図1および図2は、本発明に係る基板冷却装置の第1実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図1は、基板Bが装置本体20内に搬入される直前の状態、図2は、基板Bが装置本体20内に搬入された状態をそれぞれ示している。また、図3は、図2のA−A線断面図であり、(イ)は、冷却プレートが下方位置に位置設定された状態、(ロ)は、冷却プレートが上方位置に位置設定された状態をそれぞれ示している。なお、図1および図3において、X−X方向を幅方向、Y−Y方向を前後方向または上下流方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方または下流方向、+Y方向を後方または上流方向という。
図1および図3に示すように、基板冷却装置10は、上流側の焼成部11から搬送されてきた焼成処理済みの基板Bに対して冷却処理を施すものであり、扁平な箱型の装置本体20内に設けられた基板Bを冷却するための冷却プレート30と、この冷却プレート30に装着された基板搬送用のコンベアを構成する複数の搬送ローラ40と、この搬送ローラ40を駆動回転させる駆動機構50と、冷却プレート30を昇降させる昇降機構(接離機構)60と、前記冷却プレート30に冷却水を供給する冷却水供給部70とを備えた基本構成を有している。
前記焼成部11には、基板搬送方向に沿って装置本体20の上流端に向かうように並設された複数の上流側搬送ローラ12が並設されているとともに、装置本体20の下流端外方には、下流端から遠ざかるように基板搬送方向に沿って並設された複数の下流側搬送ローラ13が並設されている。これら上流側搬送ローラ12、搬送ローラ40および下流側搬送ローラ13は、いずれも上面が同一高さレベルになるように径寸法および設置位置が設定され、これら上流側搬送ローラ12と、搬送ローラ40と、下流側搬送ローラ13とによって装置本体20を前後方向に貫通した基板搬送路14が形成されている。
前記装置本体20は、平面視で矩形状の底板21と、この底板21の幅方向の各縁部から立設された一対の側板22と、これら側板22間に架設された天版23と、焼成部11との間を仕切る上流側仕切板24と、装置本体20の下流端と系外とを仕切る下流側仕切板25とを備えて構成されている。これら底板21、側板22、天版23、上流側仕切板24および下流側仕切板25に囲繞された空間によって基板Bに冷却処理を施す冷却室Vが形成されている。
前記上流側仕切板24には、基板Bを装置本体20内に導入するための導入口241が開口されているとともに、この導入口241を開閉するシャッタ242が設けられ、図略のシャッタ開閉機構の駆動によるシャッタ242の昇降で導入口241が閉じられたり開かれたりするようになっている。同様に、下流側仕切板25にも基板Bを処理空間Vから導出する導出口251を開閉するための前記シャッタ242と同様のシャッタ252が設けられている。前記導入口241と前記導出口251とは、同一寸法で、かつ、同一高さレベルに設定されている。
前記冷却プレート30は、扁平な直方体状を呈したプレート本体31と、このプレート本体31に上面から穿設された複数のローラ装着凹部32と、プレート本体31内に蛇行状態で形成された冷却水流通路33とを備えて構成されている。前記プレート本体31は、上下の厚み寸法が導入口241の下縁部と底板21の上面との間の距離より若干短めに設定されているとともに、左右幅寸法および前後寸法がそれぞれ一対の側板22間の内寸法ならびに上流側仕切板24および下流側仕切板25間の内寸法より若干短めに設定されている。
一方、底板21には、処理空間Vの四隅部に、長手方向に延びる中心線に沿って直角に折り曲げられることによって形成した、いわゆるアングル材からなるガイド部材26がそれぞれ立設され、プレート本体31は、これら4本のガイド部材26の内面側に摺接状態で案内されつつ昇降可能とされ、底板21に密着した下方位置(基板Bに対して離間状態)L1(図3の(イ))と、基板Bを持ち上げた上方位置(基板Bに対して当接状態)L2との間で高さ位置変更可能になっている。
前記ローラ装着凹部32は、搬送ローラ40を収納するためのものであり、本実施形態においては、図1に示すように、左右幅方向に等ピッチで4つ、前後方向に等ピッチで4つの合計16孔がマトリックス状に設けられている。かかるローラ装着凹部32は、深さ寸法が搬送ローラ40の直径よりも若干深く設定され、これによって搬送ローラ40は、ローラ装着凹部32内に埋没し得るようになっている。また、各ローラ装着凹部32の左右の壁部には、前後方向の中央位置で上下方向に長尺の長孔321が穿設され、この長孔321に搬送ローラ40の後述するローラ軸41が挿通されるようになっている。
