JP4427180B2 - 船体における船尾管ブッシュの取付方法および交換方法 - Google Patents
船体における船尾管ブッシュの取付方法および交換方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、船体における船尾管ブッシュの取付方法および交換方法に関し、特に、樹脂を用いて船尾管ブッシュを船尾ボス部に取り付け、必要に応じてこれを交換する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
造船工程では、船体の船尾部分に、船尾管ブッシュを取り付ける作業を行う必要がある。船尾管ブッシュは、プロペラ軸を回転自在に収容した管であるため、その軸芯を正確な位置に合わせて取り付ける必要がある。従来は、この船尾管ブッシュの外径よりもやや小さな内径をもった筒状構造体からなる船尾ボス部を正確に位置合わせして船尾に固定し、船尾管ブッシュをこの船尾ボス部の内側に圧入する方法が採られていた。しかしながら、この圧入法を行うには、船尾管ブッシュに非常に大きな圧力をかけて、船尾ボス部の内側に押し込む必要があるため、かなり大掛かりな設備が必要になる。特に、大型の船舶では、船尾管ブッシュの径が1m以上にも及ぶものもあり、圧入法を行うには、極めて大掛かりな設備を必要としていた。
【0003】
このような圧入法の問題点を解決するため、たとえば、特開昭53−26096号公報、特開昭57−191190号公報、特開平6−99890号公報、特開平8−40389号公報には、船尾管ブッシュと船尾ボス部との間に樹脂を充填して硬化させる樹脂充填法が開示されている。この方法では、船尾管ブッシュの外径よりもやや大きな内径をもった筒状構造体からなる船尾ボス部を用意しておき、この船尾ボス部の内側に船尾管ブッシュを挿通させる。船尾ボス部の内径の方が船尾管ブッシュの外径よりも大きいため、圧入法のように圧力をかけて挿入する必要はない。このように、船尾ボス部と船尾管ブッシュとの間には、ある程度の空間が確保されるので、船尾管ブッシュを挿通させた後に、自由に位置調節を行うことができる。こうして、軸芯を正確に合わせた後、船尾ボス部と船尾管ブッシュとの間の空間に樹脂を充填し、これを固化させれば、この樹脂を接着剤として用いることにより、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に固定することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
船舶が就航した後、船尾管ブッシュは、プロペラ軸を回転自在に支持する重要な役割を担う。そのため、長年の使用により、摩耗や破損の対象となり、やがて交換の必要が生じることになる。上述した圧入法によって船尾管ブッシュを船尾ボス部内に圧入させた場合、圧入時とほぼ同じ外力を加えることにより船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜くことが可能である。古い船尾管ブッシュを引き抜いた後、新しい船尾管ブッシュを船尾ボス部に圧入すれば、船尾管ブッシュの交換を行うことができる。ところが、上述した樹脂充填法によって船尾管ブッシュを船尾ボス部内に取り付けた場合、船尾管ブッシュと船尾ボス部とは樹脂によって接着された状態となるため、船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜くことが非常に困難になる。もちろん、極めて大きな外力を加えれば、樹脂による接着部分を破壊することにより、船尾管ブッシュを強制的に引き抜くことは可能であるが、船尾ボス部の内側部分に破壊された樹脂が残存した状態になるため、新しい船尾管ブッシュの軸芯を正確に合わせて固定することはできなくなる。
【0005】
そこで本発明は、必要な場合には、所望の外力を加えることにより容易に引き抜くことができるように、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に固定することができる船尾管ブッシュの取付方法を提供することを目的とし、また、この取付方法を利用した船尾管ブッシュの交換方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、船体の船尾ボス部に、プロペラ軸を収容する船尾管ブッシュを取り付けるための船体における船尾管ブッシュの取付方法において、
所定の外径をもった筒状本体部を有し、内部にプロペラ軸を収容することができる船尾管ブッシュを用意し、
