JP6798116B2 - 立体造形用材料、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、インク容器、インク吐出装置、及び像形成方法 - Google Patents

立体造形用材料、活性エネルギー線硬化型インクジェットインク、インク容器、インク吐出装置、及び像形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、インク容器、インク吐出装置、像形成方法、及び像に関する。
紙等の記録媒体上に画像を形成する方法として、インクジェット記録方式が知られている。このインクジェット記録方式は、インクの消費効率が高く省資源性に優れており、単位記録当たりのインクコストを低く抑えることが可能である。
近年、活性エネルギー線硬化型インクを用いたインクジェット記録方式が注目されている。例えば、極性基としてウレタン構造や、ヘテロ原子を含む環状構造とウレタン構造が連結した母核構造を持つ(メタ)アクリレート化合物及び該化合物を用いた活性エネルギー線硬化型組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、分子内に極性基としてカルボキシル基を持つ重合性化合物を用いたインク組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、フェノキシエチルアクリレートと、ビニルカプロラクタムと、水酸基を有する2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートとを組合せて用いるインクジェト用インク組成物が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
本発明は、臭気が少なく、光重合性及び光硬化性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有する。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
本発明によると、臭気が少なく、光重合性及び光硬化性に優れた活性エネルギー線硬化型組成物を提供することができる。
図1は、本発明における像形成装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明における別の像形成装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明における更に別の像形成装置の一例を示す概略図である。 図4は、インク容器のインク袋の一例を示す概略図である。 図5は、インク袋を収容したインク容器の一例を示す概略図である。
(活性エネルギー線硬化型組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
前記一般式(1)において、Xの電子吸引性官能基としては、カルボニル基を有する構造、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられる。これらの中でも、電子吸引性が強いシアノ基と弱いハロゲン原子との間にあることでモノマー自身の極性が重合開始剤等の成分との相溶性に優れる点から、カルボニル基を有する構造が好ましい。
前記カルボニル基を有する構造としては、例えば、エステル基、ケトン基、ホルミル基、アミド基、カルボキシル基などが挙げられる。
前記一般式(1)において、Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。
前記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などが挙げられる。
前記アルキルオキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などが挙げられる。
nは、0〜5の整数を表し、0が好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は、ベンゼン環を有する構造を母核とした単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物であり、母核構造から分岐した非プロトン性の極性構造を有している。単官能の(メタ)アクリル酸エステル化合物は、重合反応が進行する際に架橋構造を形成することができないために、多官能(メタ)アクリル酸エステル化合物に比べて固まりにくく硬化性が悪くなる傾向にある。このような単官能(メタ)アクリル酸エステル化合物に対しては、分子構造中に環状構造を導入することで、硬化物のガラス転移温度(Tg)が高くなり固まりやすくなる。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、環状構造のベンゼン環に加えて、分岐構造として電子吸引性の非プロトン性の極性基が導入されている。この分岐した非プロトン性極性基は(メタ)アクリル酸エステル化合物同士をひきつけることで重合反応の進行を促すとともに、重合反応後の硬化物中においても極性基によって形成された相互作用によって、硬化物の硬度を高める機能を有していると考えられる。また、非プロトン性極性基であることから、分子間相互作用が適度に抑えられることから、粘度の大幅な上昇を招くこともなく、活性エネルギー線硬化型組成物に適している。
このように、芳香族環状構造と分岐構造として導入された非プロトン性極性基の組み合わせた(メタ)アクリル酸エステル化合物によって、活性エネルギー線硬化型組成物の機能を向上させることができる。その結果、前記一般式(1)で表される化合物を用いた活性エネルギー線硬化型組成物は硬化性が非常に高く低エネルギーでの硬化が可能となる。
前記一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
前記一般式(2)におけるRとしては、炭素数1〜3のアルキル基であることが好ましい。
前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物であることが好ましい。
ただし、前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
前記一般式(3)におけるRとしては、水素原子が好ましい。
次に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、これらの例中のRは前述したとおりである。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、例えば、非酸化性雰囲気下、マンデレート化合物及び強アミンを含む不活性溶剤液中に、(メタ)アクリルクロリドを、低温撹拌しつつゆっくり滴下後、数十分間〜数時間撹拌保持し、反応生成物含有液をアルカリ液で洗浄、乾燥、精製することにより合成することができる(下記反応式1)。
また、原料のマンデレート化合物は、Eur. J. Org. Chem. 2008, 5692−5695に開示のマンデレート合成法に準じて、パラジウム触媒の存在下、アリルボロン酸と、アルキル―又はアリール―グリオギザレートとの反応により合成することができ(下記反応式2)、又は、Suzuki−Miura Coupling 反応(下記反応式3)により合成することができ、例えば、エチルマンデレートは、下記反応式4によって合成することができる。
ただし、前記式中、Etは、エチル基を表す。
また、原料のマンデレートとしては市販品を用いることもでき、例えば、メチルマンデレート、メチルマンデレートなどは既に上市されている。マンデレート以外の原料、例えば、シアノ基を有するマンデロニトリルについても市販品を用いることができる。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物は、異なる化合物同士を2種以上混合して用いることができ、この場合の異なる化合物には構造異性体も含まれる。なお、混合比は特に限定されない。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型組成物の全量に対して、20質量%以上98質量%以下が好ましく、30質量%以上90質量%以下がより好ましく、30質量%以上80質量%以下が更に好ましい。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、例えば、重合開始剤、着色剤、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の重合性化合物、増感剤、共増感剤、重合禁止剤、溶媒、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、粘着付与剤(タッキファイヤー)などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
