JP6194620B2 - 活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用インク - Google Patents

活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用インク Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用インクに関する。
紙などの記録媒体上に画像を形成する方法には、電子写真方式、昇華記録方式、熱転写記録方式、インクジェット記録方式など種々の方式がある。この中で、インクジェット記録方式は、インク消費の効率が高く省資源性に優れており、単位記録あたりのインクコストを低く抑えることが可能である。しかし、水性インクを用いた場合には乾燥性、紙の波打ち等種々の問題がある。また、水の代りに有機溶剤を用いたインクもあるが、有期溶剤の蒸発等の別の問題がある。
そこで、近年、活性エネルギー線硬化型インクを用いたインクジェット記録方式が注目されている。活性エネルギー線硬化型インクは、一例として紫外線硬化型インク組成物として各種書籍、文献等に記載されており、通常、重合開始剤とモノマーを必須成分とし、必要に応じて、顔料、オリゴマー、ポリマー、増感剤などの成分が配合されているものである(非特許文献1、2など)。
上記モノマー成分には、硬化速度(感度)、インク粘度、硬化後の膜特性などの点から複数のモノマーを用いており、粘度が低く反応性に優れる低分子量のモノマーと、多官能で分子量の大きなモノマーを組み合わせて用いていることが多い。モノマーはインクジェット記録用インクの80質量%近くを占める主成分であることから、材料開発に加えて、その配合(組み合わせ)に関する開発も活発に行われている。
例えば、分子内にアルキレンオキシド基を有する3官能以上の(メタ)アクリル酸のエステル又はアミド化合物を用いる発明(特許文献1)、分子内にアルキレンオキシド基を有する3官能以上の(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドと炭素数6〜12のアルキル部分を有する単官能(メタ)アクリル酸のエステル又はアミドを組み合わせる発明(特許文献2)、2級水酸基を有する脂肪族(メタ)アクリレート化合物と分子内に窒素原子及び重合性不飽和結合を有する化合物とを組み合わせて用いる発明(特許文献3)、分子内に重合性不飽和結合及びアミノ基を有する重合性化合物を用いる発明(特許文献4)などが提案されている。
また、ウレタン構造を有するモノマー化合物を用いることも提案されており、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマーを含む発明(特許文献5、6)や、ウレタン構造を有する低分子量の(メタ)アクリレートモノマーを用いる発明(特許文献7)が提案されている。更に、高硬化性と硬化膜の柔軟性、耐溶剤性や基材との密着性などの特性を向上させる目的で、脂肪族環構造を有するモノマーを用いる発明(特許文献8)、ジオキソランやジオキサン等のヘテロ環構造を有するモノマーを用いる発明(特許文献9)、2種類以上の脂肪族環構造、ヘテロ環構造、芳香族環構造を有するモノマーを複数用いる発明(特許文献10)なども提案されている。
また、重合性化合物の分子中に異なる2種類の重合性官能基を有する重合性化合物(モノマー)を用いることも提案されており、(メタ)アクリル酸エステル基とビニルエーテル基を共に有する化合物を用いることが提案されている。(特許文献11〜14)
前記従来の重合性化合物(モノマー化合物)をインクに使用する際には、その臭い(臭気)も重要な課題となる。一般に各種活性エネルギー線硬化型インクには、希釈剤と呼ばれる低分子量の反応性モノマーが溶剤を兼ねて多量に配合されており、粘度等のインク物性を適切な状態に保っている。しかし、このような低分子量のモノマー化合物には特有の臭気があり不快感を与えることが多い。
また、低分子量のモノマー化合物はインク中において溶剤の機能を担っていることから、インク組成に含まれる各種材料(併用するモノマー化合物、重合開始剤、各種活性剤等と添加剤)との相溶性が重要であるが、例えば、強い極性構造の導入や、極性構造を多く導入することによって、モノマー化合物の親水性を高くしすぎてしまうと、他のインク構成材料との溶解性の低下や、自身の分子間相互作用の増大による結晶化(固体化)や粘度の上昇を招いてしまい、インク用途への適性が悪くなってしまう。
化学物質の臭気は空気中に飛散した化合物分子を人間がその嗅覚で検知することによって認識されるものであるから、前記モノマー化合物のような特有の臭気を持つものに対しては、化合物自身が空気中に飛散しにくいものであることが重要である。そこで、例えばモノマー化合物の分子量を大きくしたり、極性の官能基を導入して分子間相互作用を強くしたりして、モノマー化合物の空気中への飛散を抑制することが、インクの臭気を改善する方法の一つになると考えられる。しかしながら、高分子量のモノマー化合物だけでインクを作製すると、粘度が高くなってしまい、インクジェット記録用インクのような低粘度を必要とする用途には適さない。また、強い水素結合を形成するような極性構造を分子内に導入することは前述のような問題を生じる可能性がある。
そこで、本発明は、活性エネルギー線による光重合反応性及び硬化性に優れ、かつ臭気が改善された常温で液体の重合性化合物(モノマー化合物)として、新規の(メタ)アクリル酸エステル化合物の提供を目的とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、重合性化合物の分子構造中に特定のウレア構造を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物によって、モノマー特有の不快な臭気が少なくなり、活性エネルギー線に対する反応性及び硬化性が優れた常温で液体(流動性を有する)の重合性化合物を得られることを見出した。
即ち、上記課題は次の〔1〕の発明によって解決される。
〔1〕少なくとも、下記式(2)で表される重合性化合物、下記式(3)で表される重合性化合物、下記式(4)で表される重合性化合物、又は、下記式(5)で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用インク。
Figure 0006194620
本発明によれば、活性エネルギー線による光重合反応性及び硬化性に優れ、かつ臭気が改善された常温で液体の(メタ)アクリル酸エステル化合物(重合性化合物/モノマー化合物)を提供できる。
