JP4416885B2 - レンズ研削加工方法およびレンズ研削加工装置 - Google Patents

レンズ研削加工方法およびレンズ研削加工装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、被加工レンズを回転駆動される研削砥石で研削加工するレンズ研削加工方法とレンズ研削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のレンズ研削装置では、一般にヤゲンを形成するためにヤゲン溝を有するヤゲン砥石により研削加工を行っている。例えば、特開昭61−274859号公報に記載されているように、ヤゲン砥石は一定の開き角を有するV字状のヤゲン溝を有している。このV字状により、被加工レンズのコバ面には一定の角度をもった山状のヤゲンが形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、被加工レンズはレンズカーブをもっているため、ヤゲンをそのカーブに合わせて形成しなければならない。ところが、ヤゲン砥石のヤゲン溝は周方向に沿って直線状に延びているため、被加工レンズのカーブ曲面に倣ってヤゲン加工を行うと、カーブの曲率が小さい箇所ではヤゲン砥石と形成されたヤゲンとが干渉してしまい、この結果、ヤゲンが部分的に小さくなってしまうという問題があった。
【0004】
この発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工レンズのカーブの曲率に拘わりなく、一定の大きさのヤゲンを形成することのできるレンズ研削加工方法とレンズ研削加工装置とを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、砥石軸に設けられた大径の円柱状の仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを備え、前記仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、この仕上砥石部の傾斜面によって被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成するレンズ研削加工方法であって、
前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を円柱状の前記仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該仕上砥石部の一方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工し、
この後、そのコバ面の他方を前記仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該仕上砥石部の他方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工してヤゲンを形成することを特徴とする。
【0006】
請求項2の発明は、砥石軸に設けられた大径の円柱状の鏡面仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを備え、前記鏡面仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、この鏡面仕上砥石部の傾斜面によって被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成するレンズ研削加工方法であって、
前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を前記鏡面仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該鏡面仕上砥石部の一方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工し、
この後、そのコバ面の他方を前記鏡面仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該鏡面仕上砥石の他方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工してヤゲンを形成することを特徴とする。
【0007】
請求項3の発明は、後部を中心にして上下方向に回動し且つ左右方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジの先端部に回転可能に設けられ且つ被加工レンズを保持するレンズ回転軸と、このレンズ回転軸と平行な砥石軸を有し且つこの砥石軸回りに回転する研削砥石と、前記レンズ回転軸と砥石軸との軸間距離を調整する軸間距離調整手段とを備えたレンズ研削加工装置であって、
大径の円柱状の仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを前記研削砥石に設け、
前記仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、
前記軸間距離調整手段とキャリッジの左右方向の移動を制御する制御部を設け、
この制御部は、前記軸間距離調整手段とキャリッジの左右方向の移動を制御して、前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を前記仕上砥石部の周面と一方の傾斜面に接触させて研削加工させ、この後、そのコバ面の他方を前記仕上砥石部の周面と他方の傾斜面に接触させて研削加工させて、前記被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成することを特徴とする。
【0008】
請求項4の発明は、大径の円柱状の鏡面仕上砥石部を前記粗砥石部に対して前記仕上砥石部と反対側の位置に設け、
前記鏡面仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係るレンズ研削加工方法を実施するレンズ研削加工装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図1において、レンズ研削加工装置(レンズ研削装置)すなわち玉摺機は筐体10を有し、筐体10には砥石室10Aが設けられている。この砥石室10Aの中には、図示しないモ−タで砥石軸11J回りに高速回転される研削砥石11が収納されている。
【0012】
この研削砥石11は、図2に示すように、ガラスレンズ用の粗砥石部11Aと、ガラスレンズ用の仕上砥石部12と、プラスチックレンズ用の粗砥石部11Bと、プラスチックレンズ用の鏡面砥石部13とが設けられている。仕上砥石部12および鏡面砥石部13は粗砥石部11Aおよび粗砥石部11Bの径より大きな径の円柱状に形成されており、仕上砥石部12の両側端部には一定の角度(径方向に対する所定角度)で傾斜した傾斜面12A,12Bが形成されている。同様に、鏡面砥石部13の両側端部にも傾斜面13A,13Bが形成されている。
【0013】
筐体10の後には軸受14が設けられ、この軸受14にはキャリッジ旋回軸21が回動自在且つ軸方向に移動可能に嵌挿されている。このキャリッジ旋回軸21にはキャリッジ20の後端部が固着されている。これによりキャリッジ20はキャリッジ旋回軸21の軸回りに旋回可能でかつ軸方向に摺動可能となっている。