筒状本体部の外径よりも大きな内径をもち、側面部分に樹脂注入孔と空気排出孔とが形成され、船体の船尾部分に固定された筒状の船尾ボス部を用意し、
筒状本体部の外周面の一部分を構成する1箇所もしくは複数箇所に接合領域を定義し、この接合領域にマスキング層を形成した後、筒状本体部の外周面に樹脂との接着を阻止するための粘性材料を塗布し、
マスキング層を剥離除去した後、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に挿入して軸合わせを行い、船尾ボス部の両端における船尾管ブッシュとの間の空隙部を封止材料によって封止し、
空気排出孔から空気を排出しつつ、樹脂注入孔から樹脂を注入し、船尾管ブッシュの外面と船尾ボス部の内面との間に樹脂を充填し、これを硬化させることにより、接合領域において船尾管ブッシュと硬化樹脂とが接合されるようにして、船尾ボス部に船尾管ブッシュを固定するようにしたものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る船体における船尾管ブッシュの取付方法において、
所定の外径を有する筒状本体部と、この筒状本体部の一端に接続されたフランジ部と、を有し、内部にプロペラ軸を収容することができる船尾管ブッシュを用いるようにし、
マスキング層を形成した後、筒状本体部の外周面とともにフランジ部の内側面にも粘性材料を塗布するようにし、
このフランジ部が船尾ボス部の一端外側に近接配置されるように、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に挿入するようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る船体における船尾管ブッシュの取付方法において、
接合領域にマスキングテープを貼り付け、このマスキングテープをマスキング層として利用するようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る船体における船尾管ブッシュの取付方法において、
樹脂に対する接着力を弱める機能をもった剥離剤を接合領域に塗布した後、マスキングテープを貼り付けるようにしたものである。
【0010】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第1〜第4の態様に係る船体における船尾管ブッシュの取付方法において、
筒状本体部の外周面に、この筒状本体部と同心をなす円錐の一部から構成されるテーパ面を形成し、このテーパ面上に接合領域を定義するようにしたものである。
【0011】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る船尾管ブッシュの取付方法によって取り付けられた船尾管ブッシュを交換するための船体における船尾管ブッシュの交換方法において、
船尾管ブッシュと樹脂との接合力を上回る外力を、船尾管ブッシュに対して加えることにより、船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜き、
この引き抜いた船尾管ブッシュと同一形態の新たな船尾管ブッシュを用意し、この新たな船尾管ブッシュを、外周面に接着剤を塗布してから船尾ボス部に挿入し、接着剤により新たな船尾管ブッシュを船尾ボス部に固定するようにしたものである。
【0012】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第5の態様に係る船尾管ブッシュの取付方法によって取り付けられた船尾管ブッシュを交換するための船体における船尾管ブッシュの交換方法において、
船尾管ブッシュと樹脂との接合力を上回る外力を、船尾管ブッシュに対して加えることにより、船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜き、
この引き抜いた船尾管ブッシュと同一形態の新たな船尾管ブッシュを用意し、この新たな船尾管ブッシュを、テーパ面に接着剤を塗布してから船尾ボス部に挿入し、接着剤により新たな船尾管ブッシュを船尾ボス部に固定するようにしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。この実施形態では、まず、図1の側面図に示すような船尾管ブッシュ10を用意する。この船尾管ブッシュ10は、内部にプロペラ軸を収容し、回転自在に支持する機能をもった円筒状の金属構造体であり、図示の例の場合、所定の外径をもった筒状本体部11と、この筒状本体部11の一端に接続されたフランジ部12とによって構成されている。フランジ部12は、筒状本体部11の外径に対して、より大きな外径をもち、筒状本体部11と同等の内径をもったリング状の構成要素となっている。図1では、筒状本体部11の右側の一部分を断面図で示してあり、この断面部分にはボルト用孔部H1が形成されている。このボルト用孔部H1は、後述するように、ジャッキボルトを通して軸芯調節を行うためのものである。
