JP4428022B2 - 印判 - Google Patents

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本発明は、選択可能な印字面と固定された印字面とを組み合わせて一つの印影を形成することが可能な印判に関するものである。
従来、インク含浸体から印字面にインクを供給して捺印を行うことが可能な印判では、常に印字面にインクを供給することができるように、印字面が固定された固定印字体が利用されている。しかし、日付印等の回転印では、複数の印字面を有する回転印字体(移動印字体)が回転する構造となっているため、各印字面に対してインク含浸体から常にインクを供給できる状態に保つことは難しい。また、例えば各印字面が形成された印字部のそれぞれをインク含浸体により形成したとしても、インクの補充は各印字部ごとに行わなければならない。その構造上、それら印字部が貯蔵可能なインク容量は、固定印字体のインク含浸体が貯蔵可能なインク容量よりも少ない。回転印字体の使用頻度の高い印字面ではインクが早く消耗され、その結果、固定印字体の印字面の印影ははっきりとしていても、回転印字体の印字面の印影はかすれてしまうという状況が発生する。そのため、一般的には、回転印字体へのインクの供給は、例えば朱肉等に印字面を押し当てたりするなど、印字面に対して直接行う方法が用いられている。例えば、特許文献1では、回転印のキャップにインクパッドを内蔵し、非捺印時に回転印にキャップを被せることで、固定印字体および回転印字体の各印字面に対してインクの供給を行っている。
特開2000−247006号公報
しかしながら、特許文献1では、回転印にキャップを被せないとインクの供給をすることができないため、連続して捺印を行う場合には頻繁にキャップを被せなければならず手間がかかる。また、キャップを紛失するとインクの供給を行うことができず、スタンプ台等を用いる必要が生じ、利便性が低くなるという問題があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、移動印字体の有する複数の印字部へのインクの供給をむらなく容易に行うことが可能な印判を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明の印判は、本体ケース内に、移動可能に支持されるベルトの外面に沿って個々に印字面を有する複数の印字部が突設され、少なくとも当該ベルトの印字部と各印字部を連結する連結部とがインク含浸体からなる移動印字体と、前記移動印字体の複数の印字部のうち、少なくとも一つの印字部が当接することによって、前記移動印字体へのインクの補充を行うインク補充手段と、前記移動印字体の複数の印字面の一つを前記本体ケース外に露出するための露出孔とを備え、前記移動印字体は、前記露出孔から露出された印字部の隣の印字部の側面が前記インク補充手段に当接してインクの補充を行うことを特徴とする。
また、請求項2に係る発明の印判は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記露出孔から露出された前記移動印字体の印字面とともに印影を形成するための固定印字体を備え、前記インク補充手段は、前記固定印字体へのインクの補充も行うことを特徴とする。
また、請求項3に係る発明の印判は、請求項2に記載の発明の構成に加え、前記露出孔より露出された前記移動印字体の印字部の側面と、前記固定印字体の側面とは相対し、且つ、隣接するように本体ケースの一端に配置され、印字部の側面と固定印字体の側面とはインク吸収可能に構成されている。
また、請求項4に係る発明の印判は、請求項2または3に記載の発明の構成に加え、前記インク補充手段は、前記固定印字体へ補充するインクを貯蔵するインク貯蔵体と、前記インク貯蔵体に貯蔵されたインクを前記移動印字体のいずれか一つの印字部に対して伝達するためのインク伝達体とから構成されている。
また、請求項に係る発明の印判は、請求項に記載の発明の構成に加え、前記インク伝達体は、前記インク貯蔵体へインクを補充するために開口された開口部を有することを特徴とする。
また、請求項に係る発明の印判は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記移動印字体の内面は、移動印字体に浸透されたインクの滲み出しを防止する滲み出し防止構造となっていることを特徴とする。
