JP4426137B2 - 自動車用ブレーキの制御方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用ブレーキの制御方法及びブレーキ装置に係り、特に走行中に他の車両から後方より衝突された場合、もしくは停車中に他の車両から衝突された場合に引き起こす2次衝突すなわち2次災害を防止するための自動車用ブレーキ装置の制御方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
他の車両との衝突による2次災害を防止するためのブレーキ装置としては、例えば、特開平11−235969号公報で提案されるブレーキ装置が知られている。このブレーキ装置は、他の車両との衝突時にドライバからの操作により与えられたブレーキ力より大きなブレーキ力を加えることにより後続事故を回避するという工夫がなされている。(従来技術1)
また、特開平10−35440号公報で提案されているブレーキ装置では、他の物体との衝突を検出したときに非常ブレーキをかけることにより車両を緊急停車させ、事故の拡大を防止するという工夫がなされている。(従来技術2)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術1に記載されるように、他の車両との衝突が発生した際、必ずしもブレーキ力を急上昇させることが好ましいとは限らない。たとえば、走行中に後方から他の車両に衝突された際、ブレーキ力を急上昇させると衝突エネルギの大半を自車が受け取ることになり、車体が著しく破壊され、災害が拡大する恐れがある。
【0004】
また、上記従来技術2に記載されるように、走行中にむやみに急激なブレーキ力を加えた場合、スピンを招く可能性が高く、他の車両との衝突によって2次災害を起こす恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、上記に鑑みてなされたものであり、走行中もしくは停車中において他の車両によって衝突された場合に自車の災害を最小限にし、また2次災害を防止するための自動車用ブレーキの制御方法及びその装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明に係る自動車用ブレーキ装置の制御方法は、自車が他の車両から衝突されたことを衝突センサによって検知し、自車周囲の交通状態を交通状態検知装置によって検知し、ドライバの操作もしくは制御装置の減速要求に基づいてブレーキ機構を駆動して制動力を発生する自動車用ブレーキ装置の制御方法において、前記衝突センサが衝突を検知した際に、前記交通状態検知装置の検知する周囲の交通状態に応じて、前記制御装置により制動力を制御する。
【0007】
好ましくは、前記制御装置によって、前記衝突センサからの信号によって1次衝突の方向を判定し、衝突時の自車が移動する方向の交通状態に応じて、自車が他の車両もしくは他の物体に衝突する2次衝突の可能性を判定し、2次衝突の可能性が有ると判断された場合は制動力を増加し、2次衝突の可能性が無いと判断された場合は制動力を減じるように制御される。
【0008】
これにより、1次衝突による衝突エネルギを自車が負担する割合が減少し、自車の車体破壊に伴う災害を軽減でき、更に他の車両もしくは他の物体との衝突による2次災害を防止することができる。
【0009】
更に好ましくは、前記制御装置によって、自車が他の車両もしくは他の物体に衝突する2次衝突の可能性が無いと判断され、制動力を減じた後であって所定時間内に、ドライバが再度ブレーキペダルを踏み込んだ場合に、前記制動力を減じる前の制動力に保持するように制御される。
【0010】
これにより、ドライバが衝突によって誤って急ブレーキをかけてしまった場合においても、スピン等の2次災害を招くことなくドライバの意図する制動力を保持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の自動車用ブレーキ装置の制御方法に係る第1の実施例の制御フロー図、図2は、制御方法を実施するためのブレーキ装置の概略構成図である。また図3は、衝突前後の車両挙動を示す時間波形の線図である。
【0012】
はじめに、図2を用いてブレーキ装置の概略の構成を説明する。
本実施例は、ブレーキ機構として電動モータによって駆動される電動ブレーキ装置の例である。43は制御装置であり、車両の制動力を電子制御する構成になっている。この制御装置43には、衝突センサ20、交通状態検知装置21、車両速度検知装置22、ペダルセンサ42、駐車ブレーキセンサ44、及び記憶装置45が接続されており、これらからの信号によって制御装置43は、衝突と方向を判定し、減速要求に基づいた制動力で制御するようにし、走行中か停車中かの判定をし、演算機能を有して2次衝突の可能性を判定する。
