JP4427376B2 - 発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラム - Google Patents

発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラム Download PDF

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Description

設備の運用管理を行うシステム、方法およびその方法を実行させるプログラムに係り、特に、発電設備の運用リスクを考慮しつつ、その発電能力を最大限に活用する運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
一般に、火力発電などの発電設備では、運転(起動、停止)にともなう熱応力や経年変化などの設備寿命を考慮し、寿命消費を最小にする運転がなされている。発電設備の寿命を考慮した運用方法および運用システムの実施例としては、例えば、特公昭61−49481号公報、特公平4−54808号公報または特許第2965989号公報などに掲載されているものがある。
上記文献に記載される発電設備の寿命を考慮した運用方法および運用システムは、発電設備として備えられるボイラの物理モデルやタービンの物理モデルあるいは物性モデルから想定した運転条件にともなう熱応力を計算し、計算結果が許容値以内となる運転条件を制約条件として求める。そして、発電プラント運転制御系に求めた制約条件を伝達し、運転制御を行うものである。
一方、発電設備は寿命消費に伴い、計画外の設備停止リスクが増大する。売電契約に基づいて発電を行う事業者の場合、計画外設備停止時には、売電契約を履行することできず、売電契約不履行によりペナルティが課せられる。従って、計画外の設備停止は、プラント運用上も事業経営上もリスクとなり得る。このようなリスクを回避あるいはヘッジする手段として保険がある。
計画外設備停止に対する保険サービスの仕組みとしては、発電設備に対する監視運転サービスと計画外停止時に不足する電力供給サービスをどのように提供するかを具体化している。計画外設備停止に対する保険サービスの仕組みを具体化した実施例としては、例えば、特開2003−22368号公報に掲載されるようなものがある。
特公昭61−49481号公報 特公平4−54808号公報 特許第2965989号公報 特開2003−22368号公報
電力市場取引を前提とした発電設備の運用では、電力の取引価格が市場ニーズに連動してリアルタイムで大きく変動する。従って、市場機会を的確に捉えて取引価格の高いタイミングで最大限の発電を行えば、より大きな発電収益も得られるし、社会的な運用面でも最適となる。また、このような電力市場において、いつでも電力を提供できる待機電力は、市場価値を持つ。従って、市場変動のリスクを考慮して、発電設備の出力の一部を予備力として確保し、待機電力として運用することが望まれている。
しかしながら、上述した発電設備の寿命消費を考慮した運用方法および運用システムおよび計画外設備停止に対する保険サービスを適用した運用方法および運用システムでは、発電設備の出力の一部を予備力として確保し、待機電力として運用するには、次のような課題がある。
まず、第一の課題としては、上述した発電設備の寿命消費を考慮した運用方法および運用システムを適用する場合、予備力の市場要求に対し発電設備を最適に運用ができないという課題がある。
上述した発電設備の寿命消費を考慮した運用方法および運用システムにおいては、発電設備の寿命を第一に優先し、発電設備の運転定格内で予備力を確保しているため、電力取引市場のニーズが高い場合も予め定められた運転制約条件を満たす許容範囲の運用しか許されていない。従って、実際に予備力が使われなかった場合、発電設備における発電量は予備力を差し引いた発電量となり、部分負荷運転を行うことになるので、効率、経済性の面で不利益となる。
従って、上述した発電設備の寿命消費を考慮した運用方法および運用システムにおいては、大きな予備力を確保できない、または、予備力確保の犠牲として本来の発電量が低減し、低効率な部分負荷運転を強いられてしまう。その結果として、予備力の市場要求に対し発電設備を最適に運用ができないという課題を招来している。
次に、第二の課題としては、上述した計画外設備停止に対する保険サービスの仕組みを取り入れた運用方法および運用システムを適用しても、予備力確保のために発電設備の運用リスクが増大した場合においては、保険サービスの仕組みがリスクヘッジ手段として事業的に適したものとして有効に機能し得ないという課題がある。
発電設備で予備力を確保する場合、その予備力が実際に発電される場合とそうでない場合とでは、発電設備に生じるリスクコストが著しく異なる。
しかしながら、上述した計画外設備停止に対する保険サービスの仕組みのような一般の保険のしくみでは、その予備力が実際に発電されたか否かを問わず一様に評価しているので、予備力が実際に発電されない(発電設備に生じるリスクコストが小)場合においても、予備力が実際に発電された(発電設備に生じるリスクコストが大)場合に対する保険料金が課せられることとなる。
従って、予備力が実際に発電されない場合には、発電設備が負うリスクコストに対して割高な保険料金が課せられてしまう結果となり、保険を用いても発電設備を運用する上でのリスクヘッジ手段としては、事業的に適したものとして有効に機能し得ていない。
そこで、上述した事情に鑑みて、本発明では、電力市場における予備力の市場価値・ニーズを考慮し、発電設備の能力を最大限に活用するために、定格オーバー領域に予備力を確保する支援を行う発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的としては、発電設備の能力を最大限に活用するために、定格オーバー領域に予備力を確保する場合においても、予備力が実際に発電されたか否かに応じて変動するリスクコストを考慮した保険サービスを提供し発電設備のより適切な運用を支援する発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することにある。
本発明に係る発電設備運用管理支援システムは、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、コンピュータにプログラムを実行させることによって、当該コンピュータを処理手段として機能させるシステムであって、データ記録手段に発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備え、各データベースから、それぞれ発電設備の運転履歴情報、発電設備の寿命計算式情報、過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて算出される寿命消費コストと、前記現在の電力市場情報に基づいて算出される予備力の市場価格の推定値と、前記過去の電力市場情報および発電実績情報に基づいて算出される予備力使用確率とを算出する解析処理手段と、この解析処理手段が算出した前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストと前記寿命消費コストとを加えた発電コストを差し引いて求められる発電収益が最適となる前記発電設備の運転条件を算出し、算出した前記発電設備の運転条件での運転計画を策定し、策定した運転計画をユーザ側のオペレータ端末へ出力する運転計画策定手段とを具備し、前記解析処理手段は、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた前記寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出部と、前記現在の電力市場情報に基づいて前記予備力の市場価格の推定値を算出する予備力価格推定部と、前記過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し全入札電力量に対する実際の発電量の割合である前記予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定部とを備えることを特徴とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る発電設備運用管理支援システムは、請求項3に記載したように、前記データ記録手段に、保険サービス業者に支払った保険料金の情報が格納された保険料金データベースを備え、前記解析処理手段は、計画外設備停止リスクコストとして前記保険料金データベースから前記保険サービス業者に支払った保険料金の情報を読み出す計画外設備停止リスクコスト受付手段をさらに備え、前記運転計画策定手段は、前記計画外設備停止リスクコスト受付手段が読み出した計画外設備停止リスクコストを前記発電運用コストに含めて前記発電収益を計算することを特徴とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る発電設備運用管理支援システムは、請求項4に記載したように、前記発電設備の計画外設備停止リスクをリスクヘッジするに当たり、保険サービスの対象となる前記発電設備の計画外設備停止リスクとして、当該発電設備の計画外設備停止の発生確率を前記運転履歴データベースに格納される運転履歴情報から算出し、計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外設備停止発生確率に当該発電設備の計画外設備停止時に発生する損失コストを乗算して得られた数値を計画外設備停止リスクとして得る計画外設備停止リスク評価部と、前記データ記録手段に、前記計画外設備停止リスクに対応する保険料金が規定された保険料金テーブルを備え、この保険料テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク評価部が数値化した計画外設備停止リスクに対応する保険料金を算出し、算出した保険料金を当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末へ送信する保険料金算出部と、当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末から当該保険サービス提供についての申し込みを受け付ける保険申込受付部とを備えた保険サービス提供手段をさらに具備する。
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る発電設備運用管理支援システムは、請求項5および6に記載したように、前記運転計画策定手段は、前記解析処理手段が算出した発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を示す計画ベース発電量−市場価格特性を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出機能と、前記発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を示す予備力発電量−市場価格特性を算出する予備力発電量−市場価格特性算出機能と、前記解析処理手段が算出した前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を示す予備力発電量−予備力使用確率特性を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出機能と、前記計画ベース発電量−市場価格特性、予備力発電量−市場価格特性および予備力発電量−予備力使用確率特性に基づいて、前記発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を示す発電量−発電収入特性を算出する発電量−発電収入特性算出機能と、前記計画ベース発電量−市場価格特性、予備力発電量−市場価格特性および予備力発電量−予備力使用確率特性に基づいて、前記発電運用コストに前記寿命消費コストを含めて算出される発電コストと発電量との関係を示す発電量−発電コスト特性を算出する発電量−発電コスト特性算出機能と、前記発電量−発電収入特性と発電量−発電コスト特性に基づいて、前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を示す計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出機能と、を備え、前記計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性を用いて前記発電設備の発電可能な発電量の範囲内で最適となる発電収益を算出する発電収益算出部と、この発電収益算出部が算出した発電収益が最適となる前記計画ベース発電量および前記予備力発電量を運転条件として算出する最適運転条件算出部と、この最適運転条件算出部が算出した運転条件をユーザに提示する最適運転条件出力部とを備えたり、前記発電コストは、前記寿命消費コストのみならず、前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外発電設備停止に対するリスクコストをさらに含めて算出されることを特徴とする。
本発明に係る発電設備運用管理支援方法は、上述した課題を解決するために、請求項7に記載したように、寿命消費コスト算出部、予備力価格推定部、および、予備力使用確率推定部を備える解析処理手段と、運転計画策定手段と、発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備えるデータ記録手段と、オペレータ端末を具備する発電設備運用管理支援システムが実行する処理手順を備えた方法であって、前記処理手順は、前記寿命消費コスト算出部が、運転履歴データベースおよびプラントモデルデータベースから、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報を読み出し、読み出した運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して予備力を確保する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程と、前記予備力価格推定部が、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、受け取った現在の電力市場情報に基づいて予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程と、前記予備力使用確率推定部が、前記電力市場データベースから前記過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、読み出した過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し、全入札電力量に対する実際の発電量の割合として定義される予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程とを備える解析処理行程と、この解析処理行程で算出された前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストおよび前記寿命消費コストを差し引いた発電収益を算出する発電収益算出行程と、この発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる運転条件を算出する最適運転条件算出行程と、この最適運転条件算出行程で算出された運転条件をユーザ側のオペレータ端末へ出力して提示する最適運転条件提示行程とを備える運転計画策定行程とを具備することを特徴とする。
上述した課題を解決するために、本発明に係る発電設備運用管理支援方法は、請求項9および10に記載したように、前記発電収益算出行程は、前記解析処理行程で算出された発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップと、前記発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、前記発電設備の発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する予備力発電量−市場価格特性算出ステップと、前記解析処理行程で算出された前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップと、前記計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップ、予備力発電量−市場価格特性算出ステップおよび予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップで算出した各特性を用いて、発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を算出する発電量−発電収入特性算出ステップと、前記発電運用コストに前記寿命消費コストを加味して算出される発電コストと発電量との関係を算出する発電量−発電コスト特性算出ステップと、前記発電量−発電収入特性算出ステップで算出された発電量−発電収入特性と、前記発電量−発電コスト特性算出ステップで算出された発電量−発電コスト特性から前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出ステップとを備えたり、前記発電コストは、前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外発電設備停止に対するリスクコストをさらに加味して算出されることを特徴とする。