【0014】
続いて、この筒状本体部11の外周面の一部分を構成する1箇所もしくは複数箇所に接合領域を定義する。図1の例では、2箇所に接合領域X1,X2(図に破線で示すように、筒状本体部11の円周に沿った帯状の領域)を定義している。この接合領域X1,X2は、後述するように、樹脂を介して船尾ボス部に接合される領域であり、面積の広い接合領域を定義すればするほど、船尾ボス部に対する接合力がより大きくなる。図示の例では、2箇所に接合領域X1,X2が定義されているが、接合領域は1箇所だけでもよいし、3箇所以上に定義してもかまわない。ただ、船尾ボス部に対する十分な接合力を確保しつつ、後に船尾管ブッシュ10を引き抜く作業を容易にする上では、図1に示す例のように、ある程度距離をおいた2箇所に接合領域X1,X2を定義するのが好ましい。
【0015】
次に、この接合領域X1,X2にマスキング層M1,M2を形成する。図2は、船尾管ブッシュ10の外周面の接合領域X1,X2上に、それぞれマスキング層M1,M2を形成した状態を示す側面図である。ここでは、接合領域X1,X2上にマスキングテープを貼り付け、このマスキングテープをマスキング層M1,M2として利用している。続いて、筒状本体部11の外周面に粘性材料を塗布する。ここで粘性材料を塗布する目的は、後に樹脂を流し込む工程において、粘性材料層が形成された部分については、樹脂との接着が阻止されるようにするためである。ここに示す実施形態では、粘性材料として、温度200°C程度まで粘性率を保持する特殊なグリス(日本石油株式会社製の「PANWB」なるグリス)を用いている。高温まで粘性率が保持されるグリスを用いるのは、後述する樹脂がその硬化プロセスにおいて高温を発するため、この樹脂の硬化時にも十分な粘性率を保持し、樹脂との接着を阻止する保護層として機能しうるようにするためである。もっとも、樹脂との接着を阻止する保護層として機能しうる粘性材料であれば、必ずしもグリスを用いる必要はない。なお、ここに示す実施形態の場合、図2におけるフランジ部12の内側面12Aにも粘性材料を塗布しておくようにする。これは、後の工程で、フランジ部の内側面12Aにも、流し込まれた樹脂が接触するようになるためである。
【0016】
一方、図3に側断面図を示すような船尾ボス部20を用意する。この船尾ボス部20は、筒状本体部11の外径よりも大きな内径をもち、側面部分に樹脂注入孔H2と空気排出孔H2とが形成され、船体の船尾部分に固定された円筒状の金属構造体である。なお、この船尾ボス部20の側面に形成された図示の2箇所の孔のうち、いずれを樹脂注入孔として用いてもかまわないが、一方を樹脂注入孔として用いた場合には、他方は空気排出孔として用いられることになる。ここでは、いずれの孔も樹脂注入孔もしくは空気排出孔として利用可能であるため、両方の孔を同じ符号H2で示してある。船尾ボス部20の内径は、筒状本体部11の外径よりも大きいので、図示のように、船尾管ブッシュ10の筒状本体部11の部分を船尾ボス部20の内部に挿入することができる。但し、筒状本体部11の挿入を行う前に、筒状本体部11の表面に形成してあったマスキング層M1,M2を剥離除去するようにする。この例の場合、貼り付けてあったマスキングテープを剥がす作業を行えばよい。このようにマスキング層M1,M2を剥離除去すると、筒状本体部11の外周面の接合領域X1,X2が露出した状態になる。このとき、露出した接合領域X1,X2には、粘性材料が塗布されていないことになる。
【0017】
さて、こうしてマスキング層M1,M2を剥離除去した後、フランジ部12が船尾ボス部20の一端外側(図3の例の場合、左端の外側)に近接配置されるように、船尾管ブッシュ10を船尾ボス部20内に挿入し、軸合わせを行う。すなわち、「筒状本体部11の中心軸」と「想定されるプロペラ軸の中心軸」とを合わせるような調節作業を行う。ここに示す実施形態の場合、このような調節作業をジャッキボルトを用いて行っている。すなわち、図4の側断面図に示されているように、まず、筒状本体部11の右側部分(断面図で示されている部分)のボルト用孔部H1に内側からジャッキボルトB1を挿入する。ボルト用孔部H1にはネジが切られており、ジャッキボルトB1を回転させることにより、図の右側部分についての軸合わせ作業を行うことができる。一方、船尾ボス部20の左端外周部には、軸合わせのための仮設支持材31を取り付け、この仮設支持材31に形成されたネジ孔にジャッキボルトB2を挿入し、ジャッキボルトB2を回転させることにより、図の左側部分についての軸合わせ作業を行う。なお、図では説明の便宜上、ジャッキボルトB1,B2がそれぞれ2本ずつしか描かれていないが、実際には、それぞれ3本もしくは4本のジャッキボルトを用いて軸合わせを行うようにする。
