JP3868787B2 - 防汚塗料組成物及び塗装物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の繰り返し単位を含有するビニル系重合体と防汚剤とを含有してなる新規な防汚塗料組成物、および当該組成物から形成された防汚塗膜で被覆されてなる塗装物に係り、詳しくは、海水中で使用される構造物、船舶、漁網等に塗布することによって生物付着を有効に防止する塗装物と、これを形成することのできる防汚塗料組成物とに関する。
【0002】
【従来の技術】
船底、水中構造物、漁網などでは、使用時、水中に長期間浸漬されることにより、それらの表面にカキ、イガイ、フジツボ等の動物類やノリ等の植物類、あるいはバクテリア類などの各種水棲生物が付着し、それらの繁殖によって外観が損なわれるとともに、その機能が害されるという問題が生じていた。特に船底にこのような水棲生物が付着し繁殖すると、表面粗度が増加して船速の低下、燃料効率の低下などを招くことになる。また、このような水棲生物を船底から取り除くには、多大な労力が必要とされる。
【0003】
従来、水棲生物の付着による損害を防止するため、船底などには防汚性に優れる塗膜を形成する防汚塗料として、例えば、トリブチル錫メタクリレート(以下、TBTMAと略称する)の共重合体と亜酸化銅とを含有する塗料が用いられていた。このような防汚塗料から得られる塗膜は、前記共重合体が海水中で加水分解してトリブチル錫ハイドロキサイドあるいはトリブチル錫ハライド等の有機錫化合物を放出し、防汚効果を発揮する、いわゆる「加水分解性自己研磨型塗膜」として機能するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記の塗料では、TBTMAの共重合体の加水分解により生成する有機錫化合物の毒性が強いことから、これが海洋を汚染して生態系に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
また、錫を含有しない防汚塗料として、特公昭63−61989号公報には、(メタ)アクリル酸アルコキシカルボニルアルキルエステル単独重合体、または(メタ)アクリル酸アルコシキシカルボニルアルキルエステルと、カルボキシル基非含有又はヒドロキシル基非含有の単量体との共重合体をバインダー樹脂成分として用い、該バインダー樹脂が海中に溶解することにより、防汚剤である亜酸化銅を放出し、防汚性を発現させるものが開示されている。
しかし、この特公昭63−61989号公報に記載の防汚塗料から得られる塗膜は、バインダー樹脂の海水中への溶解性が不十分であることから、高汚損海域での長期防汚性が不十分なものであった。
【0005】
本発明は前記課題を解決すべくなされたもので、高汚損海域での長期防汚性に優れる塗膜を形成することができ、しかも錫を含有しない防汚塗料組成物と、当該塗料組成物を塗布して得られる塗装物を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、アルコキシカルボニルメチルエステル基を含有する特定のビニル系単量体に由来する繰り返し単位とポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位とを必須の繰り返し単位として含有するビニル系重合体(A)と、防汚剤(B)とを含有してなる防汚塗料組成物は、高汚損海域での長期防汚性に優れる塗膜を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の防汚塗料組成物は、下記の一般式(I)で表される繰り返し単位(a−1)とポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位(a−2)とを必須の繰り返し単位として含有するビニル系重合体(A)と、防汚剤(B)とを含有してなることを特徴としている。
【化2】
Figure 0003868787
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子、フェニル基または炭素原子数が1〜12のアルキル基を表し、R4 は1価の有機基を表すものとする。)
【0008】
また、本発明の塗装物は、前記の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜で被覆されてなることを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明で使用されるビニル系重合体(A)は、前記一般式(I)で表される繰り返し単位(a−1)と、ポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位(a−2)とを必須の繰り返し単位として含有するものである。かかる繰り返し単位のうち、一般式(I)で表される繰り返し単位(a−1)に含有されるR3 は、水素原子、フェニル基または炭素原子数が1〜12のアルキル基を表す。そして、このようなR3 のうち、炭素原子数が1〜12のアルキル基の代表的なものとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−デシル基、n−ドデシル基等が挙げられる。R3 の中で特に好ましいものとしては、水素原子またはメチル基が挙げられる。
【0010】
繰り返し単位(a−1)に含有される1価の有機基であるR4 の代表的なものとしては、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、等の各種のものが挙げられる。このような1価の有機基のなかで、アルキル基の代表的なものとしては、R3 のうちの炭素原子数が1〜12であるアルキル基の代表的なものとして前記した各種の基に加えて、n−トリデシル基、n−ヘキサデシル基、n−オクタデシル基、等が挙げられる。
【0011】
