JP4421046B2 - 医療用容器の製造方法および医療用容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、医療用容器の製造方法および医療用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
輸液バッグ等の医療用容器として、樹脂性シート材を融着することによって、内部に液体を密封したものが広く用いられている。この融着は、一般に、シート材を重ね合わせ、一対のシール金型で挟み、加熱することにより行われる。
【0003】
しかし、円筒状のシート材等を用いた場合、両金型でシート材を挟むときに、シート材の折り返し部(側縁部)周辺にエアーが入り込む場合がある。このようにシート材の間にエアーが入り込むと、その部位に、気泡を生じたり、図5に示すように、シート材の肉厚が部分的に極端に薄くなったりするので、熱シール後、ピンホールを生じることがある。ピンホールが存在すると、ガスバリア性が損なわれ、例えば、空気中の水分、酸素、二酸化炭素などが侵入し、容器内の薬剤を変質させる場合がある。
【0004】
また、シール部に気泡が存在したり、シート材の肉厚が部分的に極端に薄くなっていると、落下等の衝撃が加わった場合に、医療用容器の破袋等が生じ易くなる。
【0005】
このような問題は、特に、オレフィン系樹脂を含むシート材を用いた場合、顕著であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、シール部における気泡、ピンホール等の欠陥の発生を防止し得る医療用容器の製造方法および医療用容器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜()の本発明により達成される。
【0008】
(1) 折り返し部を有するシート材で構成され、前記シート材をシールすることによって形成されたバッグの内部に液体が収納された医療用容器の製造方法であって、
前記シート材の前記折り返し部の少なくとも一部を含む領域を、前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料の融点以下の温度で融着することにより予備シールして予備シール部を形成し、
次いで、前記予備シール部よりシール強度が大きく、かつ前記折り返し部において前記予備シール部と重なるように再びシールしてシール部を形成し、
その後、前記バッグ内部に前記液体を注入することを特徴とする医療用容器の製造方法。
【0009】
(2) 前記予備シール部のシール強度は、0.5〜6.0kgf/2cm幅である上記(1)に記載の医療用容器の製造方法。
【0011】
) 前記シート材は、インフレーション成形によって円筒状に成形されたものである上記(1)または(2)に記載の医療用容器の製造方法。
【0012】
) 前記バッグ内部は、仕切り部によって複数の空間に仕切られている上記(1)ないし()のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0013】
) 前記仕切り部の少なくとも一部に前記シール部よりシール強度の小さい弱シール部を有する上記()に記載の医療用容器の製造方法。
【0014】
) 前記予備シール部と前記弱シール部を同一工程で形成する上記()に記載の医療用容器の製造方法。
【0015】
) 前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料は、オレフィン系樹脂を含むものである上記(1)ないし()のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0016】
) 前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料は、ポリオレフィンと、オレフィン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーの少なくとも一方とを含むものである上記(1)ないし()のいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
【0017】
) 上記(1)ないし()のいずれかに記載の医療用容器の製造方法により製造されたことを特徴とする医療用容器。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用容器の製造方法および医療用容器について、詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の医療用容器の第1実施形態を示す部分断面図である。以下、図1中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明する。
