JP4427777B2 - 半導体基板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板の製造方法、詳しくは所定深さ位置に軽元素がイオン注入された単結晶ウェーハを熱処理し、そのイオン注入領域内から単結晶ウェーハを剥離する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、SOI(silicon on insulator)構造を有した半導体ウェーハを製造する方法として、例えば特開平5−211128号公報に記載されたスマートカット法が開発されている。
【0003】
【特開平5−211128号】
【0004】
スマートカット法によれば、まず活性層用ウェーハの所定深さ位置に水素(軽元素)をイオン注入し、イオン注入された活性層用ウェーハと、これを支持する支持基板用ウェーハとを酸化膜を介して貼り合わせ、貼り合わせウェーハを形成する。その後、貼り合わせウェーハを熱処理炉に挿入して貼り合わせ熱処理を施す。この際、イオン注入領域内で水素バブルが形成される。その結果、酸化膜を介して支持基板用ウェーハ側に活性層を残し、活性層用ウェーハが剥離されて貼り合わせSOIウェーハが作製される。
従来、活性層用ウェーハとしては、表面が(100)面であるシリコン単結晶からなる(100)ウェーハが採用されていた。また、この熱処理時には、そのウェーハ面内の全域を、略同時に水素バブルの形成温度を上回る温度で加熱していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の活性層用ウェーハは、ウェーハ表面が(100)面である(100)ウェーハであった。(100)面は劈開面ではない。そのため、熱処理中のイオン注入領域では、この領域の厚さ方向の全域にわたって、不規則に水素バブルが発生していた。これにより、活性層の剥離面のラフネスが大きくなり、剥離後のウェーハ平坦化処理に必要な研磨工程における研磨量またはエッチング工程におけるエッチング量などが増大し、活性層の厚さの面内均一性が低下して高い平坦性が得られなかった。
また、ウェーハ表面((100)面)と平行なイオン注入領域内から活性層用ウェーハを剥離するには、3×1016個/cm3以上もの水素イオンを活性層用ウェーハにドーズする必要があった。そのため、イオン注入されるウェーハの表面が荒れ易く、活性層用ウェーハには水素イオンの通過ダメージが発生していた。
【0006】
そこで、発明者らは鋭意研究の結果、活性層用ウェーハとして汎用の(100)ウェーハではなく、ウェーハ表面が劈開面となる(111)ウェーハまたは(110)ウェーハを採用すれば、活性層の表面(剥離面)のラフネスが抑えられ、剥離後の活性層の厚さの面内均一性が高まるとともに、剥離面の平坦化処理時のウェーハ加工量を低減することができ、しかも水素イオンのドーズ量を低減してイオン注入面の荒れを防止することができることを知見し、この発明を完成させた。
シリコン単結晶の面のうち、(111)面は最大の原子密度およびヤング率を有している。また、(110)面は(111)面に次ぐ原子密度およびヤング率を有している。しかも、(111)面間の結合力および(110)面間の結合力は、(100)面などの他の面間の結合力よりも小さい。その結果、シリコン単結晶では(111)面および(110)面で劈開が発生しやすい。
【0007】
また、発明者らは、イオン注入後、ウェーハの表面と平行にウェーハの一端から順に熱処理を行うと、イオン注入領域のうち、注入密度が最大となる厚さ方向の中間部において、ウェーハの一端から順にイオン注入に起因した水素バブルの核が生成し、さらに水素バブルが連続的に成長することを知見した。これにより、従来のようにウェーハ面内の全域を同時に熱処理する場合に比べて、水素バブル形成領域の厚さが小さくなり、剥離面の平坦性がさらに高まることを確認した。
【0008】
【発明の目的】
