JP2014163154A - アンカーボルトの定着部の構造および施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基礎1の底部に形成した作業孔8から新設アンカーボルト2Bをシース管4および作業孔に挿通せしめ、作業孔の開口端に装着した新設アンカープレート5Bに対して新設アンカーボルトの先端部に設けられている凸部2bを係止し、新設アンカープレート5Bと既存アンカープレート5Aとの間にグラウト10を充填して硬化せしめる。新設アンカーボルトの先端部には縁切り材12を巻装し、グラウト内に埋設されるスパイラル筋11を装着する。
【選択図】図1
Description
なお、以下ではアンカーボルト2を交換前の既存アンカーボルト2Aと交換後の新設アンカーボルト2Bとに区別し、アンカープレート5を既存アンカープレート5Aと新設アンカープレート5Bとに区別して説明する。
しかる後に、新設アンカーボルト2Bを作業孔8を通してシース管4内に吊り上げて設置するのであるが、その際、特許文献1では新設アンカーボルト2Bの凸部2bを既存アンカープレート5Aに対して係止するのではなく、図14に示すように基礎1の底面に新設アンカープレート5Bを装着してその新設アンカープレート5Bに対して新設アンカーボルト2Bの凸部2bを定着するようにしている。
なお、そのようにする場合には、既存アンカープレート5Aと新設アンカープレート5Bとの間の距離に相当する長さ分だけ、新設アンカーボルト2Bの長さを既存アンカーボルト2Aの長さよりも長くしておく必要がある。また、図14に示す例では新設アンカープレート5Bに防錆用の下部キャップ9を装着するようにしている。
すなわち、図12〜図14に示す従来の手法で既存アンカーボルト2Aを新設アンカーボルト2Bに交換すると、交換後の定着部は図14に示した構造となるのであるが、その場合は基礎1の底面に新たに設置された新設アンカープレート5Bの上方には交換作業のために形成した作業孔8がそのまま断面欠損部となっているので、新設アンカープレート5Bはその周縁部のみが基礎1に押圧されることになり、そのため既存の基礎1のコンクリート強度や作業孔8の径寸法によっては十分な定着耐力を確保できないことが想定される。
なお、本実施形態は、基本的には図8〜図11に示した構造で設置されていた既存アンカーボルト2Aを図12〜図14に示す手法で新設アンカーボルト2Bに交換する場合の適用例であるので、本実施形態における構成要素のうち図8〜図14において既に説明した構成要素に相当するものには同一符号を付して説明を省略ないし簡略化する。
そのうえで本実施形態では、新設アンカープレート5Bと既存アンカープレート5Aの間に無収縮モルタル等のグラウト10を充填して硬化させることにより、そのグラウト10によって作業孔8を封止するとともに、新設アンカーボルト2Bの先端部をそのグラウト10に対して固着せしめて堅固に定着することを主眼としている。
それにより作業孔8は図14に示した従来の構造のようにそのまま空洞として残されるのではなくグラウト10により封止されてしまい、かつ、新設アンカーボルト2Bはその先端の凸部2bが新設アンカープレート5Bに係止されるのみならず軸部2aの先端部が広範囲にわたってグラウト10を介して基礎1の底部に対して固着されてそこに堅固に定着されることになる。
この場合、新設アンカープレート5Bと既存アンカープレート5Aとそれらの間に充填されたグラウト10の全体が構造的に一体化するので、新設アンカーボルト2Bに導入される張力に対する反力は新設アンカープレート5Bのみならずそれらの全体が負担することになり、したがって図14に示した従来の構造に比べて基礎1に対する新設アンカーボルト2Bの先端部の定着耐力を十分に増強することが可能である。