【0020】
図1に示すように、第1実施形態の医療用容器1は、その基端部、先端部がそれぞれシール部24、シール部25でシールされ、内部に液体3を収納するバッグ2と、排出口4とを有している。
【0021】
バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたシート材21で構成されている。
【0022】
この他、シート材21は、例えば、Tダイ法、ブロー成形法、ドライラミネート法、ホットメルトラミネート法、共押出インフレーション法、共押出Tダイ法、ホットプレス法等の種々の方法により製造されたものでもよい。
【0023】
シート材21は、ガスバリヤー性を有するのが好ましい。ここで、ガスバリヤー性とは、水蒸気透過度が、好ましくは50g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下、より好ましくは10g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下、さらに好ましくは1g/m2・24hrs・40℃・90%RH以下であることを言う。この水蒸気透過度は、JIS K7129(A法)に記載の方法により測定される。
【0024】
このようにシート材21がガスバリヤー性を有することにより、医療用容器1の内部からの水分の蒸散が防止できる。その結果、液体3の減少、濃縮を防止することができるとともに、液体3の量が必要最少限の量で済み、医療用容器1全体の容積や重量を小さくすることができる。また、医療用容器1の外部からの水蒸気の侵入も防止することができる。
【0025】
このようなシート材21に使用できる材料(樹脂材料)としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等の各種熱可塑性エラストマーあるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)が挙げられる。これらの樹脂材料は、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ滅菌)に耐えられる耐熱性、耐水性を有している点でも好ましい。
【0026】
シート材21の構成材料として、ポリオレフィンが含有されるとき、特に、本発明の有用性が大きい。したがって、シート材21は、構成材料として、ポリオレフィンを含むものであるのが好ましい。
【0027】
シート材21の構成材料として特に好ましいものに、ポリエチレンまたはポリプロピレンに、スチレン−ブタジエン共重合体やスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマーをブレンドし柔軟化した軟質樹脂を挙げることができる。この材料は、高強度で柔軟性に富み、耐熱性(特に滅菌時の耐熱性)、耐水性が高い他、加工性が特に優れ、製造コストの低減を図れる点で好ましい。
【0028】
シート材21は、前述したような材料よりなる単層構造のもの(単層体)であってもよいし、また種々の目的で、複数の層(特に異種材料の層)を重ねた多層積層体であってもよい。
【0029】
多層積層体の場合、複数の樹脂層を重ねたものであってもよいし、少なくとも1層の樹脂層に金属層を積層したものであってもよい。
【0030】
複数の樹脂層を重ねたものの場合、それぞれの樹脂の利点を併有することができ、例えば、バッグ2の耐衝撃性を向上させたり、対ブロッキング性を付与したりすることができる。
【0031】
また、金属層を有するものの場合、バッグ2のガスバリヤー性等を向上させることができる。例えば、アルミ箔等のフィルムが積層された場合、ガスバリヤー性の向上とともに、遮光性を付与したりすることができる。また、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物からなる層を形成した場合、ガスバリヤー性の向上とともに、バッグ2の透明性を維持することができ、内部の視認性を確保することができる。
【0032】
なお、シート材21が多層積層体である場合、その内表面部分を形成する材料が、前述した材料であるのが好ましい。
【0033】
バッグ2を構成するシート材(単層または多層積層体)21の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過性、耐熱性等)等に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜500μm程度であるのが好ましく、200〜300μm程度であるのがより好ましい。
【0034】
