JP4424315B2 - ハイブリッド車用運転操作評価装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハイブリッド車用運転操作評価装置に係り、特に、運転操作パターンごとに測定された走行燃費の低下の程度から運転操作を評価し、その情報を表示するハイブリッド車用運転操作評価装置に関する。
ハイブリッド車両(Hybrid Vehicle)とは、内燃機関に加えて他の動力源を持つことで燃費を改善した車両をいう。他の動力源には、タービンを用いるなど多様な方法があるが、蓄電池と電気モーターとを組み合わせたハイブリッドシステムが一般的である。すなわち、ガソリンエンジンと電気モーターという2種類の動力源を組み合わせて使用するシステムである。
ハイブリッドシステムには、シリーズ(直列)ハイブリッドシステム(S−HEV)、パラレル(並列)ハイブリッドシステム(P−HEV)、及びその両者の機能を併せ持ったシステム(S&P−HEV)がある。それらの特徴は、車両の走行条件に応じてガソリンエンジンと電気モーターを使い分け、それぞれの持つ長所を生かし不得意な部分を補う点にある。
シリーズ(直列)ハイブリッドシステムとは、車輪の駆動を電気モーターで行い、エンジンは電気モーターへの電力供給源として作動するもので、エンジン発電機付き電気自動車といえる。このシステムは、小さな出力のエンジンを効率の良い領域でほぼ一定の回転で運転し、効率よく充電しながら走行する点に特徴がある。一方、パラレル(並列)ハイブリッドシステムとは、エンジンとモーターとの双方で車輪を直接駆動するもので、電気モーターはエンジンの動力の補助を行うとともに、発電機としてバッテリーに充電しながら走行することも可能である。
このように、ハイブリッド車両は、上述したいずれのシステムにおいても動力源としてガソリンエンジンと電気モーターを併用することから、ガソリンエンジンのみを動力源とする同車種の従乗車(ICE)と比較して、一般的に走行燃費が良く、環境負荷が低く、より経済的な車両であるという特徴を有する。このことから、一般的に、従乗車(ICE)と比較して、排気量の少ないエンジンが搭載される。
このハイブリッド車両の特徴である走行燃費の良さは、ハブリッドシステムに適応した運転操作を行うことで、より効果的となる。すなわち、エンジンと電気モーターを巧みに使い分ける制御が効率的に機能する運転操作である。例えば、ハイブリッドシステムでは、減速時に回生ブレーキを用いて運動エネルギーを電気として回収するが、ブレーキ操作によっては、この回生ブレーキの機能の一部が損なわれ走行燃費に影響する。したがって、このハイブリッド車両の運転操作には、従乗車(ICE)での運転操作とは異なるノウハウがある。ここで、運転操作とは、運転操作者のハンドリング操作、フットブレーキ操作、アクセル操作等を指す。
一方、動力源として搭載したハイブリッド車両の電池は、使用により経時劣化するため寿命を有する。これは、長時間の走行により、電池の内部抵抗が上昇し、セルの充放電能力(電池容量)が次第に低下していくからである。この電池の劣化により、上述したハイブリッド車両の特徴であるガソリンエンジンと電気モーターとの最適な使い分けのバランスがくずれ、ガソリンエンジンへの負担が増加する。すなわち、本来、動力源となるべき電気モーターに電池の経時劣化による能力低下が発生し、その能力の低下をガソリンエンジンで補うように自動制御される。その結果、排気量の少ないエンジンで走行することになりガソリンの走行燃費が低下する。この電池の劣化が生じた場合、電池の交換までの期間は、より動力源に負荷のかからない運転操作を行うことが望まれる。すなわち、能力の低下した電池に負担をかけず、走行燃費の低下したガソリンエンジンの消費を抑え、いわゆる「走行距離の伸びる運転操作」を行うことである。
このガソリンの走行燃費の低下は、一定の速度で走行する運転パターン、すなわち、通常走行時よりも、例えば、コーナリング、車線変更、発進、減速といった運転パターンの際に顕著に現れる。これは、通常走行時には、主としてガソリンエンジンにより走行することから従乗車の運転操作とほぼ同様であるのに対して、コーナリング、車線変更、発進、減速といった運転パターンにおいては、ガソリンエンジンと電気モーターとの併用により動力源の有効な利用を図るシステムであることによる。
なお、従来のハイブリッド車両の走行燃費に関しては、例えば、平均燃費、瞬間燃費、通算燃費、過去最高燃費等が測定され表示される。これらの燃費の表示は、イグニッションスイッチのオンにより表示が開始され、例えば、平均燃費及び瞬間燃費は、1分ごとの平均燃費及び瞬間燃費(約30分間)を表示し、通算燃費は、データリセット操作から現在までの通算燃費を表示し、過去最高燃費は、通算燃費表示のリセット操作間の最高値を表示する。