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る発電設備運用管理支援方法は、請求項11に記載したように、前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外の発電設備停止に対するリスクヘッジとして提供する保険サービスの見積依頼を当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末から前記コンピュータが受け付ける保険受付処理ステップと、前記保険受付処理ステップで見積依頼を受け付けた保険サービスの対象となる発電設備について前記運転履歴データベースから過去の運転履歴情報を読み出し、読み出した過去の運転履歴情報から前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外設備停止発生確率に前記発電設備の計画外設備停止時に発生する損失コストを乗算し数値化される計画外発電設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク評価ステップと、前記データ記録手段に、前記計画外設備停止リスクに対応する保険料金が規定された保険料金テーブルを備え、この料金テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク評価ステップで評価された計画外設備停止リスクと、当該計画外設備停止リスクに対応する保険料金とを取得し、取得した情報に基づき保険料金を見積し見積結果を前記ユーザ側の端末へ出力する保険料金見積結果出力ステップと、前記保険料金見積結果出力ステップで見積された保険料金で前記ユーザ側の端末から保険の申込を前記コンピュータで受け付ける保険申込受付ステップと、前記保険申込受付ステップで保険の申込を受け付けた後、保険料金の初期決済を行う保険料金初期決済処理ステップと、前記保険料金初期決済処理ステップで保険料金の初期決済を行った後に、保険の対象となる発電設備について保険契約後の運転履歴情報を取得し、今回取得した運転履歴情報から再度、計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外発電設備停止発生確率から数値化される計画外設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク再評価ステップと、前記料金テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク再評価ステップで評価した計画外設備停止リスクに対応する保険料金を再算定する保険料金再算定ステップと、前記保険料金再算定ステップで再算定した保険料金と事前保険料金との差額を算出して事後決済を行う事後決済処理ステップとを備えることを特徴とする。
本発明に係るプログラムは、上述した課題を解決するために、請求項12に記載したように、データ記憶手段に発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備え、運転履歴データベースおよびプラントモデルデータベースから、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報を読み出し、読み出した運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して予備力を確保する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程と、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、受け取った現在の電力市場情報に基づいて予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程と、前記電力市場データベースから前記過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、読み出した過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し、全入札電力量に対する実際の発電量の割合として定義される予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程とを備える解析処理行程と、この解析処理行程で算出された前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストおよび前記寿命消費コストを差し引いた発電収益を算出する発電収益算出行程と、この発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる運転条件を算出する最適運転条件算出行程と、この最適運転条件算出行程で算出された運転条件をユーザ側のオペレーション端末へ出力して提示する最適運転条件提示行程とを備える運転計画策定行程とを具備する運転計画提示処理手順をコンピュータに実行させる。
また、上述した課題を解決するために、本発明に係るプログラムは、請求項13に記載したように、請求項12記載の運転計画提示処理手順、すなわち、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報を取得し、取得した運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して予備力を確保する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程と、現在の電力市場情報を取得し、取得した現在の電力市場情報に基づいて予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程と、過去の電力市場情報および発電実績情報を取得し、取得した過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し、全入札電力量に対する実際の発電量の割合として定義される予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程とを備える解析処理行程と、この解析処理行程で算出された前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストおよび前記寿命消費コストを差し引いた発電収益を算出する発電収益算出行程と、この発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる運転条件を算出する最適運転条件算出行程と、この最適運転条件算出行程で算出された運転条件をユーザ側の端末へ出力して提示する最適運転条件提示行程とを備える運転計画策定行程と、を具備する運転計画提示処理手順に、前記発電設備の各々に対し発電量の指令値を与える発電量制御信号発信行程をさらに具備させた発電設備運転制御処理手順をコンピュータに実行させたり、請求項14に記載のように、前記発電収益算出行程は、前記解析処理行程で算出された発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップと、前記発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、前記発電設備の発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する予備力発電量−市場価格特性算出ステップと、前記解析処理行程で算出された前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップと、前記計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップ、予備力発電量−市場価格特性算出ステップおよび予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップで算出した各特性を用いて、発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を算出する発電量−発電収入特性算出ステップと、前記発電運用コストに前記寿命消費コストを加味して算出される発電コストと発電量との関係を算出する発電量−発電コスト特性算出ステップと、前記発電量−発電収入特性算出ステップで算出された発電量−発電収入特性と、前記発電量−発電コスト特性算出ステップで算出された発電量−発電コスト特性とから前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出ステップとを備えることを特徴とする運転計画提示処理手順をコンピュータに実行させる。
本発明に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムによれば、電力市場における予備力の市場価値・ニーズを考慮し、発電設備の能力を最大限に活用するために、定格オーバー領域に予備力を確保することができる。
より具体的には、定格出力を超過することにより発生する運用リスク(寿命消費コスト、設備計画外停止リスクコスト)と、市場が要求する発電予備力の価値とのトレードオフを考慮した発電設備の最適な運用計画(運転条件)をユーザに提供することができ、長期的視点で経済的にも従来より最適に近い状態で発電設備の運用を実現することができる。
また、発電設備の能力を最大限に活用するために、定格オーバー領域に予備力を確保する場合においても、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力に対し、予備力が実際に発電されたか否かに応じて変動するリスクコストを考慮した保険サービスを提供することで発電設備のより適切な運用を支援することができる。
以下、本発明に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1に本発明の第1の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Aを含めた発電設備2の運用管理例を概略的に示した構成概略図を示す。
発電設備運用管理支援システム1Aは、ユーザ(発電設備2を実際に運用する発電設備管理者またはオペレータ等の発電設備運用者)に発電設備2をより低リスクに高効率に運転させるのに最適と考えられる発電設備2の通常の発電量(以下、計画ベース発電量とする)および予備力発電量を運転条件として提示し、発電設備運用者を支援するシステムである。
尚、図では、発電設備2を制御対象である発電設備本体3、発電設備本体3の機器を制御するコントローラ4、発電設備本体3の各機器のプロセス量を検出する複数のセンサー5、センサー5により計測されるプロセス量を時系列データとして記録するデータロガー6とを有するものとして簡略化して示している。
発電設備運用管理支援システム1Aは、運用管理対象となる発電設備2から運転履歴情報を取得し、取得した運転履歴情報およびその他情報から発電設備2の寿命消費(以下、寿命消費コストとする)、発電設備の出力の一部を待機電力として確保した電力(以下、予備力とする)の市場価格および予備力を実際に使用する確率(以下、予備力使用確率とする)を解析する。
そして、解析結果を考慮し、発電設備2を運用する上でのリスク(以下、単に運用リスクとする)を考慮した上で、電力市場取引の環境下、発電設備2をより低リスクに高効率に運転させるのに最適と考えられる運転条件を電子情報を伝達可能なインターネット網または専用回線等の通信ネットワーク回線8を介して電気的に接続される表示手段としてのオペレータ端末9に表示し、ユーザに提示する。
ユーザが予備力を提供する際には、まず、ユーザ(発電設備運用者)が市場入札手続手段としてのオペレータコンソール10を入力操作して電力市場(以下、単に市場とする)に入札手続きをする。そして、市場において取引が確定すると、確定した予備力分発電量について予備力デマンド受注手段としてのオペレータコンソール10が予備力デマンドを受け取る。
次に、ユーザは受け取った予備力デマンドに従い、発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10を入力操作して発電設備2に調整後の発電量(指令値)を与える。ユーザは、指令値を与える際に、発電設備運用管理支援システム1Aがオペレータ端末9に提示する運転条件としての発電量を参考にすることができる。
発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10が指令値を認識すると、発電量調整指令出力手段としてのオペレータコンソール10が発電設備2に指令値を与えることで、発電設備2に付属されるコントローラ(図1において省略)が指令値への発電量追従制御を行う。
尚、本実施形態における運用リスクとは、定格オーバー負荷状態で発電設備2を運用することに伴い、発電設備2にかかる過剰な負荷(熱応力等)により生じる寿命消費コストをいう。
また、図1に示す発電設備運用管理支援システム1Aは、いわゆる電子計算機(コンピュータ)11が本発明の第1の実施形態に係る運用管理支援方法(運転条件提示処理手順)を実行させるプログラム(以下、第1の運用管理PGとする)12を読み取ることで、電子計算機11(ハードウェア)と第1の運用管理PG12(ソフトウェア)とが協働し、機能構成が実現され、運転条件提示処理手順を実行する。
図2に本発明の第1の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Aの機能構成について概略的に示した機能ブロック図を示す。
発電設備運用管理支援システム1Aは、寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率とを考慮して、電力市場取引の環境下で、発電設備をより低リスクに高効率に運転させる運転条件を提示する運転条件提示処理手順を行う。発電設備運用管理支援システム1Aが運転条件提示処理手順を行うことによって発電設備をより低リスクで高効率に運転させることができる。
発電設備運用管理支援システム1Aは、図1に示す発電設備2から取得した運転履歴情報等の電子データを記録して格納するデータ記録手段14と、運転計画策定の基礎情報(以下、運転計画策定基礎情報とする)を算出する解析処理手段15と、解析処理手段15が算出した運転計画策定基礎情報に基づき、発電設備2の運転条件を算出して策定した運転計画として出力する運転計画策定手段16とを具備する。
発電設備運用管理支援システム1Aのデータ記録手段14には、解析処理手段15が読み出し可能な電子データが格納される。発電設備運用管理支援システム1Aでは、データ記録手段14に格納される電子データとして、図1に示す発電設備2の運転履歴としてコントローラ4、センサー5、データロガー6からの発電設備2の各種センサー情報、操作情報を蓄積した運転履歴データベース(以下、データベースをDBとする)13と、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルDB19と、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場DB20とがある。
解析処理手段15は、発電設備の寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出部22と、予備力の市場価格を推定する予備力価格推定部23と、予備力を実際に使用する確率(以下、予備力使用確率とする)を推定する予備力使用確率推定部24とを備える。寿命消費コスト算出部22、予備力価格推定部23および予備力使用確率推定部24とを備える解析処理手段15は、運転計画策定基礎情報として、発電設備の寿命消費コスト、予備力の市場価格(推定値)および予備力を実際に使用する確率を算出することができる。
解析処理手段15の寿命消費コスト算出部22は、運転履歴DB18およびプラントモデルDB19を読み出して取得し、取得した情報に基づき発電設備の寿命消費コストの算出を行う。寿命消費コスト算出部22が運転履歴DB18を読み出すことで、寿命消費コスト算出部22は、例えば、出力の定格オーバー量の積算値、起動停止運転の回数、出力急速変更運転の変化率実績値などの情報を取得することができる。また、プラントモデルDB19には、発電設備の寿命を推定するための物理式、物性式が格納される。
寿命消費コスト算出部22は、運転履歴DB18に格納される発電設備の各種センサー情報および操作情報と、プラントモデルDB19に格納される物理式または物性式とを取得することで、発電設備を構成する個々の構成要素、部品が受ける熱応力を計算することができ、計算結果から任意の運転状態におけるある部品の残り寿命の推定値(以下、余寿命推定値とする)が算出できる。従って、運転前の余寿命推定値と、運転後の余寿命推定値を知ることができれば、消費した余寿命の量(以下、余寿命消費量とする)は、
[数1]
余寿命消費量=運転前の余寿命推定値−運転後の余寿命推定値 ……(1)
により算出できる。
一方、ある部品を新品時から消耗し交換するまでに必要なコスト(以下、寿命コストとする)の部品消耗に伴う消費量、すなわち、寿命消費コストは、ある部品の寿命コストに対してどれだけの余寿命を消費したかによって決まることから、余寿命を消費した割合(以下、余寿命消費率とする)を用いて、
[数2]
寿命消費コスト=余寿命消費率×寿命コスト ……(2)
で表すことができる。
尚、余寿命消費率は、部品寿命および余寿命消費量を用いて、
[数3]
余寿命消費率=余寿命消費量/部品寿命 ……(3)
と表されるから、上記式(2)および式(3)より寿命消費コストは、
[数4]
寿命消費コスト=(余寿命消費量/部品寿命)×(部品コスト+部品交換メンテナンスコスト) ……(4)
と表記することができる。
予備力価格推定部23は、予備力の価格推定する基礎情報(以下、予備力価格推定情報とする)を取得し、取得した予備力価格推定情報に基づいて演算処理を行い、予備力の価格を推定する。予備力価格推定部23が取得する予備力価格推定情報には、例えば、現在の電力市場情報、過去の電力市場情報および発電実績情報がある。尚、市場情報とは、電力取引に関して必要な情報の総称であり、少なくとも、日時および市場価格情報を有する。
本実施形態においては、図2に示すように、さらに市場情報取得手段26が予備力価格推定情報のうち、ほぼリアルタイムに取得される現在の電力市場情報を取得する。そして、予備力価格推定部12が現在の電力市場情報を取得する際には、市場情報取得手段26から取得した現在の電力市場情報を受け取る。
また、過去の電力市場情報、および発電実績情報については、予備力価格推定部23が市場DB20を読み取ることで情報を取得する。予備力価格推定部23が予備力価格推定情報を取得すると、取得した予備力価格推定情報に基づいて統計処理を行い、現在または今後の予備力の市場価格(例えば、1キロワット時当たりの価格:¥/kWh)を推定する。
予備力使用確率推定部24は、過去の電力市場情報に基づき、予備力を実際に使用する確率を推定する。過去の電力市場情報は、予備力使用確率推定部24が電力市場DB20から読み出し取得する。そして、取得した過去の電力市場情報から予備力として市場に入札した電力量(以下、予備力市場入札量とする)と、実際に入札を受けて発電した発電量を集計し、予備力市場入札量のうち、実際に発電した発電量の割合を予備力使用確率として求める。