また、バッグ2の容積は、内部に収納する液体3の種類等によって異なるが、通常は、200〜5000ml程度であるのが好ましく、1000〜5000ml程度であるのがより好ましい。
【0035】
ところで、バッグの素材としてインフレーション成形法により筒状に成形されたシート材のように、折り返し部(図1に示したインフレーション成形によって得られたシート材21の場合においては、シート材21の両側縁部)211を有するシート材を用いた場合、図4に示すように、シール部の形成時においては、シート材21が反っていたり、シート材21の弾性により、折り返し部211周辺が膨らみ212をもち、その内側に空隙部29が形成されている場合が多い。
【0036】
このような状態で、そのまま熱融着等によりシール部を形成すると、まず膨らみ212の頂部に金型7が当接して、その部分が優先して溶融されることとなり、図5中、矢印で示したように、シール部におけるシート材21の肉厚が部分的に極端に薄くなったり、エアーの残存によりピンホールの発生を招く場合がある。このような現象は、シール方法として熱融着を採用した場合、特に顕著に発現する。
【0037】
これに対し、本発明の医療用容器の製造方法では、シール部を形成する前に、シート材の折り返し部の少なくとも一部を含む領域にシール部よりシール強度の小さい予備シール部を形成する工程を有する。
【0038】
この予備シール部は、緩徐に形成される。そのため、例えば、図4に示すような膨らみ212を有するシート材21を熱融着することにより予備シール部を形成する場合、まず低温の金型7で押圧されることにより、シート材21がほとんど溶融することなく膨らみ212が解消(平坦化)され、シート材21は、折り返し部211周辺においても平坦なものとなり、その後、この状態のままで予備シールされる。
【0039】
こうすることによって、シール部(特に、折り返し部周辺)へのエアーの残存を防止することができ、図6に示すように、予備シール部におけるシート材21の肉厚を均一にすることが可能となる。
【0040】
この状態からシール部を形成した場合、膨らみ212のような膨らみがないので、図7に示すように、シール部におけるシート材21の肉厚の均一性が保たれる。
【0041】
このような効果は、構成材料としてポリオレフィンを含有するシート材を採用した際、特に発揮される。したがって、構成材料としてポリオレフィンを含有するシート材のとき、特に、本発明の有用性が大きい。
【0042】
なお、図7中の境界面213は、融着の度合いによっては存在しなくてもよい。
【0043】
予備シール部22、23は、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)または接着(接着剤または溶剤による接着)によって形成されたものである。
【0044】
予備シール部22、23は、シート材21の融点以下の金型温度および後述するシール部24、25形成時のシール圧より高いシール圧で融着されることによって形成されたものであるのが好ましい。
【0045】
予備シール部22、23の形成は、シート材21の材料等によって、特に限定されないが、例えば、次のような方法、条件で行うことができる。
【0046】
すなわち、予備シール部22、23は、金型温度が好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜150℃、シール圧が好ましくは0.5〜7.0kg/cm2、より好ましくは3.0〜6.0kg/cm2で形成することができる。
【0047】
このような条件で予備シール部22、23を形成することにより、折り返し部211におけるエアーの残存や、シート材21が部分的に溶融されることによるピンホールの発生等が生じにくくなる。
【0048】
また、予備シール部22、23のシール強度は、0.5〜6.0kgf/2cm幅であるのが好ましく、1.5〜3.0kgf/2cm幅であるのがより好ましい。予備シール部22、23のシール強度が上限値を超えると、予備シール部22、23の形成時に、膨らみ212の頂部が溶融し、ピンホールを生じる場合がある。一方、予備シール部22、23のシール強度が下限値未満であると、シート材21の折り返し部211周辺の平坦が維持できず、エアーが残存する場合がある。
【0049】
なお、予備シール部22、23の形成方法、形成条件、シール強度は、同一でなくてもよい。
予備シール部の形状は、特に限定されない。
【0050】
このような予備シール部が形成された後、シール部が形成される。
シール部は、折り返し部において予備シール部と重なるように形成される。
【0051】
このようにしてシール部を形成することにより、シール部へのエアーの残存を防止することができ、ピンホール等の欠陥を生じにくくなる。
【0052】