前記冷却水流通路33は、冷却水供給部70から供給される冷却水(冷熱媒体)を流通させるものであり、プレート本体31の略前面をカバーし得るように蛇行状に設けられ、かかる冷却水流通路33に冷却水が流通されることによってプレート本体31は全体的に均一に冷却されるようになっている。かかる冷却水流通路33の冷却水受入口および冷却水排出口には柔軟に変形するフレキシブルパイプ34が接続され、これによって冷却プレート30の昇降に対応し得るようになされている。
前記搬送ローラ40は、プレート本体31上に位置した基板Bを搬送するためのものであり、各ローラ装着凹部32に搬送された状態で、各左右方向1列の各4個それぞれに長孔321を挿通したローラ軸41が同心で一体回転可能に貫通されている。
かかるローラ軸41は、プレート本体31が下方位置L1に位置設定されることにより、搬送ローラ40がプレート本体31の上面から上方に突出する(図3の(イ))一方、プレート本体31が上方位置L2に位置設定されることにより、搬送ローラ40がローラ装着凹部32内に没入する(図3の(ロ))ように高さレベルが設定された状態で、左右の側板22間に架設されている。
前記駆動機構50は、前記搬送ローラ40を駆動回転させる駆動モータ51と、前記ローラ軸41の1つに同心で一体回転可能に外嵌された駆動ギヤ52と、残りのローラ軸41にそれぞれ同心で一体回転可能に外嵌された従動ギヤ53と、駆動ギヤ52と従動ギヤ53との間および各従動ギヤ53間に介設されたアイドルギヤ54とを備えて構成されている。
本実施形態においては、駆動モータ51は、最下流側のローラ軸41に対応した位置における底板21から外方へ向けて突設された棚板211上に横置きで据え付けられているとともに、駆動ギヤ52は、最下流側のローラ軸41に取り付けられている。そして、駆動モータ51の駆動軸511は、最下流側のローラ軸41に同心で一体回転可能に連結されている。これによって駆動モータ51の駆動による駆動軸511の軸心回りの駆動回転は、駆動ギヤ52およびアイドルギヤ54を介して各従動ギヤ53に伝達され、全ての搬送ローラ40が同一方向(時計回りの方向)に向けて同時に回転するようになっている。
前記昇降機構60は、冷却プレート30を下方位置L1と上方位置L2との間で昇降させるものであり、装置本体20の直下のフロア上に縦置きで据え付けられた昇降モータ61と、この昇降モータ61の駆動軸611に同心で一体に連結されたスパイラルロッド62と、このスパイラルロッド62に螺着されたナット部材63と、このナット部材63に架設ロッド631を介して一体に連結された昇降ロッド64とを備えて構成されている。
前記昇降ロッド64は、底板21の中央部に穿設された挿通孔212(図3)を貫通した状態で、冷却プレート30の重心位置に対応した下面側に一体に固定されている。
かかる昇降機構60によれば、昇降機構60の正逆駆動で駆動軸611が軸心回りに正逆回転すると、この回転がスパイラルロッド62、ナット部材63、架設ロッド631および昇降ロッド64を介して冷却プレート30に伝達され、これによって冷却プレート30が下方位置L1と上方位置L2との間で昇降するようになっている。
前記冷却水供給部70は、浄水や精製水等の冷却水を貯留する冷却水源71と、この冷却水源71から冷却水を汲み上げる給水ポンプ72と、この給水ポンプ72によって送り出された冷却水に対し温度調節を行う温調装置73と、この温調装置73と前記冷却プレート30の上流側のフレキシブルパイプ34との間に介設された冷却水供給配管74と、この冷却水供給配管74に敷設された制御弁75と、前記冷却プレート30の下流側のフレキシブルパイプ34と前記冷却水源71との間に介設された冷却水回収配管76とを備えて構成されている。
そして、給水ポンプ72の駆動により冷却水源71から汲み上げられた冷却水は、温調装置73で所定の温度に温度調節(状況に応じて常温よりも低い温度に冷却される場合もあるし、常温よりも加熱される場合もある)された後、所定の開度に設定された制御弁75を介し冷却水供給配管74および上流側のフレキシブルパイプ34を通って冷却プレート30内の冷却水流通路33に供給されるようになっている。冷却水流通路33に供給された冷却水は、蛇行しながら冷却水流通路33内を進行し、この間の熱交換でプレート本体31が所定の温度に冷却されることになる。プレート本体31内で熱交換の完了した冷却水は、下流側のフレキシブルパイプ34および冷却水回収配管76を通って冷却水源71へ戻され、冷却水として循環使用される。