予備力使用確率は、
[数5]
予備力使用確率=実際の発電量/予備力市場入札量 ……(5)
で求めることができる。
運転計画策定手段16は、解析処理手段15が解析処理した寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率の情報から発電収益を算出する発電収益算出部29と、発電収益算出部29が算出した発電収益が最適となる計画ベース発電量および予備力発電量を算出する最適運転条件算出部30と、最適運転条件算出部30が算出した運転条件、すなわち、計画ベース発電量および予備力発電量を出力する最適運転条件出力部31とを備える。
運転計画策定手段16の発電収益算出部29は、計画ベース発電量Xfと予備力の市場取引価格(推定値)Pfとの関係を算出する計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33と、予備力発電量Xvと予備力の市場取引価格(推定値)Pvとの関係を算出する予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34と、予備力発電量Xvと予備力使用確率Prob(Xv)との関係を算出する予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能35とを備える。
また、発電収益算出部29は、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34および予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能35が算出したそれぞれの特性を用いて、発電収入Pと発電量(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xv)との関係を算出する発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出機能37と、発電コストCと発電量[Xf+Xv]との関係を算出する発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38と、発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性および発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性から発電収益期待値Prof、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの関係を算出する計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出機能40とをさらに備える。
尚、発電収益期待値Profとは、発電収益の期待値であり、発電収入Pから発電コストCを差し引いた分、すなわち、発電収益期待値Prof=発電収入P−発電コストCで表される。
運転計画策定手段16は、発電収益算出部29が計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性を算出することで、最適運転条件算出部30が寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率の情報に基づいて収益をあげるのに最適と考えられる発電設備2の発電量(例えば、単位をキロワット時とする)、すなわち、計画ベース発電量および予備力発電量を運転条件として算出する。そして、最適運転条件算出部30が算出した運転条件、すなわち、計画ベース発電量および予備力発電量を最適運転条件出力部31が最適運転条件算出部30から受け取って出力する。
運転計画策定手段16が運転条件として出力される発電設備の計画ベース発電量および予備力発電量は、取得した寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率の情報に基づいて発電収益算出部29および最適運転条件算出部30が幾つかの段階を経て算出する。そして、算出結果が図1に示されるオペレータ端末9に出力され表示される。尚、算出の詳細については、後述する運転計画提示処理手順の説明の中で述べる。
尚、このように構成される発電設備運用管理支援システム1Aにおいて、発電設備運用管理支援システム1Aが算出した運転条件は、表示手段に出力されているとしたが、必ずしもオペレータ端末9等のディスプレイに運転条件が表示されなくても良く、出力先が、例えば、ユーザ所有のプリンタ等の印字手段であっても構わない。すなわち、表示手段とは、ユーザへの運転条件提示手段のことである。
また、通信ネットワーク回線8は、必ずしも必要ではない。通信ネットワーク回線8が必要でない場合にはなくても構わない。例えば、通信ネットワーク回線8が必要でない場合としては、電子計算機11がオペレータ端末9を兼ねるように構成されており、発電設備2において、電子計算機11が読み取り可能なデータ記録媒体に運転履歴DB18を記録し、上記データ記録媒体を介して電子計算機11が運転履歴情報を読み出すような場合が考えられる。
上記の場合では、電子計算機11が表示手段としての役割も担い、運転条件を電子計算機11のディスプレイに表示する構成とすれば、電子計算機11が第1の運用管理PG12を読み出して、運転条件提示処理手順を実行することができ、通信ネットワーク回線8がなくとも発電設備2の運用管理支援を行うことができる。
さらに、本実施形態において、予備力の市場入札および受注は、市場入札手続手段および予備力デマンド受注手段としてのオペレータコンソール10が行っているが、発電設備運用管理支援システム1Aにおいて予備力を市場入札および受注を行うようにしても良い。この場合には、発電設備運用管理支援システム1Aにおいて、市場入札手続手段および予備力デマンド受注手段をさらに具備させる必要がある。
一方、図2によれば、寿命消費コスト算出部22は、運転履歴DB18およびプラントモデルDB19から情報を取得しているが、図に示されない外部からの入力を受け付けるように構成しても良い。例えば、ユーザが入力受付手段(図外)から入力した運転履歴情報等を寿命消費コスト算出部22が直接取得しても構わない。また、予備力価格推定部23および予備力使用確率推定部24についても寿命消費コスト算出部22と同様に外部からの入力を受け付けるように構成しても構わない。
さらに、市場情報取得手段26を現在の電力市場情報を取得する以外にも取得した情報を定期的に書き込んで、電力市場DB20を定期的に更新するように構成しても良い。さらにまた、本実施形態においては、市場情報取得手段26は、発電設備運用管理支援システム1Aに具備されているが、必ずしもその必要はなく、例えば、市場情報取得手段26の代わりに現在の電力市場情報をユーザが直接入力して予備力価格推定部23に与えてやれば、市場情報取得手段26がなくても予備力価格推定部23は現在の電力市場情報を取得できる。
このように構成される発電設備運用管理支援システム1Aによれば、運転計画策定手段16が、寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率の情報に基づいて収益をあげるのに最適と考えられる発電設備2の運転条件を出力するので、運用リスクとなる寿命消費コストを考慮した発電設備2の運用を実現することができる。
つまり、予備力の市場価値と運用リスクとなる寿命消費コストとのトレードオフを考慮した上で最適と考えられる発電量配分に基づき市場価値の高い予備力を市場に提供することができるので、経済的または社会的にも従来より最適に近い状態で発電設備2を運用することができる。
また、予備力のうち実際に発電される確率(予備力使用確率)を的確に推定し、加味しているので、予備力確保のために必要以上に計画ベース発電量を制限することを防止し、発電設備2を定格運転に近い高効率な状態で運転することができる。さらに、最適と考えられる計画ベース発電量と予備力発電量とを算出し、運転条件として提示することができるので、ユーザ(発電設備運用者)の意思決定を支援することができる。
さらにまた、通信ネットワーク回線8を介して発電設備運用管理支援システム1Aと遠隔にある発電設備2とを電気的に接続してリモート環境を用意することにより、複数の発電設備2が各地に散在するような場合にあっても、個々の発電設備2の運用管理支援を発電設備運用管理支援システム1Aに集約することができる。
従って、複数の発電設備2の各々について発電設備運用管理支援システム1Aが同時に監視して運転条件を算出し、算出した運転条件を各々の発電設備2の発電設備運用者に提供して運用管理支援するオペレーションアンドメンテナンスサービス(以下、O&Mサービスとする)を提供することができる。
次に、発電設備運用管理支援システム1Aにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての運転計画提示処理手順について順番を追って説明する。
図3は、発電設備運用管理支援システム1Aにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての運転計画提示処理手順について順番を追って説明する説明図(処理フロー図)である。
図3によれば、運転計画提示処理手順は、取得した情報から運転計画策定基礎情報を算出する解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)と、この解析処理行程で算出された運転計画策定基礎情報に基づき、発電設備の運転条件を出力する運転計画策定行程(ステップS5)とを具備する。
運転計画提示処理手順の解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)は、発電設備の寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程(ステップS1〜ステップS2)と、予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程(ステップS3)と、予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程(ステップS4)とを備える。
一方、運転計画策定行程(ステップS5)については、より詳細な処理ステップを説明する説明図(処理フロー図)を図4に示す。
図4によれば、運転計画策定行程は、発電に伴う収支を算出し、発電収益を算出する発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)と、発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる計画ベース発電量および予備力発電量を算出する最適運転条件算出行程(ステップS57)と、最適運転条件算出行程で算出された運転条件、すなわち、計画ベース発電量および予備力発電量を出力して提示する最適運転条件提示行程(ステップS58)とを備える。
運転計画策定行程の発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)は、解析処理行程で取得したに基づき、計画ベース発電量Xfと予備力の市場取引価格(推定値)Pfとの関係を算出する計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ(ステップS51)と、予備力発電量Xvと予備力の市場取引価格(推定値)Pvとの関係を算出する予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップ(ステップS52)と、予備力発電量Xvと予備力使用確率Prob(Xv)との関係を算出する予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップ(ステップS53)とを備える。
また、発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)は、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップ(ステップS51〜ステップS53)で算出した各特性を用いて、発電収益期待値Prof(=発電収入P−発電コストC)を算出する処理ステップを備える。
具体的には、発電収入Pと発電量(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xv)との関係を算出する発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップ(ステップS54)と、発電コストCと発電量[Xf+Xv]との関係を算出する発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)と、算出した発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性および発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性から発電収益期待値Prof、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの関係を算出する計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップ(ステップS56)とをさらに備える。
図3および図4によれば、運転計画提示処理手順では、最初に解析処理行程がなされ、解析処理行程においては、まず、寿命消費コスト算出行程(ステップS1〜ステップS2)がなされる。そして、寿命消費コスト算出行程(ステップS1〜ステップS2)では、まず、ステップS1で寿命消費コスト算出部22が余寿命消費量算出ステップを行う。
余寿命消費量算出ステップ(ステップS1)では、寿命消費コスト算出部22が運転履歴DB18に格納される発電設備の各種センサー情報および操作情報と、プラントモデルDB19に格納される物理式または物性式とを取得する。そして、発電設備を構成する個々の構成要素、部品が受ける熱応力を計算し、運転前および運転後の運転条件における余寿命推定値を算出し、上述した式(1)を用いて余寿命消費量を算出する。
寿命消費コスト算出部22が余寿命消費量を算出すると、余寿命消費量算出ステップは完了し、続いてステップS2で寿命消費コスト算出ステップがなされる。寿命消費コスト算出ステップ(ステップS2)では、寿命消費コスト算出部22が余寿命消費量算出ステップで算出した余寿命消費量を用いて寿命消費コストを算出する。寿命消費コストの算出は、上述した式(4)により算出することができる。
寿命消費コスト算出部22が寿命消費コストを算出すると、寿命消費コスト算出ステップを完了する。そして、寿命消費コスト算出ステップの完了をもって寿命消費コスト算出行程(ステップS1〜ステップS2)の全処理ステップを完了する。寿命消費コスト算出行程が完了すると、次に、ステップS3に進み、ステップS3で予備力価格推定行程がなされる。
予備力価格推定行程(ステップS3)では、まず、予備力価格推定部23が予備力価格推定基礎情報として現在の電力市場情報、過去の電力市場情報および発電実績情報を取得する。そして、取得した予備力価格推定情報に基づいて演算処理(統計処理)を行い、予備力の価格を推定する。予備力価格推定部23が予備力の価格を推定すると、予備力価格推定行程を完了する。予備力価格推定行程を完了すると、次に、ステップS4に進み、ステップS4で予備力使用確率推定行程がなされる。
予備力使用確率推定行程(ステップS4)では、予備力使用確率推定部24が電力市場DB20から過去の電力市場情報を取得し、予備力市場入札量と、実際に入札を受けて発電した発電量を集計する。そして、予備力市場入札量のうち、実際に発電した発電量の割合を予備力使用確率として求め、予備力を実際に使用する確率を推定する。予備力使用確率は、上述した式(5)で求めることができる。
予備力使用確率推定部24が予備力を実際に使用する確率を推定すると、予備力使用確率推定行程を完了する。そして、予備力使用確率推定行程の完了をもって、解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)の全処理行程は完了し、次に、ステップS5に進む。ステップS5では、運転計画策定行程がなされる。
運転計画策定行程(ステップS5)における処理ステップは、図4に示すように、処理行程が開始されると、まず、ステップS51で運転計画策定手段16が計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップを行う。
計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップでは、運転計画策定手段16の発電収益算出部29が解析処理手段15の予備力価格推定部23から予備力の市場価格(推定値)を取得し、発電収益算出部29の計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33が取得した予備力の市場価格(推定値)を用いて計画ベース発電量Xfと予備力の市場価格Pfとの関係(計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性)を算出する。
運転計画策定手段16において、発電収益算出部29の計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33が計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性を算出すると、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップは完了し、続いて、ステップS52で予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップがなされる。
予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップ(ステップS52)では、運転計画策定手段16の発電収益算出部29が解析処理手段15の予備力価格推定部23から予備力の市場価格(推定値)を取得し、発電収益算出部29の予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34が取得した予備力の市場価格(推定値)を用いて予備力発電量Xvと市場価格Pvとの関係(予備力発電量Xv−市場価格Pv特性)を算出する。