−重合開始剤−
活性エネルギー線硬化型組成物は、更に重合開始剤を含むことが好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤(光酸発生剤)、光アニオン重合開始剤(光塩基発生剤)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、光ラジカル重合開始剤、光アニオン重合開始剤が好ましく、光ラジカル重合開始剤がより好ましい。前記光重合開始剤とは、活性エネルギー線を吸収して重合開始種を生成する化合物を意味する。
前記光ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ケトン類、アシルホスフィンオキシド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
前記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4’−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4’−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4’−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジ(メトキシカルボニル)−4,4’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4’−ビス(メトキシカルボニル)−4,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(メトキシカルボニル)−3,3’−ビス(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕−2−(o−ベンゾイルオキシム)、2−(4’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’,4’−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2’−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4’−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−〔p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)〕−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2’−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4’−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス〔2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)フェニル〕チタニウム、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、活性エネルギー線硬化型組成物に含まれる他の成分に対する溶解性が高く、少ない活性エネルギー線照射量でインクを硬化させることができる点から、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819)、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(DAROCUR TPO)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE 184)、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン(IRGACURE 907)、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イルフェニル)ブタン−1−オン(IRGACURE 379)(以上、BASFジャパン株式会社製)が好ましい。
前記光カチオン重合開始剤としては、例えば、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウム等の芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩、スルホン酸を発生することが可能なスルホン化物、ハロゲン化水素を発生することが可能なハロゲン化物、鉄アレン錯体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光アニオン重合開始剤としては、例えば、o−ニトロベンジルカルバメート誘導体、o−アシルオキシル誘導体、o−カルバモイルオキシムアミジン誘導体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−着色剤−
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、更に着色剤を含んでもよく、これにより着色画像を形成することができる。無論、着色剤を含まなくてもよい。
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、顔料、油溶性染料、水溶性染料、分散染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、耐候性、及び色再現性の点から、顔料、油溶性染料が好ましく、顔料がより好ましい。前記着色剤を含有することにより、着色画像を形成することができる。
なお、前記着色剤としては、活性エネルギー線による光重合反応の感度を低下させない点から、重合禁止剤として機能しない化合物であることが好ましい。
前記顔料としては、例えば、赤色顔料、マゼンタ顔料、青色顔料、シアン顔料、緑色顔料、黄色顔料、黒色顔料、白色顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記赤色顔料又は前記マゼンタ顔料として、例えば、Pigment Red 3、5、19、22、31、38、43、48:1、48:2、48:3、48:4、48:5、49:1、53:1、57:1、57:2、58:4、63:1、81、81:1、81:2、81:3、81:4、88、104、108、112、122、123、144、146、149、166、168、169、170、177、178、179、184、185、208、216、226、257;Pigment Violet 3、19、23、29、30、37、50、88;Pigment Orange 13、16、20、36などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記青色顔料又は前記シアン顔料としては、例えば、Pigment Blue 1、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17−1、22、27、28、29、36、60などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記緑色顔料としては、例えば、Pigment Green 7、26、36、50などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黄色顔料としては、例えば、Pigment Yellow 1、3、12、13、14、17、34、35、37、55、74、81、83、93、94、95、97、108、109、110、137、138、139、153、154、155、157、166、167、168、180、185、193などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記黒色顔料としては、例えば、Pigment Black 