JP4422812B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、圧電素子が積層された振動板を筐体内に収納した圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、角速度検出装置の一つとして、一定方向に噴出されたガス流に対して、移動体の進行方向の変化による角速度が作用したときのガス流の偏向状態を、ヒートワイヤ等からなる感温素子を用いて電気的に検出するようにしたガス式角速度検出器が知られている(特開平2−130474号公報,特開平3−29858号公報,特開平3−255961号公報等参照)。
【0003】
また、この種の角速度検出装置では、上記各公報に開示されているように、角速度検出用のガス流を生成するためのポンプとして、圧電素子が積層された振動板を、ガスの吸入孔及び排出孔を備えた密閉筐体内に収納し、振動板の振動によって、吸入孔からガスを吸入し、排出孔からガスを吐出するように構成された圧電アクチュエータが使用されている。
【0004】
従来の圧電アクチュエータは、圧電素子が積層された振動板の周縁を、密閉筐体を構成する上ケースと下ケースとの間に挟持させるようにして、その上ケースと下ケースを加締めや溶接またはネジ止めなどによって結合させるようにしていた。
【0005】
また、圧電アクチュエータを駆動させるには、振動板に積層された圧電素子の表・裏面(詳しくは振動板への積層面と振動板とは反対側の面)に交流駆動電圧を印加し、圧電素子を伸縮させる必要がある。そのため、従来では、圧電素子の振動板とは反対側の表面にリード線を接続し、このリード線と圧電素子が積層された振動板との間に交流駆動電圧を印加することにより、圧電素子を伸縮させ、その伸縮により振動板を振動させるようにしている。
【0006】
そして、このようにリード線に交流駆動電圧を印加するには、リード線をケースの外部に引き出すために、密閉筐体(上ケース又は下ケース)には、リード線を挿通するためのリード線挿通孔が設けられ、このリード線挿通孔を介してリード線を外部に引き出すようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来では、リード線を、単にリード線挿通孔に通すだけであったため、圧電アクチュエータを角速度検出装置等に組み付けたり、リード線を電源装置に接続する場合に、リード線に強い力が加わると、その力が振動板に伝わり、振動板の振動特性が変化するとか、リード線が圧電素子から外れてしまい、使用不可能になる、といった問題があった。
【0008】
このため、従来の圧電アクチュエータを取り扱う際には、リード線に強い力(引っ張り力)が加わることのないよう、細心の注意を払う必要があり、圧電アクチュエータを取り扱う際の作業性の低下を招いていた。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、圧電素子を積層した振動板を筐体内に収納した圧電アクチュエータにおいて、筐体から引き出されたリード線に外力が加わっても、振動板の振動特性が変化することなく、常に正常動作できるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段,発明の実施の形態及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、板面中央に圧電素子が積層された振動板と、前記圧電素子の前記振動板とは反対側に接続されたリード線と、前記振動板の周縁を挟持した状態で前記振動板を収納するよう構成され、外壁に、前記リード線を外部に引き出すためのリード線挿通孔が穿設された筐体と、を備えた圧電アクチュエータであって、前記筐体の前記リード線挿通孔の開口部分には、該リード線挿通孔から該筐体の外側に向かって拡開する形状の接着剤溜りを形成し、前記接着剤溜りに接着剤を貯留して固化させることによって、該接着剤を前記リード線を前記筐体に固定する固定手段として構成して、前記筐体外部で前記リード線に加わる力が前記振動板に伝わるのを防止し、前記リード線において前記圧電素子への接続箇所と前記固定手段による前記筐体への固定箇所との間の部位の長さを該接続箇所と該固定箇所との離隔距離よりも大きくして、該部位に張力を加えることなく緩ませた状態で、該リード線が該固定手段により該筐体に保持されていることを特徴とする。
【0010】
このように、請求項1記載の圧電アクチュエータにおいては、既述した従来の圧電アクチュエータと同様、圧電素子に接続されたリード線が、リード線挿通孔を介して筐体外部に引き出されるが、リード線は、固定手段を介して、筐体に固定されることから、筐体外部でリード線に加わる力が、振動板に伝わることはない。