また、請求項に係る発明の印判は、請求項1乃至のいずれかに記載の発明の構成に加え、前記本体ケースの一端側にて前記本体ケースに着脱可能に設けられ、前記本体ケース外に露出される前記移動印字体の印字面の乾燥を防止するための蓋体と、前記蓋体が前記本体ケースに装着された場合に、前記露出された印字面に対向する前記蓋体の裏面に設けられ、その印字面にインクを供給するためのインク供給体と、本体ケースの一端側に設けられ、前記蓋体を装着した場合に、その位置決めを行うための位置決め片と、前記蓋体に設けられ、前記本体ケースの位置決め片が係合する係合部とを備え、前記インク供給体は、前記蓋体が前記本体ケースに装着された場合に、前記露出された移動印字体の印字面に常に当接するように、前記蓋体の裏面から突設されているとともに、前記固定印字体に対して接触しないように設けられていることを特徴とする。
請求項1に係る発明の印判では、少なくとも移動印字体の印字部と印字部を連結する連結部とがインク含浸体からなるので、複数の印字部のうち少なくとも一つの印字部よりインクを補充するだけで、すべての印字部にインクを補充することができる。
また、インクの補充が突設された印字部の突設部分の側面から行われるので、内部にインクを浸透させやすい。
また、請求項2に係る発明の印判では、請求項1に係る発明の効果に加え、インク補充手段が固定印字体と移動印字体との両方に対してインクを補充することができるので、インク補充手段を複数設けずともすべての印字体にインクを補充することができる。
また、請求項3に係る発明の印判では、請求項2に係る発明の効果に加え、移動印字体の印字部の印字面や側面、または固定印字体の印字面や側面から露滴した余剰インクが、相対する印字部の側面または固定印字体の側面から吸収されるので、インクの漏れが防止できる。
また、請求項4に係る発明の印判では、請求項2または3に係る発明の効果に加え、移動印字体のインクが補充される部分と、固定印字体のインクが補充される部分とが離れていても、インク伝達体を媒介させて移動印字体へのインクの補充を行うことができる。
また、請求項に係る発明の印判では、請求項に係る発明の効果に加え、インク伝達体の開口部を介してインク貯蔵体へのインクの補充を直接行うことができるので、インク補充手段の全体としてのインクの充填にムラがない。
また、請求項に係る発明の印判では、請求項1乃至5のいずれかに係る発明の効果に加え、移動印字体の内面を滲み出し防止構造としたことで、本体ケース内でのインク汚れの発生を防止することができ、動作不良の原因とはならない。
また、請求項に係る発明の印判では、請求項1乃至のいずれかに係る発明の効果に加え、移動印字体の露出されている印字面は、蓋体の裏面に設けられたインク供給体からインクの供給を受けることができるので、移動印字体へのインクの浸透を効率的に行うことができ、連続して捺印するときにも印影にかすれが生じにくい。
また、蓋体が装着された印判の非使用時に、露出された移動印字体の印字面に対してインクの供給を継続して行うことができるので、移動印字体へのインクの浸透を効率的に行うことができ、印判の使用時に連続して捺印する場合でも印影にかすれが生じにくい。
また、インク供給体が固定印字体に接触して、固定印字体へインクを過剰に供給してしまう不具合を防止することができる。
また、係合部に位置決め片が係合されることによって本体ケースに対する蓋体の位置決めが行われるので、インク供給体と、移動印字体の露出した印字面と、固定印字体との位置関係が正確に決定されることで、インク供給体が固定印字体の印字面に接触し、固定印字体へインクを過剰に供給してしまう不具合を防止することができる。
以下、本発明を具体化した印判の一実施の形態について、一例としての日付印1を用いて説明する。図1は、捺印可能な状態の日付印1の斜視図である。図2は、印字面211の変更が可能な状態の日付印1の斜視図である。図3は、日付印1の分解斜視図である。図4は、移動印字体210を保持した保持体230の斜視図である。図5は、図1に示す一点鎖線において矢視方向Aから見た、日付印1の断面図である。図6は、図1に示す一点鎖線において矢視方向Bから見た、日付印1の断面図である。図7は、固定印字部100を印字面111の裏側から見た斜視図である。図8は、キャップ10を裏側から見た斜視図である。図9は、図5において、キャップ10を外した状態の日付印1の要部拡大断面図である。図10は、図6において、キャップ10を外した状態の日付印1の要部拡大断面図である。図11は、図2に示す一点鎖線において矢視方向Cから見た、日付印1の断面図である。