7、28、26などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記白色顔料としては、例えば、Pigment White 6、18、21などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記油溶性染料としては、例えば、イエロー油溶性染料、マゼンタ油溶性染料、シアン油溶性染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記イエロー油溶性染料としては、例えば、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;カップリング成分として、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料、モノメチンオキソノール染料等のメチン染料;ナフトキノン染料、アントラキノン染料等のキノン系染料;キノフタロン染料;ニトロ・ニトロソ染料;アクリジン染料;アクリジノン染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マゼンタ油溶性染料としては、例えば、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料;カップリング成分として、ピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料等のメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料等のカルボニウム染料;ナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドン等のキノン系染料;ジオキサジン染料等の縮合多環系染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記シアン油溶性染料としては、例えば、インドアニリン染料、インドフェノール染料、カップリング成分として、ピロロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料等のポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料等のカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分として、フェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記油溶性染料の具体例としては、例えば、C.I.ソルベント・ブラック 3、7、27、29、34;C.I.ソルベント・イエロー 14、16、19、29、30、56、82、93、162;C.I.ソルベント・レッド 1、3、8、18、24、27、43、49、51、72、73、109、122、132、218;C.I.ソルベント・バイオレット 3;C.I.ソルベント・ブルー 2、11、25、35、38、67、70;C.I.ソルベント・グリーン 3、7;C.I.ソルベント・オレンジ 2などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料などが挙げられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー3,4;C.I.フードレッド7,9,14;C.I.フードブラック1,2などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102;C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック2,8などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記分散染料としては、例えば、C.I.ディスパースイエロー 5、42、54、64、79、82、83、93、99、100、119、122、124、126、160、184:1、186、198、199、201、204、224、237;C.I.ディスパーズオレンジ 13、29、31:1、33、49、54、55、66、73、118、119、163;C.I.ディスパーズレッド 54、60、72、73、86、88、91、92、93、111、126、127、134、135、143、145、152、153、154、159、164、167:1、177、181、204、206、207、221、239、240、258、277、278、283、311、323、343、348、356、362;C.I.ディスパーズバイオレット 33、C.I.ディスパーズブルー 56、60、73、87、113、128、143、148、154、158、165、165:1、165:2、176、183、185、197、198、201、214、224、225、257、266、267、287、354、358、365、368;C.I.ディスパーズグリーン 6:1、9などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記顔料は、活性エネルギー線硬化型組成物中で適度に分散していることが好ましく、前記分散としては、分散装置を用いる方法、分散剤を添加する方法などが挙げられる。
前記分散装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ボールミル、サンドミル、リングミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカーなどが挙げられる。
前記分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、高分子分散剤などが挙げられる。
前記顔料の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、0.005μm以上0.5μm以下が好ましく、0.01μm以上0.45μm以下がより好ましく、0.015μm以上0.4μm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径が、0.005μm以上0.5μm以下であると、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、透明性及び光硬化性を維持することができる。
前記顔料の含有量(質量%)と、分散剤の含有量(質量%)との質量比(分散剤/顔料)としては、0.01以上0.50以下が好ましい。
前記着色剤の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物の全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上8質量%以下がより好ましい。
なお、酸化チタン等の白色顔料を着色剤とする白色インク中の前記着色剤の含有量としては、隠蔽性を確保する点から、5質量%以上30質量%以下が好ましく、10質量%以上25質量%以下がより好ましい。
−前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の光重合性化合物−
