JP4424030B2 - 希土類磁石、その製造方法、及び多層体の製造方法 - Google Patents

希土類磁石、その製造方法、及び多層体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、希土類磁石、特に表面上に保護層を設けた希土類磁石、その製造方法、及びその希土類磁石に備えられる多層体の製造方法に関するものである。
近年、25MGOe以上の高エネルギー積を示す永久磁石として、いわゆるR−Fe−B系磁石(RはNdなどの希土類元素を示す。)が開発されており、例えば特許文献1では焼結により形成されるR−Fe−B系磁石が、また特許文献2では、高速急冷により形成されるものが開示されている。しかしながら、R−Fe−B系磁石は、主成分として比較的容易に酸化される希土類元素及び鉄を含有するため、その耐食性が極めて低く、そのことに起因して、製造時及び使用時に磁石としての性能が劣化すること、及び/又は、製造された磁石の信頼性が比較的低いこと等の課題があった。このようなR−Fe−B系磁石の耐食性を改善することを目的として、これまでに、例えば、特許文献3〜9に記載されているように、種々の保護膜をその磁石表面に形成する提案がなされている。
より具体的には、例えば特許文献3において、希土類・ボロン・鉄を主成分とする永久磁石の耐酸化性の改善を意図して、R(但しRはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種)8原子%〜30原子%、B2原子%〜28原子%、Fe42原子%〜90原子%を主成分とし主相が正方晶相からなる永久磁石体表面に、耐酸化めっき層を被覆してなる永久磁石が提案されている。この特許文献3には、Ni、Cu、Zn等の耐酸化性を有する金属又は合金のめっき、あるいはこれらの複合めっきが開示されている。
特開昭59−46008号公報 特開昭60−9852号公報 特開昭60−54406号公報 特開昭60−63901号公報 特開昭60−63902号公報 特開昭61−130453号公報 特開昭61−166115号公報 特開昭61−166116号公報 特開昭61−270308号公報
しかしながら、本発明者らは、上記特許文献1〜9に記載のものを始めとする従来の希土類元素を含有する希土類磁石について詳細に検討を行ったところ、かかる従来の希土類磁石は、十分な耐食性を有していないことを見出した。すなわち、例えば、特許文献3に記載されている上述の耐酸化めっき層を備える希土類磁石に対して、JIS−C−0023−1989に規定されている塩水噴霧試験を行うと、その希土類磁石の磁石素体に腐食が認められることを本発明者らは見出した。
ここで、「塩水噴霧試験」とは、例えば35℃程度の温度条件下、5±1質量%NaCl水溶液(pH=6.5〜7.2)を、微細な湿った濃い霧状態で24時間試料に接触させ、試料の腐食状態を確認することによって行われる。塩水噴霧試験によって磁石素体に腐食が認められる要因としては、保護層(耐酸化めっき層)におけるピンホールの生成などが考えられる。希土類磁石の保護層にピンホールが生成すると、そのピンホールから雰囲気中の腐食要因物質(酸素、硫化物、水分、塩など)が侵入し、磁石素体を腐食させる因子となる。特に希土類磁石は極めて容易に腐食するので、塩水噴霧試験によって磁石素体に腐食が認められるような従来の希土類磁石は、実際の使用環境においても、必ずしも耐食性に十分優れているものとはいえない。
そこで、本発明は上記事情にかんがみてなされたものであり、十分に優れた耐食性を有する希土類磁石を提供することを目的とする。
本発明者らは、希土類元素を含有する磁石素体の表面に特定の処理を施すことにより、その表面付近に、磁石素体とは異なる構造を有する新たな層が形成されていることを見出した。そして、その新たな層は、酸素、硫化物、水分、塩化物などの腐食要因物質に対しても、化学的に安定な層であり、かつ機械的安定性にも優れていることを突き止め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の希土類磁石は、希土類元素を含有する磁石素体と、その磁石素体の表面上に形成された実質的な非晶質層と、その非晶質層の表面上に形成された保護層とを備え、上記非晶質層は、磁石素体に含有される磁石材料の主成分元素と同一の元素を含有し、非晶質層の保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmであり、保護層が、アルミニウム層であることを特徴とする。ここで、「非晶質層」とは、その構成元素が非結晶状態である層、すなわち規則正しい空間的配置を有する結晶を構成せずに集合した無定形の固体層をいう。
また、「実質的な非晶質層」とは、公知の電子線回折法やX線回折法によって検出困難な結晶を含んでもよい非晶質層をいう。なお、一般に電子線回折法とは、物質に電子を照射し、物質を構成する各原子によって散乱された電子波が、原子の相互の位置関係によって定まった位相差により干渉した回折像から物質の構造を解析するものである。また、X線回折法とは、結晶のある範囲からのX線回折像を撮影し、局所的な反射強度の変化を観察して物質の構造を解析するものである。
「磁石材料の主成分元素」とは、磁石として機能するのに必要とされる元素のことをいう。例えば、本発明の希土類磁石がR−Fe−B系磁石である場合には、「磁石材料の主成分元素」はR、Fe及びBであり、Sm−Co系磁石である場合には、「磁石材料の主成分元素」はSm及びCoであり、Sm−Fe−N系磁石である場合には、「磁石材料の主成分元素」はSm、Fe及びNである。
かかる本発明の希土類磁石に対して上述の塩水噴霧試験を行っても、従来の希土類磁石で発生したような磁石素体の腐食は認められない。その要因は明らかにされていないが、本発明者らは現在のところ以下のように考えている。ただし要因はこれらに限定されない。
例えば、上述したR−Fe−B系の希土類磁石の磁石素体は、図3に模式的に示すように、主として、主相50と、希土類元素を比較的多く含む希土類リッチ相60と、ホウ素を比較的多く含むホウ素リッチ相70とを含んで構成される。この希土類リッチ相60はその大部分が主相50の粒子間に存在していると考えられている。
希土類磁石が極めて容易に腐食するのは、この希土類リッチ相60が腐食要因物質に対して化学的に活性であるためと考えられている。つまり、希土類リッチ相60は、その表面に不動態膜を形成し難い上に、他の金属からなる相と比較すると、容易に酸化されやすい。そのため、希土類リッチ相60は、周囲雰囲気に直接晒されて、腐食要因物質と接触し、この物質との酸化還元反応により酸化物、硫化物、金属塩などを生成する(すなわち腐食する)と推測されている。そして、希土類リッチ相60が腐食すると、磁石素体が脆化し、主相50やホウ素リッチ相70が磁石素体の表面から剥離しやすくなるので、磁石特性の低下に繋がると考えられている。