このように構成された基板冷却装置10によれば、まず、冷却プレート30が、図3の(イ)に示すように、下方位置L1に設定された状態(すなわち、搬送ローラ40がローラ装着凹部32から上方へ突出した状態:この状態における搬送ローラ40の冷却プレート30に対する相対高さを第1の高さとする)で、シャッタ242が開放され、この状態で上流側搬送ローラ12の駆動回転によって基板Bが導入口241を介して装置本体20の冷却室Vに搬入される。この基板Bの冷却室Vへの搬入と同期して駆動モータ51が駆動され、これによって各搬送ローラ40が時計方向に向けて一斉に回転するため、冷却室Vに搬入された基板Bは、これら搬送ローラ40の駆動に誘導されてプレート本体31上を前進する。そして、基板Bの前端がプレート本体31の前端に到達する直前で駆動モータ51が停止され、これによって基板Bは、その全下面がプレート本体31の上面と対向した状態になる。
この状態で昇降モータ61が正駆動(スパイラルロッド62が右ねじである場合には、図1においてスパイラルロッド62を時計方向へ回転させる駆動)されることにより、スパイラルロッド62が正回転し、これによるナット部材63の上昇が架設ロッド631および昇降ロッド64を介してプレート本体31に伝達され、プレート本体31が上昇する。そして、プレート本体31が上方位置L2まで上昇すると、図3の(ロ)に示すように、搬送ローラ40がローラ装着凹部32内に没入し、これによって基板Bの下面が冷却プレート30の上面に密着した状態になる。そして、プレート本体31が上方位置L2に到達した時点で昇降モータ61が所定時間停止される。昇降モータ61が停止されている期間内にプレート本体31から密着状態の基板Bへの冷熱の熱伝導が行われて基板Bが冷却される。
そして、所定時間の基板Bに対する冷却処理が完了すると、昇降モータ61が逆駆動され、これによる冷却プレート30の上方位置L2から下方位置L1への下降によって搬送ローラ40がローラ装着凹部32から上方に突出し、基板Bが再度搬送ローラ40に支持された状態になる。この状態で下流側のシャッタ252が開放され、引き続き駆動モータ51が駆動されることによる搬送ローラ40の回転再開で、基板Bは、導出口251を通って系外の下流側搬送ローラ13へ向けて搬送され、以後は下流側搬送ローラ13の駆動で次工程へ向けて搬送される。
因みに、本実施形態においては、昇降モータ61の正駆動でプレート本体31が上昇し、搬送ローラ40の頂部がローラ装着凹部32内に没入する直前に昇降モータ61が一旦停止され、この状態(この状態における搬送ローラ40の冷却プレート30に対する相対高さを第2の高さとする)で駆動モータ51を短い周期で正逆駆動させるようにしている。こうすることによって基板Bの下面がプレート本体31の上面と近接(冷却プレート30上に基板を搬入する時点と比べて)した状態で前後方向に揺動移動するため、基板Bの下面のプレート本体31に対する相対位置が変動し、これによって基板Bを高速で冷却しつつ、その温度分布の均一化を図るようにしている。
具体的には、プレート本体31の上面は、必ずしも全面が均一な温度であるとは限らず、例えばローラ装着凹部32が設けられている部分と設けられていない部分とで温度分布が相違しているため、これらの部分で基板Bに対する伝熱効率が相違する。そこでこのように、基板Bを移動(例えば揺動)させることによってプレート本体31のローラ装着凹部32が設けられていない部分が基板の同じ部分に対向しつづけることを防ぐことが可能になり、これによって基板Bの温度分布の均一化が達成される。また、基板Bにとって、搬送ローラ40に触れている部分と触れていない部分とで温度に差が生じる可能性もあるが、このように基板Bを往復移動させてプレート本体31と基板Bとの相対位置を時間的に変換させることで、かかる不均一が基板Bに及ぼす影響を均一化し、このような意味でも基板Bの温度分布の均一化がなされる。
そしてその後、前述のように基板Bはプレート本体31に密着させられる。なお、この実施形態では、このように基板Bをプレート本体31に近接させて比較的高速でかつ基板に急激な温度変化が加わらない状態で冷却した後に基板Bをプレート本体31に密着させてさらに高速で冷却しているが、基板Bにかかる温度変化をより穏やかにしたい場合には、上述の近接状態での冷却の後に、基板Bをプレート本体31に直接接触させずにさらに近接させた状態でもう一段階の冷却工程を実施すればよい。