図1に示すように、日付印1は略円筒状の本体ケース2を有しており、本体ケース2の一方の筒端部2aの口径は、胴回りよりやや大きく構成されている。その筒端部2aには被捺印媒体に印影を形成するための印字面が設けられている。印字面は本体ケース2の軸方向に対して直交する面を有する略円形の印字面であり、印影が不変の印字面111と、数字や記号などを組み合わせて任意の日付等の印影を形成可能な印字面211との合成により、一つの印影を形成できるように構成されている。また、日付印1の非使用時に、印字面111,211を覆って保護するためのキャップ10が、本体ケース2に対して筒端部2a側より着脱可能に設けられている。
本体ケース2の筒端部2aとは反対側の筒端部2dからは、移動印字部200(図3参照)の後端部205が露出されている。図2に示すように、本体ケース2を保持し、後端部205を本体ケース2に対して周方向に略180度回転させると、後端部205とともに移動印字部200が回転される。すると、本体ケース2の外周面に開口された開口部2bより、スライド式の操作部221が露出される。後述するが、この操作部221は、複数設けられた印字面211の変更を行うためのものである。
図3に示すように、本体ケース2の内部には、印字面211を保持する移動印字部200と、印字面111を保持した固定印字部100とが収容される。固定印字部100は、印字面111が形成された固定印字体112(図5参照)と、その固定印字体112に接触してインクを供給するインク貯蔵体113(図5参照)と、固定印字体112およびインク貯蔵体113を保持し、本体ケース2の筒端部2aの内周に嵌合する基部120とが設けられている。本体ケース2内に移動印字部200を収容した状態で固定印字部100によって筒端部2aの開口を閉栓するため、基部120の外周には螺旋状の螺旋溝121が2本、溝設されている。この螺旋溝121には、本体ケース2の筒端部2aの内周より互いに向き合うように突設された2つのボス2cが係合されるようになっている。
また、固定印字部100の基部120の内部からは、印字面111とは反対の方向に2つの一対のガイド部材123がそれぞれ突設されている。この一対のガイド部材123の間には、後述する移動印字部200の保持体230の短手方向側面に突設されている2つのガイド片232が挟み込まれるようになっている。このため、固定印字部100は移動印字部200に対し、その軸方向にのみ摺動可能にその移動方向が規制される。すなわち、ボス2cが螺旋溝121に沿ってスライドされると、固定印字部100は、本体ケース2に対してその軸方向に出退される。
固定印字体112およびインク貯蔵体113を保持する基部120のその保持部分の側面には一対の突起部122が設けられている。また、固定印字部100の印字面111の略中央には、印字面111の面と直交する方向に固定印字部100を貫通する略長方形の露出孔114が孔設されている。露出孔114は、移動印字体210の印字面211を、本体ケース2から露出させるための孔である。上記した突起部122は、露出孔114の短手方向の両側における基部120の側面に設けられている。
移動印字部200は、移動印字体210を保持した保持体230を円筒状の支持ケース201内にて支持している。図4〜図6に示すように、移動印字体210は、略長板状の保持体230の長手方向に沿って、それぞれ個別に回転可能に並列させて支持した5本のベルト体220の外周面に、ベルト体220の回転とともにその位置が移動されるように固定されている。図4,図5に示すように、移動印字体210は、ベルト体220の外周面において突設状に設けられ、その先端に印字面211を有する印字部212がベルト体220の回転方向に沿って複数列設されており、各印字部212の根元部分が連結部213によって連結された構造を有する。この移動印字体210の長さは、ベルト体220の半周以下となっている。
移動印字体210を構成する、印字面211を有する印字部212と連結部213とは、例えば多孔性樹脂などのインク含浸体からなり、一体に形成される。移動印字体210の印字部212が突設された側の面とは反対側の面、すなわち、ベルト体220に対向する側の面(移動印字体210の内面)は、移動印字体210内に浸透したインクが滲みだしてベルト体220に付着するのを防止するための滲み出し防止構造が設けられている。例えば、移動印字体210の内面の表面を熱や薬品等で溶解して孔を塞ぐ加工や、移動印字体210の内面の表面全体に接着剤等を塗布することによって孔を塞ぐ加工や、移動印字体210の内面の表面全体にフィルム等を貼設して孔を塞ぐ加工などが施されている。
