JP4418604B2 - 成形外観、低温衝撃に優れるポリプロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
成形外観、低温衝撃に優れるポリプロピレン系樹脂組成物 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン・エチレンブロック共重合体、エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、及びタルクにより構成され、射出成形時の成形加工性が良好で、曲げ弾性率、耐衝撃性、引張り伸びが良好で、かつ成形時の内圧特性にも優れ、ウエルドを境とした成形外観にも優れる自動車外装部品等の射出成形品に好適なポリプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン樹脂に、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・ブテン共重合体等のエチレン系熱可塑性エラストマー成分と、タルク等の無機充填剤を配合したポリプロピレン樹脂組成物を自動車用部品に使用することは、従来から、広く知られている。そして、ポリプロピレン樹脂や各種ゴム成分、無機充填剤を種々検討することによって、成形性、機械物性、外観などを向上させることが提案されてきている。
【0003】
一方、自動車部品は、より薄肉でハイサイクル成形で部品を製造するために、より高流動で高剛性な材料への需要が高まっている。このような点を改良する試みとして、特開平7−53843号公報、同8−20684号公報に記載の組成物が提案されているが、低圧で、ハイサイクル成形が要求される用途においては、更に高流動性である材料が要求されており、この様な高度な要求を満足するためには、該組成物では未だ流動性が不十分である。
【0004】
また、特開平10−324725号公報、同11−29688号公報、同11−43565号公報においては、さらに高流動な材料が提案されているが、これらの公報には、成形時の内圧には触れられておらず、バンパー等の大型成形部品を成形するには、流動性不足であるのが現状である。
【0005】
さらに、バンパー等の外装部品を成形した際に、ウエルドラインを境に色相が異なってみえるという不具合が知られており、無塗装品で使用する際には、この様なウエルドを境とした成形外観特性(以下、メタメリ感と称す)に優れていることが必要であるが、上記公報には、この様な性能については、何ら記載されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、この様な欠点を解決しつつ、高流動で、かつ良好な物性を発現し、成形加工性、機械物性、外観特性に優れた、バンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品に好適なポリプロピレン系樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高流動で極めて高い結晶性を有するプロピレン単独重合体部分を備えたプロピレン・エチレンブロック共重合体に、特定の流動性のエチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、及び特定の粒径のタルクを特定の比率で配合することにより、高流動で、かつ良好な物性を発現し、成形内圧、成形外観に優れたポリプロピレン系樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明は、下記(A)〜(C)成分より構成されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物である。
(A)成分:プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(MFR)が210〜400g/10分で、かつプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが100〜200g/10分で、その共重合体部分のプロピレン含有量が65〜85重量%、共重合体部分の量が5〜10重量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 50〜70重量%
(B)成分:MFRが3〜8g/10分であるエチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム 19〜26重量%
(C)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 18〜24重量%
【0009】
また、本発明の第2の発明は、(B)成分の炭素数4以上のα−オレフィンが1−ブテンであることを特徴とする第1の発明に記載のポリプロピレン系樹脂組成物である。
【0010】
また、本発明の第3の発明は、樹脂組成物が下記(a)〜(f)の特性を有することを特徴とする第1又は2の発明に記載のポリプロピレン系樹脂組成物である。
特性(a):比重1.1以下
特性(b):MFR36〜50g/10分
特性(c):曲げ弾性率1800MPa以上
特性(d):脆化温度−15℃以下
特性(e):引張り伸び200%以上
特性(f):成形内圧38MPa以下
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、(A)プロピレン・エチレンブロック共重合体、(B)エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム、及び(C)タルクより構成されるプロピレン系樹脂組成物である。以下各成分について詳しく説明する。
【0012】
[I]構成成分
(1)プロピレン・エチレンブロック共重合体((A)成分)