折り返し部以外の部位は、折り返し部に比べて、気泡、ピンホール等の欠陥が発生しにくいため、予め、予備シール部が施されていなくてもよい。
【0053】
シール部24、25の形成後、折り返し部211において、シール部24の先端側、シール部25の基端側にシール部によって再シールされていない予備シール部が残存しているのが好ましい。
【0054】
これにより、落下時等の衝撃をこの残存する予備シール部(予備シールのみされている部分)が吸収することが可能となり、シール部24、25の剥離による液漏れ、破袋等が生じにくくなる。また、予備シール部22、23、シール部24、25の形成時における位置ずれにも対応できる。
【0055】
この残存する予備シール部の折り返し部における幅wは、特に限定されないが、1〜20mmであるのが好ましく、3〜10mmであるのがより好ましい。
【0056】
なお、使用時において、このような残存する予備シール部は、剥離していても、剥離していなくてもよい。
【0057】
シール部24、25は、シート材21を融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)によって形成されたものである。
【0058】
シール部24、25は、前述の予備シール部22、23形成時の金型温度より高い金型温度で融着されることによって形成されたものであるのが好ましい。
【0059】
シール部24、25の形成は、シート材21の材料等によって、特に限定されないが、例えば、金型温度が好ましくは150〜250℃、より好ましくは180〜220℃で加熱し、形成することができる。
【0060】
また、シール部24、25形成時のシール圧は、シート材21の材料等によって、特に限定されないが、0.5〜6.0kg/cm2であるのが好ましく、2.0〜5.0kg/cm2であるのがより好ましい。
【0061】
シール部24、25は、予備シール部22、23より大きいシール強度を有する。
【0062】
シール部24、25のシール強度は、1.0〜10kgf/2cm幅であるのが好ましく、3.0〜10kgf/2cm幅であるのがより好ましい。
【0063】
シール部24、25のシール強度は、一般に大きいほどよいが、シート材21の材料等によっては、上限値を超えるものは製造が困難である場合がある。一方、シール部24、25のシール強度が下限値未満であると、耐衝撃性が不十分であり、落下時の衝撃等により、これらシール部の剥離が起こる可能性が高くなる。
【0064】
なお、シール部24、25の形成方法、形成条件、シール強度は、同一でなくてもよい。
【0065】
バッグ2の先端部には、排出口(口部)4が設けられている。この排出口4は、少なくとも液体3を排出する機能を有するものであり、弾性栓を備えた排出口本体41と、排出口本体41の外側に設置された外筒42とを備えている。
【0066】
外筒42は、バッグ2の先端部のシール部25において、シート材21、21間に挟持され、シール部25によって固定されている。外筒42とシート材21との接合性、密着性(密封性)は高く、液漏れ等を確実に防止することができる。
【0067】
また、この排出口4は、薬液等を注入する混注口として機能してもよい。
なお、このような排出口(または混注口)は、複数個設置されていてもよい。
【0068】
液体3は、予備シール部22、23およびシール部24、25の形成後に注入される。
【0069】
ところで、液体3をシール部24、25を形成する前に注入した場合、液体3、または液体3が気化することによって生じる気泡がシール部24、25に侵入する等の問題を生じることがあるが、本発明ではシール部24、25の形成後に液体3が注入されるため、このような問題を生じることはない。
【0070】
液体3は、例えば、外筒42が固着された後、ここから注入される。その後、排出口本体41を外筒42に嵌入、固着して、バッグ2内部の液密性を確保する。
【0071】
液体3(後述する液体5)は、特に限定されないが、例えば、生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、腹膜透析液、経口栄養剤等が挙げられる。
【0072】
図2は、本発明の医療用容器の第2実施形態を示す部分断面図である。以下、第2実施形態の医療用容器について、前記第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明は省略する。なお、図2中の上側を「基端」、下側を「先端」として説明する。
【0073】
図2に示すように、第2実施形態の医療用容器1は、バッグ2内が仕切り部26によって、2つの空間に仕切られておりそれぞれの空間に液体3、液体5が収納されている。
【0074】
仕切り部(弱シール部)26は、シール部24、25より小さいシール強度を有している。
【0075】
