JP4418072B2 - 高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建材、家電製品、自動車排気系などに適する高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融アルミニウムめっき鋼板は、通常、鋼板を脱脂後、無酸化炉にて予熱し、表面の清浄化および材質確保のために還元炉にて還元焼鈍を行い、溶融Al浴に浸漬し、付着量制御を行うことによって製造される。その特徴として、耐酸化性、熱反射性などに優れることから、建材、家電を始めとして幅広く用いられている。また、亜鉛系めっき鋼板に比べて、裸耐食性が良好で、自動車足まわり材料の防錆処理としても有効である。
【0003】
また、Si:0.05〜3.5質量%、Mn:0.3〜2.5質量%、Cr:0.1〜6質量%、Al:0.1〜4質量%のうち1種以上を含有した高張力鋼板においては、従来の無酸化―還元(焼鈍)方式の溶融めっき処理を行う際、めっき前の焼鈍工程においてSi、Mn、Cr、Alが鋼板表面に酸化濃化すること等に起因して、めっきを行うと、ピンホール状の不めっきが多数発生し、他の鋼種に比較すると生産性が極めて悪いことが問題となっている。
【0004】
そこで、不めっき発生の抑制手段として、特開平3−28359号公報、特開平3−64437号公報等に見られるように、特定のめっきを付与することでめっき性の改善を行っているが、この方法では、溶融めっきライン焼鈍炉前段に新たにめっき設備を設けるか、もしくは、あらかじめ電気めっきラインにおいてめっき処理を行わなければならず、大幅なコストアップとなる。
特に溶融アルミニウムめっきに関しては、上記問題点を解決する有力な方法がなく、生産性を犠牲にせず、高張力鋼板に溶融アルミニウムめっきを施す方法が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決し、設備追加などによるコスト増加なしに、めっき不良のない高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、上記の課題を解決するために、浴組成に着目して鋭意検討を続けたところ、Si:0.05〜3.5質量%、Mn:0.3〜2.5質量%、Cr:0.1〜6質量%、Al:0.1〜4質量%を含有する高張力鋼板の表面に溶融アルミニウムめっきを行うにあたり、Si:3〜15質量%、Mg:0.5〜10質量%を含有する溶融Alめっき浴にてめっきを行うと、不めっきの発生が著しく抑制されめっき密着性が向上することを見出した。本発明は、この発見に基づいて完成したもので、その要旨とするところは下記の通りである。
【0007】
(1)質量%で、Si:0.05〜3.5%、Mn:0.3〜2.5%、Cr:0.1〜6%、Al:0.1〜4%を含有する高張力鋼板に、溶融アルミニウムめっきを行うにあたり、質量%で、Si:3〜15%、Mg:0.5〜10%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるめっき浴にてめっきを行うことを特徴とする高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。
(2)めっき浴の温度を600〜700℃とすることを特徴とする前記(1)に記載の高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。
(3)めっき浴に浸漬する際の鋼板の温度を580〜700℃とすることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明者らは、Si:0.05〜3.5質量%、Mn:0.3〜2.5質量%、Cr:0.1〜6質量%、Al:0.1〜4質量%を含有する、低C系高張力鋼板を、20%H2−N2雰囲気中800℃にて90秒間焼鈍を行い、鋼板温度650℃として、浴温620〜680℃のAl−Si(2〜12質量%)−Mg(0.5〜10質量%)めっき浴中で3秒間浸漬を行い、ガスワイピングにて所定のめっき厚(40g/m2)とした。その後、めっき表面の不めっき部面積を測定することで、めっき性を評価した。不めっきの発生が著しく抑制される理由の詳細については不明であるが、めっき浴中へ添加されたMgにより、焼鈍中に鋼板表面に生成する酸化物が還元されることでめっき性が向上していると考えられる。さらに、添加したMgはめっき自体の耐食性および塗装後の耐食性を向上させる効果がある。
【0009】
以下に本発明における限定理由について述べる。
まず、対象とする鋼組成の限定理由は以下の通りである。
Siを0.05〜3.5%の範囲としたのは、材質上強度を確保するためである。また、鋼中Siの上限を3.5%としたのは、材質上これ以上添加すると硬くなりすぎるためである。
