JP2006274054A - インク組成物及びこれを用いた画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 染料及びカチオン重合開始剤と共に、重合性化合物としてオキシラン基含有化合物(及び好ましくはオキセタン基含有化合物)を含んでいる。
【選択図】 なし
Description
そして、色材のうち、染料は光に曝されると褪色しやすいことは広く知られているが、上記のように硬化後の画像の耐光性が不充分であると、画像を長期間安定に保持することはできない。したがって、このようなインクの記録用材料としての商品価値は著しく低下し、実質上画像記録用途には適さない。そのため、インク用の色材には、染料よりも顔料を用いたインクが広く提供されているのが実情である。
ところが、カチオン重合により硬化させた硬化物は、ラジカル重合による硬化物よりも耐光性に優れているという特性を有している。
したがって、依然として色材に染料を用いた場合における、色合い(色相)や色濃度に優れた鮮明な画像の形成、並びに形成画像の耐光性の向上技術については、未だ確立されていないのが現況である。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<2> オキセタン基含有化合物を更に含む前記<1>に記載のインク組成物である。
<3> 前記オキセタン基含有化合物(p)及び前記オキシラン基含有化合物(q)を含有するときの含有比(p/q;質量比)が、50/50〜95/5である前記<2>に記載のインク組成物である。
<4> 前記染料が油溶性染料である前記<1>〜<3>のいずれか1つに記載のインク組成物である。
<5> 前記油溶性染料は、酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴である前記<4>に記載のインク組成物である。
<8> 前記<1>〜<7>のいずれか1つに記載のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする画像形成方法である。
<9> 前記画像記録工程は、前記インク組成物を吐出することにより前記画像をインクジェット記録する前記<8>に記載の画像形成方法である。
本発明のインク組成物は、染料とオキシラン基含有化合物(以下、「本発明に係る重合性化合物」ということがある。)とカチオン重合開始剤とを含んでなり、被記録材への画像記録後、活性エネルギー線の照射によって記録画像の硬化が可能なように構成されている。また、好ましくはオキセタン基含有化合物を含んでなり、前記成分以外に更に必要に応じて、本発明に係る重合性化合物及びオキセタン基含有化合物以外の「他の重合性化合物」や各種添加剤等の他の成分を用いて構成することができる。
本発明のインク組成物は、重合性化合物として特に、オキシラン基含有化合物の少なくとも一種を含有する。この化合物は、後述するカチオン重合開始剤の作用によって活性エネルギー線の照射時に重合してそれ自体硬化し、しかも硬化反応を短時間で行ない得るため、光褪色しやすい染料の硬化(重合反応)時及び硬化後の画像での褪色防止に特に効果的であり、色合い(色相)や色濃度、鮮明性に優れ、顔料並みの耐光性を有する画像を形成することができる。後述のオキセタン基含有化合物も同様である。
本発明に係るオキセタン基含有化合物は、分子内に少なくとも1つのオキセタン基(オキセタニル基)を含む化合物の中から適宜選択することができる。
例えば、分子中に1つのオキセタン基を有する化合物としては下記一般式(1−a)で表される化合物が好適であり、分子中に2つ以上のオキセタン基を有する化合物としては下記一般式(1−b)で表される化合物が好適である。
前記一般式(1−a)において、Zは、酸素原子又は硫黄原子を表し、酸素原子が好ましい。R1aは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜6のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基、又はチエニル基を表し、炭素数1〜6のアルキル基(特にメチル基、エチル基)が好ましい。
なお、前記一般式(1−a)で表されるオキセタン基含有化合物は一種単独で用いる以外に、二種以上を併用することもできる。
前記一般式(1−b)において、mは2、3又は4を表し、Zは酸素原子又は硫黄原子を表し、前記Zとしては酸素原子が好ましい。
なお、前記一般式(1−b)で表されるオキセタン基含有化合物もまた、一種単独で用いる以外に、二種以上を併用することもできる。
本発明に係るオキシラン基含有化合物は、分子内に、オキシラン環を有する少なくとも1つのオキシラン基(オキシラニル基)を含む化合物、具体的にはエポキシ樹脂として通常用いられているものの中から適宜選択することができ、モノマー、オリゴマー及びポリマーのいずれであってもよい。
なお、前記オキシラン基含有化合物は、一種単独で用いる以外に、二種以上を併用することもできる。
重合性基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基、ビニル基、内部二重結合性基(マレイン酸など)等が挙げられ、重合性の程度やインク組成物の物性等を調整する目的で任意に選択することができ、中でも特に、重合速度や汎用性の観点からアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましく、アクリロイル基が特に好ましい。上記より、他の重合性化合物の好ましいものとして、アクリレート類、メタクリレート類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、オレフィン類、スチレン類、ビニルエーテル類が挙げられ、アクリレート類、メタクリレート類が好ましい。
