JP4419305B2 - 座標読み取り装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標読み取り装置に係り、詳しくは、所定の周波数の交番磁界を発生する発振コイルを備えた筆記具(ペン、イレーサ等)と、前記交番磁界と磁気結合可能な複数のループコイルをXY方向に等間隔かつ平行に敷設したボードとを備え、前記筆記具を前記ボードに押し当てたときに当該筆記具から送出される交番磁界により誘起される前記ループコイルの誘起電圧値に基づいて、当該筆記具のボード上の位置座標を読み取る座標読み取り装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、交番磁界を発生する発振コイルを備えた電子ペンにより、XY方向に複数のループコイルが敷設されたホワイトボード上に文字や図形を描くと、電子ペンが発生する交番磁界とループコイルに誘起される電圧値との関係から、電子ペンにより描いた文字や図形の位置座標を読み取って、この結果をパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)や、プリンタに出力することができる様になった電子黒板システムが提案されている。
【0003】
この様な電子黒板システムにおいては、電子ペンの電圧値が低下するなどすると、ループコイルに発生する誘起電圧の値が低下するため、そのままでは位置座標を誤って読み取ってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、本出願人は、あるループコイルの両隣のループコイルに生じる誘起電圧値が等しくなる様な位置にペンがあるとき、中央のループコイルに最高誘起電圧が生じるという関係を用いて、その最高誘起電圧の実測値と理想値との差を求めてキャリブレーションを実行する様にした座標読み取り措置を提案している(特願平11−323476号)。
【0005】
この提案による座標読み取り装置によれば、キャリブレーションを実行することにより、ペンの電圧値が低下している場合にも、正しく座標を読み取ることができる点で優れたものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、あるループコイルの両隣のループコイルに生じる誘起電圧が等しくなる場合というのは、これら両隣のループコイルに生じる誘起電圧がほぼ最低電圧となる状態に該当するため、ノイズ等の影響により、正確に、キャリブレーションを実行できないおそれがあるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題を解決し、精度良くキャリブレーションを実行できる様にすることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためになされた本発明の座標読み取り装置は、請求項1に記載の様に、所定の周波数の交番磁界を発生する発振コイルを備えた筆記具と、前記交番磁界と磁気結合可能な複数のループコイルをXY方向に等間隔かつ平行に敷設したボードとを備え、前記筆記具を前記ボードに押し当てたときに当該筆記具から送出される交番磁界により誘起される前記ループコイルの誘起電圧値に基づいて、当該筆記具のボード上の位置座標を読み取る座標読み取り装置において、前記複数のループコイルのうち、それらの間に3つのループコイルが存在する任意の2つのループコイル同士で誘起電圧値が等しくなる様な5つのループコイルの中央のループコイルの誘起電圧値を、前記筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなすキャリブレーション手段を備えていることを特徴とし、さらに、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする
【0009】
この請求項1の座標読み取り装置によれば、筆記具をボードに押し当てて文字や図形を描いた場合に、キャリブレーション手段が、複数のループコイルのうちの任意のループコイルの2つ隣のループコイル同士の誘起電圧値が等しくなる点における中央のループコイルの誘起電圧値を、筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなす様にする。これにより、筆記具の電池電圧が低下するなどして最大誘起電圧が低下した場合にも、実際の最大誘起電圧をループコイルに発生する誘起電圧とみなすことができ、電池電圧の低下を補正して筆記具の位置座標を正確に読み取ることがができる。また、位置座標算出手段は、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、筆記具がボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいてテーブルデータを検索することにより筆記具の位置座標を算出する。そして、補正手段が、キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する。これらの処理により、電池電圧が低下していても筆記具の位置座標を精度良く読み取ることができる。
【0010】
また、請求項2の座標読み取り装置は、所定の周波数の交番磁界を発生する発振コイルを備えた筆記具と、前記交番磁界と磁気結合可能な複数のループコイルをXY方向に等間隔かつ平行に敷設したボードとを備え、前記筆記具を前記ボードに押し当てたときに当該筆記具から送出される交番磁界により誘起される前記ループコイルの誘起電圧値に基づいて、当該筆記具のボード上の位置座標を読み取る座標読み取り装置において、前記複数のループコイルのうちの任意のループコイルを中央に挟んで敷設されている2つのループコイル同士の誘起電圧の2次ピーク付近の値が等しくなる点における中央のループコイルの誘起電圧値を、前記筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなすキャリブレーション手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
