記録紙に文字や図形等を記録するための画像形成装置としては、従来より、プリンタ、ファクシミリ、複写機等がある。図15は、従来の画像形成装置の一例を示す図である。画像形成装置70では、画像形成動作の開始に伴い、表面に感光層が形成された感光ドラム71を帯電デバイス72によって一様に帯電し、記録すべき画像データに応じた光を露光デバイス73から照射して感光ドラム71上の電荷を部分的に除去することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像に対して現像デバイス74からトナーを供給することによりトナー像を形成するとともに、給紙カセット75から繰り出されて搬送路76を搬送される記録紙を転写ローラ77で感光ドラム71に圧接することにより、感光ドラム71上のトナー像を記録紙に転写する。その後、記録紙は搬送路76を更に下流側へ搬送され、定着デバイス78によって熱と圧力を加えられることにより記録紙上のトナー像が定着する。一方、トナー像転写後の感光ドラム71は、清掃デバイス79によって残留トナーが除去された後、再び帯電デバイス72により帯電されるものとなっている。
ここで、前記転写ローラ77は、図16に示すように、搬送路76の外側ガイド面を形成するジャムアクセスカバー80によって回転可能に支持されている。このジャムアクセスカバー80は、画像形成装置70の装置本体に対してヒンジ81を介して開閉可能に設けられ、搬送路76内で紙詰まり等が発生した場合には、ジャムアクセスカバー80を開いて搬送路76を露呈させることにより、搬送路76内に詰まった記録紙を除去することが可能となっている。
一方、図16に示すように、搬送路76を挟んで転写ローラ77の対向位置に設けられる感光ドラム71は、搬送路76の内側ガイド面を形成するプロセスカートリッジ82内に収容され、その一部が、プロセスカートリッジ82に形成された開口83から露出している。また、プロセスカートリッジ82には、感光ドラム71の露出部分を覆って保護するためのシャッタ装置84が開閉可能に設けられている。このシャッタ装置84は、感光ドラム71の露出部分を覆うシャッタ本体85と、該シャッタ本体85を感光ドラム71の表面を覆う位置と露出させる位置とへ移動可能に支持するリンク機構86とを備えるものである(特許文献1参照)。他方、ジャムアクセスカバー80の側面には、シャッタ装置84の開閉を操作するためのシャッタアーム87が、感光ドラム71側へ突出した状態で固定されている。これにより、ジャムアクセスカバー80の開閉動作に連動してシャッタアーム87がシャッタ装置84を開閉させるものとなっている。
より詳細に説明すると、通常の画像形成動作時には、ジャムアクセスカバー80が完全に閉止され、シャッタアーム87がリンク機構86を押さえ込むことでシャッタ本体85は感光ドラム71の表面を露出させる位置へ引き上げられた状態で保持されている。これにより、搬送路76を搬送される記録紙を転写ローラ77で感光ドラム71に圧接することが可能となっている。そして、搬送路76内で紙詰まりが発生してユーザがジャムアクセスカバー80を開くと、シャッタアーム87がリンク機構86から離間し、シャッタ本体85は、図示しないバネの付勢力等により下降して感光ドラム71の表面を覆った状態となる。これにより、搬送路76内に詰まった記録紙を除去しようとするユーザが感光ドラム71に誤って触れてその表面を傷付けることを防止するとともに、外光によって感光ドラム71の表面が露光されることを防止することができる。その後、記録紙の除去が完了してユーザがジャムアクセスカバー80を閉じると、ジャムアクセスカバー80が徐々に閉じるに連れ、シャッタアーム87がリンク機構86に当接して押し上げ、シャッタ本体85が感光ドラム71の上方へと徐々に引き上げられていく。これにより、感光ドラム71の表面が露出し、転写ローラ77が感光ドラム71に圧接される。