以上詳述したように、第1実施形態の基板冷却装置10は、焼成処理が施された直後の基板Bに対して冷却処理を施すものであり、基板Bを連続的に搬送する基板搬送路14の途中で基板Bの片面と対向配置された冷却プレート30と、この冷却プレート30と基板Bとの間が離間した下方位置L1と冷却プレート30と基板Bとが当接した上方位置L2との間で位置変化させる離接機構部とを備えて構成されているため、焼成処理が施された基板Bは、基板搬送路14によって連続的に搬送されて冷却プレート30と基板Bとが離間状態になっている(すなわち、冷却プレート30が下方位置L1に位置設定されている)基板冷却装置10に導入される。引き続き、離接機構部によって冷却プレート30と基板Bとが当接状態とされ(すなわち、冷却プレート30が上方位置L2に位置設定され)、これによって基板Bは、冷却プレート30との面接触による固体同士の熱伝導で互いに熱交換されて効率的に冷却される。冷却処理が完了した基板Bは、離接機構部により冷却プレート30との当接が解除された離間状態に戻された後、基板搬送路14によって系外に排出される。
このように、基板Bは、基板搬送路14による連続的な搬送の途中で冷却プレート30との近接または面接触により冷却されるようになっているため、従来のように、ロボット等の中継手段が上流側の基板搬送路14から冷却プレート30へ基板Bを受け渡しするとともに、冷却完了後の基板Bを冷却プレート30から下流側の基板搬送路14に受け渡しする基板冷却装置10に比較し、中継手段を設けなくてもよい分装置コストの低減化に貢献するとともに、中継手段による基板受け渡しの時間が不要になり、冷却処理の効率化を実現することができる。
そして、特に第1実施形態においては、離接機構部は、搬送ローラ40に支持されている基板Bに対して当該基板Bの下方位置に設けられた冷却プレート30を昇降させるように構成され、かかる離接機構部は、冷却プレート30を昇降させる昇降機構60と、冷却プレート30に設けられたローラ装着凹部32に対して相対的に出没自在とされた、基板Bを搬送方向に向けて搬送し得る搬送ローラ40とを備えて構成され、搬送ローラ40は、周面が冷却プレート30に設けられたローラ装着凹部32の開口に臨んだ状態で冷却プレート30の昇降に応じ一部がローラ装着凹部32から突出した突出状態とローラ装着凹部32内に収納された収納状態との間で状態変化するべく冷却プレート30に装着されている。
したがって、基板搬送路14により基板冷却装置10に搬送されてきた基板Bは、冷却プレート30のローラ装着凹部32から突出状態の搬送ローラ40に受けられ、当該搬送ローラ40の駆動で冷却プレート30上に搬送されるようになっている。そして、基板Bが冷却プレート30上に位置した状態で一旦搬送ローラ40の駆動を停止し、昇降機構60によって冷却プレート30を上昇させることにより、搬送ローラ40は、冷却プレート30のローラ装着凹部32に収納されるため、基板Bは冷却プレート30の上面と面接触した状態になり、これによって基板Bを冷却することができる。
冷却処理が完了すると、昇降機構60の逆駆動で冷却プレート30が下降され、これによって搬送ローラ40は冷却プレート30のローラ装着凹部32から上方に突出した突出状態になるため、基板Bは搬送ローラ40に支持され、この状態で搬送ローラ40を駆動することにより、基板Bを系外へ排出することができる。
このように、冷却プレート30にローラ装着凹部32を設け、このローラ装着凹部32に冷却プレート30の昇降に応じてローラ装着凹部32に対し没入したり突出したりする搬送ローラ40を設けることで、基板冷却装置10への基板の搬入および搬入後の基板の冷却処理を支障なく円滑に遂行することができる。
また、この実施形態では、冷却プレート30に対する搬送ローラ40の相対高さを、基板Bを搬入するときの第1の高さよりも低い第2の高さにした状態で搬送ローラ40を正転逆転制御しているが、これにかぎらず、例えばプレート本体31が上昇する動作中に搬送ローラ40を正転逆転制御してもよいし、その両方の時間に搬送ローラ40を正転逆転制御してもよい。またこの実施形態では冷却プレート30のプレート本体31が昇降して搬送ローラ40との相対高さを制御しているが、逆に、プレート本体31を固定して搬送ローラ40を昇降させてもよい。
図4および図5は、本発明に係る基板冷却装置の第2実施形態を示す一部切り欠き斜視図であり、図4は、基板Bが装置本体20内に搬入される直前の状態、図5は、基板Bが装置本体20内に搬入された状態をそれぞれ示している。また、図6は、図5のB−B線断面図であり、(イ)は、基板Bが下方位置に位置設定された状態、(ロ)は、基板Bが上方位置に位置設定された状態をそれぞれ示している。なお、図4および図6におけるXおよびYによる方向表示は、図1の場合と同様である。
