JPH09202952A - 高加工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法 - Google Patents
高加工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法Info
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- JPH09202952A JPH09202952A JP1120996A JP1120996A JPH09202952A JP H09202952 A JPH09202952 A JP H09202952A JP 1120996 A JP1120996 A JP 1120996A JP 1120996 A JP1120996 A JP 1120996A JP H09202952 A JPH09202952 A JP H09202952A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】加工性に優れ、パウダリングが少なく、不めっ
きによる表面外観劣化のない合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を得る。 【解決手段】Alを0.1〜0.2重量%、Niを0.
01〜0.2重量%、Pb、Sb、Bi、Snのうち少
なくとも1種以上を0.001〜0.01重量%含む亜
鉛めっき浴中で溶融めっきを施した後、昇温速度20℃
/s以下で昇温し、480〜600℃で加熱合金化処理
する。
きによる表面外観劣化のない合金化溶融亜鉛めっき鋼板
を得る。 【解決手段】Alを0.1〜0.2重量%、Niを0.
01〜0.2重量%、Pb、Sb、Bi、Snのうち少
なくとも1種以上を0.001〜0.01重量%含む亜
鉛めっき浴中で溶融めっきを施した後、昇温速度20℃
/s以下で昇温し、480〜600℃で加熱合金化処理
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面処理鋼板、特に
自動車用鋼板として好適な加工性に優れた、合金化溶融
めっき鋼板及びその製造方法に関する。
自動車用鋼板として好適な加工性に優れた、合金化溶融
めっき鋼板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】合金化溶融めっき鋼板は塗装後耐食性に
優れることから、自動車用鋼板として用いられている
が、プレス成型時にパウダリングと呼ばれる、粉状めっ
き剥離が起こりやすい欠点がある。パウダリングは、Z
n−Fe合金の中でFe含有率が高く、脆い性質を持つ
Γ相の層が鋼板と素地の間に生成することによって、プ
レス加工時にその部分から剥離が起こる現象である。Γ
相はめっき層中のFe含有率が高くなると形成しやすく
なることから、パウダリングはめっき層中のFe含有率
が高くなるほど起こりやすい。
優れることから、自動車用鋼板として用いられている
が、プレス成型時にパウダリングと呼ばれる、粉状めっ
き剥離が起こりやすい欠点がある。パウダリングは、Z
n−Fe合金の中でFe含有率が高く、脆い性質を持つ
Γ相の層が鋼板と素地の間に生成することによって、プ
レス加工時にその部分から剥離が起こる現象である。Γ
相はめっき層中のFe含有率が高くなると形成しやすく
なることから、パウダリングはめっき層中のFe含有率
が高くなるほど起こりやすい。
【0003】合金化溶融めっき鋼板のパウダリングを抑
制し、加工性を向上させるため、めっき浴中に何種類か
の金属元素を添加する技術が提案されている。特開昭6
2−23948号公報には、Tiを0.1〜2%、Al
を0.08〜5.0%、Mgを0.01〜0.8%、さ
らに、Fe又はFeに加えてMn、Ni、Coのうちの
1種又は2種以上を0.1〜1.6%を添加することに
より、耐食性及び加工性が向上する旨が報告され、その
中でNiの添加により得られる効果について記述されて
いる。それは、Ti化合物が均一に分散析出し、また、
合金自体の結晶粒が微細化することと、腐食環境で初期
の白錆発生を抑制するMnの作用とNiの耐食性と相俟
って著しく優れた耐食性を得ることができるということ
である。また、加工性を向上させる手段としては、Al
及び必要に応じてSiを添加することにより、めっき剥
離の原因となる、めっき層と素地間のFe−Zn、Fe
−Ti系合金層の形成が著しく抑制される効果があるこ