しかし、このような構成では、リンク機構86がいわゆるロックした状態となる場合がある。より詳細に説明すると、前述のように、シャッタアーム87は、ジャムアクセスカバー80の開閉動作に伴って、リンク機構86を押し上げる機能と押さえ込む機能の2つの役割を果たすものである。しかし、ジャムアクセスカバー80の開閉軌跡とリンク機構86の回動軌跡との位置関係によっては、リンク機構86に対して本来は押し上げる方向への力を加えるべきシャッタアーム87が、リンク機構86に対して押さえ込む方向に力を加える場合がある。この場合、リンク機構86がロックした状態となって回動せず、ジャムアクセスカバー80をスムーズに閉じることができない。
このリンク機構86がロックする問題を解消する手段として、本出願人は、図17に示すように、シャッタアーム88をジャムアクセスカバー89に対して可動式とする画像形成装置90を従来提唱している。図に示すように、本画像形成装置90では、シャッタ装置91のリンク機構92を操作するためのシャッタアーム88が、ジャムアクセスカバー89の側面に突設された支軸ピン93によって回動可能に支持されている。更に、ジャムアクセスカバー89の側面には、シャッタアーム88を図において反時計廻りに付勢する付勢バネ94と、シャッタアーム88の反時計廻りの回動を規制するための規制リブ95がそれぞれ設けられている。
このような構成によれば、シャッタアーム88は、リンク機構92と接触しない状態では、図17に点線で示すように、付勢バネ94の付勢力を受けてその上縁部が規制リブ95に接触した初期位置で保持され、この初期位置から反時計廻りには回動不能である一方、時計廻りには回動が許容された状態となっている。そして、前述のようにリンク機構92がシャッタアーム88に押さえ込まれてロックした状態になると、更にジャムアクセスカバー89を閉じようとすることでシャッタアーム88には負荷が加わり、この負荷が付勢バネ94の付勢力を超えて大きくなると、図17に示すように、シャッタアーム88は支軸ピン93を支点として時計廻りに若干回動する。この時、シャッタアーム88からリンク機構92に作用する力の向きが、リンク機構92を押さえ込む方向から押し上げる方向に変わることによって、リンク機構92のロック状態が解除されて、シャッタアーム88によるリンク機構92の押し上げが開始する。これにより、ジャムアクセスカバー89をスムーズに閉じることができる。そして、リンク機構92の押し上げが始まると、シャッタアーム88に加わる負荷が徐々に小さくなり、該負荷が付勢バネ94の付勢力より小さくなるとシャッタアーム88が反時計廻りに回動を開始する。そして、ジャムアクセスカバー89が完全に閉じる前に、シャッタアーム88は元の初期位置に戻るようになっている。
以下、本発明の実施例に係る画像形成装置について図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る画像形成装置1の外観を示す概略斜視図である。本画像形成装置は、原稿の複写機能、ファクシミリ通信機能、インターネットファクシミリ通信機能等を備えるコピー・ファクシミリ複合機である。もちろん、コピー・ファクシミリ複合機に限られず、例えば、複写機能のみを備えるコピー専用機や、ファクシミリ通信機能のみを備えるファクシミリ専用機として本画像形成装置1を構成することも可能である。
画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2と、該装置本体2の上部に設けられた原稿載置台3と、該原稿載置台3に対して開閉自在に設けられた原稿押圧板4と、原稿載置台3の前面側に設けられた操作パネル5と、を具備してなるものであり、図1に詳細は示さないが、原稿画像を読み取るための画像読取部が原稿載置台3と原稿押圧板4の内部に、原稿から読み取った画像データやファクシミリ受信した画像データに基づいて記録紙に画像を形成するための画像形成部が装置本体2の内部にそれぞれ設けられている。
前記装置本体2には、図1に示すように、前記画像形成部に供給する記録紙を格納するための給紙カセット6が引き出し可能に設けられるとともに、画像形成の完了した記録紙が排出される排紙トレイ7が設けられている。また、装置本体2の前面にはフロントカバー8が、右側面にはジャムアクセスカバー(内部アクセスカバー)9が、図示しないヒンジを介して開閉可能にそれぞれ設けられ、該フロントカバー8またはジャムアクセスカバー9を開放することにより、装置本体2の内部にアクセス可能となっている。
