JP6966964B2 - 既存の鉄筋コンクリート構造物の補強構造及び補強工法 - Google Patents
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図1、2は、第1の発明に係る好ましい実施の形態である既存のRC構造物、例えば、橋脚、柱、梁、壁部等において、PCaパネルによる補修構造を示すものであり、RC構造物(以下、単に構造物と称する場合もある)1の表面に接着剤2を介してPCaパネル3を張り付け、接着剤2が硬化した後に、PCaパネル3の表面側から所要のドリルを用いて、RC構造物1におけるかぶり部分4内に所要幅のスリット状の円形溝5を形成する。この場合に、構造物1における鉄筋6の位置、つまりかぶり部分4の厚みを予め検出しておき、円形溝5の深さは、鉄筋6の位置に達しないかぶり部分4の厚みの範囲内に形成され、該円形溝5に独自に開発した独特な形状を有する鋼管キャップ7を挿着する。
即ち、鋼管キャップ7は、適宜の太さの鋼管部8の端部に適宜の大きさの円形状のフランジ部9を一体的に取り付けた構成であって、該円形状のフランジ部9の外周縁は、鋼管部8の径から所要幅(長さ)食み出すように形成されており、使用されるPCaパネル3の大きさによって、鋼管部8の径とフランジ部9の大きさが異なるのである。しかしながら、鋼管部8の長さ(高さ)は、構造物のかぶり部分4の厚みを超えない長さに形成されるので、大・小の鋼管キャップ7が存在する。そして、必要があれば、図3(c)に示したように、フランジ部9に、仮止めアンカーボルト設置用の孔9aや、仮止めクサビ用の孔9b等を適宜設けることができる。
これに対して、本発明では、特殊な鋼管キャップを使用することにより、付着面が増えるので埋め込み深さを浅くできると共に、せん断力についても優れているので、その他の比較については、下記表1に示すとおりである。
表1 従来技術と本発明との比較
要するに、鋼管キャップ7の埋込み深さは、鋼管部8の径の0.3倍以上で、且つ30mm程度であるため、鉄筋を切断する恐れはないし、1つの鋼管部でせん断力を多く負担できるため、多くの鋼管キャップ7を使用しなくても良いのである。また、PCaパネル3を小径化することにより、省スペース内で人力による作業で効率よく安定した補強作業ができるのである。
また、既存のRC構造物1の補強工法においても、補強材としてPCaパネル3と、取付用として鋼管部8とフランジ部9とからなる鋼管キャップ7とが使用され、前記既存のRC構造物1の表面に接着剤2を介して前記PCaパネル3を取り付ける工程と、前記PCaパネル3の表面側から前記RC構造物1のかぶり4内まで円形溝5を形成する工程と、前記円形溝5内に接着剤10を注入又は塗布して前記鋼管キャップ7の鋼管部8を円形溝5内に押し込む工程とからなることを特徴とするものであり、PCaパネル3を小形化して、鋼管キャップ7によりRC構造物1のかぶり4内に固定できるので、RC構造物1内に存在する鉄筋6を切断したり躯体を痛めたりすることなく、しかも、省スペースで手作業により効率よく取付作業ができるので、低コストで安全に安定した状態で補強作業ができると共に、鋼管キャップ7の大きな面積の鋼管部8がかぶり4内で接着しているので、耐せん断力も向上し、PCaパネル3も高強度繊維で補強したプレキャストパネルであるため、耐摩耗性及び耐塩害性にも優れると共に、大幅なコストダウンが図れるので、この種の建築業界において広い範囲で使用可能である。
1a、1b 橋脚(RC構造物)
2、10 接着剤
3 PCaパネル
4 かぶり
5 スリット状の円形溝
6 鉄筋
7 鋼管キャップ
8 鋼管部
9 フランジ部
11 充填材
Claims (5)
- 既存のRC構造物の表面にパネルを取り付けて補強した補強構造であって、
補強材としてPCaパネルと、取付用として鋼管部とフランジ部とからなる鋼管キャップとが使用され、
前記既存のRC構造物の表面に接着剤を介して取り付けられた前記PCaパネルと共に前記RC構造物のかぶり内まで形成された円形溝に接着剤を塗布して前記鋼管キャップの鋼管部を挿着して固定された構成を有すること
を特徴とする既存のRC構造物の補強構造。 - 前記PCaパネルは、高強度繊維で補強したプレキャストコンクリートパネルであること
を特徴とする請求項1に記載の既存のRC構造物の補強構造。 - 前記鋼管キャップのフランジ部に、仮止めアンカーボルト設置用の孔や仮止めクサビ設置用の孔を設けたこと
を特徴とする請求項1に記載の既存のRC構造物の補強構造。 - 既存のRC構造物の表面にパネルを取り付けて補強する補強工法であって、
補強材としてPCaパネルと、取付用として鋼管部とフランジ部とからなる鋼管キャップとが使用され、
前記既存のRC構造物の表面に接着剤を介して前記PCaパネルを取り付ける工程と、
前記PCaパネルの表面側から前記RC構造物のかぶり内まで円形溝を形成する工程と、
前記円形溝内に接着剤を注入又は塗布して前記鋼管キャップの鋼管部を円形溝内に押し込む工程とからなること
を特徴とする既存のRC構造物の補強工法。 - 前記鋼管キャップを円形溝内に押し込む前に、前記PCaパネルの円形溝内の円形パネルを除去する工程と、
前記鋼管キャップを押し込んだ後に、パネルを除去した空間にグラウト材を注入する工程とを有すること
を特徴とする請求項4に記載の既存のRC構造物の補強工法。
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