【0011】
このため、請求項1記載の圧電アクチュエータによれば、圧電アクチュエータを角速度検出装置等の使用対象物に組み付けたり、リード線を電源装置に接続する際に、リード線が引っ張られても、その力が振動板に伝わって、振動板の振動特性が変化したり、リード線が圧電素子から外れてしまうのを、確実に防止することができる。
【0012】
なお、本発明の圧電アクチュエータは、その製造時に、リード線を筐体に固定することになるが、この固定時には、圧電素子への接続箇所から筐体への固定箇所までの間で、リード線の長さに余裕を持たせ、筐体内でリード線に張力が加わらないようにする必要はある。
【0013】
これは、リード線に張力が加わった状態でリード線を筐体内に固定してしまうと、圧電素子の駆動に伴う振動板の振動が、リード線に加わった張力によって制限されてしまうとか、外部から筐体に加わった振動が振動板に伝わることがあるためである。
【0014】
つまり、振動板の振動特性を確保するには、筐体内部のリード線に張力を与えることのないよう、リード線を筐体に固定することが望ましい。
ここで、リード線を筐体に固定する固定手段としては、筐体にリード線を挟み込むための爪部を設けるとか、リード線をネジ止めするための固定部材を設けることによって構成してもよい。しかし、このようにすると、筐体の構造が複雑になるとか、圧電アクチュエータの構成部品が増加するといった問題がある。
【0015】
そこで、このような問題を発生させることなく、リード線を筐体に固定できるようにするには、請求項1に記載のように、固定手段として、接着剤を使用し、この接着剤によってリード線を筐体に固定するようにするとよい。つまり、固定手段を接着剤にて構成すれば、圧電アクチュエータの製造後に、リード線挿通孔からリード線を引き出した状態で、リード線に接着剤を塗布して筐体に固定すれば良いため、圧電アクチュエータの構成部品を変更又は増加させることなく、極めて簡単な作業でリード線を固定することができるようになる。また、接着剤は軽量であるため圧電アクチュエータ自体の総重量の増加を招くことはなく、しかも安価であるため圧電アクチュエータの製造コストを抑えることができる。
【0016】
ところで、接着剤は、一般に、塗布してから固化するまでの間の粘性が低いことから、リード線を接着剤を用いて筐体に固定する際、リード線に塗布した接着剤が、周囲に広がる虞がある。そして、このような場合には、リード線を固定する接着剤の量が減少してしまうため、十分な接着効果を得ることができない。
【0017】
そのため、請求項1記載のように、リード線を筐体に固定する固定手段として、接着剤を用い、筐体のリード線挿通孔の開口部分に、接着剤を貯留して固化させるための接着剤溜まりを形成するとよい。
【0018】
つまり、請求項1記載のように、リード線挿通孔の開口部分において、リード線挿通孔から筐体の外側に向かって拡開する形状を有する接着剤溜まりを設け、この接着剤溜まりに接着剤を充填して固化させるようにすれば、接着剤が固化するまでの間に、接着剤溜まりに充填した接着剤が周囲に広がることがないため、接着剤による接着効果を十分に発揮することができる。
【0019】
また、接着剤溜まりに必要かつ十分な分量の接着剤を貯留することができるため、この接着剤溜まりに設置されたリード線が動くことなく、確実に固定することが可能となる。また、筐体に均一な大きさの接着剤溜まりを形成することにより、この接着剤溜まりに貯留する接着剤の分量を管理することが可能となり、圧電アクチュエータの品質の向上や歩留まりの向上を実現することが可能となる。
【0020】
一方、請求項1に記載の圧電アクチュエータのように、リード線を筐体に固定する固定手段として、接着剤を用いる場合、その接着剤が、塗布後の固化によって硬くなる接着剤である場合には、固化後の硬度にもよるが、筐体の振動が、接着剤を介して、直接リード線に伝わることが考えられる。そして、筐体の振動がリード線に伝わると、その振動は、リード線を介して、圧電素子、延いては振動板に伝達され、振動板の振動特性に影響を与えることになる。
【0021】
そこで、リード線を接着剤にて固定する際には、請求項2に記載のように、固化後においても弾性を有する可撓性樹脂から成る接着剤を使用することが望ましい。つまり、こうした可撓性樹脂からなる接着剤を使用すれば、接着剤が固化してもリード線は弾性材を介して筐体に固定されることになるため、外部から筐体に伝わった振動を、接着剤にて吸収若しくは低減することができ、その振動がリード線を介して振動板に伝わり、振動板の振動特性が変化するのを防止できる。