また、R−Fe−B系の希土類磁石の磁石素体は通常、結晶構造を有しているため、空格子点等による点欠陥、転位等による線欠陥、粒界等による面欠陥といった結晶欠陥を有している。特に、主相50、希土類リッチ相60及びホウ素リッチ相70の境界は、多結晶体における結晶粒同士の境界と同様の構造状態を形成しているので、その境界は、ほとんど粒界として存在していると考えられる。この粒界は、腐食要因物質が容易に侵入できるため、局部腐食を起こすことが一般に知られている。
従来の希土類磁石は、かかる磁石素体の表面上に、金属、樹脂、SiOなどの金属酸化物(本明細書においては、ケイ素も金属に含まれるものとする。)又は金属窒化物を構成材料とする保護層を備えていた。
これらのうち、金属を構成材料とする保護層を備えた希土類磁石は、金属自体が塩水により容易に腐食されるため、保護層の腐食部分に貫通した空隙が生じてしまう。その結果、かかる希土類磁石に対して塩水噴霧試験を行うと、腐食により生じた空隙から塩水が侵入する。そして、保護層を貫通した塩水は、希土類リッチ相及び/又は磁石素体表面にある粒界等の結晶欠陥に浸透して磁石素体を腐食させると考えられる。
また、金属酸化物又は金属窒化物を構成材料とする保護層を備えた希土類磁石は、その保護層において、金属原子及び酸素原子間あるいは金属原子及び窒素原子間の結合に基づくそれぞれの原子(イオン)の存在位置がある程度固定されていると考えられる。このことに起因して、保護層内に金属原子並びに酸素原子若しくは窒素原子が存在できないような空サイト(部位)が存在し、その空サイトに微細なピンホール若しくは欠陥等が生じてしまうと推定される。その結果、かかる希土類磁石に対して塩水噴霧試験を行うと、上記ピンホール等から塩水が侵入する。そして、保護層を貫通した塩水は、希土類リッチ相及び/又は磁石素体表面にある粒界等の結晶欠陥に浸透して磁石素体を腐食させると考えられる。
さらに、樹脂を構成材料とする保護層を備えた希土類磁石は、保護層の形成方法として溶液塗布法等のウェットプロセスを用いるため、溶液を乾燥若しくは加熱した際に、保護層内に内部応力が発生し、それに起因してクラック等の間隙が保護層内に生じてしまう。その結果、かかる希土類磁石に対して塩水噴霧試験を行うと、クラック等から塩水が侵入する。そして、保護層を貫通した塩水は、希土類リッチ相、磁石素体表面にある粒界等の結晶欠陥、及び/又は保護層内のクラックに伴う磁石素体表面のひずみ部分に浸透して磁石素体を腐食させると考えられる。
一方、本発明の希土類磁石は、磁石素体と保護層との間に、実質的な非晶質層(以下、単に「非晶質層」という。)が形成されている。これにより、保護層を貫通した塩水は、磁石素体への侵入を非晶質層によって阻止されるため、磁石素体の腐食が防止されると推測される。
すなわち、このような非晶質層には結晶状態に特有な原子配列がほとんど存在せず、等方的かつ均質に構成元素が混ざり合っているため、上述の粒界等の結晶欠陥が実質的に存在せず、また、層内に塩分等が移動し得る空格子点が生じ難い。さらには、非晶質層を設けることにより、その層内に存在し得る転位ループ等に基づく変形機構も発生し難いので、外部応力や残留応力等の影響も受け難い。これらに起因して、本発明の希土類磁石において、非晶質層は高い耐食性を示すと考えられる。また、非晶質層には腐食しやすい希土類リッチ相60がほとんど存在しないため、そのような観点からも、非晶質層は高い耐食性を示すものと考えられる。その結果、非晶質層が塩水の磁石素体への侵入を阻止することができるため、磁石素体の腐食が十分に防止されるものと考えられる。
さらに、本発明の希土類磁石において、非晶質層に局部的に結晶相が存在していたとしても、その結晶相が存在する領域上の保護層領域に、上述のピンホール又はクラック等が存在していないと、その結晶相が塩水と接触することはない。
すなわち、本発明の希土類磁石は、保護層におけるある領域にピンホールやクラックが存在し、しかも、その領域の下側にある非晶質層領域に結晶相が存在しないと、塩水の侵入に伴う腐食が進行しないと考えられる。そして、そのような領域の存在確率は、保護層及び非晶質層におけるそれらの領域の存在確率を乗じたものとなるので、極めて低いものとなる。したがって、本発明の希土類磁石は十分に優れた耐食性を有すると、本発明者らは考えている。
さらに、希土類磁石の用途のなかで、希土類磁石が比較的苛酷な雰囲気に晒されるものとしては、自動車用モーター、特殊モーター、サーボモーター、リニアアクチュエーター、ボイスコイルモーター、装置用モーター及び工業用モーターなどであることを考慮すると、上述した試験によっても腐食が認められない本発明の希土類磁石は、十分に優れた耐食性を有するものである。
本発明の希土類磁石において、上記非晶質層に含有される元素の組成比が、磁石素体に含有される主成分元素の組成比と実質的に同一であると好ましい。具体的に説明すると、例えば、本発明の希土類磁石に備えられる磁石素体がR−Fe−B系磁石の素体である場合は、その磁石素体の主成分元素であるR、Fe及びBについて、磁石素体中のそれらの元素の組成比と、非晶質層中のそれらの元素の組成比とが、実質的に同一であると好ましい。
このような希土類磁石は、磁石素体と非晶質層とを同じ原料から作製することができ、しかも、それらの組成比を調整する必要がないので、概して製造工程を簡略化することが可能となる。また、磁石素体の形成及び非晶質層の形成を連続的に行うことができるので、磁石素体の表面に不純物層を形成し難くなり、非晶質層の剥離、耐食性の低下等、不純物層に起因する不具合を一層防止することができる。
また、本発明の希土類磁石において、上記非晶質層の保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmであることが好ましい。
ここで、算術平均粗さRaとは、JIS−B−0601−1994で定義される算術平均粗さRaである。より詳しくは、上記非晶質層の表面の任意の粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さLだけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にX軸を、縦倍率の方向にy軸を取り、粗さ曲線をy=f(X)で表したときに、下記式(1)によって求められる値をいう。
Figure 0004424030
本発明によれば、希土類磁石において保護層の形成される表面が所定の算術平均粗さRaの粗面とされるので、保護層と非晶質層とが強固に接着される。したがって、非晶質層と保護層との密着性が良好となるため、保護層が非晶質層から剥離し難くなる。
ここで、算術平均粗さRaが1.5μmよりも大きくなると、保護層の膜厚が比較的薄い場合は、非晶質層表面の凸部上にある保護層領域において、局部的な膜厚が極めて薄くなるため、その領域にピンホール等が発生しやすくなる傾向にある。また、保護層の膜厚が比較的厚い場合は、非晶質層表面の凹部上にある保護層領域において、局部的な膜厚が極めて厚くなるため、その領域における希土類磁石の磁気特性が低下する傾向にある。一方、算術平均粗さRaが0.3μmよりも小さくなると、保護層が非晶質層から剥離しやすくなる傾向にある。