発電収益算出部29の予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34が予備力発電量Xv−市場価格Pv特性を算出すると、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップは完了し、続いて、ステップS53で予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップがなされる。
予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップ(ステップS53)では、運転計画策定手段16の発電収益算出部29が解析処理手段15の予備力使用確率推定部24から予備力使用確率を取得し、発電収益算出部29の予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能35が取得した予備力使用確率を用いて、予備力発電量Xvと予備力使用確率Prob(Xv)との関係(予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性)を算出する。
発電収益算出部29の予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能35が予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性を算出すると、予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップは完了し、続いて、ステップS54で発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップがなされる。
発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップ(ステップS54)では、運転計画策定手段16の発電収益算出部29が、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップで算出した各特性を用いて発電収入Pと発電量[Xf+Xv]との関係(発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性)を算出する。
発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性を算出するにあたっては、まず、発電収入Pを求める必要がある。発電収入Pは、
[数6]
P=Pf(Xf)×Xf+Pv(Xv)×Xv ……(6)
によって求めることができる。
また、発電収入Pは、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの両者の値を用いて求めることから、発電収入Pが求まれば、発電収入Pと計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの和との関係、すなわち、発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性を算出することができる。
発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性の算出は、発電収益算出部29の発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出機能37が、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33および予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34から各特性を取得して上述した式(6)を用いて算出を行う。発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出機能37が発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性を算出すると、発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップは完了し、続いて、ステップS55で発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップがなされる。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)では、運転計画策定手段16の発電収益算出部29が、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップで算出した各特性を用いて、発電コストCと発電量[Xf+Xv]との関係(発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性)を算出する。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を算出するにあたっては、まず、発電コストCを求める必要がある。尚、第1の実施形態でいう発電コストCと、後述する第3の実施形態でいう発電コストCとは若干異なる。そこで、次に、第1の実施形態でいう発電コストCについて説明する。
図5に発電コストと発電出力との関係について説明する説明図(発電コスト−発電出力特性)を示す。
図5に示すように、縦軸に発電コストC[¥/kWh]、横軸に発電出力[kW]をとると、通常(従来)の発電出力−発電コスト特性は、図中のA線に示す曲線となる。
一般に発電設備2は、定格出力時に最高効率となるように設計されており、発電効率は、定格出力kより低い発電出力(例えば、発電出力がa点にある場合)で発電する部分負荷時においても低下するし、定格出力kより高い発電出力(例えば、発電出力がb点にある場合)で発電する定格オーバー負荷時においても低下する。
従って、発電出力−発電コスト特性(A線)は、図5中のB線に示される理想運転時(効率低下を加味しない場合)の発電出力−発電コスト特性に対して効率低下に伴い生じるコスト分(以下、効率低下コストとする)を上乗せしたものとなっている。部分負荷時に余剰に発生する発電コスト(以下、部分負荷コストとする)は、A線とB線との差分で表され、これが効率低下コストとなる。尚、定格値kから離れるほど効率低下コストが増大しているのは、一般に定格値kから離れるほど効率がより低下する傾向となることに起因している。
しかしながら、発電出力が定格オーバー負荷状態(例えば、図中のb点)となると、発電設備2に過剰な負荷を与えることとなり、効率低下に加え、運用リスクをも負うこととなる。従って、定格オーバー負荷時の発電コストは、発電出力が定格オーバー負荷状態となることで余剰に発生する発電コスト(以下、定格オーバーコストとする)として、効率低下コストに加え、運用リスク発生に伴い生じるコスト(以下、運用リスクコストとする)も含めて算出されるべきである。
そこで、第1の実施形態でいう発電コストCは、図中に示されるC線のように、従来の発電出力−発電コスト特性(A線)に対して、運用リスクコストとして、定格オーバー負荷状態における寿命消費コストを加算している。
尚、図5に示されるD線は、第3の実施形態に係る発電コストCであるが、詳細については、第3の実施形態における説明の中で説明する。また、従来の発電出力−発電コスト特性(A線)における発電コストと、第1の実施形態に係る発電コストCとを明確に区別するため、以下の説明においては、前者の発電コストを発電に伴う発電運用コストとし、後者を発電コストCとして説明する。
本発明に係る発電コストとは、運用リスクコストを加味して算出するものであり、
[数7]
発電コスト=発電運用コスト+運用リスクコスト ……(7)
で表される。
また、本実施形態に係る発電コストCの算出においては、図5に示す説明図から運用リスクコストとして加味されるのは寿命消費コストであるから、上述した式(7)より、
[数8]
発電コストC=発電運用コスト+寿命消費コスト ……(8)
となる。
さらに、実際に予備力として発電する発電量は、予備力発電量Xvとこの予備力発電量Xvにおける予備力使用確率Prob(Xv)とを用いて、
[数9]
∫Xv×Prob(Xv)dXv ……(9)
と表すことができるから、発電量がXf+∫Xv×Prob(Xv)dXvの時における発電運用コストを
[数10]
発電運用コスト=OpCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv) ……(10)
寿命消費コストを
[数11]
寿命消費コスト=LifeCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv)……(11)
とすれば、
本実施形態における発電コストCは、
[数12]
発電コストC=OpCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv)+
LifeCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv)……(12)
で求めることができる。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性の算出は、発電収益算出部29の発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38が、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能33、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能34および予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能35から各特性を取得して上述した式(9)〜式(12)を用いて算出を行う。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38が、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を算出すると、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップは完了し、続いて、ステップS56で計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップがなされる。
計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップ(ステップS56)では、発電収益算出部29の計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出機能40が、ステップS54で算出された発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性を発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出機能37から受け取り、ステップS55で算出された発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38から受け取る。
そして、計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出機能40が取得した発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性および発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性から計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvに対する発電収益期待値Profを求め、発電収益期待値Prof、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの関係(計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性)を算出する。
計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性は、例えば、図4に示すように、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvに対する2次元平面上に、発電収益期待値Profをプロットした3次元関数(発電収益曲線)として表すことができる。
運転計画策定手段16の発電収益算出部29が計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性を算出すると、計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップは完了する。計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップが完了すると、発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)の全処理ステップは完了し、発電収益算出行程が完了すると、次に、ステップS57に進む。そして、ステップS57で最適運転条件算出行程がなされる。
最適運転条件算出行程(ステップS57)では、運転計画策定手段16の最適運転条件算出部30が、発電収益算出行程で得られた計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性を用いて、発電収益期待値Profが最も高くなる点(最適点)を求め、発電収益期待値Profの最適点を与える計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvの値を算出する。算出結果として得られる計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvが発電収益が最適と考えられる運転条件となる。
発電収益が最適と考えられる運転条件として計画ベース発電量Xfと予備力発電量Xvが算出されると、最適運転条件算出行程は完了し、次に、ステップS58に進む。そして、ステップS58で最適運転条件提示行程がなされる。
最適運転条件提示行程(ステップS58)では、運転計画策定手段16の最適運転条件出力部31が最適運転条件算出行程で算出された運転条件、すなわち、計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvを表示手段としてのオペレータ端末9に出力して提示(表示)する。運転計画策定手段16の最適運転条件出力部31が運転条件をオペレータ端末9に提示すると、最適運転条件提示行程は完了する(終了)。そして、最適運転条件提示行程の完了をもって運転計画提示処理手順の全処理行程を完了する(END)。
尚、運転計画提示処理手順の解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)においては、寿命消費コスト算出行程(ステップS1〜ステップS2)、予備力価格推定行程(ステップS3)および予備力使用確率推定行程(ステップS4)の処理順番は、解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)の範囲内であれば、図3に示す順番に限定されない。
例えば、ステップS1で予備力使用確率推定行程、ステップS2で予備力価格推定行程、ステップS3およびステップS4で寿命消費コスト算出行程がなされても良い。また、寿命消費コスト算出行程、予備力価格推定行程および予備力使用確率推定行程の3つの処理行程が同じタイミングで処理(マルチタスク処理)されても構わない。
一方、運転計画策定行程(ステップS5)においては、発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)のうち、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップ(ステップS51〜ステップS53)については、発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップ(ステップS54)および発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)の実行前であれば、その処理順序が図4に示す順番でなくても構わない。
例えば、ステップS51において予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップまたは予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップがなされても構わないし、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップの3つの処理ステップがマルチタスク処理されても構わない。
また、発電収益算出行程の発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出ステップ(ステップS54)および発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)については、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップ(ステップS51〜ステップS53)の処理ステップの完了後、かつ、計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップ(ステップS56)の実行前であれば、その処理順序は図4に示す順番に限定されない。
さらに、最適運転条件提示行程(ステップS58)では、運転計画策定手段16が発電収益が最適と考えられる計画ベース発電量Xfおよび予備力発電量Xvをオペレータ端末9に表示してユーザ(発電設備運用者)に提示しているが、計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性(発電収益曲線)を併せて提示しても構わない。
さらにまた、最適運転条件提示行程(ステップS58)においては、運転条件として計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性(発電収益曲線)をオペレータ端末9に表示しても構わない。この場合、最適運転条件算出行程(ステップS57)は省略しても構わない。