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、一般式(1)で表される化合物以外のその他の光重合性化合物を含むことも可能である。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物以外の光重合性化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光ラジカル重合性化合物、光カチオン重合性化合物、光アニオン重合性化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル重合性化合物としては、例えば、光ラジカル重合することができるエチレン性不飽和基を1個以上有する化合物であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モノマー、オリゴマー、ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル重合性化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、これらの塩及びこれらから誘導される化合物、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトリル、スチレン、不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光ラジカル重合性化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体;メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル酸誘導体;N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のアクリルアミド誘導体;アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体;エチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ヒドロキシエチルモノビニルエーテル、ヒドロキシノニルモノビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−o−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物;2−エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールエチレンオキシド付加物アクリレート、変性グリセリントリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物ジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ラクトン変性可撓性アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、プロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、2−ヒドロキシエチルアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアナートウレタンプレポリマー、ステアリルアクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記光アニオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、ラクトン化合物、アクリル化合物、メタクリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、光ラジカル重合性化合物として例示したアクリル系化合物、メタクリル系化合物が好ましい。
なお、光重合性化合物と光重合開始剤との組合せとしては、例えば、光ラジカル重合性化合物と光ラジカル重合開始剤との組合せ、光カチオン重合性化合物と光カチオン重合開始剤との組合せ、光アニオン重合性化合物と光アニオン重合開始剤との組合せなどが挙げられる。
前記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物の含有量(質量%)と、その他の光重合性化合物の含有量(質量%)の質量比(その他の光重合性化合物/一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物)としては、0.01以上100以下が好ましく、0.1以上50以下がより好ましい。
前記光重合性化合物及び前記着色剤の含有量(質量%)と、前記光重合開始剤の含有量(質量%)との質量比[(光重合開始剤/(光重合性化合物+前記着色剤)]としては、0.01以上0.50以下が好ましく、0.02以上0.40以下がより好ましく、0.05以上0.30以下が特に好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線照射による光重合開始剤の分解を促進させるため、更に増感剤を含んでいてもよい。
−増感剤−
前記増感剤は、活性エネルギー線照射による光重合開始剤の分解を促進させるために含有することができる。
前記増感剤としては、活性エネルギー線を吸収して電子励起状態となり、その状態で重合開始剤と接触して、例えば、電子移動、エネルギー移動、発熱等の作用により重合開始剤の化学変化(分解、ラジカル、酸又は塩基の生成)を促進する。
前記増感剤の含有量(質量%)と、前記光重合開始剤の含有量(質量%)との質量比としては、5×10−3以上200以下が好ましく、0.02以上50以下がより好ましい。
前記増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、波長が350nm以上450nm以下の領域に吸収波長を有する増感色素などが挙げられる。
前記増感色素としては、例えば、多核芳香族類(例えば、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えば、チアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリリウム類(例えば、スクアリリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−共増感剤−
前記共増感剤としては、例えば、前記増感色素の活性エネルギー線に対する感度を一層向上させたり、酸素による光重合性化合物の重合阻害を抑制することができる。
前記共増感剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリエタノールアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ホルミルジメチルアニリン、p−メチルチオジメチルアニリン等のアミン系化合物、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−4(3H)−キナゾリン、β−メルカプトナフタレン等のチオール及びスルフィド類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高級脂肪酸系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤などが挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、更に重合禁止剤を含んでいてもよい。
−重合禁止剤−
前記重合禁止剤は、活性エネルギー線硬化型組成物の保存性(保管安定性)を向上させるため、活性エネルギー線硬化型組成物を加熱し粘度を低下させて吐出する場合の熱重合によるヘッド詰まりを防ぐために含有させることができる。
前記重合禁止剤としては、特に制限はなく、例えば、ハイドロキノン、ベンゾキノン、p−メトキシフェノール、TEMPO、TEMPOL、アルミニウムのクペロン錯体などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記重合禁止剤の含有量としては、200ppm以上20,000ppm以下が好ましい。
−溶媒−
前記活性エネルギー線硬化型組成物は、活性エネルギー線硬化型のものであるため、溶剤を含まないことが好ましいが、例えば、硬化後のインクと記録媒体との接着性を向上させるため、インクの硬化速度等に影響しない場合に限り、溶媒を含んでいてもよい。
前記溶媒としては、特に制限はなく、例えば、有機溶媒、水などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記溶媒の含有量としては、活性エネルギー線硬化型組成物全量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.1質量%以上3質量%以下がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、界面活性剤、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類等を更に含んでいてもよい。
また、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、ポリオレフィンフィルム、PETフィルム等に対する接着性を改善するため、重合阻害のない粘着付与剤(タッキファイヤー)を更に含んでいてもよい。
<活性エネルギー線>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