とが記載されている。
制し、加工性を向上させるため、めっき浴中に何種類か
の金属元素を添加する技術が提案されている。特開昭6
2−23948号公報には、Tiを0.1〜2%、Al
を0.08〜5.0%、Mgを0.01〜0.8%、さ
らに、Fe又はFeに加えてMn、Ni、Coのうちの
1種又は2種以上を0.1〜1.6%を添加することに
より、耐食性及び加工性が向上する旨が報告され、その
中でNiの添加により得られる効果について記述されて
いる。それは、Ti化合物が均一に分散析出し、また、
合金自体の結晶粒が微細化することと、腐食環境で初期
の白錆発生を抑制するMnの作用とNiの耐食性と相俟
って著しく優れた耐食性を得ることができるということ
である。また、加工性を向上させる手段としては、Al
及び必要に応じてSiを添加することにより、めっき剥
離の原因となる、めっき層と素地間のFe−Zn、Fe
−Ti系合金層の形成が著しく抑制される効果があるこ
とが記載されている。
【0004】また、特開平7−3417号公報には、鋼
板上に第1層としてZn−Fe系合金層、第2層として
Feを8〜15%、Niを0.1〜2%、Alを1%以
下含むZn−Fe−Ni−Al系合金層で構成された合
金化溶融Znめっき鋼板が開示されている。さらに第2
層にSb、Pb、Mgを単独或いは複合で1%以内含有
した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されており優れた
耐赤錆性を示すことが記載されている。
板上に第1層としてZn−Fe系合金層、第2層として
Feを8〜15%、Niを0.1〜2%、Alを1%以
下含むZn−Fe−Ni−Al系合金層で構成された合
金化溶融Znめっき鋼板が開示されている。さらに第2
層にSb、Pb、Mgを単独或いは複合で1%以内含有
した合金化溶融亜鉛めっき鋼板が開示されており優れた
耐赤錆性を示すことが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62−23948号公報では、亜鉛浴中にTi、Al、
MgとFe、Mn、Co、Niのうちの1種又は2種以
上を添加するものであり、またNi添加により得られる
特性は、耐食性の向上のみで、加工性の向上に関するも
のではない。また、特開平7−3417号公報は、鋼板
にNiプレめっきを施した後溶融めっきを行い、さらに
合金化処理をするため、Niプレめっき後鋼板表面に形
成したNi酸化物が溶融めっき時に不めっき部となりや
すく、表面外観に悪影響を及ぼす。
62−23948号公報では、亜鉛浴中にTi、Al、
MgとFe、Mn、Co、Niのうちの1種又は2種以
上を添加するものであり、またNi添加により得られる
特性は、耐食性の向上のみで、加工性の向上に関するも
のではない。また、特開平7−3417号公報は、鋼板
にNiプレめっきを施した後溶融めっきを行い、さらに
合金化処理をするため、Niプレめっき後鋼板表面に形
成したNi酸化物が溶融めっき時に不めっき部となりや
すく、表面外観に悪影響を及ぼす。
【0006】本発明はこのような問題点を解消した高加
工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法を提供する
ことを目的とするものである。
工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らはA
lを含有した溶融亜鉛めっき浴中にNiを添加し、さら
にPb、Sb、Bi、Snのうちの少なくとも1種以上
を添加して溶融めっきを行い、このめっき鋼板に合金化
処理を施したところ、めっき層中のFe含有率が高いに
も関わらず、加工時のめっき剥離量がNi、Pb、S
b、Bi、Sn無添加浴の合金化溶融亜鉛めっきと比較
して減少し、さらに、Niを添加した溶融亜鉛浴で溶融
めっきを行うことによって、Niをめっきと鋼板との界
面に濃化させることが可能であり、Niの酸化物が形成
されることがなくなり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表
面外観に悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明を完
成したものである。
lを含有した溶融亜鉛めっき浴中にNiを添加し、さら
にPb、Sb、Bi、Snのうちの少なくとも1種以上
を添加して溶融めっきを行い、このめっき鋼板に合金化