合成例1で作製した式(3)で表されるアクリル酸エステル化合物の1H−NMRスペクトルである。 合成例1で作製した式(3)で表されるアクリル酸エステル化合物のIRスペクトルである。 合成例3で作製した式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物の1H−NMRスペクトルである。 合成例3で作製した式(2)で表されるアクリル酸エステル化合物のIRスペクトルである。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明の重合性化合物は活性エネルギー線の照射によって硬化(乾燥)させることができるものである。そして、これを用いて活性エネルギー線硬化型組成物を作製し、印刷用インク、各種の接着剤、コーティング剤等に適用できる。
印刷用インクについては、オフセット印刷、スクリーン印刷を始めとする各種印刷用途に適用可能であるが、中でも低粘度特性を必要とするインクジェット記録用インク(以下「インク」ということもある)、及びこれを用いたインクジェット記録方法に適している。
<重合性化合物>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、分子構造中に下記式(1)で表されるウレア構造を有することを特徴とする。
Figure 0006194620
〔上記式中、 1 、R 2 は水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル構造、シクロアルキル構造、芳香環を含む炭化水素構造のいずれかを示し、R 1 とR 2 が連結して環構造を形成することもできる。R 3 は、水素原子、又は置換もしくは無置換のアルキル構造、シクロアルキル構造、芳香環を含む炭化水素構造のいずれかを示し、R 1 又はR 2 との間で環構造を形成することもできる。また、R 3 は、結合している窒素原子の結合手との間で環構造を形成することもできる。ただし、R 1 、R 2 はともに水素原子であることはなく、上記ウレア構造においてカルボニル基に結合している2つの窒素原子の内、少なくとも1つは水素原子と結合していない。
前記 1 、R 2 、R 3 におけるアルキル構造としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基が好ましい。
前記シクロアルキル構造としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が好ましい。
前記芳香環を含む炭化水素構造としては、フェニル基、ベンジル基などの単環構造の基が好ましい。
アルキル構造、シクロアルキル構造、芳香環を含む炭化水素構造の置換基としては、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、エーテル構造、エステル構造等が挙げられる。
1 とR 2 が連結して環構造を形成する場合、およびR 3 とR 1 又はR 2 との間で環構造を形成する場合は、炭素以外のヘテロ原子を介して環構造を形成してもよく、形成された環にヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい。例えば、R 1 とR 2 が連結して環構造を形成する場合の環構造としては、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環などの単環構造の基が好ましい。
好ましい態様として、前記式(1)におけるR 1 、R 2 が両方とも水素原子ではないものを挙げることができ、更に好ましい態様として、R 3 がアルキル構造及び、水素原子で表されるものを挙げることができる。特に好ましい態様として、前記式(2)及び式(3)で表されるものを挙げることができる。
一般に(メタ)アクリル酸エステル化合物は、アルキル、シクロアルキル、芳香環を含む炭化水素構造などを母核構造として、(メタ)アクリル酸エステル構造を有する化合物が多い。これらの化合物は、単純な炭化水素構造を母核とするものだけでなく、各種ヘテロ原子を含む構造や分岐構造の導入や高分子量化などによって、各種用途に適した特性を実現させている。
例えば、硬くて強度に優れた硬化膜を必要とする用途には、各種変性を施した多官能のオリゴマータイプの(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いたり、水溶性を必要とする用途には、リン酸エステルやスルホン酸エステルのような強い親水性の官能基を導入した(メタ)アクリル酸エステル化合物が提供されている。
通常、極性の構造を有さない低分子量の(メタ)アクリル酸エステル化合物は粘度が低くインクジェット用インク組成物などの希釈剤モノマーとしては好都合であるが、その反面、揮発性が高く特有の臭気も有していることから、インクを使用する際の課題を有している。一方、オリゴマータイプの多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物は粘度が非常に高く、硬化性組成物、中でもインクジェット用インク組成物として用いるには不向きであり、低分子の希釈剤モノマーを溶剤として使用して粘度をコントロールする必要があった。この場合、低粘度の希釈剤モノマー化合物としては前述の揮発性の高い低分子モノマー化合物を用いることが多く、臭気及び低分子モノマー成分の揮発という問題を発生するおそれがあった。
また、リン酸エステルやスルホン酸エステル、更には、水酸基(OH)などの強い極性構造を導入したモノマー化合物は、揮発性や臭気の問題は少ないものの、粘度が高くなり、場合によっては固体であったり、硬化性組成物に用いる他の配合成分との相溶性が悪いなどの問題点があった。
それに対して、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、分子内に式(1)で表されるウレア構造を有しており、更にこのウレア構造において、R 1 、R 2 が同時に水素原子であることはなく、カルボニル(C=O)基に結合している2つの窒素(N)原子の内、少なくとも1つは水素原子と結合していないことが特徴である。
このウレア構造は極性を有する官能基であり、低分子量の(メタ)アクリル酸エステル化合物の揮発性と臭気の発生を抑制する機能を有している。また、ウレア構造の2つの窒素原子の内、少なくとも1つが水素原子との結合を有さないことによって、NH結合によって生じる強い分子間相互作用を低減することができ、極端な高粘度化、場合によっては固体化してしまうことを防ぎ、流動性のある液体状態を実現していると考えられる。
このことは、R 1 、R 2 が同時に水素原子である場合を除くことにおいても同様で、少なくともどちらか一方が水素原子でないことにより、流動性に優れ、揮発性の抑制による低臭気化を実現でき、特にR 1 、R 2 が両方とも水素原子でない場合は、流動性、揮発性の抑制による低臭気化の効果が更に優れる。
更に、2つの窒素原子が水素原子との結合を1つも有さない場合には、より粘度の低い状態を実現することができ、流動性により優れ、揮発性の抑制による低臭気化を実現できる。