図2は、図1におけるA−A断面を示す概略縦断面図である。装置本体2の内部には、前述のように画像形成部10が設けられている。この画像形成部10は、給紙カセット6内に格納された記録紙Pを搬送路11へ繰り込むピックアップローラ12と、記録紙Pの搬送姿勢を調整する一対のレジストローラ13と、表面に感光層が形成され回転駆動される感光ドラム14と、該感光ドラム14の表面を帯電させる帯電デバイス15と、感光ドラム14の表面に光を照射する露光デバイス16と、感光ドラム14の表面にトナーTを供給する現像デバイス17と、搬送路11を挟んで感光ドラム14の対向位置に配置された転写ローラ18と、感光ドラム14の表面を清掃する清掃デバイス19と、搬送路11を搬送される記録紙Pを加熱・加圧する定着デバイス20と、搬送路11に適宜配置され記録紙Pを下流側へ搬送する一対の搬送ローラ21と、搬送路11の最下流部に配置され記録紙Pを排紙トレイ7へ排出する排紙ローラ22と、を具備してなるものである。
このように構成される画像形成部10では、画像形成動作が開始されると、感光ドラム14の表面が帯電デバイス15によって一様に帯電され、この感光ドラム14に対して記録すべき画像データに応じた光を露光デバイス16から照射して静電潜像を形成し、該潜像に現像デバイス17からトナーTを供給してトナー像とすることで可視像化する。一方、画像形成動作の開始に伴い、給紙カセット6に格納された記録紙Pがピックアップローラ12によって最上紙から1枚ずつ取り出されて搬送路11へ繰り込まれ、該記録紙Pは、その先端が静止したレジストローラ13に突き当たることで搬送姿勢が調整されるとともに、レジストローラ13が感光ドラム14の回転にタイミングを合わせて回転することによって下流側へ搬送される。感光ドラム14へと搬送された記録紙Pは、転写ローラ18によって感光ドラム14に押圧されるが、この際、転写ローラ18に感光ドラム14とは逆極性の電圧を印加することにより、感光ドラム14上のトナー像が記録紙Pに転写される。更に、記録紙Pは搬送路11を下流側へ搬送され、定着デバイス20によって加熱・加圧されることにより、記録紙P上のトナー像が定着する。その後、記録紙Pは排紙ローラ22によって排紙トレイ7へと排出される。一方、トナー像転写後の感光ドラム14は、その表面に残留したトナーTや紙粉等が清掃デバイス19によって除去された後、再び帯電デバイス15によってその表面が帯電されるものとなっている。
図3は、感光ドラム14の近傍を示す概略図である。本画像形成部10では、図2に示す感光ドラム14、帯電デバイス15、現像デバイス17、及び清掃デバイス19を樹脂等からなるケーシング23内に収容することにより、プロセスカートリッジ(プロセスユニット)24として一体的に構成し、該プロセスカートリッジ24を装置本体2に着脱可能とする方式を採用している。この方式によれば、トナー切れや画像品質の劣化等が生じた場合に、不具合が発生した箇所を特定することなくプロセスカートリッジ24ごと交換すればよいので、画像形成部10の内部構造に精通していないユーザでも容易にメンテナンス作業を行うことができるという利点がある。本実施例では、省スペース化や作業の便宜を考慮して、図1に示すフロントカバー8を介して装置本体2の前面側からプロセスカートリッジ24を挿抜可能としている。
プロセスカートリッジ24には、図3に示すように、ケーシング23の搬送路11側の面に開口Oが形成され、該開口Oから感光ドラム14の一部が露出されるとともに、該感光ドラム14の露出部分を覆って保護するためのシャッタ装置25が開閉可能に設けられている。図4は、シャッタ装置25の構成を示す概略斜視図である。図に示すように、シャッタ装置25は、感光ドラム14の開口Oから露出した部分を覆うためのシャッタ本体26と、該シャッタ本体26を感光ドラム14の表面を覆う閉じ位置と感光ドラム14の表面を露出させる開き位置とへ移動可能に支持するリンク機構27とを備えてなるものである。ここで、シャッタ本体26は、その長手方向幅が感光ドラム14の軸方向幅と略等しい略平板状の部材であって、その長手方向両端部から側方へ突出して左右一対の支持ピン28がそれぞれ設けられている。尚、本実施例ではシャッタ装置25をプロセスカートリッジ24に設けているが、装置本体2側にシャッタ装置25を設けることも可能である。
