JP4417204B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、一対の電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体を、セパレータにより挟持した単位セルを備え、前記単位セルが複数積層された積層体を箱状ケーシング内に収容する燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜(電解質)を採用している。この電解質膜の両側にアノード側電極及びカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより燃料電池が構成されている。
この燃料電池において、アノード側電極には、燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)が供給される一方、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されている。アノード側電極に供給された燃料ガスは、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。
通常、この燃料電池は、所望の発電力を得るために、所定数(例えば、数十〜数百)だけ積層した燃料電池スタックとして使用されている。この燃料電池スタックは、燃料電池の内部抵抗の増大や反応ガスのシール性の低下等を阻止するために、積層されている各燃料電池同士を確実に加圧保持する必要がある。
そこで、例えば、特許文献1の燃料電池スタックが知られている。この燃料電池スタックは、図13に示すように、複数の単位セル1を積層した積層体2を備えるとともに、この積層体2の積層方向両端にエンドプレート3、3を介装して補助プレート4a、4bが配設されている。
積層体2の両側部に沿って、一対の締結バンド5、5が配置されている。締結バンド5、5及び補助プレート4a、4bの端部には、円筒状の連結部6がそれぞれの孔部が一直線上に並ぶように設けられている。そして、各連結部6に金属ピン7が挿入されることにより、締結バンド5、5及び補助プレート4a、4bが一体的に連結されている。
補助プレート4aには、複数のボルト8が螺合する一方、補助プレート4bには、複数の皿ばね9が配設されている。従って、ボルト8が螺入されると、エンドプレート3が下方に押圧されるとともに、補助プレート4bに配置された皿ばね9が圧縮され、一対のエンドプレート3を介して積層体2に必要な締結圧が付与される、としている。
上記の特許文献1では、締結バンド5、5の各連結部6と補助プレート4a、4bの連結部6とに金属ピン7が一体的に嵌合しており、前記補助プレート4a、4b間の距離が固定されている。このため、経時変化等によって燃料電池スタックの締め付け荷重が低下した際には、複数のボルト8を締め付けることにより、所望の締め付け荷重を維持する必要がある。
しかしながら、特許文献1では、燃料電池スタックの締め付け荷重を調整するために、専用部品である複数のボルト8を備えている。従って、専用部品の追加によって燃料電池スタックの重量が増加するとともに、前記燃料電池スタックは、単位セル1の積層方向に大型化するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献2に開示されている燃料電池スタックでは、所定数の単セルを積層した積層体の外側に集電用電極(ターミナルプレート)を介装してエンドプレートが配設されるとともに、前記エンドプレートがヒンジ機構によってケースに連結されている。ケースは、エンドプレート間に上下及び左右に配設されるパネルを備えている。
これにより、特許文献2では、特許文献1のボルト8が不要になるとともに、薄肉状のエンドプレートを用いることができ、燃料電池スタック全体の小型化及び軽量化が容易に図られる。
特開2001−135344号公報(図5) 特開2002−298901号公報(図1)
ところで、上記の特許文献2では、ケースを構成する各パネルが平板状に構成されており、例えば、燃料電池スタックに捻れ方向に荷重が作用したり、振動が発生したりすると、前記パネルに変形が生じるおそれがある。このため、積層体が積層方向に対してずれてしまい、例えば、シール性が低下する場合がある。
その際、パネルの剛性を向上させるために、例えば、このパネルにリブを設けたリブ付きパネルを採用することが考えられる。ところが、積層体の積層方向に締め付け荷重を付与するため、リブ付きパネルに前記積層方向に荷重が作用し、該リブ付きパネルでは、この荷重によって曲げ変形が発生し易いという問題がある。
本発明はこの種の問題を解決するものであり、軽量且つコンパクトな構成で、ケーシングの剛性を良好に維持するとともに、積層体の積層方向に所望の締め付け荷重を確実に付与することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、一対の電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体を、セパレータにより挟持した単位セルを備え、前記単位セルが複数積層された積層体を箱状ケーシング内に収容する燃料電池スタックである。
ケーシングは、積層体の積層方向両端部に配置される端板と、前記積層体の側部に配置される複数の側板と、前記端板と前記側板とを連結する連結ピンとを備えている。側板の少なくとも1つは、リブ付きパネルで構成されるとともに、前記リブ付きパネルの中立面上に連結ピンの中心が配設されている。