また、本発明の希土類磁石において、非晶質層が、磁石素体の表面に固体粒子又は粒子ビームを衝突させて、磁石素体の表面付近を変質させて得られるものであることが好ましい。
ここで、「固体粒子」とは、砥粒等の粒状の固体物をいい、「粒子ビーム」とは、共通の進行方向をもった細い流れとなって進み、内部でほとんど衝突しない微視的粒子の集団をいう。
かかる希土類磁石は、十分に優れた耐食性を有することができる。その要因は明らかにされていないが、本発明者らは現在のところ以下のように考えている。ただし要因はこれらに限定されない。
すなわち、固体粒子の噴射又は粒子ビームの照射によってこれらを磁石素体の表面に衝突させると、衝突された表面領域が急速に加熱溶融する。この加熱領域は磁石素体内部への熱拡散によって急速に冷却し再凝固する。このようにして、融点近傍まで短時間に昇温された磁石素体の表面領域が急激に冷却されるために、非晶質層が形成されるものと考えられる。
また、固体粒子に関しては、粒子自身の表面への衝撃力が作用するとも考えられる。すなわち、磁石素体の表面が固体粒子によって叩かれるため、いわゆる鍛造作用が起こり、磁石素体の表面近傍が圧縮変形されることによって非晶質層が形成されるものと考えられる。
本発明の希土類磁石は、希土類元素を含有する磁石素体と、上記磁石素体の表面に粒子ビームを衝突させて、磁石素体の表面付近を変質させて得られる非晶質層と、その非晶質層の表面上に形成された保護層とを備え、非晶質層の保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmであり、保護層が、アルミニウム層であることを特徴とする。かかる希土類磁石は、上述と同様の非晶質層を有するので、十分に優れた耐食性を有することができる。
また、本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体の表面に粒子ビームを衝突させる衝突工程と、上記磁石素体の衝突工程後の表面上に保護層を形成する保護層形成工程とを備え、保護層が、アルミニウム層であり、衝突工程において、磁石素体の表面付近を変形させて保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmである非晶質層を形成するように、粒子ビームを衝突させることを特徴とする。
さらに、本発明の希土類磁石の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体の表面に固体粒子又は粒子ビームを衝突させる衝突工程と、磁石素体の衝突工程後の表面上に樹脂を構成材料とする保護層を形成する保護層形成工程とを備え、衝突工程において、磁石素体の表面付近を変形させて非晶質層を形成するように、固体粒子又は粒子ビームを衝突させ、保護層を、ウェットプロセスにより形成することを特徴としてもよい。
磁石素体が空気中に晒されると、通常、磁石素体の表面には数nm程度の薄い酸化膜(水を含む場合は不動態膜)が形成される。かかる磁石素体上に保護層を形成した希土類磁石では、保護層と磁石素体との密着性が低下するため、保護層が磁石素体から剥離しやすくなると考えられる。
しかしながら、本発明の希土類磁石の製造方法によると、磁石素体の表面に粒子を衝突させて非晶質層を形成する際、表面部分が粒子によってエッチングされるため、磁石素体の表面上の腐食部分を取り除くことができる。
また、通常、磁石素体は数μm径の合金を焼結して作製するが、焼結後の磁石素体の表面は凹凸が生じやすい。このような状態で、めっき、蒸着、樹脂塗装などを行い、保護層を形成すると、保護層の膜厚を均一にするのが困難になる傾向にある。本発明者らは、金属めっきによる保護層の場合は10μm以上、樹脂塗膜による保護層の場合は20μm以上の膜厚があれば、保護層としての信頼性が得られるという知見を得ている。しかしながら、磁石素体の表面の凸部ではその膜厚を下回り、ピンホールが生じる傾向にあるため、磁石素体が腐食しやすくなると考えられる。
このような問題は、通常、酸を用いて磁石素体の表面上の希土類リッチ相を溶解させ、表面付近の主相粒子を除去することで表面調整を行う工程を加えることによって回避できると考えられている。この工程を経ると、通常、磁石素体の表面の算術平均粗さRaが1〜2μm程度になることが確認されている。しかしながら、算術平均粗さRaが2μm付近の場合であっても依然として上記問題が生じるということを本発明者らは見出した。したがって、このような工程によっても、上記問題を完全に回避することは難しいと考えられる。
しかしながら、本発明の希土類磁石の製造方法では、上記の酸による表面処理方法に比べて、磁石素体の表面の凹凸をより平坦化することができる。その要因の一つとしては、以下のことが考えられるが、要因はこれに限定されない。すなわち、上述の衝突工程において、磁石素体の表面の凸部では、その表面から突出している分、凹部よりも多くの固体粒子又は粒子ビームが衝突すると推測される。そのため、本発明においては、上記衝突工程を経ることにより、凸部及び凹部の両方に酸が作用しやすい酸による表面処理方法に比べて、表面を平坦化しやすいものと考えられる。
また、衝突工程において、磁石素体の表面付近を変形させて非晶質層を形成するように、固体粒子又は粒子ビームを衝突させると好ましい。
これによると、磁石素体上に非晶質層を容易に形成できる。そのため、保護層形成工程において、その非晶質層の表面上に保護層が更に形成されると、上述の本発明の希土類磁石のような、十分に耐食性に優れた磁石を容易に作製することが可能となる。また、磁石素体の一部を変質させることによって非晶質層を形成するため、非晶質層に含有される元素の組成比を、磁石素体に含有される主成分元素の組成比と実質的に同一にすることができる。
さらに、この希土類磁石の製造方法によると、磁石素体に衝突させる粒子の速度や粒子の粒径等を調節することによって、非晶質層の表面の算術平均粗さRaを上述の0.3〜1.5μmとすることができる。したがって、この希土類磁石の製造方法は、非晶質層の表面上に保護層を好適に形成することができる。
また、樹脂を構成材料とする保護層を備えた希土類磁石の作製の際には、保護層の形成方法として溶液塗布法等のウェットプロセスを用いており、このようなウェットプロセスでは一般的に酸性水溶液が使用される。かかる構成を有する磁石素体の表面上に、酸性水溶液を用いて保護層を形成する場合、酸化還元電位(標準電極電位)が極めて低い希土類元素を比較的多く含有する希土類リッチ相60は、磁石素体の表面に存在する部分から酸性水溶液に接触して、主相50又はホウ素リッチ相70と局部電池を形成すると考えられる。これにより、希土類リッチ相60は、磁石素体の表面に存在するものから順に溶出していき、粒界腐食のような現象を引き起こしてしまう。その結果、磁石素体の磁気特性が、十分ではなくなる傾向にあると推定される。また、この腐食を防止するには、10μm以上の膜厚を有するNiめっきを、あらかじめ磁石素体の表面上に形成しておく必要がある、という知見を本発明者らは得ている。