Mnを0.3〜2.5質量%の範囲としたのは、0.3%以上で強化効果が現れるためである。また、2.5%を上限としたのは、これを超えて添加すると伸びに悪影響を及ぼすためである。
【0010】
Crを0.1〜6質量%の範囲としたのは、0.1%以上で強化効果が現れるためである。また、6%を上限としたのは、6%を超えて添加しても、強度の向上効果はもはや飽和し、いたずらにコストを上昇させるためである。
Alを0.1〜4質量%の範囲としたのは、0.1%以上で強化効果が現れるためである。また、4%を超えると割れやキズを発生しやすくなり製造コストの観点で不利となるためである。
【0011】
次に、めっき浴組成の限定理由は以下の通りである。
Siの下限を3質量%としたのは、3%未満ではめっき時にFe−Alの合金層が、地鉄とめっきの界面に厚く成長し、めっき自体の密着性が確保できないためである。Siの上限を12質量%としたのは、12%を越えると、めっき層中にSi単層の析出が顕著となり、めっきの加工性に悪影響を及ぼすためである。Mgの下限を0.5質量%としたのは、0.5%未満では不めっき抑制の効果がみられないためである。上限を10%としたのは、これ以上Mgを添加するとめっき浴面にMg酸化物に起因するドロスの発生が増大するためである。
さらに、めっき浴中には、通常利用される微量添加元素として、Ni、Sb、Pb、Fe、を含んでいても、本発明の効果に特に影響はない。
【0012】
上記組成範囲のめっき浴では、浴温度はを600〜700℃が最適で、この範囲でめっきした場合が最もめっき不良が起こりにくい。600℃未満では不めっきが顕著となり、700℃を超えるとFe−Al合金層の成長が顕著となるため加工性が劣化する。
上記の浴温度設定を、さらに有効に活用するために、めっき浴に浸漬する際の鋼板の温度は580〜700℃にすることが好ましい。鋼板の温度が適正範囲でないと浴温度を上記適正範囲に設定しても十分な不めっき抑制効果が得られない。すなわち、鋼板温度が580℃未満では不めっきが顕著となり、700℃を超えるとFe−Al合金層の成長が顕著となるために加工性が劣化する。
めっき付着量については、特に制約は設けないが、耐食性の観点から片面付着量で5g/m2 以上、加工性の観点からすると150g/m2 以下であることが望ましい。
【0013】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。
表1に示すような低C系高張力鋼板を、20%H2 −N2 雰囲気中800℃にて90秒間焼鈍を行い、620〜680℃のAl−Si(3〜15質量%)−Mg(0.5〜10質量%)めっき浴中で3秒間浸漬を行い、ガスワイピングにて所定のめっき厚(40g/m2 )とした。その後、めっき表面の不めっき部面積を測定することで、めっき性を評価した。めっき密着性は60度V曲げ試験により剥離具合をテープテストで判定した。
表1に示す通り、本発明の製造方法で作成した本発明鋼板(No.1〜29)は、めっき濡れ性が改善されており、外観、めっき密着性が良好である。それに比較して、本発明範囲を逸脱する場合(No.30〜32)は、外観あるいはめっき密着性が不良である。
【0014】
【表1】
【0015】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明は建材、家電製品、自動車排気系用途等に有効な高張力アルミニウムめっき鋼板を、コスト上昇を伴わず不めっきの発生なく製造する方法を提供でき、また、使用するめっき浴組成はめっき耐食性を向上させる効果もあるので、その産業上の価値は極めて高いといえる。
Claims (3)
- 質量%で、
Si:0.05〜3.5%、
Mn:0.3〜2.5%、
Cr:0.1〜6%、
Al:0.1〜4%
を含有する高張力鋼板に、溶融アルミニウムめっきを行うにあたり、質量%で、Si:3〜15%、Mg:0.5〜10%を含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなるめっき浴にてめっきを行うことを特徴とする高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。 - めっき浴の温度を600〜700℃とすることを特徴とする請求項1に記載の高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。
- めっき浴に浸漬する際の鋼板の温度を580〜700℃とすることを特徴とする請求項1または2に記載の高張力溶融アルミニウムめっき鋼板の製造方法。
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