また、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物が前記のような特徴を有する理由は明らかでないが、前記式(1)で表されるウレア構造に起因した極性の程度に関係していると考えられる。
低分子量の(メタ)アクリル酸エステル化合物のような重合性化合物の特性は分子内に導入した極性構造の強さ(程度)の影響を受けやすく、前述の流動性、揮発性、臭気だけでなく、硬化性組成物を構成する際の他の構成材料との相溶性にとって重要である。例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物の有する極性構造が非常に強いものであった場合、硬化性組成物を構成する際に他の化合物との相溶性が劣ってしまったり、粘度の上昇による流動性の低下を引き起こすことになる。
このように化合物との相溶性や流動性については、極性構造の種類、数、分子の大きさ(分子量)などが複雑に関係してくることから、その程度を定量的に示すことは難しいが、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物はそのバランスにおいても優れた領域にあるものであると考えられる。このことから本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物が各種インクに適したものであると言える。
本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は各種方法によって合成することができるが、例えば、カルバモイルクロリド化合物とアミノアルコール化合物(アミノ基とアルコール性OH構造を同一分子内に有する化合物)との反応によって得られるヒドロキシル基(OH)を有するウレア化合物(中間体)と(メタ)アクリル酸化合物との縮合反応によって合成することができる。この場合に用いることのできるカルバモイルクロリド化合物とアミノアルコール化合物の具体例を以下に挙げるが、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物を限定するものではない。
カルバモイルクロリド化合物
Figure 0006194620
アミノアルコール化合物
式中のnは、2〜4の整数、aは1〜2の整数を示す。
Figure 0006194620
以下に本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明のモノマー化合物はこれらに限定されるものではない。尚、式中のnは2〜4の整数、Xは水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0006194620
Figure 0006194620
Figure 0006194620
Figure 0006194620
Figure 0006194620
Figure 0006194620
また、前記のようにカルバモイルクロリド化合物とアミノアルコールを原料としなくても、市販のヒドロキシル基含有ウレア化合物を出発物質としても本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物を得ることができ、例えば以下のような化合物を挙げることができる。
Figure 0006194620
<重合開始剤>
本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は重合開始剤を加えて活性エネルギー線硬化型組成物とすることができ、この活性エネルギー線硬化型組成物はインクジェット記録用インクなどに用いることができる。
重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤などが挙げられるが、ラジカル重合開始剤とアニオン重合開始剤が好ましく、特にラジカル重合開始剤が好ましい。
重合開始剤は、重合性化合物の種類やインクなどの使用目的に応じて、適宜選択することができる。
インクの場合の重合開始剤は、外部エネルギーを吸収して重合開始種を生成する化合物である。重合を開始するために使用される外部エネルギーは、熱又は活性エネルギー線に大別され、それぞれ熱重合開始剤又は光重合開始剤が使用される。活性エネルギー線にはγ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線が挙げられる。また、熱重合開始剤及び光重合開始剤としては公知の化合物が使用できる。
好ましいラジカル重合開始剤としては(a)芳香族ケトン類、(b)アシルホスフィンオキシド化合物、(c)芳香族オニウム塩化合物、(d)有機過酸化物、(e)チオ化合物、(f)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(g)ケトオキシムエステル化合物、(h)ボレート化合物、(i)アジニウム化合物、(j)メタロセン化合物、(k)活性エステル化合物、(l)炭素ハロゲン結合を有する化合物、(m)アルキルアミン化合物等が挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(o−ベンゾイルオキシム)、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル〕チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
中でも、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製のIRGACURE 819:商品名)又は2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(BASFジャパン社製のDAROCUR TPO:商品名)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASFジャパン社製のIRGACURE 184:商品名)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン社製のIRGACURE 907:商品名)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン(BASFジャパン社製のIRGACURE 379:商品名)等は、インク組成物中に含まれる他の成分との相溶性が高く、少ない紫外線照射量でインクを硬化させることができるので好ましい。
重合開始剤は、重合性化合物、任意成分として用いられる後述の他の重合性化合物及び着色剤の総質量に対して、1〜50質量%の範囲が好ましく、2〜40質量%の範囲がより好ましく、5〜30質量%の範囲が更に好ましい。また、重合開始剤と後述する増感剤を併用する場合には、重合開始剤:増感剤の質量比は、200:1〜1:200が好ましく、より好ましくは50:1〜1:50の範囲である。
