては、イオン性親水性基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、例えば、シクロヘキシルが好適に挙げられる。
【0148】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアラルキル基には、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。
前記アラルキル基としては、炭素原子数が7〜20のアラルキル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アラルキル基としては、ベンジル、及び2−フェネチルが好適に挙げられる。
【0149】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、及びRY9が表すアリール基には、置換基を有するアリール基及び無置換のアリール基が含まれる。
前記アリール基としては、炭素原子数が6〜20のアリール基が好ましく、前記置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリール基の例としては、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル、及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが好適に挙げられる。
【0150】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアルキルチオ基には、置換基を有するアルキルチオ基及び無置換のアルキルチオ基が含まれる。
前記アルキルチオ基としては、炭素原子数が1〜20のアルキルチオ基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が挙げられる。
前記アルキルチオ基としては、メチルチオ及びエチルチオが好適に挙げられる。
【0151】
RY1、RY2、RY3、RY5、RY7、RY8及びRY9が表すアリールチオ基には、置換基を有するアリールチオ基及び無置換のアリールチオ基が含まれる。
前記アリールチオ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールチオ基が好ましく、前記置換基の例としては、アルキル基、及びイオン性親水性基が挙げられる。
前記アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基及びp−トリルチオが好適に挙げられる。
【0152】
RY2で表される複素環基は、5員又は6員の複素環が好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。複素環を構成するヘテロ原子としては、窒素原子、硫黄原子、酸素原子が好ましい。また、芳香族複素環であっても非芳香族複素環であってもよい。前記複素環はさらに置換されていてもよく、該置換基の例としては、後述のアリール基の置換基と同じものが好適に挙げられる。好ましい複素環としては、6員の含窒素芳香族複素環が挙げられ、その中でも、トリアジン、ピリミジン、フタラジンが特に好ましい。
【0153】
RY8が表すハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、及び臭素原子が好適に挙げられる。 RY1、RY3、RY5、及びRY8が表すアルコキシ基には、置換基を有するアルコキシ基及び無置換のアルコキシ基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、炭素原子数が1〜20のアルコキシ基が好ましく、前記置換基の例としては、ヒドロキシル基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシが好適に挙げられる。
【0154】
RY8が表すアリールオキシ基には、置換基を有するアリールオキシ基及び無置換のアリールオキシ基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、炭素原子数が6〜20のアリールオキシ基が好ましく、前記置換基の例には、アルコキシ基、及びイオン性親水性基が含まれる。
前記アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ、p−メトキシフェノキシ及びo−メトキシフェノキシが好適に挙げられる。
【0155】
RY8が表すアシルアミノ基には、置換基を有するアシルアミノ基及び無置換のアシルアミノ基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアシルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アシルアミノ基としては、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド及び3、5−ジスルホベンズアミドが好適に挙げられる。
RY8 が表すスルホニルアミノ基には、置換基を有するスルホニルアミノ基及び無置換のスルホニルアミノ基が含まれる。
前記スルホニルアミノ基としては、炭素原子数が1〜20のスルホニルアミノ基が好ましい。
前記スルホニルアミノ基としては、例えば、メチルスルホニルアミノ、及びエチルスルホニルアミノが好適に挙げられる。
【0156】