【0018】
こうして、軸合わせが完了したら、樹脂を流し込むための準備を行う。この図4に示す実施形態の場合、後の工程で、フランジ部12に形成されたボルト用孔部H3からボルトを通して船尾ボス部20への固定を行うため、まず、フランジ部12に形成されたボルト用孔部H3から仮設チューブ32(後にボルトを通す空間を確保するための円筒状部材)を挿入する。続いて、船尾ボス部20の左右両端における船尾管ブッシュ10との間の空隙部を封止材料によって封止する。具体的には、図の左側の空隙部(船尾ボス部20の左端面とフランジ部12の内側面との間の空隙)には、封止用スポンジ33を円周に沿って詰め込んだ後、その上を封止用樹脂34を用いて封止している。同様に、図の右側の空隙部(船尾ボス部20の内周面と筒状本体部11の外周面との間の空隙)には、封止用スポンジ35を円周に沿って詰め込んだ後、その上を封止用樹脂36を用いて封止している。ここで、封止用スポンジ33および封止用スポンジ35は、細長い縄状のスポンジであり、充填する樹脂を封止するのに十分に密な構造を有する。また、封止用樹脂34および封止用樹脂36は、この例では、ペースト状のエポキシ系接着剤からなる樹脂(米国フィラデルフィア・レジンズ・コーポレーション(Philadelphia Resins Corporation )社製の「フィリーボンドオレンジ(Phillybond Orange )」)を用いている。
【0019】
図4は、必要な封止作業が完了した状態の側断面図を示している。こうして、封止作業が完了したら、空気排出孔H2(図4に示す2箇所の孔H2のいずれか一方)から空気を排出しつつ、樹脂注入孔H2(図4に示す2箇所の孔H2のもう一方)から樹脂を注入し、船尾管ブッシュ10の外周面と船尾ボス部20の内周面との間に樹脂を流し込んで充填する。図5は、このようにして樹脂を充填した状態を示す図である。この実施形態では、充填する樹脂として、前掲の米国フィラデルフィア・レジンズ・コーポレーション社製の「チョックファースト(Chockfast )」を用いている。この樹脂は、硬化剤を添加することにより、発熱しながら硬化する性質を有している。流し込んだ樹脂が硬化すると、図示のとおり硬化樹脂層40が形成されることになる。ここで、この硬化樹脂層40と各部との接合状態を考えると、硬化樹脂層40の外周面はほぼ全面に渡って船尾ボス部20の内周面に接合している。しかしながら、硬化樹脂層40の内周面と筒状本体部11の外周面との接合は、接合領域X1,X2においてのみ行われていることになる。これは、接合領域X1,X2以外の領域にはグリスが塗布されており、樹脂による接着が阻止されているためである。また、フランジ部12の内側面にもグリスが塗布されているため、硬化樹脂層40とフランジ部12との間の接着も阻止されている。結局、船尾管ブッシュ10は、接合領域X1,X2の部分においてのみ、硬化樹脂層40を介して船尾ボス部20に接合されていることになる。
【0020】
こうして、充填した樹脂が硬化した後、仮設支持材31,ジャッキボルトB1,B2を取り外すと、図6の側断面図に示す状態が得られる。なお、この図6では、ボルト用孔部H3からタップを挿入して船尾ボス部20の左端面にネジを切り、ここに固定用ボルトB3を挿入して締め付けることにより、フランジ部12を船尾ボス部20の左端面に固定するようにしている。このとき、図示のとおり、仮設チューブ32はそのまま埋め込んでしまってかまわない。この固定用ボルトB3は、船尾管ブッシュ10と船尾ボス部20との固定状態を確実に維持するためのものであり、両者は、硬化樹脂層40を介して接合されるとともに、この固定用ボルトB3によってもしっかりと接続されることになる。なお、ジャッキボルトB1を取り外したときに残る孔は、図6に示されているとおり、充填剤41を埋め込むことによって塞いでいる。ここでは、充填剤41として、上述した封止用樹脂と同様に、ペースト状のエポキシ系接着剤からなる「フィリーボンドオレンジ」を用いている。