一方、特許文献1には、化石燃料を使用した車両について、適切なアクセル操作を車両内表示器に示して運転者に燃費の良いアクセルワークの情報を提供する装置及びその方法が開示されている。
特開2002−370560号公報
ハイブリッド車両をマイカーとして選択する運転操作者は、購入動機としてハイブリッドシステムによる走行燃費の良さを評価する場合が多く、走行燃費に対する意識は、従乗車(ICE)の購入者と比較して高いものと思われる。しかし、運転操作によっては、走行燃費が低下する場合があり、ハイブリッド車両の有する走行燃費の良さという特徴を享受できない場合が生じる。
上述したように、ハイブリッド車両の特徴である走行燃費の良さを生かす運転操作は、ガソリンエンジンと電気モーターを巧みに使い分ける制御が効率的に機能する運転操作である。しかし、ハイブリッド車両の通常の運転操作者が、この複雑な制御機能を生かした運転操作を体得することは、従乗車(ICE)と比較して容易ではなく、また効率的に学習する手段もない。したがって、運転操作者は、運転操作のレベルを効率よく向上させることができない。
また、上述したように、電池が劣化した場合は、より動力源に負荷のかからない、走行距離の伸びる運転操作が望ましい。しかし、運転操作者が、こういった運転操作を認識していない場合には、最悪の場合として、長距離ドライブの最中に電池の寿命により車両の走行が不能になるという事態が発生する恐れがある。
また、一般的に、車両の走行燃費は、車両の運転操作盤の走行距離計に取り付けられた燃料表示により確認できるが、運転操作が走行燃費に与える影響の大きいコーナリング、車線変更、発進、減速といった運転パターンごとの運転操作による走行燃費については、表示されないため確認することができない。
本願の目的は、かかる課題を解決し、ハイブリッド車両の走行燃費を向上させる運転操作に関する情報を運転操作者に表示する装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド車用運転操作評価装置は、電池を動力源として搭載したハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、それらの開始時から終了時までの測定期間ごとに消費された実走行燃費データを測定する実走行測定部と、車両の走行試験から、ハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、前記測定期間ごとに消費された試験走行燃費データを記憶する試験走行記憶部と、測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データと比較し、走行燃費の低下の程度から実走行での運転操作を評価し、走行燃費の低下の程度及び運転操作向上の指示に関する情報を運転評価表示部に伝送する運転操作評価部と、前記情報を表示する運転評価表示部と、を備えることを特徴とする。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、実走行測定部は、前記測定期間ごとの車両のコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速のうちのいずれかの運転操作を測定し、試験走行記憶部は、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データにおける試験走行での運転操作を記憶し、運転操作評価部は、測定された実走行での運転操作を、記憶された試験走行での運転操作と比較して評価することが好ましい。
また、上記目的を達成するため、本発明に係るハイブリッド車用運転操作評価装置は、電池を動力源として搭載したハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、それらの開始時から終了時までの測定期間ごとに消費された実走行燃費データを測定する実走行測定部と、ハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、前記測定期間ごとに消費された過去の実走行燃費データを記憶する実走行記憶部と、測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い過去の実走行燃費データと比較し、走行燃費の低下の程度から運転操作を評価し、走行燃費の低下の程度及び運転操作向上の指示に関する情報を運転評価表示部に伝送する運転操作評価部と、前記情報を表示する運転評価表示部と、を備えることを特徴とする。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、実走行測定部前記測定期間ごとの車両のコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速のうちのいずれかの運転操作を測定し、実走行記憶部は、前記測定期間ごとの最も効率の良い実走行燃費データにおける実走行での前記運転操作を記憶し、運転操作評価部は、測定された実走行での運転操作を、記憶された実走行での運転操作と比較して評価することが好ましい。