RY8が表すアルコキシカルボニルアミノ基には、置換基を有するアルコキシカルボニルアミノ基及び無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニルアミノ基としては、エトキシカルボニルアミノが好適に挙げられる。
【0157】
RY8が表すウレイド基には、置換基を有するウレイド基及び無置換のウレイド基が含まれる。
前記ウレイド基としては、炭素原子数が1〜20のウレイド基が好ましく、
前記置換基の例としては、アルキル基及びアリール基が含まれる。
前記ウレイド基としては、例えば、3−メチルウレイド、3、3−ジメチルウレイド及び3−フェニルウレイドが好適に挙げられる。
【0158】
RY7、RY8、RY9が表すアルコキシカルボニル基には、置換基を有するアルコキシカルボニル基及び無置換のアルコキシカルボニル基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、炭素原子数が2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、前記置換基の例には、イオン性親水性基が含まれる。
前記アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル及びエトキシカルボニルが好適に挙げられる。
【0159】
RY2、RY7、RY8、及びRY9が表すカルバモイル基には、置換基を有するカルバモイル基及び無置換のカルバモイル基が含まれる。前記置換基の例にはアルキル基が含まれる。
前記カルバモイル基としては、例えば、メチルカルバモイル基及びジメチルカルバモイル基が好適に挙げられる。
RY8が表すスルファモイル基には、置換基を有するスルファモイル基及び無置換のスルファモイル基が含まれる。前記置換基の例には、アルキル基が含まれる。
前記スルファモイル基としては、例えば、ジメチルスルファモイル基及びジ−(2−ヒドロキシエチル)スルファモイル基が好適に挙げられる。
【0160】
RY8が表すスルホニル基としては、例えば、メタンスルホニル及びフェニルスルホニルが好適に挙げられる。
RY2、RY8が表すアシル基には、置換基を有するアシル基及び無置換のアシル基が含まれる。前記アシル基としては、炭素原子数が1〜20のアシル基が好ましく、前記置換基の例にはイオン性親水性基が含まれる。
前記アシル基としては、アセチル及びベンゾイルが好適に挙げられる。
【0161】
RY8が表すアミノ基には、置換基を有するアミノ基及び無置換のアミノ基が含まれる。置換基の例には、アルキル基、アリール基、複素環基が含まれる。
前記アミノ基としては、メチルアミノ、ジエチルアミノ、アニリノ及び2−クロロアニリノが好適に挙げられる。
【0162】
RY4、RY6、RY10 で表される複素環基は、前記一般式(Y−I)のBで表される置換されていてもよい複素環基と同じであり、好ましい例、さらに好ましい例、特に好ましい例も前記と同様である。
置換基としては、イオン性親水性基、炭素原子数が1〜12のアルキル基、アリール基、アルキル又はアリールチオ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルファモイル基、スルホンアミノ基、カルバモイル基、及びアシルアミノ基等が挙げられ、前記アルキル基及びアリール基等はさらに置換基を有していてもよい。
【0163】
前記一般式(Y−III)において、Zaは−N=、−NH−、又はC(RY11 )=を表す。Zb及びZcは、各々独立して、−N=又はC(RY11 )=を表す。RY11 は、水素原子又は非金属置換基を表す。RY11 が表す非金属置換基としては、シアノ基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルキルチオ基、アリールチオ基、又はイオン性親水性基が好ましい。前記置換基の各々は、RY1が表す各々の置換基と同義であり、好ましい例も同様である。前記一般式(Y−III)に含まれる2つの5員環からなる複素環の骨格例を下記に示す。
【0164】
【化12】
【0165】
上記で説明した各置換基が、さらに置換基を有していてもよい場合の置換基の例としては、前記一般式(Y−I)の複素環A及びBに置換してもよい置換基を挙げることができる。
【0166】
以下に、前記一般式(Y−I)で表される染料の具体例(Y−101〜Y−160)を示すが、本発明は下記の具体例に限定されるものではない。これらの化合物は特開平2−24191号、特開2001−279145号の各公報を参考にして合成できる。
【0167】
【化13】
【0168】
【化14】
【0169】
【化15】
【0170】
【化16】
【0171】
【化17】
【0172】
【化18】
【0173】
【化19】
【0174】
【化20】
【0175】
【化21】
【0176】
【化22】
【0177】
【化23】
【0178】
【化24】
【0179】
前記油溶性染料がモノマーに溶解するのは必須であるが、経時での結晶析出がないことも重要である。一般にモノマーの溶解性パラメーター(以下、SP値という)と油溶性染料のSP値が近い方がよいと言われているが、溶解する分子(本発明では油溶性染料)と溶剤(本発明ではモノマー)の構造に依存する部分があるため、SP値のみで解釈できない場合がある。一般式(Y−I)、(Y−II)、(Y−III)、及び(Y−IV)の油溶性染料の場合、分子体積V値とSP値の2つの物性値を用いることで、溶解性と経時保存安定性に優れることを見出した。
【0180】
SP値は26〜21が好ましく、25〜21がより好ましく、24〜21が更に好ましく、24〜22が特に好ましい。V値は810〜270が好ましく、800〜300がより好ましく、750〜350が更に好ましく、700〜380が特に好ましい。