この発明は、ウェーハの剥離面のラフネスが抑えられ、その結果、剥離後のウェーハの厚さの面内均一性が高まるとともに、後にその剥離面を平坦化処理するときのウェーハ加工量を低減することができ、しかも軽元素のドーズ量を低減することができる半導体基板の製造方法を提供することを、その目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、劈開面を表面とする活性層用ウェーハの所定深さ位置に軽元素がイオン注入され、この活性層用ウェーハと、この活性層用ウェーハを支持する支持基板用ウェーハとを、これらの間に絶縁層を介在して貼り合わせることで貼り合わせウェーハを形成し、この貼り合わせウェーハを熱処理することにより、イオン注入領域に活性層用ウェーハの表面と平行な劈開面に沿って軽元素バブル層を形成し、前記活性層用ウェーハの一部を残して、このイオン注入領域から活性層用ウェーハを剥離する半導体基板の製造方法であって、前記熱処理は、前記活性層用ウェーハの表面と平行に、この活性層用ウェーハの一端から順に、前記軽元素バブル層を連続形成する一方向熱処理であり、この熱処理は、下端が開口した有底筒状の反応炉に、前記貼り合わせウェーハを垂直に保持したウェーハ保持板を反応炉の下端から反応炉の中央部まで所定の速度で移動し、所定時間後にこのウェーハ保持板を反応炉の中央部から下端まで移動することにより行われ、この反応炉の下端の温度は室温であり、下端から中央部に向かって所定の温度勾配を有し、この温度勾配Gと、この反応炉の下端から反応炉の中央部までの前記貼り合わせウェーハの移動速度Rとの関係を、G/R>1[(℃・min)/cm ]となるように一方向熱処理を行う半導体基板の製造方法である。
活性層用ウェーハの種類は限定されない。例えば単結晶シリコンウェーハなど、劈開面を有する単結晶のウェーハを採用することができる。単結晶シリコンウェーハとしては、(111)ウェーハおよび(110)ウェーハを採用することができる。(111)ウェーハは、(111)面の表面を有する単結晶ウェーハである。(110)ウェーハは、(110)面の表面を有する単結晶ウェーハである。(110)ウェーハにあっては、その(110)シリコン単結晶の育成時、(111)双晶およびスリップ転位面が(110)成長面に対して直交する。これにより、無転位のシリコン単結晶の育成が難しい。そのため、現在は(111)ウェーハの方が工業的に利用しやすい。劈開面の表面を有する単結晶ウェーハの場合、ウェーハ表面からの深さ位置に関係なく、ウェーハ表面と平行な面はすべて劈開面となる。
【0010】
軽元素の種類は限定されない。例えば、水素(H)の他、希ガスの元素であるヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)などでもよい。これらの単体または化合物でもよい。
イオン注入時の軽元素のドーズ量は限定されない。例えば2×1016〜8×1016atoms/cm3である。この発明は、シリコン単結晶の劈開面を利用した軽元素バブルによるウェーハ剥離を特徴としている。よって、従来よりも少ない軽元素のドーズ量で、従来よりも高平坦性にウェーハを剥離することができる。
軽元素のイオン注入時の加速電圧は限定されない。
半導体ウェーハの好ましい加熱時間は10〜60分間である。1分間未満では、半導体ウェーハにイオン注入された軽元素をバブル化することが困難になる。
【0011】
ここでいう半導体基板は、支持基板用ウェーハ上に絶縁層を介して活性層が積層された貼り合わせSOI基板である。
絶縁層の種類は限定されない。例えば、埋め込みシリコン酸化膜でもよい。絶縁層の厚さは限定されない。例えば、0.1〜0.5μmである。
活性層の厚さは限定されない。例えば、厚膜の活性層では20〜50μmである。また、薄膜の活性層では0.01〜20μmである。
【0012】
支持基板用ウェーハは、表面が劈開面の(111)ウェーハまたは(110)ウェーハでもよいし、表面が劈開面ではない(100)ウェーハでもよい。ただし、(100)ウェーハの方が、矩形のチップを切断、分離するとき、(100)ウェーハの表面と直交する劈開面が矩形となって切断が容易となるので好ましい。
活性層用ウェーハと支持基板用ウェーハとの貼り合わせは、例えば常温により両ウェーハを重ね合わせた後、貼り合わせ熱処理することで行われる。この貼り合わせ熱処理の加熱処理温度は800℃以上、例えば1100℃である。貼り合わせ熱処理の時間は、例えば2時間である。使用する熱酸化炉内の雰囲気ガスには酸素などが用いられる。
活性層用ウェーハの剥離は、この貼り合わせ熱処理時に行ってもよい。また、貼り合わせ熱処理とは別に、活性層用ウェーハを熱処理して剥離してもよい。
【0013】