図4および図6に示すように、第2実施形態の基板冷却装置10′は、冷却プレート30′が装置本体20内の天版23に固定されているとともに、昇降機構60が昇降させるものが冷却プレート30′ではなく、基板Bを支持する支持板80および立直ピン81である点が第1実施形態の基板冷却装置10と相違している。したがって、その他の構造、具体的には、装置本体20、駆動機構50、昇降機構60および冷却水供給部70については第1実施形態のものと同様である。
前記冷却プレート30′は、装置本体20の冷却室V内において、ボルト止め等によって天版23に固定されている。かかる冷却プレート30′は、第1実施形態のようなローラ装着凹部32は設けられておらず、冷却水流通路33のみが形成されている。そして、平坦な冷却面を下方に向ける様にして、搬送ローラ40′の上方に配置される。また、冷却プレート30′が昇降することがないため、フレキシブルパイプ34は不要であり、冷却水供給配管74が冷却水流通路33の上流端に直接接続されているとともに、冷却水回収配管76が冷却水流通路33の下流端に直接接続されている。
また、冷却室V内で基板Bを搬送する搬送ローラ40′は、第1実施形態のような小サイズのものが多数マトリックス状に設けられるのではなく、左右幅方向に長尺のものが前後方向に複数本(本実施形態においては4本)並設されている。かかる搬送ローラ40′のローラ軸41は、第1実施形態と同様に、一対の側板22間に軸心回りに回転可能に架設されている。
前記支持板80は、前記4本の搬送ローラ40′と装置本体20の底板21との間に配設されている。かかる支持板80の上面には、搬送ローラ40′と干渉しない位置に複数本の立直ピン81が立設されている。本実施形態においては、前後方向に3列で各列3本の立直ピン81が立設されている。かかる立直ピン81は、冷却室V内に搬入された基板Bを支持するものであり、上下寸法が搬送ローラ40′の直径より若干長めに設定され、支持板80が上方位置L2(図6の(ロ))に位置設定された状態で、基板Bを持ち上げてその上面を冷却プレート30′の下面に当接させ得る一方、支持板80が下方位置L1(図6の(イ))に位置設定された状態で立直ピン81の上端部が搬送ローラ40′の頂部より下方に位置するようになされている。
かかる支持板80は、その下面における支持板80の重心位置と対応する位置に昇降機構60の昇降ロッド64の頂部が固定され、昇降モータ61の正逆駆動によって下方位置L1と上方位置L2との間で昇降するようになっている。
以下、図6を基に第2実施形態の基板冷却装置10′の作用について説明する。まず、基板Bが基板冷却装置10′に導入されるに際しては、シャッタ242が開放されて冷却室V内が導入口241を介して焼成部11と連通状態とされるとともに、昇降モータ61の駆動で支持板80が下方位置L1に位置設定され、これによって立直ピン81は、図6の(イ)に示すように、頂部が搬送ローラ40′の頂部より下方に位置した状態になっている。
ついで、駆動モータ51の駆動で搬送ローラ40′が回転させられ、この状態で焼成処理の完了した基板Bが、上流側搬送ローラ12の駆動で基板搬送路14に沿い導入口241を介して冷却室V内に導入され、基板Bの先端が最下流側の搬送ローラ40′に到達した時点で駆動モータ51が一旦停止されるとともにシャッタ242が閉止され、これにより基板Bは、密閉状態の冷却室V内で複数の搬送ローラ40′に支持された状態になる。
この状態で、昇降モータ61が正駆動され、これによるスパイラルロッド62を介したナット部材63の上昇で昇降ロッド64が上昇し、これによって昇降ロッド64に支持された支持板80が上昇するため、支持板80に立設された複数本の立直ピン81が搬送ローラ40′の頂部を越え、このとき搬送ローラ40′に支持されていた基板Bは、その支持が搬送ローラ40′から立直ピン81に切り換えられ、立直ピン81の上昇に応じて上昇する。
そして、この上昇により基板Bの上面が冷却プレート30′の下面に当接した時点、すなわち支持板80が上方位置L2に位置設定された時点で昇降モータ61の駆動が停止され、これによって基板Bは、図6の(ロ)に示すように、冷却プレート30′と当接した状態になり、冷却プレート30′からの冷熱を得て冷却される。