この請求項2の座標読み取り装置によれば、キャリブレーション手段は、複数のループコイルのうちの任意のループコイルを中央に挟んで敷設されている2つのループコイル同士の誘起電圧の2次ピーク付近の値が等しくなる点における中央のループコイルの誘起電圧値を、筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなす様にしている。この請求項2の座標読み取り装置においても、筆記具の電池電圧が低下するなどして最大誘起電圧が低下した場合にも、実際の最大誘起電圧をループコイルに発生する誘起電圧とみなすことができ、電池電圧の低下を補正して筆記具の位置座標を正確に読み取ることがができる。
【0012】
また、請求項3の座標読み取り装置は、請求項1又は請求項2記載の座標読み取り装置において、前記複数のループコイルは、隣同士でそれぞれの幅の1/2の幅が重なり合う様に敷設されていることを特徴とする。
【0013】
この請求項3の座標読み取り装置によれば、ボードに敷設される複数のループコイルは、隣同士でそれぞれの幅の1/2の幅が重なり合う様に敷設されているので、上述した様なキャリブレーションを効果的に実施することができる。
【0014】
また、請求項4の座標読み取り装置は、請求項記載の座標読み取り装置において、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする。
【0015】
この請求項4の座標読み取り装置によれば、位置座標算出手段は、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、筆記具がボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいてテーブルデータを検索することにより筆記具の位置座標を算出する。そして、補正手段が、キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する。これらの処理により、電池電圧が低下していても筆記具の位置座標を精度良く読み取ることができる。
【0016】
また、請求項5の座標読み取り装置は、請求項1〜請求項4のいずれか記載の座標読み取り装置において、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルに生じる誘起電圧値との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときに最大の誘起電圧を生じるループコイルの誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値と前記テーブルデータ中の最大電圧値との比に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする。
【0017】
この請求項5の座標読み取り装置によれば、位置座標算出手段は、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルに生じる誘起電圧値との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、筆記具がボードに押し当てられているときに最大の誘起電圧を生じるループコイルの誘起電圧値に基づいてテーブルデータを検索することにより筆記具の位置座標を算出する。そして、補正手段が、キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値とテーブルデータ中の最大電圧値との比に基づいて、位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する。これらの処理により、電池電圧が低下していても筆記具の位置座標を精度良く読み取ることができる。
【0018】
また、請求項6の座標読み取り装置は、請求項1〜請求項4のいずれか記載の座標読み取り装置において、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と、当該ループコイル間に生じる誘起電圧値の差との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大の誘起電圧を生じるループコイルとこれに隣接するループコイルの生じる誘起電圧の差に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値とこの電圧値を生じたループコイルに隣接するループコイルの生じる誘起電圧値との差と前記テーブルデータ中の最大差電圧値との比に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】
この請求項6の座標読み取り装置によれば、位置座標算出手段が、各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と、当該ループコイル間に生じる誘起電圧値の差との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、筆記具がボードに押し当てられているときの最大の誘起電圧を生じるループコイルとこれに隣接するループコイルの生じる誘起電圧の差に基づいてテーブルデータを検索することにより筆記具の位置座標を算出する。そして、補正手段が、キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値とこの電圧値を生じたループコイルに隣接するループコイルの生じる誘起電圧値との差とテーブルデータ中の最大差電圧値との比に基づいて、位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する。これらの処理により、電池電圧が低下していても筆記具の位置座標を精度良く読み取ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の座標入力装置を、好ましい実施の形態である電子黒板1により説明する。この説明で、電子黒板1とは、筆記具であるペン60により座標読み取りボードである筆記パネル10の筆記面21a上に手書き文字や図形などを描くと、ペン60の筆記面21a上の位置を、筆記パネル10の内部に敷設した複数のループコイル23により磁気結合して、その座標を読み取るものをいう。
【0021】