置換アルキル基の代表的なものとしては、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−(n−プロポキシ)エチル基、2−(n−ブトキシ)エチル基、2−(n−ヘキシルオキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、4−(n−プロポキシ)ブチル基、6−エトキシヘキシル基、6−(n−ヘキシルオキシ)ヘキシル基の如き、アルコキシ基置換アルキル基;2−フェノキシエチル基、2−(4−メチルフェノキシ)エチル基の如き、アリールオキシ基が置換したアルキル基;2−ベンジルオキシエチル基、2−(2−フェニルエトキシ)エチル基の如き、アラルキルオキシ基が置換したアルキル基;ベンジル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基の如き、アリール基が置換したアルキル基、等が挙げられる。
【0012】
シクロアルキル基の代表的なものとしては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロオクチル基、等が挙げられる。
アリール基の代表的なものとしては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、等が挙げられる。
置換アリール基の代表的なものとしては、2−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−ニトロフェニル基、4−メチル−1−ナフチル基、等が挙げられる。
そして、これらのなかで、R4 として好ましいものは、炭素原子数が1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を含む炭素原子数が3〜8のアルコキシ基置換アルキル基であり、特に好ましいものは、炭素原子数が1〜4のアルキル基である。
【0013】
前記した各種のR3 、R4 を有する繰り返し単位(a−1)をビニル系重合体(A)に導入するには、例えば以下の▲1▼、▲2▼に示す方法が好適に採用される。
▲1▼下記一般式(II )で示されるビニル系単量体を共重合させる方法。
【0014】
【化3】
Figure 0003868787
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子、フェニル基または炭素原子数が1〜12のアルキル基を表し、R4 は1価の有機基を表すものとする。)
【0015】
▲2▼下記一般式(III)で示されるカルボキシル基を含有した単量体が共重合されて得られる、カルボキシル基を含有してなるビニル系重合体を、塩基性化合物の存在下にて下記一般式(IV)で示される化合物と反応させる方法。
【0016】
【化4】
Figure 0003868787
(式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。)
【0017】
【化5】
Figure 0003868787
(式中、R3 は水素原子、フェニル基または炭素原子数が1〜12のアルキル基を表し、R4 は1価の有機基を、Xは塩素原子や臭素原子の如きハロゲン原子を、表すものとする。)
なお、これらの方法のうちでは、特に▲1▼の方法が、簡便でより好ましい。
【0018】
前記▲1▼の方法において、繰り返し単位(a−1)を導入する際に使用されるビニル系単量体[以下、単量体(m−1)と略称する]の代表的なものとしては、メトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、エトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、n−プロポキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、n−ブトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、フェノキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブトキシカルボニルメチル(メタ)アクリレート、1−(メトキシカルボニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(エトキシカルボニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(n−プロポキシカルボニル)エチル(メタ)アクリレート、1−(n−ブトキシカルボニル)エチル(メタ)アクリレート、α−メトキシカルボニルベンジル(メタ)アクリレート、α−エトキシカルボニルベンジル(メタ)アクリレートの如き、(メタ)アクリル酸エステル類;メトキシカルボニルメチルクロトネート、エトキシカルボニルメチルクロトネート、シクロヘキシルオキシカルボニルメチルクロトネート、ベンジルオキシカルボニルメチルクロトネート、2−メトキシエトキシカルボニルメチルクロトネート、1−(メトキシカルボニル)エチルクロトネート、1−(エトキシカルボニル)エチルクロトネート、α−メトキシカルボニルベンジルクロトネートの如き、クロトン酸エステル類、等が挙げられる。
【0019】
そして、このようなビニル系単量体(m−1)のなかで好ましいものは、前記一般式(II )において、R1 が水素原子であり、R3 として水素原子またはメチル基を有し、R4 として炭素原子数が1〜8のアルキル基またはアルコキシ基を含む炭素原子数が3〜8のアルコキシ基置換アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。そして、これらのなかで特に好ましいものは、R3 として水素原子またはメチル基を有し、R4 として炭素原子数が1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
【0020】