また、ベルト体220の外周面には、各ベルト体220を個々に回転させる際に操作する操作部221が突設されており、保持体230の長手方向に沿って操作部221をスライド移動させることでベルト体220を回転させることができる。さらに、ベルト体220の外周面で、移動印字体210が固定された側と反対側の外周面には、各印字部212の印字面211にそれぞれ対応した印影の見本222が印刷されている。操作部221が操作されていずれかの印字部212が保持体230の長手方向の一方の側面(図5における紙面下側の側面)に位置されたとき、他方の側面(図5における紙面上側の側面)には、その印字面211に対応した印影の見本222が位置されるようになっている。移動印字部200の後端部205の底面には見本窓2eが開口されており、保持体230の長手方向の他方の側面に位置された見本222が、その見本窓2eを介して目視可能となっている。
図5に示すように、ベルト体220の操作部221には、その操作部221のスライド方向と直交する方向に出退可能に付勢された凸部223が突設されている。また、保持体230の内部には、凸部223に係合してベルト体220の回転に負荷を与えることで位置決めする凹部231が、ベルト体220の回転方向に沿って印字部212の数だけ設けられている。この構成は、凸部223が凹部231に係合された状態では、その凹部231に対応した印字部212が、保持体230の長手方向の一方の側面に位置されるように、ベルト体220の位置決めを行うためのものである。このようにして位置決めされる5本のベルト体220の各印字部212は、並列され、移動印字部200が本体ケース2に納められ固定印字部100によって閉蓋される場合に、その並列方向を露出孔114の長手方向に一致させるようにして、露出孔114に挿入される。このとき、固定印字部100のガイド部材123が移動印字部200の保持体230のガイド片232を挟み込み、移動印字部200に対する固定印字部100の位置決めがなされるので、印字部212の並列方向と、露出孔114の長手方向とは一致する。
そして前述したように、図3に示す支持ケース201は、本体ケース2に収容されるため、本体ケース2の内周にあわせて円筒状に形成されており、その一側面には、軸方向に沿って4本の長細い溝状のガイド溝202が開口されている。保持体230を支持ケース201に収容した状態では、5本のベルト体220の各操作部221(図4参照)が、端の2本のベルト体220の操作部221については同じガイド溝202から、残る3本のベルト体220の操作部221についてはそれぞれ独立のガイド溝202から、支持ケース201の外方に突出されるようになっている。さらに、図2に示すように、支持ケース201を本体ケース2に収容し、印字面211の変更が行える状態では、4本のガイド溝202のすべてが開口部2bより露出される。
次に、図5〜図7に示すように、固定印字部100は、円筒状の基部120によって固定印字体112およびインク貯蔵体113を保持しており、固定印字体112の印字面111が、表向きに露出されている。インク貯蔵体113は、例えば多孔性樹脂からなり、内部にインクを染み込ませることによってインクを貯蔵することができる。固定印字体112もまた多孔性樹脂からなり、印字面111は、公知のように、固定印字体112の印影となる部分をマスクした状態で圧縮しつつ露光し、露光された部分が溶解して孔を塞ぐことによって形成される。固定印字体112は、インク貯蔵体113からインクの供給を受ける。
インク貯蔵体113の固定印字体112に接触する面とは反対側の面には、インク貯蔵体113に接触した状態で、移動印字体210の印字部212に当接するインク伝達体130が設けられている。インク伝達体130は、例えばフェルト等の部材からなり、毛細管現象を利用して固定印字部100のインク貯蔵体113に浸透したインクを、インク伝達体130に当接する移動印字体210の印字部212への伝達を担う。なお、インク貯蔵体113およびインク伝達体130が、本発明における「インク補充手段」に相当する。
図5,図6に示すように、利用者の求める印影を有する印字面211は、操作部221の操作によって、前述した保持体230の長手方向の一方の側面に位置される。このとき、インク伝達体130には、選択された印字部212の隣に配置されている印字部212の側面が当接するように構成されている。図5では、移動印字体210の最も端に配置された印字部212aが選択されている状態であるので、その隣の印字部212bの側面がインク伝達体130に当接している。インク伝達体130は左右一対に設けられているので、選択された印字部212(例えば、印字部212c)が移動印字体210の中ほどのものであれば、その両隣に配置されている印字部212(例えば、印字部212d,212e)が、それぞれ、インク伝達体130に当接することとなる。移動印字体210は、前述したように全体がインク含浸体からなるので、インク伝達体130によってインク貯蔵体113より伝達されるインクは、連結部213を介して移動印字体210の全体に拡散し、各印字部212に行き渡るようになっている。