図1は、電子黒板1の主要構成を示す外観斜視図である。図1に示す様に、電子黒板1には、筆記パネル10と、筆記面21aに筆記を行うためのペン60と、筆記された軌跡及びその軌跡を示すデータを消去するためのイレーサ40とが備えられている。筆記パネル10には、枠状のフレーム11が設けられている。そして、このフレーム11に、筆記パネル本体20が組み込まれている。フレーム11の前面下端には、その下端に沿って板状の台12が組み込まれている。台12の上面には、ペン60を差して収容するための複数の凹部12aが形成されている。そして、この凹部12aの右側には、イレーサ40などを置くための平面部12bが形成されている。
【0022】
フレーム11の前面右側には、操作部30が設けられている。この操作部30には、操作音や警告音等の音を再生するスピーカ31と、筆記面21aに筆記された内容を示すデータ(以下、「筆記データ」という。)を記憶したページ数を7セグメントのLEDによって表示するページ表示LED32と、押す毎に1ページずつ戻るページ戻りボタン33と、押す毎に1ページずつ送るページ送りボタン34と、押す毎に記憶されている筆記データを1ページずつ消去する消去ボタン35と、記憶されている筆記データをプリンタ200(図2参照)へ出力するために押すプリンタ出力ボタン36と、記憶されている筆記データをパーソナルコンピュータ(以下、「PC」という。)100(図2参照)へ出力するために押すPC出力ボタン37と、ペン60の電池切れを報知する電池切れ報知用LED39と、この電子黒板1を起動するために押す電源ボタン38とが設けられている。
【0023】
フレーム11の前面下部には、この電子黒板1の電源となる単2乾電池14aを4本収容するバッテリーケース14が設けられている。そして、このバッテリーケース14の前面には、蓋14bが開閉可能に取り付けられている。バッテリーケース14の右側には、スピーカ31のボリューム調節つまみ13cが設けられ、さらにその右側にはコネクタ13b,13aが設けられている。図2は、電子黒板1にPC100とプリンタ200とを接続した状態を示す図である。この図2に示すように、コネクタ13bには、プリンタ200と接続された接続ケーブル204のプラグ202が接続され、コネクタ13aには、PC100と接続された接続ケーブル104のプラグ102が接続される。かかる接続により、電子黒板1の筆記面21aに筆記された内容を示す筆記データをPC100へ出力して、PC100のモニタ103に表示したり、あるいは、筆記データをプリンタ200へ出力して、印刷用紙203に印刷することができる。
【0024】
また、図1に示すようにフレーム11の裏面上端の両端部には、この電子黒板1を壁に掛けるための金具15,15が取り付けられている。ここで、本実施の形態の筆記面21aの高さH1は900mmであり、幅W1は600mmである。また、フレーム11及び台12は、PP(ポリプロピレン)等の合成樹脂により軽量に形成されており、電子黒板1の総重量は10kg以下である。
【0025】
次に、筆記パネル本体20の構造について図3を参照して説明する。図3は、筆記パネル本体20の各構成部材を示す説明図である。筆記パネル本体20は、筆記面21aを構成する筆記シート21と、板状のパネル22と、ループコイル23が敷設された枠形状の取り付けパネル24と、板状のバックパネル25とを順に積層した構造を有している。この実施の形態では、筆記シート21は、張り合わされたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムにより厚さ0.1mmに形成されており、パネル22は、アクリル樹脂、ABS(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体)、PC(ポリカーボネート)等により厚さ3.0mmに形成されている。また、取り付けパネル24は、発泡スチロール等の発泡樹脂製材料により厚さ40mmに形成されており、バックパネル25は、アルミニウム等の導電性材料により厚さ1.0mmに形成されている。なお、筆記パネル本体20の各端部を挟持するフレーム11(図1参照)の全体の厚さは50mmである。
【0026】
次に、図4を参照して、ループコイル23の構成について説明する。図4(a)は、図3に示すループコイル23の構成を一部省略して示した説明図であり、図4(b)は、図4(a)に示すループコイル23の幅及び重ねピッチを示す説明図である。なお、以下の説明では、ループコイル23のうちX軸方向に配列されたループコイルをXコイルと称し、Y軸方向に配設されたループコイルをYコイルと称している。また、図4(a)では、各ループコイル23の重なり方を見易くするために、各ループコイル23の重なり部分に僅かな隙間を設けて図示しているが、実際にはこの隙間はない。
【0027】
図4(a)に示す様に、X軸方向には、ペン60及びイレーサ40の(X,Y)座標のX座標を検出するためのXコイルがm本(X1〜Xm)配設されており、また、Y軸方向には、Xコイルと直交して、Y座標を検出するためのYコイルがn本(Y1〜Yn)配設されている。Xコイルの各端子23aは、後述するXコイル切替え回路50aに接続されており、Yコイルの各端子23bは、後述するYコイル切替え回路50bに接続されている(図7参照)。Xコイル及びYコイルは、それぞれ略矩形状に形成されており、矩形部分の長辺の長さは、それぞれP2Y,P2Xとされている。
【0028】
図4(b)に示す様に、Xコイルの矩形部分の短辺の長さは、幅P1に形成され、隣接するXコイルは、幅P1の1/2ピッチでそれぞれ重ねられている。同様に、Yコイルの矩形部分の短辺の長さもそれぞれ幅P1に形成されており、隣接するYコイルは、幅P1の1/2ピッチでそれぞれ重ねられている。この実施の形態では、P1=50mm、P2X=680mm、P2Y=980mmである。また、m=22、n=34である。さらに、Xコイル及びYコイルは、共に表面に絶縁皮膜層(例えば、エナメル層)を有する直径0.345mmの銅線により形成されている。
【0029】
