JP4347955B2 - 圧電アクチュエータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧電素子が積層された振動板を筐体内に収納した圧電アクチュエータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、角速度検出装置の一つとして、一定方向に噴出されたガス流に対して、移動体の進行方向の変化による角速度が作用したときのガス流の偏向状態を、ヒートワイヤ等からなる感温素子を用いて電気的に検出するようにしたガス式角速度検出器が知られている(特開平2−130474号公報,特開平3−29858号公報,特開平3−255961号公報等参照)。
【0003】
また、この種の角速度検出装置では、上記各公報に開示されているように、角速度検出用のガス流を生成するためのポンプとして、圧電素子が積層された振動板を、ガスの吸入孔及び排出孔を備えた密閉筐体内に収納し、振動板の振動によって、吸入孔からガスを吸入し、排出孔からガスを吐出するように構成された圧電アクチュエータが使用されている。
【0004】
従来の圧電アクチュエータは、圧電素子が積層された振動板の周縁を、密閉筐体を構成する共に金属製の上ケースと下ケースとの間に挟持させるようにして、その上ケースと下ケースを加締めや溶接またはネジ止めなどによって結合させるようにすることによって、振動板を筐体に収納していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような金属製の筐体を有する圧電アクチュエータを組み立てる際には、振動板を上ケースと下ケースとの間に組み込む工程など、振動板自体に直接触れて取り扱う場合があった。
【0006】
ところが、一般に、圧電素子を積層する振動板は、使用する共振周波数にも拠るが、薄板材にて形成される。そのため、薄板状の振動板自体は把持しにくく、その取扱中に不用意に、振動板を落下させるなどして破損させることがあった。そのような振動板は、共振特性等が正常に機能しなくなるため破棄処分される。また、振動板を取り扱う際に、気づかない内に不用意に傷を生じさせることもあり、そのような振動板を使用した圧電アクチュエータは、共振特性などに多大なる影響を及ぼすなど、信頼性の低下を招くことになる。そして、振動板が破損することにより、圧電アクチュエータの製造歩留まりの低下を招くなどの影響を及ぼす。
【0007】
そのため、振動板の取り扱いには細心の注意が要求され、圧電アクチュエータの生産性が良くなかった。
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、振動板を筐体内に収納した圧電アクチュエータの生産性を向上することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段,発明の実施の形態及び発明の効果】
かかる目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、板面中央に圧電素子が積層された振動板と、前記振動板を収納する筐体とを備えた圧電アクチュエータにおいて、前記圧電素子が積層されない前記振動板の板面周縁部分を挟持可能に構成され、一部材にて形成された金属製の環状部材を備え、前記振動板と前記環状部材とを一体化した状態で筐体に収納し、前記環状部材に、当該環状部材を介して前記振動板に交流駆動電圧を印加するためのリード線が接続され、前記環状部材は、前記振動板を載置可能に構成された本体部分と、該振動板を載置した際に、該振動板の周縁部分を包囲するように突設された板状部分とを備え、前記圧電素子が積層されない該振動板の周縁部分を該本体部分に載置し、該板状部分を折り曲げて該振動板の周縁部分を挟み、該板状部分を加締めることにより、該振動板の周縁部分を該環状部材にて挟持固定することを特徴とする。
【0009】
このように、請求項1記載の圧電アクチュエータにおいては、従来の圧電アクチュエータでは振動板を直接筐体に固定していたのとは異なり、振動板をまず環状部材に固定するようにしたため、振動板を取り扱う際には、環状部材を把持するなどして取り扱えばよく、その取り扱いに要する注意量が軽減される。
【0010】
また、振動板を環状部材に固定した以降では、例えば、圧電素子の積層やこの圧電素子に駆動電源供給用のリード線を取り付けるなどを除き、この振動板自体に直接触れて取り扱うことをなくすことが可能となるため、圧電アクチュエータの製造途中での振動板の破損を未然に防ぐことが可能となる。そのため、圧電アクチュエータの取り扱いが容易となり、生産性を向上させることが可能となる。
【0011】
また、本発明(請求項1)のように、環状部材を硬い金属にて形成して振動板の周縁部分を挟持することにより、振動板が金属製の上下からなる筐体に挟持された従来の圧電アクチュエータと同様に、振動板の振動を筐体等の外部へ伝わりにくくすることが可能となる。また、振動板の周縁部分が固定されているため、安定して振動板が振動でき、所望の共振特性を得ることが可能となる。