<活性エネルギー線硬化型組成物の調製>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、重合性モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更に重合性モノマー、開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の粘度は、用途や適用手段に応じて適宜調整すればよく、特に限定されないが、例えば、当該組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、20℃から65℃の範囲における粘度、望ましくは25℃における粘度が3〜40mPa・sが好ましく、5〜15mPa・sがより好ましく、6〜12mPa・sが特に好ましい。また当該粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。なお、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
<用途>
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物の用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料、壁や床等をはじめとする建材などが挙げられる。
更に、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物は、インクとして用いて2次元の文字や画像、各種基材への意匠塗膜を形成するだけでなく、3次元の立体像(立体造形物)を形成するための立体造形用材料としても用いることができる。この立体造形用材料は、例えば、粉体層の硬化と積層を繰り返して立体造形を行う粉体積層法において用いる粉体粒子同士のバインダーとして用いてもよく、また、図2や図3に示すような積層造形法(光造形法)において用いる立体構成材料(モデル材)や支持部材(サポート材)として用いてもよい。なお、図2は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を所定領域に吐出し、活性エネルギー線を照射して硬化させたものを順次積層して立体造形を行う方法であり(詳細後述)、図3は、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物5の貯留プール(収容部)1に活性エネルギー線4を照射して所定形状の硬化層6を可動ステージ3上に形成し、これを順次積層して立体造形を行う方法である。
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて立体造形物を造形するための立体造形装置としては、公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、該組成物の収容手段、供給手段、吐出手段や活性エネルギー線照射手段等を備えるものが挙げられる。
また、本発明は、活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
上記基材としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられ、加工性の観点からはプラスチック基材が好ましい。
<インク容器>
本発明のインク容器は、活性エネルギー線硬化型インクが収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
次に、前記インク容器について、図4及び図5を参照して説明する。ここで、図4は、インク容器の一例を示す図であり、図5は図4のインク容器200のケース(外装)も含めた図である。
インク容器200は、図4に示すように、インク注入口242からインク袋241内に充填され、排気した後、該インク注入口242は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口243に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋241は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋241は、図5に示すように、通常、プラスチック製のインク容器ケース244内に収容され、各種装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
(インク吐出装置)
本発明のインク吐出装置は、本発明の前記インク容器を備え、更に必要に応じてその他の部材を有してなる。
<像の形成方法、形成装置>
本発明の像の形成方法は、少なくとも、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を硬化させるために、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明の像の形成装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、本発明の活性エネルギー線硬化型組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。更に、活性エネルギー線硬化型組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた像形成装置の一例である。イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色活性エネルギー線硬化型インクのインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dにより、供給ロール21から供給された被記録媒体22にインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24a、24b、24c、24dから、活性エネルギー線を照射して硬化させ、カラー画像を形成する。その後、被記録媒体22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各色印刷ユニット23a、23b、23c、23dには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により記録媒体を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット記録方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する記録媒体に対し、ヘッドを移動させて記録媒体上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に記録媒体を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから記録媒体上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
被記録媒体22は、特に限定されないが、紙、フィルム、金属、これらの複合材料等が挙げられ、シート状であってもよい。また片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。
更に、光源24a、24b、24cからの活性エネルギー線照射を微弱にするか又は省略し、複数色を印刷した後に、光源24dから活性エネルギー線を照射してもよい。これにより、省エネ、低コスト化を図ることができる。
本発明のインクにより記録される記録物としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、本発明に係る別の像形成装置(3次元立体像の形成装置)の一例を示す概略図である。図2の像形成装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニット(AB方向に可動)を用いて、造形物用吐出ヘッドユニット30から第一の活性エネルギー線硬化型組成物を、支持体用吐出ヘッドユニット31、32から第一の活性エネルギー線硬化型組成物とは組成が異なる第二の活性エネルギー線硬化型組成物を吐出し、隣接した紫外線照射手段33、34でこれら各組成物を硬化しながら積層するものである。より具体的には、例えば、造形物支持基板37上に、第二の活性エネルギー線硬化型組成物を支持体用吐出ヘッドユニット31、32から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成した後、当該溜部に第一の活性エネルギー線硬化型組成物を造形物用吐出ヘッドユニット30から吐出し、活性エネルギー線を照射して固化させて第一の造形物層を形成する工程を、積層回数に合わせて、上下方向に可動なステージ38を下げながら複数回繰り返すことで、支持体層と造形物層を積層して立体造形物35を製作する。その後、必要に応じて支持体積層部36は除去される。なお、図2では、造形物用吐出ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