かかる固体同士の当接による熱伝導で基板Bに所定時間の冷却処理が施された後、昇降モータ61が逆駆動され、これによる支持板80を介した立直ピン81の下降で基板Bは再びその支持が立直ピン81から搬送ローラ40′に切り換えられる。これと同時にシャッタ252が開放され、引き続き駆動モータ51が駆動されて搬送ローラ40′が回転し、これによって冷却処理が完了した基板Bは、導出口251を通って系外に排出され、つぎの工程に供されることになる。
以上詳述したように、第2実勢形態の基板冷却装置10′は、冷却プレート30′が装置本体20内の天版23に固定され、かかる冷却プレート30′に対して昇降機構60の正逆駆動で基板Bを昇降させるものであるため、昇降機構60による基板Bの昇降で基板Bと冷却プレート30′との離間状態と当接状態との間の切り換えが行われる。
そして、離接機構部は、基板Bを昇降させる昇降機構60と、この昇降機構60と干渉しない状態で配設され基板Bを搬送方向に向けて搬送するとともに、基板Bを受け止めるストッパとしての機能をも備えた搬送ローラ40′とを備えて構成され、昇降機構60は、搬送ローラ40′の下方位置に配設され昇降モータ61の正逆駆動で昇降する支持板80と、この支持板80の上面に立設され頂部で基板Bを支持する複数本の立直ピン81とを備えて構成されている。
したがって、基板搬送路14に沿って搬送されてきた搬送手段により基板冷却装置10′に搬送されてきた基板Bは、冷却プレート30′の下部に設けられた搬送ローラ40′の駆動で冷却プレート30′の直下にまで送り込まれ、基板Bが冷却プレート30′の直下に位置した状態で一旦搬送ローラ40′の駆動を停止し、昇降機構60によって支持板80を上昇させることにより、基板Bは支持板80の立直ピン81に支持された状態で上昇し、冷却プレート30′の下面と面接触した状態になり、冷却プレート30′からの冷熱を得て冷却される。
そして、冷却処理が完了した基板Bは、昇降機構60の逆駆動で基板Bが下降され、これによって再度搬送ローラ40′に支持された状態になるため、この状態で搬送ローラ40′を駆動することにより、基板Bは基板搬送路14に沿って系外へ排出されることになる。
このように、昇降機構60の駆動で昇降する支持板80に搬送ローラ40′と干渉しない立直ピン81を設け、この立直ピン81に基板Bを支持させるようにすることで、基板冷却装置10′への基板Bの搬入および搬入後の基板Bの冷却処理を支障なく円滑に実行することができる。
また、冷却プレート30′は、冷熱媒体が供給されることにより冷却されるようになっているため、基板Bを冷却するための温度を常に維持することができる。
また、この実施形態では、立直ピン81上昇時に、基板Bの上面全面が冷却プレート30’の下面に接触して冷却されるが、基板Bを冷却プレート30’の下面と接触させることが不都合な場合には、基板Bが冷却プレート30’の下面と接触する直前に立直ピン81の上昇を停止させるように昇降モータ61を駆動すればよい。このようにしても、基板Bが冷却プレート30’と十分に近接することで、基板Bを高速で冷却できる。
また、この実施形態では、基板B導入後直ちに立直ピン81が上昇して基板Bを持ち上げる構成としているが、基板Bが搬送ローラ40′の上に導入されるとまずその搬送ローラ40′を正転逆転駆動して基板を揺動移動させる工程を所定時間実施し、しかる後に基板を上昇させて冷却プレート30’の下面に接触または近接させるようにしてもよい。かかる構成によれば基板の移動により基板Bの温度分布をより均一化できる。
また、この実施形態では、搬送ローラ40′の間に設けた立直ピン81を上昇させる構成で基板Bを冷却プレート30’の下面に接触させまたは近接させており、簡単な構造で基板Bを上昇させることができる。しかし、これに限らず、例えば搬送ローラ40′自身を上昇させてもよい。これは例えば搬送ローラ40′を側板22とは別の支持部材(図示せず)で支持し、その支持部材をモータ(図示せず)で昇降させることで実現できる。この場合、搬送ローラ40′が基板Bの幅方向全体の長さを有するため冷却プレート30’との接触の確実さで有利となる。また搬送ローラ40′を上昇させる構成をとれば、その上昇の途中でローラを正転逆転駆動して基板を揺動させることができ、基板Bの温度分布をより均一化できる。
以下、図7を基に第1実施形態の基板冷却装置10を例に挙げて基板の冷却制御について説明する。図7は、基板冷却装置10を用いた制御装置による基板Bの冷却制御の一実施形態を説明するためのブロック図である。図7に示すように、制御装置90は、マイクロコンピュータ等からなる制御部91と、冷却処理の制御に関するプログラムデータや必要な不変データ等を格納するROM92と、処理途中のデータを一時的に保管するRAM93とを備えて構成されている。