図5及び図6は、リンク機構27の構成を示す図であり、図5は概略平面図、図6は概略斜視図である。リンク機構27は、シャッタ本体26を回動可能に支持するための支持アーム29と、シャッタ本体26を操作するための操作アーム30と、該操作アーム30の一端側を支持アーム29に連結する第1支軸31と、操作アーム30の他端側から突設された第2支軸32と、を具備している。このように構成されるリンク機構27が、図4に示すように、その第1支軸31と第2支軸32をケーシング23によって回動可能に支持されることにより、プロセスカートリッジ24に取り付けられている。
支持アーム29は、図4に示すように、先端部にピン孔33が形成され、該ピン孔33にシャッタ本体26の支持ピン28が挿通されることにより、シャッタ本体26を回動可能に支持している。また、操作アーム30は、図5及び図6に示すように、支持アーム29に略90°の角度をなして互いに平行する左操作アーム34及び右操作アーム35と、各操作アーム34,35を互いに連結するアーム連結ピン36とを具備してなるものである。アーム連結ピン36は、右操作アーム35側に設けられた断面長手形状の押さえ込み用長手部37と、左操作アーム34側に設けられた断面略三角形状の突出部38とから構成される。ここで、突出部38は、左右の各操作アーム34,35の先端より突出するように設けられ、押さえ込み用長手部37に面する側の端部は、その縁部38aが面取りされている。尚、突出部38の形状は本実施例に限定されず適宜設計変更が可能である。
このような構成によれば、図4に示すように、操作アーム30が第1支軸31及び第2支軸32を支点として、アーム連結ピン36側の端部を上昇させるように回動した場合、これに伴って支持アーム29がシャッタ本体26側の端部を上昇させるように回動し、シャッタ本体26が上方へ引き上げられる。これにより、シャッタ装置25が開かれて感光ドラム14の表面が露出した状態となる。一方、操作アーム30が第1支軸31及び第2支軸32を支点としてアーム連結ピン36側の端部を下降させるように回動した場合、これに伴って支持アーム29がシャッタ本体26側の端部を下降させるように回動し、シャッタ本体26が下降する。これにより、シャッタ装置25が閉じられて感光ドラム14の表面が保護された状態となる。
一方、図3に示すように、搬送路11を挟んで感光ドラム14の対向位置に配置される前記転写ローラ18は、搬送路11の外側面を形成する転写ローラガイド39によって回転可能に軸支されている。この転写ローラガイド39は、前記ジャムアクセスカバー9の下部に架設された支軸40を支点として傾動可能に設けられており、ジャムアクセスカバー9は、ヒンジ41を介して装置本体2の右側面に開閉可能に設けられている。図7は、転写ローラガイド39を備えたジャムアクセスカバー9を示す概略斜視図である。図3及び図7に示すように、転写ローラガイド39の背面側には回転軸42が回転自在に支持されており、この回転軸42には、転写ローラガイド39を背面側から支持するためのラッチ43がその径方向に突出して設けられている。また、回転軸42における転写ローラガイド39の側方へ突出した部分には、回転軸42を回転させることでラッチ43を回動させるためのラッチレバー(操作レバー)44が、ラッチ43と所定の角度をなすようにして突設されている。また、図3に示すように、転写ローラガイド39とジャムアクセスカバー9の間には、転写ローラガイド39をジャムアクセスカバー9側に引張るための引張りコイルバネ45が介在されている。
このような構成によれば、図3に示すように、転写ローラガイド39の背面をラッチ43で支持することにより、転写ローラガイド39を圧接位置Paすなわち転写ローラ18を感光ドラム14に圧接させた位置で保持することができる。一方、図3に点線で示すように、ラッチレバー44の操作によってラッチ43による支持が解除されると、図に詳細は示さないが、転写ローラガイド39は、引張りコイルバネ45の引張り力を受けて支軸40廻りに傾動し、退避位置すなわち転写ローラ18が感光ドラム14から離間した位置で停止する。これにより、感光ドラム14を転写ローラ18に摺ることなく、プロセスカートリッジ24を装置本体2から引き抜くことができる。