本発明のインク組成物は、前記本発明に係る重合性化合物(並びに必要に応じて含有されるオキセタン基含有化合物及び他の重合性化合物)を重合硬化させるカチオン重合開始剤の少なくとも一種を含有する。カチオン重合開始剤は、活性エネルギー線の波長領域に吸収を有し、活性エネルギー線が付与されると活性エネルギー線の作用又は増感色素の電子励起状態との相互作用を経て化学変化を生じ、カチオン種を発生して重合性化合物(すなわちインク組成物)の重合硬化を開始、促進するものである。
中でも、(b)芳香族オニウム塩化合物、(i)活性エステル化合物が有用である。以下、本発明に有用な前記(b)及び(i)を中心に説明する。
特に、トリアリールスルホニウム塩などの芳香族スルホニウム塩、ジアリールヨードニウム塩などの芳香族ヨードニウム塩、等が好適であり、熱的に比較的安定である点から、芳香族スルホニウム塩が好ましい。
特に、スルホン酸のニトロベンジルエステル等の非イオン性開始剤等が好適である。
カチオン重合開始剤の含有量としては、既述の本発明に係る重合性化合物(並びに必要に応じて含有されるオキセタン基含有化合物及び他の重合性化合物)とカチオン重合開始剤との総量に対し、0.05〜10質量%の範囲が好ましく、0.1〜5質量%の範囲がより好ましい。該含有量を特に上記範囲とすることで、硬化速度が速く良好な硬化性が得られ、堅牢な画像の記録に効果的であり、また、画像を擦った場合の擦過耐性が悪化することもない。
本発明のインク組成物は、染料の少なくとも一種を含有し、可視画像を形成できるように構成したものである。染料には、水溶性染料及び油溶性染料が含まれ、本発明においては油溶性染料が好ましい。
前記油溶化基としては、長鎖もしくは分岐アルキル基、長鎖もしくは分岐アルコキシ基、長鎖もしくは分岐アルキルチオ基、長鎖もしくは分岐アルキルスルホニル基、長鎖もしくは分岐アシルオキシ基、長鎖もしくは分岐アルコキシカルボニル基、長鎖もしくは分岐アシル基、長鎖もしくは分岐アシルアミノ基、長鎖もしくは分岐アルキルスルホニルアミノ基、長鎖もしくは分岐アルキルアミノスルホニル基、並びにこれら長鎖もしくは分岐の基を含むアリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アリールアミノカルボニル基、アリールアミノスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基、等が挙げられる。
特に好ましい染料は、特開2004−250483号公報の段落番号[0034]に記載されている一般式(Y−II)〜(Y−IV)で表される染料であり、具体例として特開2004−250483号公報の段落番号[0060]から[0071]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(Y−I)の油溶性染料はイエローのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0084]から[0122]に記載の一般式(M−1)〜(M−2)で表されるアゾ染料であり、具体例として特開2002−121414号公報の段落番号[0123]から[0132]に記載の化合物が挙げられる。尚、該公報記載の一般式(3)、(4)、(M−1)〜(M−2)の油溶性染料はマゼンタのみでなく、ブラックインク、レッドインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
特に好ましい染料は、特開2002−121414号公報の段落番号[0133]から[0196]に記載の一般式(C−I)、(C−II)で表されるフタロシアニン染料であり、更に一般式(C−II)で表されるフタロシアニン染料が好ましい。この具体例としては、特開2002−121414号公報の段落番号[0198]から[0201]に記載の化合物が挙げられる。なお、前記式(I)〜(IV)、(IV−1)〜(IV−4)、(C−I)、(C−II)の油溶性染料はシアンのみでなく、ブラックインクやグリーンインクなどのいかなる色のインクに用いてもよい。
本発明における染料の酸化電位の値(Eox)は、当業者が容易に測定することができる。この方法に関しては、例えばP.Delahay著"New Instrumental Methods in Electrochemistry"(1954年,Interscience Publishers社刊)や、A.J.Bard他著"Electrochemical Methods"(1980年、John Wiley & Sons社刊)、藤嶋昭他著"電気化学測定法"(1984年、技報堂出版社刊)に記載されている。
前記Eoxの値は、試料から電極への電子の移り易さを表し、Eoxの値が大きいほど、つまり酸化電位が貴であるほど、試料から電極への電子の移りにくい、換言すれば酸化されにくいことを表す。
本発明のインク組成物には、上記の各成分に加え、目的や用途等の必要に応じて、添加剤その他の成分として、増感色素、共増感剤、紫外線吸収剤などを併用することができる。以下、添加剤その他の成分について説明する。
本発明おいては、カチオン重合開始剤の感度を向上させる目的で、増感色素を添加することができる。以下、増感色素について説明する。
増感色素のインク組成物中における含有量としては、インク組成物の着色性の点から、インク組成物の全質量に対して、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、更に好ましくは0.5〜10質量%の範囲である。また、前記増感色素(a)と前記カチオン重合開始剤(c)とのインク組成物中における含有比(a/c)は、カチオン重合開始剤の分解率向上と照射した光の透過性の観点から、質量比でa/c=200〜0.5が好ましく、a/c=50〜1がより好ましく、a/c=10〜1.5が更に好ましい。