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、実走行燃費データから電池の劣化の程度を評価する電池劣化評価部を備え、運転操作評価部は、測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データと比較し、電池の劣化の程度ごとに設定された走行燃費の低下値を除いた走行燃費の低下の程度から運転操作を評価することが好ましい。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、運転評価表示部は、運転操作が測定された地点をナビゲータの画面上に表示することが好ましい。
上記構成により、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、あらかじめ車両の走行試験から、運転パターンごとに設定された試験走行燃費データを有し、測定された実走行燃費データを、最も効率の良い試験走行燃費データと比較することができる。また、その比較から運転パターンでの走行燃費の低下の程度が分かり、その走行燃費の低下の程度から走行時における運転操作の評価が可能となる。さらに、この運転操作の評価は、運転操作者に対して表示される。つまり、運転操作者は、最も効率の良い試験走行燃費データから、その車両のハイブリッドシステムの制御機能を生かした運転操作に基づく走行燃費の達成すべき目標値を知ることができる。したがって、運転操作者は、運転パターンごとに、自分の運転操作のレベルが確認でき、学習効果により運転操作レベルの向上が可能となる。さらには、運転操作者は、運転操作に対する評価を知ることができる。この評価は、例えば、その車両のハイブリッドシステムの制御機能を生かした運転操作の指針となる。したがって、運転操作者は、運転パターンごとに、走行燃費を向上させる運転操作のポイントを確認でき、学習効果により運転操作レベルの向上が可能となる。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、測定された実走行燃費データを、その車両の過去の最も効率の良い実走行燃費データと比較することができる。また、その比較から運転パターンでの走行燃費の低下の程度が分かり、その走行燃費の低下の程度から走行時における運転操作の評価が可能となる。さらに、この運転操作の評価は、運転操作者に対して表示される。つまり、運転操作者は、過去の最も効率の良い実走行燃費データから、その車両のハイブリッドシステムの制御機能を生かした運転操作に基づく走行燃費の更新すべき目標値を知ることができる。したがって、運転操作者は、運転パターンごとに、自分の運転操作の自己記録が確認でき、学習効果により、運転操作レベルの向上が可能となる。さらには、運転操作者は、運転操作に対する評価を知ることができる。この評価は、例えば、その車両のハイブリッドシステムの制御機能を生かした運転操作の指針となる。したがって、運転操作者は、運転パターンごとに、走行燃費を向上させる運転操作のポイントを確認でき、学習効果により運転操作レベルの向上が可能となる。
また、実走行測定部が、実走行での運転操作を測定し、試験走行記憶部が、運転パターンごとの最も効率の良い試験走行データにおける試験走行での運転操作を記憶し、それらを比較することで、ハイブリッドシステムの制御機能を生かした、より精度の高い評価が可能となる。同様に、実走行記憶部が、運転パターンごとの最も効率の良い実走行データにおける実走行での運転操作を記憶し、それらを比較することでも同様の評価が可能となる。
また、電池が劣化した場合には、上述のように走行燃費が低下する。ハイブリッド車用運転操作評価装置は、電池劣化評価部を備える。電池劣化評価部は、実走行燃費データから電池の劣化の程度を評価する。運転操作評価部は、電池の劣化の程度ごとに設定された電池の劣化による走行燃費の低下値を除いた走行燃費の低下の程度から運転操作を評価できる。これにより、電池の劣化による走行燃費の低下が無視できない場合に、走行燃費の低下の程度の精度を高め、運転操作者に対して、より動力源に負荷のかからない、走行距離の伸びる運転操作の評価が可能となる。
また、ハイブリッド車用運転操作評価装置は、車両のコーナリング、車線変更、発進、減速といった運転パターンの際の実走行燃費データを測定する。すなわち、運転操作者は、ハイブリッド車両の運転操作による走行燃費の低下が顕著な運転パターンごとに、走行燃費の低下や、その運転操作の評価を確認することが可能となる。これにより、運転操作者の運転操作を適格に評価することが可能となる。
以上のように、本発明に係るハイブリッド車用運転操作評価装置によれば、ハイブリッド車両の走行燃費を向上させる運転操作に関する情報を運転操作者に表示することが可能となる。