このような発電設備2の運用管理支援方法(運転計画提示処理手順)によれば、寿命消費コスト、予備力の市場価格および予備力使用確率の情報に基づいて収益をあげるのに最適と考えられる発電設備2の運転条件をユーザ(発電設備運用者)に提示するので、ユーザの意思決定を支援し、運用リスクとなる寿命消費コストを考慮した発電設備2の運用を実現することができる。
また、予備力使用確率を的確に推定し、加味しているので、予備力確保のために必要以上に計画ベース発電量を制限することを防止し、発電設備2を定格運転に近い高効率な状態で運転することができる。
本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法(運転条件提示処理手順)およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムによれば、定格オーバー負荷状態における発電コストとして効率低下コストに加え、定格をオーバーして運用することにより生じる運用リスクコストとしての寿命消費コストを加味して発電コストを算出し、算出した発電コストよりも予備力の市場価値(発電収入)が高ければ、積極的に定格オーバー運転を想定した予備力を確保するといった市場ニーズに適合した発電設備2の運用を支援することが可能となる。
また、予備力確保の際には、定格オーバー運転を想定していることから、仮に予備力が実際に発電されなかった場合(発電量が計画ベース発電量となった場合)においても、定格近傍の高効率の運転条件で発電されることとなり、発電設備2の効率の良い運用が確保される。さらに、最適と考えられる計画ベース発電量と予備力発電量とを算出し、運転条件として提示することができるので、ユーザ(発電設備運用者)の意思決定を支援することができる。
さらにまた、複数の発電設備2が遠隔地に点在する場合においても通信ネットワーク回線8を利用して情報結合し、各発電設備2の最適運用計画の策定(運転条件提示)を1箇所で集約して行うことができる。従って、複数の発電設備2の各々についての運転条件を各々の発電設備2の発電設備運用者に提供して運用管理支援するO&Mサービスを提供することができる。
[第2の実施形態]
図6に本発明の第2の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Bを含めた発電設備2の運用管理例を概略的に示した構成概略図を示す。
図6に示す本発明の第2の実施形態の適用例によれば、第1の運用管理PG12が第2の運用管理PG42となる点および発電設備運用管理支援システム1Bが具備する構成要素が異なるが、その他の点は本質的に異ならない。従って、第1の実施形態と異ならない箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
図6によれば、発電設備運用管理支援システム1Bは、発電設備運用管理支援システム1Aに対して、市場入札手続手段、予備力デマンド受注手段および発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10をさらに具備する点が異なる。この点の相違から発電設備運用管理支援システム1Bの機能ブロック図も発電設備運用管理支援システム1Aの機能ブロック図に対して相違する。
図7に本発明の第2の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Bの機能構成について概略的に示した機能ブロック図を示す。
発電設備運用管理支援システム1Bは、市場への入札を行う市場入札手続手段44と、市場から予備力デマンドを受注する予備力デマンド受注手段45と、発電設備2に与える発電量(指令値)を受け付け認識する発電量調整指令入力受付手段46と、発電量調整指令入力受付手段46が認識した指令値に発電量を制御する発電量制御信号を個々の発電設備2に対して発信する発電量制御信号発信手段48とをさらに具備する。
発電設備運用管理支援システム1Aに対して付加された市場入札手続手段44、予備力デマンド受注手段45、発電量調整指令入力受付手段46および発電量制御信号発信手段48は、図1に示されるオペレータコンソール10がその役割を担っていたものである。
このように構成される発電設備運用管理支援システム1Bでは、発電量制御信号発信手段48が個々の発電設備2に対して発電量制御信号を発信し、発電設備2の発電量を個別に制御できるので、発電設備運用管理支援システム1Aが行う発電設備2の運用支援に加え、実際の運転制御も行うことができる。従って、発電設備運用管理支援システム1Bは、発電設備2の運転制御までを含めた運用支援サービスの提供を行うことができる発電設備運用管理支援システムとなる。
尚、発電設備運用管理支援システム1Bでは、表示手段としてのオペレータ端末9に表示された運転条件を見て、ユーザが発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10を介して複数ある発電設備2の各々に指令値(発電量)を与えているが、ユーザが指令値を入力する代わりに、運転計画策定手段16から出力される運転条件を指令値として直接受け付ける発電量調整指令入力受付手段とすれば、ユーザの入力操作を省略することができる。
また、発電設備運用管理支援システム1Bは、発電設備運用管理支援システム1Aに対してオペレータコンソール10をさらに具備する構成のため、その機能構成としては、発電設備運用管理支援システム1Aの機能構成に加え、市場入札手続手段44と、予備力デマンド受注手段45と、発電量調整指令入力受付手段46と、発電量制御信号発信手段48とをさらに具備しているが、必ずしも、市場入札手続手段44および予備力デマンド受注手段45を具備している必要はない。
機能構成的な観点から言えば、発電量調整指令入力受付手段46および発電量制御信号発信手段48を具備していれば、発電設備2の実際の運転制御までを含めた運用支援サービスを提供することができる発電設備運用管理支援システムとなる。
さらに、図6に示されるオペレータ端末9は、発電設備運用管理支援システム1Bとしての機能構成を実現する電子計算機11と同一であっても良い。
一方、図7に示す発電設備運用管理支援システム1Bは、図6に示す電子計算機(コンピュータ)11が本発明の第2の実施形態に係る運用管理支援方法(発電設備運転制御処理手順)を実行させる第2の運用管理PG42を読み取ることで、電子計算機11(ハードウェア)と第2の運用管理PG42(ソフトウェア)とが協働し、機能構成が実現され、発電設備運転制御処理手順を実行している。
次に、発電設備運用管理支援システム1Bにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての発電設備運転制御処理手順について順番を追って説明する。
図8は、発電設備運用管理支援システム1Bにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての発電設備運転制御処理手順について順番を追って説明する説明図(処理フロー図)である。
図8によれば、発電設備運転制御処理手順は、発電設備運用管理支援システム1Aにおける運転計画提示処理手順に相当する解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)と、運転計画策定行程(ステップS5)とを具備し、さらに、各々の発電設備2に対し発電量の指令値を与える発電量制御信号発信行程(ステップS6)を具備する。従って、本実施形態においては、発電設備運用管理支援システム1Aにおける運転計画提示処理手順に相当するステップS1〜ステップS5については省略し、発電量制御信号発信行程(ステップS6)について説明する。
ステップS6がなされる前提としては、ステップS5で運転計画策定手段16が算出した運転条件を表示手段としてのオペレータ端末9に表示し、表示された運転条件をユーザが確認する。そして、ユーザが発電量調整指令入力受付手段46としてのオペレータコンソール10に指令値を入力する。オペレータコンソール10に制御後の発電量の指令値が与えられると、ステップS6に進み、ステップS6で発電量制御信号発信行程がなされる。
発電量制御信号発信行程(ステップS6)では、オペレータコンソール10がユーザから入力された発電量の指令値を認識し、発電量制御信号発信手段48としてのオペレータコンソール10が認識した指令値に発電量を制御する発電量制御信号を発信する。オペレータコンソール10が認識した発電量の指令値を制御対象となる発電設備2に対して与えると、発電量制御信号発信行程は完了する(END)。
尚、発電設備運転制御処理手順では、ステップS6がなされる前提として、オペレータ端末9に表示された運転条件をユーザが確認して、発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10に指令値を入力しているが、発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10が運転条件を運転計画策定手段16から取得できれば、図8に示す発電設備運転制御処理手順の説明図(処理フロー図)において、運転計画策定行程(ステップS5)と発電量制御信号発信行程(ステップS6)との間に、発電量調整指令入力受付手段としてのオペレータコンソール10が策定した運転計画、すなわち、算出した運転条件を運転計画策定手段16から取得する策定運転計画取得行程をさらに具備しても良い。
本発明の第2の実施形態に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法(発電設備運転制御処理手順)およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムによれば、本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにより得られる効果に加え、発電設備2の運転制御も行うことができるので、発電設備2の運用支援サービス提供を行う以外にも、実際の運用サービスについても提供することができる。
[第3の実施形態]
図9に本発明の第3の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Cを含めた発電設備2の運用管理例を概略的に示した構成概略図を示す。
図9に示す本発明の第3の実施形態の適用例によれば、図1に示す第1の実施形態の適用例に対して、発電設備運用管理支援システム1Aが発電設備運用管理支援システム1Cとなる点および第1の運用管理PG12が第3の運用管理PG50となる点において異なるが、その他の点は本質的に異ならない。従って、第1の実施形態と異ならない箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
また、発電設備運用管理支援システム1Cは、発電設備2の運用管理を行う発電設備運用者が、発電設備2の運用管理を行う際に、運用リスクコストとして寿命消費コストに加え、予備力確保のために定格をオーバーして運用することにより生じる発電設備2の故障、緊急遮断、その他のトラブルにより発電が続行できなくなることにより生じるコスト(以下、計画外設備停止リスクコストとする)を運用リスクコストとして加味している。
尚、発電設備運用管理支援システム1Cでは、計画外設備停止リスクコストの発生を予測または制御することが不可能である点に鑑み、リスクヘッジの手段として保険を用いている。つまり、計画外設備停止リスクコストは、発電設備2の保険サービス業者52に支払う保険料金となる。
一方、発電設備運用管理支援システム1Cは、いわゆる電子計算機(コンピュータ)11が本発明の第3の実施形態に係る運用管理支援方法(第2の運転計画提示処理手順)を実行させる第3の運用管理PG50を読み取ることで、電子計算機11(ハードウェア)と第3の運用管理PG50(ソフトウェア)とが協働し、機能構成が実現され、第2の運転計画提示処理手順を実行する。
図10に本発明の第3の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Cの機能構成について概略的に示した機能ブロック図を示す。
図10によれば、発電設備運用管理支援システム1Cは、発電設備運用管理支援システム1Aに対し、解析処理手段15の代わりに解析処理手段15A、運転計画策定手段16の代わりに運転計画策定手段16Aを具備する点で異なる。すなわち、データ記録手段14と、解析処理手段15Aと、運転計画策定手段16Aとを具備する。
解析処理手段15Aは、運用リスクコストとして寿命消費コストに加え、計画外設備停止リスクコストを加味して発電コストCを計算するため、計画外設備停止リスクコスト受付手段としての計画外設備停止リスクコスト取得部54を備えており、計画外設備停止リスクコスト取得部54は、計画外設備停止リスクコストとして保険サービス業者52に支払った保険料金の情報をデータ記録手段14に格納される保険料金DB56から取得する。
また、運転計画策定手段16Aは、発電収益を算出する発電収益算出部29Aと、最適運転条件算出部30と、最適運転条件出力部31とを備えている。さらに詳細を見ると、発電収益算出部29Aは、発電収益算出部29に対し、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38の代わりに発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aを備える点で相違しているがその他の点は本質的に相違しない。
すなわち、運転計画策定手段16Aと運転計画策定手段16との相違は、計画外設備停止リスクコスト取得部54を備える点と、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38の代わりに発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aを備える点とに起因するものであり、この相違によって、計画外設備停止リスクコストを運用リスクコストとして加味した発電コストCを計算し、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を算出することができる。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aが算出する際に使用する発電コストCは、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコストを加味している。つまり、本実施形態における発電コストCは、図5に示されるD線に相当する部分であり、第1の実施形態の説明時に用いた式(7)を引用すると、
[数13]
発電コストC=発電運用コスト+
寿命消費コスト+計画外設備停止リスクコスト ……(13)
となる。
ここでは、リスクヘッジ手段として保険を利用していることから、計画外設備停止リスクコストは、保険を利用する際に生じる保険料金であり、この保険料金を
[数14]
保険料金=MFCost(Xf+Xv) ……(14)
とすれば、本実施形態における発電コストCは、
[数15]
発電コストC=OpCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv)+
LifeCost(Xf+∫Xv×Prob(Xv)dXv)+
MFCost(Xf+Xv) ……(15)
で求めることができる。
このように構成される発電設備運用管理支援システム1Cによれば、リスクヘッジ手段として保険を利用した場合、運転計画策定手段16Aが、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することができるので、発電設備運用管理支援システム1Aと比較して、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用する支援を行うことができる。
尚、計画外設備停止リスクコスト取得部54は、計画外設備停止リスクコストとして保険サービス業者52に支払った保険料金の情報をデータ記録手段14に格納される保険料金DB56から取得しているが、ユーザが直接入力して与えた保険料金を計画外設備停止リスクコストとして取得する構成であっても構わない。この場合、保険料金DB56は不要となる。
次に、発電設備運用管理支援システム1Cにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての第2の運転計画提示処理手順について順番を追って説明する。
尚、第2の運転計画提示処理手順は、発電設備運用管理支援システム1Aにおいてなされる運転計画提示処理手順に対し、運転計画策定行程(ステップS5)の一処理ステップが異なる以外は、発電設備運用管理支援システム1Aにおいてなされる運転計画提示処理手順とは本質的に異ならない。
従って、第2の運転計画提示処理手順においては、第2の運転計画提示処理手順における運転計画策定行程(以下、第2の運転計画策定行程とする)のうち、運転計画提示処理手順の運転計画策定行程(ステップS5)と本質的に異ならない処理ステップについては、同じ処理ステップ番号を付して説明を省略し、異なる処理ステップについて説明する。
図11は、発電設備運用管理支援システム1Cにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての第2の運転計画提示処理手順について順番を追って説明する説明図(処理フロー図)である。
図11によれば、第2の運転計画策定行程(ステップS7)は、運転計画策定行程(ステップS5)の発電収益算出行程(ステップS51〜ステップS56)に対し、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)の代わりに、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出する発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)を備える点で相違するが、その他の処理ステップは本質的に異ならない。
そこで、ステップS51〜ステップS54と、ステップS56については、処理ステップの説明を省略し、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)については、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)との相違点を意識しつつ述べる。