また、図3に示すように、転写ローラガイド39の側面には、シャッタ装置25の開閉を操作するためのシャッタアーム46が感光ドラム14側へ突出した状態で固定されている。図8及び図9は、シャッタアーム46の構成を示す図であり、図8は一側方から見た概略斜視図、図9は他側方から見た概略斜視図である。各図に示すように、シャッタアーム46は、樹脂等からなる所定長さのアーム部材であって、基端部に3つのピン挿通孔47が貫通形成される一方、先端部に、前記シャッタ装置25のリンク機構27を押さえ込むための押さえ込みリブ48が突設されている。押さえ込みリブ48は、図9に示すように、シャッタアーム46の長手方向に対して若干傾斜する方向に突設され、前記アーム連結ピン36の押さえ込み用長手部37全体を押さえ込めるようにその突出長さが決定されている。また、シャッタアーム46の先端部には、アーム連結ピン36を押し上げるための押し上げ突起49が、一方の側面から側方へ突出して設けられている。この押し上げ突起49は、図8に示すように、断面略矩形形状であって、その先端縁部49aが面取りされている。
このように構成されるシャッタアーム46は、図3及び図8に示すように、3つのピン挿通孔47のうち中央に位置するピン挿通孔47に対し、転写ローラガイド39の側面に突設された固定ピン50が挿通された上で、回動不能に固定される。更に、固定ピン50の両隣に突設された2本の位置決めピン51が、他の2個のピン挿通孔47にそれぞれ挿通され、シャッタアーム46は3点で位置決めされることでより回動しにくくなっている。
次に、ジャムアクセスカバー9の開閉に連動したシャッタ装置25の開閉動作について説明する。本画像形成装置1では、搬送路11内で紙詰まりが発生した場合、図10に示すように、ジャムアクセスカバー9を開いて搬送路11を露呈させた上で、その内部に詰まった記録紙を除去することが可能となっている。また、ジャムアクセスカバー9を開くと、転写ローラガイド39のシャッタアーム46がシャッタ装置25のリンク機構27から離間することにより、シャッタアーム46の押さえ込み力から解放されたリンク機構27は、シャッタ本体26の自重により又は図示しないバネ等の付勢力により回動し、図10に示すようにシャッタ本体26が下降して感光ドラム14の露出部分を覆い、シャッタ装置25は閉じた状態となる。これにより、搬送路11内に詰まった記録紙を除去する際に誤って感光ドラム14に触れてその表面を傷付けることを防止し、且つ、外光によって感光ドラム14の表面が露光されるのを防止することが可能となっている。
そして、搬送路11内に詰まった記録紙を除去した後、ジャムアクセスカバー9を閉じるべくヒンジ41廻りに回動させると、転写ローラガイド39に取り付けられたシャッタアーム46もヒンジ41の位置を中心としてプロセスカートリッジ24に接近する方向へ回動する。そして、図11に示すように、リンク機構27のうちジャムアクセスカバー9側に最も突出した部分である突出部38に対し、シャッタアーム46の押し上げ突起49の下側部分が当接すると、シャッタアーム46から突出部38に対して押圧力が作用し、突出部38が、押し上げ突起49に沿って上方へスライドしながら押し上げられていく。これにより、リンク機構27は、第1支軸31及び第2支軸32を支点として回動を開始し、図4に示すシャッタ本体26が徐々に上方へ引き上げられる。この時、リンク機構27の回動に伴って押さえ込み用長手部37も回動し、その裏面37aをシャッタアーム46側に晒すように徐々に起立していく。
その後、リンク機構27の突出部38がシャッタアーム46の押し上げ突起49の上端部までスライドして両者の当りがなくなる時点から、或いはその若干手前の時点から、図12に示すように、シャッタアーム46の押さえ込みリブ48の先端部48aが、押さえ込み用長手部37の裏面37aに当接して押圧力を加え始める。これにより、図4に示すシャッタ本体26は引き続き上方へ引き上げられていく。ここで、押さえ込みリブ48の先端部48aが押さえ込み用長手部37に当接する時には、図12に示すように、押さえ込み用長手部37は鉛直に起立した状態を若干超えた位置まで回動しているため、その後は押さえ込み用長手部37に対して押さえ込む方向に力を加えるだけでリンク機構27を回動させることができる。従って、本来は押し上げ方向に力を受けることで回動するはずのリンク機構27が、押さえ込み方向への力を受けることでロック状態となる事態は生じない。加えて、押さえ込み用長手部37を長手形状としたので、押さえ込みリブ48の先端部48aから押圧力を受けた押さえ込み用長手部37が、図示しないバネの付勢力により又は自重により、押さえ込みリブ48の上側へ滑ってその上に乗り上げてしまうことが防止されている。