ビニル系重合体(A)を構成する必須の繰り返し単位であるポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位(a−2)に含有されるポリオキシアルキレン基の代表的なものとしては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリオキシブチレン基、ポリ(オキシエチレン−オキシプロピレン)基の如き、前記したオキシアルキレン部分がランダムに共重合されたもの、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン基の如き相異なるポリオキシアルキレン基がブロック状に結合したもの、1,3−ジオキソラン環の開環重合によって得られるオキシメチレン基とオキシエチレン基が交互に結合したポリオキシアルキレン基、等が挙げられる。そして、これらのポリオキシアルキレン基のなかでは、オキシエチレン単位および/またはオキシプロピレン単位を必須の構成単位として含有するものが好ましい。
【0021】
そして、このような各種のポリオキシアルキレン基は、末端に水酸基を有するものであってもよいし、末端の水酸基がアルコキシ基、アリールオキシ基、アシロキシ基あるいはカルバモイルオキシ基の如き各種の末端封鎖基に変換されていてもよい。末端封鎖基のなかで特に好ましいものはアルコキシ基であり、その代表的なものとしては、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基の如き、低級アルコキシ基が挙げられる。
【0022】
前記した各種のポリオキシアルキレン基の数平均分子量は、本発明の防汚塗料組成物から得られる塗膜の防汚性と耐水性の点から、約130〜約5,000の範囲内とするのが好ましく、200〜2,000の範囲内とするのがより好ましい。
【0023】
ビニル系重合体(A)に前記の繰り返し単位(a−2)を導入するには、例えば以下の▲3▼、▲4▼に示す方法が好適に採用される。
▲3▼ポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体を共重合せしめる方法。
▲4▼予め調製したイソシアナート基やカルボキシル基の如き、官能基を含有するビニル系重合体に、それぞれ、片末端がアルコキシ基で封鎖され他端に水酸基を含有するポリオキシエチレン化合物や、片末端がアルコキシ基で封鎖され他端にエポキシ基を含有するポリオキシエチレン化合物の如き、イソシアナート基やカルボキシル基と反応する官能基を有するポリオキシアルキレン化合物を反応させる方法。
なお、これらの方法のうちでは、特に▲3▼の方法が、簡便でより好ましい。
【0024】
前記▲3▼の方法によって繰り返し単位(a−2)を導入する際に使用される単量体[以下、単量体(m−2)と略称する]の代表的なものとしては、それぞれ、前記した各種のポリオキシアルキレン基を有する、(メタ)アクリル酸エステル系、クロトン酸エステル系、イタコン酸エステル系、フマル酸エステル系、マレイン酸エステル系あるいはビニルエーテル系の各種の単量体が挙げられる。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル系単量体の代表的なものとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を併有するポリエーテルジオールの如きポリオキシアルキレングルコール類のモノ(メタ)アクリレート;モノメトキシ化ポリエチレングリコール、モノエトキシ化ポリエチレングリコール、モノ−n−ブトキシ化ポリエチレングリコール、モノメトキシ化ポリプロピレングリコール、モノメトキシ化ポリテトラメチレングリコール、オキシエチレン単位とオキシプロピレン単位を併有するポリエーテルジオールのモノメトキシ化物の如き、各種のモノアルコキシ化ポリオキシアルキレングルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルが挙げられる。
【0026】
ポリオキシアルキレン基を有する、クロトン酸エステル系、イタコン酸エステル系、フマル酸エステル系あるいはマレイン酸エステル系単量体の代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の代表的なものとして上掲した如き単量体を調製する際に使用されるポリオキシアルキレングルコール類あるいはモノアルコキシ化ポリオキシアルキレングルコール類とクロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸ハーフエステル、フマル酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステルの如き、各種のカルボキシル基含有ビニル系単量体とのエステル類が挙げられる。
【0027】
ポリオキシアルキレン基を有する、ビニルエーテル系単量体の代表的なものとしては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体の代表的なものとして前記の単量体を調製する際に使用される、ポリオキシアルキレングルコールのモノビニルエーテル類あるいはモノアルコキシ化ポリオキシアルキレングルコールのモノビニルエーテル類が挙げられる。
【0028】
ビニル系重合体(A)は、繰り返し単位(a−1)と繰り返し単位(a−2)のみから構成されるものであってもよいし、さらに、これら以外のビニル系単量体に由来する繰り返し単位〔以下、繰り返し単位(a−3)と略称する〕を含有するものであってもよい。このような繰り返し単位(a−3)を導入するには、単量体(m−1)および(m−2)を導入するために使用されるビニル系単量体と共重合可能な各種のビニル系単量体を共重合させればよい。
【0029】
このような共重合可能な各種の単量体[以下、単量体(m−3)と略称する]の代表的なものとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートの如き、アルキル(メタ)アクリレート類。
【0030】