しかしながら、本発明の希土類磁石の製造方法では、磁石素体の表面上に非晶質層を形成した後に、このようなウェットプロセスを用いることになる。非晶質層は、上述のように酸化され難い層であるため、上記のNiめっきと同様に、酸性水溶液から磁石素体を保護する役割を果たす。その結果、保護層として樹脂を構成材料とするものを用いても、その保護層形成工程における磁石素体の腐食を有効に防止することができる。
本発明の希土類磁石の製造方法において、上記粒子ビームが、中性粒子ビーム、イオンビーム、分子ビーム又はラジカルビームであると好ましい。かかる粒子ビームを物質表面に衝突させる方法としては、公知のブラスト処理やイオンビーム処理、プラズマ処理等の方法が使用できるため、上記方法を用いて磁石素体の表面上に一層容易に非晶質層を形成することができる。特に上述の粒子ビームが、プラズマ放電によって発生するものであると、更に効率的かつ確実に非晶質層を形成できるのでより好ましい。
また、本発明の多層体の製造方法は、希土類元素を含有する磁石素体の表面に粒子ビームを衝突させて、上記磁石素体の表面付近を表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmである非晶質層に変質させることを特徴とする。この多層体は、上述の本発明の希土類磁石を形成するための部材とすることができる。
本発明の多層体の製造方法において、上記粒子ビームが、中性粒子ビーム、イオンビーム、分子ビーム又はラジカルビームであると好ましい。特に上述の粒子ビームが、プラズマ放電によって発生するものであると、更に効率的かつ確実に非晶質層を形成できるのでより好ましい。
本発明によれば、十分に優れた耐食性を有する希土類磁石を提供することができる。また、そのような希土類磁石の製造方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すことととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1は、本発明に係る希土類磁石の一実施形態を示す概略斜視図であり、図2は図1の希土類磁石をI−I線により切断した際に現れる断面を模式的に表した図である。図1、2から明らかなとおり、実施形態の希土類磁石1は、磁石素体10及びその磁石素体10の表面の全体を被覆して形成される非晶質層20からなる多層体と、その多層体に備えられる非晶質層20の表面の全体を被覆して形成される保護層30とから構成されるものである。
(磁石素体)
磁石素体10は、R、鉄(Fe)及びホウ素(B)を含有するものである。Rは1種以上の希土類元素を示すものであり、具体的には、長周期型周期表の3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイドからなる群より選ばれる1種以上の元素を示す。ここで、ランタノイドは、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)及びルテチウム(Lu)を指す。
上述した元素の磁石素体10中の組成は、該磁石素体10を焼結法により製造する場合、以下に説明するようなものであると好ましい。
Rとしては、上述したもののうち、Nd、Pr、Ho、Tbのうち1種以上の元素を含むと好ましく、さらに、La、Sm、Ce、Gd、Er、Eu、Tm、Yb、Yのうち1種以上の元素を含んでも好ましい。
磁石素体10中のRの含有割合は、磁石素体10を構成する全原子の量に対して、8〜40原子%であると好ましい。Rの含有割合が8原子%未満では、結晶構造がα−鉄と同一構造の立方晶組織となるため、高い保磁力(iHc)を有する希土類磁石1が得られない傾向にある。また、Rの含有割合が30原子%を超えると、Rリッチな非磁性相が多くなり、希土類磁石1の残留磁束密度(Br)が低下する傾向にある。
磁石素体10中のFeの含有割合は、磁石素体10を構成する全原子の量に対して、42〜90原子%であると好ましい。Feの含有割合が42原子%未満であると希土類磁石1のBrが低下する傾向にあり、90原子%を超えると希土類磁石1のiHcが低下する傾向にある。
磁石素体10中のBの含有割合は、磁石素体10を構成する全原子の量に対して、2〜28原子%であると好ましい。Bの含有割合が2原子%未満であると結晶構造が菱面体組織となるため、希土類磁石1のiHcが不十分となる傾向にあり、28原子%を超えるとBリッチな非磁性相が多くなるため、希土類磁石1のBrが低下する傾向にある。
また、Feの一部をコバルト(Co)で置換して磁石素体10を構成してもよい。このような構成にすることにより、希土類磁石1の磁気特性を損なうことなく温度特性を改善できる傾向にある。この場合、置換後のFeとCoの含有割合は、原子基準でCo/(Fe+Co)が0.5以下であると好ましい。これよりもCoの置換量が多いと希土類磁石1の磁気特性が低下してしまう傾向にある。
さらに、Bの一部を炭素(C)、リン(P)、硫黄(S)及び銅(Cu)からなる群より選ばれる1種以上の元素で置換して磁石素体10を構成してもよい。かかる構成にすることにより、希土類磁石1の生産性が向上し、その生産コストを削減できる傾向にある。この場合、これらC、P、S及び/若しくはCuの含有量は、磁石素体10を構成する全原子の量に対して4原子%以下であると好ましい。C、P、S及び/若しくはCuの含有量が4原子%よりも多いと、希土類磁石1の磁気特性が劣化する傾向にある。
また、希土類磁石1の保磁力の向上、生産性の向上及び低コスト化の観点から、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ビスマス(Bi)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、アンチモン(Sb)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)及び/又はハフニウム(Hf)等のうちの1種以上の元素を添加して、磁石素体10を構成してもよい。この場合、上記元素の添加量は磁石素体10を構成する全原子の量に対して10原子%以下とすると好ましい。これらの元素の添加量が10原子%を超えると希土類磁石1の磁気特性が低下する傾向にある。
磁石素体10中には、不可避的不純物として、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及び/又はカルシウム(Ca)等が、磁石素体10を構成する全原子の量に対して3原子%以下の範囲内で含有されていてもよい。