また、H−NMRスペクトルは、H−NMR(500MHz)(日本電子株式会社製、ECX500)を用いて測定した。IRスペクトルは、FT−IR SpectrumGX(PERKIN ELMER社製、SpectrumGX)を用いて測定した。
(実施例1a)
下記手順により化合物1aを合成した。
東京化成工業株式会社製のDLマンデル酸エチル12.6g(70mmol)を脱水ジクロロメタン130mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン8.5g(84mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、アクリル酸クロリド7.6g(84mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間攪拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)350gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、茶色油状物を精製して、下記化学式で表される化合物(1a)の無色油状物11.2g(収率約68%)を得た。
同定データは次に示すとおりである。
H−NMR(CDCl):δ1.22(t,3H),4.10−4.27(m,2H),5.94(dd,1H),5.99(s,1H),6.22−6.28(m,1H),6.53(dd,1H),7.38−7.42(m,3H),7.48−7.51(m,2H)
IR(NaCl):3067,3037,2984,1754,1732,1635,1498,1456,1407,1371,1335,1296,1259,1214,1174,1083,1045,1029,983,925,854,808,734,698cm−1
(実施例2a)
下記手順により化合物2aを合成した。
東京化成工業株式会社製のDLマンデル酸エチル10.8g(60mmol)を脱水ジクロロメタン130mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン7.3g(72mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、メタクリル酸クロリド7.5g(72mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間攪拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)300gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、茶色油状物を精製して、下記化学式で表される化合物(2a)の無色油状物8.0g(収率約54%)を得た。
同定データは次に示すとおりである。
H−NMR(CDCl):δ1.22(t,3H),1.60,1.63,2.01(s,3H),1.66,1.73(s,1H),4.10−4.26(m,2H),5.66−5.68,5.94−5.96,6.26−6.28(m,2H)
IR(NaCl):3036,2985,2935,1754,1725,1680,1637,1498,1455,1371,1323,1294,1268,1243,1213,1154,1109,1042,949,856,813,763,732,697,603,544cm−1
(実施例3a)
下記手順により化合物3aを合成した。
東京化成工業株式会社製のDLマンデル酸メチル11.6g(70mmol)を脱水ジクロロメタン130mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン8.5g(84mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、アクリル酸クロリド7.6g(84mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間攪拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)300gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、茶色油状物を精製して、下記化学式で表される化合物(3a)の無色油状物11.1g(収率約72%)を得た。
同定データは次に示すとおりである。
H−NMR(CDCl):δ3.74(s,3H),5.94(dd,1H),6.02(s,1H),6.23−6.28(m,1H),6.54(dd,1H),7.38−7.42(m,3H),7.48−7.51(m,2H)
IR(NaCl):3067,3037,2956,1758,1731,1634,1619,1588,1498,1455,1437,1407,1352,1275,1258,1219,1171,1083,1065,1016,980,937,854,809,782,735,698,677,650,549cm−1
(実施例4a)
下記手順により化合物4aを合成した。
東京化成工業株式会社製のDLマンデル酸ベンジル13.3g(55mmol)を脱水ジクロロメタン130mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン6.7g(66mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、アクリル酸クロリド6.0g(66mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間攪拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して茶色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)300gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、茶色油状物を精製して、下記化学式で表される化合物(4a)の無色油状物12.5g(収率約77%)を得た。
同定データは次に示すとおりである。
H−NMR(CDCl):δ5.14(d,1H),5.20(d,1H),5.93(dd,1H),6.06(s,1H),6.22−6.28(m,1H),6.53(dd,1H),7.19−7.22(m,2H),7.28−7.31(m,3H),7.37−7.40(m,3H),7.46−7.50(m,2H)
IR(NaCl):3066,3035,2957,1756,1731,1634,1618,1587,1498,1456,1406,1379,1333,1258,1208,1169,1083,1064,1029,1003,982,849,808,778,737,697,589,546,500cm−1
(実施例5a)
下記手順により化合物5aを合成した。
COMBI−BLOCKS社製のマンデロニトリル9.3g(70mmol)を脱水ジクロロメタン130mL中に加え、フラスコ内をアルゴンガスで置換した後、トリエチルアミン8.5g(84mmol)を加えた。次に、約−10℃まで冷却した後、アクリル酸クロリド7.6g(84mmol)を、系内温度が−10℃〜−5℃になるようにゆっくりと滴下し、室温下で2時間攪拌した。更に、析出物を濾過により除去した後、濾液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した。次に、硫酸ナトリウムで乾燥させた後、減圧下で濃縮して黄色油状物を得た。更に、Wakogel C300(和光純薬工業株式会社製)350gを充填し、溶出液としてヘキサンと酢酸エチルを用いたカラムクロマトグラフィーにより、黄色油状物を精製して、下記化学式で表される化合物(5a)の無色油状物9.1g(収率約69%)を得た。