また、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートの如き、シクロアルキル(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレートもしくは2−フェニルエチル(メタ)アクリレートの如き、アラルキル(メタ)アクリレート類;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンの如き、芳香族ビニル系単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、安息香酸ビニルの如き、カルボン酸のビニルエステル類;クロトン酸メチル、クロトン酸n−ブチル、クロトン酸2−エチルヘキシルの如き、クロトン酸アルキルエステル類。
【0031】
また、ジメチルマレート、ジ−n−ブチルマレート、ジメチルフマレート、ジ−n−ブチルフマレート、ジメチルイタコネート、ジ−n−ブチルイタコネートの如き、不飽和二塩基酸ジアルキルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテルの如き、アルキルビニルエーテル類;シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルビニルエーテルの如き、シクロアルキルビニルエーテル類。
【0032】
また、(メタ)アクリロニトリル、クロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有ビニル系単量体類;(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メトキシカルボニル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシカルボニル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルピロリドンの如き、カルボン酸アミド基を含有する単量体類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチエレン、ヘキサフルオロプロピレンの如き、各種のフルオロオレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデンの如き、クロル化オレフィン類;エチレン、プロピレンの如き、α−オレフィン類、等が挙げられる。
【0033】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸の如き、カルボキシル基含有単量体や2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエーテルの如き水酸基含有単量体も、本発明の塗料組成物の安定性や当該組成物から得られる塗膜の防汚性能を損なわない範囲で使用することができる。
【0034】
上述のビニル系重合体(A)を調製する場合の重合方法には特に制約はなく、公知慣用の種々の重合法を適用することができる。それらのうちでも、特に有機溶剤中での溶液ラジカル重合法が、簡便であり好ましい。
【0035】
この溶液ラジカル重合法を適用する場合、重合開始剤としては、公知慣用の種々の化合物を使用することができる。代表的なものとしては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)の如き、アゾ化合物類;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネートの如き、過酸化物類、等が挙げられる。
【0036】
また、溶液ラジカル重合法を適用する際の有機溶剤としては、公知慣用の各種の化合物を使用することができる。この溶媒として使用される化合物の代表的なものとしては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、シクロヘキサン、シクロペンタンの如き、脂肪族系または脂環族系の炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き、芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール、n−ブタノール、エチレングルコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルの如き、アルコール類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸n−アミル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングルコールモノメチルエーテルアセテートの如き、エステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−アミルケトン、シクロヘキサノンの如き、ケトン類。
【0037】
また、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルの如き、ポリアルキレングリコールジアルキルエーテル類;1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンの如き、エーテル類;N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドまたはエチレンカーボネート、等が挙げられる。これらの化合物は、それぞれを単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0038】