仕切り部(弱シール部)26は、前述の予備シール部22、23と同様な方法、条件で形成され、同程度のシール強度を有するものであるのが好ましい。
【0076】
排出口は、複数個設けられていてもよく、液体5が収納されている空間に対して設けられていてもよい。このような場合、仕切り部(弱シール部)26の形成は、予備シール部の形成と同一工程で行うことができる。
【0077】
こうすることにより、このようなバッグ2内部が複数の空間に仕切られた医療用容器1を、従来の製造方法と比べて、工程数を増やすことなく製造することができる。
【0078】
仕切り部(弱シール部)26は、予備シール部と同一工程で形成される場合、通常、前述の予備シール部と同様な方法、条件で形成され、同程度のシール強度を有するものであるが、その形成方法、形成条件、シール強度が異なっていてもよい。
【0079】
このような仕切り部(弱シール部)26を有することにより、バッグ2の液体3または液体5を収納する部分を指等で押圧すること等により、仕切り部(弱シール部)26が剥離し、2つの空間は連通する。
【0080】
図示の構成では、液体3、液体5を収納する2つの空間は、ほぼ同一の容積を有しているが、いずれか一方の容積が大きくてもよい。
【0081】
また、液体3、液体5は、同一の組成のものであっても、異なる組成のものであってもよい。
【0082】
液体3と液体5とが、同一の組成のものである場合、排出する液体の量を調整することが可能となる。すなわち、仕切り部(弱シール部)26を開封しないで、液体の排出を行えば、その排出量は、比較的少なくなり、仕切り部(弱シール部)26を開封して、液体の排出を行えば、その排出量は、多くなる。
【0083】
液体3と液体5とが、異なる組成のものである場合、反応等による変質、劣化を防止するために、使用するまでは別々に保存しておき、使用に際し、両液を混合することが好ましいとき等に適用することができる。
【0084】
液体3と液体5の組み合わせとしては、例えば、アミノ酸電解質液とブドウ糖液、ブドウ糖液と重曹液等が挙げられる。
【0085】
このような医療用容器は、保存時には、仕切り部で二つ折りにしておくことによって、落下等によって誤って衝撃が加わった場合においても、弱シール部が剥離することを防止できる一方、使用時においては、容易に弱シール部を開封し、2つの空間を連通させることが可能である。
【0086】
また、図2では、基端部の折り返し部211に、予備シールされず、シール部のみによってシールされたシール部241を有している。
【0087】
シール部は、折り返し部において、予備シール部上のみに形成されているのが好ましいが、例えば、医療用容器1の基端側のシール部24の幅が十分に大きい場合に、その基端では、気泡、ピンホール等が存在しても前述した問題を生じないため、このような部位においては、予備シールされず、シール部のみによってシールされた部位があってもよい。
【0088】
図3は、本発明の医療用容器の第2実施形態を示す部分断面図である。以下、第3実施形態の医療用容器について、前記第1、第2実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項の説明は省略する。
【0089】
図3に示すように、第3実施形態の医療用容器1は、第2実施形態と同様、バッグ2内が仕切り部(弱シール部)26および仕切り部27によって、2つの空間に仕切られている。
【0090】
仕切り部27のシール強度は、仕切り部26のシール強度より大きく、バッグ2の液体3または液体5を収納する部分を指等で押圧した場合、仕切り部(弱シール部)26のみが剥離し、仕切り部27は剥離しない。
【0091】
仕切り部27は、シール部24、25と同様な方法、条件で形成され、同程度のシール強度を有するものであるのが好ましい。
【0092】
仕切り部(シール部)27の形成は、シール部24、25の形成と同一工程で行うことができる。
【0093】
仕切り部(シール部)27は、シール部24、25と同一工程で形成される場合、通常、前述のシール部24、25と同様な方法、条件で形成され、同程度のシール強度を有するものであるが、その形成方法、形成条件、シール強度が異なっていてもよい。
【0094】
仕切り部(シール部)27の両端は、シート材の折り返し部211に位置している。したがって、この仕切り部27も、前述のシール部24、25と同様、予備シール部28が形成された後に形成されたもので、折り返し部211においては、予備シール部28上のみに形成され、予備シール部28のシール幅を超えないシール幅で形成されたものである。
【0095】
図示の構成では、仕切り部(弱シール部)26は、仕切り部のほぼ中央部に形成されているが、このような弱シール部は、仕切り部の中央部に形成されていなくてもよい。