すなわち、新設アンカーボルト2Bの緊張はグラウト10が硬化した後に行うのであるが、その際にグラウト10が新設アンカーボルト2Bに対して堅固に付着しているとグラウト10に無理な応力が生じる懸念もあるので、本実施形態ではそれを防止するために図2に示すように新設アンカーボルト2Bの軸部2aの先端部周面にグラウト10の付着を断つための縁切り材12を巻装している。したがって新設アンカーボルト2Bに対して所望の緊張力を支障なく導入し得るし、その緊張の際にグラウト10に対して無用な張力が生じることもなく、そのグラウト10中にスパイラル筋11を配筋していることと相まって定着部の強度を十分に確保し得るものとなっている。
図4(a)は交換対象の既存アンカーボルト2Aの設置状況を示すものである。これは,実質的に図9と同様の構造で既存アンカーボルト2Aが設置されているものであるが、基礎1の下方地盤は既に掘削されて作業空間7が確保されており、また既存アンカープレート5Aよりも上方のシース管4内にはコンクリート20が充填され、既存アンカープレート5Aより下方のシース管4内には樹脂や塵埃等の不要物が充填されている点で図9と異なるものである。
そこで、本実施形態では、図5(a)に示すように作業孔8内から既存アンカープレート5Aに対してコアボーリングを行ってその周縁部を残して中心部を切除してしまい、かつシース管4内のコンクリート20に対してもコアボーリングを行って鎖線で示す位置で中心部を周縁部から縁切りする。
これにより既存アンカーボルト2Aの抜き取りが可能となるから、図5(b)に示すようにシース管4内から中心部のコンクリートを除去したうえで既存アンカーボルト2Aを抜き取るか、あるいは既存アンカーボルト2Aとそれに付着しているコンクリート20とを一体に抜き取ってしまえば図5(c)に示す状態となり、これは実質的に図13と同様の状態となる。
この際、グラウト排出ホース14の上端の位置は既存アンカープレート5Aよりもやや上方の位置において開口するようにしておき、下端は後段で新設アンカープレート5Bの下方に引き出してカバー13に対して接続するのでそのために必要な十分な余長を持たせておく。
そのうえで、新設アンカーボルト2Bをシース管4および作業孔8に挿通させ、図6(c)に示すように新設アンカープレート5Bを基礎1の底面に密着させる。その際、新設アンカーボルト2Bを仮緊張することで新設アンカープレート5Bを基礎1の底面に対して押圧し得るが、必要であれば新設アンカープレート5Bをケミカルアンカー等の適宜の固定手段によって基礎1に対して固定することでも良い。また、必要に応じて新設アンカープレート5Bと基礎1の底面との間の隙間に無収縮モルタル等のシール材15を充填すれば良い。
カバー13の各周面のうち、対向している二面にはそれぞれグラウト注入口13aおよびグラウト排出口13bが設けられていて、グラウト注入口13aにはカバー13の外側に突出する注入用ソケット13cが設けられているとともに、グラウト排出口13bにはカバー13の内側に向かって排出用ソケット13dが設けられ、その排出用ソケットdに対して上記のグラウト排出ホース14が接続可能とされている。
これにより、カバー13内に加圧注入されたグラウト10は、カバー13内全体に満たされた後、図7(b)に矢印で示しているように新設アンカープレート5Bと新設アンカーボルト2Bの凸部2bとの間の隙間(つまり新設アンカープレート5Bに形成されている貫通孔5a)を通って上方に徐々に押し上げられていき、そのレベルが既存アンカープレート5Aのやや上方の位置にまで達するとその時点で余剰のグラウト10がグラウト排出ホース14を通してグラウト排出口13bからカバー13外に排出されてくるから、その時点までグラウト10の充填を継続することにより、グラウト10が既存アンカープレート5Aの上方位置まで確実に充填されたことを目視にて確認し得る。
たとえば、上記実施形態はシース管4内にコンクリート20が充填されていた場合の適用例であるので、既存アンカーボルト2Aを抜き取るために図5(a)、(b)に示したように既存アンカープレート5Aおよびシース管4内のコンクリート20を切除する作業が必要であるが、図9に示したようにシース管4が単なる空洞である場合には当然にそのような作業は不要であり、その場合は既存アンカープレート5Aと新設アンカープレート5Bとの間に対して上記と同様にしてグラウト10を充填すれば良い。
2 アンカーボルト
2A 既存アンカーボルト
2B 新設アンカーボルト