インクにおける本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物を含めた反応性モノマーの含有量は、20〜98質量%が好ましく、30〜90質量%が更に好ましく、30〜80質量%の範囲が特に好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステルは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクには、上記した成分に加えて、本発明の効果を損なわない限りにおいて、物性向上などの目的で、他の成分を配合することができる。以下、これらの任意成分について説明する。
<着色剤>
本発明のインクは着色剤を含有してもよく、これにより着色画像を形成することができる。着色剤については特に制限はなく、顔料、油溶性染料、水溶性染料、分散染料等の任意の公知の着色剤から適宜選択して用いることができる。
着色剤としては、耐候性に優れ、色再現性に富む顔料や油溶性染料が好ましく、顔料がより好ましい。また、本発明のインク組成物に好適に使用し得る着色剤は、活性エネルギー線による硬化反応の感度を低下させないという観点から、硬化反応である重合反応に対して重合禁止剤として機能しない化合物を選択することが好ましい。
顔料としては特に限定されないが、例えばカラーインデックスに記載される下記の番号の有機又は無機顔料が挙げられ、目的に応じて適宜選択して使用できる。
赤又はマゼンタ顔料としては、例えば、Pigment Red 3,5,19,22,31,38,43,48:1,48:2,48:3,48:4,48:5,49:1,53:1,57:1,57:2,58:4,63:1,81,81:1,81:2,81:3,81:4,88,104,108,112,122,123,144,146,149,166,168,169,170,177,178,179,184,185,208,216,226,257,Pigment Violet 3,19,23,29,30,37,50,88,Pigment Orange 13,16,20,36、等が挙げられる。
青又はシアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,17−1,22,27,28,29,36,60、等が挙げられる。
緑顔料としては、例えば、Pigment Green 7,26,36,50、等が挙げられる。
黄顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1,3,12,13,14,17,34,35,37,55,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,137,138,139,153,154,155,157,166,167,168,180,185,193、等が挙げられる。
黒顔料としては、例えば、Pigment Black 7,28,26、等が挙げられ、白色顔料としては、例えば、Pigment White 6,18,21、等が挙げられる。
本発明のインクで使用できる油溶性染料について説明する。ここで言う油溶性染料とは実質的に水に不溶な染料を意味する。具体的には、25℃での水への溶解度(水100gに溶解できる染料の質量)が1g以下であり、好ましくは0.5g以下、より好ましくは0.1g以下であるものを指す。従って、油溶性染料とは、水に不溶性の染料や油溶性色素を意味し、これらの中でも油溶性色素が好ましい。
油溶性染料のうち、イエロー染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料のようなメチン染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料のようなキノン系染料等が挙げられ、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等が挙げられる。
油溶性染料のうち、マゼンタ染料としては、例えば、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、カップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、ジオキサジン染料等のような縮合多環系染料等が挙げられる。
油溶性染料のうち、シアン染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料或いはカップリング成分としてピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール若しくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料等を挙げることができる。
油溶性染料の好ましい具体例としては、C.I.ソルベント・ブラック 3,7,27,29及び34、C.I.ソルベント・イエロー 14,16,19,29,30,56,82,93及び162、C.I.ソルベント・レッド 1,3,8,18,24,27,43,49,51,72,73,109,122,132及び218、C.I.ソルベント・バイオレット 3、C.I.ソルベント・ブルー 2,11,25,35,38,67及び70、C.I.ソルベント・グリーン 3及び7、C.I.ソルベント・オレンジ 2等が挙げられる。
また、本発明のインクにおいては、水非混和性有機溶媒に溶解する範囲で分散染料を用いることもできる。その好ましい具体例としては、C.I.ディスパースイエロー 5,42,54,64,79,82,83,93,99,100,119,122,124,126,160,184:1,186,198,199,201,204,224,237、C.I.ディスパーズオレンジ 13,29,31:1,33,49,54,55,66,73,118,119,163、C.I.ディスパーズレッド 54,60,72,73,86,88,91,92,93,111,126,127,134,135,143,145,152,153,154,159,164,167:1,177,181,204,206,207,221,239,240,258,277,278,283,311,323,343,348,356,362、C.I.ディスパーズバイオレット 33、C.I.ディスパーズブルー 56,60,73,87,113,128,143,148,154,158,165,165:1,165:2,176,183,185,197,198,201,214,224,225,257,266,267,287,354,358,365,368、C.I.ディスパーズグリーン 6:1,9等が挙げられる。
着色剤は、インク中で適度に分散していることが好ましい。着色剤の分散にはボールミル、サンドミル、リングミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等の各分散装置を用いることができる。