【0096】
図示の構成では、仕切り部(弱シール部)26は、1つだけ形成されているが、2つ以上形成されていてもよい。また、弱シール部の形状は、特に限定されない。
【0097】
第1〜第3実施例では、いずれもシート材21としてインフレーション成形法により筒状に成形されたものを用いたが、図示しないが、この他、例えば、シート材を中心より二つ折りにし、三方をシールしたものでもよい。
この場合、少なくとも折り返し部の2箇所に予備シール部を形成すればよい。
【0098】
【実施例】
次に、本発明の医療用容器の製造方法の具体的実施例について説明する。
【0099】
(実施例1)
シート材として、ポリプロピレンと水素添加スチレン−ブタジエン共重合体とを6:4の重量比で配合(ポリマーブレンド)した樹脂をインフレーション成形により肉厚300μmの円筒状(折れ径220mm)に成形したものを用いた。
【0100】
こうして得られたシート材を用いることにより、図1に示したような医療用容器を14個(サンプルNo.1〜14)、図2に示したような医療用容器を3個(サンプルNo.15〜17)、図3に示したような医療用容器を3個(サンプルNo.18〜20)製造した。
【0101】
なお、得られた医療用容器の、中央部付近におけるバッグ2の液体収納空間の長さ(図2、図3においては、液体3の収納空間の先端から液体5の収納空間の基端までの長さ)は400mmであり、折り返し部211における、シール部25の幅は10mm、シール部24の幅は30mm、予備シール部22、23についての残存する予備シール部の幅wは5mm、仕切り部26の幅は10mm、予備シール部28の幅は20mmであった。
【0102】
このとき、予備シール部22、23、28および仕切り部(弱シール部)26は、金型温度105℃、シール圧5kg/cm2、シール時間5秒、冷却時間3秒の条件で、シール部24、241、25、および仕切り部(シール部)27は、金型温度220℃、シール圧3kg/cm2、シール時間5秒、冷却時間3秒の条件で形成した。
【0103】
また、サンプルNo.1〜14の医療用容器では、液体3として水2000mlを、サンプルNo.15〜17およびサンプルNo.18〜20の医療用容器では、液体3、5として、いずれも水1000mlを用いた。
【0104】
サンプルNo.1〜10の医療用容器について、予備シール部のシール強度の測定を行った。
【0105】
まず、バッグ内の水を排出口から排出し、その後、予備シール部の幅が2cmとなるようにシート材を長さ10cmの短冊状に切断した。
【0106】
これを試験片とし、引張試験機を用いて、試験片の両端を300mm/分の速度で引き裂き、そのときの最大強度をシール部のシール強度とした。
【0107】
その結果、予備シール部は、2.0〜2.5kgf/2cmのシール強度を有していた。
【0108】
次に、サンプルNo.11〜20の医療用容器について、シール部におけるシート材の最小肉厚の測定および下記試験(オートクレーブ滅菌後および振動試験後におけるピンホールによる液漏れの有無の確認)を行った。
【0109】
シール部におけるシート材の最小肉厚の測定は、シート材をシール断面方向に幅1mm以下に切断し、投影機を用いて行った。
【0110】
次に、これらの医療用容器を120℃×30分間、オートクレーブ滅菌した後、ピンホールによる液漏れの有無を確認した。
【0111】
さらに、液漏れの認められなかった医療用容器をプラスチックフィルムで個包装したものを段ボール箱に詰めて、出荷状態にて振動試験(JIS Z0200、3G×1時間)を行い、ピンホールによる液漏れの有無を確認した。
【0112】
なお、サンプルNo.15〜17およびサンプルNo.18〜20の医療用容器については、仕切り部で二つ折りにした状態で振動試験を行った。
【0113】
ピンホールによる液漏れを生じなかったものを○、ピンホールによる液漏れを生じたものを×とした。
【0114】
シール部におけるシート材の最小肉厚、ピンホールによる液漏れの有無を表1に示した。
【0115】
(比較例)
予備シール部を形成しないで、シール部を金型温度220℃、シール圧3kg/cm2、シール時間5秒、冷却時間3秒の条件で、弱シール部を金型温度105℃、シール圧7kg/cm2、シール時間5秒、冷却時間3秒の条件で形成した以外は、実施例1と同様にして医療用容器を10個製造し、これらについてシール部の最小肉厚の測定および前記試験を実施し、ピンホールによる液漏れの有無を確認した。
【0116】
【表1】
Figure 0004421046
【0117】