一方向熱処理としては、例えば熱処理炉内における単結晶ウェーハの位置を固定し、熱源をウェーハの表面と平行な方向に移動させる方法を採用してもよい。これとは反対に、熱源を固定した状態で単結晶ウェーハをその表面と平行な方向に移動させる方法を採用してもよい。さらには、熱源および単結晶ウェーハを、そのウェーハ表面と平行な方向に移動させてもよい。熱処理炉内には温度勾配を設けた方が、軽元素バブルを連続形成しやすい。
軽元素のイオン注入時の加速電圧は、50keV以下、好ましくは30keV以下、さらに好ましくは20keV以下である。軽元素のイオン注入は、低加速電圧であるほど目標深さに軽元素を集中させることができる。その結果、軽元素バブル領域の幅がより小さくなり、剥離面の平坦性がより高まる。
【0014】
一方向熱処理を行う剥離熱処理装置の種類は限定されない。例えば所定深さ位置に軽元素がイオン注入された活性層用ウェーハを熱処理する熱源を有し、この熱源による熱処理により、活性層用ウェーハのイオン注入領域内に軽元素バブルを形成する熱処理炉と、活性層用ウェーハの表面と平行に、熱源と活性層用ウェーハとを相対的に移動させて、ウェーハの一端から順に、軽元素バブルを連続形成する移動手段とを備えたものを採用することができる。
剥離熱処理装置の種類は限定されない。縦型炉でもよいし、横型炉でもよい。また、活性層用ウェーハを1枚ずつ処理する枚葉式でもよいし、複数枚の活性層用ウェーハを同時に処理するバッチ式でもよい。
【0015】
熱源の種類は限定されない。例えばハロゲンランプ、アークランプ、グラファイトヒータ、キセノンフラッシュランプ、レーザ発生器などを採用することができる。何れの場合であっても熱処理炉内の帯状に配置した帯状熱源とした方が好ましい。
移動手段は、例えば熱源に対して活性層用ウェーハを移動させるものでもよい。また、活性層用ウェーハに対して熱源を移動させるものでもよい。さらには、活性層用ウェーハと熱源との両方を移動させるものでもよい。移動手段の移動方式は限定されない。例えば、ねじ送り方式、電動シリンダなどの各種のアクチュエータ方式などを採用することができる。
【0016】
請求項に記載の発明は、前記活性層用ウェーハが、(111)ウェーハである請求項1に記載の半導体基板の製造方法である。
【0017】
【作用】
請求項1〜請求項に記載の半導体基板の製造方法によれば、活性層用ウェーハの所定深さ位置に軽元素をイオン注入し、劈開面であるウェーハ表面と平行なイオン注入領域を形成する。その後、活性層用ウェーハを熱処理すると、イオン注入領域内でウェーハ表面と平行な劈開面に沿って軽元素バブルが形成される。これにより、活性層用ウェーハのイオン注入側の部分が簡単に剥離される。例えば活性層用ウェーハがシリコン単結晶の場合、(111)面および(111)面の劈開面は原子密度およびヤング率が大きい。しかも、劈開面間の結合力は(100)面などの他の面間の結合力よりも小さい。よって、劈開面は割れ易く、割れた劈開面の平坦性は高い。したがって、ウェーハの剥離面のラフネスが抑えられ、剥離後のウェーハの厚さの面内均一性が高まる。その結果、その後に剥離面を平坦化処理するとき、ウェーハ加工量が低減される。しかも、このように劈開面を利用した剥離であるため、従来の劈開面ではない表面を有する活性層用ウェーハの剥離に比べて、軽元素のイオン注入は少量でもウェーハを剥離することができる。
【0018】
特に、貼り合わせウェーハを熱処理すると、活性層用ウェーハのイオン注入領域に劈開面に沿って軽元素バブルが形成される。これにより、活性層用ウェーハのイオン注入側が、支持基板用ウェーハ側に活性層用ウェーハの一部を残して剥離される。その結果、得られた貼り合わせSOI基板の活性層の厚さの面内均一性が高まり、活性層のデバイス形成面(表面)の平坦性も高まる。
【0019】
また、イオン注入された活性層用ウェーハを一方向熱処理する。具体的には、ウェーハ表面と平行に、活性層用ウェーハ内での加熱領域を部分的に移動させる。すると、イオン注入領域の厚さ方向の中間部(イオンの高注入密度部分)において、まず活性層用ウェーハの一端からイオン注入に起因した軽元素バブルの核が生成し、引き続き活性層用ウェーハの一端の核から順に軽元素バブルが連続的に成長する。その結果、従来のようにウェーハ面内で活性層用ウェーハを均一に加熱した場合に比べて、軽元素バブル形成領域の厚さが小さくなる。よって、ウェーハの剥離面のラフネスがさらに小さくなり、剥離後のウェーハの厚さの面内均一性もさらに高められる。しかも、エッチング量、研磨量などのウェーハ加工量もさらに低減される。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施例を図面を参照して説明する。まず、図1および図2を参照して第1の実施例を説明する。