上述のようにして、ビニル系重合体(A)に繰り返し単位(a−1)、繰り返し単位(a−2)、さらに必要に応じて繰り返し単位(a−3)が導入される。これら繰り返し単位の導入量としては、本発明の組成物から得られる塗膜の長期防汚性と耐水性の点から、ビニル系重合体(A)の100重量部当たり、繰り返し単位(a−1)が20〜99重量部、繰り返し単位(a−2)が1〜40重量部、繰り返し単位(a−3)が0〜79重量部となる範囲に設定するのが好ましく、繰り返し単位(a−1)が30〜97重量部、繰り返し単位(a−2)が3〜30重量部、繰り返し単位(a−3)が0〜67重量部となる範囲に設定するのがより好ましい。
【0039】
ビニル系重合体(A)の重量平均分子量としては、2,000〜200,000の範囲となるように設定するが、4,000〜100,000の範囲となるように設定するのが好ましい。
【0040】
上述のようにして調製されるビニル系重合体(A)の、防汚塗料組成物中における含有率については、特に制限されるものではないものの、当該組成物の1〜70重量%、特に3〜50重量%であるのが好ましい。
【0041】
本発明の防汚塗料組成物において防汚剤(B)としては、公知慣用の各種の無機防汚剤や有機防汚剤を使用することができる。無機系防汚剤の代表的なものとしては、銅および金属原子を含む各種の無機化合物が挙げられる。これらのうち、防汚効果に優れる点からCu(I)を含む化合物が好ましく、例えば、亜酸化銅、チオシアン酸第一銅、塩基性硫酸第一銅、塩化第一銅等が挙げられる。これらのなかでは、亜酸化銅およびチオシアン酸第一銅が特に好ましい。一方、有機防汚剤としては、例えば酢酸第一銅、オキシン銅、ノニルフェノールスルホン酸銅、カツパービス(エチレンジアミン)−ビス(ドデシルベンゼンスルホネート)、ナフテン酸銅、ロジン銅、ビス(ペンタクロロフェノール酸)銅、金属ピリチオン、テトラメチルチウラムジサルファイド、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ピリジン−トリフェニルボロン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、ジンクジメチルジチオカーバメートあるいはマンガニ−ズエチレンビスジチオカーバメートの如きカーバメート系の化合物等が挙げられる。
【0042】
このような有機防汚剤のなかでも、金属ピリチオン、N,N−ジメチルジクロロフェニル尿素、ピリジン−トリフェニルボロン、2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2,4,5,6−テトラクロロイソフタロ二トリルが特に防汚性に優れる点から好ましい。また、金属ピリチオンとしては、銅ピリチオンおよびジンクピリチオンが特に好ましい。
なお、前記した各種の防汚剤は、それぞれを単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0043】
防汚剤(B)の配合量については、例えばこの防汚剤(B)が、防汚塗料組成物中にて1〜70重量%であるのが、本発明の効果が顕著になる点で好ましく、特に2〜65重量%であるのがより好ましい。また、防汚剤(B)として銅化合物と金属ピリチオンとを併用することも、防汚効果が顕著になる点で好ましい。銅化合物と金属ピリチオンとを併用する場合には、銅化合物の配合量が防汚塗料組成物中に2〜65重量%、金属ピリチオンの配合量が当該組成物中に0.5〜40重量%となる範囲で用いるのが、好ましい。
【0044】
また、本発明の防汚塗料組成物では、酸化亜鉛を含有させることにより、塗膜強度を向上させることができるとともに、塗膜の消耗速度を効果的に制御することができる。酸化亜鉛を含有させる場合には、消耗速度調整、塗膜硬度調整の観点から、防汚塗料組成物中に0.5〜35重量%含有させるのが好ましく、1〜25重量%含有させるのがより好ましい。
【0045】
また、本発明の防汚塗料組成物では、溶出促進剤を含有させることにより、得られる塗膜の溶出性を高めて塗膜の消耗速度を速くし、防汚効果を顕著にすることができる。このような溶出促進剤としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン、低融点不均化ロジン、水添ロジン、重合ロジン、マレイン化ロジン、アルデヒド変性ロジン、ロジンのポリオキシアルキレンエステル、ロジンアルコール、ロジンの金属塩(ロジンの銅塩、ロジンの亜鉛塩、ロジンのマグネシウム塩など)、ロジンアミンの如き、ロジン類;炭素原子数が5〜30の脂肪酸、合成脂肪酸、ナフテン酸の如き、モノカルボン酸類;前記した如きカルボン酸類のCu塩、Zn塩、Mg塩、Ca塩等の脂肪族カルボン酸塩類等、が挙げられる。前記溶出促進剤の中では、ロジン類が溶出促進効果に優れる点から特に好ましい。このような溶出促進剤を添加する場合、塗膜の防汚性能、消耗速度および耐水性能の観点から、防汚塗料組成物中に該溶出促進剤が0.1〜30重量%、特に0.5〜15重量%の範囲で含有されるのが好ましい。
【0046】
また、本発明の防汚塗料組成物では、ビニルエーテル系重合体を含有させることにより、得られる塗膜の耐クラック性や付着性を向上させ、かつ、消耗速度の安定性を向上させることができる。このようなビニルエーテル系重合体としては、ポリメチルビニルエーテル、ポリエチルビニルエーテル、ポリイソプロピルビニルエーテル、ポリイソブチルビニルエーテルなどが挙げられる。このビニルエーテル系重合体を配合する場合、得られる塗膜の耐クラック性、付着性、消耗速度安定化の効果が有効に発現される点から、防汚塗料組成物中に該ビニルエーテル系重合体を0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0047】
また、本発明の防汚塗料組成物では、前記ビニルエーテル系重合体以外の親水性基含有重合体を併用してもよい。親水性基含有重合体の代表的なものとしては、(メトキシ)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体のような各種(アルコキシ)ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(共)重合体が挙げられる。