【0022】
また次に、本発明において、振動板を収納する筐体は、金属製のものであっても、合成樹脂性のものであっても良いが、筐体を合成樹脂にて構成すれば、圧電アクチュエータの軽量化を図り、且つ、製造コストを低減できることになる。
しかし、筐体を合成樹脂にて構成した場合、筐体単体で振動板周縁を挟持させることにより、所望の振動特性を得られるようにすることは難しく、また、圧電素子駆動のために振動板(詳しくは振動板への圧電素子の積層面)に交流駆動電圧を印加するのが難しい。
【0023】
つまり、圧電素子を駆動して振動板を振動させるためには、圧電素子の表・裏面に交流駆動電圧を印加する必要があり、このためには、リード線と振動板との間に交流駆動電圧を印加する必要がある。
そして、筐体を金属製にすれば、振動板周縁を筐体にて挟持させ、この筐体とリード線との間に交流駆動電圧を印加すれば、圧電素子を駆動して振動板を振動させることができる。しかし、筐体を合成樹脂にて構成した場合、筐体にて振動板周縁を挟持しても、筐体を介して、振動板(延いては圧電素子)に交流駆動電圧を印加することができない。
【0024】
また、圧電素子への電圧印加によって振動板を振動させるには、振動板の振動が周囲に漏れないように、振動板周縁を硬い金属でしっかりと挟持する必要があり、筐体を合成樹脂にて構成し、筐体単体で振動板周縁を挟持するようにすると、振動板を所望の振動特性で振動させることができない。
【0025】
このため、本発明(請求項1又は請求項2)の圧電アクチュエータの軽量化・低コスト化を図るために、筐体を合成樹脂にて構成する場合には、請求項3に記載のように、振動板周縁を金属製の環状部材にて挟持した状態で、前記筐体内に収納することが望ましい。
【0026】
つまり、このように構成すれば、振動板周縁が金属製の環状部材にて挟持されるので、振動板の振動特性を確保することができ、しかも、圧電素子の振動板への積層面には、振動板周縁を挟持した環状部材を介して電圧を印加できるので、圧電素子への交流駆動電圧の印加経路を容易に確保することができる。
【0027】
また、本発明(請求項1〜請求項3)の圧電アクチュエータは、振動板の形状,板厚,材質、或いは振動板の周縁を挟持する挟持力等によって、振動板の振動特性(共振周波数)が決まるため、これらのパラメータを適宜設定することにより、振動板の振動特性を任意に設定することができる。このため、本発明の圧電アクチュエータは、前述したポンプとして使用する以外にも、例えば、振動板の振動により所定周波数帯の音波(例えば超音波)を発生する音波発生器として構成し、超音波洗浄機や加湿機(霧化機)の駆動源として使用することもできる。
【0028】
そして、特に、前述した角速度検出装置用のポンプとしてしようする場合には、請求項4に記載のように、筐体を密閉構造とし、この筐体の外壁に、ガスの吸入孔及び排出孔を設けて、振動板の振動によりガスを吸入孔から筐体内部に吸入し、排出孔からガスを吐出するように構成すればよい。
【0029】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、前述のポンプとして構成された実施例の圧電アクチュエータの構成を表し、(a)はその平面図、(b)は(a)に示すX−X線断面図、(c)は(b)に示すA部分の拡大断面図である。
【0030】
図1に示すように、本実施例の圧電アクチュエータ2は、中央に凹部4aを有し、円皿状を呈する合成樹脂製のアッパケース4と、円盤状を呈する合成樹脂製のロワケース6と、これら各ケース4,6の内側において互いに対向配置することにより形成されるポンプ室を2分する金属製の振動板8と、振動板8の周縁を挟持する金属製の環状部材である一対の支持リング12a,12bとを備える。
【0031】
振動板8は、扁平な円盤状に形成されており、アッパケース4側の板面中央には、圧電素子10が積層されている。圧電素子10は、PZT等の圧電体の表・裏面に電極を形成したものであり、圧電素子10の振動板とは反対側(表面)には、振動板8の振動特性に対応した周波数の交流駆動電圧を印加するためのリード線14aが、半田付け,ろう付け或いは溶接等により接続されている。なお、リード線14aは、導電線をシリコンゴム等の絶縁材にて被覆した被覆線である。
【0032】
支持リング12aは、内側に振動板8を設置できるように、その断面形状が階段状を呈しており、更に、支持リング12a上端の外側端部周縁には、加締め用の薄板部Pが形成されている。また、支持リング12bは、断面形状が略長方形となるように形成されている。
【0033】