次に、図5及び図6を参照して、筆記面21a上のペン60の位置座標の検出方式について説明する。図5(a)は、Xコイル(X1〜X3)の一部を示す説明図であり、図5(b)は、図5(a)に示すXコイル(X1〜X3)に発生する電圧と幅方向の距離との関係を示すグラフであり、図5(c)は、図5(a)に示すXコイル(X1〜X3)の相互に隣接するループコイル間の電圧差を示すグラフである。また、図6(a)は、位置座標テーブルをグラフ化して示す説明図であり、図6(b)は、位置座標テーブルの説明図であり、図6(c)は、各Xコイルから検出した検出値の記憶状態を示す説明図である。なお、図5(a)では、Xコイル(X1〜X3)の重なり方を見易くするために、その重なり部分に僅かな隙間を設けて図示している。
【0030】
コイル幅P1は50mmであるから、P1・1/4=12.5mmである。図5(c)において、電圧差(ex1−ex2)の特性を示す部分(実線で描いた部分)を8bitのデジタルデータに変換すると、図6(a)に示すグラフが得られる。このグラフをテーブル形式に変換したものが、図6(b)に示す位置座標テーブル58aである。この位置座標テーブル58aは、ROM58(図7参照)に記憶されており、ペン60の位置座標の演算に用いられる。
【0031】
よって、例えば、ペン60が点Q2に存在する場合、電圧差(ex1−ex2)を検出し、その検出結果に基づいて位置座標テーブル58aを参照することにより、中心C1から点Q2までの距離△X1がわかるので、点Q2のX座標を求めることができるのである。なお、位置座標の算出の際に基準となるXコイルは、図6(c)に示す電圧値記憶エリア59aを用いて、次のように決定される。即ち、すべてのXコイル(X1〜Xm)をスキャンして、そのスキャンした電圧値e1〜emを電圧値記憶エリア59aに一旦記憶する。そして、記憶された電圧値e1〜emの中から最大の電圧値を示すXコイルを、位置座標の基準となるXコイルとするのである。上述した事例では、かかる処理によって、X1のXコイルが位置座標の基準とされている。
【0032】
図7及び図8を参照して、電子黒板1の主な電気的構成及び座標読み取り処理について説明する。図7は、電子黒板1の電気的構成を示したブロック図であり、図8は、電子黒板1の座標読み取り処理を示したフローチャートである。
【0033】
制御部2に設けられたCPU56は、Xコイル(X1〜Xm)を順に選択するコイル選択信号を入出力回路(I/O)53を介してXコイル切替え回路50aに出力することにより、Xコイル(X1〜Xm)のスキャンを行う(S302)。ペン60から発生した交番磁界と、いずれかのXコイルとの磁気結合によって発生した信号は、増幅器50cによって増幅され、その増幅信号は、バンドパスフィルタ(BPF)50dによって不要な帯域が濾波され、振幅検波回路51によって振幅検波される。その振幅検波された信号は、A/D変換回路52によって振幅、つまり電圧値に対応したデジタル信号に変換され、入出力回路53を介してCPU56に入力される。
【0034】
CPUがペン60を検出したと判定すると(S304:Yes)、Xコイル(X1〜Xm)をスキャンして入力されたデジタル信号によって示されるそれぞれの電圧値を、RAM59のXコイル用の電圧値記憶エリア59a(図6(c)参照)に順次記憶していく(S306)。そして、バンドパスフィルタ50dから出力された信号をリミッタ回路54によって方形波のリミッタ出力信号に変換し、その後、FSK復調回路55に出力することにより、ペン属性(ペンの太さや色の情報)が判定される(S308,S310)。続いて、後に詳述するキャリブレーションを実行した後、CPU56は、RAM59に記憶された各電圧値及びキャリブレーションの結果得られたオフセット量に基づいてペン60のX座標を演算する(S314)。
【0035】
ペン60のX座標の演算が完了したら、各Yコイル(Y1〜Yn)のスキャンを実行し(S316)、各Yコイルから検出した電圧値をRAM59のYコイル用の電圧値記憶エリアに記憶する(S318)。そして、CPU56は、前述のS314におけるX座標の演算と同じ手法を用いて、ペン60のY座標を演算する(S320)。
【0036】
そして、S310で判定されたペン属性を、ペン60のX座標、Y座標と対応付けて、RAM59の所定のエリアに記憶される(S322)。なお、S302の処理により、CPU56がペン60を検出しなかったと判定した場合には(S304:No)、S306〜S322の各処理をスキップして、この座標読み取り処理を終了する。
【0037】
CPU56は、操作部30に設けられた各種ボタン(図1参照)の操作により発生するスイッチング信号をI/F回路57を介して取り込み、RAM59に格納されている位置座標データを記憶するページをページ単位で戻したり、送ったり、あるいは位置座標データをページ単位で消去する等のページ処理を実行する。また、CPU56は、操作部30に設けられた各種ボタンが押された際に発生するスイッチング信号に基づいて音声回路31aを動作させて、スピーカ(SP)31から「ピー」、「ピッ」等の操作音を発声させる。
【0038】
次に、図9を参照して、ペン60の構成を説明する。図9は、ペン60の内部構造を示した側断面図である。図9に示す様に、ペン60には円筒形状の胴体部61aと、この胴体部61aの後端に着脱可能に取り付けられた蓋61cとが設けられている。胴体部61aの内部には、コイルL1と、矢印F2で示す方向に取り出し可能なインクカートリッジ63と、このインクカートリッジ63に挿入されたペン先62と、回路基板69と、この回路基板69に電流を供給する電源である電池70とが設けられている。このコイルL1は、内径が15mm程度であり、直径15mm程度で200回巻きされた長さの銅線により環状に形成されている。また、コイルL1は、筆記面21a(図1参照)と当接するペン先62の先端から20mm程度離して配置されている。
【0039】
インクカートリッジ63と回路基板69との間には、回路基板69への電流の供給及び遮断を行うための押しボタン式のスイッチ67が設けられている。スイッチ67は、ペン先62を筆記面21a(図1参照)に押し付け、インクカートリッジ63が矢印F1で示す方向へ移動するとオフし、筆記を中止すると、スイッチ67内のコイルバネ67d(図10参照)により矢印F2で示す方向へ戻りオンする、いわゆるプッシュオフスイッチで構成されている。回路基板69への電流の供給は、スイッチ67がオフした場合に行われる。
【0040】