表1から明らかなように、本発明の医療用容器では、シール部におけるシート材の最小肉厚が比較的大きく、振動試験後においてもピンホールによる液漏れは生じなかったのに対し、比較例で得られた医療用容器では、本発明の医療用容器に比べて、シール部におけるシート材の最小肉厚が小さくなっており、オートクレーブ滅菌後、10個中3個の医療用容器がピンホールによる液漏れを生じ、振動試験後、さらに2個の医療用容器がピンホールによる液漏れを生じた。
【0118】
また、本発明の医療用容器では、気泡が認められなかったのに対し、比較例の医療用容器では、シール部に気泡の存在が認められた。
【0119】
(実施例2)
シート材として、ポリプロピレンとエチレン−1−ブテン共重合体と水素添加スチレン−ブタジエン共重合体とを7:1:2の重量比で配合(ポリマーブレンド)した樹脂をインフレーション成形により肉厚300μmの円筒状(折れ径220mm)に成形したものを用いた以外は、実施例1と同様にして医療用容器を製造し、これらについて、前記試験を実施し、ピンホールによる液漏れの有無を確認したところ、実施例1と同様の結果が得られた。
【0120】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によればシール部における気泡、ピンホール等の欠陥の発生が防止され、液漏れ等が生じにくい医療用容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の医療用容器の第1実施形態を示す一部切り欠き平面図である。
【図2】本発明の医療用容器の第2実施形態を示す一部切り欠き平面図である。
【図3】本発明の医療用容器の第3実施形態を示す一部切り欠き平面図である。
【図4】シール部または予備シール部形成前のシート材の折り返し部付近の断面図である。
【図5】予備シール部を形成せずにシール部を形成した場合のシール部付近の断面図である。
【図6】シール部の形成前に予備シール部を形成した場合の予備シール部付近の断面図である。
【図7】シール部の形成前に予備シール部を形成した場合のシール部付近の断面図である。
【符号の説明】
1 医療用容器
2 バッグ
21 シート材
211 折り返し部
212 膨らみ
213 境界面
22 予備シール部
23 予備シール部
24 シール部
241 シール部
25 シール部
26 仕切り部(弱シール部)
27 仕切り部(シール部)
28 予備シール部
29 空隙部
3 液体
4 排出口(口部)
41 排出口本体
42 外筒
5 液体
6 金型
7 金型

Claims (9)

  1. 折り返し部を有するシート材で構成され、前記シート材をシールすることによって形成されたバッグの内部に液体が収納された医療用容器の製造方法であって、
    前記シート材の前記折り返し部の少なくとも一部を含む領域を、前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料の融点以下の温度で融着することにより予備シールして予備シール部を形成し、
    次いで、前記予備シール部よりシール強度が大きく、かつ前記折り返し部において前記予備シール部と重なるように再びシールしてシール部を形成し、
    その後、前記バッグ内部に前記液体を注入することを特徴とする医療用容器の製造方法。
  2. 前記予備シール部のシール強度は、0.5〜6.0kgf/2cm幅である請求項1に記載の医療用容器の製造方法。
  3. 前記シート材は、インフレーション成形によって円筒状に成形されたものである請求項1または2に記載の医療用容器の製造方法。
  4. 前記バッグ内部は、仕切り部によって複数の空間に仕切られている請求項1ないしのいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
  5. 前記仕切り部の少なくとも一部に前記シール部よりシール強度の小さい弱シール部を有する請求項に記載の医療用容器の製造方法。
  6. 前記予備シール部と前記弱シール部を同一工程で形成する請求項に記載の医療用容器の製造方法。
  7. 前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料は、オレフィン系樹脂を含むものである請求項1ないしのいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
  8. 前記シート材の少なくとも内表面部分を形成する材料は、ポリオレフィンと、オレフィン系熱可塑性エラストマーとスチレン系熱可塑性エラストマーの少なくとも一方とを含むものである請求項1ないしのいずれかに記載の医療用容器の製造方法。
  9. 請求項1ないしのいずれかに記載の医療用容器の製造方法により製造されたことを特徴とする医療用容器。
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