ここでV値(cm3/mol)、SP値(J0.5 / cm1.5)は、Fedorsの方法により計算した値である。これらの算出方法はPolym.Eng.Sci.の14巻(1974年)147頁に記載されている。
【0181】
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0182】
本発明に使用される油溶性色素のインク組成物における含有量としては、インク組成物に対して0.05〜40質量%が好ましく、0.1〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%が更に好ましく、2〜10質量%が特に好ましい。
【0183】
−その他の成分−
本発明の効果を害しない範囲内において、目的に応じて適宜選択したその他の成分を含んでいてもよい。前記その他の成分としては、例えば、溶剤やポリマー、無機微粒子、表面張力調整剤、貯蔵安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、導電性塩類、pH調整剤等の公知の添加剤が挙げられる。
【0184】
前記溶剤は、インクの極性や、粘度、表面張力、固体成分(油溶性染料など)の溶解性向上、導電性の調整および印字性能の調整などのために使用できる。
前記溶剤としては、水、低沸点有機溶剤、高沸点有機溶媒が挙げられるが、本発明では、有機溶剤(好ましくは低沸点有機溶剤)を用いることが好ましく、実質的には水を含まないことが好ましい。
前記低沸点有機溶剤は沸点が100℃以下の有機溶剤である。インクに用いる素材を混合するときに染料などの固体物質の溶解助剤として使用して混合後に除去する場合には、任意の量を使用することができる。インクの成分として含まれる場合には、環境汚染を考慮すると使用しないことが望ましいが、使用する場合は安全性の高いものを用いることが好ましい。安全性が高い溶剤とは、管理濃度(作業環境評価基準で示される指標)が高い溶剤であり、100ppm以上のものが好ましく、200ppm以上が更に好ましい。例えば、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素などが挙げられ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
【0185】
前記高沸点有機溶媒は沸点が100℃より高い有機溶剤である。硬化後にべたつく、非吸収性媒体との密着が悪いなどの問題点を有することから、使用しないことが望ましいが、使用する場合は必要最小量用いるのが好ましい。高沸点有機溶媒としては例えば、脂肪族カルボン酸のエステル類、リン酸エステル類、炭化水素、ケトン類などが挙げられ、具体的には、フタル酸ジブチル、安息香酸−2−エチルヘキシル、アルキルナフタレン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、目的に応じ、常温で液体、固体の何れのものも使用できる。
【0186】
前記有機溶剤は一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、インク中の使用量は0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましく、0〜10質量%が更に好ましく、実質的に含まないのが特に好ましい。実質的に含まないとは、使用する素材に主要な成分以外、すなわち、不純物として含有されているものであって、意図的に添加しない場合をいう。
【0187】
前記ポリマーは、インクの極性や粘度の調整、油溶性染料の溶解性向上、硬化後のインクの被記録材との密着性、耐光性の調整などのために使用できる。前記ポリマーはインクに溶解していてもよいし、微細分散物でもよいが、インクの保存安定性や吐出性能の点から、溶解するものが好ましい。
【0188】
前記ポリマーがインクに溶解する場合には、染料やモノマーとの相溶性が高いものが好ましく、インクの粘度上昇を起こしにくい点から、分子量は100000以下が好ましく、50000以下が更に好ましく、20000以下が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルなどが挙げられ、具体的には、ポリブチルアクリレート、ポリ(イソブチルメタクリレート−ヒドロキシエチルアクリレート)(共重合質量比95:5)、ポリ(イソプロピルアクリレート−テトラヒドロフルフリルアクリレート)(共重合質量比70:30)、ポリ(ブチルメタクリレート−N−メトキシメチルアクリルアミド)(共重合質量比80:20)、ポリブチルアクリレート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体(共重合質量比90:10)などが挙げられる。
【0189】
前記ポリマーが微細分散物の場合には、モノマーに実質的に溶解しないことが必須であり、更に膨潤しにくい(膨潤度が1.4以下)かまたは膨潤しないことが好ましい。インク中の分散物の粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下が更に好ましく、0.07μm以下が特に好ましい。例えば、ビニルポリマー微粒子、ポリウレタン微粒子、ポリエステル微粒子、ウレタン−ビニル複合粒子などが挙げられ、具体的には、ポリ(アクリロニトリル−エチルアクリレート−エチレングルコールジメタクリレート)(共重合質量比60:37:3)、ポリ(スチレン−ブタジエン)(共重合質量比50:50)、などが挙げられる。