移動印字体210は、本実施の形態では併設された5本のベルト体220のそれぞれに設けられているため、図7に示すように、インク伝達体130はベルト体220の併設方向(図中紙面略左右方向)に幅広に構成されている。そして、印字部212との接触面を広くとるために、図5に示すように、インク伝達体130は、インク貯蔵体113から立ち上げられて印字部212との接触部分でその接触面と平行な方向に屈曲されている。各ベルト体220ごとに操作が行われてそれぞれの選択された印字部212が露出孔114から露出される状態となったとき、各ベルト体220の選択された印字部212の隣にそれぞれ配置されている印字部212は、それぞれ位置決めされて、互いに揃ってインク伝達体130に当接して各々インクの供給を受ける。また、図7に示すように、インク伝達体130の屈曲された部分には円形の開口部131が孔設されている。固定印字部100を本体ケース2から取り外したとき、この開口部131を通してインク貯蔵体113にインクの補充を行えるようになっている。
また、固定印字部100の固定印字体112およびインク貯蔵体113を貫通して設けられた露出孔114の内壁は、図5に示す、移動印字体210の選択された印字部212aの側面に対して対向している。この露出孔114の内壁には印字面111のような孔を塞ぐ処理はなされておらず、捺印時の圧力によって印字部212からインクが滲み出た場合に、この内壁からインクを吸い取ることができるようになっている。逆に、インク貯蔵体113にインクが過剰に供給され、固定印字体112やインク貯蔵体113の内壁からインクが滲み出た場合には、移動印字体210の印字部212aの側面から吸収することができる。
次に、図5,図6,図8に示すように、円形平板の縁部を立ち上げた側面10aを有するキャップ10の内部中央には、略矩形の供給体保持部11が設けられている。この供給体保持部11には、図5,図6に示すように、キャップ10が印字面111,211を覆って日付印1に装着された場合に、露出孔114から露出される移動印字体210の印字面211に当接してインクの供給を行うためのインク供給体12が保持される。インク供給体12は、例えばフェルトあるいはウレタン等のインクを染み込ませて貯蔵可能な部材からなる。図9,図10に示すように、インク供給体12は、供給体保持部11より突出するように構成されている。この突出部分が、非捺印時には、露出孔114のやや奥まった位置にある移動印字体210の印字面211に常に当接する。そのとき、インク供給体12が露出孔114の内壁に触れないように、インク供給体12は、その突設部分の外周の大きさが、露出孔114の内周の大きさよりひとまわり小さく構成されている。なお、キャップ10が、本発明における「蓋体」に相当する。
前述したように、印字面211へのインクの供給は、固定印字部100のインク貯蔵体113よりインク伝達体130を介して行われるが、このように選択されている印字面211に対してインク供給体12から直接インクの供給を行うことができる。これにより、選択されている印字部212へのインクの浸透が2方向から円滑に行われるため、連続した捺印が行われた場合に印影がかすれにくい。さらに、上記したように、供給過多となった余剰分のインクは、露出孔114の内壁より固定印字体112やインク貯蔵体113に吸い取られることとなる。
図8に示すように、キャップ10の側面10aの内側には内壁に沿ってリブ13が設けられており、側面10aを補強している。このリブ13は、キャップ10が日付印1に装着された場合に、固定印字部100の突起部122を側方から挟んで保持することができるように、供給体保持部11の短手方向の両端部分において、それぞれ切欠13aが設けられている。これにより、固定印字部100に対して突起部122が切欠13aと係合しない向きにキャップ10を装着しようとすると、リブ13が突起部122に当たって装着できない。すなわち、キャップ10が日付印1に装着されるとき、長方形の供給体保持部11に貯蔵されたインク供給体12は位置決めされ、移動印字体210の並列された印字面211のすべてに当接することとなる。なお、突起部122が、本発明における「位置決め片」に相当し、切欠13aが、本発明における「係合部」に相当する。
また、リブ13は、キャップ10の側面10aの内壁に沿って設けられているが、そのさらに内周側の壁面において段違いとなるように一部切り欠かれており、その上面13b(キャップ10を装着した場合におけるキャップ10側の面)が、キャップ10を装着したときにキャップ10側になる固定印字部100の基部120の角部分120aに当接する。これにより、キャップ10の装着時に、キャップ10は、リブ13の上面13bと、固定印字部100の基部120の角部分120aとが当接したところにて装着方向への移動が規制され、それ以上深く嵌められることがない。