ここで、図10から図12を参照して、プッシュオフタイプのスイッチ67について詳述する。図10は、ペン60におけるスイッチ67の部分の構成を模式的に示した図である。図10に示す様に、スイッチ67は、電気的に分離された一対の金属製プレート67a,67bと、そのプレート67a,67b間に摺動自在に配設され、その一対のプレート67a,67bを電気的に導通又は非導通とさせる断面形状T字形の金属製の軸67cと、その軸67cを一方向(インクカートリッジ63またはペン先62の方向)へ付勢するコイルバネ67dと、一対のプレート67a,67bを絶縁しつつ、軸67cの摺動を案内する非導電性の樹脂フレーム67eとにより構成されている。
【0041】
図10(a)は、非筆記中、即ちペン先62を筆記面21aから離した状態を図示しており、かかる場合には、軸67cはコイルバネ67dによりペン先62側(インクカートリッジ63側)へ付勢される。その結果、軸67cのT字形の上端部がプレート67a,67bとそれぞれ接触し、両プレート67a,67bを導通させる。これがスイッチオンの状態であり、スイッチオンの場合には、図10(a)に示すように、矢印方向に電流が流れる。
【0042】
一方、図10(b)は、筆記中、即ちペン先62を筆記面21aに押圧した状態を図示しており、かかる場合には、筆記時の押圧力によって、軸67cはコイルバネ67dの付勢力に反して回路基板69側へ付勢される。その結果、軸67cのT字形の上端部はプレート67a,67bから離れて、プレート67aとプレート67bとを非導通とする。これがスイッチオフ状態であり、図10(b)に示すように、電流は流れない。なお、回路基板69への電流の供給は、スイッチ67がオフの場合に行われ、オンの場合には行われない。これを図11を参照して説明する。
【0043】
図11は、かかるプッシュオフタイプのスイッチ67と回路基板69と電池70との関係を示した回路図である。図11(a),(b)に示す様に、電池70のプラス側端子には、抵抗R10の一端と、回路基板69のプラス側端子とが接続されている。回路基板69のマイナス側端子は、N−MOS電界効果トランジスタFET10のドレイン端子Dに接続され、その電界効果トランジスタFET10のゲート端子Gは、抵抗R10の他端とスイッチ67の一端とに接続されている。また、電界効果トランジスタFET10のソース端子Sは、スイッチ67の他端と電池70のマイナス側端子とに接続されている。
【0044】
図11(a)は、非筆記中、即ちスイッチ67がオンされた状態を図示している。スイッチ67がオンされた状態では、電界効果トランジスタFET10のゲート端子Gは、電池70のマイナス側端子に接続されて0ボルトとされるので、そのドレイン端子Dとソース端子S間には電流が流れず、電界効果トランジスタFET10はオフされている。よって、図11(a)の矢印に示すように、電流は、電池70から抵抗R10、スイッチ67、電池70の順に流れ、回路基板69には流れない。
【0045】
一方、図11(b)は、筆記中、即ちスイッチ67がオフされた状態を図示している。スイッチ67がオフされた状態では、電界効果トランジスタFET10のゲート端子Gには、抵抗R10を介して電池70の電圧が印可されるので、電界効果トランジスタFET10がオンされ、そのドレイン端子Dとソース端子S間には電流が流れる。よって、図11(b)の矢印に示すように、電流は、電池70から回路基板69、電界効果トランジスタFET10のドレイン端子D、ソース端子S、電池70の順に流れ、回路基板69へ電流が供給される。
【0046】
このようにプッシュオフタイプのペン60で筆記を行うと、スイッチ67がオフとなって、回路基板69へ電流が供給される。スイッチ67は、通常のコンタクトスイッチをオンする場合に比べて、僅かな押圧力でオフすることができるので、使用者の筆圧が小さい場合にも、スイッチ67を確実にオフして、回路基板69へ電流を供給することができる。
【0047】
なお、上述する通り、電流は筆記時のみならず非筆記時にも流れるので、電池70の寿命(使用可能期間)が問題となる。そこで、図12に、抵抗R10と電池70の使用可能期間との関係を表にして示す。本実施の形態で使用可能な電池としては、容量160mAhの酸化銀電池SR44と、容量105mAhのアルカリ電池LR44とがあるが、図12に示す通り、抵抗R10が100kΩの場合、ペン60の非使用時(非筆記時)における消費電流は15.3μAであり、電池70の使用可能期間は、SR44で1.21年、LR44で0.79年である。・・・また、抵抗R10が10MΩの場合、ペン60の非使用時(非筆記時)における消費電流は0.2μAであり、電池70の使用可能期間は、SR44で92.6年、LR44で60.8年である。例えば、抵抗R10が200kΩを使用すると、SR44で2.43年、LR44で1.60年の使用可能期間を有するので、電池70の寿命に関して問題はない。
【0048】
次に、図13を参照して、ペン60の回路基板69の構成を説明する。回路基板69は、主に、LC発振回路69cと、FSK回路69dと、CR発振回路69eとにより構成されている。CR発振回路69eは、ペンの色や太さなどのペン属性を区別するために、その属性毎に異なる変調周波数fmを発振させる回路である。LC発振回路69cは、CR発振回路69eから発振された変調周波数fmの信号を搬送する搬送波S1を発振するための回路である。また、FSK回路69dは、LC発振回路60cの発振周波数をCR発振回路69eの変調周波数fmによってFSK(Frequency Shift Keying)変調するための回路である。LC発振回路69cの搬送波S1の周波数fcは、CR発振回路69eの変調周波数fmの1/2周期毎に、FSK回路69dによって、周波数fc1と周波数fc2との2種類の周波数に切り替えられる。
【0049】
LC発振回路69cは、インバータIC1と、帰還抵抗である1MΩの抵抗R1と、発振コイルであるコイルL1と、2つの1200pFのコンデンサC1,C2とにより構成されている。インバータIC1と抵抗R1とコイルL1とは、それぞれ並列に接続されており、インバータIC1の入力端子にはコンデンサC1の一端が接続され、一方、インバータIC1の出力端子には、コンデンサC2の一端が接続されている。また、両コンデンサC1,C2の他端は共に接地されている。このLC発振回路69cのコイルL1の発振周波数fc(次述するFSK回路69dの電界効果トランジスタFET1,FET2がオフされた状態の搬送波S1の周波数fc1)は、コイルL1のインダクタンスとコンデンサC1,C2の容量とにより定まる時定数に従って決定される。