【0190】
前記ポリマーは一種類でも複数組み合わせて使用しても良い、使用量は0〜40質量%が好ましく、0〜30質量%が更に好ましく、0〜20質量%が特に好ましい。
【0191】
前記無機微粒子は硬化物の強度の向上や表面光沢、風合い、表面の微細な模様などを制御するために加えることができる。無機微粒子の粒径は1μm以下が好ましく、0.5μm以下が更に好ましく、0.1μm以下が特に好ましい。無機微粒子の例としてはシリカゲル、酸化チタンなどが挙げられる。
【0192】
貯蔵安定剤は保存中の好ましくない重合を抑制するもので、インクに溶解するものを用いる。例としては、ハロゲンイオン、過塩素酸イオン、アルキル硫酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンなどの求核性対アニオンをもつオニウム塩や鉄芳香族化合物塩、環状アミド類、ニトリル類、置換尿素類、ハイドロキノンモノエーテル類、有機ホスフィン類、銅化合物などが挙げられ、具体的にはp−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムメチルサルフェート、ベンゾチアゾール、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ハイドロキノンモノブチルエーテル、ナフテン酸銅などが挙げられる。使用量は0.005〜1質量%が好ましく、0.01〜0.5質量%が更に好ましく、0.01〜0.2質量%が特に好ましい。
【0193】
表面張力調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、pH調整剤に関しては、特開2001−181549号公報に記載されているものなどを用いてもよい。
導電性塩類はインクに溶解することが必須であり、例としては、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などが挙げられる。
【0194】
インクの好ましい物性は印字する装置にも依存するが、一般的には、粘度は5〜100mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sが更に好ましい。表面張力は20〜60mN/mが好ましく、30〜50mN/mが更に好ましい。
【0195】
(インクジェト記録方法)
本発明のインクジェット記録方法においては、前記インクジェット記録用インクを用いて記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なおインクジェト記録方法は特開2001−279141号の段落番号(0247)に記載のものを用いることができる。特に好ましいのは、電荷制御方式、圧力パルス方式、音響インクジェット方式である。
【0196】
尚、前記インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【0197】
本発明のインクジェット記録用インクは、公知の被記録材に好適に印字等することができる。例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。被記録材に関しては、特開2001−181549号公報、特開2001−279141号の段落番号(0228)から(0246)に記載されているものを用いることができる。
【0198】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において「部」および「%」は、特に断りがない限り、「質量部」および「質量%」を表す。
(実施例1)
<インク01の作成>
セロキサイド2081(ダイセル化学社製) 24部、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル 60部、メチルイソブチルケトン 10部の混合物に油溶性染料(DM−1) 3.0部、光重合開始剤(UVI−6990:ユニオンカーバイド社製) 3部を加えて溶解し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
【0199】
【化25】
【0200】
<インク02の作成>
セロキサイド2081 20部、OXT−121(東亞合成化学工業製) 10部、ビス[(3−エチルオキセタン−3−イル)メチル]エーテル 63部、メチルエチルケトン 15部の混合物に油溶性染料(DM−1) 3.0部、フッ素系ノニオン界面活性剤 0.5部、光重合開始剤(UVI−6990:ユニオンカーバイド社製) 4部を加えて溶解し、5℃減圧条件でメチルエチルケトンを留去し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
<インク03〜13の作成>
前記インク02の作成において、油溶性染料(DM−1)を表17の様に替えた以外は、前記インク02の作成と同様にしてインク03〜13のインクジェット記録用インクを各々調製した。
【0201】
<インク14の作成>
ペンタエリスリトールテトラアクリレート 49部、ヘキサメチレン−1,6−ジアクリレート 25部、N−ビニルホルムアミド 15部の混合物に油溶性染料(DM−1) 2.5部、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド 4部、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン 1部、トリエタノールアミン 2.3部、ハイドロキノンモノブチルエーテル 0.02部を加えて溶解し、0.45μmのフィルターによって濾過してインクジェット記録用インクを調製した。