【0021】
以上で、船尾ボス部20に対する船尾管ブッシュ10の取付作業は完了である。この取付方法の特徴は、上述したように、船尾管ブッシュ10が、接合領域X1,X2の部分においてのみ、硬化樹脂層40を介して船尾ボス部20に接合されている点にある。別言すれば、船尾管ブッシュ10と船尾ボス部20との接合力は、接合領域の面積に応じて定まることになり、両者の接合力を任意に設定することが可能になる。上述の実施形態で利用した「チョックファースト」なる樹脂は、1cm2あたり90kgの接着力が得られる。そこで、たとえば、外径60cmの筒状本体部11に幅1cmのマスキングテープを巻くことにより接合領域X1を形成したとすると、この接合領域X1の面積は188.4cm2となるので、約17tの接着力が得られることになり、接合領域X1,X2の2箇所では、合計約34tの接着力が得られることになる。実際には、この樹脂は硬化により若干収縮する性質があるため、硬化後の硬化樹脂層40は筒状本体部11に対して締め付け力を作用させることになり、この締め付け力に基づく摩擦力を考慮すると、接合力は50t程度になるものと予想される。これは、従来の圧入法による接合力とほぼ同じ程度である。
【0022】
もちろん、接合領域の面積や数を増やすことにより接合力を高めることもできるし、逆に減らすことにより接合力を低めることもできる。このように、接合力を任意の値に設定することができる点が、本発明の大きな特徴である。この特徴は、後に船尾管ブッシュ10を交換する必要が生じたときに、大きな恩恵を与えてくれる。すなわち、図6に示すように船尾管ブッシュ10を取り付けた後、その中にプロペラ軸を挿通し、この船舶は就航することになるが、長年の使用により、船尾管ブッシュ10が摩耗したり、破損したりした場合には、これを交換する必要が生じる。従来の樹脂充填法では、樹脂によって船尾管ブッシュ10が完全に固定されてしまうため、船尾管ブッシュ10を引き抜いて交換することは極めて困難である。そのため、将来、交換が可能なように、円筒状のスリーブ内に船尾管ブッシュ10を圧入しておき、このスリーブを樹脂で船尾ボス部に固定するような手法も採られていた。本発明に係る取付方法を採れば、上述したように、船尾管ブッシュ10の船尾ボス部20に対する接合力を、従来の圧入法による接合力と同程度に設定することが可能であり、従来の圧入法と同様に、所定の外力を加えることにより、船尾管ブッシュ10を船尾ボス部20から引き抜くことが可能になる。
【0023】
すなわち、図6に示されている船尾管ブッシュ10を交換する必要が生じた場合には、予め固定用ボルトB3を外した上で、船尾管ブッシュ10と硬化樹脂層40との接合力を上回る外力を、船尾管ブッシュ10に対して加えることにより、船尾管ブッシュ10を船尾ボス部20から引き抜くことができる。図7は、引き抜きを行った後の船尾ボス部20の状態を示す側断面図であり、図8は、引き抜いた船尾管ブッシュ10を示す側断面図である。このように、外力を加えた引き抜き作業を行っても、筒状本体部11と硬化樹脂層40との間は、接合領域X1,X2の部分においてのみ接着されていたので、硬化樹脂層40が大きく破損することはない。したがって、引き抜いた船尾管ブッシュ10と同一形態の新たな船尾管ブッシュを用意し、この新たな船尾管ブッシュを、外周面(たとえば、接合領域X1,X2の部分)に接着剤を塗布してから船尾ボス部20に挿入し、この接着剤により新たな船尾管ブッシュを船尾ボス部20に固定し、更に、固定用ボルトB3を締め付けて固定するようにすれば、船尾管ブッシュの交換が可能になる。新たな船尾管ブッシュに塗布する接着剤としては、たとえば、前掲の「フィリーボンドオレンジ」を用いることができる。もちろん、この後、再度の交換を行うことも可能である。
【0024】
なお、接合力を弱めるための手法としては、接合領域X1,X2の面積を減じる方法だけでなく、この接合領域X1,X2に、樹脂に対する接着力を弱める機能をもった剥離剤を塗布しておく方法を採ることも可能である。たとえば、スプレー式の離型剤を予め接合領域X1,X2に塗布した後、その上からマスキングテープを貼り付けるようにしておけば、マスキングテープを剥離除去したときに露出する接合領域X1,X2には、この離型剤が塗布された状態となっているため、硬化樹脂層40との間の接着力を弱めることができる。もちろん、グリスを塗布した領域のように樹脂と全く接着しないわけではないが、離型剤を塗布することにより接着力が弱まるため、全体的な接合力を弱める機能を果たすことができる。
【0025】