同定データは次に示すとおりである。
H−NMR(CDCl):δ6.00(dd,1H),6.15−6.20(m,1H),6.51(s,1H),6.55(dd,1H),7.45−7.48(m,3H),7.53−7.56(m,2H)
IR(NaCl):3069,3039,2950,1738,1633,1496,1457,1406,1294,1247,1163,1039,983,956,923,901,828,805,760,697,622,523cm−1
(比較例1a)
市販の下記化学式で表されるフェノキシエチルアクリレート(東京化成工業株式会社製)を比較例1aの化合物(比1a)とした。
(比較例2a)
市販の下記化学式で表されるイソボニルアクリレート(東京化成工業株式会社製)を比較例2aの化合物(比2a)とした。
(比較例3a)
特開2013−256487号公報の合成例5に従って合成した下記化学式で表される化合物を比較例3aの化合物(比3a)とした。
(比較例4a)
特開2013−256487号公報の合成例7に従って合成した下記化学式で表される化合物を比較例4aの化合物(比4a)とした。
(比較例5a)
市販の下記化学式で表されるエチレングリコールフェニルエーテルメタクリレート(フェノキシエチルメタクリレート)(Aldrich社製)を比較例5aの化合物(比5a)とした。
前記化合物(1a)〜(5a)及び化合物(比1a)〜(比5a)の各活性エネルギー線硬化性化合物について、粘度及び臭気のなさを、以下のようにして評価した。結果を表1に示した。
<粘度>
前記化合物(1a)〜(5a)及び化合物(比1a)〜(比5a)の各活性エネルギー線硬化性化合物の粘度を、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃として測定した。
<臭気のなさ>
前記化合物(1a)〜(5a)及び化合物(比1a)〜(比5a)の各活性エネルギー線硬化性化合物の臭気を、次の(1)〜(3)の手順により、「臭気のなさ」を評価した。評価基準は下記のとおりである。
(1)50mLのサンプル瓶(ガラス瓶)に、約100mg(0.1g)の各化合物を秤り取り、フタをした。
(2)室温条件下で、約30分間放置した。
(3)サンプル瓶(ガラス瓶)に鼻を近づけて、フタを開けた時の臭気を嗅いだ。
[評価基準]
○:臭いを感じない又は感じても不快ではない
△:特有の臭気により不快感が生じる
×:特有の臭気により強い不快感が生じる
表1の結果から、実施例1aから5aと比較例3a、4aの活性エネルギー線硬化性化合物は臭気が少ないことがわかった。また、実施例1aから5aにおいては、実施例1aから4aが特に臭気が少ない結果となっている。
(実施例1b〜5b)
−光硬化性組成物の作製−
実施例1a〜5aの活性エネルギー線硬化性化合物(化合物1a〜5a)950mgと、光重合開始剤(商品名:IRGACURE 907、成分名:2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、BASFジャパン株式会社製)50mgを、マグネティックスターラーを用いて混合し、実施例1b〜5bの活性エネルギー線硬化型組成物A〜Eを作製した。
(比較例1b〜比較例5b)
実施例1bにおいて、表2に示す活性エネルギー線硬化性化合物を用いた以外は、実施例1bと同様にして、比較例1b〜比較例5bの活性エネルギー線硬化型組成物F〜Jを作製した。
次に、前記実施例1b〜5b及び比較例1b〜5bの各活性エネルギー線硬化型組成物A〜Jについて、光重合性及び光硬化性を、下記のようにして評価した。結果を表2に示す。
<光重合性>
示差走査熱量計(商品名:DSC−7020、セイコーインスツル株式会社製)と、紫外線照射装置(PDC−7、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、各活性エネルギー線硬化型組成物の光重合性を評価した。
具体的には、活性エネルギー線硬化性化合物の重合が終了するのに十分な時間、波長365nmの紫外線を200mW/cmで照射した場合の発熱量を、一つの試料に対して二度測定した。
一回目の測定で得られる発熱量は、活性エネルギー線硬化性化合物の重合に伴う発熱量に加えて、紫外線照射に伴う発熱量も含んでいる。そこで、一回目の測定で重合が終了している試料に対して、同じ条件で再度紫外線を照射して活性エネルギー線硬化性化合物の重合に伴う発熱量以外の発熱量を測定した。そして、一回目と二回目の発熱量の差から、活性エネルギー線硬化性化合物の重合に伴う発熱量を算出した。このとき、紫外線照射の開始から最大発熱量に到達するまでの時間をT[秒]として、光重合の速さを比較する指標とした。
<光硬化性>
粘弾性測定装置(商品名:MCR302、Anton−Parr社製)とオプションのUV硬化測定セル、LED光源(商品名:LIGHTNINGCURE LC−L1、浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、各活性エネルギー線硬化型組成物の光硬化性を測定した。
具体的には、直径20mmのコーンプレートを用いて10μmのギャップに試料を挟んだ後、波長365nmの紫外線を50mW/cmで照射し、弾性率が飽和するまで粘弾性の変化を測定した。測定結果から弾性率の最大値を求め、硬化レベルの指標とした。
また、貯蔵弾性率が飽和するまでに照射された紫外線のエネルギー、即ち、硬化エネルギーは、紫外線の強度(50mW/cm)と、紫外線を照射した時間[秒]との積から算出される。
表2の結果から、実施例1bから5bの活性エネルギー線硬化型組成物は、光重合性と光硬化性に優れていることがわかった。特に光硬化性において、比較例よりも貯蔵弾性率が高く、硬化エネルギーも非常に小さくなっていることがわかった。
同じベンゼン環を有する比較例1b、比較例5bや脂肪族環構造を有する比較例2bに対して光硬化性が優れることで、分岐極性基(エステル構造)の導入によって優れた機能を発現していることがわかった。また、分子内に環構造と極性基を組合わせて導入した比較例3b、4bに対しても優れた機能を発現していることから、環構造と分岐極性基を導入することによる効果が確認された。
(実施例1c〜5c)
−インクの作製−
実施例1a〜5aで得た活性エネルギー線硬化性化合物(化合物1a〜5a)100質量部、光重合開始剤(商品名:IRGACURE 907、BASFジャパン株式会社製)10質量部、及びカーボンブラック(商品名:MICROLITH Black C−K、BASFジャパン株式会社製)3質量部を混合して、実施例1c〜5cのインクを得た。
<インクの硬化性評価1>
スライドガラス上に、実施例1c〜5cのインクをインクジェット記録装置(株式会社リコー製、ヘッド:リコープリンティングシステム社製GEN4)を用いて、インクジェット吐出した後、UV照射機(商品名:LH6、フュージョンシステムズジャパン株式会社製)を用いて、波長が365nmの紫外線を200mW/cmで照射し硬化させた。
その結果、各インクは、問題なくインクジェット吐出することが可能であり、インク画像が十分に硬化していた。
また、このインクは、実質的に実施例1b〜5bの各活性エネルギー線硬化型組成物を用いたものに相当するが、念のため活性エネルギー線硬化型組成物の場合と同様にして光重合性と光硬化性を測定したところ、いずれも実施例1b〜5bの活性エネルギー線硬化型組成物と同様に優れていることが確認された。
<インクの硬化性評価2>
つけペンのペン先を実施例1c〜5cのインクに浸し、PETフィルム及び普通紙に文字を書いた後、UV照射機(商品名:LH6、フュージョンシステムジャパン株式会社製)を用いて、波長365nmの紫外線を200mW/cmで照射し硬化させた。その結果、インク画像は十分に硬化していた。
本発明の態様としては、以下のとおりである。
<1> 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型組成物である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
<2> 前記一般式(1)におけるXがカルボニル基を有する構造である前記<1>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<3> 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である前記<1>から<2>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