第2の運転計画提示処理手順では、運転計画提示処理手順と同様に取得した情報から運転計画策定基礎情報を算出する解析処理行程(ステップS1〜ステップS4)がなされた後、次に、第2の運転計画策定行程(ステップS7)がなされる。
第2の運転計画策定行程(ステップS7)では、まず、ステップS51の計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップがなされ、順次、ステップS52、ステップS53、ステップS54となされた後、続いて、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)がなされる。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)では、運転計画策定手段16Aの発電収益算出部29Aにおける発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aが、計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出ステップ、予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出ステップおよび予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出ステップで算出された各特性を用いて、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を算出する。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aが行う発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)は、発電コストCを算出する際に運用リスクコストとして寿命消費コストに加えて計画外設備停止リスクコストをさらに加味している点で、運転計画策定行程(ステップS5)の発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS55)と相違する。
発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能38Aが、運用リスクコストとして寿命消費コストに加え、計画外設備停止リスクコストをも加味した発電コストCを用いて、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性を算出すると、発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出ステップ(ステップS71)は完了し、続いて、ステップS56に進む。そして、ステップS56で計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出ステップがなされると、第2の運転計画策定行程における発電収益算出行程が完了する。
この発電収益算出行程が完了した後は、発電収益算出行程で算出された発電収益が最適となる計画ベース発電量および予備力発電量を算出する最適運転条件算出行程(ステップS57)と、最適運転条件算出行程で算出された運転条件を提示する最適運転条件提示行程(ステップS58)とを経て、第2の運転計画策定行程(ステップS7)は完了する。そして、第2の運転計画策定行程の完了をもって、第2の運転計画提示処理手順は完了する(END)。
このような発電設備2の運用管理支援方法(第2の運転計画策定処理手順)によれば、寿命消費コスト、予備力の市場価格、予備力使用確率および計画外設備停止リスクコストの情報に基づいて収益をあげるのに最適と考えられる発電設備2の運転条件をユーザ(発電設備運用者)に提示するので、ユーザの意思決定を支援し、運用リスクとなる寿命消費コストおよび計画外設備停止リスクコストを考慮した発電設備2の運用を実現することができる。
本発明の第3の実施形態に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法(第2の運転計画策定処理手順)およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムによれば、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することができるので、発電設備運用管理支援システム1Aと比較して、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用することができる。
[第4の実施形態]
図12に本発明の第4の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Dを含めた発電設備2の運用管理例を概略的に示した構成概略図を示す。
図12に示す本発明の第4の実施形態の適用例によれば、第3の実施形態の適用例に対して、発電設備2の計画外設備停止リスクをリスクヘッジする手段として保険サービスを提供する処理行程(以下、保険サービス提供処理行程とする)を電子計算機11に実行させる保険サービス提供PG60をさらに備える点で異なるが、その他の点は本質的に異ならない。従って、第3の実施形態と異ならない箇所については、同一の符号を付して説明を省略する。
また、図12に示す発電設備運用管理支援システム1Dは、電子計算機(コンピュータ)11が本発明の第4の実施形態に係る運用管理支援方法(総合運用管理支援処理手順)を実行させるプログラム、すなわち、第3の運用管理PG50および保険サービス提供PG60を読み取ることで、電子計算機11(ハードウェア)と第3の運用管理PG50および保険サービス提供PG60(ソフトウェア)とが協働し、機能構成が実現され、総合運用管理支援処理手順を実行する。
図13に本発明の第4の実施形態に係る発電設備の運用管理支援システムの一実施例である発電設備運用管理支援システム1Dの機能構成について概略的に示した機能ブロック図を示す。
発電設備運用管理支援システム1Dの機能構成は、大別すると、第3の実施形態と本質的に異ならない発電設備運用管理支援システム1Cに相当する機能構成手段(図13において詳細の構成は省略し、発電設備運用管理支援システム1Cと示す)と、発電設備2の計画外設備停止リスクをリスクヘッジする手段として保険サービスを提供する機能構成手段(以下、保険サービス提供手段とする)65とを具備している。ここでは、第3の実施形態と異なる保険サービス提供手段65について説明する。
保険サービス提供手段65は、第3の実施形態で説明した保険サービス業者52に相当する保険サービスの提供を行うものである。尚、発電設備運用管理支援システム1Dでは、保険サービス提供手段65が、予備力を確保するべく積極的に定格オーバー運転を行う発電設備運用者をより適切な形で支援する保険サービスを提供する。
より具体的には、従来のように申込時においてのみ決済を行う方法ではなく、申込時に初期決済を行い、申込後のある時期とにおいて少なくとも1度以上の決済(以下、事後決済とする)を行う方法を採用する。これは、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力という市場商品の性質上、申込時(初期決済時)の予備力発電量と実績(事後決済時)の予備力発電量とが乖離することが少なくないこと、また、発電設備2に与えるリスクの大小が、実際の発電の有無、または発電量により大きく変化するためである。
図13によれば、保険サービス提供手段65は、保険の見積または申込を受け付ける保険申込受付部68と、計画外設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク評価部69と、計画外設備停止リスク評価部69が査定し評価した計画外設備停止リスクから計画外設備停止リスクコストとしての保険料金を算出する保険料金算出部70と、再度、事後的に保険料金を再算定した際に生じた差額を算定し出力する差額算出部71と、保険の決済を実行する保険決済実行部72とを備える。
保険申込受付部68は、通信ネットワーク回線8を介してユーザ(発電設備運用者)から保険契約の際に必要な保険料金の見積依頼または保険契約の申込を受け付ける。
計画外設備停止リスク評価部69は、発電設備2の寿命消費コストの他に、予備力確保のために定格オーバー運転を施すことによる発電設備2そのもののトラブル、故障、緊急遮断など発電が続行できなくなることによる市場機会損失コスト、運用契約上のペナルティコスト、異常状態からの復帰に必要なコスト、設備補修、メンテナンスのコスト等を含めた発電設備2の計画外設備停止時の損失コストと、発電設備2の計画外設備停止の発生確率とを用いて、発電設備2の計画外設備停止時の損失コストの期待値(以下、損失コスト期待値とする)を求め、求めた損失コスト期待値の大小で計画外設備停止リスクの評価を行う。
計画外設備停止リスク評価部69が算出する発電設備2の計画外設備停止時の損失コスト期待値は、
[数16]
損失コスト期待値=計画外設備停止確率×計画外設備停止時損失コスト……(16)
で求めることができ、発電設備2の計画外設備停止時の損失コストおよび発電設備2の計画外設備停止の発生確率は、計画外設備停止リスク評価部69が運転履歴DB18から運転履歴情報を取得して、取得した運転履歴情報から求める。
また、計画外設備停止リスク評価部69は、取得した運転履歴情報に基づいて損失コスト期待値を求めるため、ユーザ(発電設備運用者)が保険契約する前(初期決済額算定用)のみならず、保険契約後(事後決済額算定用)であっても、計画外設備停止リスクの評価を行うことができる。
計画外設備停止リスク評価部69は、保険契約用に計画外設備停止リスクとしての損失コスト期待値(以下、事前損失コスト期待値とする)RC1を算出する。事前損失コスト期待値RC1は、保険契約以前の運転履歴情報を運転履歴DB18から取得して算出する。ここで、発電量(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xv)Xf+Xvにおいて、計画外設備停止確率を
[数17]
計画外設備停止確率(Xf+Xv) ……(17)
計画外設備停止時損失コストを
[数18]
計画外設備停止時損失コスト(Xf+Xv) ……(18)
とすれば、上述した式(16)、式(17)および式(18)を用いて、
[数19]
事前損失コスト期待値RC1=計画外設備停止確率(Xf+Xv)×
計画外設備停止時損失コスト(Xf+Xv)……(19)
となる。
一方、計画外設備停止リスク評価部69は、発電設備2を運用した後に予備力発電量の実績に応じて、発電設備2に与える計画外設備停止リスクを事後的に再度評価する。再評価時に算出される損失コスト期待値(以下、事後損失コスト期待値とする)RC2は、発電量(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xvo)Xf+Xvoにおいて、
計画外設備停止確率を
[数20]
計画外設備停止確率(Xf+Xvo) ……(20)
計画外設備停止時損失コストを
[数21]
計画外設備停止時損失コスト(Xf+Xvo) ……(21)
とすれば、上述した式(16)、式(20)および式(21)を用いて、
[数22]
事後損失コスト期待値RC2=計画外設備停止確率(Xf+Xvo)×
計画外設備停止時損失コスト(Xf+Xvo)……(22)
となる。ここで、Xvoは、予備力として確保した発電量のうち実際に発電された発電量であり、0≦Xvo≦Xvとなる変数である。
保険料金算出部70は、計画外設備停止リスク評価部69が評価した計画外設備停止リスク(例えば、事前損失コスト期待値RC1)を用いて保険料金を算出する。保険料金の算出は、保険料金算出部70が計画外設備停止リスクと保険料金の金額とが対応した保険料金テーブル73を参照することで行う。
保険料金算出部70が保険料金を算出すると、算出した保険料金を表示手段としてのオペレータ端末9に出力し、ユーザに提示する。尚、事前損失コスト期待値RC1を用いて算出される保険料金(以下、事前保険料金とする)および再度評価して得られた事後損失コスト期待値RC2を用いて見直した保険料金(以下、事後保険料金とする)は、
[数23]
事前保険料金=BMFCost(Xf+Xv)
[数24]
事後保険料金=AMFCost(Xf+Xvo)
とする。
また、保険料金算出部70は、保険料金を算出すると、算出した結果を保険契約料金DB74に記録する。保険契約料金DB74は、例えばデータ記録手段14等のデータ記録手段に格納されており、保険料金算出部70が書き込み可能な状態におかれており、保険料金算出部70が算出した保険料金を発電設備2、算出した日時および保険金額とを関連付けて記録する。
差額算出部71は、再度評価した場合において、再評価して得られた事後保険料金と事前保険料金との差額を算出する。差額を生じた場合、その金額を保険決済実行部72が受け取り、事後決済を行う。差額を算出する際に必要となる事前保険料金および事後保険料金は、差額算出部71が保険契約料金DB74を読み出して取得する。差額算出部71が差額を算出し、差額を生じている場合には、差額を表示手段としてのオペレータ端末9に出力することでユーザに提示するとともに保険決済実行部72に差額の情報を渡す。
保険決済実行部72は決済を実行する。保険契約時になされる初期決済では、契約の申込があると、ユーザに提示した保険金額、すなわち、事前保険料金の金額で決済を行う。また、契約後、事後的に計画外設備停止リスク(事後損失コスト期待値RC2)を再評価し、事前損失コスト期待値RC1に基づき算出された事前保険料金と事後損失コスト期待値RC2に基づき算出された事後保険料金との間に差額を生じた場合には、差額算出部71が算出した差額を受け取り、事後決済を行う。事後決済時には、差額算出部71が算出した差額が事後決済時にユーザ(保険加入者)にキャッシュバックされる。
このように構成される保険サービス提供手段65によれば、ユーザ(発電設備運用者)が保険を申し込んで初期決済として事前保険料金を支払った後、実際に発電した予備力発電量の実績に応じて、計画外設備停止リスク評価部69が発電設備2に与える計画外設備停止リスク(事後損失コスト期待値RC2)を再評価し、保険料金算出部70が再評価の結果に基づき事後保険料金を再算定した後、事前保険料金と事後保険料金との差額を差額算出部71が算出するので、差額を生じた場合には事後決済を行うことができる。
事後決済できることで、発電設備2等が実際に負ったリスクと負担する保険料金とが適切なバランスに調整され、従来の申込時に1度だけ決済を行う保険サービス提供方法のように、ユーザが発電設備2に与える計画外設備停止リスクに対して不当に高額な保険料金コストを負担することがなくなる。
特に、申込当初の事前損失コストRC1と事後評価段階において実際の予備力発電実績から評価される事後損失コスト期待値RC2との間に大きな差が生じる場合には、その効果は大きく、事後決済によって、ユーザの保険料金負担が実際に負っているリスクと妥当なバランスに調整された額となるので、ユーザに対して事業的に非常に有効なリスクヘッジ手段としての保険サービスを提供することができる。
このような保険サービス提供手段65を具備する発電設備運用管理支援システム1Dによれば、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することができるので、発電設備運用管理支援システム1Aと比較して、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用することができる。
また、計画外設備停止リスクコストとしての保険料金は、実際に予備力が生じるか否かで見直しを行い、計画外設備停止リスクの低減分を考慮して見直しの結果を反映した事後決済を行うので、ユーザが実際に負ったリスクと負担する保険料金とを妥当なバランスで調整することができる。
従って、従来の申込時に1度だけ決済を行う保険サービス提供方法のように、ユーザが発電設備2に与える計画外設備停止リスクに対して不当に高額な保険料金コストを負担することがなくなり、予備力確保の際のリスクヘッジ手段として事業的に有効な保険サービスを提供することができ、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力の確保を前提とした発電設備2の運用を支援することができる。
尚、本実施形態では、読み出して電子計算機11が実行するPGは、第3の運用管理PG50と保険サービス提供PG60とであるが、第3の運用管理PG50および保険サービス提供PG60を1つのPGで構成していても差し支えない。
また、保険決済実行部72は、計画外設備停止リスク評価部69が計画外設備停止リスクを再評価し差額算出部71が差額を算出すると、事後決済を行うとしているが、必ずしも、差額算出部71が差額を算出する度に事後決済することを要しない。最終的には契約期間内に生じた差額の合計を保険決済実行部72が決済していればよいので、例えば、1年契約の保険で事後的に行う再評価を1月毎に計12回実施しつつ、事後決済は保険契約満了日等に再評価時に生じた差額の合計をまとめて1回で決済するようにしても良い。
従って、計画外設備停止リスク評価部69が計画外設備停止リスクを再評価する回数(=差額算出部71が差額を算出する回数)と、保険決済実行部72が決済を実行する回数とは必ずしも一致していないし、一致していなくても構わない。
さらに、発電設備運用管理支援システム1Dは、発電設備運用管理支援システム1Cに相当する機能構成手段と、保険サービス提供手段65とを具備するが、発電設備運用管理支援システム1Dを保険サービス提供手段65のみを具備する形態としても良い。この場合、予備力確保の際の事業的に有効なリスクヘッジ手段としての保険サービスを提供することで発電設備2の運用管理を支援する発電設備運用管理支援システムとなる。
次に、発電設備運用管理支援システム1Dにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての総合運用管理支援処理手順について説明する。
図14は、発電設備運用管理支援システム1Dにおいてなされる発電設備運用管理支援方法としての総合運用管理支援処理手順について順番を追って説明する説明図(処理フロー図)である。
図14によれば、総合運用管理支援処理手順は、第3の実施形態で説明した第2の運転条件提示処理手順に加えて、保険サービス提供行程(ステップS8)を具備する。従って、本実施形態においては、既に説明済みの第2の運転条件提示処理手順については、説明を省略する。