本発明のプロピレン系樹脂組成物を構成するプロピレン・エチレンブロック共重合体((A)成分)は、メルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)が100〜200g/10分、好ましくは105〜170g/10分、特に好ましくは、105〜140g/10分のものが用いられる。プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが前記範囲未満であると、流動性が不足し、薄肉成形品を成形する際に大きな成形内圧がかかるので、大きな型締め力のある成形機を必要とし、生産性に悪影響を及ぼす。逆に、プロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが前記範囲を超える場合、脆化温度、引張り伸び等の特性が劣る。
【0013】
該プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独重合体部分のMFRは、210〜400g/10分、好ましくは220〜350g/10分、特に好ましくは、250〜300g/10分である。プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン単独共重合体部分のMFRが、前記範囲未満であると成形内圧が不十分となり、またMFRが、前記範囲を超えると脆化温度、引張り伸びが劣る。
【0014】
また、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン・エチレン共重合体部分のプロピレン含有量は、65〜85重量%、好ましくは67〜75重量%である。プロピレン含有量が上記未満であると引張伸びが劣る傾向にあり、一方、上記範囲を超えると曲げ弾性率が低下する傾向にあり、いずれも好ましくない。
【0015】
さらに、上記プロピレン・エチレンブロック共重合体中のプロピレン・エチレン共重合体部分の量は、5〜10重量%である。共重合体部分の量が上記範囲未満であると衝撃特性が低くなり、一方、上記範囲を超えると曲げ弾性率が低下する傾向にあり、いずれも好ましくない。
【0016】
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の製造には、高立体規則性触媒が用いられる。前記触媒としては、例えば、四塩化チタンを有機アルミニウム化合物で還元し、更に各種の電子供与体及び電子受容体で処理して得られた三塩化チタン組成物と有機アルミニウム化合物及び芳香族カルボン酸エステルを組み合わせた触媒(特開昭56―100806号、特開昭56−120712号、特開昭58−104907号の各公報参照)、及び、ハロゲン化マグネシウムに四塩化チタンと各種の電子供与体を接触させた担持型触媒(特開昭57−63310号、特開昭63−43915号、特開昭63−83116号の各公報参照)等を例示することができる。前記触媒の存在下、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して、プロピレンとエチレンとを用いて重合することにより得られる。
【0017】
上記プロピレン・エチレンブロック共重合体の配合量は、本発明のプロピレン系樹脂組成物中に50〜70重量%、好ましくは50〜65重量%、特に好ましくは52〜60重量%である。配合量が上記範囲未満であると曲げ弾性率が劣り、逆に上記範囲を超える場合は、脆化温度が劣る。
【0018】
(2)エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム((B)成分)
本発明のプロピレン系樹脂組成物に用いられるエチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム((B)成分)は、低温脆化特性を向上させ、かつ良好なウエルド外観を達成する効果を発現させる。
【0019】
(B)成分中の炭素数4以上のα−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられるが、ブテン−1が好ましい。また、非共役ジエンとしては、例えば、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,11−ドデカジエン、1,13−テトラデカジエン、1,15−ヘキサデカジエン、1,17−オクタデカジエン、1,19−イコサジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、5−メチル−1,8−ノナジエン等を挙げることができが、特に、エチリデンノルボルネン(ENB)が好ましい。
【0020】
エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのMFR(230℃、2.16kg荷重)は、3〜8g/10分、好ましくは3.5〜5g/10分である。エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのMFRが上記範囲未満の場合には、ウエルドを境とする外観が不良となり、上記範囲を超える場合はフローマーク外観に劣る。
【0021】
また、エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムのコモノマー含量として、α−オレフィンの含量は、10重量%以上が好ましく、より好ましくは10〜40重量%であり、非共役ジエンの含量は0.3重量%以上が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。それぞれ上記範囲未満であると、低温衝撃性が劣るので好ましくない。
【0022】
上記エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムの配合量は、本発明のプロピレン系樹脂組成物中に19〜26重量%、好ましくは20〜25重量%、特に好ましくは21〜24重量%である。配合量が上記範囲未満であると、低温耐衝撃性の改良効果が劣り、逆に上記範囲を超える場合は、曲げ弾性率が悪化する。
【0023】
エチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴムは、中圧法、低圧法による重合方法、例えば、適当な溶媒、例えば炭化水素溶媒中で、遷移金属化合物と有機金属化合物とからなるチーグラー・ナッタ触媒、例えば少なくとも1種の溶媒可溶性バナジウム化合物と少なくとも1種の有機アルミニウム化合物とからなる触媒の存在下で、エチレン、炭素数4以上のα−オレフィンおよび非共役ジエンを、必要に応じて分子量調節剤として水素を供給しつつ重合する方法により製造することができる。その際の重合は、気相法(流動床あるいは攪拌床)でも液相(スラリー法あるいは溶液法)でも実施することができる。
【0024】
具体的には、ハロゲン化チタンのようなチタン化合物と、アルキルアルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルコキシアルミニウム−マグネシウム錯体のような有機アルミニウム−マグネシウム錯体、アルキルアルミニウム、又はアルキルアルミニウムクロリド等のいわゆるチーグラー型触媒、WO−91/04257号公報等に記載のメタロセン化合物等によって重合できるが、とりわけメタロセン化合物を用いて重合した場合、より好ましい効果が得られる共重合体が得られる。重合法としては、気相流動床、溶液法、スラリー法等の製造プロセスを適用して重合することができる。
【0025】
(3)タルク((C)成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を構成するタルク((C)成分)は、平均粒径が10μm以下、好ましくは0.5〜8μmであるものである。これらが上記範囲外のものでは曲げ弾性率が低下するので好ましくない。
【0026】
該平均粒径の測定は、レーザー回折法(例えば、堀場製作所製LA920W)や、液層沈降方式光透過法(例えば、島津製作所製CP型等)によって測定した粒度累積分布曲線から読みとった累積量50重量%の粒径値より求めることができる。
【0027】
これらタルクは、天然に産出されたものを機械的に微粉砕化することにより得られたものを更に精密に分級することによって得られる。また、一度粗分級したものを更に分級してもかまわない。
【0028】
機械的に粉砕する方法としては、ジョークラシャ−、ハンマークラシャ−、ロールクラシャー、スクリーンミル、ジェット粉砕機、コロイドミル、ローラーミル、振動ミル等の粉砕機を用いる方法が挙げられる。
【0029】
これらの粉砕されたタルクは、本発明で示される平均粒径に調節するために、サイクロン、サイクロンエアセパレーター、ミクロセパレーター、サイクロンエアセパレーター、シャープカットセパレーター等の装置で1回又は繰り返し湿式又は乾式分級する。本発明で用いるタルクを製造する際は、特定の粒径に粉砕した後、シャープカットセパレーターにて分級操作を行うことが好ましい。
【0030】
これらのタルクは、重合体との接着性あるいは分散性を向上させる目的で、各種の有機チタネート系カップリング剤、有機シランカップリング剤、不飽和カルボン酸、又はその無水物をグラフトした変性ポリオレフィン、脂肪酸、脂肪酸金属塩、脂肪酸エステル等によって表面処理したものを用いてもよい。
【0031】
該タルクの配合量は、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中に18〜24重量%、好ましくは19〜23重量%である。タルクの配合量が上記範囲未満では曲げ弾性率が不足し、上記範囲を超える場合は比重が大きくなり、軽量化の観点から好ましくない。
【0032】
(4)付加的成分(任意成分)
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物中には、上記(A)〜(C)の必須成分以外に本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的成分(任意成分)を添加することができる。
【0033】
この様な付加的成分(任意成分)としては、フェノール系及びリン系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の耐候劣化防止剤、有機アルミニウム化合物、有機リン化合物等の核剤、ステアリン酸の金属塩に代表される分散剤、キナクリドン、ペリレン、フタロシアニン、酸化チタン、カーボンブラック等の着色物質、繊維状チタン酸カリウム、繊維状マグネシウムオキシサルフェート、繊維状硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム等のウイスカー、炭素繊維やガラス繊維等の物質を例示できる。
【0034】
[II]ポリプロピレン系樹脂組成物の製造方法
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記構成成分を通常の押出機、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダープラストグラフ、ニーダー等を用いて、設定温度180〜250℃にて混練することにより製造されるが、これらの中でも押出機、特に二軸押出機を用いて製造することが好ましい。
【0035】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物の成形加工法は、特に限定されるものではないが、合成樹脂分野において一般的に実施されている成形法を適用して成形されるが、奏される発明の効果からみて、射出成形法を用いることが適している。
【0036】
[III]ポリプロピレン系樹脂組成物の物性及び用途
上記方法によって製造される本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形時の加工性が良好で、曲げ弾性率、脆化温度特性、引張り伸びに優れた下記の特性を有する。
【0037】
特性(a):比重1.1以下、好ましくは1.00〜1.05。
特性(b):MFR: 36〜50g/10分、好ましくは36〜45g/10分。
特性(c):曲げ弾性率1800MPa以上、好ましくは1900〜2500MPa。
特性(d):脆化温度−15℃以下、好ましくは−20〜−40℃。
特性(e):引張り伸び200%以上、好ましくは210〜500%。
特性(f):成形内圧38MPa以下、好ましくは33〜37.5MPa。