ボロンが所定量添加されたp型で、引き上げ方向に直交する面が(111)面である(111)単結晶シリコンインゴットをCZ法により引き上げる。その後、(111)単結晶シリコンインゴットに、ブロック切断、スライス、面取り、鏡面研磨などを施す。これにより、厚さ725μm、直径200mm、比抵抗20Ωcm、p型の鏡面仕上げされた(111)ウェーハの活性層用ウェーハ10が得られる。
作製された活性層用ウェーハ10の裏面(鏡面仕上げされた表面から所定深さ位置)に、中電流イオン注入装置を使用し、50keVの加速電圧で水素イオンを注入する(図1(a))。このときのドーズ量は、5×1016個/cm2である。図1および図2において、10aは水素のイオン注入領域を示す。
その後、酸素ガス雰囲気での900℃の熱酸化処理により、活性層用ウェーハ10の露出面の全域に、シリコン酸化膜10bを形成する。
【0021】
続いて、活性層用ウェーハ10の表面とあらかじめ準備された支持基板用ウェーハ20の鏡面とを貼り合わせ面(重ね合わせ面)とし、例えば真空装置内で公知の治具を用いて両ウェーハ10,20を貼り合わせる(図1(b))。支持基板用ウェーハ20は、(100)単結晶シリコンインゴットから得られたウェーハである以外は、活性層用ウェーハ10と同じプロセスで作製された(100)ウェーハである。貼り合わせ時、活性層用ウェーハ10と支持基板用ウェーハ20との間のシリコン酸化膜10bが、埋め込みシリコン酸化膜10cとなる。
【0022】
それから、貼り合わせウェーハ30を剥離熱処理装置に挿入し、500℃の炉内温度、N2ガス(アルゴンガスまたは酸素ガスでもよい)の雰囲気で、貼り合わせウェーハ30を30分間、低温熱処理する。これにより、埋め込みシリコン酸化膜10cを介して、支持基板用ウェーハ20の貼り合わせ界面側に活性層10Aを残して、活性層用ウェーハ10が剥離される(図1(c)、図2)。
具体的には、その低温熱処理時、イオン注入領域10a内でウェーハ表面と平行な劈開面に沿って水素バブルが形成される。シリコン単結晶の面のうち(111)面は原子密度およびヤング率が最大であり、(111)面間の結合力は(100)面などの他の面間の結合力よりも小さい。そのため、(111)面は割れやすい劈開面となる。よって、イオン注入領域10a内で水素バブルが形成されると、従来の活性層用ウェーハ((100)ウェーハ)による剥離と比べて、水素バブルが小さいうちでも活性層用ウェーハ10のイオン注入側を剥離することができる。
【0023】
しかも、活性層10Aの剥離面L1は劈開面である。そのため平坦性が高い。したがって、剥離面L1のラフネスが抑えられ、剥離後の活性層用ウェーハ10の厚さの面内均一性も高まる。よって、その後の研磨工程において、研磨量を低減させることができる。しかも、このように劈開面を利用した剥離であるので、従来の剥離時よりも水素イオンのドーズ量を少量としても活性層用ウェーハ10を剥離することが可能になるとともに、活性層用ウェーハ10、ひいては活性層10Aの水素イオンの通過ダメージを低減することができる。
得られたSOI構造の貼り合わせウェーハ30は、活性層10Aの表面が研磨装置により研磨される(図1(d))。
【0024】
次に、図3〜図5を参照して、この発明の第2の実施例を説明する。
第2の実施例の特徴は、貼り合わせウェーハ30の低温熱処理として、活性層用ウェーハ10の表面と平行に、活性層用ウェーハ10の一端から順に、水素バブルを連続形成する一方向熱処理を採用した点である(図3)。
一方向熱処理用の剥離熱処理装置50は、主に、石英からなる縦型の反応炉51と、反応炉51の外周を被う円筒形状を有する加熱ヒータ52と、加熱ヒータ(熱源)52および反応炉51を収納するハウジング53と、複数枚の貼り合わせウェーハ30を垂直状態で保持するウェーハ保持板54と、ウェーハ保持板54を支持する支持軸55と、支持軸55およびウェーハ保持板54を介して、貼り合わせウェーハ30を移動速度(R)で昇降させる昇降モータ(移動手段)56とを備えている。