また、着色剤を分散させる際に分散剤を添加することも可能である。分散剤の種類には特に制限はないが、高分子分散剤が好ましい。これらの分散剤は、着色剤100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。
着色剤は、インクの使用目的に応じて1種又は2種以上を適宜選択して用いればよい。
インク中で固体のまま存在する顔料などの着色剤を使用する際には、着色剤粒子の平均粒径は、好ましくは0.005〜0.5μm、より好ましくは0.01〜0.45μm、更に好ましくは、0.015〜0.4μmとなるように、着色剤、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、透明性及び硬化感度を維持できる。
着色剤の含有量は、インクの使用目的により適宜選択されるが、インク物性や着色性を考慮すれば、一般的には、インク全体の0.5〜10質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。なお、酸化チタン等の白色顔料を着色剤とする白色インク組成物の場合には、着色剤の含有量は、隠蔽性を確保するために、インク全体の、5〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。
<他の重合性化合物(モノマー化合物)>
本発明のインクは、前記(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の重合性化合物を含むことも可能である。この場合、本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物1に対して、0.01〜100(質量比)の範囲で用いることができ、好ましくは、0.1〜50(質量比)である。併用可能な重合性化合物としてはラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、アニオン重合性化合物が挙げられる。
ラジカル重合性化合物は、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であれば特に限定されず、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を持つものが含まれる。併用するラジカル重合性化合物は1種を単独で用いてもよく、また目的とする特性を向上させるために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合性化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩及び、これらから誘導される化合物、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル酸誘導体、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられる。また、非特許文献1の本文及び光反応材料データ編を始めとする資料等に記載されている市販品又は公知の反応性モノマー、オリゴマー、ポリマーを用いることができる。
更に、ラジカル重合性化合物として、ビニルエーテル化合物を用いることも好ましい。好適に用いられるビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。ビニルエーテル化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明のインクで併用可能な他の重合性化合物としては、(メタ)アクリル系モノマー又はプレポリマー、エポキシ系モノマー又はプレポリマー、ウレタン系モノマー又はプレポリマー等の(メタ)アクリル酸エステルも挙げることができる。
具体的には、2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールエチレンオキシド付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート等が挙げられる。
尚、重合開始剤と重合性化合物の選択に関しては、種々の目的に応じて、ラジカル重合性化合物とラジカル重合開始剤との組み合わせ以外にも、下記に示すようなカチオン重合性化合物とカチオン重合開始剤とを併用した、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクや、アニオン重合性化合物とアニオン重合開始剤とを併用したラジカル・アニオンハイブリッド型硬化インクとしてもよい。
カチオン重合性化合物としては、光酸発生剤から発生する酸により重合反応を開始し、硬化する化合物であれば特に制限はなく、光カチオン重合性モノマーとして知られる各種公知のカチオン重合性モノマーを使用することができる。その例としては、非特許文献1などに記載されている各種エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。また、上記カチオン重合性化合物と併用するカチオン重合開始剤(光酸発生剤)としては、公知の各種材料を用いることができ、例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C654 -、PF6 -、AsF6 -、SbF6 -、CF3SO3 -塩、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、鉄アレン錯体等が挙げられる。上記カチオン重合開始剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アニオン重合性化合物としては、各種エポキシ化合物、ラクトン化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物などが挙げられるが、中でも、前記ラジカル重合性化合物として例示されたアクリル系化合物、メタクリル系化合物が好ましい。また、アニオン重合開始剤としては、いわゆる、光塩基発生剤を挙げることができ、オルトニトロベンジルカルバメート誘導体、オルトアシルオキシル誘導体、オルトカルバモイルオキシムアミジン誘導体などが挙げられる。
<増感剤>
本発明のインクには、前記重合開始剤の活性光線照射による分解を促進させるために増感剤を添加することができる。増感剤は、特定の活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となるものである。電子励起状態となった増感剤は、重合開始剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用を生じることにより、重合開始剤の化学変化(分解、ラジカル、酸又は塩基の生成)を促進させる。増感剤としては、重合開始剤に開始種を発生させる活性エネルギー線の波長に応じた化合物を使用すればよい。増感剤としては増感色素が好ましく、例えば以下のような、350〜450nm域に吸収波長を有するものが挙げられる。