【0050】
FSK回路69dは、2つの180pFのコンデンサC3,C4と、2つのN−MOS電界効果トランジスタFET1,FET2とにより構成されている。コンデンサC4の一端は、LC発振回路69cのインバータIC1の入力端子に接続され、そのコンデンサC4の他端は、電界効果トランジスタFET2のドレイン端子Dに接続されている。電界効果トランジスタFET2のソース端子Sは接地され、また、そのゲート端子Gは、CR発振回路69eの出力端に接続されている。一方、コンデンサC3の一端は、LC発振回路69cのインバータIC1の出力端子に接続され、そのコンデンサC3の他端は、電界効果トランジスタFET1のドレイン端子Dに接続されている。電界効果トランジスタFET1のソース端子Sは接地され、また、ゲート端子Gは、CR発振回路69eの出力端に接続されている。
【0051】
このFSK回路69dの電界効果トランジスタFET1,FET2は、CR発振回路69eからハイ電圧が出力され、そのハイ電圧が両ゲートGに印加されると、ドレイン端子Dからソース端子Sへ電流が流れてオンする。電界効果トランジスタFET1,FET2がオンすると、コンデンサC3,C4がLC発振回路69cに接続される。逆に、電界効果トランジスタFET1,FET2がオフすると、コンデンサC3,C4がLC発振回路69cから非接続とされる。コンデンサC3,C4がLC発振回路69cに接続されると、LC発振回路69cのコンデンサ容量が変化するので時定数も変化し、その結果、コイルL1の発振周波数fc(搬送波S1の周波数)は、周波数fc1から周波数fc2に変化する。即ち、FSK回路69dによって、次述するCR発振回路69eの1/2周期毎に、LC発振回路69cの発信周波数fcが周波数fc1と周波数fc2とで切り替えられる。なお、電界効果トランジスタFET1,FET2は、同一のタイミングでオンまたはオフするので、コンデンサC3,C4も同一のタイミングで、LC発振回路69cに接続され、或いは、非接続とされる。
【0052】
CR発振回路69eは、2つのインバータIC2,IC3と、1MΩの抵抗R2と、抵抗値を0Ω〜1MΩの範囲で変更可能な可変抵抗R3と、100pFのコンデンサC5とにより構成されている。インバータIC2の出力端子は、インバータIC3の入力端子に接続され、インバータIC3の出力端子は、CR発振回路69eの出力端としてFSK回路69dの電界効果トランジスタFET1,FET2の各ゲート端子Gに接続されると共に、コンデンサC5の一端に接続されている。コンデンサC5の他端は、抵抗R2および可変抵抗R3の一端にそれぞれ接続され、抵抗R2の他端はインバータIC2の入力端子に、可変抵抗R3の他端はインバータIC2の出力端子およびインバータIC3の入力端子に接続されている。
【0053】
このCR発振回路69eの発振周波数、即ち、ペン60の属性毎に異なる変調周波数fmは、コンデンサC5の容量と抵抗R2及び可変抵抗R3の抵抗値に応じて決定されるので、可変抵抗R3の抵抗値を調整することにより変調周波数fmを変更することができる。筆記パネル10では、この変調周波数fmの違いによりペンの属性を区別している。図14に示す様に、変調周波数fmは略4〜10kHzの範囲で変更される。図14において、「細」とはペン先62が細いこと、「太」とはペン先62が太いことを示しており、例えば、「黒太」とはペン先62が太く黒色インクを使用するペン60であることを示している。イレーサ40もペン60と同様に構成されており、10kHzの変調周波数fmが割り当てられて、ペン60と区別されている。具体的には、変調周波数fmが8.7kHzの場合には赤細のペン属性を示し、7.7kHzの場合には赤太のペン属性を示し、4.1kHzの場合には黒太のペン属性を示すのである。
【0054】
次に、LC発振回路69cとFSK回路69dとCR発振回路69eとの全体の動作について説明する。図15(a)は、CR発振回路69eからロウ電圧が出力されている場合のLC発振回路69cの等価回路である。FSK回路69dの電界効果トランジスタFET1,FET2は共にオフされているので、コンデンサC3,C4はLC発振回路69cに非接続とされている。よって、この場合のLC発振回路69cの発信周波数、即ち、搬送波fc1は、fc1=1/[2π{(L1・C1・C2)/(C1+C2)}1/2 ]となる。
【0055】
一方、図15(b)は、CR発振回路69eからハイ電圧が出力されている場合のLC発振回路69cの等価回路である。FSK回路69dの電界効果トランジスタFET1,FET2は共にオンされているので、コンデンサC3,C4はLC発振回路69cに接続される。よって、この場合のLC発振回路69cの発振周波数、即ち、搬送波S1の周波数fc2は、fc2=1/[2π{(L1・C1・C2)/(C1+C2+C3+C4)1/2 ]となる。なお、本実施の形態においては、搬送波S1の中心周波数は410kHz、周波数偏移は±15kHzとしている。
【0056】
ここで、ペン60のコイルL1から搬送波S1に基づいた交番磁界が発生すると、筆記パネル10において、この交番磁界と磁気結合した所定のループコイル23に誘起電流が誘起される。誘起電流は、振幅検波回路51により振幅検波され、その振幅検波された信号の電圧値が、A/D変換回路52によりサンプリングされてデジタル化されて記憶される。
【0057】
次に、本実施の形態の特徴であるキャリブレーション処理について説明する。
【0058】
まず最初に、各ループコイル23に生じる電圧値の特性について説明する。図16(a)に示す様に、任意のループコイル23に着目して、ペン60が当該ループコイル23を横切って線を描いた状態を考える。すると、当該ループコイル23に生じる誘起電圧は、同図(b)に示す様に、ペン60の位置変化をx軸とし誘起電圧の変化をy軸とすると、ペン60がx軸に沿って移動する場合に上述のループコイル23に生じる誘起電圧は、図示の様に、ループコイル23の中心であるx=aにて1次ピークP1を示す。そして、ループコイルの両端であるx=b1,b2でかなり小さくなるが最小値とはならない。最小値は、ループコイルの外側のx=c1,c2において検出される。そして、さらに外側のx=d1,d2にて2次ピークP2を生じる。以上の様に、ペン60をx軸方向に移動させると、ループコイル23に発生する電圧値は、図16に示した通り、1次ピークP1と、2次ピークP2とを有する波形で表すことができる。