【0048】
また、本発明の防汚塗料組成物では、一般的に塗料用として用いられる各種の可塑剤を含有させることができ、可塑剤を配合することにより、得られる塗膜の耐クラック性を向上させることができる。可塑剤としては、例えば正リン酸エステル、塩素化パラフィン、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられ、特に塩素化パラフィンおよび正リン酸エステルが好ましい。このような可塑剤を配合する場合、防汚塗料組成物中に該可塑剤を0.05〜20重量%、特に0.1〜15重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0049】
また、本発明の防汚塗料組成物では、脱水剤を配合することにより、貯蔵安定性を向上させることができる。脱水剤としては、無水石膏(CaSO4 )や合成ゼオライト等の無機系脱水剤、オルソギ酸メチルやオルソ酢酸メチル等のオルソカルボン酸エステル類、オルソほう酸エステル、シリケート化合物、p−トルエンスルホニルイソシアネート等のイソシアネート化合物等の有機系脱水剤が挙げられる。このような脱水剤を配合する場合、防汚塗料組成物中に該脱水剤を0.01〜20重量%、特に0.1〜8重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
【0050】
また、本発明の防汚塗料組成物では、着色顔料や体質顔料などの各種顔料、染料、前記したビニルエーテル系重合体以外の樹脂、あるいはタレ止め剤、沈降防止剤、消泡剤、色別れ防止剤、レベリング剤などの各種添加剤などを含有していてもよい。
タレ止め剤あるいは沈降防止剤としては、Al、Cu、Znの如き多価金属とステアリン酸、レシチン、アルキルスルホン酸の如き酸との塩類、ポリエチレンワックス、水添ヒマシ油系ワックス、ポリアマイド系ワックス、酸化ポリエチレン系ワックス等のワックス類、合成微粉シリカ等が挙げられる。
【0051】
顔料としては、公知慣用の有機系顔料および無機系顔料を使用することができる。無機系顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、タルク、マイカ、アルミニウムフレーク等が挙げられる。有機系顔料としては、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド等が挙げられる。
また、本発明の防汚塗料組成物では、更にマレイン酸又はフマル酸のトリオルガノシリルエステルの重合体を含有させてもよい。
【0052】
ここで、本発明の防汚塗料組成物では、液状の可塑剤や液状の脱水剤が含有される場合、当該塗料組成物に溶剤を含有させることなく、当該塗料組成物を使用することができる。一方、液状の可塑剤や液状の脱水剤が含有されない場合には、溶剤を含有させて用いる必要がある。また、液状の可塑剤や液状の脱水剤が含有される場合にも、溶剤を含有させた状態で用いるのが好ましい。使用する溶剤として具体的には、本発明で使用されるビニル重合体(A)を調製する際に使用できるものとして前記した各種の有機溶剤が挙げられる。溶剤を含有させる場合にその含有量としては、防汚塗料組成物中に該溶剤を5〜95重量%、特に10〜80重量%の範囲で含有させるのが好ましい。
上述した各成分を使用して本発明の防汚塗料組成物を調製するには、公知慣用の各種の方法を適用することができ、例えば前記した各成分の所定量を、一度にあるいは任意の順序で加え、攪拌、混合、分散等を行えばよい。
【0053】
本発明の防汚塗料組成物は、一液性で貯蔵安定性に優れ、耐クラック性、付着性、長期防汚性等に優れる塗膜を与える。したがって、本発明の防汚塗料組成物によれば、これを原子力発電所の給水口や排水口ような海洋構造物、各種の海洋土木工事の汚泥拡散防止膜、船舶、ロープや漁網等の漁具などの各種成形体(基材)の表面に常法に従って1回〜複数回塗布し乾燥させることにより、耐クラック性、付着性、防汚性に優れた防汚塗膜で被覆されてなる船体、海洋構造物、漁具などの塗装物、すなわち本発明の塗装物を形成することができる。
【0054】
また、本発明の防汚塗料組成物は、前記したような基材に直接塗布することができるが、予め防錆剤、プライマーなどの下地処理剤を塗布した基材に塗布してもよい。さらに、既に従来の防汚塗料組成物による塗装が施され、あるいは本発明の防汚塗料組成物による塗装が施されている船体、海洋構造物等の表面に、補修用として本発明の防汚塗料組成物を上塗りするようにしてもよい。
【0055】
このようにして船体、海洋構造物等の表面に形成する防汚塗膜の厚さについては、特に限定されないものの、30〜500μmであるのが塗膜の長期防汚性が良好となる点から好ましい。このような厚さの塗膜に形成するには、例えば1回で30〜150μmの厚さの塗膜を形成する塗装処理を、1回ないし数回を行えばよい。このようにして、耐クラック性、付着性に優れ、かつ、消耗速度が良好に制御され、防汚性、特に高汚損海域での長期防汚性に優れる防汚塗膜が得られる。
また、このような優れた防汚塗膜で被覆されてなる塗装物が得られる。
【0056】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明をするが、本発明はこれらの例のみに限定されるものでないのはもちろんである。なお、以下において、部および%は、特に断りの無い限り、すべて、重量基準であるものとする。
【0057】
「参考例1」〔ビニル系重合体(A)の調製〕