ここで、リブ付きパネルの中立面とは、パネル断面の変形が微少であると仮定した場合に、このリブ付きパネルに曲げ応力が作用する際、理論的に応力及び歪みが0となると推定される面(伸縮が発生しない面)をいう。なお、リブ付きパネルの中立面上に連結ピンの中心が配設されるとは、前記リブ付きパネルの中立軸(中立面が断面と交わる直線)と前記連結ピンの軸芯とが同一平面上にあると換言することができる。
さらに、リブ付きパネルは、中立面上にパネルの板厚中心が配設されるようにリブの位置が設定されることが好ましい。なお、リブは、パネルに一体的に成形されていてもよく、また、前記パネルと別体に構成されて該パネルに固着されていてもよい。
本発明では、ケーシングが少なくとも1つのリブ付きパネルを備えており、平面状パネルに比べて剛性が向上する。このため、ケーシングに積層方向とは異なる方向、例えば、捻れ方向に荷重が付与されても、リブを介して良好に形状を保持するとともに、外部からの振動等にも影響されることがない。しかも、ケーシングを構成する側板自体の剛性が向上することにより、積層体が積層方向に交差する方向に変形した際、前記積層体のずれ量を有効に低減することができる。
さらに、積層体に締め付け荷重が付与されることにより、連結ピンに積層方向に荷重が付与される際、リブ付きパネルの中立面上に前記連結ピンの中心が配設されるため、前記リブ付きパネルに曲げ方向に力が作用することはない。これにより、軽量且つコンパクトな構成で、ケーシングの剛性を良好に維持するとともに、積層体のずれを規制し且つ該積層体の積層方向に所望の締め付け荷重を確実に付与することが可能になる。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る燃料電池スタック10の一部分解概略斜視図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の一部断面側面図である。
図1に示すように、燃料電池スタック10は、複数の単位セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁性スペーサ部材22及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される。燃料電池スタック10は、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含むケーシング24により一体的に保持される。
図2及び図3に示すように、各単位セル12は、電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)30と、前記電解質膜・電極構造体30を挟持する薄板波形状の第1及び第2金属セパレータ32、34とを備える。
単位セル12の長辺方向(図3中、矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔36a、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔38a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔40bが設けられる。
単位セル12の長辺方向の他端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔40a、冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔38b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔36bが設けられる。
電解質膜・電極構造体30は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するアノード側電極44及びカソード側電極46とを備える。
アノード側電極44及びカソード側電極46は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜42の両面に形成される。
第1金属セパレータ32の電解質膜・電極構造体30に向かう面32aには、燃料ガス供給連通孔40aと燃料ガス排出連通孔40bとを連通する燃料ガス流路48が形成される。この燃料ガス流路48は、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成される。第1金属セパレータ32の面32bには、冷却媒体供給連通孔38aと冷却媒体排出連通孔38bとを連通する冷却媒体流路50が形成される。この冷却媒体流路50は、矢印B方向に延在する複数本の溝部により構成される。
第2金属セパレータ34の電解質膜・電極構造体30に向かう面34aには、例えば、矢印B方向に延在する複数本の溝部からなる酸化剤ガス流路52が設けられるとともに、この酸化剤ガス流路52は、酸化剤ガス供給連通孔36aと酸化剤ガス排出連通孔36bとに連通する。第2金属セパレータ34の面34bには、第1金属セパレータ32の面32bと重なり合って冷却媒体流路50が一体的に形成される。
第1金属セパレータ32の面32a、32bには、この第1金属セパレータ32の外周端部を周回して第1シール部材54が一体成形される。第1シール部材54は、面32aで燃料ガス供給連通孔40a、燃料ガス排出連通孔40b及び燃料ガス流路48を囲繞してこれらを連通させる一方、面32bで冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b及び冷却媒体流路50を囲繞してこれらを連通させる。