多核芳香族類(例えばピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えばチオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えばアクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えばアントラキノン)、スクアリリウム類(例えば、スクアリリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)
<共増感剤>
本発明のインクには共増感剤を含有させることもできる。共増感剤は、増感色素の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させたり、酸素による重合性化合物の重合阻害を抑制する等の作用を有する。共増感剤の例としては、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等のアミン系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等のチオール及びスルフィド類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
<その他の成分>
本発明のインクには、必要に応じて、重合禁止剤、溶剤等のその他の成分を添加することができる。重合禁止剤は、インクの保存性(保管安定性)を高める観点から添加する。また、本発明のインクは、必要に応じて加熱し低粘度化して吐出することができ、その場合の熱重合によるヘッド詰まりを防ぐためにも重合禁止剤を添加することが好ましい。
その例としては、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、クペロンAl等が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、インク全量に対し、200〜20,000ppmが好ましい。
本発明のインクの粘度は、インクジェット装置における吐出性を考慮した場合、吐出時の環境において、7〜30mPa・sが好ましく、さらに、7〜25mPa・sが好ましい。
本発明のインクは、活性エネルギー線硬化型インクのため、溶剤を含まないことが好ましいが、硬化後のインクと記録媒体との接着性等の特性を向上させる目的で、インクの硬化速度等に影響がない場合に限り、溶剤を含有させることもできる。溶剤としては有機溶剤や水が使用できる。有機溶剤の含有量は、インク全体の0.1〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%の範囲である。
更に、必要に応じて、公知の添加剤である界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を、適宜選択して添加することができる。また、ポリオレフィンやPET等に対する接着性を改善するために、重合阻害のない粘着付与剤(タッキファイヤー)を含有させることも可能である。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。尚、以下の例においては、「%」は「質量%」である。
評価に用いた試料は、本発明の重合性化合物の効果をより明確にするため、インクとするに必要な着色剤を始めとする各種添加成分を含まない組成とした。
1H−NMRは、JEOL製1H−NMR(500MHz)を用いて測定し、IRは、PERKIN ELMER製FT−IR SpectrumGXを用いて測定した。
〔合成例1〕
ジエチルカルバモイルクロリド(24.4g,180mmol)をピリジン(250ml)に溶解させた。この溶液に水浴中で冷却しながら、2−アミノエタノール(14.3g,234mmol)をゆっくりと添加した後、室温下で24時間攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮して得られた溶液を酢酸エチル(350ml)で抽出した。この抽出液を濃縮することで、茶色の液体を得た。得られた液体をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 200g)により精製して、淡黄色針状晶(10.5g)を得た。この淡黄色針状晶は、1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物(中間体−1)であることが確認された。精製後の収率は約36%であった。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.15(t,6H),3.27(q,4H),3.41(q,2H),3.71(t,2H),4.84−4.92(bs,1H)
IR(NaCl):3353,2974,2933,2875,1712,1626,1538,1460,1409,1379,1362,1283,1222,1198,1074,1029,934,873,840,769,583cm-1
得られた中間体−1(4.7g,29mmol)を脱水ジクロロメタン(70mL)中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(4.6g,45mmol)を加えた。混合物を約−10℃に冷却した後、アクリル酸クロライド(3.3g,36mmol)を、系内温度が−10〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、その後、2時間室温下で攪拌した。析出物を濾過によって取り除き、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 300g)により精製して、淡黄色油状物(2.8g)を得た。この淡黄色油状物は、下記1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物であることが確認された。精製後の収率は約45%であった。この化合物の1H−NMRスペクトルを図1に、IRスペクトルを図2に示す。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.13(t,6H),3.26(q,4H),3.55(q,2H),4.29(t,2H),4.77−4.83(bs,1H),5.84−5.88(m,1H),6.11−6.17(m,1H),6.41−6.45(m,1H)
IR(NaCl):3352,2974,2933,2875,1726,1630,1533,1455,1407,1379,1362,1269,1190,1099,1067,985,811,766,552cm-1