磁石素体10は、図3に示すように、実質的に正方晶系の結晶構造を有する主相50と、希土類元素を比較的多く含む希土類リッチ相60と、ホウ素を比較的多く含むホウ素リッチ相70とを含有して形成されている。磁性相である主相50の粒径は1〜100μm程度であると好ましい。希土類リッチ相60及びホウ素リッチ相70は非磁性相であり、主に主相50の粒界に存在している。これら非磁性相60、70は、磁石素体10中に通常、0.5体積%〜50体積%程度含有されている。
磁石素体10は、例えば以下に述べるような焼結法により製造される。まず、上述した元素を含有する所望の組成物を鋳造し、インゴットを得る。続いて、得られたインゴットを、スタンプミル等を用いて粒径10〜100μm程度に粗粉砕し、次いで、ボールミル等を用いて0.5〜5μm程度の粒径に微粉砕して粉末を得る。
次に、得られた粉末を、好ましくは磁場中にて成形して成形体を得る。この場合、磁場中の磁場強度は10kOe以上であると好ましく、成形圧力は1〜5トン/cm程度であると好ましい。
続いて得られた成形体を、1000〜1200℃で0.5〜5時間程度焼結し、急冷する。なお、焼結雰囲気は、Arガス等の不活性ガス雰囲気であると好ましい。そして、好ましくは不活性ガス雰囲気中で、500〜900℃にて1〜5時間熱処理(時効処理)を行うことにより上述したような磁石素体10が得られる。
また、磁石素体10は、上述した以外にも、例えば公知の超急冷法、温間脆性加工法、鋳造法、メカニカルアロイング法によっても用意され得る。さらに、磁石素体10は、市販のものを用意してもよい。
(非晶質層)
非晶質層20は、R、鉄(Fe)及びホウ素(B)を含有するものであり、磁石素体10の構成材料と同様のものを挙げることができる。ただし、磁石素体10は結晶構造で構成されるのに対し、非晶質層20は非晶質構造で構成されている。特に、非晶質層20は上述の磁石素体10について説明した組成比と実質的に同様であると好ましい。そのような非晶質層20は磁石素体10と強固に結合し、境界面での歪み等を防止することができる。すなわち、非晶質層20は、磁石素体10の結晶構造を非晶質構造に変換したものであると好ましい。
非晶質層20は、磁石素体10の表面に固体粒子又は粒子ビームを衝突させることによって形成される。このように磁石素体10を表面加工して非晶質層20が形成された場合は、磁石素体10が、その表面付近に非晶質領域を有しているとの見解も可能である。
また、磁石素体10と非晶質層20との境界付近では、結晶相(結晶粒子)と非晶質相(非晶質粒子)とが混在しているとも推測される。この場合、非晶質層20は上述の通り、公知の電子線回折法やX線回折法によって検出困難な結晶相を含んでもよい。さらに、結晶相及び非晶質相のうちの結晶相の含有割合が、磁石素体10から非晶質層20へ、連続的に変化してもよい。この場合、本実施形態における非晶質層20は、上述と同様に、公知の電子線回折法やX線回折法などによって検出困難な結晶を含んでもよい。
以下、非晶質層20の形成方法の具体例として、ブラスト処理、イオンビーム処理及びプラズマ処理について説明する。まず、ブラスト処理について説明する。
ブラスト処理とは、固体粒子である砥粒を固体表面に吹き付けることによって、その表面に砥粒を衝突させて行う表面加工をいう。本実施形態で用いられるブラスト処理は、砥粒のみを圧縮空気により吹き付けるいわゆるドライブラスト加工である。
本実施形態に使用されるブラスト処理装置100は、図4のようにブラスト装置本体110、分級装置120、集塵機130、及び圧縮空気供給装置140からなり、ブラスト装置本体内には、噴射ノズル112が備えられている。
ブラスト装置本体110は分級装置120と本体導管150を介して連結し、分級装置120は集塵機130と集塵用導管160を介して連結している。ブラスト装置本体110は、集塵機130からの負圧により、常に外気に対して負圧状態になっており、噴射ノズル112から噴射された砥粒180が、ブラスト装置本体110から飛散しないようになっている。また、分級装置120及び圧縮空気供給装置140は噴射ノズル112とそれぞれ供給用導管170を介して連結している。噴射ノズル112の噴射口側には、ローラー114上に磁石素体10が載置されている。
このように構成されたブラスト処理装置100を用いると、圧縮空気供給装置140から供給された高圧ガスによって噴射ノズル112から噴射された砥粒180が、ローラー114上の磁石素体10表面に衝突し、ブラスト処理が行われる。その後、砥粒180は集塵機130により発生する負圧による空気の流れにより、ブラスト装置本体110から分級装置120に移送される。サイクロン等の分級装置120は、移送された砥粒180を、再使用可能な砥粒と、破砕されて使用に適しない砥粒及び削られた被加工物表面の粉塵とに分離する。このうち再使用可能な砥粒は噴射ノズル112に再度供給され、破砕された砥粒及び削られた被加工物表面の粉塵は集塵機130に捕集される。このようにして、再使用可能な砥粒のみが繰り返し磁石素体10表面に衝突するため、ブラスト処理が安定な処理条件の下、連続して行われることとなる。
ブラスト処理に用いる砥粒180としては、SiC、アルミナ(Al)、鉄鋼材料等の固体粒子を用いることができる。特に、鉄鋼材料を用いると、中間層20を好適に形成しやすいので好ましい。
また、砥粒180の平均粒径は0.1〜3.0mmであると好ましい。砥粒180の平均粒径が0.1mmよりも小さいと、一粒子当たりの磁石素体10への衝突力(衝突エネルギー)が小さくなり、所望の膜厚を有する非晶質層20を形成することが難しくなる傾向にある。また、砥粒180の平均粒径が3.0mmを超えると、一粒子当たりの磁石素体10への衝突力が大きくなり、磁石素体に欠けや割れが生じやすくなる傾向にある。
ブラスト処理において砥粒を搬送するために用いる気体は、一般的には空気であるが、磁石素体100の構成材料などによっては窒素、アルゴン、ネオン、キセノン等の不活性気体を用いることもできる。これらの気体は、Ndの酸化反応を回避する観点から、乾燥していると好ましい。また、噴射ノズル112から吹き出す圧力は、表面平滑化と表面のうねり回避との観点から、0.1〜1MPaであると好ましい。
また、砥粒180の形状は特に限定されないが、概して球状であることが好ましい。ここで、概して球状とは、球状のみならず断面楕円形状のものも含まれる概念であって、尖った角部や辺部を有しておらず、方形状というよりはむしろ球状であるという程度でよく、厳密な球状まで要求されるものではない。かかる概して球状の砥粒を用いれば、磁石素体10の表面を削る機能よりも叩く機能、すなわち鍛造機能が優先的に作用すると考えられるため、非晶質層20を形成しやすくなる。そして、概して球状の砥粒は、方形状の砥粒と比較して、その表面のどの部分が被加工層に衝突しても、比較的衝突圧力は一様となるので、砥粒搬送媒体の吹き出し圧力を調整して、所望の膜厚を有する非晶質層20を形成するのが一層容易となる。