処理を施したところ、めっき層中のFe含有率が高いに
も関わらず、加工時のめっき剥離量がNi、Pb、S
b、Bi、Sn無添加浴の合金化溶融亜鉛めっきと比較
して減少し、さらに、Niを添加した溶融亜鉛浴で溶融
めっきを行うことによって、Niをめっきと鋼板との界
面に濃化させることが可能であり、Niの酸化物が形成
されることがなくなり、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表
面外観に悪影響を及ぼさないことを見出し、本発明を完
成したものである。
【0008】本発明は、上記知見に基づくもので、Al
を0.1〜0.25重量%、Feを6.0〜18.0重
量%、Niを0.05〜0.3重量%、さらにPb、S
b、Bi、Snのうち少なくとも1種以上を0.001
〜0.01重量%含み、残部が亜鉛及び不可避不純物よ
りなるめっき層を有する高加工性合金化溶融めっき鋼板
を提供する。
を0.1〜0.25重量%、Feを6.0〜18.0重
量%、Niを0.05〜0.3重量%、さらにPb、S
b、Bi、Snのうち少なくとも1種以上を0.001
〜0.01重量%含み、残部が亜鉛及び不可避不純物よ
りなるめっき層を有する高加工性合金化溶融めっき鋼板
を提供する。
【0009】このような鋼板を製造する本発明方法は、
Alを0.1〜0.2重量%、Niを0.01〜0.2
重量%、さらにPb、Sb、Bi、Snのうち少なくと
も1種以上を0.001〜0.01重量%含み、残部が
亜鉛と微量の不可避不純物とからなる亜鉛めっき浴中で
溶融めっきを施した後、昇温速度20℃/s以下で昇温
し、480〜600℃で加熱合金化処理することを特徴
とする高加工性合金化溶融めっき鋼板の製造方法であ
る。
Alを0.1〜0.2重量%、Niを0.01〜0.2
重量%、さらにPb、Sb、Bi、Snのうち少なくと
も1種以上を0.001〜0.01重量%含み、残部が
亜鉛と微量の不可避不純物とからなる亜鉛めっき浴中で
溶融めっきを施した後、昇温速度20℃/s以下で昇温
し、480〜600℃で加熱合金化処理することを特徴
とする高加工性合金化溶融めっき鋼板の製造方法であ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係わる合金化溶
融めっきのめっき層及び亜鉛めっき浴を構成する各組成
成分の作用、ならびに含有量を上記のように設定した理
由及び合金化処理条件について実施の形態を述べる。 (1)Al 溶融めっきにおいて亜鉛浴中にAlが含有されていない
と、亜鉛浴に鋼板が浸漬すると同時に鋼板界面でZn−
Feの合金化反応が進むため、溶融めっき完了時にはめ
っき層と鋼板界面はFe含有率の高いZn−Fe合金層
が形成され、さらにその後合金化処理を行うことにより
Zn−Fe合金層は成長し、厚みを増す。その合金層
は、Γ層(Fe:22重量%)と呼ばれる堅く脆い性質
を持つ合金相で構成されているため、加工時に剥離が起
こりやすくなる。
融めっきのめっき層及び亜鉛めっき浴を構成する各組成
成分の作用、ならびに含有量を上記のように設定した理
由及び合金化処理条件について実施の形態を述べる。 (1)Al 溶融めっきにおいて亜鉛浴中にAlが含有されていない
と、亜鉛浴に鋼板が浸漬すると同時に鋼板界面でZn−
Feの合金化反応が進むため、溶融めっき完了時にはめ
っき層と鋼板界面はFe含有率の高いZn−Fe合金層
が形成され、さらにその後合金化処理を行うことにより
Zn−Fe合金層は成長し、厚みを増す。その合金層
は、Γ層(Fe:22重量%)と呼ばれる堅く脆い性質
を持つ合金相で構成されているため、加工時に剥離が起
こりやすくなる。
【0011】合金化溶融めっき鋼板の加工性を向上させ
るにはZn−Feの合金化反応を抑制することが必要で
あるが、それは亜鉛浴中にAlを含有させることによっ
て可能となる。亜鉛浴中に鋼板を浸漬すると鋼板表面に
Fe−Al合金層(Al富化層)が形成され、めっき層
(Zn)と鋼板(Fe)の合金化反応が抑制されるの
で、溶融めっき後もZn−Fe合金層が形成されず、ま
た、さらに合金化処理すると、Al富化層を突き破り鋼
板の粒界からZn−Fe合金化が始まり、進行する。Z
n−Feの合金化が始まるタイミングはAl富化層が厚
い程遅くなり、加工性劣化の原因となるΓ層の形成を抑
制することができる。
るにはZn−Feの合金化反応を抑制することが必要で
あるが、それは亜鉛浴中にAlを含有させることによっ