【0013】
詳しくは、次のとおりである。
衝突センサ20は、前後方向(斜め方向も含む)の加速度を検知する加速度センサであり、車両衝突時の衝突加速度及びその方向を制御装置43に伝えるものである。制御装置43は、衝突センサ20からの加速度信号を読み取り、加速度が予め設定した閾値より大きい場合に車両が衝突したと判断する。また制御装置43は、加速度の方向から衝突が前方向からか(たとえば、自車が衝突した場合)、または後方向からか(自車が衝突されたような場合)を判定する。交通状態検知装置21は、本実施例では、車両の前後に設置されたレーザレーダであり、車両前後の障害物(主に他の車両、場合によっては設置物体)の有無及び障害物との距離を検知する。車両速度検知装置22は、車輪の回転パルス等の情報から車両の速度を検出するものである。42は運転状態検知装置として機能するペダルセンサであり、ブレーキペダル41の踏み込み状態を検知することにより、ドライバの制動要求を制御装置43に伝えるものである。駐車ブレーキセンサ44は、駐車ブレーキが動作状態(制動力が付加されている状態)であるかどうかを検知し、この情報を制御装置43に伝える。記憶装置45は、上記制御装置43に送られる信号を時間波形として記録するものである。
【0014】
3a,3b,3c,3dは、それぞれの車輪(図示せず)に取り付けられたディスクロータであり、各車輪と共に回転するものである。このディスクロータ3a〜3dに近接して、電動キャリパ2a、2b、2c、2dが配設されている。電動キャリパ2a〜2dは、それぞれ、ディスクロータ3a〜3dの両面に配設されるブレーキパッド(図示せず)、及び、それらのブレーキパッドをディスクロータ3a〜3dの表面に押圧するクランプ力を発生するためのブレーキモータ1a、1b、1c、1dから構成されている。これらブレーキモータ1a〜1dと電動キャリパ2a〜2dとで、ブレーキアクチュエータが構成され、更にこのブレーキアクチュエータとディスクロータ3a,3b,3c,3dとでブレーキ機構が構成されている。
【0015】
それぞれのブレーキモータ1a〜1dには、駆動回路4a〜4dが接続されている。この駆動回路4a〜4dは、制御装置43が発生する指令信号に応じた電力をブレーキモータ1a〜1dに供給する回路である。各ブレーキモータ1a〜1dは、駆動回路4a〜4dから供給される電力に応じたクランプ力を発生する。
以上の構成により、ブレーキペダル41へのドライバの操作に応じた制動力、または、制御装置43の判断に応じた制動力を発生することができる。
【0016】
次に、上記の構成をもつブレーキ装置の各動作ステップについて、図1に基づいて説明する。
ドライバがイグニションスイッチを入れると、ステップ100からブレーキ制御がスタート(開始)する。制御装置43には、ステップ101により衝突センサ20からの加速度情報が入力され、ステップ102において、入力した加速度と予め設定された加速度とが比較されることにより、衝突が発生したかどうかが判断される。制御装置43によって衝突が発生していないと判断された場合は、再びステップ101に戻り、衝突発生の有無を常時監視する。制御装置43によって衝突が発生したと判断された場合は、ステップ103により車両速度検知装置22からの車両速度を読み込み、ステップ104により車両が走行中であるか停車中であるかを判定する。
【0017】
制御装置43によって車両が停車中であると判断された場合は、ステップ105において衝突センサ20からの情報により制御装置43は衝突の方向(前後もしくは斜め前後方向)を判定し、ステップ106において、交通状態検知装置21によって衝突時の車両進行方向の障害物の有無、及び障害物との距離などの交通状態を読み込む。すなわち、後方からの衝突であれば前方の交通状態を読み込み、前方からの衝突であれば後方からの交通状態を読み込む。ステップ107では、制御装置43は、入力された加速度値、障害物との距離、及び衝突時点での制動力などから自車の2次衝突の危険度を計算する。ステップ108では、計算された危険度と予め設定した閾値との大小関係から2次衝突の可能性を判定する。ステップ108において、2次衝突が発生すると制御装置43が判断した場合は、ステップ200において最大制動力を発生する非常ブレーキを動作させて車両を停止させ、ステップ900にてブレーキ制御を終了する。