【0059】
次に、5つのループコイルX1〜X5を取り上げ、ペン60の位置と各ループコイルX1〜X5に生じる誘起電圧との関係を図示すると、図17の様になる。図から明らかな様に、中央のループコイルX3の中心点に着目すると、ループコイルX3には最大電圧r(X3)が生じ、その1つ隣のループコイルX2,X4に生じる誘起電圧は最小値付近r1で等しくなり、さらに1つおいたループコイルX3の2つ隣のループコイルX1,X5に生じる誘起電圧は2次ピーク付近において等しい電圧値r2となっていることが分かる。この結果、逆に、中央のループコイルX3における最大電圧r(X3)は、両隣のループコイルX2,X4の交点及び2つ隣のループコイルX1,X5の交点の直上において出現するものといえる。
【0060】
ここで、電圧値が小さいところでは、ノイズ等の影響によりその値が安定しないという問題があり、ループコイルX2,X4の交点(電圧値r1)は信用性が低い。これに対し、2次ピーク値付近においてはかかる問題がないので、ループコイルX1,X5の交点(電圧値r2)の信用性は高い。よって、ループコイルX3に最大値が生じているか否かを、ループコイルX1,X5において等しい電圧値r2が検出されているか否かによって判定することができ、その信用性は十分に高いものであるといえる。
【0061】
ところで、図17において、中央のループコイルX3に生じる最大電圧r(X3)は、ペン60の電池電圧の低下や、各ペンの送信コイルの受信側ループコイル面からの高さのばらつきによって変化する。そこで、少なくともペン毎に誘起電圧の値を補正してやらないと、ループコイルX3に生じている誘起電圧の値からペンがループコイルX3内のどの位置にあるのかを正確に検出することができない。そのために、以下に説明するキャリブレーション及びX座標演算処理を実行する。
【0062】
このキャリブレーション処理では、図18のフローチャートに示す様に、まず最初に、Xコイルに生じる最高電圧値R(peak)と、R(peak)を検出しているXコイルの両隣のXコイルの内で電圧値の大きい方の電圧値R(peak’)との差diffを算出する(S402)。次に、先ほど最高電圧値R(peak)を検出したXコイルを中心として2つ隣のXコイルの電圧値R(peak−2)とR(peak+2)がほぼ同一の値になっているか否かを判定する(S404)。この判定において、R(peak−2)とR(peak+2)とがほぼ同一であると判定された場合には(S404:YES)、キャリブレーション値REF1をdiffとする(S406)。そして、電圧差diffを、(REF/REF1)* diffに置き換える(S408)。ここで、REFは、ペン60の電圧が1.5VのときのR(peak)−R(peak’)の値である。次に、図6(a)に示した様なdiffと△Xとの関係をテーブル化したルックアップテーブルを用いて、S408で算出したdiffに対応するオフセット量△Xを算出する(S410)。そして、S410で算出したオフセット量△Xと、R(peak)を検出したXコイルの中心位置のX座標データとに基づいて、X方向のペンの位置座標を算出する(S412)。
【0063】
なお、S404でNOと判定された場合は、その時点で記憶している最新のキャリブレーション値REF1をREF1に設定し(S414)、S408以下の処理を実行する。
【0064】
以上の様にして、オフセット量△Xを算出するに当たり、ペン60の現在の電圧に対応する様にキャリブレーションを実行した結果を用いることで、ペン60のX座標を正確に演算することができる。
【0065】
なお、Y座標を演算するに当たっても、X座標について行ったと同様にキャリブレーションを実行してからオフセット量△Yを求める様にしている。これは、XコイルとYコイルとが全く同じ様に構成されているとは限らないので、Y座標を演算するに当たってもキャリブレーションを実行することがより望ましいからである。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内においてさらに種々の形態を採用することができることはもちろんである。
【0067】
例えば、上述の実施の形態では、X座標だけでなくY座標についてもキャリブレーションを行うこととしたが、XコイルとYコイルの構成がほぼ等しい場合にはいずれか一方についてだけ実行し、そのキャリブレーション結果に基づいて、X座標及びY座標を演算するためのオフセット量△X,△Yを求める様にしても構わない。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した様に、本発明によれば、ループコイルに生じる誘起電圧値に基づいてペンの位置座標を読み取る様にした座標読み取り装置において、精度良くキャリブレーションを実行することができるという効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態の電子黒板の主要構成を示した外観斜視図である。
【図2】 実施の形態の電子黒板にパーソナルコンピュータ及びプリンタを接続した状態を示す斜視図である。
【図3】 実施の形態の電子黒板における筆記パネル本体の角構成部材を示した斜視図である。
【図4】 実施の形態の電子黒板における筆記パネル本体内に敷設されたループコイルの構成を示す説明図である。
【図5】 実施の形態の電子黒板においてペンの位置とXコイルに生じる電圧との関係を示す説明図である。
【図6】 (a)は実施の形態における位置座標テーブルをグラフ化して示した説明図であり、(b)は同じく実施の形態における位置座標テーブルの説明図であり、(c)は実施の形態における各Xコイルから検出した電圧値の記憶状態を示した説明図である。
【図7】 実施の形態の電子黒板の電気的構成を示したブロック図である。
【図8】 実施の形態における主要な制御処理の内容を示したフローチャートである。
【図9】 実施の形態におけるペンの内部構造を示した側断面図である。