て可能となる。亜鉛浴中に鋼板を浸漬すると鋼板表面に
Fe−Al合金層(Al富化層)が形成され、めっき層
(Zn)と鋼板(Fe)の合金化反応が抑制されるの
で、溶融めっき後もZn−Fe合金層が形成されず、ま
た、さらに合金化処理すると、Al富化層を突き破り鋼
板の粒界からZn−Fe合金化が始まり、進行する。Z
n−Feの合金化が始まるタイミングはAl富化層が厚
い程遅くなり、加工性劣化の原因となるΓ層の形成を抑
制することができる。
【0012】しかし、Al富化層が厚すぎると合金化処
理にZn−Fe合金化反応が起こらず、合金化ムラを生
じたり、合金化溶融めっき鋼板を得ることができないと
いう問題が生じる。そのため、Alの亜鉛浴中含有量を
0.1〜0.2重量%に限定した。0.1重量%未満で
はZn−Fe合金化が早く始まるため合金化処理をする
と脆いΓ相が多く形成され、加工時に剥離が起きやすく
なること、一方、0.2重量%を超えるとZn−Fe合
金化反応が起こりにくく、合金化めっき鋼板製造時にめ
っき層中のFe含有率を目標の範囲内に制御することが
困難となるためである。
理にZn−Fe合金化反応が起こらず、合金化ムラを生
じたり、合金化溶融めっき鋼板を得ることができないと
いう問題が生じる。そのため、Alの亜鉛浴中含有量を
0.1〜0.2重量%に限定した。0.1重量%未満で
はZn−Fe合金化が早く始まるため合金化処理をする
と脆いΓ相が多く形成され、加工時に剥離が起きやすく
なること、一方、0.2重量%を超えるとZn−Fe合
金化反応が起こりにくく、合金化めっき鋼板製造時にめ
っき層中のFe含有率を目標の範囲内に制御することが
困難となるためである。
【0013】(2)Ni、Pb、Sb、Bi、Sn (2−a)Niによる密着性向上のメカニズム 亜鉛浴中に含有されたNiは、亜鉛浴中に鋼板を浸漬す
ると鋼板表面にFe−Ni合金層を形成する。そのFe
−Ni合金層はめっき層中のNiの含有率が高くなるほ
ど顕著に見られ、Al富化層と共にZn−Fe合金化を
抑制する機能をもつ。そして溶融めっき鋼板を加熱して
合金化処理するとNiは鋼板表面からめっき層中に拡散
し、Zn−Fe−Al−Ni4元系合金層を形成するた
め、めっき剥離の原因となるZn−Fe2元系合金(F
e含有率22重量%)Γ相の形成が抑制される。
ると鋼板表面にFe−Ni合金層を形成する。そのFe
−Ni合金層はめっき層中のNiの含有率が高くなるほ
ど顕著に見られ、Al富化層と共にZn−Fe合金化を
抑制する機能をもつ。そして溶融めっき鋼板を加熱して
合金化処理するとNiは鋼板表面からめっき層中に拡散
し、Zn−Fe−Al−Ni4元系合金層を形成するた
め、めっき剥離の原因となるZn−Fe2元系合金(F
e含有率22重量%)Γ相の形成が抑制される。
【0014】しかしながら、めっき層中のNi含有率が
0.1重量%を越えるとAl−Niの合金化反応が顕著
になるので、Fe−Ni合金層及びAl富化層の形成が
不十分となり、合金化抑制機能が低減し、めっき密着性
が劣化する問題が生じる。また、Ni添加のみでは、十
分なZn−Fe2元系合金Γ相の抑制効果を得るには
0.05重量%以上のNi含有量が必要である。従っ
て、Ni添加のみで、密着性を向上させるには、0.0
5〜0.1重量%のNi含有量とする必要があり、Ni
濃度の制御等が困難となる。
0.1重量%を越えるとAl−Niの合金化反応が顕著
になるので、Fe−Ni合金層及びAl富化層の形成が
不十分となり、合金化抑制機能が低減し、めっき密着性
が劣化する問題が生じる。また、Ni添加のみでは、十
分なZn−Fe2元系合金Γ相の抑制効果を得るには
0.05重量%以上のNi含有量が必要である。従っ
て、Ni添加のみで、密着性を向上させるには、0.0
5〜0.1重量%のNi含有量とする必要があり、Ni
濃度の制御等が困難となる。
【0015】(2−b)NiとPb、Sb、Bi、Sn
との相乗効果 ここで、上記Ni添加めっき層中に、さらにPb、S
b、Bi、Snの少なくとも1種以上を0.001重量
%以上含有させると、Al−Ni合金化反応よりもFe
−Ni合金化反応が促進されるため、Ni含有量の許容
範囲が広がり、濃度制御が容易になる。また、Pb、S
b、Bi、Snによる効果としては、このほかに、濡れ
性の向上や不めっき抑制の効果があるが、めっき層中の
Pb、Sb、Bi、Snの含有量が0.01重量%を越
えると耐食性の劣化や黒変等の問題が生じる。
との相乗効果 ここで、上記Ni添加めっき層中に、さらにPb、S