第2金属セパレータ34の面34a、34bには、この第2金属セパレータ34の外周端部を周回して第2シール部材56が一体成形される。第2シール部材56は、面34aで酸化剤ガス供給連通孔36a、酸化剤ガス排出連通孔36b及び酸化剤ガス流路52を囲繞してこれらを連通させる一方、面34bで冷却媒体供給連通孔38a、冷却媒体排出連通孔38b及び冷却媒体流路50を囲繞してこれらを連通させる。
図2に示すように、第1及び第2シール部材54、56間には、固体高分子電解質膜42の外周が直接ケーシング24に接触することを阻止するために、シール57が介装される。
図1及び図2に示すように、ターミナルプレート16a、16bの端部には、面方向に突出する板状の端子部58a、58bが形成される。端子部58a、58bには、例えば、走行用モータ等の負荷が接続される。
ケーシング24は、図1に示すように、端板であるエンドプレート20a、20bと、積層体14の側部に配置される複数の側板60a〜60dと、前記側板60a〜60dの互いに近接する端部同士を連結するアングル部材(例えば、Lアングル)62a〜62dと、前記エンドプレート20a、20bと前記側板60a〜60dとを連結するそれぞれ長さの異なる連結ピン64a、64bとを備える。側板60a〜60dは、薄板金属製プレートで構成される。
エンドプレート20a、20bの上下各辺には、それぞれ2つの第1連結部66a、66bが突出形成されるとともに、両側の各辺には、それぞれ1つの第1連結部66c、66dが突出形成される。第1連結部66a〜66dには、孔67a〜67dが貫通形成される。エンドプレート20a、20bの両側の各辺下端には、マウント用ボス部68a、68bが形成される。このボス部68a、68bが、図示しない搭載部位にボルト等を介して固定されることにより、燃料電池スタック10を、例えば、車両に搭載する。
積層体14の矢印B方向両側に配置される側板60a、60cの長手方向(矢印A方向)両端には、第2連結部70a、70bが2つずつ形成される。積層体14の上下両側に配置される側板60b、60dの長手方向両端には、第2連結部72a、72bが3つずつ形成される。第2連結部70a、70bには、孔71a、71bが形成されるとともに、第2連結部72a、72bには、孔73a、73bが形成される。
側板60a、60cの各第2連結部70a、70b間には、エンドプレート20a、20bの両側の各辺の第1連結部66c、66dが配置されるとともに、これらに短尺な連結ピン64aが一体的に挿入されて、前記側板60a、60cが前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。
同様に、側板60b、60dの第2連結部72a、72bがエンドプレート20a、20bの上辺及び下辺の第1連結部66a、66bと交互に配置されるとともに、これらに長尺な連結ピン64bが一体的に挿入されて、前記側板60b、60dが前記エンドプレート20a、20bに取り付けられる。
側板60a〜60dには、短手方向両端縁部にそれぞれ複数のねじ孔74が形成される一方、アングル部材62a〜62dの各辺には、前記ねじ孔74に対応して孔部76が形成される。各孔部76に挿入される各ねじ77がねじ孔74に螺合することにより、アングル部材62a〜62dを介して側板60a〜60d同士が固定される。これにより、ケーシング24が構成される(図4参照)。
なお、アングル部材62a〜62dにねじ孔を形成する一方、側板60a〜60dに孔部を形成し、前記アングル部材62a〜62dを前記側板60a〜60dの内方に配置した状態で、これらを一体的にねじ止めしてもよい。
図1及び図5に示すように、少なくとも側板60dには、積層体14の積層方向(矢印A方向)に延在して複数のリブ部78a、78bが一体成形され、リブ付きパネルが構成される。リブ部78a、78bは、同一の形状に設定されており、前記リブ部78aは、積層体14側(内方側)に突出する一方、前記リブ部78bは、前記積層体14から離間する側(外方側)に突出する。
リブ部78a、78bは、同数ずつ、例えば、2つずつ設けられるとともに、側板60dの板厚中心PCに対して対称になるように位置が設定される。換言すれば、側板60dの中立面NS上に前記側板60dの板厚中心PCが配設される。側板60dの第2連結部72bは、孔73bの中心が前記側板60dの板厚中心PC上に配設されており、この孔73bに挿入される連結ピン64bの中心Oは、板厚中心PC及び中立面NS上に配設される(図2参照)。
側板60bは、上記の側板60dと同様に構成されており、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、側板60a、60bには、必要に応じてリブ部78a、78bが1つずつ設けられる。
図1及び図2に示すように、スペーサ部材22は、ケーシング24の内周で位置決めされるように所定の寸法に設定された矩形状を有する。このスペーサ部材22は、積層体14の積層方向の長さ変動を吸収して前記積層体14に所望の締め付け荷重を付与可能にするために、厚さが調整される。なお、積層体14の積層方向の長さの変動が、第1及び第2金属セパレータ32、34自体の弾性等で吸収可能であれば、スペーサ部材22を用いなくてもよい。
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