以下に、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。
(試験走行燃費データに基づく運転操作評価装置)
図1にハイブリッド車用運転操作評価装置の一つの実施形態の基本構成のブロック図を示す。本ハイブリッド車用運転操作評価装置1は、実走行測定部2、試験走行記憶部3a、電池劣化評価部4、運転操作評価部5、及び運転評価表示部6から構成される。
実走行測定部2は、バイブリッド車両の運転パターンごとの実走行燃費データを測定する。ここで、運転パターンごととは、例えば、車両のコーナリング、車線変更、発進、減速といった特定の運転パターンをいう。これらの運転パターンでの実走行燃費とは、そのパターンの開始時から終了時までの測定期間に消費されたガソリンの走行燃費をいう。従来のハイブリッド車両の平均燃費、瞬間燃費、通算燃費、過去最高燃費等は、上述したように、走行燃費計測コンピュータ10による単位時間ごとの走行燃費であり、運転パターンごとの走行燃費ではない。したがって、実走行測定部2は、走行燃費計測コンピュータ10からの走行燃費に関するデータを受け取り、運転パターンごとに新たに測定する。
この開始時から終了時までの測定期間は、ハイブリッド車両の制御機能を生かした運転操作を評価するのに適当な期間である。例えば、車両のコーナリングや車線変更については、ハンドルを切った時点からハンドルを戻した時点までの間でも良く、ウィンカー等の方向指示灯の点灯の間であっても良い。また、車両の発進については、例えば、イグニッションスイッチのオンから、一定の走行速度に達した時点までとしても良く、減速については、ブレーキ操作の開始時点から、停止までとしても良い。さらには、ハイブリッドシステムの動作、例えば、回生ブレーキの作動やバッテリーの充電期間等の測定からこの一定期間を設定するか、或いは補助的な情報としても良い。この実走行測定部2により測定された走行燃費データは、運転操作評価部5に伝送される。
また、実走行測定部2は、ハイブリッド車両の運転パターンごとの運転操作を測定する。すなわち、運転パターンごとに、実走行燃費データが測定された期間内での運転操作者の運転操作、例えば、ハンドリング操作、フットブレーキ操作、アクセル操作等の履歴を測定する。図1に示すように、ハンドリング操作モニター7、フットブレーキ操作モニター8、及びアクセル操作モニター9から運転操作データの履歴が実走行測定部2へ伝送される。実走行測定部2は、これらのデータを総合し、設定された期間での運転操作を測定する。例えば、車両のコーナリングでは、車速とハンドリング操作の履歴等からコーナリングでの走行軌跡が測定される。また、車両の発進や減速では、フットブレーキ操作、アクセル操作等の履歴から加速のスタート時点や減速のスタート時点がデータとして測定される。これらのデータには、コーナリング開始直前や完了直後の車速についてのデータを含めても良い。この実走行測定部2により測定された運転操作は、運転操作評価部5に伝送される。
試験走行記憶部3aは、走行試験11により運転パターンごとに測定された走行燃費に関するデータから試験走行燃費データを記憶する。すなわち、車両のコーナリング、車線変更、発進、減速といった特定の運転パターンにおいて、試験走行により消費されたガソリンの走行燃費を測定する。この走行試験11によるデータは、例えば、シャシダイナモ型の走行試験設備により実験室内にて測定したデータであっても良く、実車による走行試験にて測定したデータであっても良い。また、それらを組み合わせたデータでも良い。
これらの試験走行燃費データは、実走行での走行条件を反映したデータである。本実施の形態では、この走行条件の項目としては、例えば、車種や車重であり、高速道路での走行、一般市街地での走行、山間部での走行といった走行道路であり、車両のコーナリング、車線変更、発進、減速等の特定の運転パターンである。走行条件は、上記以外の項目が含まれていても良く、また、上記の項目の一部が抜けていても良い。さらに、各走行条件での測定による試験走行燃費データは、ハンドリング操作、フットブレーキ操作、アクセル操作等の運転操作ごとに記憶される。さらに、これらの走行条件に基づく試験測定結果から、後述する試験走行燃費マップが抽出される。
図2に、試験走行燃費マップの一つの実施例の概念図を図示する。本実施例では、試験走行燃費マップは、車速、及び、ハンドリング操作、フットブレーキ操作、及びアクセル操作といった運転操作のデータとを変数とし、その場合の走行燃費がプロットされる。図2では、あるハイブリッド車両の車種について、一般市街地における走行での車両のコーナリングにおけるハンドリング操作について、ハンドリングの時間と車速との関係で図示した試験走行燃費マップである。この運転操作のデータは、例えば、フットブレーキ操作では、ブレーキを踏んだ時間であり、アクセル操作では、アクセルをオンにした時間等がマップされる。これらのマップには、走行試験結果から、走行燃費が略同じ点が等高線として表示される。