攪拌機、温度計、冷却管および窒素ガス導入口を備えた反応器にキシレン(Xy)500部と酢酸n−ブチル(BAc)295部とを仕込み、窒素ガス気流下にて攪拌しながら80℃に昇温した。次に、メトキシカルボニルメチルメタクリレート(MCMMA)350部、メチルメタクリレート(MMA)500部、数平均分子量が490なるメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(MPEGMA)150部、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(TBPEH)30部およびBAc200部からなる混合物を4時間で滴下した。次いで、同温度で反応を継続し、滴下終了から2時間後にBAc5部とTBPEH5部からなる混合物を添加した。次いで、同温度で13時間の加熱・攪拌を行った。その後、不揮発分が50.0%になるようにXy/BAc=50/50(重量比)の混合溶剤で希釈し、ガードナー粘度がZ、重量平均分子量が43,800の、アルコキシカルボニルメチルエステル基とポリオキシアルキレン基とを有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、この重合体溶液をビニル系重合体(A−1)と略称する。
【0058】
「参考例2」〔ビニル系重合体(A)の調製〕
ビニル系単量体として、MCMMA460部、MMA440部、MPEGMA100部を使用する以外は、参考例1と同様にして重合を行った。次いで、不揮発分が50.0%になるようにXy/BAc=50/50(重量比)の混合溶剤で希釈し、ガードナー粘度がY、重量平均分子量が33,800のアルコキシカルボニルメチルエステル基とポリオキシアルキレン基とを有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、この重合体溶液をビニル系重合体(A−2)と略称する。
【0059】
「参考例3」〔ビニル系重合体(A)の調製〕
ビニル系単量体として、MCMMA690部、MMA260部、MPEGMA50部を使用する以外は、参考例1と同様にして重合を行った。次いで、不揮発分が50.0%になるようにXy/BAc=50/50(重量比)の混合溶剤で希釈し、ガードナー粘度がY、重量平均分子量が34,400の、アルコキシカルボニルメチルエステル基とポリオキシアルキレン基とを有するビニル系重合体の溶液を得た。以下、この重合体溶液をビニル系重合体(A−3)と略称する。
【0060】
「参考例4」
〔比較実験用のアルコキシカルボニルメチルエステル基を有するが、ポリオキシアルキレン基を含有しないビニル系重合体の調製〕
ビニル系単量体として、MCMMA350部とMMA650部を使用する以外は、参考例1と同様にして重合を行った。次いで、不揮発分が50.0%になるようにXy/BAc=50/50(重量比)の混合溶剤で希釈し、ガードナー粘度がZ2〜Z3、重量平均分子量が30,500の、アルコキシカルボニルメチルエステル基を有するものの、ポリオキシアルキレン基を含有しないビニル系重合体の溶液を得た。以下、この重合体溶液をビニル系重合体(RP−1)と略称する。
【0061】
「実施例1」(防汚塗料組成物の調製と防汚塗膜の性能評価)
表1に示す配合組成の防汚塗料を常法に従って調製した。すなわち、参考例1で調製した共重合体の溶液であるビニル系重合体(A−1)37部、亜酸化銅41部、酸化チタン6部、タレ止め剤としての「ディスパロンA603−20X」〔楠本化成(株)製の脂肪酸アマイドワックス〕2部、キシレン14部からなる混合物を、ガラスビーズを分散材としてペイントコンデイショナーで2時間の分散を行い、その後、100メッシュのフィルターでロ過し、防汚塗料組成物を得た。
【0062】
「実施例2〜9」
表1〜表3に示した比率で各成分を使用する以外は、実施例1と同様にして各防汚塗料組成物を調製した。
【0063】
【表1】
Figure 0003868787
【0064】
【表2】
Figure 0003868787
【0065】
【表3】
Figure 0003868787
【0066】
「比較例1」
ビヒクル成分として、参考例4で合成したビニル系重合体(RP−1)を使用し、かつ、表4に示した各種の他の成分を使用する以外は実施例1と同様にして防汚塗料組成物を調製した。
【0067】
【表4】
Figure 0003868787
【0068】
このようにして得られた実施例1〜9、比較例1の各防汚塗料組成物を使用し、後述する試験用の塗装パネル(試験板)を作製した。そして、後述するようにして「防汚性」、「塗膜消耗速度」、さらにはブリスター、剥離、クラックの発生の有無等の「塗膜の状態」の評価を行った。評価結果を表5、表6、表7に示す。
【0069】
【表5】
Figure 0003868787
【0070】
【表6】
Figure 0003868787
【0071】
【表7】
Figure 0003868787
【0072】
ここで、前記表1〜表4に記載した各成分の内容は下記の通りである。
(1)無機銅化合物
亜酸化銅:日進ケムロ(株)製の「NC303」。
(2)有機防汚剤
B−1:銅ピリチオン
B−2:ピリジン−トリフェニルボロン
B−3:4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン −3−オン
B−4:ジンクピリチオン
B−5:2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロ プロピルアミノ−s−トリアジン
(3)酸化亜鉛
JIS3種のものを使用した。
(4)溶出促進成分
ロジン溶液:WWロジンの50%キシレン溶液を使用した。
ナフテン酸銅溶液:溶液中の銅含有率が8%なるナフテン酸銅のキシレン溶液を使用した。
(5)ビニルエーテル系重合体
「ルトナールA−25」:独国BASF社製のポリエチルビニルエーテル。(粘度;2.5〜6.0Pa・s[23℃]、比重;0.96[20℃])
(6)可塑剤
「トヨパラックス150」:東ソー(株)製の塩素化パラフィン。(平均炭素原子数14.5、塩素含有量50重量%、粘度12ポイズ[25℃]、比重1.25[25℃])。
TCP:トリクレジルフォスフェートの略記。
(7)脱水剤
「可溶性無水石膏D−1」:(株)ノリタケカンパニーリミテド製。
(8)顔料
酸化チタン:堺化学工業(株)製の「チタン白 R−5N」を使用した。