図14によれば、保険サービス提供行程(ステップS8)は、保険の見積依頼を受け付ける保険受付処理ステップ(ステップS81)と、保険の見積依頼を受けて提供された保険の対象となる発電設備2について過去の運転履歴情報から計画外設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク評価ステップ(ステップS82)と、計画外設備停止リスク評価ステップで評価された計画外設備停止リスクから保険料金を見積し見積結果を出力する保険料金見積結果出力ステップ(ステップS83)と、見積した保険料金(事前保険料金)での保険の申込を受け付ける保険申込受付ステップ(ステップS84)と、保険の申込を受け付けた後、保険料金の初期決済を行う保険料金初期決済処理ステップ(ステップS85)とを備える。
また、保険サービス提供行程(ステップS8)は、初期決済を行った後に、保険の対象となる発電設備2について保険契約後の運転履歴情報を取得し、再度、計画外設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク再評価ステップ(ステップS86)と、計画外設備停止リスク再評価ステップで評価した計画外設備停止リスクから保険料金を再算定する保険料金再算定ステップ(ステップS87)と、保険料金再算定ステップで再算定した保険料金(事後保険料金)と事前保険料金との差額を算出して事後決済を行う事後決済処理ステップ(ステップS88)とをさらに備える。
このような保険サービス提供行程(ステップS8)と第2の運転条件提示処理手順とを具備する総合運用管理支援処理手順は、発電設備2について運転条件の提示および積極的な予備力確保に適したリスクヘッジ手段としての保険サービスの提供を通じて発電設備2の運用管理を総合的に支援することができる。
総合運用管理支援処理手順における処理順序を概説すると、最初に保険サービス提供行程(ステップS8)のうちステップS81〜ステップS83までがなされ、保険を申し込む際の保険料金が算出される。次に、第2の運転条件提示処理手順がなされ、計画外設備停止リスクコストとして保険料金を加味して発電設備2をより最適に近い状態で運転するための運転条件がオペレータ端末9に提示される。
その次に、ステップS84〜ステップS85がなされ、初期決済が完了する。その後は、ステップS86〜ステップS88がなされ、保険契約満了時等のタイミングで事後的に保険料金の再算定がなされ、再算定額に応じて事後決済が完了する。
総合運用管理支援処理手順では、まず、保険見積受付ステップで保険申込受付部68がユーザからの保険の見積を受け付ける(ステップS81)。保険の見積を受け付けると、続いて、計画外設備停止リスク評価部69が提供された運転履歴情報から計画外設備停止リスクRC1を査定し評価する(ステップS82)。提供された運転履歴情報は、データ記録手段14に運転履歴DB18として格納されており、計画外設備停止リスク評価部69は格納された運転履歴DB18を読み出すことで必要な運転履歴情報を取得する。
計画外設備停止リスク評価部69が提供された運転履歴情報から計画外設備停止リスクRC1を査定し評価すると、続いて、保険料金算出部70が評価された計画外設備停止リスクRC1から保険料金を見積し、見積された事前保険料金をオペレータ端末9に出力する(ステップS83)。また、この際に、併せて、保険契約料金DB74へのデータ記録がなされる。
ユーザは、オペレータ端末9に表示される保険料金の見積金額を見た上で、次に、発電設備運用管理支援システム1Dに第2の運転条件提示処理手順を実行させる。第2の運転条件提示処理手順が完了すると、発電設備2をより最適な状態で運用管理するための運転条件がオペレータ端末9に表示される。この時、表示される運転条件、すなわち、発電量(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xv)をユーザは確認した上で、確認した運転条件に対応する保険をオペレータ端末9を介して申し込みを行う。
オペレータ端末9でなされた申し込み操作は、通信ネットワーク回線8を介して発電設備運用管理支援システム1Dが受け取り、保険申込受付部68が事前保険料金での保険の申込を受け付ける(ステップS84でYESの場合)。そして、保険決済実行部72が初期決済として事前保険料金の決済を行う(ステップS85)。
保険決済実行部72が初期決済を行った後は、計画外設備停止リスク評価部69が保険の対象となる発電設備2について保険契約後の運転履歴情報を取得し、再度、計画外設備停止リスクRC2を査定し評価する(ステップS86)。計画外設備停止リスクRC2を査定し評価するタイミングは任意であるが、ここでは、一例として、保険契約期間満了日締めで1回行うものとする。
計画外設備停止リスクRC2が再評価されると、保険料金算出部70が再評価された計画外設備停止リスクRC2に基づいて保険料金の再算定を行う(ステップS87)。保険料金(事後保険料金)が再算定されると、続いて、差額算出部71が事後保険料金と事前保険料金とがいくらであるかを保険契約料金DB74から取得し、両者の差額を算出する。差額算出部71が算出した差額の情報は、保険決済実行部72が受け取り、ユーザ(保険加入者)にキャッシュバック等して還元する事後決済がなされる(ステップS88)。事後決済がなされると、総合運用管理支援処理手順は完了する(END)。
尚、ユーザが、表示される運転条件(=計画ベース発電量Xf+予備力発電量Xv)を確認した上で、確認した運転条件に対応する保険をオペレータ端末9を介して申し込まない場合については(ステップS84でNOの場合)、基本的には申込があることを前提としているので、特に決まった処理規定は設けないが、例えば、一定期間経過後に作成したユーザの保険契約料金データを消去する(ステップS89)等の処理を実行する。
このような発電設備2の運用管理支援方法(総合運用管理支援処理手順)によれば、ユーザ(発電設備運用者)が保険を申し込み、保険料金初期決済処理ステップ(ステップS85)において、初期決済として事前保険料金が決済した後においても、実際に発電した予備力発電量の実績に応じて、設備停止リスク再評価ステップ(ステップS86)で計画外設備停止リスク評価部69が計画外発電設備2に与える計画外設備停止リスク(事後損失コスト期待値)RC2を再評価し、保険料金再算定ステップ(ステップS87)で保険料金算出部70が事後保険料金を再算定し、事後決済処理ステップ(ステップS88)で差額算出部71が事前保険料金と事後保険料金との差額を算出し、差額が生じている場合には、保険決済実行部72がその差額を事後決済することができる。
事後決済できることで、発電設備2等が実際に負ったリスクと負担する保険料金とが適切なバランスに調整され、従来の申込時に1度だけ決済を行う保険サービス提供方法のように、発電設備2に与える計画外設備停止リスクに対して不当に高額な保険料金コストを負担することがなくなる。従って、ユーザに対して、事業的に有効なリスクヘッジ手段としての保険サービスが提供でき、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力の確保を前提とした発電設備2の運用を支援することができる。
また、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することができるので、発電設備運用管理支援システム1Aと比較して、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用することができる。
尚、計画外設備停止リスク再評価ステップ(ステップS86)において、計画外設備停止リスクRC2を査定し評価するタイミングは一例として、保険契約期間満了日締めで1回としたが、このタイミングは任意で良い。また、事後決済処理ステップ(ステップS88)は、少なくとも1回以上行われ、保険契約期間中に生じた事前保険料と事後保険料との差額の合計がきちんと決済されれば良い。
本発明の第4の実施形態に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法(総合運用管理支援処理手順)および運用管理支援方法を実行させるプログラムによれば、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することができるので、発電設備運用管理支援システム1Aと比較して、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用することができる。
また、計画外設備停止リスクコストとしての保険料金は、実際に予備力が生じるか否かで見直しを行い、計画外設備停止リスクの低減分を考慮して見直しの結果を反映した事後決済を行うので、ユーザが実際に負ったリスクと負担する保険料金とを妥当なバランスで調整することができる。
従って、従来の申込時に1度だけ決済を行う保険サービス提供方法のように、ユーザが発電設備2に与える計画外設備停止リスクに対して不当に高額な保険料金コストを負担することがなくなり、予備力確保の際のリスクヘッジ手段として事業的に有効な保険サービスを提供することができ、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力の確保を前提とした発電設備2の運用を運転計画および事業的に有効なリスクヘッジ手段(保険サーピス)の提供の両面から総合的に支援することができる。
以上、本発明に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムによれば、定格オーバー負荷状態における発電コストとして効率低下コストに加え、定格をオーバーして運用することにより生じる運用リスクコストとしての寿命消費コストを加味して発電コストを算出し、算出した発電コストよりも予備力の市場価値(発電収入)が高ければ、積極的に定格オーバー運転を想定した予備力を確保するといった市場ニーズに適合した発電設備2の運用を支援することが可能となる。
また、予備力確保の際には、定格オーバー運転を想定していることから、仮に予備力が実際に発電されなかった場合(発電量が計画ベース発電量となった場合)においても、定格近傍の高効率の運転条件で発電されることとなり、発電設備2の効率の良い運用が確保される。さらに、最適と考えられる計画ベース発電量と予備力発電量とを算出し、運転条件として提示することができるので、ユーザ(発電設備運用者)の意思決定を支援することができる。
さらにまた、複数の発電設備2が遠隔地に点在する場合においても通信ネットワーク回線8を利用して情報結合し、各発電設備2の最適運用計画の策定(運転条件提示)を1箇所で集約して行うことができる。従って、複数の発電設備2の各々についての運転条件を各々の発電設備2の発電設備運用者に提供して運用管理支援するO&Mサービスを提供することができる。
一方、運用リスクコストとして計画外設備停止リスクコスト(保険料金)を加味して発電コストCを算出することもできるので、リスクヘッジ手段として保険を利用した場合にあっても、経済的または社会的により最適に近い状態で発電設備2を運用する支援を行うことができる。
また、計画外設備停止リスクコストとしての保険料金は、実際に予備力が生じるか否かで見直しを行い、計画外設備停止リスクの低減分を考慮して見直しの結果を反映した事後決済を行うので、ユーザが実際に負ったリスクと負担する保険料金とを妥当なバランスで調整することができる。従って、実際に発電されるか否かがその時刻にならないと判断できない予備力の確保を前提とした発電設備2の運用を運転計画および事業的に有効なリスクヘッジ手段の提供の両面から総合的に支援することができる。
尚、本発明に係る発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムには、本発明の実施形態を複合的に包含して構成される発電設備運用管理支援システム、その運用管理支援方法およびその運用管理支援方法をコンピュータに実行させるプログラムも含まれる。
また、本発明に係る発電設備運用管理支援システム1A,1B,1C,1Dにおいて、図1、図6、図9,図12に図示される運用管理対象となる発電設備2、オペレータ端末9、オペレータコンソール10、電子計算機11の個数は、図示した数量に限定されない。例えば、図1において、運用管理対象となる発電設備2は、1つの発電設備しか図示されていないが、複数あっても構わない。
さらに、発電設備運用管理支援システム1A,1B,1C,1Dは、発電設備運用管理支援システム1A,1B,1C,1Dが算出した運転条件は、表示手段としてのオペレータ端末9に出力されているが、ユーザに運転条件を提示することのできる手段であれば他の手段でも良い。例えば、オペレータ端末9(表示手段)の代わりにプリンタ等の印字手段であっても構わない。
さらにまた、第1の運用管理PG12、運転履歴DB18、プラントモデルDB19および電力市場DB20等の電子データは、電子計算機11が保有するデータ記録手段14に格納されているが、読み出されるPGまたはDBについては、必ずしも電子計算機11が保有するデータ記録手段14である必要はない。例えば、図外のデータ蓄積サーバ等のデータ記録手段でも構わない。
要するに、電子計算機11が読み出す電子データについては、読み出し可能なデータ記録手段に格納されていれば良く、書き込みが必要なDBについては、電子計算機11が書き込み可能なデータ記録手段に格納されていればどこでも良い。
本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムを含めた発電設備の運用管理例を概略的に示した構成概略図。 本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムの機能構成について概略的に示した機能ブロック図。 本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにおいてなされる発電設備運用管理支援方法(運転計画提示処理手順)について説明する説明図(処理フロー図)。 本発明の第1の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにおいてなされる運転計画提示処理手順のうち、運転計画策定行程についてより詳細な処理ステップを説明する説明図(処理フロー図)。 発電コストと発電出力との関係について説明する説明図(発電出力−発電コスト特性)。 本発明の第2の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムを含めた発電設備の運用管理例を概略的に示した構成概略図。 本発明の第2の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムの機能構成について概略的に示した機能ブロック図。 本発明の第2の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにおいてなされる発電設備運転制御処理手順について説明する説明図(処理フロー図)。 本発明の第3の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムを含めた発電設備の運用管理例を概略的に示した構成概略図。 本発明の第3の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムの機能構成について概略的に示した機能ブロック図。 本発明の第3の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにおいてなされる第2の運転計画提示処理手順について説明する説明図(処理フロー図)。 本発明の第4の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムを含めた発電設備の運用管理例を概略的に示した構成概略図。 本発明の第4の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムの機能構成について概略的に示した機能ブロック図。 本発明の第4の実施形態に係る発電設備運用管理支援システムにおいてなされる総合運用管理支援処理手順について説明する説明図(処理フロー図)。
符号の説明
1A,1B,1C,1D…発電設備運用管理支援システム、2…発電設備、3…コントローラ、4…発電設備本体(制御対象)、5…センサー、6…データロガー、8…通信ネットワーク回線、9…オペレータ端末、10…オペレータコンソール、11…電子計算機(コンピュータ)、12…第1の運用管理PG、14…データ記録手段、15…解析処理手段、16,16A…運転計画策定手段、18…運転履歴DB、19…プラントモデルDB、20…電力市場DB、22…寿命消費コスト算出部、23…予備力価格推定部、24…予備力使用確率推定部、26…市場情報取得手段、29,29A…発電収益算出部、30…最適運転条件算出部、31…最適運転条件出力部、33…計画ベース発電量Xf−市場価格Pf特性算出機能、34…予備力発電量Xv−市場価格Pv特性算出機能、35…予備力発電量Xv−予備力使用確率Prob(Xv)特性算出機能、37…発電量[Xf+Xv]−発電収入P特性算出機能、38,38A…発電量[Xf+Xv]−発電コストC特性算出機能、40…計画ベース発電量Xf−予備力発電量Xv−発電収益期待値Prof特性算出機能、42…第2の運用管理PG、44…市場入札手続手段、45…予備力デマンド受注手段、46…発電量調整指令入力受付手段、48…発電量制御信号発信手段、50…第3の運用管理PG、52…保険サービス業者、54…計画外設備停止リスクコスト取得部、56…保険料金DB、60…保険サービス提供PG、65…保険サービス提供手段、68…保険申込受付部、69…計画外設備停止リスク評価部、70…保険料金算出部、71…差額算出部、72…保険決済実行部、73…保険料金テーブル、74…保険契約料金DB。

Claims (14)

  1. コンピュータにプログラムを実行させることによって、当該コンピュータを処理手段として機能させるシステムであって、
    データ記録手段に発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備え、各データベースから、それぞれ発電設備の運転履歴情報、発電設備の寿命計算式情報、過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて算出される寿命消費コストと、前記現在の電力市場情報に基づいて算出される予備力の市場価格の推定値と、前記過去の電力市場情報および発電実績情報に基づいて算出される予備力使用確率とを算出する解析処理手段と、