このようなブラスト処理を用いて非晶質層20を形成するには、ローラー114を用いて磁石素体10を所定速度で移動させつつ、噴射ノズル112から吹き出す砥粒180を、磁石素体10の面全体に衝突させるとよい。さらに、別の表面が噴射ノズル112に対向するように磁石素体10を載置し直し、同様の処理を行う。このようにして、磁石素体10の六面全てに同様の噴射を行うことにより、磁石素体10全面を被覆する非晶質層20が形成されることとなる。
次に、イオンビーム処理について説明する。
本実施形態に使用されるイオンビーム処理装置200は、図5に示すように、磁石素体にビームを照射するビーム処理室210と、ビーム源となるプラズマを生成させるプラズマ生成室220とを備えるものである。ビーム処理室210内には、プラズマ生成室220に対面するように磁石素体10を載置するためのステージ212が設置されている。プラズマ生成室220とステージ212との間には、プラズマ生成室220側から、後述するグリッド250、ニュートライザー260、シャッター270がこの順で配設されている。また、ビーム処理室210は、バルブ214を介してTMP(ターボモルキュラーポンプ)、クライオポンプ等の排気系(図示せず。)に接続されており、ビーム処理室210内部及びプラズマ生成室220内部が所定の真空度に減圧調整されている。
プラズマ生成室220では、ボンベ230からプラズマ生成室220内に導入された不活性ガス(Ar、N、Xe、Ne等)を、プラズマ生成室220内の熱電子放出用のフィラメント222と、陽極兼用のプラズマ生成室壁面224との間のアーク放電によって電離させてプラズマを生成させる。このとき、フィラメント222は、フィラメント電源226によって加熱されており、フィラメント222とプラズマ生成室壁面224との間には、直流のイオン化電源(アーク電源)228からアーク放電用のアーク電圧が印加されている。
さらに、プラズマ生成室220の外側に設けられたマグネット240により、プラズマ生成室220内に磁場が形成されるので、プラズマをプラズマ生成室220に閉じ込めることができる。これにより、低ガス圧領域でも放電開始に必要な高電場が得られ、プラズマ生成を促進させることができる。
生成されたプラズマ中のイオンは、プラズマ生成室220とビーム処理室210との境界に配設されたグリッド250によってビーム処理室210側に向かって加速され、これによりイオンビームが生成される。グリッド250は、例えば、引出し電極、加速電極及び減速電極の3枚の多孔電極からなり、所定の電圧が印加されている。
さらに、グリッド250を通過したイオンビームは、フィラメント等のニュートライザー260を通過することで中和され、電気的に中性な粒子ビームを生成する。この中性粒子ビームがステージ212上の磁石素体10に照射され、磁石素体10表面の処理が行われる。なお、ビームの照射時間は、磁石素体の手前に配設されたシャッター270の開閉によって調節することができる。
このようなイオンビーム処理を用いて非晶質層20を形成するには、磁石素体10に所定時間イオンビームを照射し、さらに、別の表面がシャッター270に対向するように、磁石素体10を載置し直し、同様の処理を行う。このような処理を繰り返し、磁石素体10の六面全てに同様の照射を行うことにより、磁石素体10全面を被覆する非晶質層20が形成されることとなる。
次に、プラズマ処理について説明する。
本実施形態に使用されるプラズマ処理装置300は、図6に示すように、磁石素体10上に非晶質層20を形成させるプラズマ処理室310を備えるものであり、このプラズマ処理室310には、上部平板電極312及び下部平板電極314が上下に対向して設置されている。下部平板電極314は、導電性の部分を有しており、この導電性の部分には、高周波電源320が接続されている。高周波電源320及び上部平板電極312は、同一電位にある接地電位に接続されている。高周波電源320は、所定範囲の周波数から適宜選択される任意の周波数を有する高周波電力を発生するものである。また、下部平板電極314上には磁石素体が載置されている。
また、プラズマ処理室310は不活性ガス導入孔330を介して、ボンベ340に接続されている。さらに、プラズマ処理室310は、排気孔350を介してTMP、クライオポンプ等の排気系(図示せず。)に接続されており、プラズマ処理室310内部は所定の真空度に減圧調整されている。
このように構成されたプラズマ処理装置300によって、磁石素体10上に非晶質層20を形成させる場合には、まず、ボンベ340からプラズマ処理室310に不活性ガス(Ar、N、Xe、Ne等)を導入する。次に、プラズマ処理室310の真空度が所定の程度まで調整された後、下部平板電極314に高周波電力が印加される。これにより、プラズマ処理室310内に電界が発生し、上部平板電極312と下部平板電極314との間に連続グロー放電によるプラズマが形成される。そして、不活性ガスの解離によって生じた活性種であるイオンが、上部平板電極312と下部平板電極314との間に印加された電位により下部平板電極314側に引き込まれ、下部平板電極314上の磁石素体10表面に非晶質層20が形成される。
このようなプラズマ処理を用いて非晶質層20を形成するには、上述のように磁石素体10にプラズマ処理を施し、さらに、別の表面が上部平板電極312に対向するように、磁石素体10を載置し直し、同様の処理を行う。このような処理を繰り返し、磁石素体10の六面全てに同様の処理を行うことにより、磁石素体10全面を被覆する非晶質層20が形成されることとなる。
以上説明したような方法を用いて磁石素体10の表面に非晶質層20を形成したとき、その非晶質層20の表面の算術平均粗さRaを、0.3〜1.5μmとするように調整することが好ましい。このような算術平均粗さRaの数値範囲は、非晶質層20の表面における任意の方向について満足すればよいが、例えば表面の直交する2方向の粗さ曲線について上記の条件を満たすことが好ましい。これにより、保護層30が形成される非晶質層20の表面が、一層平坦性に優れたものとなるので、非晶質層20の表面上に保護層30を形成すると、保護層30が強固に接着されて剥離し難くなる。
ここで、算術平均粗さRaが1.5μmよりも大きくなると、保護層30の膜厚が比較的薄い場合は、非晶質層20表面の凸部上にある保護層30の領域において、局部的な膜厚が極めて薄くなるため、その領域にピンホール等が発生しやすくなる傾向にある。また、保護層30の膜厚が比較的厚い場合は、非晶質層20表面の凹部上にある保護層30の領域において、局部的な膜厚が極めて厚くなるため、その領域における希土類磁石1の磁気特性が低下する傾向にある。一方、算術平均粗さRaが0.3μmよりも小さくなると、保護層30が非晶質層20から剥離しやすくなる傾向にある。