反応炉51の内部空間の略全域が、貼り合わせウェーハ30の加熱処理ステージSとなる。加熱ヒータ52は、反応炉51の略高さ方向の全長にわたり配設された帯状熱源である。具体的には、所定ピッチで設けられた多数個のハロゲンランプから構成される。このような加熱ヒータ52を利用した加熱によって、反応炉51の炉内には所定の温度勾配(G)が存在する(図4)。また、反応炉51の下端には、ウェーハ出入口50aが形成されている。
【0025】
次に、剥離熱処理装置50による活性層用ウェーハ10の剥離熱処理を説明する。
あらかじめ反応炉51を炉内温度600℃、N2ガスの雰囲気とする。反応炉51の下方において、ウェーハ保持板54に3枚の貼り合わせウェーハ30を垂直状態で載置する。そして、温度勾配(G)と貼り合わせウェーハ30の移動速度(R)との関係を、G/R>1[(℃・min)/cm2 ]に設定する。
その後、支持軸55を介して、昇降モータ56によりウェーハ保持板54を移動速度(R)で徐々に上昇させる。これにより、貼り合わせウェーハ30はウェーハ出入口50aから反応炉51内に挿入される。
【0026】
このとき、貼り合わせウェーハ30は、活性層用ウェーハ10の表面と平行に、活性層用ウェーハ10内での加熱領域を部分的に移動させながら一方向熱処理される。すなわち、図5(a)に示すように、イオン注入領域10aでは、水素イオンの注入密度が最大となる高密度ラインRpに沿って、活性層用ウェーハ10の一端(移動方向の端)から順に、イオン注入に起因した水素バブルの核が生成する。それに伴い、活性層用ウェーハ10の一端に生成された核から順に軽元素バブルが成長して行く。これにより、水素バブル形成領域10dの厚さが、従来のようにウェーハ面内で均一に活性層用ウェーハを加熱するよりも小さくなる(図5(b))。その結果、水素バブルの成長による活性層用ウェーハ10の剥離は、この連続した水素バブルに沿って、ウェーハの一端から順に進行する。よって、剥離により得られた活性層10Aの剥離面L2のラフネスが、従来の剥離面L(図5(b))、および、第1の実施例の場合の剥離面L1(図2)よりもさらに抑えられ、剥離後の活性層10Aの厚さの面内均一性および活性層10Aの表面の平坦性もさらに高められる。しかも、続く研磨工程での活性層10Aの表面の研磨量もさらに低減される。
【0027】
また、ここでは温度勾配Gと移動速度Rとの関係を、G/R>1となるように一方向熱処理を施している。そのため、水素バブルが連続的に形成されやすい。これは、連続的な水素バルブの形成には、反応炉内の温度勾配が大きく、水素バルブの成長速度が遅いほど有利となるためである。
その後、ウェーハ保持板54の上昇はさらに進み、反応炉51の中央部に達したところでウェーハ保持板54は30分間停止する。この位置における炉内温度は600℃である。ここで活性層用ウェーハ10は完全に剥離され、支持基板用ウェーハ20の貼り合わせ面に埋め込みシリコン酸化膜10cを介して活性層10Aが残る。こうして、SOI構造を有する貼り合わせウェーハ30が得られる。
剥離後、昇降モータ56がウェーハ保持板54の上昇時とは反対方向に回転し、支持軸55を介してウェーハ保持板54が下降し、SOI構造を有する貼り合わせウェーハ30がウェーハ出入口50aから排出される。
その他の構成、作用および効果は第1の実施例と略同様であるので、説明を省略する。
【0028】
次に、表1に基づき、この発明のSOI基板用の貼り合わせウェーハ(試験例1,2)と、従来のSOI基板用の貼り合わせウェーハ(比較例1,2)とについて、活性層用ウェーハの剥離後、その活性層の剥離面のラフネスに関する試験結果を報告する。貼り合わせウェーハは試験例および比較例共に、第1の実施例の半導体基板の製造方法に則って作製した。活性層の表面ラフネスは、原子間力顕微鏡(AFM)により評価した。評価サイズは2μm×2μmである。
【0029】
【表1】
Figure 0004427777
【0030】