その後、シャッタアーム46の押さえ込みリブ48から押圧力を受けたリンク機構27の押さえ込み用長手部37は、図3に示すようにジャムアクセスカバー9が完全に閉止状態となる時には、その裏面37aを上にして略水平に倒伏した状態まで回動し、シャッタ装置25は完全に開いた状態となる。そして、押さえ込み用長手部37の裏面37aに押さえ込みリブ48の内側面48bが当接して押さえ込むことにより、シャッタ装置25は開いた状態で保持される。尚、図3は、説明の便宜上、シャッタアーム46については押さえ込みリブ48の断面を、リンク機構27については押さえ込み用長手部37の断面をそれぞれ示している。
次に、前記ラッチレバー44の操作に連動したシャッタ装置25の開閉動作について説明する。トナー切れ等が発生してプロセスカートリッジ24を交換する場合には、図1に示すフロントカバー8を開き、図3に示すニップ位置Pnからラッチレバー44を反時計廻りに回動させることにより、ラッチ43による転写ローラガイド39の支持を解除すると、図に詳細は示さないが、引張りコイルバネ45の引張り力により転写ローラガイド39がジャムアクセスカバー9側へ傾動し、転写ローラ18が感光ドラム14から離間する。また、この時、シャッタアーム46の押さえ込みリブ48がリンク機構27の押さえ込み用長手部37から離間し、リンク機構27は、シャッタ本体26の自重により又は図示しないバネ等の付勢力により、シャッタ本体26を下降させるように回動する。しかし、この場合でも、図13に示すように、リンク機構27に突設した突出部38が、シャッタアーム46に突設した押し上げ突起49に接触するため、リンク機構27は図4に示すシャッタ本体26が感光ドラム14の露出部分を完全に覆うまで回動することができない。これにより、シャッタ装置25はわずかに開いたままとなっている。
このようにリンク機構27の突出部38がシャッタアーム46の押し上げ突起49に接触していても、プロセスカートリッジ24を交換すべく装置本体2の内部から抜き出す作業はスムーズに行うことができる。しかし、図14に示すように、抜き出したプロセスカートリッジ24を新品のものと交換して装置本体2の内部に挿入する場合は、シャッタ装置25が完全に閉じた状態のプロセスカートリッジ24を挿入することとなるため、リンク機構27の突出部38とシャッタアーム46の押し上げ突起49との干渉が問題となる。しかし、前述のように、突出部38における押さえ込み用長手部37に面する側の端部はその縁部38aに面取りが施され、且つ、押し上げ突起49の先端縁部49aにも面取りが施されている。従って、プロセスカートリッジ24の挿入時には、図14に示すように、突出部38の縁部38aが押し上げ突起49の先端縁部49aに案内されることにより、プロセスカートリッジ24を図13に示す位置までスムーズに挿入することができる。もちろん、縁部38aと先端縁部49aをそれぞれ曲面状に形成することで干渉を回避することも可能である。
プロセスカートリッジ24を交換した後、ラッチレバー44を図3に点線示す位置から時計廻りに回動させると、ラッチ43も時計廻りに回動し、その先端部が転写ローラガイド39の背面を押圧することにより、転写ローラガイド39は支軸40を支点として時計廻りに傾動する。そして、ラッチレバー44をニップ位置Pnまで回動させると、転写ローラガイド39はその背面がラッチ43で支持されることによって、転写ローラ18を感光ドラム14に圧接させる圧接位置Paで保持される。また、この転写ローラガイド39の傾動に伴い、前述と同様にして、シャッタアーム46がリンク機構27を押し上げてシャッタ装置25を開いた後、リンク機構27を押さえ込むことによってシャッタ装置25を開いた状態で保持する。