非晶質層に係る上記算術平均粗さRaを上記数値範囲内に調整する方法としては、例えば、ブラスト処理においては、砥粒の種類、砥粒の平均粒径、砥粒の形状を最適なものに選択する方法、イオンビーム処理においては、シャッター等を用いて磁石素体10の表面に粒子を衝突させる時間を調節する方法、プラズマ処理においては、高周波電源の出力を調節する方法等が挙げられる。
また、いずれの処理においても、固体粒子又は粒子ビームの磁石素体10表面への衝突速度を調整することにより、上述の算術平均粗さRaを上記数値範囲内のものとすることができる。
本実施形態の希土類磁石1においては、耐食性の観点及び十分な磁気特性の確保の観点から、その非晶質層20の膜厚が0.5〜1.2μmであると好ましく、更に生産コスト等の観点から、0.3〜2.0μmであるとより好ましい。
(保護層)
保護層30は、非晶質層20の表面上に形成されたものであり、その構成材料としては、一般の希土類磁石の保護層として用いることができる材料であれば、特に限定されない。
例えば、金属を構成材料とする保護層20としては、ニッケル、銅、亜鉛等の耐酸化性を有する金属又は合金のめっき、あるいはこれらの複合めっきがある。めっき処理の方法としては、無電解めっき、電解めっき等が挙げられる。
また、金属酸化物若しくは金属窒化物を構成材料とする保護層20としては、アルミニウム、タンタル、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ等の酸化物や窒化物が挙げられる。このような酸化物層又は窒化物層を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、CVD法若しくは溶射法等の気相成長法、塗布法若しくは溶液析出法等の液相成長法、又はゾルゲル法等の公知の成膜技術を用いることができる。
また、樹脂を構成材料とする保護層20としては、エポキシ系塗料等が挙げられる。このような樹脂層を形成する方法としては、上記の成分をケトン類等の溶媒に溶解させて塗布液を作製し、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法、ディップスピンコート法等を用いて非晶質層表面に塗布した後、例えば加熱するか、又は、この磁石素体10を大気中に放置して塗布液中の溶媒を揮発させて樹脂層を形成する方法を用いることができる。
本実施形態の希土類磁石1においては、耐食性の向上の観点及び十分な磁気特性の確保の観点から、その保護層30の膜厚が5〜100μmであると好ましく、更に生産コスト等の観点から、1〜30μmであるとより好ましい。
希土類磁石の用途は、ラインプリンター、自動車用スターター及びモーター、特殊モーター、サーボモーター、磁気記録装置用ディスク駆動、リニアアクチュエーター、ボイスコイルモーター、装置用モーター、工業用モーター、スピーカー及び核磁気共鳴診断用磁石などである。特に自動車用モーター等のオイルが飛沫するような環境で使用する場合においては、保護層が耐酸化性を有しているのみでは、十分に耐食性に優れた希土類磁石を得ることが困難である。かかる観点においても、本実施形態により得られた希土類磁石1は、硫化物、水分、塩水などの種々の腐食要因物質に対する耐性を有しているので、十分に優れた耐食性を備えたものである。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本発明の希土類磁石の製造方法の別の実施形態においては、ブラスト処理において、磁石素体10に砥粒180を衝突させる速度、磁石素体10の面に対する磁石素体10に砥粒180を衝突させる角度等を調節して、まず磁石素体10上の酸化膜等を除去する。続いて、これらの速度や角度等を再調整して上述のブラスト処理を行い、非晶質層を形成する方法がある。さらには、他の希土類磁石の製造方法の別の実施形態においては、非晶質層を形成しなくてもよい。このような希土類磁石においても、磁石素体10表面の酸化膜等が除去されているため、磁石素体10と保護層30との密着性に優れている。
また、本発明の別の実施形態の希土類磁石の形状は、図示したような直方体に限定されず、用途に応じた形状を有していればよい。具体的に、ハードディスク装置の駆動部分若しくは自動車用モータに用いられる場合は、円弧状切片の断面を有する柱形であってもよい。また、工業用加工機械に用いられる場合は、リング状や円板状の形状であってもよい。
また、別の実施形態の磁石素体10の構成材料としては、1種以上の希土類元素とCoとを含有するもの、あるいは1種以上の希土類元素とFeと窒素(N)とを含有するものなどが挙げられる。具体的には、例えば、Sm−Co系若しくはSm−Co17系(数字は原子比を表す。)などのSmとCoとを含有するもの、あるいは、Sm−Fe−N系などのSmとFeとNとを含むものなどが挙げられる。上記の構成材料を用いた場合においても、非晶質層に含有される元素の組成比が、磁石素体に含有される主成分元素の組成比と実質的に同一であると好ましい。具体的には、例えば、Sm−Fe−N系磁石の場合は、その磁石素体の主成分元素であるSm、Fe及びNについて、磁石素体中のそれらの元素の組成比と、非晶質層中のそれらの元素の組成比とが、実質的に同一であると好ましい。
本発明の希土類磁石は、上述の塩水噴霧試験の他、耐食性の評価方法である恒温恒湿試験及びプレッシャークッカー試験によっても、その腐食が認められないものである。ここで「恒温恒湿試験」とは、JIS−C−0097−2001に規定される耐食性評価試験をいい、試料を85℃、85%相対湿度の雰囲気中に504時間晒した後、腐食状態の確認を行う試験である。また、「プレッシャークッカー試験」とは、試料を120℃、飽和水蒸気が存在する雰囲気中に24時間晒した後、腐食状態の確認を行う試験である。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、粉末冶金法によって作製した14Nd−1Dy−7B−78Fe(数字は原子比を表す。)の組成をもつ焼結体に対し、Arガス雰囲気中で600℃、2時間熱処理を施した。次いで、熱処理後の焼結体を56×40×8(mm)の大きさに切断加工し、さらにバレル研磨処理により面取りを行って磁石素体を得た。
次に、得られた磁石素体を、アルカリ性の脱脂液を用いて洗浄した後、3%硝酸水溶液を用いて磁石素体の表面を活性化し、さらに十分に水洗した。
続いて、図5に示すものと同様のイオンビーム処理装置を用いて磁石素体の表面にイオンビーム処理を10分間施した。このとき、ビーム処理室内及びプラズマ生成室内を2×10−6Paに減圧した後、プラズマ生成室にArガスを流量20scc/分で導入し、フィラメント電源を50V、20A、イオン化電源を20V、0.5Aにしてプラズマを発生させた。また、グリッドに1.5kV程度の電圧をかけ、イオンビームを生成した。
さらに、窒素ガス雰囲気においてテトラエトキシシラン及び水を蒸発させて常圧熱CVD法を行い、100nmのSiO層(保護層)を形成した。このようにして実施例1の希土類磁石を得た。