表1のグラフから明らかなように、活性層用ウェーハに(111)ウェーハを採用した試験例1,2では、いずれも剥離面(活性層の表面)の表面ラフネスが15nmまたは17nmと小さかった。特に水素イオンのドーズ量を2×1016個/cm2に減らした試験例1では、表面ラフネスが15nmと最良の結果が得られた。これに対して、比較例2では表面ラフネスが46nmであった。ドーズ量が2×1016個/cm2の比較例1にあっては、活性層用ウェーハを剥離できなかった。
【0031】
【発明の効果】
請求項1〜請求項に記載の半導体基板の製造方法によれば、軽元素イオンを利用した剥離用のウェーハとして劈開面の表面を有する活性層用ウェーハを採用したので、熱処理時において、活性層用ウェーハはイオン注入領域内の劈開面から高い平坦性を維持して簡単に割れる。その結果、ウェーハの剥離面のラフネスが抑えられ、剥離後のウェーハの厚さの面内均一性が高まり、後に剥離面を平坦化処理するときのウェーハ加工量が低減される。しかも、このように劈開面を利用した剥離であることから、従来の劈開面からではない剥離に比べて、軽元素のイオン注入が少量でもウェーハを剥離することができる。
【0032】
特に、貼り合わせSOIウェーハ用の活性層用ウェーハを、表面に劈開面を有する活性層用ウェーハとしたので、貼り合わせSOIウェーハの活性層の厚さの面内均一性が高まり、活性層のデバイス形成面の平坦性も高まる。
【0033】
また、軽元素をイオン注入する活性層用ウェーハを一方向熱処理するようにしたので、従来のようにウェーハ面内で活性層用ウェーハを均一に加熱した場合に比べて、軽元素バブル形成領域の厚さが小さくなる。よって、ウェーハの剥離面のラフネスがさらに小さくなり、剥離後のウェーハの厚さの面内均一性もさらに高まる。しかも、エッチング量、研磨量などもさらに低減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1の実施例に係る半導体基板の製造方法を示すフローシートである。
【図2】 この発明の第1の実施例に係る半導体基板の製造方法における半導体ウェーハの剥離現象を説明する要部拡大断面図である。
【図3】 この発明の第2の実施例に係る剥離熱処理装置の使用状態を示す模式図である。
【図4】 この発明の第2の実施例に係る半導体基板の製造方法における熱処理炉の炉内温度分布を示すグラフである。
【図5】 (a)は、この発明の第2の実施例に係る半導体基板の製造方法における半導体ウェーハの剥離現象を説明する要部拡大断面図である。
(b)は、従来手段に係る半導体基板の製造方法における半導体ウェーハの剥離現象を説明する要部拡大断面図である。
【符号の説明】
10 活性層用ウェーハ(単結晶ウェーハ)、
10a イオン注入領域、
10c 埋め込みシリコン酸化膜(絶縁層)、
20 支持基板用ウェーハ、
30 貼り合わせウェーハ。

Claims (2)

  1. 劈開面を表面とする活性層用ウェーハの所定深さ位置に軽元素がイオン注入され、
    この活性層用ウェーハと、この活性層用ウェーハを支持する支持基板用ウェーハとを、これらの間に絶縁層を介在して貼り合わせることで貼り合わせウェーハを形成し、
    この貼り合わせウェーハを熱処理することにより、イオン注入領域に活性層用ウェーハの表面と平行な劈開面に沿って軽元素バブル層を形成し、前記活性層用ウェーハの一部を残して、このイオン注入領域から活性層用ウェーハを剥離する半導体基板の製造方法であって、
    前記熱処理は、前記活性層用ウェーハの表面と平行に、この活性層用ウェーハの一端から順に、前記軽元素バブル層を連続形成する一方向熱処理であり、
    この熱処理は、下端が開口した有底筒状の反応炉に、前記貼り合わせウェーハを垂直に保持したウェーハ保持板を反応炉の下端から反応炉の中央部まで所定の速度で移動し、所定時間後にこのウェーハ保持板を反応炉の中央部から下端まで移動することにより行われ、
    この反応炉の下端の温度は室温であり、下端から中央部に向かって所定の温度勾配を有し、
    この温度勾配Gと、この反応炉の下端から反応炉の中央部までの前記貼り合わせウェーハの移動速度Rとの関係を、
    G/R>1[(℃・min)/cm
    となるように一方向熱処理を行う半導体基板の製造方法。
  2. 前記活性層用ウェーハが、(111)ウェーハである請求項1に記載の半導体基板の製造方法。
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