この燃料電池スタック10では、先ず、図4に示すように、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給連通孔36aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔40aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔38aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単位セル12に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が矢印A方向に供給される。
図3に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔36aから第2金属セパレータ34の酸化剤ガス流路52に導入され、電解質膜・電極構造体30のカソード側電極46に沿って移動する。一方、燃料ガスは、燃料ガス供給連通孔40aから第1金属セパレータ32の燃料ガス流路48に導入され、電解質膜・電極構造体30のアノード側電極44に沿って移動する。
従って、各電解質膜・電極構造体30では、カソード側電極46に供給される酸化剤ガスと、アノード側電極44に供給される燃料ガスとが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、カソード側電極46に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス排出連通孔36bに沿って流動した後、エンドプレート20aから外部に排出される。同様に、アノード側電極44に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔40bに排出されて流動し、エンドプレート20aから外部に排出される。
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔38aから第1及び第2金属セパレータ32、34間の冷却媒体流路50に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体30を冷却した後、冷却媒体排出連通孔38bを移動してエンドプレート20aから排出される。
この場合、第1の実施形態では、図1及び図5に示すように、側板60dに複数のリブ部78a、78bが設けられてリブ付きパネルが構成されており、この側板60dは、平面状パネルに比べて剛性が有効に向上する。従って、ケーシング24に積層方向とは異なる方向、例えば、捻れ方向に荷重が付与されても、リブ部78a、78bを介して有効に形状を保持することができるとともに、外部からの振動等にも影響されることがない。これにより、燃料電池スタック10全体の発電性能及びシール性を確保することが可能になる。
さらに、側板60dは、積層体14が積層方向に交差する方向に変形した際に、前記積層体14のずれを抑制する機能を有している。このため、側板60dにリブ部78a、78bを設けて前記側板60d自体の剛性を飛躍的に向上させることにより、積層体14のずれ量の低減効果も飛躍的に向上するという利点がある。
さらにまた、第1の実施形態では、図2に示すように、側板60dの第2連結部72bに配置される連結ピン64bの中心Oは、前記側板60dの中立面NS上に配設されている。従って、側板60dの矢印A方向両端に連結ピン64bを介して積層体14の積層方向に荷重が付与される際、前記側板60dに曲げ方向の力が作用することを確実に阻止することができる。
これに対して、図6に示すように、側板60dの中立面NS上から連結ピン64bの中心Oが距離hだけ離間(オフセット)していると、前記連結ピン64bに矢印A方向の荷重が付与されることにより、前記側板60dに曲げ変形が惹起する。
しかも、第1の実施形態では、連結ピン64bの中心Oは、側板60dの板厚中心PC及び中立面NS上に配設されており、簡単且つコンパクトな構成で、前記側板60dに曲げ方向の力が作用することを確実に阻止する。これにより、ケーシング24の剛性を良好に維持するとともに、積層体14のずれを規制し且つ該積層体の積層方向に所望の締め付け荷重を確実に付与することが可能になるという効果が得られる。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板90の斜視説明図である。
なお、第1の実施形態に係る燃料電池スタック10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。また、以下に説明する第3及び第4の実施形態においても同様に、その詳細な説明は省略する。
側板90は、第1の実施形態に使用される側板60dに対応している。この側板90には、2つのリブ部92aと、前記リブ部92a間に配置される1つのリブ部92bとが、矢印A方向に延在して一体成形される。
図8に示すように、2つのリブ部92aは、積層体14側に突出する一方、単一のリブ部92bは、前記積層体14から離間する側に突出する。2つのリブ部92aの突出量と、1つのリブ部92bの突出量とが同等に設定されることにより、側板90の中立面NS上に前記側板90の板厚中心PCが配設される。第2連結部72bに挿入される連結ピン64bの中心は、側板90の板厚中心PC及び中立面NS上に配設される。
なお、第2の実施形態では、第1の実施形態に使用される側板60dに対応する側板90についてのみ説明したが、前記第1の実施形態に使用される側板60a〜60cに対応する図示しない側板も、前記側板90と同様に構成されている。また、以下に説明する第3及び第4の実施形態でも、同様である。