【0202】
【化26】
【0203】
作製したインクジェット記録用インクを用いてPETフィルムに画像を記録した後に、メタルハライドランプにより100mJ/cm2で露光処理した。
インクおよび得られた記録サンプルについて、下記の評価を行った。その結果を表17に示した。
<安定性>
インクを25℃で7日間保存した後に、インクの状態と0.45μmフィルターろ過性によって評価した。
インクの変化が無くフィルターろ過性が良好な場合をA(良好)、少し濁りが生じたりわずかに沈殿が生じたものをB(許容)、凝集が多く生じたりゲル化あるいは粘度増加している場合をC(不良)として、三段階で評価した。
【0204】
<硬化性>
記録した画像を観察し、べたつきが無いものをA(良好)、べたつきが少しあるが接触したものを汚すほどではないものをB(許容)、べたつきが著しいものをC(不良)として、三段階で評価した。
<色調>
色調については、目視にてA(最良)、B(良好)およびC(不良)の3段階で評価した。
<耐光性>
前記画像を形成したPETフィルムを、ウェザーメーター(アトラスC.I65)を用いて、キセノン光(85000lx)を3日間照射し、キセノン照射前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定し、色素残存率として評価した。
色素残存率が80%以上の場合をA、80%未満をB、70%未満をCとして、三段階で評価した。
【0205】
【表17】
【0206】
【化27】
【0207】
表17の結果から明らかなように、本発明の油溶性染料を用いたインクは、液体吸収性のないのPETに画像を記録した場合でも硬化性に優れていた。更に、油溶性染料が一般式(I)、一般式(A−I)、一般式(Y−I)の場合には、安定性、色調、耐光性が優れていた。
【0208】
(実施例2)
被記録材を代えて画像を記録した以外は、前記実施例1と同様にして記録サンプルを作成し、評価を行った。オゾン耐性以外は、前記実施例1と同様にして評価を行った。
<オゾン耐性>
耐オゾン性については、オゾン濃度1.0ppmの条件下に試料を5日間保存する前後での濃度を、X−rite 310にて測定し染料残存率を求め評価した。
色素残存率が90%以上の場合をA、70%以上90%未満をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0209】
【表18】
【0210】
表18の結果から明らかなように、従来の紙や液体吸収性のない被記録材の両方において良好な画像を形成でき、硬化性、色調、耐水性、耐光性、オゾン耐性に優れていた。フォト光沢紙においては酸化電位の高い方が良好なオゾン耐性を示すことがわかる。
【0211】
(実施例3)
前記実施例1と同様にしてPETフィルムに画像を記録した後に、メタルハライドランプの照射エネルギーを変えて硬化時の退色を調査した。
露光エネルギー100mJ/cm2の場合の露光強度は170mW/cm2、露光エネルギー500mJ/cm2の場合の露光強度は340mW/cm2であった。
<硬化時退色>
色素残存率が90%以上の場合をA、70%以上90%未満をB、70%未満をCとして三段階で評価した。
【0212】
【表19】
【0213】
本発明のインクは100mJ/cm2のエネルギーで十分に硬化するため、露光エネルギー量を上げる必要はないが、仮に露光エネルギーが過剰に加えられても退色しにくく、露光時のエネルギー許容幅が広く汎用性に優れている。硬化時の色素堅牢性に関しては概ね酸化電位の高い油溶性染料の方が良好であることがわかる。
【0214】
(実施例4)
以下のように4色のインクセットを作成してフルカラー画像を記録し、前記実施例1と同様にして評価を行ったところ、硬化性、色調、耐水性、耐光性の何れも優れていた。
<イエローインク>
実施例1のインク09を使用した。
<マゼンタインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(DM−1) 3.0部の代わりに、油溶性染料(DM−3) 2.0部を用いた以外は、インク02の作成と同様にしてインクジェット記録用マゼンタインクを調製した。
<シアンインク>
実施例1のインク06を使用した。
<ブラックインク>
実施例1のインク02の作成において、油溶性染料(DM−1) 3.0部の代わりに、油溶性染料(DM−3)1.6部、油溶性染料(AII−17)2.6部、油溶性染料(Y−103)1.8部を用いた以外は、前記イエローインクの作成と同様にしてインクジェット記録用ブラックインクを調製した。
【0215】
【化28】
【0216】
【発明の効果】
本発明によると、インクの保存安定性に優れ、液体吸収性のある被記録材のみならず液体吸収性のない被記録材を用いた場合でも、硬化性に優れ、良好な画像が形成でき、色調、耐光性、オゾン耐性に優れるインクジェット記録用インクおよびインクジェット記録方法を提供することができる。
Claims (3)
- 開環重合性の2官能モノマー、開環重合性の3官能以上のモノマーおよび油溶性染料を含有し、放射線により硬化可能なインク組成物であり、該油溶性染料がインク中に溶解していることを特徴とするインク組成物。
- 有機溶剤を0以上30質量%以下含有することを特徴とする請求項1記載のインク組成物。
- 請求項1または2に記載のインク組成物を用いて記録を行い、かつ放射線により硬化を行うことを特徴とするインクジェット記録方法。
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