また、試験走行記憶部3aは、運転パターンごとの試験走行での運転操作を測定して記憶する。すなわち、運転パターンごとに試験走行燃費データが測定された期間内での運転操作者の運転操作、例えば、ハンドリング操作、フットブレーキ操作、アクセル操作等の履歴を測定する。これらのデータについては、実走行測定部2で測定された運転操作と同様なものであるため省略する。これらのデータには、コーナリング開始直前や完了直後の車速についてのデータを含めても良い。さらに、試験走行記憶部3aは、電池の劣化の程度を考慮した試験走行燃費データを記憶し、電池劣化評価部4に伝送する。
電池劣化評価部4は、実走行測定部2により測定された実走行燃費データから電池の劣化の程度を評価する。本実施の形態では、この電池の劣化の程度は、試験走行記憶部3aに記憶された、運転パターンごとの、劣化した電池を搭載した試験走行における試験走行燃費データから設定される。図3に、試験走行燃費データから抽出された運転パターンごとに設定された電池の劣化による走行燃費の低下値の概念図を示す。電池の劣化が始まる前は車両の走行距離は略一定値(a1)を中心にばらつくが、車両の走行がある距離(b1)を越えると電池の劣化が始まり走行燃費はばらつきながらも低下していく。この電池の劣化による走行燃費の低下値は、試験走行記憶部3aから伝送された試験走行燃費データから設定されるのではなく、電池劣化評価部4が、あらかじめ設定された電池の劣化による走行燃費の低下値を有していても良い。
運転操作評価部5は、まず、実走行測定部2により測定された実走行燃費データを、その運転パターンにおける試験走行記憶部3aに記憶された試験走行燃費データと比較する。ここで、運転操作評価部5は、記憶された試験走行燃費データから、上述した実走行における各走行条件の下での最も効率の良い試験走行燃費データを選択し、実走行燃費データと比較する。本実施の形態での上記比較方法を、図2の試験走行燃費マップを用いて説明する。図2には、試験走行燃費データが、一例として、ハンドリング操作での車速とハンドリング時間を関数として表示されている。このマップに、実走行燃費データ(図中のR点)をプロットする。運転操作評価部5は、このマップから最も効率の良い試験走行燃費データ(図中のP点)を選択し、実走行燃費データ(図中のR点)と比較する。
次に、運転操作評価部5は、電池劣化評価部4により評価された電池の劣化の程度により、上述の比較の前に補正する。すなわち、電池の劣化がないという評価の場合には、比較結果はそのままであり、電池の劣化があるという評価の場合には、図3から運転パターンごとに設定された電池の劣化による走行燃費の低下値を求め、実走行燃費データを補正し、試験走行燃費マップ上のR点の位置を修正する。この場合、試験走行燃費データを補正し、試験走行燃費マップを修正しても良い。いずれにせよ、電池の劣化による走行燃費の低下の影響を除外して走行燃費の低下の程度を評価することができる。
図3を用いて、電池の劣化による走行燃費の低下値を求める手順を説明する。図3は、横軸は走行距離(km)を表し、縦軸は走行燃費(km/L)を表す。ハイブリッドシステムによる走行、すなわち、電池の劣化がなくガソリンエンジンと電気モーターが効率的に動作する場合の走行燃費値(a1)及びそのときの走行距離の値(b1)と、電池が劣化しガソリンエンジンのみで走行する場合の走行燃費値(a2)及びそのときの走行距離の値(b2)とを表示する。電池の劣化の程度ごとに測定された走行燃費は、走行距離が増すとこのa1の値からa2の値へと低下する。運転操作評価部5は、これらの測定値から、運転パターンごとの走行燃費低下曲線を抽出する。そして、実走行燃費データの値(a)をこの走行燃費低下曲線に当てはめ得られた走行距離の値(b)から、電池の劣化の程度(b/b2)を算出する。
また、運転操作評価部5は、上述した走行燃費の低下の程度から、実走行での運転操作を評価する。本実施の形態では、この比較により実走行でのハンドリング操作、フットブレーキ操作、及びアクセル操作のそれぞれの評価を行う。例えば、実走行で測定されたハンドリング操作(図2においてR点の車速(v1)及びハンドリング時間(t1))を、対応する運転パターンにおける最も効率の良い試験走行燃費データにおける試験走行でのハンドリング操作(図2においてP点の車速(v0)及びハンドリング時間(t0))と比較する。そして、R点からP点へは、車速を上げハンドリング時間を長くすべきとの評価をする。或いは、より分かりやすく、車速はそのままでハンドリング時間を長くする(図2のQ2点)か、ハンドリング時間はそのままで車速を上げる(図2のQ1点)といった評価であっても良い。