〔合成例2〕
得られた中間体−1(5.6g,35mmol)を脱水ジクロロメタン(100mL)中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(5.1g,50mmol)を加えた。混合物を約−10℃に冷却した後、メタクリル酸クロライド(4.4g,42mmol)を、系内温度が−10〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、その後、2時間室温下で攪拌した。析出物を濾過によって取り除き、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 300g)により精製して、淡黄色油状物(5.2g)を得た。この淡黄色油状物は、下記1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物であることが確認された。精製後の収率は約65%であった。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.13(t,6H),1.95(s,3H),3.25(q,4H),3.55(q,2H),4.28(t,2H),4.71−4.76(bs,1H),5.58−5.60(m,1H),6.15−6.30(m,1H)
IR(NaCl):3354,2975,2932,1720,1630,1534,1454,1407,1379,1363,1321,1282,1223,1168,1099,1081,1032,941,816,766,654,592cm-1
〔合成例3〕
ジエチルカルバモイルクロリド(24.4g,180mmol)をピリジン(400ml)に溶解させた。この溶液に水浴中で冷却しながら、N−メチルエタノールアミン(13.5g,180mmol)をゆっくりと添加した後、室温下で24時間攪拌した。酢酸エチル(200ml)を加えた後、析出物を濾別して得られた溶液を減圧下で濃縮して茶色の液体を得た。この液体をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 200g)により精製して、淡黄色油状物(12.4g)を得た。この淡黄色油状物は、1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物(中間体−2)であることが確認された。精製後の収率は約40%であった。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.14(t,6H),2.89(s,3H),3.21(q,4H),3.32−3.36(m,2H),3.74−3.79(m,2H),4.97(t,1H)
IR(NaCl):3403,2971,2933,2874,1615,1494,1461,1403,1382,1355,1285,1248,1208,1179,1133,1079,1048,994,937,862,797,775,592cm-1
得られた中間体−2(5.0g,29mmol)を脱水ジクロロメタン(70mL)中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(4.6g,45mmol)を加えた。混合物を約−10℃に冷却した後、アクリル酸クロライド(3.3g,36mmol)を、系内温度が−10〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、その後、2時間室温下で攪拌した。析出物を濾過によって取り除き、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 300g)により精製して、淡黄色油状物(4.6g)を得た。この淡黄色油状物は、下記1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物であることが確認された。精製後の収率は約70%であった。この化合物の1H−NMRスペクトルを図3に、IRスペクトルを図4に示す。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.11(t,6H),2.88(s,3H),3.16(q,4H),3.50(t,2H),4.33(t,2H),5.83−5.86(m,1H),6.08−6.15(m,1H),6.38−6.43(m,1H)
IR(NaCl):2971,2935,2875,1727,1645,1487,1461,1405,1354,1294,1270,1188,1134,1064,986,810,667,563cm-1
〔合成例4〕
得られた中間体−2(7.0g,40mmol)を脱水ジクロロメタン(100mL)中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン(5.9g,58mmol)を加えた。混合物を約−10℃に冷却した後、メタクリル酸クロライド(5.1g,48mmol)を、系内温度が−10〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、その後、2時間室温下で攪拌した。析出物を濾過によって取り除き、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。得られた油状物をカラムクロマトグラフィー(Wakogel C300 300g)により精製して、淡黄色油状物(7.8g)を得た。この淡黄色油状物は、下記1H−NMR及びIRから、下記の構造式で表される化合物であることが確認された。精製後の収率は約80%であった。
Figure 0006194620
1H−NMR(CDCl3):δ1.11(t,6H),1.94(s,3H),2.89(s,3H),3.16(q,4H),3.50(t,2H),4.31(t,2H),5.56−5.58(m,1H),6.09−6.11(m,1H)
IR(NaCl):2970,2933,2875,1720,1643,1487,1457,1400,1353,1319,1296,1234,1164,1134,1073,1030,941,814,798,775,656,596cm-1
参考例として、以下のモノマー化合物の市販品(a)〜(g)を入手した。
Figure 0006194620
[実施例1〜4、比較例1〜7]
表1の各実施例及び比較例の欄に示すモノマー化合物950mgと、重合開始剤である2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン(BASFジャパン社製IRGACURE 907)50mgをマグネティックスターラーで混合して評価用の各試料を調製した。
これらの各試料について、以下のようにして、光重合反応性、光硬化性及び試料の臭気を評価した。結果を表1に示す。