    この解析処理手段が算出した前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストと前記寿命消費コストとを加えた発電コストを差し引いて求められる発電収益が最適となる前記発電設備の運転条件を算出し、算出した前記発電設備の運転条件での運転計画を策定し、策定した運転計画をユーザ側のオペレータ端末へ出力する運転計画策定手段とを具備し、
    前記解析処理手段は、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた前記寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出部と、
    前記現在の電力市場情報に基づいて前記予備力の市場価格の推定値を算出する予備力価格推定部と、
    前記過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し全入札電力量に対する実際の発電量の割合である前記予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定部とを備えることを特徴とする発電設備運用管理支援システム。
  2. 前記発電設備に与える発電量指令値を受け付け認識する発電量調整指令入力受付手段と、
    この発電量調整指令入力受付手段が認識した指令値に基づき発電量を制御する発電量制御信号を前記発電設備に対して発信する発電量制御信号発信手段とを具備することを特徴とする請求項1記載の発電設備運用管理支援システム。
  3. 前記データ記録手段に、保険サービス業者に支払った保険料金の情報が格納された保険料金データベースを備え、前記解析処理手段は、計画外設備停止リスクコストとして前記保険料金データベースから前記保険サービス業者に支払った保険料金の情報を読み出す計画外設備停止リスクコスト受付手段をさらに備え、前記運転計画策定手段は、前記計画外設備停止リスクコスト受付手段が読み出した計画外設備停止リスクコストを、前記発電コストに加算して前記発電収益を計算することを特徴とする請求項1記載の発電設備運用管理支援システム。
  4. 前記発電設備の計画外設備停止リスクをリスクヘッジする手段として保険サービスを提供するに当たり、保険サービスの対象となる前記発電設備の計画外設備停止リスクとして、当該発電設備の計画外設備停止の発生確率を前記運転履歴データベースに格納される運転履歴情報から算出し、計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外設備停止発生確率に当該発電設備の計画外設備停止時に発生する損失コストを乗算して得られた数値を計画外設備停止リスクとして得る計画外設備停止リスク評価部と、前記データ記録手段に、前記計画外設備停止リスクに対応する保険料金が規定された保険料金テーブルを備え、この保険料テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク評価部が数値化した計画外設備停止リスクに対応する保険料金を算出し、算出した保険料金を当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末へ送信する保険料金算出部と、当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末から当該保険サービス提供についての申し込みを受け付ける保険申込受付部とを備えた保険サービス提供手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の発電設備運用管理支援システム。
  5. 前記運転計画策定手段は、
    前記解析処理手段が算出した発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を示す計画ベース発電量−市場価格特性を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出機能と、
    前記発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を示す予備力発電量−市場価格特性を算出する予備力発電量−市場価格特性算出機能と、
    前記解析処理手段が算出した前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を示す予備力発電量−予備力使用確率特性を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出機能と、
    前記計画ベース発電量−市場価格特性、予備力発電量−市場価格特性および予備力発電量−予備力使用確率特性に基づいて、前記発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を示す発電量−発電収入特性を算出する発電量−発電収入特性算出機能と、
    前記計画ベース発電量−市場価格特性、予備力発電量−市場価格特性および予備力発電量−予備力使用確率特性に基づいて、前記発電運用コストに前記寿命消費コストを含めて算出される発電コストと発電量との関係を示す発電量−発電コスト特性を算出する発電量−発電コスト特性算出機能と、
    前記発電量−発電収入特性と発電量−発電コスト特性に基づいて、前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を示す計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出機能と、を備え、前記計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性を用いて前記発電設備の発電可能な発電量の範囲内で最適となる発電収益を算出する発電収益算出部と、
    この発電収益算出部が算出した発電収益が最適となる前記計画ベース発電量および前記予備力発電量を運転条件として算出する最適運転条件算出部と、
    この最適運転条件算出部が算出した運転条件をユーザに提示する最適運転条件出力部とを備えることを特徴とする請求項1記載の発電設備運用管理支援システム。
  6. 前記発電コストは、前記寿命消費コストのみならず、前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外の発電設備停止に対するリスクコストをさらに含めて算出されることを特徴とする請求項5記載の発電設備運用管理支援システム。
  7. 寿命消費コスト算出部、予備力価格推定部、および、予備力使用確率推定部を備える解析処理手段と、運転計画策定手段と、発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備えるデータ記録手段と、オペレータ端末を具備する発電設備運用管理支援システムが実行する処理手順を備えた方法であって、前記処理手順は、
    前記寿命消費コスト算出部が、運転履歴データベースおよびプラントモデルデータベースから、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報を読み出し、読み出した運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して予備力を確保する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程と、前記予備力価格推定部が、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、受け取った現在の電力市場情報に基づいて予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程と、前記予備力使用確率推定部が、前記電力市場データベースから前記過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、読み出した過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し、全入札電力量に対する実際の発電量の割合として定義される予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程とを備える解析処理行程と、
    この解析処理行程で算出された前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストおよび前記寿命消費コストを差し引いた発電収益を算出する発電収益算出行程と、この発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる運転条件を算出する最適運転条件算出行程と、この最適運転条件算出行程で算出された運転条件をユーザ側のオペレータ端末へ出力して提示する最適運転条件提示行程とを備える運転計画策定行程とを具備することを特徴とする発電設備運用管理支援方法。
  8. 前記発電設備の各々に対し発電量の指令値を与える発電量制御信号発信行程を具備することを特徴とする請求項7記載の発電設備運用管理支援方法。
  9. 前記発電収益算出行程は、前記解析処理行程で算出された発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップと、
    前記発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、前記発電設備の発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する予備力発電量−市場価格特性算出ステップと、
    前記解析処理行程で算出された前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップと、
    前記計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップ、予備力発電量−市場価格特性算出ステップおよび予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップで算出した各特性を用いて、発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を算出する発電量−発電収入特性算出ステップと、
    前記発電運用コストに前記寿命消費コストを加味して算出される発電コストと発電量との関係を算出する発電量−発電コスト特性算出ステップと、
    前記発電量−発電収入特性算出ステップで算出された発電量−発電収入特性と、前記発電量−発電コスト特性算出ステップで算出された発電量−発電コスト特性とから前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出ステップとを備えることを特徴とする請求項7記載の発電設備運用管理支援方法。
  10. 前記発電コストは、前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外の発電設備停止に対するリスクコストをさらに加味して算出されることを特徴とする請求項9記載の発電設備運用管理支援方法。
  11. 前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外の発電設備停止に対するリスクヘッジとして提供する保険サービスの見積依頼を当該保険サービスを受けようとするユーザ側の端末から前記コンピュータが受け付ける保険受付処理ステップと、
    前記保険受付処理ステップで見積依頼を受け付けた保険サービスの対象となる発電設備について前記運転履歴データベースから過去の運転履歴情報を読み出し、読み出した過去の運転履歴情報から前記予備力を確保する際に前記発電設備を定格オーバーで運用することにより生じ得る計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外設備停止発生確率に前記発電設備の計画外設備停止時に発生する損失コストを乗算し数値化される計画外発電設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク評価ステップと、
    前記データ記録手段に、前記計画外設備停止リスクに対応する保険料金が規定された保険料金テーブルを備え、この料金テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク評価ステップで評価された計画外設備停止リスクと、当該計画外設備停止リスクに対応する保険料金とを取得し、取得した情報に基づき保険料金を見積し見積結果を前記ユーザ側の端末へ出力する保険料金見積結果出力ステップと、
    前記保険料金見積結果出力ステップで見積された保険料金で前記ユーザ側の端末から保険の申込を前記コンピュータで受け付ける保険申込受付ステップと、
    前記保険申込受付ステップで保険の申込を受け付けた後、保険料金の初期決済を行う保険料金初期決済処理ステップと、
    前記保険料金初期決済処理ステップで保険料金の初期決済を行った後に、保険の対象となる発電設備について保険契約後の運転履歴情報を取得し、今回取得した運転履歴情報から再度、計画外発電設備停止発生確率を算出し、算出した計画外発電設備停止発生確率から数値化される計画外設備停止リスクを査定し評価する計画外設備停止リスク再評価ステップと、
    前記料金テーブルを参照して、前記計画外設備停止リスク再評価ステップで評価した計画外設備停止リスクに対応する保険料金を再算定する保険料金再算定ステップと、
    前記保険料金再算定ステップで再算定した保険料金と事前保険料金との差額を算出して事後決済を行う事後決済処理ステップとを備えることを特徴とする請求項7乃至10の何れか一の請求項に記載の発電設備運用管理支援方法。
  12. 寿命消費コスト算出部、予備力価格推定部、および、予備力使用確率推定部を備える解析処理手段と、運転計画策定手段と、発電設備の各種センサ情報および操作情報を蓄積した運転履歴データベースと、発電設備の寿命を計算するための物理式、物性式などの寿命計算式情報が格納されたプラントモデルデータベースと、過去の電力市場情報および発電実績情報が格納された電力市場データベースを備えるデータ記録手段と、オペレータ端末を具備する発電設備運用管理支援システムが実行する処理手順であって、
    前記寿命消費コスト算出部が、運転履歴データベースおよびプラントモデルデータベースから、前記発電設備の運転履歴情報および寿命計算式情報を読み出し、読み出した運転履歴情報および寿命計算式情報に基づいて前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して予備力を確保する際に定格出力内運転時よりも余計に消費される寿命コストを含めた寿命消費コストを算出する寿命消費コスト算出行程と、前記予備力価格推定部が、現在の電力市場情報をリアルタイムに取得する市場情報取得手段から現在の電力市場情報を受け取り、受け取った現在の電力市場情報に基づいて予備力の市場価格を推定する予備力価格推定行程と、前記予備力使用確率推定部が、前記電力市場データベースから前記過去の電力市場情報および発電実績情報を読み出し、読み出した過去の電力市場情報および発電実績情報に基づき予備力として市場に入札した電力量と実際に入札を受けて発電した発電量とを集計し、全入札電力量に対する実際の発電量の割合として定義される予備力使用確率を推定する予備力使用確率推定行程とを備える解析処理行程と、
    この解析処理行程で算出された前記寿命消費コスト、予備力の市場価格の推定値および予備力使用確率を考慮し、前記発電設備の定格出力オーバー運転も含む運転可能な範囲内で発電して前記予備力を確保することにより得られる発電収入から当該発電に必要な発電運用コストおよび前記寿命消費コストを差し引いた発電収益を算出する発電収益算出行程と、この発電収益算出行程で算出した発電収益が最適となる運転条件を算出する最適運転条件算出行程と、この最適運転条件算出行程で算出された運転条件をユーザ側のオペレータ端末へ出力して提示する最適運転条件提示行程とを備える運転計画策定行程とを具備する運転計画提示処理手順をコンピュータに実行させるプログラム。
  13. 請求項12記載の運転計画提示処理手順に、
    前記発電設備の各々に対し発電量の指令値を与える発電量制御信号発信行程をさらに具備させた発電設備運転制御処理手順をコンピュータに実行させるプログラム。
  14. 前記発電収益算出行程は、前記解析処理行程で算出された発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、計画ベース発電量と予備力発電量との和で表される前記発電設備の発電量のうちの計画ベース発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップと、前記発電量に対する予備力の市場価格の推定値に基づき、前記発電設備の発電量のうちの予備力発電量と前記予備力の市場取引価格推定値との関係を算出する予備力発電量−市場価格特性算出ステップと、前記解析処理行程で算出された前記予備力使用確率に基づいて、前記予備力発電量と前記予備力使用確率との関係を算出する予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップと、前記計画ベース発電量−市場価格特性算出ステップ、予備力発電量−市場価格特性算出ステップおよび予備力発電量−予備力使用確率特性算出ステップで算出した各特性を用いて、発電収入と前記計画ベース発電量と前記予備力発電量との和で表される発電量との関係を算出する発電量−発電収入特性算出ステップと、前記発電運用コストに前記寿命消費コストを加味して算出される発電コストと発電量との関係を算出する発電量−発電コスト特性算出ステップと、前記発電量−発電収入特性算出ステップで算出された発電量−発電収入特性と、前記発電量−発電コスト特性算出ステップで算出された発電量−発電コスト特性とから前記発電収益の期待値である発電収益期待値、前記計画ベース発電量および前記予備力発電量の関係を算出する計画ベース発電量−予備力発電量−発電収益期待値特性算出ステップとを備えることを特徴とする請求項12記載のプログラム。
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