前記制御部91には、基板Bの搬送状態を判別する搬送状態判別部911と、冷却プレート30の温度状況を判別する温度判別部912と、搬送状態判別部911および温度判別部912の判別結果に基づいて各所に制御信号を出力する制御信号出力部913と、時間を計測するタイマ914とが設けられている。
一方、基板冷却装置10の上流側には、上流側搬送ローラ12の駆動で基板搬送路14に沿って搬送されてくる基板Bを検出する上流側基板センサ94が設けられているとともに、プレート本体31の前縁部の適所には、プレート本体31上に送り込まれた基板Bの前端部を検出することによりプレート本体31上に基板Bが存在するか否かの判別材料とする基板存否センサ95が設けられている。さらに、昇降機構60の昇降ロッド64の近傍には、冷却プレート30の高さ位置を検出するレベルセンサ96が設けられている。このレベルセンサ96は、本実施形態においては、冷却プレート30が下方位置L1に位置していることを検出する下位センサ961と、冷却プレート30が上方位置L2に位置していることを検出する上位センサ962とからなっている。また、基板冷却装置10の下流側の基板搬送路14の適所には、基板Bの後端部を検出する基板後端部センサ97が設けられている。これらに加えて、プレート本体31の適所には、プレート本体31の温度を検出する温度センサ98が設けられている。
かかる上流側基板センサ94、基板存否センサ95およびレベルセンサ96の検出結果は逐一搬送状態判別部911へ入力されるとともに、温度センサ98の検出結果は、逐一温度判別部912へ入力されるようになっている。
そして、前記搬送状態判別部911は、上流側基板センサ94、基板存否センサ95およびレベルセンサ96から入力された検出信号に基づき、基板Bが基板冷却装置10に対してどのような状況になっているかを判別し、その判別結果を制御信号出力部913へ向けて出力するようになっている。
具体的には、基板存否センサ95がプレート本体31上に基板Bが存在していないことを検出した状態で、上流側基板センサ94が上流側から搬送されてきた基板Bを検出したとき、搬送状態判別部911は、冷却処理すべき基板Bが搬送されてきたと判別し、そのことを示す指令信号を制御信号出力部913へ向けて出力する。この指令信号を受信した制御信号出力部913は、上流側のシャッタ242へ向けて制御信号を出力し(実際はシャッタ242を動作させる開閉用の駆動手段へ制御信号が出力されるが、説明を簡素化するためにシャッタ242へ制御信号を出力すると記載している。以下同じ)、これによってシャッタ242が開く。
また、これと同時に制御信号出力部913は、駆動モータ51へ向けて駆動信号を出力し、これによって搬送ローラ40が回転する。この状態で、装置本体20の上流側直前に位置した基板Bは、上流側搬送ローラ12の駆動で導入口241を介して冷却室V内に搬入され、以後、搬送ローラ40の回転に誘導されてプレート本体31上を前進する。そして、基板Bの上流端が基板存否センサ95によって検出されると、搬送状態判別部911はこの検出信号に基づき基板がプレート本体31上の被冷却位置に位置したと判別し、制御信号出力部913は、この判別結果に基づく制御信号を駆動モータ51へ出力するため、駆動モータ51が停止し、これによって基板Bは、位置決め状態で搬送ローラ40に支持された状態になる。また、これと同時に制御信号出力部913は、シャッタ242へ閉止信号を出力し、シャッタ242による導入口241の閉止で冷却室V内が密閉状態になる。
ついで、制御信号出力部913から昇降モータ61へ所定時間だけ制御信号が出力され、これによる昇降モータ61の駆動で冷却プレート30は、一旦下方位置L1(第1の相対高さ)と上方位置L2(第2の相対高さ)との略中間位置まで上昇する。前記所定時間は、ROM92に予め記憶されており、この記憶されている時間が設定されたタイマ914のタイムアップで昇降モータ61が停止されることにより、プレート本体31は中間位置で停止される。そして、本実施形態においては、この状態で制御信号出力部913からの制御信号により駆動モータ51が短い周期で正逆駆動させられ、これによる瞬間的な搬送ローラ40の正逆回動で基板Bは前後方向に揺動させられ、冷却プレート30に対する対向位置が変化することにより、冷却プレート30からの冷熱輻射による基板Bの冷却温度の均一化が図られる。