<光重合反応性評価>
SII社製DSC−7020とHAYASHI WATCH−WORKS社製スポット光源(LA−410UV)を組み合わせた測定装置(以下、Photo−DSCという)を用いて、各試料の光重合反応性評価を実施した。尚、照射光には波長365nmの光を用い、光量は200mW/cm2とした
光照射後に進行する重合反応に伴う発熱量をPhoto−DSCで測定したが、モノマー化合物の重合反応が終了するのに十分な時間光照射した場合の発熱量の測定を、一つの試料に対して二度繰り返して実施した。一回目の測定で得られる発熱量は、モノマー化合物の重合反応に伴う発熱量に加えて、光照射に伴う発熱量も含んでいる。そこで、一回目の測定で重合反応が終了している試料に対して、同じ条件で再度光照射を行ってモノマーの重合反応熱以外の発熱量を測定した。そして、一回目と二回目の発熱量の差から、モノマー化合物の重合反応に伴う発熱量を得た。
この発熱特性において、光照射開始から最大発熱量に到達するまでの時間をT1(sec.)として、光重合反応の速さを比較する指標とした。
<光硬化性評価>
REOLOGICA社製の粘弾性測定装置VAR200ADと、浜松ホトニクス社製LED光源(LIGHTNINGCURE LC−L1)を組み合わせた測定装置(以下、Photoレオメーター)を用いて各試料の光重合による硬化性の評価を実施した。
測定は、φ20mmコーンプレートを用いて10μmのギャップに試料を挟み、LEDを光源とする光(365nm、50mW/cm2)を照射して、硬化に伴う粘弾性の変化を測定し、弾性率(Pa)が飽和した点で硬化終了とした。測定結果から弾性率の到達点を求め硬化レベルの指標とした。また、弾性率が飽和するまでに照射された光エネルギー(硬化エネルギー)は、照射光強度(ここでは、50mW/cm2)と光を照射した時間(sec.)の積によって算出される。
<臭気評価>
臭気の評価試験を下記の手順で行い、各試料の臭いを嗅いだときの不快感を下記の判定基準に基づいて評価した。
〔手順〕
(1)対象物質を50ccのサンプル瓶(ガラス瓶)に、約100mg(0.1g)秤り量とり、フタをする。
(2)室温条件下で約30分放置する。
(3)サンプル瓶(ガラス瓶)に鼻を近づけて、フタを開けた時の臭気を嗅ぎ、その程度を評価基準に基づいて評価する。
〔評価基準〕
○:臭いを感じないか、においを感じても不快いではないレベル
△:特有の臭気により不快感が生じる。
×:特有の臭気により強い不快感が生じる。
Figure 0006194620
表1からわかるように、実施例1〜4の(メタ)アクリル酸エステル化合物を用いた試料は光重合反応性、光硬化性が高く臭気の問題もないことから、実用性に優れるものである。これらは光反応性の指標であるT1が小さく光による重合反応の進行が速く、硬化性評価の硬化エネルギーも小さく、硬化した際の弾性率も1.0×105レベルの大きな値を示していることから硬化性インクの成分としての機能に優れている。これらの中でも、実施例1〜3は重合反応性と硬化性が非常に高く極めて優れた機能を有しており、特に、実施例1と実施例3が優れている。
一方、比較例の中では、モノマー化合物の構造中の極性基がエーテル構造の場合(比較例1、比較例2)では、モノマー化合物の有する臭気が強い不快感を与える結果となっている。また、極性基としてモルホリン環を有する場合(比較例3、比較例4)とウレタン構造を有する場合(比較例7)においても、臭気が不快感を与えるレベルになっている。
更に、極性基として強い水酸基(OH)を有する場合(比較例5、比較例6)において臭気が良好な結果が得られているが、実施例と比べて、比較例5では硬化時の弾性率が低いレベルに留まっており、比較例6では重合反応性が低く硬化に必要なエネルギーも大きな値となっている。
また、比較例全体を見てみると、反応性官能基がメタクリレートの場合(比較例2、比較例4、比較例6)は何れも、重合反応性が低く、硬化するのに大きなエネルギーを必要としていて硬化特性に劣る結果となっている。一方、反応性官能基がアクリレートの場合(比較例1、比較例3、比較例5、比較例7)は、重合反応性に優れるものの、硬化時の弾性率が低いレベルで飽和していることから、実施例に比べて硬化物としての強度に劣ると考えられる。
上記のように本発明の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、光重合反応性、光硬化性が高く臭気の問題もないことから、実用性に優れるものである。このことは、特定のウレア構造を分子内に有していることによるものであると考えられる。言い換えると、(メタ)アクリル酸エステル化合物の極性構造による分子間相互作用のバランスが適切な領域にあることによって、高い反応性、硬化性、更に低臭気を両立していると考えられる。
更に、本発明の実施例3と実施例4の(メタ)アクリル酸エステル化合物(重合性化合物)100部と前記の重合開始剤(BASFジャパン社製IRGACURE 907)10部と着色顔料3部からインクジェット用インクを調製した。この際の配合費(部)は質量基準である。着色顔料については、黒色顔料として、BASFジャパン株式会社、MICROLITH Black C−K (カーボンブラック顔料)を用い、青色顔料として、BASFジャパン株式会社、MICROLITH Blue 4G−Kを用いた。ここで得られたインクジェット用インク組成物を市販のスライドガラス上にインクジェット吐出し形成された膜に対し、フュージョンシステムズジャパン社製UV照射機LH6により、200mW/cm2の照度で光照射して硬化させた結果、問題なく吐出可能で、硬化できていることを確認した。
特開2007−231231号公報 特開2007−231233号公報 特開2009−67926号公報 特開2009−144057号公報 特開2006−257155号公報 特開2009−249561号公報 特開2010−181677号公報 特開2007−138118号公報 特開2007−177174号公報 特開2009−179681号公報 特許第3461501号公報 特許第3544658号公報 特開2012−140551号公報 特開2012−140583号公報
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Claims (1)

  1. 少なくとも、下記式(2)で表される重合性化合物、下記式(3)で表される重合性化合物、下記式(4)で表される重合性化合物、又は、下記式(5)で表される重合性化合物と、重合開始剤とを含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化型のインクジェット記録用インク。
    Figure 0006194620
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