赤色酸化鉄:酸化第二鉄含有率80重量%以上のものを使用した。
(9)添加剤
タレ防止剤として「ディスパロンA603−20X〔楠本化成(株)製の脂肪酸アマイドワックス。濃度20%のキシレンペースト〕を使用した。
(10)溶剤
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテルの略称。
【0073】
「防汚性の評価」
70×200×3mmのサンドブラストした鋼板を用意した。この鋼板には、予め広島湾の海水中に設置した回転ドラムの側面に取付け可能なように、曲げ加工を施しておいた。次に、この鋼板に、エポキシ系ジンクリッチプライマー、エポキシ系防食塗料、ビニル系バインダーコートを、それぞれの乾燥膜厚が20μm、150μm、50μmとなるように1日毎に順次重ねて塗装し、その後、7日間室温で乾燥した。次いで、得られた複層塗膜の上に、前記防汚塗料組成物をその乾燥膜厚が200μmとなるように塗装し、その後7日間室温で乾燥を行い、試験板を作製した。
このようにして得られた試験板を前記回転ドラムに取り付け、周速15ノット、50%稼動条件(夜間12時間稼動、昼間12時間停止の交互運転)にて3、6、12、18ヶ月間高汚損環境条件での試験を行い、防汚性の評価を行った。
【0074】
防汚性の評価は目視にて行い、下記の基準を用いた。
(評価基準)
5:塗膜表面に付着物を認めない。
4:塗膜表面に薄いスライムの付着を認める。
3:塗膜表面に濃いスライムの付着を認める。
2:塗膜表面にスライムの付着および部分的にシオミドロなど植物の付着を認める。
1:塗膜表面全体がシオミドロ(アオノリ)などの植物で覆われている。
【0075】
「消耗速度および塗膜の状態の評価」
直径300mm、厚さ3mmの円盤状の、サンドブラストした鋼板を用意した。次に、この鋼板にエポキシ系ジンクリッチプライマー、エポキシ系防食塗料およびビニル系バインダーコートを、それぞれの乾燥膜厚が20μm、150μm、50μmとなるように1日毎に順次重ねて塗装し、その後7日間室内で乾燥した。次いで、得られた複層塗膜の上に、隙間500μmのアプリケーターを用いて、前記防汚塗料組成物を円心から外周方向に放射状に塗装し、その後7日間室温で乾燥を行い、試験板を作製した。
このようにして得られた試験板を、25℃の海水を入れた恒温槽中でモーターに取り付けた。そして、周速15ノットで2ケ月間回転させ、さらにそれから1ヶ月経過後、3ヶ月経過後、および6ヶ月経過後における円周付近の膜厚減少を測定し、塗膜消耗速度の評価を行った。
また、同条件で24ヶ月間回転した後の円周付近の塗膜の状態を、目視によって観察し、評価を行った。
【0076】
表5、表6、表7から明らかなように、本発明の防汚塗料組成物から得られた塗膜は、適度な塗膜消耗速度を有し、長期に亘り優れた防汚性を示す。また、24ヵ月間海水に浸漬しても、ブリスター、クラック、剥離等が発生することなく、優れた塗膜状態を保持していた。これに対し、比較例1の防汚塗料組成物から得られた塗膜は、防汚性に劣り、また海水浸漬後にクラックが発生して良好な塗膜状態が保持されなかった。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の防汚塗料組成物は、アルコキシカルボニルメチルエステル基を含有する特定のビニル系単量体に由来する繰り返し単位とポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位とを必須の繰り返し単位として含有するビニル系重合体(A)と、防汚剤(B)とを含有してなるものであり、錫を含有することなく、高汚損海域での長期防汚性に優れるとともに、長期間海水中に浸漬後もクラック発生や付着性の低下を起こさない優れた防汚塗膜を形成することができる。
また、このような塗料組成物を塗布して得られる本発明の塗装物にあっては、高汚損海域での長期防汚性に優れるとともに、長期間海水中に浸漬されていても、その防汚塗膜にクラックが発生したり、付着性が低下するといったことが起こりにくいものとなる。

Claims (8)

  1. 下記の一般式(I)で表される繰り返し単位(a−1)とポリオキシアルキレン基を含有するビニル系単量体に由来する繰り返し単位(a−2)とを必須の繰り返し単位として含有するビニル系重合体(A)と、防汚剤(B)とを含有してなる防汚塗料組成物。
    Figure 0003868787
    (式中、R1 およびR2 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R3 は水素原子、フェニル基または炭素原子数が1〜12のアルキル基を表し、R4 は1価の有機基を表すものとする。)
  2. 前記ビニル系重合体(A)が、繰り返し単位(a−1)を20〜99重量%、繰り返し単位(a−2)を1〜40重量%含有するものである、請求項1に記載の防汚塗料組成物。
  3. 前記ビニル系重合体(A)の重量平均分子量が、4,000〜100,000である、請求項1又は2記載の防汚塗料組成物。
  4. 前記防汚剤(B)を1〜70重量%の範囲で含有する請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  5. 溶出促進剤(C)を、0.1〜30重量%含有する請求項1〜4のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  6. 酸化亜鉛を、0.5〜35重量%含有する請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  7. ビニルエーテル系重合体を、0.1〜10重量%含有する請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の防汚塗料組成物から形成された防汚塗膜で被覆されてなる塗装物。
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