本発明のインク組成物には更に、共増感剤として、感度を一層向上させる、あるいは酸素による重合阻害を抑制する等の作用を有する公知の化合物を加えてもよい。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の全質量に対して0.01〜10質量%程度である。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加することができる。界面活性剤としては、例えば、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。なお、前記公知の界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。前記有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。前記有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
本発明のインク組成物は、重合禁止剤を添加することができる。重合禁止剤としては、フェノール系水酸基含有化合物、およびキノン類、N−オキシド化合物類、ピペリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、ピロリジン−1−オキシルフリーラジカル化合物類、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン類、およびカチオン染料類からなる群より選択される化合物が好適に挙げられる。
本発明のインク組成物には、得られる画像の耐候性向上、褪色防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤などが挙げられる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の全質量に対して0.01〜10質量%程度である。
本発明のインク組成物には、安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の全質量に対して0.01〜10質量%程度である。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を添加することができる。前記有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。また、前記金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
添加量は目的に応じて適宜選択されるが、一般的には、インク組成物の全質量に対して0.01〜10質量%程度である。
本発明のインク組成物には、射出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、被記録材との密着性を改良するため、極微量の有機溶剤を添加することも有効である。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
この場合、耐溶剤性やVOCの問題が起こらない範囲での添加が有効であり、その量はインク組成物の全質量に対して0.1〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種高分子化合物(ポリマー)を添加することができる。
高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。
これらのうち、アクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合が好ましい。更に、高分子結合材の共重合組成として、「カルボキシル基含有モノマー」、「メタクリル酸アルキルエステル」、又は「アクリル酸アルキルエステル」を構造単位として含む共重合体も好適である。
前記タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などが挙げられる。
本発明のインク組成物は、インクジェット記録に適用する場合、吐出性を考慮し、吐出時の温度におけるインク粘度が、5〜30mPa・sであることが好ましく、7〜20mPa・sが更に好ましい。このため、前記範囲になるように適宜組成比を調整し決定することが望ましい。
また、室温(25)でのインク組成物の粘度としては、7〜120mPa・sが好ましく、10〜80mPa・sが更に好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な被記録材を用いた場合でも、被記録材中へのインク浸透を防ぎ、未硬化モノマーの低減、臭気低減が可能となり、更にインク液滴着弾時のドット滲みを抑えることができ、その結果として画質を改善することができる。
また、本発明のインク組成物を、ポリオレフィン、PET、コート紙、非コート紙など種々の被記録材に記録する場合、滲み及び浸透の観点から、上記の表面張力は20mN/m以上が好ましく、濡れ性の点では30mN/m以下であることが好ましい。
前記のうち、ピエゾ素子を用いたドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)のインクジェット記録用インクとして好適である。
本発明の画像形成方法は、既述した本発明のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線(活性線)を照射して硬化させる画像硬化工程とを設けて構成したものである。本発明では、画像硬化工程において活性エネルギー線を利用し、画像記録工程で被記録材に画像記録した後、記録された画像に活性エネルギー線を照射することによって、画像化に寄与する重合性化合物の重合硬化が進行し、良好に硬化され堅牢性の高い画像を形成することができる。
被記録材としては、インク浸透性の被記録材、及びインク非浸透性の被記録材のいずれも使用可能である。
合成樹脂を用いた基材の形状やその厚みについては、特に制限はなく、フィルム状、カード状、又はブロック状のいずれでもよく、所望の目的に応じて適宜選定することができる。また、合成樹脂は透明性、不透明性のいずれのものであってもよい。
下記組成の各成分を攪拌、混合して、本発明のマゼンタインク(1)を得た。なお、本実施例ではp/q=70/30とした。
・OTX−221(下記構造参照) …7g