また、上述の実施形態では、筒状本体部11として外径が均一な円筒状のものを用いた例を示したが、実用上は、次のような理由により、外周部分にテーパ面を有する筒状本体部11を用いるのが好ましい。いま、図9(a) ,(b) ,(c) の部分側面図に示すように、3種類の形状をもった筒状本体部11a,11b,11cを考えてみる。ここで、図9(a) に示す筒状本体部11aは、これまで述べてきた実施形態で用いた筒状本体部11と同様に、外径が均一な円筒状をしたものであり、接合領域X1は、その円周に沿った帯状の領域ということになる。この場合、接合領域X1は、船尾管ブッシュ10の引抜方向(図の水平方向)に対して平行な面ということになり、引抜時には接着面に対して平行な応力が加わることになる。このような応力は、硬化樹脂層40を破損させる可能性が高く、実用上は避けた方が好ましい。
【0026】
一方、図9(b) に示す筒状本体部11bは、外周面に段差部を有する構造をもっている。このような筒状本体部11bにおいて、段差部に相当する図示の面を接合領域Y1とすると、この接合領域Y1は、船尾管ブッシュ10の引抜方向(図の水平方向)に対して垂直な面ということになり、引抜時には接着面に対して垂直な応力が加わることになる。このような応力は、接合領域Y1と硬化樹脂層40とを効果的に剥離させる力として作用するため、引抜時に硬化樹脂層40に破損が生じにくい。したがって、各部に破損が生じないように船尾管ブッシュを引き抜く、という観点からは、図9(b) に示すような段差構造をもった筒状本体部11bを用意し、その段差面を接合領域Y1とするのが好ましい。しかしながら、この筒状本体部11bは、交換のために新たな筒状本体部11bを挿入する過程において、船尾ボス部20内に挿入しにくいという問題がある。すなわち、段差構造部が船尾ボス部20内の段差部分に引っ掛かりやすく、引抜時には各部に破損が生じにくいものの、挿入時には逆に各部に破損が生じやすくなってしまう。
【0027】
そこで、本願発明者は、本発明を実施する上では、図9(c) に示すような構造をもった筒状本体部11cを用いるのが最適と考えている。この筒状本体部11cは、筒状本体部の外周面に、この筒状本体部と同心をなす円錐の一部から構成されるテーパ面が形成されており、このテーパ面上に接合領域Z1を定義することにより、引抜時にも挿入時にも、各部に破損が生じにくくなる。すなわち、引抜時には、接合領域Z1は引抜方向に対してある程度の角度を有しているため、接着面に対して斜め方向の応力が加わることになり、硬化樹脂層40が破損する可能性は低い。また、挿入時には、テーパ面の径が小さい方向から挿入することにより、船尾ボス部の内部に引っ掛かることもなくスムーズな挿入が可能になり、やはり硬化樹脂層40が破損する可能性は低い。ここで、新たな船尾管ブッシュを挿入する場合には、このテーパ面に定義された接合領域Z1に接着剤(たとえば、前掲の「フィリーボンドオレンジ」)を塗布してから、これを船尾ボス部20内に挿入して、接着固定すればよい。なお、図9(c) に示すテーパ面の傾斜は、説明の便宜上、かなり急峻となっているが、実用上は、テーパ面の左右における段差を3mm程度、テーパの傾斜を1/10程度とするのが最も扱いやすい。
【0028】
【発明の効果】
以上のとおり本発明に係る船体における船尾管ブッシュの取付方法および交換方法によれば、必要な場合には、所望の外力を加えることにより容易に引き抜くことができるように、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に固定することができ、船尾管ブッシュの交換を容易に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる船尾管ブッシュ10の一例を示す側面図(一部分は断面図)である。
【図2】図1の船尾管ブッシュ10にマスキング層M1,M2を形成した状態を示す側面図である。
【図3】図2に示す船尾管ブッシュ10からマスキング層M1,M2を剥離除去した後、これを船尾ボス部20内に挿入した状態を示す側断面図である。
【図4】図3に示す状態から、軸合わせおよび封止を行った状態を示す側断面図である。
【図5】図4に示す状態において、樹脂の充填を行い、硬化樹脂層40を形成した状態を示す側断面図である。
【図6】図5に示す状態から、軸合わせに用いた構成要素を除去した状態を示す側断面図である。
【図7】図6に示す状態において、交換するために船尾管ブッシュ10を引き抜いた状態を示す側断面図である。
【図8】交換のために引き抜かれた船尾管ブッシュ10を示す側断面図である。