そして、振動板8は、まず振動板8を支持リング12aの内側に設置し、その上から支持リング12bを設置し、支持リング12aの薄板部Pを内側に折り曲がるように所定の治具にて加締めることにより、その周縁が、支持リング12a,12bに挟持され、支持リング12a,12bと一体化されている。
【0034】
またこのように支持リング12a,12bと一体化された振動板8は、支持リング12a,12bが各ケース4,6の凹部4b,6bにて挟持されることにより、ポンプ室内に固定され、ポンプ室を上下2室に分離している。
尚、支持リング12aの側壁には、支持リング12aを介して振動板8(延いては圧電素子10の振動板8側電極)に交流駆動電圧を印加するために、リード線14aと同じ被覆線からなるリード線14bが、半田付け,ろう付け或いは溶接等によって接続されている。また、本実施例において、アッパケース4とロワケース6とを形成する合成樹脂は、共に、ABS樹脂からなり、振動板8及び支持リング12a,12bは、共に、鉄とニッケルとの合金であるFe42Niからなる。
【0035】
次に、アッパケース4の凹部4aのうち、リード線14aが圧電素子10に半田付けされる部分は、段差を付けてより大きく凹んでおり、その凹部の上側壁には、リード線14aを外部に引き出すためのリード線挿通孔4cと、ポンプ室内に外気を導入するための吸入孔4dとが、それぞれ穿設されている。また、アッパケース4において、支持リング12aにリード線14bが半田付けされている側の側壁には、リード線14bを外部に引き出すためのリード線挿通孔4eが穿設されている。
【0036】
そして、アッパケース4の凹部4aにおいて、振動板8と対向する対向面の吸入孔4dとは離れた位置には、ポンプ室内のガスを排出するための吹出ノズル16が形成され、吹出ノズル16に穿設された排出孔16aから、ポンプ室内のガスを真っ直ぐ吐出できるようにされている。そして、振動板8における排出孔16aとの対向位置には連通孔8aが穿設され、この連通孔8aにて、アッパケース4の凹部4aにて形成される一方のポンプ室と、ロワケース6側に形成される他方のポンプ室とが連通されている。
【0037】
また、アッパケース4の周縁でロワケース6に当接する当接部分には、凸条18aが形成され、ロワケース6においてアッパケース4に当接する当接部分には、凸条18aに対応する溝部18bが形成されている。そして、アッパケース4とロワケース6とは、凸状18aを溝部18bに嵌合させ、さらに接着剤により接着させることにより、一体化され、密閉筐体を構成している。
【0038】
一方、アッパケース4の外側において、リード線挿通孔4cの開口部分には、接着剤22を貯留して硬化させるための接着剤溜まり20が形成されている。接着剤溜まり20は、接着剤22を貯留する部分が浴槽状を呈し、接着剤22を貯留する窪みの方向は、リード線挿通孔4cの貫通方向に平行である。そして、接着剤溜まり20は、リード線14aの外径よりも大きく、しかも、アッパケース4の内側から引き出されたリード線14aが動くことなく、必要かつ十分な量の接着剤22を貯留できる大きさを有している。
【0039】
リード線14aは、接着剤溜まり20に充填された接着剤22にて、アッパケース4に固定されるが、この固定は、リード線14aに張力を加えることなく、適度に緩ませた状態で、リード線14aをリード線挿通孔4cから外部に引き出した状態で、接着剤溜まり20に接着剤22を注ぎ込み、必要かつ十分な時間を経て、接着剤22を固化させる、といった手順で行われる。なお、この接着剤22は、固化しても弾性を有する、エポキシ系或いはシリコン系の可撓性樹脂からなる。
【0040】
ところで、アッパケース4およびロワケース6に施した複雑な形状は、アッパケース4およびロワケース6の構成材料にABS樹脂が使用されているため、モールド成形にて容易に形成することが可能である。また、ABS樹脂などの合成樹脂を使用することにより、軽量化を実現することが可能となると共に、製造コストを低減することが可能となる。
【0041】
以上説明したように、本実施例の圧電アクチュエータ2では、リード線挿通孔4cを介して外部に引き出されたリード線14aを、接着剤溜まり20に充填された接着剤22にて、アッパケース4に固定するようにされているため、リード線14aを確実に、しかも動かないようにアッパケース4に固定することが可能となる。
【0042】
そして、リード線挿通孔4cから引き出されたリード線14aが、引っ張られても、アッパケース4の内側では、リード線14aは、適度に緩んだ状態で保持されることから、圧電素子10および振動板8の振動特性を阻害することなく、圧電素子10および振動板8が本来有している振動特性を十分に発揮させることが可能となる。