【0012】
ところで、圧電素子を駆動して振動板を振動させるためには、圧電素子の表・裏面に交流駆動電圧を印加する必要があり、そのためには、圧電素子と振動板との間に交流駆動電圧を印加する必要がある。
本発明(請求項1)では、環状部材を金属にて形成しているため、この環状部材を介して振動板に駆動電圧を供給することが可能となる。つまり、圧電素子と環状部材との間に交流駆動電圧を印加することにより、圧電素子を駆動させることが可能となり、振動板を振動させることが可能となる。
【0013】
また、従来の圧電アクチュエータでは、振動板を収納する筐体の形成材料に金属が用いられていたが、その理由の一つは、筐体と圧電素子との間に交流駆動電圧を印加し、圧電素子を駆動させて振動板を振動させていたためであった。
そこで、本発明の圧電アクチュエータは、先に述べたように、圧電素子を駆動させるには、この圧電素子と環状部材との間に交流駆動電圧を印加すればよいので、これらを収納する筐体には、金属に限定されることなく、種々の形成材料(例えば、非導電性材料など)を用いることが可能となる。
ところで、振動板の周縁部分を環状部材にて挟持固定するには、焼きばめ等、種々の手段が考えられる。しかし、焼きばめでは、環状部材に予め、振動板の周縁部分を支持するための溝を形成しておく必要があるのと、環状部材を加熱した状態で、振動板の周縁部分を挟み、その状態で冷却して固定する必要とがあるため、工程が複雑化し、各部材が加熱または冷却にて変形してしまう可能性があり、挟持固定は困難である。
そこで、請求項1に記載のように、振動板が載置できる本体部分を設けた上で、振動板の周縁部分を包囲するように板状部分を環状部材に突設するとよい。しかも、板状部材は、折り曲げられるように構成しておく。
このように環状部材を構成することにより、振動板を環状部材にて挟持固定するには、環状部材上に振動板の周縁部分を載置し、振動板を挟みながら板状部分を振動板側に折り曲げ、さらに折り曲げた板状部分を加締めることにより、振動板の周縁部分を環状部材にて挟持固定することが可能となる。また、環状部材を折り曲げる際には、少なくとも設置した振動板の周縁部分における表・裏面が環状部材に密着するようにするとよい。
つまり、折り曲げおよび加締めといった作業は単純に行うことができ、しかも環状部材が金属であるため、それらの作業を容易に行うことが可能となる。また、加締めることによって、振動板と環状部材とをほぼ一体固定することが可能となり、良好に、振動板の所望の共振特性を得ることが可能となる。
また、環状部材は、単に板状に形成してもよい。その場合には、振動板の周縁部分を載置でき、かつ、環状部材を折り曲げることができ、振動板の周縁部分を挟持固定するのに必要かつ十分な大きさを有するのが望ましい。ただし、単なる板状では、折り曲げる際に無理な力が振動板に加わる可能性があり慎重に行う必要がある。
また、板状部分を突設するのではなく、振動板の周縁部分が載置できるように構成した上で、環状部材をあらかじめ適度に折り曲げておき、その状態の環状部材上に振動板の周縁部分を設置するようにしてもよい。この場合においても、先に述べた板状部分と同様の効果を得ることが可能となる。しかし、折り曲げの容易さの観点からは、薄板状を呈するように構成したほうがよい。
【0014】
なお、筐体の形成材料としては、請求項2に記載のように、合成樹脂を用いるのがよい。合成樹脂を用いると、例えば、この圧電アクチュエータをポンプとして形成する場合には、前述した吸入孔,排出孔,リード線挿通孔などが、モールド成形などの方法により、精密に、しかも容易に加工することが可能となる。また、筐体を成形にて形成することが可能となるため、高品質を有する同一の筐体を大量に製造することが可能となり、圧電アクチュエータの生産性の向上を図ることが可能となる。
【0015】
しかも、合成樹脂は金属に比べて安価であるため、製造コストの低減を図ることが可能となる。また、合成樹脂は金属に比べて軽量であるため、このような圧電アクチュエータを装着した装置全体の軽量化を図ることができる。
また、合成樹脂製の筐体に振動板を収納し、振動板を振動させても、振動板の周縁部分は金属製の硬い環状部材に挟持固定されているため、振動板の振動は筐体へ伝わりにくい。
【0016】
尚、合成樹脂材料としては、容易にモールド成形可能であれば、種々の合成樹脂を使用することが可能であり、例えば、PBT樹脂,6−ナイロン樹脂,テフロン樹脂、PBT樹脂、ABS樹脂などが好適である。
【0021】
ところで、振動板の周縁部分を環状部材にて確実に挟持し、しかも、所望の振動板の共振特性を確実に得ようとするならば、請求項3の記載のように、環状部材において、振動板と接触する部分に突条部分を設ければよい。