(実施例2)
磁石素体を十分に水洗するまでは実施例1と同様にして、磁石素体の作製及びその表面の洗浄を行った。
続いて、図6のプラズマ処理装置を用いて磁石素体の表面にプラズマ処理を施した。このとき、プラズマ処理室内を20Pa程度に減圧した後、
プラズマ処理室にAr+N(Ar=15scc/分、N=20scc/分)ガスを導入した。また、高周波電源の高周波数は13.56MHzにし、高周波電源による出力を400Wとした。これにより、200Vのセルフバイアスが発生した。
さらに、ニッケルでめっき処理して、15μmのニッケルめっき層(保護層)を形成した。このようにして実施例2の希土類磁石を得た。
(実施例3)
磁石素体を十分に水洗するまでは実施例1と同様にして、磁石素体の作製及びその表面の洗浄を行った。
続いて、図4のブラスト処理装置を用いて磁石素体の表面に大きさ#60の鋼鉄粒子を砥粒として10分間、ブラスト処理を施した。ここで、噴射ノズルから砥粒を吹き出す圧力は、0.3MPaとした。
さらに、アルミニウムをプラズマ蒸着して10μmのアルミニウム層(保護層)を形成した。このようにして実施例3の希土類磁石を得た。
(比較例1)
磁石素体を十分に水洗するまでは実施例1と同様にして、磁石素体の作製及びその表面の洗浄を行った。
その後、ニッケルでめっき処理して、15μmのニッケルめっき層(保護層)を形成した。このようにして比較例1の希土類磁石を得た。
<結晶状態の確認>
まず、実施例1〜3及び比較例1の希土類磁石を、各層の積層方向に切断した。そして、この切断により露出した断面について、TEM観察を行った。その結果、実施例1〜3の希土類磁石について、希土類磁石の表面側から中心付近までの間に、3つの層(表面側から第1層、第2層、第3層とする)が確認された。また、そのうちの第3層では、粒子の存在が確認された。
一方、比較例1の希土類磁石においては、2つの層が確認された。
次に、電子線回折法を用いて、実施例1〜3及び比較例1の希土類磁石の、上記各層の結晶状態の確認を行った。その結果、実施例1〜3の希土類磁石のいずれにおいても、第1層及び第3層に、結晶の存在を示唆する回折パターンが確認された。また第2層では結晶の存在を示唆する回折パターンが確認されなかった。
上述の結果から想定される実施例1〜3の希土類磁石についての模式断面拡大図を図7に示す。すなわち、実施例1の希土類磁石は、その表面側から、アモルファス構造を含有する保護層30(第1層)、非晶質層20(第2層)、及び結晶を含有する磁石素体10の層(第3層)が積層された状態になっていると考えられる。また、実施例2〜3の希土類磁石は、その表面側から、結晶を含有する保護層30(第1層)、非晶質層20(第2層)、及び結晶を含有する磁石素体10の層(第3層)が積層された状態になっていると考えられる。
実施例1〜3の希土類磁石の断面構造を詳細に検討したところ、磁石素体10と非晶質層20との界面の粗さがRaとして1.27〜1.45μmであったのに対して、非晶質層20と保護層10との界面の粗さはRaとして0.68〜0.85μmであった。この結果から、非晶質層20の形成によって希土類磁石の表面粗さが改善されていることが確認された。
一方、比較例1の希土類磁石についても、同様にして結晶状態の確認を行ったところ、2つの層のいずれも結晶の存在を示唆する回折パターンが確認された。
<耐食性評価>
得られた実施例1〜3及び比較例1の希土類磁石について、JIS−C−0023−1989による24時間の塩水噴霧試験を行い、耐食性を評価した。
その結果、塩水噴霧試験において、実施例1〜3の希土類磁石については発錆が認められなかったが、比較例1の希土類磁石は発錆が認められた。
さらに、上記耐食性評価試験を行なった後、保護層の状態を確認した。電子顕微鏡(SEM)による保護層の表面観察を行った。実施例1〜3の希土類磁石については保護層の剥離が認められなかった。一方、比較例1の希土類磁石については保護層の部分的な剥離が認められた。
好適な実施形態に係る希土類磁石を示す斜視図である。 図1に示される希土類磁石のI−I線に沿った断面図である。 R−Fe−B系磁石の相構成を示す模式拡大図である。 好適な実施形態に係る希土類磁石の製造方法に用いられるブラスト処理装置の正面模式図である。 好適な実施形態に係る希土類磁石の製造方法に用いられるイオンビーム処理装置の正面模式図である。 好適な実施形態に係る希土類磁石の製造方法に用いられるプラズマ処理装置の正面模式図である。 実施例のR−Fe−B系磁石の相構成を示す模式拡大図である。
符号の説明
1…希土類磁石、10…磁石素体、20…非晶質層、30…保護層、180…砥粒(固体粒子)。

Claims (5)

  1. 希土類元素を含有する磁石素体と、
    その磁石素体の表面上に形成された実質的な非晶質層と、
    その非晶質層の表面上に形成された保護層と、を備え、
    前記非晶質層は、前記磁石素体に含有される磁石材料の主成分元素と同一の元素を含有し、
    前記非晶質層の前記保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmであり、
    前記保護層が、アルミニウム層であることを特徴とする希土類磁石。
  2. 前記非晶質層に含有される前記元素の組成比が、前記磁石素体に含有される前記主成分元素の組成比と実質的に同一であることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石。
  3. 希土類元素を含有する磁石素体と、
    前記磁石素体の表面に粒子ビームを衝突させて、前記磁石素体の前記表面付近を変質させて得られる実質的な非晶質層と、
    その非晶質層の表面上に形成された保護層と、を備え、
    前記非晶質層の前記保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmであり、
    前記保護層が、アルミニウム層であることを特徴とする希土類磁石。
  4. 前記非晶質層が、前記磁石素体の表面に固体粒子又は粒子ビームを衝突させて、前記磁石素体の前記表面付近を変質させて得られるものであることを特徴とする請求項1又は2記載の希土類磁石。
  5. 希土類元素を含有する磁石素体の表面に粒子ビームを衝突させる衝突工程と、
    前記磁石素体の前記衝突工程後の表面上に、保護層を形成する保護層形成工程と、を備え、
    前記保護層が、アルミニウム層であり、
    前記衝突工程において、前記磁石素体の表面付近を変形させて前記保護層側の表面の算術平均粗さRaが、0.3〜1.5μmである非晶質層を形成するように、粒子ビームを衝突させることを特徴とする希土類磁石の製造方法。
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