b、Bi、Snの少なくとも1種以上を0.001重量
%以上含有させると、Al−Ni合金化反応よりもFe
−Ni合金化反応が促進されるため、Ni含有量の許容
範囲が広がり、濃度制御が容易になる。また、Pb、S
b、Bi、Snによる効果としては、このほかに、濡れ
性の向上や不めっき抑制の効果があるが、めっき層中の
Pb、Sb、Bi、Snの含有量が0.01重量%を越
えると耐食性の劣化や黒変等の問題が生じる。
【0016】従って、めっき層中のNi含有量は0.0
5〜0.3重量%とし、さらにPb、Sb、Bi、Sn
のうち少なくとも1種以上を0.001〜0.01重量
%をめっき層中に含有させる。また、上記めっき層を得
るために溶融亜鉛めっき浴中にNiを添加する時、同時
に添加するAl量にもよるが、0.1重量%を越えたN
i含有量によってドロス(Ni2 Al3 )が生成され始
め、0.2重量%を越えるとドロス量が顕著に増加し、
めっき表面欠陥を生じる。一方、めっき層中のNiは、
加熱合金化処理以前には、鋼板表面に濃化しているた
め、平均しためっき層中のNi濃度はめっき浴中のNi
濃度より高くなる。従って、上述のNi組成のめっき層
を得るには、めっき浴中のNi含有量が若干低めでも製
造可能であり、めっき浴中のNi含有量はドロス抑制を
考慮し、0.2重量%以下とする。さらに好ましくは
0.1重量%以下である。まためっき浴中のNiの効果
を顕現させるために、Ni:0.01重量%以上をめっ
き浴中に含有させる。
5〜0.3重量%とし、さらにPb、Sb、Bi、Sn
のうち少なくとも1種以上を0.001〜0.01重量
%をめっき層中に含有させる。また、上記めっき層を得
るために溶融亜鉛めっき浴中にNiを添加する時、同時
に添加するAl量にもよるが、0.1重量%を越えたN
i含有量によってドロス(Ni2 Al3 )が生成され始
め、0.2重量%を越えるとドロス量が顕著に増加し、
めっき表面欠陥を生じる。一方、めっき層中のNiは、
加熱合金化処理以前には、鋼板表面に濃化しているた
め、平均しためっき層中のNi濃度はめっき浴中のNi
濃度より高くなる。従って、上述のNi組成のめっき層
を得るには、めっき浴中のNi含有量が若干低めでも製
造可能であり、めっき浴中のNi含有量はドロス抑制を
考慮し、0.2重量%以下とする。さらに好ましくは
0.1重量%以下である。まためっき浴中のNiの効果
を顕現させるために、Ni:0.01重量%以上をめっ
き浴中に含有させる。
【0017】またPb、Sb、Bi、Snは、めっき浴
とほぼ同量がめっき層中に含有されるため、0.001
〜0.01重量%をめっき浴中に含有させる。以上を総
合し、めっき浴中のNi含有率は、0.01〜0.2重
量%、好ましくは0.01〜0.1重量%とし、さらに
Pb、Sb、Bi、Snのうち少なくとも1種以上を
0.001〜0.01重量%めっき浴中に含有させる。
とほぼ同量がめっき層中に含有されるため、0.001
〜0.01重量%をめっき浴中に含有させる。以上を総
合し、めっき浴中のNi含有率は、0.01〜0.2重
量%、好ましくは0.01〜0.1重量%とし、さらに
Pb、Sb、Bi、Snのうち少なくとも1種以上を
0.001〜0.01重量%めっき浴中に含有させる。
【0018】また、既に述べたように、Niを添加した
溶融亜鉛めっき浴でめっきすることにより、めっきと地
鉄との界面にNiが濃化するので、溶融亜鉛めっき前に
Niを鋼板にあらかじめ付着させる必要はなく、従来の
溶融亜鉛めっき鋼板製造と同様の方法で製造することが
可能となったため、上記した亜鉛浴中のPb,Sb,B
i,Snの濡れ性向上効果と併せ、鋼板の不めっき部が
減少し、合金化後の表面外観が良好になる。
溶融亜鉛めっき浴でめっきすることにより、めっきと地
鉄との界面にNiが濃化するので、溶融亜鉛めっき前に
Niを鋼板にあらかじめ付着させる必要はなく、従来の
溶融亜鉛めっき鋼板製造と同様の方法で製造することが
可能となったため、上記した亜鉛浴中のPb,Sb,B
i,Snの濡れ性向上効果と併せ、鋼板の不めっき部が
減少し、合金化後の表面外観が良好になる。
【0019】(3)合金化処理時の昇温速度を20℃/
s以下とした理由は、昇温速度が20℃/sを超える
と、めっき層と鋼板との間にΓ相が形成され、加工性が
劣化するためであり、合金化温度を480〜600℃と
したのは、600℃を超えると、Zn−Fe合金化反応
がかなり進み、Γ相が形成されやすくなるため加工性が