【0018】
一方、ステップ108において2次衝突が発生しないと判断された場合は、ステップ109においてペダルセンサ42及び駐車ブレーキセンサ44からの信号によって制動力が発生しているかどうかが制御装置43で判断される。制動力が発生していないと判断された場合は、ステップ106に戻り、衝突にともなう車両の進行によって時事刻々変化する2次衝突の危険度を制御装置43で計算し、上記と同様のステップを繰り返す。ステップ109にて制動力が発生していると判断された場合は、ステップ110において制動力を減少させる。すなわち、駆動回路4a、4b、4c、4dに対する指令値を衝突前の値に対して小さな値とし、制動力が小さくなる方向にブレーキモータを駆動する。好ましくは、駐車ブレーキを含めた全ての制動力が発生しない状態とするまでブレーキモータを駆動するのがよい。これにより、車両の運動を阻害する因子が取り除かれ、衝突の加速度によって車両が運動し、運動エネルギが増加する。すなわち、衝突のエネルギが運動エネルギに変換される。このため、車両の破壊に寄与するエネルギが減少し、車両破壊が軽減される。
【0019】
図3に、この時の車両挙動の時間波形を示す。時間T0において衝突が発生し、車両の加速度が増加する。加速度が時間T1において予め定めた閾値を越えると衝突が発生したと判断され、制動力をF1からF2に減じる。ここで、車両の速度はT0から微増を始めているが、時間T1において制動力が減じられると同時に急増する。このように速度が急増することにより車両の運動エネルギが急増し、車両の破壊に寄与するエネルギが減少して車両破壊が軽減される。
【0020】
ここで図1に戻って、ブレーキ制御のステップを説明する。ステップ110において制動力を減じた後、ステップ111では、制御装置43は、車両速度検知装置22からの信号によって車両が停止したかどうかを判断する。車両が停止したと判断された場合は、ステップ900によりブレーキ制御を終了する。
【0021】
一方ステップ111において、制御装置43により車両が停止してないと判断された場合は、車両が進行することによって障害物との2次衝突が発生する危険に対処するため、ステップ106に戻り、再び2次衝突の可能性を判定し、必要に応じてステップ200により非常ブレーキを動作させ、車両を停止させる。
【0022】
次に、ステップ104において車両が走行中であると判断された場合のステップについて説明する。制御装置43により車両が走行中であると判断された場合は、ステップ115において、衝突センサ20からの加速度の方向を読み取り、衝突の方向を判断する。後方からの衝突であると判断された場合は、ステップ116において交通状態検知装置21からの信号により、制御装置43は前方の障害物の有無、障害物との距離、及び相対速度などを読み込む。ステップ117では、制御装置43は先に入力された加速度値、障害物との距離、及び相対速度から前方の障害物との2次衝突の危険度を計算する。ステップ118では、計算された危険度と予め設された閾値との大小関係から2次衝突の可能性が判定される。ステップ118において2次衝突が発生すると判断された場合は、ステップ200にて非常ブレーキを動作させて車両を停止させ、ステップ900にてブレーキ制御を終了する。
【0023】
一方、ステップ118において2次衝突が発生しないと判断された場合は、制御装置43は、ステップ119においてペダルセンサ42からの信号によって制動力が発生しているかどうかを判断する。制動力が発生していないと判断された場合は、ステップ116に戻り、制御装置43は車両の進行によって時事刻々変化する2次衝突の危険度を計算し、上記と同様のステップを繰り返す。ステップ119にて制動力が発生していると判断された場合は、ステップ120において制動力を減少させる。これにより、先に説明したように車両の速度が増加し、車両の破壊に寄与するエネルギが減少するため、車両破壊が軽減される。ステップ120において制動力を減じた後、ステップ121では、制御装置43は車両速度検知装置22から車両速度信号が入力し、走行抵抗等によって車両が停止したかどうかを判断する。車両が停止したと判断された場合は、ステップ900によりブレーキ制御を終了する。
【0024】
またステップ121において、車両が停止していないと判断された場合は、車両が進行することによって障害物との2次衝突が発生する危険に対処するため、ステップ116に戻り、再び2次衝突の可能性を制御装置4によって判定され、必要に応じてステップ200により非常ブレーキを動作させ、車両を停止させる。