【図9】本発明に用いる筒状本体部11の形態例を示す部分側面図である。
【符号の説明】
10…船尾管ブッシュ
11…筒状本体部
11a〜11c…筒状本体部の形態例
12…フランジ部
12A…フランジ部の内側面
20…船尾ボス部
31…仮設支持材
32…仮設チューブ
33…封止用スポンジ
34…封止用樹脂
35…封止用スポンジ
36…封止用樹脂
40…硬化樹脂層
41…充填剤
B1…ジャッキボルト
B2…ジャッキボルト
B3…固定用ボルト
H1…ボルト用孔部
H2…樹脂注入孔もしくは空気排出孔
H3…ボルト用孔部
M1,M2…マスキング層
X1,X2,Y1,Z1…接合領域
Claims (7)
- 船体の船尾ボス部に、プロペラ軸を収容する船尾管ブッシュを取り付けるための方法であって、
所定の外径をもった筒状本体部を有し、内部にプロペラ軸を収容することができる船尾管ブッシュを用意し、
前記筒状本体部の外径よりも大きな内径をもち、側面部分に樹脂注入孔と空気排出孔とが形成され、船体の船尾部分に固定された筒状の船尾ボス部を用意し、
前記筒状本体部の外周面の一部分を構成する1箇所もしくは複数箇所に接合領域を定義し、この接合領域にマスキング層を形成した後、前記筒状本体部の外周面に樹脂との接着を阻止するための粘性材料を塗布し、
前記マスキング層を剥離除去した後、前記船尾管ブッシュを前記船尾ボス部内に挿入して軸合わせを行い、前記船尾ボス部の両端における前記船尾管ブッシュとの間の空隙部を封止材料によって封止し、
前記空気排出孔から空気を排出しつつ、前記樹脂注入孔から樹脂を注入し、前記船尾管ブッシュの外面と前記船尾ボス部の内面との間に樹脂を充填し、これを硬化させることにより、前記接合領域において前記船尾管ブッシュと硬化樹脂とが接合されるようにして、前記船尾ボス部に前記船尾管ブッシュを固定することを特徴とする船体における船尾管ブッシュの取付方法。 - 請求項1に記載の取付方法において、
所定の外径を有する筒状本体部と、この筒状本体部の一端に接続されたフランジ部と、を有し、内部にプロペラ軸を収容することができる船尾管ブッシュを用い、
マスキング層を形成した後、筒状本体部の外周面とともにフランジ部の内側面にも粘性材料を塗布するようにし、
前記フランジ部が船尾ボス部の一端外側に近接配置されるように、船尾管ブッシュを船尾ボス部内に挿入するようにしたことを特徴とする船体における船尾管ブッシュの取付方法。 - 請求項1または2に記載の取付方法において、
接合領域にマスキングテープを貼り付け、このマスキングテープをマスキング層として利用することを特徴とする船体における船尾管ブッシュの取付方法。 - 請求項3に記載の取付方法において、
樹脂に対する接着力を弱める機能をもった剥離剤を接合領域に塗布した後、マスキングテープを貼り付けることを特徴とする船体における船尾管ブッシュの取付方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の取付方法において、
筒状本体部の外周面に、この筒状本体部と同心をなす円錐の一部から構成されるテーパ面を形成し、このテーパ面上に接合領域を定義することを特徴とする船体における船尾管ブッシュの取付方法。 - 請求項1〜5のいずれかに記載の取付方法によって取り付けられた船尾管ブッシュを交換する方法であって、
船尾管ブッシュと樹脂との接合力を上回る外力を、船尾管ブッシュに対して加えることにより、船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜き、
この引き抜いた船尾管ブッシュと同一形態の新たな船尾管ブッシュを用意し、この新たな船尾管ブッシュを、外周面に接着剤を塗布してから前記船尾ボス部に挿入し、前記接着剤により前記新たな船尾管ブッシュを前記船尾ボス部に固定することを特徴とする船体における船尾管ブッシュの交換方法。 - 請求項5に記載の取付方法によって取り付けられた船尾管ブッシュを交換する方法であって、
船尾管ブッシュと樹脂との接合力を上回る外力を、船尾管ブッシュに対して加えることにより、船尾管ブッシュを船尾ボス部から引き抜き、
この引き抜いた船尾管ブッシュと同一形態の新たな船尾管ブッシュを用意し、この新たな船尾管ブッシュを、テーパ面に接着剤を塗布してから前記船尾ボス部に挿入し、前記接着剤により前記新たな船尾管ブッシュを前記船尾ボス部に固定することを特徴とする船体における船尾管ブッシュの交換方法。
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