そして、タイマーに設定された揺動時間(この揺動時間も予めROM92に記憶されている)が経過すると、駆動モータ51が停止されたのち上方位置L2が上位センサ962によって検出されるまで昇降モータ61が駆動されてから停止され、これによってプレート本体31の上面が基板Bの下面に当接された状態になる。この状態が予めタイマ914に設定された時間だけ継続され、この間に基板Bは、密着状態のプレート本体31の冷熱が熱伝導で伝達されることにより冷却される。
基板Bの冷却処理が完了すると、制御信号出力部913からの制御信号により下流側のシャッタ252が開放されるとともに、昇降モータ61の逆駆動で上方位置L2に位置していた冷却プレート30が下方位置L1まで下降される。引き続き駆動モータ51の駆動による搬送ローラ40の回転で基板Bは、導出口251を通って冷却室Vから搬出される。そして、基板後端部センサ97が基板Bの後端部を検出することにより、制御信号出力部913からの駆動信号に基づき下流側のシャッタ252が閉止される。これによって1枚の基板Bの一連の冷却処理が完了する。つぎに上流側搬送ローラ12によって搬送されてきた基板Bに対しても同様の制御が実行され、これによって基板Bに対する冷却処理が順次行われることになる。
前記温度センサ98は、フィードバック制御によってプレート本体31の温度を予め設定された所定の温度に維持するためのものであり、温度センサ98が検出した温度は連続的に温度判別部912へ入力されるようになっているとともに、ROM92にはプレート本体31の許容温度範囲が予め記憶されている。
そして、温度判別部912は、温度センサ98の検出した温度がROM92の記憶している許容温度の範囲内に入っているか否かを逐一判別し、検出結果が許容温度範囲の上限より高いときには、制御信号出力部913から制御弁75に向けて弁の開度を大きくするための制御信号を出力する一方、検出結果が許容温度範囲の加減より低いときには、制御信号出力部913から制御弁75に向けて弁の開度を小さくするための制御信号を出力するようになっている。このようなフィードバック制御により、冷却プレート30は、予め設定された温度が維持されるようになっている。
以上、制御装置90による基板Bの冷却制御について第1実施形態の基板冷却装置10を例に挙げて説明したが、第2実施形態の基板冷却装置10′についても同様の制御を行うことができる。
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
(1)上記の実施形態においては、基板冷却装置10に搬入され、冷却プレート30上にセットされた基板Bに対して駆動モータ51の正逆駆動で基板Bを前後方向に揺動させるようにしているが、本発明は、基板Bを揺動させることに限定されるものではなく、状況に応じて特に揺動させなくてもよい。
(2)上記の実施形態においては、基板Bがガラス基板である場合、基板Bを冷却プレート30に近接させることによる冷熱輻射によって第1段階の冷却処理を基板Bに施し、その後、基板Bを冷却プレート30に当接させることによる冷熱伝導で基板Bに第2段階の冷却処理を施すようにし、これによってガラス基板の熱破損を防止するようにしているが、基板Bがガラス基板等の熱破損し易いものでない場合、特に2段階の冷却処理を施す必要はなく、第1段階を省略して直ちに基板Bを冷却プレート30に当接させるようにしてもよい。
また、基板Bの種類によっては、基板Bの冷却プレート30に対する離間距離を多段階で順次縮めていく多段階冷却方式を採用することも可能である。こうすることによって、基板Bは、各段階毎に順次冷却されているため、基板Bの熱破損をさらに確実に防止することができる。また、それら各段階で基板Bを移動(例えば揺動)させてもよい。
(3)上記の第1実施形態の基板冷却装置10においては、昇降機構60として昇降モータ61の駆動で回転するスパイラルロッド62と、このスパイラルロッド62に螺着したナット部材63を採用し、スパイラルロッド62の回転でナット部材63を昇降させることによりナット部材63と一体の冷却プレート30を昇降させるようにしているが、こうする代わりに空気圧や油圧等の流体圧で作動するシリンダ装置を採用し、このシリンダ装置の駆動で冷却プレート30を昇降させるようにしてもよい。第2実施形態についても同様である。
(4)上記の実施形態においては、冷却プレート30,30′内に例えば通電発熱体を備えてなるヒータを埋設してもよい。こうすることによって、冷却プレート30,30′が所定の温度より低温になった場合、前記通電発熱体に通電することにより冷却プレート30,30′は直ちに加熱されるため、冷却プレート30,30′の温度制御の応答性が極めて良好になり、基板Bを迅速かつ適正に所定の温度に冷却することができる。