また、減速時において、試験走行記憶部3aに記憶されたフットブレーキ操作と比較して短時間に強く踏みすぎた場合には、減速時に生じるエネルギーを回収してバッテリーを充電する回生ブレーキの効果の一部が損なわれる。この場合、運転操作評価部5は、フットブレーキ操作について、短時間に強く踏みすぎたため走行燃費が低下したと評価する。この運転操作の評価は、試験走行記憶部3aに記憶された運転操作との比較ではなく、一般的に設定された推奨される運転操作から実走行での運転操作を評価しても良い。例えば、減速時において、推奨されるフットブレーキ操作と比較し、フットブレーキ操作について、短時間に強く踏みすぎたため走行燃費が低下したと評価する。
さらに、運転操作評価部5は、運転操作に関する情報を、運転評価表示部6に伝送する。本実施の形態では、運転操作に関する情報は、走行燃費の低下の程度及び運転操作向上の指示である。さらに、電池の劣化についての情報も含め、運転操作者に、電池の劣化により動力源に負荷のかからない、走行距離の伸びる運転操作を指示しても良い。
運転評価表示部6は、運転操作評価部5から伝送された運転操作に関する情報を表示する。図4に運転評価表示部6の表示方法の一つの実施例を示す。この実施例では、運転パターンがコーナリングであることを表示し、その測定した走行燃費(只今のコーナリングでの走行燃費)を、最も効率の良い試験走行燃費データ(目標燃費)及び最も効率の良い実走行燃費データ(あなたの最高燃費)と並べて表示する。また、「ガイダンス」のパネルを押すと、音声により運転操作向上の指示を聞くことができる。この指示は、画面上に表示されても良い。すなわち、安全運転のため、運転操作者は、運転中は走行燃費の結果のみ視覚的に確認し、車両が停止した後に詳細なガイダンスを音声又は画面により確認する。さらに、ガイダンスは、概略の指示と詳細な指示とに分け、それぞれを切替えて表示しても良い。
これらの表示は、様々な方法があり、運転操作者に対して適切に運転操作に関する情報を認識させ得る方法であれば、総ての方法が含まれる。また、表示は、画面による視覚的な表示、音声による聴覚的な表示、或いはその組合せのいずれであっても良い。これらの表示により、運転操作者は、ハイブリッド車両の運転操作による走行燃費の低下が顕著に現れる運転パターンごとに、走行燃費の低下や、その運転操作の評価を確認することが可能となる。特に、走行燃費の達成すべき目標値や更新すべき目標値が比較されて表示され、運転操作の向上についてのモチベーションともなる。
また、運転評価表示部6は、電池の交換時期を「電池を交換してください。」及び「電池交換にご注意ください」と表示し、「電池交換にご注意ください」が点灯した場合には、画面又は音声により、動力源に負荷のかからない、走行距離の伸びる運転操作が表示される。運転操作者は、この表示により、電池が交換時期であること、及び運転操作を注意すべきことが認識できる。
さらに、運転評価表示部6は、運転操作が測定された地点をナビゲータの画面上に表示する。運転操作者は、この表示からその運転パターンを確認することが可能となる。また、その地点を通過するたびに走行燃費の結果が表示され、運転操作の向上のモチベーションともなる。
(過去の実走行燃費データに基づく運転操作評価装置)
図5にハイブリッド車用運転操作評価装置1の他の実施形態の基本構成のブロック図を示す。本実施形態は、実走行燃費データと比較するデータが、その車両の過去の実走行燃費データの場合である。本ハイブリッド車用運転操作評価装置1は、実走行測定部2、実走行記憶部3b、電池劣化評価部4、運転操作評価部5、及び運転評価表示部6により構成される。以下、試験走行燃費データに基づく運転操作評価装置と異なる部分のみ詳細に説明する。
実走行記憶部3bは、実走行測定部2にて測定された、運転パターンごとの過去の実走行燃費データ及びその際の運転操作を記憶する。この過去の実走行燃費データは、運転パターンごとに、その車両の測定された実走行燃費データの最高値を常に更新して、その際の運転操作と合わせて記憶する。或いは、運転パターンごとの過去の実走行燃費データと、その際の運転操作とを累積して記憶し、実走行燃費マップを作成しても良い。
運転操作評価部5は、記憶された運転パターンごとの過去の実走行燃費データから、最も効率の良い実走行燃費データを抽出し、その際の運転操作に基づき、実走行測定部2にて測定された実走行燃費データを評価する。運転操作評価部5は、実走行記憶部3bに記憶され、更新された実走行燃費データの最高値と、その際の運転操作とにより測定された実走行燃費データを評価する。或いは、実走行燃費マップから測定された実走行燃費データを評価しても良い。