【0025】
ステップ115において、後方からの衝突でないと判断された場合、すなわち、走行中における先行車両への衝突や、側方からの衝突であった場合は、ステップ200において直ちに非常ブレーキを動作させ、車両を停止させる。これにより、前方や側方からの危険な衝突が発生した場合に車両を確実に停止させることができる。また、ヨーレートセンサを取り付けて、これからの信号によってヨー加速度が予め設定した値より大きくなった場合に、非常ブレーキを動作させる制御を行ってもよい。これにより、スピンを伴う危険な衝突が発生した場合に、車両を確実に停止させることができる。
【0026】
次に、記憶装置45の動作について説明する。記憶装置45は、衝突センサ20、交通状態検知装置21、車両速度検知装置22、ペダルセンサ42、駐車ブレーキセンサ44から制御装置43に送られる信号、及び制御装置43から駆動回路4a〜4dに送られる制御信号を時間波形として記録する。記録された信号は、一定時間(T1’)が経過すると時間的に古いものから順に消去され、常に新しい信号に更新されるようになっている。衝突センサ20からの信号によって自車が衝突したことを制御装置43によって判断されると、予め定めた一定時間(T2’)後に記録を中止する。ここで、T2’は必ずT1’より小さな値となるように設定しておく。
【0027】
これにより、衝突発生の(T1’−T2’)時間前から衝突発生のT2’時間後までの時間波形が記憶装置45に残ることになる。車両が完全に停止した後にこの波形を解析すれば、衝突事故の前後の状況を再現することができ、その後の事故防止のためのブレーキ制御方法の改良に役立てることができる。また、衝突前後の加速度情報、自車の速度情報、或いは交通状態に関する情報、すなわち障害物との距離や相対速度を記録しておくことにより、衝突によって交通状態検知装置等が破損した場合でも、上記した記録情報から将来の状態を推定し、2次災害を確実に防止することも可能である。以上のように、車両が衝突した際に、自車周囲の交通状態に応じて制動力を制御することより、自車の車体破壊による災害や障害物との衝突による2次災害を軽減もしくは防止することができる。
【0028】
なお、上記実施例では交通状態検知装置にレーザレーダを使用する例について述べたが、ミリ波レーダ等の他方式のレーダを用いてもよい。また、車両の前後にレーダを配置する例について説明したが、レーダを車両の前方にのみ配置し、最も可能性の高い後方からの衝突にのみ対処することにより低コストのシステムとしてもよい。また、交通状態検知装置に車載カメラを利用してもよい。また、交通状態検知装置にカーナビゲーション装置を用いれば、衝突によって交差点、或いは踏み切りに進入して発生する2次災害も防止することができる。また、路車間通信、或いは車車間通信を利用して周囲の交通状態を検知してもよい。
【0029】
また、上記実施例では衝突センサとして加速度センサを使用する例について述べたが、交通状態検知装置として作用するレーダ、カメラ、カーナビゲーション装置、路車間通信装置、車車間通信装置によって他車両との距離を常に監視し、この距離が予め設定した距離よりも小さな値となった時に衝突したと判断してもよい。また、エアバック装置の作動信号を検知することにより衝突を検知してもよい。
【0030】
また、上記実施例ではドライバがイグニションスイッチを入れることによりステップ100からブレーキ制御が開始される例を説明したが、イグニションスイッチが入っていない状態でも常に衝突の状態を監視しておけば、ドライバが車両から離れた状態でも衝突による車体の破壊を軽減できる。或いは、イグニションスイッチが入っていない状態では、駐車ブレーキが作動しているときのみ上記制御を開始するようにしてもよい。これにより、停車中の消費電力を低減することができる。或いは、イグニションスイッチが入っていない状態では、上記制御を行うかどうかを選択するスイッチを設けてもよい。
【0031】
また上記実施例では、ステップ109もしくはステップ119において、制動力が発生していないと判断された場合は、新たに制動力を加えることなくステップ106もしくはステップ116に戻って自車周囲の交通状態を読み込む例を説明したが、ステップ106もしくはステップ116に戻る前に、弱い制動力を加えてもよい。これにより、なるべく早く車両を停止させることにより新たな衝突の危険性を低減することができる。また、この際に加える制動力を、衝突加速度の大小に応じて変える制御を行ってもよい。これにより、衝突加速度が大きい場合は、車体の破壊を軽減することを重視して制動力を小さな値とし、衝突加速度が小さい場合は、車両をなるべく早く停止させることを重視して制動力を大きな値とすることができ、衝突の状態に応じて最適な2次災害の防止を行うことができる。