なお、日付印1を組み立てる際には、図3に示すように、まず、分離可能な後端部205を分離した支持ケース201を本体ケース2の筒端部2a側より本体ケース2に挿入し、筒端部2d側から後端部205を支持ケース201に係合させて固定させる(図6に示す、後端部205のフック205aが支持ケース201の内面に突設された係合突起201aに係合することで固定される。)。そして、筒端部2a側より固定印字部100の一対のガイド部材123の間に保持体230の2つのガイド片232をそれぞれ挟み込ませつつ、本体ケース2のボス2cを固定印字部100の螺旋溝121に係合させ、固定印字部100の取り付けを行う。螺旋溝121の始端より螺旋溝121に係合されたボス2cが、固定印字部100の抜け防止のため螺旋溝121の底面に隆起されたストッパ(図示外)を乗り越えた位置では、図2に示すように、4本のガイド溝202のすべてが開口部2bより露出され、図11に示すように、固定印字部100の露出孔114より移動印字体210の選択されている印字面211が引き抜かれた状態となる。この状態で操作部221を操作すれば、任意の印字面211の選択を行うことができる。
次に、固定印字部100を回転させながらボス2cを螺旋溝121に沿ってスライドさせる。このとき、ガイド片232がガイド部材123に挟まれているので、固定印字部100が回転されれば支持ケース201も回転されることとなる。よってこの操作は、支持ケース201の後端部205を本体ケース2に対して回転させることで行うことができる。螺旋溝121にボス2cが案内されると、図1に示すように、固定印字部100は本体ケース2に納められる方向に移動され、ボス2cが螺旋溝121の末端の位置に達することで、図5に示すように、本体ケース2に対して固定印字部100が位置決めされる。
以上説明したように、本実施の形態の日付印1は、ベルト体220の回転によって移動印字体210の位置が移動されることで、複数の印字部212のうち選択された印字部212が保持体230の一方の側面に位置し、その印字部212の印字面211による印影と、固定印字部100の印字面111による印影とを合成した印影の捺印をすることができる。移動印字体210は、インク含浸体からなり、選択された印字部212の隣に配置されている印字部212が、インク伝達体130に当接することにより、インクの供給を受ける。供給されたインクは、移動印字体210の全体に拡散し、すべての印字部212に供給される。
インク伝達体130は、固定印字部100のインク貯蔵体113に接触しており、これよりインクの供給を受ける。インク貯蔵体113は、補充されたインクを貯蔵することができ、このように、移動印字体210へのインクの供給と、印字面111へのインクの供給を行うことができる。また、移動印字体210の選択された印字面211を有する印字部212は、日付印1にキャップ10が装着された場合に、そのキャップ10に内蔵されたインク供給体12よりインクの供給を受けることもでき、印字部212へのインクの浸透が2方向から円滑に行われるため、連続した捺印が行われても印影がかすれにくい。
また、移動印字体210の選択された印字部212の印字面211は、固定印字部100の露出孔114より外部に露出されるが、その露出孔114の内壁は固定印字体112やインク貯蔵体113の一側面であるので、インクを吸収することができる。これにより、捺印時の圧力によって印字部212からインクが滲み出た場合に、そのインクを吸収することができ、インク漏れを防ぐことができる。また、インク貯蔵体113へインクが過剰に供給され、インク貯蔵体113の内壁からインクが滲み出た場合には、移動印字体210の印字部212aの側面から吸収することができる。
なお、本発明は各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、それぞれに移動印字体210を固定したベルト体220を5本併設したが、2本でも3本でも、あるいは6本以上でもよく、5本に限定するものではない。また、移動印字体210を、ベルト体220に固定して設けたが、移動印字体210がベルト状に構成されてもよい。また、ベルト体220は無端ベルトでなくともよく、その場合、保持体230にベルト体220の移動方向を案内させればよい。