つまり、環状部材において、振動板の周縁部分を突条部分にて挟持すると、挟持圧力(つまり、加締めにて発生している圧力)が突条部分に集中するため、あたかも振動板に突条部分が食い込むように環状部材が振動板に接することとなる。したがって、振動板を環状部材に、より確実に一体固定することが可能となる。
【0022】
ところで、本発明(請求項1〜請求項3)の圧電アクチュエータは、振動板の形状,板厚,材質、或いは振動板の周縁を挟持する挟持力等によって、振動板の振動特性(共振周波数)が決まるため、これらのパラメータを適宜設定することにより、振動板の振動特性を任意に設定することができる。このため、本発明の圧電アクチュエータは、前述したポンプとして使用する以外にも、例えば、振動板の振動により所定周波数帯の音波(例えば超音波)を発生する音波発生器として構成し、超音波洗浄機や加湿機(霧化機)の駆動源として使用することもできる。
【0023】
そして、特に、前述した角速度検出装置用のポンプとしてしようする場合には、請求項4に記載のように、筐体を密閉構造とし、この筐体の外壁に、ガスの吸入孔及び排出孔を設けて、振動板の振動によりガスを吸入孔から筐体内部に吸入し、排出孔からガスを吐出するように構成すればよい。
【0024】
【実施例】
以下に本発明の実施例を図面と共に説明する。
図1は、前述のポンプとして構成された実施例の圧電アクチュエータの構成を表し、(a)はその平面図、(b)は(a)に示すX−X線断面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施例の圧電アクチュエータ2は、中央に凹部4aを有し、円皿状を呈する合成樹脂製のアッパケース4と、円盤状を呈する合成樹脂製のロワケース6と、これら各ケース4,6の内側において互いに対向配置することにより形成されるポンプ室を2分する金属製の振動板8と、振動板8の周縁を挟持する金属製の環状部材である支持リング12とを備える。振動板8は、扁平な円盤状に形成されており、アッパケース4側の板面中央には、圧電素子10が積層されている。圧電素子10は、PZT等の圧電体の表・裏面に電極を形成したものであり、圧電素子10の振動板とは反対側(表面)には、振動板8の振動特性に対応した周波数の交流駆動電圧を印加するためのリード線14aが、半田付け,ろう付け或いは溶接等により接続されている。尚、リード線14aは、導電線をシリコンゴム等の絶縁材にて被覆した被覆線である。
【0026】
ところで、支持リング12は、円盤状の振動板8を設置できるように、その上面は平らに形成されている。更に、支持リング12上端の外側端部周縁には、加締め用の板状部分Pが形成されている。
図2は、図1(a)に示すX−X線断面に相当する箇所における、圧電素子10が積層された振動板8と支持リング12との関係を示す拡大図を表す。
【0027】
振動板8を支持リング12に固定するには、図2(a)に示すように、まず振動板8の周縁部分を支持リング12の上面内側(板状部分Pの内側に相当)に設置し、次に、図2(b)に示すように、支持リング12の板状部分Pを、所定の治具にて内側に折り曲げる。更に、所定の治具にて板状部分Pを加締めることにより、振動板8の周縁部分が、支持リング12に挟持され、支持リング12と一体固定される。
【0028】
また、このように支持リング12と一体化された振動板8は、支持リング12が各ケース4,6の凹部18a,18bにて挟持されることにより、ポンプ室内に固定され、ポンプ室を上下2室に分離している。
尚、支持リング12の側壁には、支持リング12を介して振動板8(延いては圧電素子10の振動板8側電極)に交流駆動電圧を印加するために、リード線14aと同じ被覆線からなるリード線14bが、半田付け,ろう付け或いは溶接等によって接続されている。また、本実施例において、アッパケース4とロワケース6とを形成する合成樹脂は、共に、ABS樹脂からなり、振動板8及び支持リング12は、共に、鉄とニッケルとの合金であるFe42Niからなる。
【0029】
次に、アッパケース4の凹部4aのうち、リード線14aが圧電素子10に半田付けされる部分は、段差を付けてより大きく凹んでおり、その凹部の上側壁には、リード線14aを外部に引き出すためのリード線挿通孔4cと、ポンプ室内に外気を導入するための吸入孔4dとが、それぞれ穿設されている。また、アッパケース4において、支持リング12にリード線14bが半田付けされている側の側壁には、リード線14bを外部に引き出すためのリード線挿通孔4eが穿設されている。
【0030】
そして、アッパケース4の凹部4aにおいて、振動板8と対向する対向面の吸入孔4dとは離れた位置には、ポンプ室内のガスを排出するための吹出ノズル16が形成され、吹出ノズル16に穿設された排出孔16aから、ポンプ室内のガスを真っ直ぐ吐出できるようにされている。そして、振動板8の排出孔16aとの対向位置には、連通孔8aが穿設され、この連通孔8aにて、アッパケース4の凹部4aにて形成される一方のポンプ室と、ロワケース6側に形成される他方のポンプ室とが連通されている。