【0032】
また上記例では、電動モータを利用した電動ブレーキの例について述べたが、油圧、或いは空気圧等の電動以外のブレーキアクチュエータを使用した場合にも本発明が有効であることは言うまでもない。
【0033】
次に図4によって、第2の実施例の制御方法について説明する。同図は、本実施例によるブレーキ装置の制御フロー図である。図中同一符号を付した動作ステップは、図1中に示したフロー図における動作と同様の動作を行うものである。
【0034】
本実施例では、車両走行中に衝突が発生し、かつ、ドライバによる制動操作が行われている際のステップ120とステップ121との間に新たなステップ130と131とが加えられている。この例では、ステップ120において制動力を減じた後に、ステップ130において、ペダルの再踏み込みが行われたかが制御装置43によって判断される。ペダル再踏み込みの判断は以下のように行う。
すなわち、ステップ120において制動力を減少させた後、予め設定した所定時間内(例えば、4、5秒)にペダルの踏み込みがあった場合に、再踏み込みがあったと判断される。
【0035】
また、衝突が発生した時刻からのペダル踏み込み量を常時監視し、ペダル踏み込み量の増加があった場合も、再踏み込みが行われたと判断する。例えば、ペダル踏み込み量が一旦減少し、その後増加するといった場合にも再踏み込みが行われたと判断する。ペダルの再踏み込みがなかった場合は、ブレーキ制御はステップ121に移行し、上記実施例で説明したステップと同様の動作を行う。
ステップ130において、ペダルの再踏み込みがあったと判断された場合は、ドライバが制動の持続を要求していると判断し、ステップ131において、衝突前の制動力を保持する指令を駆動回路4a〜4dに発する。
【0036】
従ってこの実施例では、衝突が発生した際に、ブレーキモータは、ステップ120において一旦制動力を減じる方向に回転し、その後、ステップ131において再び衝突前の制動力を発生するように回転復帰する。ここで、衝突前の制動力の保持にあたって、衝突前の制動指令と同一の指令を発してもよいが、記録された衝突前の加速度値を参照して、減速による加速度が衝突前の加速度と同一になるような制御を行ってもよい。
【0037】
このようなブレーキ制御を行うことにより、ドライバが衝突によってパニック状態に陥り、誤って急ブレーキをかけてしまった場合も、衝突前のドライバの正常な判断による制動力を維持することができるため、スピン等による2次災害の発生を防止することができる。なお、本実施例では、ステップ130において、ペダルの再踏み込みが行われた場合にステップ131における制動力の保持を行う例について説明したが、例えばハンドル等に補助ブレーキスイッチを設けておき、このスイッチが動作した場合にステップ131において制動力を保持するという制御を行ってもよい。
これにより、衝突の衝撃でブレーキペダルが動作不能となった場合でも、衝突前のドライバの制動意図に従った安全な制動を行うことができる。
【0038】
また、カメラ、路車間通信装置、車車間通信装置によって先行車両の衝突の情報を検知し、自動制動を行ってもよい。この場合は、自車の速度、先行車両との距離及び相対速度から自車と先行車両との2次衝突の危険度を計算し、最大制動力を発生するブレーキを動作させても衝突回避不可能であると判断された場合は非常ブレーキを動作させる。一方、最大制動力以下の回避制動力で衝突を回避できると判断した場合は、回避制動力を加える。これにより、ドライバが先行車両の衝突を認識していない場合に自車と先行車両との2次衝突を防止することができる。また、ドラバが先行車両の衝突を認識し、パニック状態に陥って急ブレーキをかけた場合のスピン等の2次災害を防止することが可能となる。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による自動車用ブレーキの制御方法およびその装置によれば、1次衝突による自車の災害を最小限とし、また2次災害を防止することができる。
また、ドライバが衝突時のパニック状態によって誤って急ブレーキを踏んだ場合でも、スピン等の2次災害を招くことなく、衝突前のドライバの正常な制動意図に従って車両を安全に停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用ブレーキ装置の制御方法に係る第1の実施例の制御フロー図である。