劣化し、480℃未満であると合金化反応が進まず、表
層に亜鉛が残存するからである。
s以下とした理由は、昇温速度が20℃/sを超える
と、めっき層と鋼板との間にΓ相が形成され、加工性が
劣化するためであり、合金化温度を480〜600℃と
したのは、600℃を超えると、Zn−Fe合金化反応
がかなり進み、Γ相が形成されやすくなるため加工性が
劣化し、480℃未満であると合金化反応が進まず、表
層に亜鉛が残存するからである。
【0020】
【実施例】次に、本発明の合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
実施例を比較例と対比しながら説明する。表1に示され
る亜鉛浴及びめっき層中成分組成を持つ、本発明の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を実施例1〜6に、その比較例を
比較例1〜6に示す。鋼板の加工性及び鋼板表面外観の
評価法を以下に示した。 (90℃曲げ試験)試料を40×50mmに剪断後、ニ
ットテープを貼り付け90°圧縮曲げ、曲げ戻しを行っ
た後、ニットテープを剥離し、テープに付着しためっき
粉を蛍光X線装置(rigaku製;Model37
0)を使用して亜鉛のカウントを測定した。
実施例を比較例と対比しながら説明する。表1に示され
る亜鉛浴及びめっき層中成分組成を持つ、本発明の合金
化溶融亜鉛めっき鋼板を実施例1〜6に、その比較例を
比較例1〜6に示す。鋼板の加工性及び鋼板表面外観の
評価法を以下に示した。 (90℃曲げ試験)試料を40×50mmに剪断後、ニ
ットテープを貼り付け90°圧縮曲げ、曲げ戻しを行っ
た後、ニットテープを剥離し、テープに付着しためっき
粉を蛍光X線装置(rigaku製;Model37
0)を使用して亜鉛のカウントを測定した。
【0021】Znカウント数が、50未満を◎、50〜
100を〇、101以上を×と評価した。 (鋼板表面外観)合金化溶融亜鉛めっき鋼板の試料中、
500mm角の領域において表面外観評価を以下に示す
ように行った。
100を〇、101以上を×と評価した。 (鋼板表面外観)合金化溶融亜鉛めっき鋼板の試料中、
500mm角の領域において表面外観評価を以下に示す
ように行った。
【0022】 〇:不めっき、合金化ムラともになし ×:不めっき、又は合金化ムラあり
【0023】
【表1】
【0024】表1に示されるように、本発明による各成
分の浴中濃度及び合金化条件に従った実施例1〜6で
は、曲げ試験成績に優れ表面外観も優れている。これに
対して、浴中Al量が不足する比較例1、Niを浴中に
添加しない比較例2、Pb、Sb、Bi、Snの何れを
も含まない比較例4では曲げ加工性が劣り、浴中Alが
過多の比較例3では表面外観が劣化している。浴中Ni
が過多である比較例6では加工性、外観共に劣ってい
る。また、合金化条件が不適正な比較例5、7、8も曲
げ特性または外観不良が生じている。
分の浴中濃度及び合金化条件に従った実施例1〜6で
は、曲げ試験成績に優れ表面外観も優れている。これに
対して、浴中Al量が不足する比較例1、Niを浴中に
添加しない比較例2、Pb、Sb、Bi、Snの何れを
も含まない比較例4では曲げ加工性が劣り、浴中Alが
過多の比較例3では表面外観が劣化している。浴中Ni
が過多である比較例6では加工性、外観共に劣ってい
る。また、合金化条件が不適正な比較例5、7、8も曲
げ特性または外観不良が生じている。
【0025】
【発明の効果】表1の比較例より、めっき層中のFe含
有率が10重量%を超えると加工性が劣化するが、Ni
添加亜鉛浴で合金化溶融めっきした実施例では、めっき
層中のFe含有率が10重量%を大きく超えても加工性
の劣化は比較例よりも少ないことから、高Fe含有率に
おいても高加工性が保てることが明らかとなった、さら
に、Pb,Sb,Bi,Snのうちの少なくとも1種以
上を添加することにより、鋼板に不めっきが形成され
ず、表現外観の劣化のない合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造が可能となった。
有率が10重量%を超えると加工性が劣化するが、Ni
添加亜鉛浴で合金化溶融めっきした実施例では、めっき
層中のFe含有率が10重量%を大きく超えても加工性
の劣化は比較例よりも少ないことから、高Fe含有率に
おいても高加工性が保てることが明らかとなった、さら