【0031】
また、アッパケース4の周縁でロワケース6に当接する当接部分には、凸条4bが形成され、ロワケース6においてアッパケース4に当接する当接部分には、凸条4bに対応する溝部6bが形成されている。そして、アッパケース4とロワケース6とは、振動板8を固定した支持リング12を挟持しながら、凸条4bを溝部6bに嵌合させ、更に接着剤により接着させることにより、アッパケース4,ロワケース6,支持リング12が一体化され、密閉筐体を構成している。
【0032】
ところで、アッパケース4およびロワケース6に施した複雑な形状(例えば、吸気孔4d、リード線挿通孔4c,4e、吹出ノズル16、排出孔16a、凸条4b、溝部6bなど)は、アッパケース4およびロワケース6の構成材料にABS樹脂が使用されているため、モールド成形にて容易に形成することが可能である。また、ABS樹脂などの合成樹脂を使用することにより、軽量化を実現することができるため製造コストを低減することが可能となる。
【0033】
以上説明したように、本実施例の圧電アクチュエータ2では、圧電素子10を積層した振動板8を金属製の支持リング12の上面に設置して、支持リング12の板状部分Pを振動板8側に折り曲げ、更に加締めることによって、振動板8と支持リング12とを容易に一体固定することが可能となる。また、一体固定することによって、振動板8の所望の共振特性等を得ることが可能である。
【0034】
そして、板状部分Pを折り曲げて加締めるといった作業は単純であり、しかも、圧電アクチュエータ2を組み立てる際等、振動板8を取り扱う際には、支持リング12を把持して取り扱えばよいため、振動板を破損することを防止でき、生産性を向上させることが可能となる。
【0035】
また、支持リング12が導電体のFe42Niから形成されているため、圧電素子10を駆動させるための交流駆動電源は、この圧電素子10と、支持リング12との間に印加すればよいため、ABS樹脂からなるアッパケース4およびロワケース6に、圧電素子10を積層した振動板8と支持リング12とを収納しても、外部に引き出された各リード線14a,14bを介して交流駆動電源を印加することが可能となる。
【0036】
このように、支持リング12に導電体のFe42Niを使用することで、振動板8を収納するアッパケース4およびロワケース6にABS樹脂を用いることが可能となり、圧電アクチュエータ2の軽量化を図ることが可能となる。また、ABS樹脂を使用することで、アッパケース4およびロワケース6に形成する複雑な形状は、モールド成形にて容易に形成することが可能となるため、生産性を向上させることが可能となる。更に、ABS樹脂は、生産性を向上させるだけでなく、それ自体が金属に比べて安価であるため、圧電アクチュエータ2の製造コストを低減させることが可能となる。
【0037】
また、振動板8は、支持リング12に固定され、その状態の支持リング12がアッパケース4およびロワケース6からなる筐体に密閉収納されているため、振動板8の良好な特性(例えば、共振特性など)を得ることが可能となる。
尚、アッパケース4またはロワケース6は、ABS樹脂に限定されず、容易にモールド成形可能であれば、他の合成樹脂材料(例えば、PBT樹脂,6−ナイロン樹脂,テフロン樹脂など)を用いて形成してもよい。
【0038】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、以下のように変更してもく、その場合でも、上記実施例と同様の作用および効果を得ることができる。
例えば、支持リング12の上面は、平らに形成されることに限定されず、振動板8を設置でき、しかも、板状部分Pを折り曲げた上で加締めても、振動板8を確実に挟持固定でき、良好な振動板8の共振特性を得ることができるならば、以下の形状1〜3に示すように支持リング12の上面には突条部分を設けてもよい。
【0039】
図3は支持リング12の上面の各種形状を示す拡大断面図である。
形状1は、複数の突条部分Tを有するように形成したもので、突条部分Tの上部は尖状を成している。このように、支持リング12の上面に尖状の突条部分Tを形成すると、支持リング12(または突条部分T)が振動板8と同じ硬度か、あるいはそれ以下の硬度を有する場合には、支持リング12の上面に振動板8を設置して、板状部分Pを振動板側に折り曲げて加締めることにより、突条部分Tの上部付近が加締め等の圧力を受けてつぶれ、支持リング12と振動板8とを互いに密着固定することが可能となる。
【0040】
したがって、支持リング12上面を平らに形成した場合と同様に、良好な共振特性等を得ることが可能であり、振動板8の振動を外部へ伝達するのを防止することが可能となる。