また、移動印字体210は、多孔性樹脂としたが、これに限らず、多孔性のゴム、金属、セラミックスなどであってもよい。また、インク伝達体130やインク供給体12は、ウレタン、紙、スポンジ、糸、布などの部材から構成されてもよい。
また、移動印字体210は取り換え可能で、固定印字部100の印字面111と組み合わせて1つの印字面を構成するようにしてもよい。また、移動印字体210の印字部212を露出させるための露出孔114は、孔に限らず、切り欠き等であってもよく、固定印字体112やインク貯蔵体113の側面が印字部212に対向する構成となればよい。
回転式やスライド移動式の日付印や番号印、アドレス印などに適用できる。
捺印可能な状態の日付印1の斜視図である。 印字面211の変更が可能な状態の日付印1の斜視図である。 日付印1の分解斜視図である。 移動印字体210を保持した保持体230の斜視図である。 図1に示す一点鎖線において矢視方向Aから見た、日付印1の断面図である。 図1に示す一点鎖線において矢視方向Bから見た、日付印1の断面図である。 固定印字部100を印字面111の裏側から見た斜視図である。 キャップ10を裏側から見た斜視図である。 図5において、キャップ10を外した状態の日付印1の要部拡大断面図である。 図6において、キャップ10を外した状態の日付印1の要部拡大断面図である。 図2に示す一点鎖線において矢視方向Cから見た、日付印1の断面図である。
1 日付印
2 本体ケース
10 キャップ
12 インク供給体
13a 切欠
111 印字面
112 固定印字体
113 インク貯蔵体
114 露出孔
122 突起部
130 インク伝達体
131 開口部
210 移動印字体
211 印字面
212 印字部
213 連結部

Claims (7)

  1. 本体ケース内に、
    移動可能に支持されるベルトの外面に沿って個々に印字面を有する複数の印字部が突設され、少なくとも当該ベルトの印字部と各印字部を連結する連結部とがインク含浸体からなる移動印字体と、
    前記移動印字体の複数の印字部のうち、少なくとも一つの印字部が当接することによって、前記移動印字体へのインクの補充を行うインク補充手段と
    前記移動印字体の複数の印字面の一つを前記本体ケース外に露出するための露出孔と
    を備え
    前記移動印字体は、前記露出孔から露出された印字部の隣の印字部の側面が前記インク補充手段に当接してインクの補充を行うことを特徴とする印判。
  2. 前記露出孔から露出された前記移動印字体の印字面とともに印影を形成するための固定印字体を備え、
    前記インク補充手段は、前記固定印字体へのインクの補充も行うことを特徴とする請求項1に記載の印判。
  3. 前記露出孔より露出された前記移動印字体の印字部の側面と、前記固定印字体の側面とは相対し、且つ、隣接するように本体ケースの一端に配置され、印字部の側面と固定印字体の側面とはインク吸収可能に構成されていることを特徴とする請求項2に記載の印判。
  4. 前記インク補充手段は、
    前記固定印字体へ補充するインクを貯蔵するインク貯蔵体と、
    前記インク貯蔵体に貯蔵されたインクを前記移動印字体のいずれか一つの印字部に対して伝達するためのインク伝達体と
    から構成されたことを特徴とする請求項2または3に記載の印判。
  5. 前記インク伝達体は、前記インク貯蔵体へインクを補充するために開口された開口部を有することを特徴とする請求項に記載の印判。
  6. 記移動印字体の内面は、移動印字体に浸透されたインクの滲み出しを防止する滲み出し防止構造となっていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の印判。
  7. 前記本体ケースの一端側にて前記本体ケースに着脱可能に設けられ、前記本体ケース外に露出される前記移動印字体の印字面の乾燥を防止するための蓋体と、
    前記蓋体が前記本体ケースに装着された場合に、前記露出された印字面に対向する前記蓋体の裏面に設けられ、その印字面にインクを供給するためのインク供給体と
    本体ケースの一端側に設けられ、前記蓋体を装着した場合に、その位置決めを行うための位置決め片と、
    前記蓋体に設けられ、前記本体ケースの位置決め片が係合する係合部と
    を備え
    前記インク供給体は、前記蓋体が前記本体ケースに装着された場合に、前記露出された移動印字体の印字面に常に当接するように、前記蓋体の裏面から突設されているとともに、前記固定印字体に対して接触しないように設けられていることを特徴とする請求項1乃至のいずれかに記載の印判。
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