(東亜合成(株)製;オキセタン基含有化合物)
・セロキサイド 2021A(下記構造参照) …3g
(ダイセル化学工業(株)製;3,4-エホ゜キシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エホ゜キシシクロヘキセンカルホ゛キシレート;オキシラン基含有化合物)
・CYRAURE UVI−6992 …0.3g
(ユニオンカーバイド社製;カチオン重合開始剤)
・下記マゼンタ染料M−1(油溶性染料) …0.1g
実施例1において、OTX−221の7gをOTX−211(東亜合成(株)製;オキセタン基含有化合物)7g(下記構造参照)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のマゼンタインク(2)を得た。なお、本実施例ではp/q=70/30とした。
実施例1において、OTX−221(7g)及びセロキサイド2021A(3g)を、下記のエポキシ−1(オキシラン基含有化合物)10gに代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のマゼンタインク(3)を得た。
実施例1において、OTX−221(7g)及びセロキサイド2021A(3g)を、以下に示す1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA、ダイセル・ユーシービー(株)製;重合性化合物)7g及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(6)(KAYARAD DPCA60、日本化薬(株)製;重合性化合物)3gに代え、かつCYRAURE UVI−6992をイルガキュア1870(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)に代えると共に、N−エチルジエタノールアミン0.3gを更に加えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のマゼンタインク(4)を得た。
実施例1において、マゼンタ染料M−1を下記マゼンタ染料M−2(油溶性染料)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のマゼンタインク(5)を得た。なお、本実施例ではp/q=70/30である。
比較例1において、マゼンタ染料M−1を下記マゼンタ染料M−2(油溶性染料)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のマゼンタインク(6)を得た。
実施例1において、マゼンタ染料M−1を下記マゼンタ染料M−3(油溶性染料)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、本発明のマゼンタインク(7)を得た。なお、本実施例ではp/q=70/30である。
比較例1において、マゼンタ染料M−1を下記マゼンタ染料M−3(油溶性染料)に代えたこと以外、実施例1と同様にして、比較のマゼンタインク(8)を得た。
−画像記録−
上記より得た本発明及び比較のマゼンタインク(1)〜(8)の各々を順次、インクジェットプリンタ(印字密度300dpi、打滴周波数1kHz、ノズル数64)に装填し、各インク毎にPETフィルム(50μm厚)上に吐出して色画像の記録を行ない、記録後、UVランプ(Fusion社製)を用いてUV−A(320〜390nm)エネルギー500mJ/cm2となる条件で照射し、濃度約1.0の色画像サンプルを作成した。引き続いて、得られた色画像の各々について、下記のようにして耐光性の評価を行なった。評価結果は下記表1に示す。
上記のように色画像を記録したPETフィルムに、Xenon Weather−ometer Ci65A(ATLAS社製)を用いて、温度25℃、相対湿度32%の環境条件下で3.8時間ランプを点灯し、その後ランプを消した状態にして温度20℃、相対湿度91%の環境条件下で1時間放置するサイクルを、168時間かけて行なった。このサイクルを行なう前後での各色の色濃度を反射濃度測定計(Xrite938、Xrite社製)にて測定し、各色濃度の残存率(%)を算出した。
色画像の表面を次のようなタックフリーテストにて評価した。すなわち、記録後照射した直後の硬化皮膜である色画像の表面を指で触れ、表面のベタツキの程度から下記基準にしたがって評価した。ベタツキが少ないほど硬化速度が良好であることを示し、○のみが実用上許容可能な評価である。
〈評価基準〉
○:硬化した。
×:ベタツキがあって、硬化が不充分であった。
また、マゼンタ染料M−2、M−2を用いて構成された場合についても同様であった。
Claims (9)
- 染料と、オキシラン基含有化合物と、カチオン重合開始剤とを含有することを特徴とするインク組成物。
- オキセタン基含有化合物を更に含む請求項1に記載のインク組成物。
- 前記オキセタン基含有化合物(p)及び前記オキシラン基含有化合物(q)を含有するときの含有比(p/q;質量比)が、50/50〜95/5である請求項2に記載のインク組成物。
- 前記染料が油溶性染料である請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記油溶性染料は、酸化電位が1.0V(vs SCE)よりも貴である請求項4に記載のインク組成物。
- インクジェット記録に用いられる請求項1〜6のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のインク組成物を用いて被記録材に画像を記録する画像記録工程と、記録された画像に活性エネルギー線を照射して硬化させる画像硬化工程とを含むことを特徴とする画像形成方法。
- 前記画像記録工程は、前記インク組成物を吐出することにより前記画像をインクジェット記録する請求項8に記載の画像形成方法。
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