また、形状2のように、上部に丸みを有する複数の突条部分Rを持たせて支持リング12の上面を形成してもよい。この場合においても、振動板8を支持リング12に確実に挟持固定させることが可能であり、良好な共振特性等を得ることが可能であり、振動板8の振動を外部へ伝達するのを防止することが可能となる。
【0041】
そして、形状3のように、上部が平らに形成された複数の突条部分Fを持たせて支持リング12の上面を形成すると、形状2の場合よりも支持リング12が振動板8に接する面積が大きくなるため、より確実に振動板8を挟持固定することが可能であり、更に良好な共振特性等を得ることが可能である。
【0042】
このように、支持リングの12の上面に突条部分を設けることにより、振動板8の良好な共振特性等を得ることが可能である。さらに、振動板8の振動を、この突条部分にて吸収させることが可能となり、振動板8の振動をアッパケース4やロワケース6などの筐体に伝達するのを防ぐことが可能となる。
【0043】
尚、形状1〜3に示した形状は、支持リング12の上面に形成するのに限定されず、板状部分Pにおける振動板8側の面(詳しくは、折り曲げた際に振動板8に接する面)に形成してもよい。その場合においても良好な共振特性を得ることが可能となる。
【0044】
また、支持リング12の上面と、板状部分Pにおける振動板8側の面との両面に形状1〜3のような突条部分を設けると、振動板8のさらに良好な共振特性等を得ることが可能である。また、振動板8の振動を両面の突条部分にて確実に吸収することが可能となり、筐体外に振動板8の振動の伝達を確実に防止することが可能となる。
【0045】
なお、支持リング12の上面に形成する突条部分と、板状部分Pに形成される突条部分とを互い違いに配列するようにすれば、振動板8の周縁部分を挟持する際に、振動板8の周縁部分は波を打つように支持リング12と板状部分Pとに挟持されるため、振動板8を支持リング12に、一体固定することが可能となるので好適である。
【0046】
また、支持リング12が有する板状部分Pは、薄板状を成すのに限定されず、厚みを持たせた板状を成してもよい。その場合にも、塑性変形し、塑性変形後に弾性変形する材料にて支持リング12を形成することが必要である。
そして、板状部分Pは、支持リング12上端における外側端部周縁に形成されるのに限定されず、支持リング12の上面において、より内側(例えば、中央部、あるいは、内側端部周縁と外側端部周縁との間など)に位置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の圧電アクチュエータの構成を表す説明図である。
【図2】 実施例の振動板8と支持リング12との関係を示す説明図である。
【図3】 実施例の支持リング12の上面の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
2…圧電アクチュエータ、4…アッパケース、4d…吸入孔、6…ロワケース、8…振動板、10…圧電素子、12…支持リング、14a,14b…リード線、16a…排出孔、P…板状部分、F,T,R…突条部分。
Claims (4)
- 板面中央に圧電素子が積層された振動板と、
前記振動板を収納する筐体と、
を備えた圧電アクチュエータにおいて、
前記圧電素子が積層されない前記振動板の板面周縁部分を挟持可能に構成され、一部材にて形成された金属製の環状部材を備え、
前記振動板と前記環状部材とを一体化した状態で筐体に収納し、
前記環状部材に、当該環状部材を介して前記振動板に交流駆動電圧を印加するためのリード線が接続され、
前記環状部材は、
前記振動板を載置可能に構成された本体部分と、
該振動板を載置した際に、該振動板の周縁部分を包囲するように突設された板状部分とを備え、
前記圧電素子が積層されない該振動板の周縁部分を該本体部分に載置し、該板状部分を折り曲げて該振動板の周縁部分を挟み、該板状部分を加締めることにより、該振動板の周縁部分を該環状部材にて挟持固定すること
を特徴とする圧電アクチュエータ。 - 前記筐体は、合成樹脂から形成されることを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記環状部材において、前記振動板と当接する部分には、突条部分を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電アクチュエータ。
- 前記筐体を密閉構造とし、該筐体の外壁に、ガスの吸入孔及び排出孔を設けることにより、前記振動板の振動によりガスを吸・排するポンプとして構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧電アクチュエータ。
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