本発明に係るハイブリッド車用運転操作評価装置の一つの実施形態の基本構成を示すブロック図である。 試験測定結果から抽出される試験走行燃費マップの一つの実施例の概念図である。 試験走行燃費データから抽出された、設定された電池の劣化による走行燃費の低下値を示す概念図である。 運転評価表示部の表示方法の一つの実施例の概念図である。 本発明に係るハイブリッド車用運転操作評価装置の他の実施形態の基本構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 ハイブリッド車用運転操作評価装置、2 実走行測定部、3a 試験走行記憶部、3b 実走行記憶部、4 電池劣化評価部、5 運転操作評価部、6 運転評価表示部、7 ハンドリング操作モニター、8 フットブレーキ操作モニター、9 アクセル操作モニター、10 走行燃費計測コンピュータ、11 走行試験。

Claims (6)

  1. 電池を動力源として搭載したハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、それらの開始時から終了時までの測定期間ごとに消費された実走行燃費データを測定する実走行測定部と、
    車両の走行試験から、ハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、前記測定期間ごとに消費された試験走行燃費データを記憶する試験走行記憶部と、
    測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データと比較し、走行燃費の低下の程度から実走行での運転操作を評価し、走行燃費の低下の程度及び運転操作向上の指示に関する情報を運転評価表示部に伝送する運転操作評価部と、
    前記情報を表示する運転評価表示部と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
  2. 請求項1に記載のハイブリッド車用運転操作評価装置において、実走行測定部は、前記測定期間ごとの車両のコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速のうちのいずれかの運転操作を測定し、試験走行記憶部は、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データにおける試験走行での運転操作を記憶し、運転操作評価部は、測定された実走行での運転操作を、記憶された試験走行での運転操作と比較して評価することを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
  3. 電池を動力源として搭載したハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、それらの開始時から終了時までの測定期間ごとに消費された実走行燃費データを測定する実走行測定部と、
    ハイブリッド車両の少なくともコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速について、前記測定期間ごとに消費された過去の実走行燃費データを記憶する実走行記憶部と、
    測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い過去の実走行燃費データと比較し、走行燃費の低下の程度から運転操作を評価し、走行燃費の低下の程度及び運転操作向上の指示に関する情報を運転評価表示部に伝送する運転操作評価部と、
    前記情報を表示する運転評価表示部と、
    を備えることを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
  4. 請求項3に記載のハイブリッド車用運転操作評価装置において、実走行測定部は、前記測定期間ごとの車両のコーナリング、車線変更、及び、発進及び減速のうちのいずれかの運転操作を測定し、実走行記憶部は、前記測定期間ごとの最も効率の良い実走行燃費データにおける実走行での前記運転操作を記憶し、運転操作評価部は、測定された実走行での運転操作を、記憶された実走行での運転操作と比較して評価することを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1に記載のハイブリッド車用運転操作評価装置において、実走行燃費データから電池の劣化の程度を評価する電池劣化評価部を備え、運転操作評価部は、測定された実走行燃費データを、前記測定期間ごとの最も効率の良い試験走行燃費データと比較し、電池の劣化の程度ごとに設定された走行燃費の低下値を除いた走行燃費の低下の程度から運転操作を評価することを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1に記載のハイブリッド車用運転操作評価装置において、運転評価表示部は、運転操作が測定された地点をナビゲータの画面上に表示することを特徴とするハイブリッド車用運転操作評価装置。
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