<4> 前記一般式(2)におけるRが、炭素数1〜3のアルキル基である前記<3>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<5> 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である前記<3>から<4>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
ただし、前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
<6> 前記一般式(3)におけるRが、水素原子で表される化合物である前記<5>に記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<7> 立体造形用材料である前記<1>から<6>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物である。
<8> 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクである。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
<9> インクジェット用である前記<8>に記載の活性エネルギー線硬化型インクである。
<10> 前記<8>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インクが容器中に収容されてなることを特徴とするインク容器である。
<11> 前記<10>に記載のインク容器を備えたことを特徴とするインク吐出装置である。
<12> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて二次元又は三次元の像を形成することを特徴とする像形成方法である。
<13> 前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物を用いて形成された像である。
<14> 下記一般式(1)から(3)のいずれかで表されることを特徴とする活性エネルギー線硬化性化合物である。
ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。nは、0〜5の整数を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
ただし、前記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
ただし、前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
前記<1>から<7>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型組成物、前記<8>から<9>のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インク、前記<10>に記載のインク容器、前記<11>に記載のインク吐出装置、前記<12>に記載の像形成方法、前記<13>に記載の像、及び前記<14>の活性エネルギー線硬化性化合物は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
21 被印刷基材供給ロール
22 被印刷基材
23a イエロー印刷ユニット
23b マゼンタ印刷ユニット
23c シアン印刷ユニット
23d ブラック印刷ユニット
24a イエローインクを光硬化させる光源
24b マゼンタインクを光硬化させる光源
24c シアンインクを光硬化させる光源
24d ブラックインクを光硬化させる光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
特開2013−256487号公報 特開2006−299094号公報 特開2007−56232号公報

Claims (15)

  1. 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする立体造形用材料。
    ただし、前記一般式(1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
  2. 前記一般式(1)におけるXがカルボニル基を有する構造である請求項1に記載の立体造形用材料。
  3. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用材料。
    ただし、前記一般式(2)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。Rは、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
  4. 前記一般式(2)におけるRが、炭素数1〜3のアルキル基である請求項3に記載の立体造形用材料。
  5. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項3から4のいずれかに記載の立体造形用材料。
    ただし、前記一般式(3)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
  6. 前記一般式(3)におけるRが、水素原子で表される化合物である請求項5に記載の立体造形用材料。
  7. 下記一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル化合物を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
    ただし、前記一般式(1)中、R は、水素原子又はメチル基を表す。R は、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はアルキルオキシ基を表す。Xは、電子吸引性官能基を示す。
  8. 前記一般式(1)におけるXがカルボニル基を有する構造である請求項7に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  9. 前記一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である請求項7から8のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
    ただし、前記一般式(2)中、R は、水素原子又はメチル基を表す。R は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、脂肪族環状炭化水素基、及び芳香族炭化水素基から選ばれる基を表す。
  10. 前記一般式(2)におけるR が、炭素数1〜3のアルキル基である請求項9に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク
  11. 前記一般式(2)で表される化合物が、下記一般式(3)で表される化合物である請求項9から10のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク
    ただし、前記一般式(3)中、R は、水素原子又はメチル基を表す。
  12. 前記一般式(3)におけるR が、水素原子で表される化合物である請求項11に記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインク。
  13. 請求項7から12のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクが容器中に収容されてなることを特徴とするインク容器。
  14. 請求項13に記載のインク容器を備えたことを特徴とするインク吐出装置。
  15. 請求項7から12のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化型インクジェットインクを用いて二次元又は三次元の像を形成することを特徴とする像形成方法。
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