このように構成される第2の実施形態では、側板90にリブ部92a、92bが設けられてリブ付きパネルが構成されるため、平面状パネルに比べて剛性が有効に向上する。しかも、連結ピン64bの中心が側板90の中立面NS上に配設されており、前記連結ピン64b間に積層方向に荷重が付与される際、前記側板90に曲げ方向の力が作用することがない等、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板100の分解斜視説明図であり、図10は、前記側板100が組み付けられた際の図9中、X−X線断面図である。
側板100は、第1の実施形態に使用される側板60dに対応している。この側板100は、略平面状のパネル102を備え、このパネル102の一方の面102aには、2つのリブ部材104aが接合されるとともに、前記パネル102の他方の面102bには、前記リブ部材104a間に対応して2つのリブ部材104bが接合される。
リブ部材104aとリブ部材104bとは、同一形状を有しており、前記リブ部材104aが積層体14側に配置されるとともに、前記リブ部材104bが前記積層体14から離間する側に配置される(図10参照)。リブ部材104a、104bは、パネル102の板厚中心PCに対して対称になる位置に設定されることにより、側板100の中立面NS上に前記側板100の板厚中心PCが配置される。
従って、第3の実施形態では、実質的に第1の実施形態に使用される側板60bと同様に構成されており、この第1の実施形態と同様の効果が得られる。
図11は、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板110の分解斜視説明図であり、図12は、前記側板110が一体化された際の図11中、XII−XII線断面図である。
側板110は、第2の実施形態に使用される側板90に対応しており、略平面状のパネル112を備える。このパネル112の積層体14側の面112aには、2つのリブ部材114aが接合されるとともに、前記パネル112の反対側の面112bには、単一のリブ部材114bが接合される。
図12に示すように、リブ部材114bは、リブ部材114aよりも大きな寸法に設定され、側板110の中立面NS上に前記側板110の板厚中心PCが配置されるように構成される。これにより、第4の実施形態では、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックの一部分解概略斜視図である。 前記燃料電池スタックの断面側面図である。 前記燃料電池スタックを構成する単位セルの分解斜視説明図である。 前記燃料電池スタックの斜視説明図である。 ケーシングを構成する側板の図1中、V−V線断面図である。 側板の中立面と連結ピンの中心とがオフセットする際の説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板の斜視説明図である。 前記側板の図7中、VIII−VIII線断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板の分解斜視説明図である。 前記側板が結合された状態の図9中、X−X線断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する側板の分解斜視説明図である。 前記側板が結合された状態の図11中、XII−XII線断面図である。 特許文献1の燃料電池の概略説明図である。
符号の説明
10…燃料電池スタック 12…単位セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
22…スペーサ部材 24…ケーシング
30…電解質膜・電極構造体 32、34…金属セパレータ
42…固体高分子電解質膜 44…アノード側電極
46…カソード側電極 48…燃料ガス流路
50…冷却媒体流路 52…酸化剤ガス流路
54、56…シール部材
60a〜60d、90、100、110…側板
62a〜62d…アングル部材 64a、64b…連結ピン
78a、78b、92a、92b…リブ部
102、112…パネル
104a、104b、114a、114b…リブ部材

Claims (2)

  1. 一対の電極が電解質の両側に設けられた電解質・電極構造体を、セパレータにより挟持した単位セルを備え、前記単位セルが複数積層された積層体を箱状ケーシング内に収容する燃料電池スタックであって、
    前記ケーシングは、前記積層体の積層方向両端部に配置される端板と、
    前記積層体の側部に配置される複数の側板と、
    前記端板と前記側板とを連結し、前記側板に積層方向に荷重を付与する連結ピンと、
    を備え、
    前記複数の板は両端板間に延在し且つ前記積層体側に突出するリブ部と前記両端板間に延在し且つ前記積層体から離間する側に突出するリブ部とを有するリブ付きパネルで構成されるとともに、前記リブ付きパネルの板厚内中立面上に、前記連結ピンの中心が配設されることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記リブ付きパネルは、前記中立面上にパネルの板厚中心が配設されるようにリブの位置が設定されることを特徴とする燃料電池スタック。
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