特性(g):ウエルド外観(メタメリ感)が良好。
【0038】
上記特性の中で、特に、成形内圧が38MPaを超えると、型締力の高い、より大型の射出成形機が必要となり、生産コストが高くなる。さらにハイサイクル成形も実現できなくなるので好ましくない。
【0039】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、上記の性能を発現できる素材であることから、種々の成形品に成形加工することができるが、中でもバンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダーをはじめとする自動車外装部品等の射出成形品に用いることが好ましい。
【0040】
【実施例】
以下、実施例によって、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
なお、実施例における測定法及び実施例で用いた原材料は、以下の通りである。
[I]測定法
(1)MFR:ASTM D1238に準拠し、2.16kg荷重にて230℃の温度で測定した。
(2)比重:ASTM D792に準拠して測定した。
(3)曲げ弾性率:ASTM D790に準拠し、23℃において曲げ速度2mm/minで測定した。
(4)脆化温度:ASTM D746に準拠し、評価した。
(5)引張り伸び:ASTM D638に準拠し、23℃で引張り速度10mm/minで測定評価した。
(6)成形内圧:実施例に記載の方法で評価した。
(7)メタメリ外観:図1に示すようなゲートを2つ備えた平板成形品(350×100×2mm)を型締め圧170トンの成形機にて、設定温度210℃で成形し、矢印に示す位置のウエルドラインの垂直方向から目視した際の白黒に別れて見える外観の程度を次の基準で判定した。
○:ほとんど目立たない。
×:かなり目立ち、実用上問題がある。
(8)タルクの粒径:堀場製作所製LA920Wを用い、レーザー回折法にて測定を行った。
【0041】
[II]原材料
(1)エチレン・プロピレンブロック共重合体(A)
実施例、比較例で用いたエチレン・プロピレンブロック共重合体を表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
(2)エチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム(B)
実施例、比較例で用いたエチレン・α−オレフィン・非共役ジエン共重合体を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
(3)タルク(C)
実施例、比較例で用いたタルクを表3に示す。
【0046】
【表3】
【0047】
実施例1〜5及び比較例1〜11
表1〜3に示す原材料を、表4、5に示す組成の割合で配合し、更に組成物100重量部に対して、テトラキス[メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバスペシャルティケミカルズ社製IRGANOX1010)0.1重量部、ベヘン酸亜鉛0.3重量部を配合して、川田製作所製スーパーミキサーで5分間混合した後、神戸製鋼社製二軸混練機(2FCM)にて210℃の設定温度で混練造粒することによりポリプロピレン系樹脂組成物を得た。次に、得られた組成物を型締め圧350トンの射出成形機にて成形温度210℃で物性測定用試験片を作成し、上記各種測定法に従って測定を行った。評価結果を表6及び7に示す。
【0048】
さらに、型締め圧170トンの成形機で、圧電式キャビティ圧センサーを金型に埋め込んだ箱形の金型を用いて、220℃で成形し、充填過程におけるゲート近傍のキャビティ圧のピーク(成形内圧)を測定した。評価結果を表6及び7に示す。
【0049】
【表4】
【0050】
【表5】
【0051】
【表6】
【0052】
【表7】
【0053】
【発明の効果】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物は、射出成形時の加工性が良好で、曲げ弾性率、脆化温度特性、引張り伸びに優れた性能を発現でき、かつ成形時の内圧特性に優れ、ウエルドを境とした成形外観にも優れる素材であることから、種々の成形品に加工することができる。中でも自動車外装部品等の射出成形品、特にバンパー、ロッカーモール、サイドモール、オーバーフェンダー等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例におけるメタメリ外観の測定用成形品である。
Claims (3)
- 下記(A)〜(C)成分より構成されることを特徴とするポリプロピレン系樹脂組成物。
(A)成分:プロピレン単独重合体部分のメルトフローレート(MFR)が210〜400g/10分で、かつプロピレン・エチレンブロック共重合体のMFRが100〜200g/10分で、その共重合体部分のプロピレン含有量が65〜85重量%、共重合体部分の量が5〜10重量%であるプロピレン・エチレンブロック共重合体 50〜70重量%
(B)成分:MFRが3〜8g/10分であるエチレン・炭素数4以上のα−オレフィン・非共役ジエン共重合体ゴム 19〜26重量%
(C)成分:レーザー回折法によって測定した平均粒径が10μm以下であるタルク 18〜24重量% - (B)成分の炭素数4以上のα−オレフィンが1−ブテンであることを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
- 樹脂組成物が下記(a)〜(f)の特性を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のポリプロピレン系樹脂組成物。
特性(a):比重1.1以下
特性(b):MFR36〜50g/10分
特性(c):曲げ弾性率1800MPa以上
特性(d):脆化温度−15℃以下
特性(e):引張り伸び200%以上
特性(f):成形内圧38MPa以下
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