に、Pb,Sb,Bi,Snのうちの少なくとも1種以
上を添加することにより、鋼板に不めっきが形成され
ず、表現外観の劣化のない合金化溶融亜鉛めっき鋼板の
製造が可能となった。
Claims (2)
- 【請求項1】 Alを0.1〜0.25重量%、Feを
6.0〜18.0重量%、Niを0.05〜0.3重量
%、さらにPb、Sb、Bi、Snのうち少なくとも1
種以上を0.001〜0.01重量%含み、残部が亜鉛
及び不可避不純物よりなるめっき層を有することを特徴
とする高加工性合金化溶融めっき鋼板。 - 【請求項2】 Alを0.1〜0.2重量%、Niを
0.01〜0.2重量%、さらにPb、Sb、Bi、S
nのうち少なくとも1種以上を0.001〜0.01重
量%含み、残部が亜鉛と微量の不可避不純物とからなる
亜鉛めっき浴中で溶融めっきを施した後、昇温速度20
℃/s以下で昇温し、480〜600℃で加熱合金化処
理することを特徴とする高加工性合金化溶融めっき鋼板
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (1)
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---|---|---|---|
JP01120996A JP3498466B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | 高加工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09202952A true JPH09202952A (ja) | 1997-08-05 |
JP3498466B2 JP3498466B2 (ja) | 2004-02-16 |
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ID=11771621
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP01120996A Expired - Fee Related JP3498466B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | 高加工性合金化溶融めっき鋼板及びその製造方法 |
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---|---|
JP (1) | JP3498466B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1186679A1 (en) * | 2000-09-12 | 2002-03-13 | n.v. Umicore s.a. | Hot-dip galvanising alloy and process |
WO2002033140A3 (en) * | 2000-10-16 | 2002-09-19 | Teck Cominco Metals Ltd | Process and alloy for decorative galvanizing of steel |
JP2010084214A (ja) * | 2008-10-02 | 2010-04-15 | Nippon Steel Corp | 外観品位に優れた合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法 |
CN114107860A (zh) * | 2021-10-19 | 2022-03-01 | 上海大学 | 抑制高强钢热成形过程中液态金属致脆和改善耐磨性的锌铝镁基合金镀层材料及其制备方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
1996
- 1996-01-25 JP JP01120996A patent/JP3498466B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2002033140A3 (en) * | 2000-10-16 | 2002-09-19 | Teck Cominco Metals Ltd | Process and alloy for decorative galvanizing of steel |
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