【図10】 実施の形態におけるペンのスイッチの部分を模式的に示した説明図である。
【図11】 実施の形態におけるペンのスイッチと回路基板と電池との関係を示した回路図である。
【図12】 抵抗と電池の使用可能期間との関係を示した説明図である。
【図13】 実施の形態における回路基板の構成を示した回路図である。
【図14】 実施の形態におけるペン属性と変調周波数の関係を示した説明図である。
【図15】 実施の形態におけるLC発振回路の等価回路図を示し、(a)はCR発振回路からロウ信号が出力されている場合の回路図、(b)はCR発振回路からハイ信号が出力されている場合の回路図である。
【図16】 実施の形態においてペンの位置とループコイルに発生する誘起電圧との関係を示す説明図である。
【図17】 実施の形態においてペンの位置とループコイルに発生する誘起電圧との関係を示す説明図である。
【図18】 実施の形態におけるキャリブレーション及びX座標演算処理の内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・電子黒板、10・・・筆記パネル、23・・・ループコイル、60・・・ペン、69・・・回路基板、70・・・電池。

Claims (6)

  1. 所定の周波数の交番磁界を発生する発振コイルを備えた筆記具と、前記交番磁界と磁気結合可能な複数のループコイルをXY方向に等間隔かつ平行に敷設したボードとを備え、前記筆記具を前記ボードに押し当てたときに当該筆記具から送出される交番磁界により誘起される前記ループコイルの誘起電圧値に基づいて、当該筆記具のボード上の位置座標を読み取る座標読み取り装置において、
    前記複数のループコイルのうち、両端の2つのループコイル同士で誘起電圧値が等しくなる様な任意の5つのループコイルに対してその中央のループコイルの誘起電圧値を、前記筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなすキャリブレーション手段を備えていること
    を特徴とし、さらに、
    各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、
    前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段と
    を備えていることを特徴とする座標読み取り装置。
  2. 所定の周波数の交番磁界を発生する発振コイルを備えた筆記具と、前記交番磁界と磁気結合可能な複数のループコイルをXY方向に等間隔かつ平行に敷設したボードとを備え、前記筆記具を前記ボードに押し当てたときに当該筆記具から送出される交番磁界により誘起される前記ループコイルの誘起電圧値に基づいて、当該筆記具のボード上の位置座標を読み取る座標読み取り装置において、
    前記複数のループコイルのうちの任意のループコイルを中央に挟んで敷設されている2つのループコイル同士の誘起電圧の2次ピーク付近の値が等しくなる点における中央のループコイルの誘起電圧値を、前記筆記具の位置検出を行うための最大誘起電圧値とみなすキャリブレーション手段を備えていること
    を特徴とする座標読み取り装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の座標読み取り装置において、
    前記複数のループコイルは、隣同士でそれぞれの幅の1/2の幅が重なり合う様に敷設されていること
    を特徴とする座標読み取り装置。
  4. 請求項記載の座標読み取り装置において、
    各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値との関係を対応づけたテーブルデータをあらかじめ記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大誘起電圧を生じるループコイルあるいは当該ループコイルと所定関係にあるループコイルが生じる誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、
    前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段と
    を備えていることを特徴とする座標読み取り装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか記載の座標読み取り装置において、
    各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と当該ループコイル間に生じる誘起電圧値との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときに最大の誘起電圧を生じるループコイルの誘起電圧値に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、
    前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値と前記テーブルデータ中の最大電圧値との比に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段と
    を備えていることを特徴とする座標読み取り装置。
  6. 請求項1〜請求項4のいずれか記載の座標読み取り装置において、
    各ループコイルの最大誘起電圧を生じる位置からの距離と、当該ループコイルに生じる誘起電圧値の差との関係を対応付けたテーブルデータを予め記憶しておき、前記筆記具が前記ボードに押し当てられているときの最大の誘起電圧を生じるループコイルとこれに隣接するループコイルの生じる誘起電圧の差に基づいて前記テーブルデータを検索することにより前記筆記具の位置座標を算出する位置座標算出手段と、
    前記キャリブレーション手段により最大誘起電圧値とみなされた電圧値とこの電圧値を生じたループコイルに隣接するループコイルの生じる誘起電圧値との差と前記テーブルデータ中の最大差電圧値との比に基づいて、前記位置座標算出手段の算出する位置座標を補正する補正手段と
    を備えていることを特徴とする座標読み取り装置。
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