2a 軸部
2b 凸部
3 ナット
4 シース管
4a 底蓋
5 アンカープレート
5A 既存アンカープレート
5B 新設アンカープレート
5a 貫通孔
5b 溝部
6 ベースプレート
7 作業空間
8 作業孔
9 下部キャップ
10 グラウト
11 スパイラル筋
12 縁切り材
13 カバー
13a グラウト注入口
13b グラウト排出口
13c 注入用ソケット
13d 排出用ソケット
14 グラウト排出ホース
15 シール材
20 コンクリート
Claims (4)
- 既存の基礎に埋設されているシース管内に配置されてその下端部に設けられている凸部が前記基礎の底部に埋設されている既存アンカープレートに対して係止された状態で定着されていた既存アンカーボルトを新設アンカーボルトに交換する際に適用されるアンカーボルトの定着部の構造であって、
前記基礎の底部に対して新設アンカーボルトが挿通可能な作業孔を該基礎の底面から前記シース管に通じる位置まで形成して、新設アンカーボルトを前記シース管および前記作業孔に挿通せしめ、
前記作業孔の開口端に装着した新設アンカープレートに対して前記新設アンカーボルトの先端部に設けられている凸部を係止するとともに、前記新設アンカープレートと前記既存アンカープレートとの間にグラウトを充填して硬化せしめてなり、
前記新設アンカーボルトの先端部には、該新設アンカーボルトに対する前記グラウトの付着を断つ縁切り材が巻装されているとともに前記グラウト内に埋設されたスパイラル筋が装着されていることを特徴とするアンカーボルトの定着部の構造。 - 請求項1記載のアンカーボルトの定着部の構造であって、
グラウト注入口およびグラウト排出口を備えたカバーが前記新設アンカープレートに装着されて、該カバーを通して前記グラウトが前記新設アンカープレートと前記既存アンカープレートとの間に充填されて硬化せしめられてなり、
前記グラウト内には、上端が前記既存アンカープレートの位置において開口し下端が前記カバーに設けられているグラウト排出口に接続されたグラウト排出ホースが埋設されていることを特徴とするアンカーボルトの定着部の構造。 - 既存の基礎に埋設されているシース管内に配置されてその下端部に設けられている凸部が前記基礎の底部に埋設されている既存アンカープレートに対して係止された状態で定着されていた既存アンカーボルトを新設アンカーボルトに交換する際に適用されるアンカーボルトの定着部の施工方法であって、
前記基礎の底部に対して新設アンカーボルトが挿通可能な作業孔を該基礎の底面から前記シース管に通じる位置まで形成して、新設アンカーボルトを前記シース管および前記作業孔に挿通せしめ、
前記作業孔の開口端に装着した新設アンカープレートに対して前記新設アンカーボルトの先端部に設けられている凸部を係止するとともに、前記新設アンカープレートと前記既存アンカープレートとの間にグラウトを充填して硬化せしめ、
前記新設アンカーボルトを前記シース管および前記作業孔に挿通せしめるに際しては、予め前記新設アンカーボルトの先端部に、該新設アンカーボルトに対する前記グラウトの付着を断つための縁切り材を予め巻装しておくとともに、前記グラウト内に埋設されるスパイラル筋を装着しておき、
前記グラウトが硬化した後に前記新設アンカーボルトを緊張することを特徴とするアンカーボルトの定着部の施工方法。 - 請求項3記載のアンカーボルトの定着部の施工方法であって、
前記グラウトの充填に際しては、グラウト注入口およびグラウト排出口を備えたカバーを前記新設アンカープレートに装着するとともに、前記新設アンカーボルトの先端部には上端が前記既存アンカープレートの位置に開口し下端が前記カバーに設けられているグラウト排出口に接続されるグラウト排出ホースを予め装着しておいて、
前記グラウト注入口から前記カバー内に前記グラウトを加圧注入するとともに該グラウトが前記グラウト排出ホースを通して前記グラウト排出口から排出されるまで前記カバー内への前記グラウトの加圧注入を継続することを特徴とするアンカーボルトの定着部の施工方法。
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