【0043】
また、リード線14aをアッパケース4に固定する際に使用する接着剤22には、固化しても弾性を有する可撓性樹脂からなる接着剤が使用されるため、アッパケース4の振動が、リード線14aを介して振動板10に伝わり、振動板8の振動特性が変化するといったことも防止できる。
【0044】
また、こうした樹脂製の接着剤22は、リード線14aを被覆しているシリコンゴムやアッパケース4の構成材料のABS樹脂に対して、腐食等、何らの影響を与えることがないため、使用中に、リード線14aの固定部分が劣化するようなことはなく、リード線14aの固定効果を長期間持続できる。
【0045】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、以下のように変更してもく、その場合でも、上記実施例と同様の作用および効果を得ることができる。
(1)接着剤溜まり20は、接着剤を貯留する部分が浴槽状の形状を呈するように形成するのに限定されず、必要かつ十分な量の接着剤を貯留できるならば、他の形状(例えば、ボール状,すり鉢状,ラッパ状など)にて形成してもよい。
【0046】
(2)アッパケース4またはロワケース6は、ABS樹脂に限定されず、容易にモールド成形可能であれば、他の合成樹脂材料(例えば、PBT樹脂,6−ナイロン樹脂,テフロン樹脂など)を用いて形成してもよい。なお、PBT樹脂は、ABS樹脂と同様に、エポキシ系樹脂接着剤と相性が良いため好適である。
【0047】
また、合成樹脂材料に代えて、金属材料(例えば、鉄とニッケルとの合金であるFe42Niなど)を用いて形成してもよい。その場合には、振動板8の周縁を支持リング12a,12bにて必ずしも支接する必要がなく、またケース自体にて接地可能であるため、リード線14bを支持リング12aに半田付けして接地するのを省略することが可能である。
【0048】
(3)リード線14aは、アッパケース4の内側においては被覆材にて被覆されなくてもよい。
(4)リード線14bを外部に引き出すためのリード線挿通孔4eにも、リード線14bをアッパケース4に固定するための接着剤を充填するようにしてもよい。このようにすると、リード線14bが不用意に引っ張られた場合に、リード線14bが支持リング12aから外れるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の圧電アクチュエータの構成を表す説明図である。
【符号の説明】
2…圧電アクチュエータ、4…アッパケース、4c…リード線挿通孔、6…ロワケース、8…振動板、10…圧電素子、12a,12b…支持リング、14a,14b…リード線、20…接着剤溜まり、22…接着剤。
Claims (4)
- 板面中央に圧電素子が積層された振動板と、
前記圧電素子の前記振動板とは反対側に接続されたリード線と、
前記振動板の周縁を挟持した状態で前記振動板を収納するよう構成され、外壁に、前記リード線を外部に引き出すためのリード線挿通孔が穿設された筐体と、
を備えた圧電アクチュエータであって、
前記筐体の前記リード線挿通孔の開口部分には、該リード線挿通孔から該筐体の外側に向かって拡開する形状の接着剤溜りを形成し、
前記接着剤溜りに接着剤を貯留して固化させることによって、該接着剤を前記リード線を前記筐体に固定する固定手段として構成して、前記筐体外部で前記リード線に加わる力が前記振動板に伝わるのを防止し、
前記リード線において前記圧電素子への接続箇所と前記固定手段による前記筐体への固定箇所との間の部位の長さを該接続箇所と該固定箇所との離隔距離よりも大きくして、該部位に張力を加えることなく緩ませた状態で、該リード線が該固定手段により該筐体に保持されていることを特徴とする圧電アクチュエータ。 - 前記接着剤は、固化後に弾性を有する可撓性樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の圧電アクチュエータ。
- 前記筐体は、合成樹脂からなり、前記振動板は、金属製の環状部材にて周縁が挟持された状態で、前記筐体内に収納されることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の圧電アクチュエータ。
- 前記筐体を密閉構造とし、該筐体の外壁に、ガスの吸入孔及び排出孔を設けることにより、前記振動板の振動によりガスを吸・排するポンプとして構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の圧電アクチュエータ。
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