【図2】本発明に係る自動車用ブレーキ装置の概略構成図である。
【図3】図1のブレーキ制御方法を用いた場合の車両挙動を示す時間波形線図である。
【図4】本発明の自動車用ブレーキ装置の制御方法に係る第2の実施例の制御フロー図である。
【符号の説明】
20…衝突センサ
21…交通状態検知装置
22…車両速度検知装置
41…ブレーキペダル
42…ペダルセンサ
43…制御装置
44…駐車ブレーキセンサ
45…記憶装置
1a〜1d…ブレーキモータ
2a〜2d…電動キャリパ
3a〜3d…ディスクロータ
4a〜4d…駆動回路
Claims (6)
- 車両の衝突を検知するセンサからの衝撃に係る信号を受け、自車周辺の交通状態の検知装置から自車周辺の交通状態に係る信号を受け、さらにブレーキぺダル操作に係る信号を受け、車両の制動力を制御するブレーキ制御装置の制御方法であって、
前記ブレーキ制御装置は、前記衝撃に係る信号に基づいて、自車の後方からの一次衝突の発生を判定し、
前記自車周辺の交通状態に係る信号に基づき2次衝突の可能性を判断し、
2次衝突の可能性が有ると判断した場合には、制動力を増加させ、
一方2次衝突の可能性が無いと判断した場合には、制動力を減少させ、
前記制動力を減少させた後、ブレーキぺダルの再踏込み操作が為されたと判断した場合には、前記一次衝突前の制動力で制動制御を行うことを特徴とする自動車用ブレーキ装置の制御方法。 - 車両の衝突を検知するセンサからの衝撃に係る信号を受け、自車周辺の交通状態の検知装置から自車周辺の交通状態に係る信号を受け、さらにブレーキぺダル操作に係る信号を受け、車両の制動力を制御するブレーキ制御装置の制御方法であって、
前記ブレーキ制御装置は、前記衝撃に係る信号に基づいて、自車の後方からの一次衝突の発生を判定し、
前記自車周辺の交通状態に係る信号に基づき2次衝突の可能性を判断し、
2次衝突の可能性が有ると判断した場合には、制動力を増加させ、
一方2次衝突の可能性が無いと判断した場合には、制動力を減少させ、
前記制動力を減少させた後、ブレーキぺダルの再踏込み操作が為されたと判断した場合には、前記一次衝突前の減速状態の加速度となるように制動制御を行うことを特徴とする自動車用ブレーキ装置の制御方法。 - 請求項1または請求項2に記載の自動車用ブレーキ装置の制御方法において、
前記ブレーキ制御装置は、記憶装置を有し、前記記憶装置は一次衝突前後のブレーキぺダル操作状況と車両の加速度情報とを記憶することを特徴とする自動車用ブレーキ装置の制御方法。 - 車両の衝突を検知するセンサからの衝撃に係る信号を受け、自車周辺の交通状態の検知装置から自車周辺の交通状態に係る信号を受け、さらにブレーキぺダル操作に係る信号を受け、車両の制動力を制御するブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ制御装置は、前記衝撃に係る信号に基づいて、自車の後方からの一次衝突の発生を判定し、
前記自車周辺の交通状態に係る信号に基づき2次衝突の可能性を判断し、
2次衝突の可能性が有ると判断した場合には、制動力を増加させ、
一方2次衝突の可能性が無いと判断した場合には、制動力を減少させ、
前記制動力を減少させた後、ブレーキぺダルの再踏込み操作が為されたと判断した場合には、前記一次衝突前の制動力で制動制御を行うことを特徴とする自動車用ブレーキ装置。 - 車両の衝突を検知するセンサからの衝撃に係る信号を受け、自車周辺の交通状態の検知装置から自車周辺の交通状態に係る信号を受け、さらにブレーキぺダル操作に係る信号を受け、車両の制動力を制御するブレーキ制御装置であって、
前記ブレーキ制御装置は、前記衝撃に係る信号に基づいて、自車の後方からの一次衝突の発生を判定し、
前記自車周辺の交通状態に係る信号に基づき2次衝突の可能性を判断し、
2次衝突の可能性が有ると判断した場合には、制動力を増加させ、
一方2次衝突の可能性が無いと判断した場合には、制動力を減少させ、
前記制動力を減少させた後、ブレーキぺダルの再踏込み操作が為されたと判断した場合には、前記一次衝突前の減速状態の加速度となるように制動制御を行うことを特徴とする自動車用ブレーキ装置。 - 請求項4または請求項5に記載の自動車用ブレーキ装置において、
前記ブレーキ制御装置は、記憶装置を有し、前記記憶装置は一次衝突前後のブレーキぺダル操作状況と車両の加速度情報とを記憶することを特徴とする自動車用ブレーキ装置。
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