【0014】
このキャリッジ20の自由端部には同軸上に配設したレンズ保持軸22a,22bが保持され、このレンズ保持軸22a,22bには被加工レンズLが挟着保持される様になっている。このレンズ保持軸22a,22bの軸線と研削砥石11の砥石軸11Jは平行に設けられている。
【0015】
また、レンズ保持軸22a,22bは、キャリッジ20内に配置された駆動モータ25により、公知の回転伝達機構Qを介して回転される。レンズ保持軸22bの他端22cはキャリッジ20の側方から突出している。
【0016】
筐体10の側方には、キャリッジ横移動手段Bが配設されている。このキャリッジ横移動手段BはL形ア−ム部材30を備え、このア−ム部材30は筐体10の側壁から張り出された軸状のレ−ル部材15に摺動可能に支持されている。また、ア−ム部材30の一端部34は、キャリッジの旋回軸21に軸線回りに回動可能に且つ横移動不能に取付けられている。
【0017】
キャリッジ横移動手段Bは、図示しない固定フレーム側に固定された横移動用(Y方向移動用)の駆動モ−タ(Y方向駆動手段)32と、駆動モータ32の出力軸に取り付けられた送りネジ33を有する。この送りネジ33は、キャリッジ旋回軸21と平行に設けられていると共に、アーム部材30に螺着されている。そして、このモ−タ32の回転により送りネジ33を正回転(正転)又は逆回転(逆転)させると、ア−ム部材30はキャリッジ旋回軸21に沿って左右方向に移動し、このア−ム部材30の移動によりキャリッジ20も同量同方向に移動される様になっている。
【0018】
また、筐体10の側方には、軸間距離調整手段(進退手段)Cが設けられている。この軸間距離調整手段Cは、図2に示すように、筺体10に設けた軸50に回動自在に取り付けたベース盤51と、ベース盤51に取り付けられてその上面から上方に延び且つその上面に対して直交したガイドレール53と、ガイドレール53と平行に且つ回動可能にベース盤51に設けられたスクリュー軸54と、ベース盤51の下面に取り付けられそのスクリュー軸54を回動させるパルスモータ(駆動モータ)55と、スクリュー軸54の回動によりガイドレール53に沿って上下動する受台56とを備えている。
【0019】
ベース盤51の軸50は研削砥石11の軸線と同一直線上に設けられており、ガイドレール53とスクリュー軸54とがその軸50を挟み込む位置から上方へ延びている。また、レンズ保持軸22bの一端22cがガイドレール53とスクリュー軸54との間に挟み込まれているとともにガイドレール53に沿って移動可能となっている。そして、受台56は軸50の中心(研削砥石11の回転中心)とレンズ保持軸22bの一端22cの中心(レンズ保持軸22bの回転中心)とを結ぶ直線M上に沿って上下動することになる。
【0020】
受台56にはレンズ保持軸22bの一端22cを受けており、受台56がガイドレール53に沿って上下動(進退)することによりキャリッジ20がキャリッジ旋回軸21を中心にして回動する。また、ガイドレール53の上端部には補強部材57が固定され、この補強部材57はスクリュー軸54の上端部を回動自在に保持している。
【0021】
駆動モータ25,32およびパルスモータ55は図3に示す制御装置(制御部)100によって制御されるものである。この制御装置100は、CPU等を備えており、データ入力装置101から入力されるフレーム形状データなどに基づいて各モータ25,32,55を制御するものである。この制御装置100は筺体10内に設けられている。
【0022】
次に、レンズ研削加工装置の動作について説明する。
【0023】
先ず、駆動モータ32およびパルスモータ55によりキャリッジ20を右方向に移動させるとともに上下に回動させて、被加工レンズLのコバ面を図3の破線に示すように研削砥石11の粗砥石部11Aに接触させて粗研削を行う(工程I)。
【0024】
次に、駆動モータ32およびパルスモータ55によりキャリッジ20を左方向に移動させるとともに上下に回動させて、図4の一点鎖線に示すように、仕上砥石部12およびその傾斜面12Aを被加工レンズLのコバ面の右側(後側)に接触させて研削加工していく(工程II)。
【0025】
この後、駆動モータ32およびパルスモータ55によりキャリッジ20を左方向に移動させるとともに上下に回動させて、図4の二点鎖線に示すように、仕上砥石部12およびその傾斜面12Bを被加工レンズLのコバ面の左側(前側)に接触させて研削加工していく(工程III)。
【0026】
このように、被加工レンズLのコバ面を片側づつ研削加工するものであるから、被加工レンズLのカーブの曲率に拘わりなく、一定の大きさのヤゲンを形成することができる。また、ヤゲンの高さや幅を任意の大きさに形成することができる。さらに、被加工レンズのカーブに合わせてヤゲンを形成することができる。
【0027】
また、被加工レンズLのコバ面の端部を仕上砥石部12の傾斜面12A,12Bだけに接触させれば、レンズコバ縁の面取加工も行うことができる。
【0028】
プラスチックレンズを研削加工する場合も、上記と同様にして、粗砥石部11B,鏡面砥石部13,傾斜面13A,13Bにレンズコバ面を接触させれば、レンズのコバ面にヤゲンを形成することができる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、被加工レンズのカーブの曲率に拘わりなく、一定の大きさのヤゲンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のレンズ研削装置の構成を示した斜視図である。
【図2】レンズ研削装置の研削砥石を示した説明図である。
【図3】レンズ研削装置の制御系の構成を示したブロック図である。
【図4】研削加工方法の順序を示した説明図である。
【符号の説明】
11 研削砥石
12 仕上砥石部
12A 傾斜面
12B 傾斜面
20 キャリッジ
22a レンズ保持軸
22b レンズ保持軸
L 被加工レンズ
C 軸間距離調整手段

Claims (4)

  1. 砥石軸に設けられた大径の円柱状の仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを備え、前記仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、この仕上砥石部の傾斜面によって被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成するレンズ研削加工方法であって、
    前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を円柱状の前記仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該仕上砥石部の一方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工し、
    この後、そのコバ面の他方を前記仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該仕上砥石部の他方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工してヤゲンを形成することを特徴とするレンズ研削加工方法。
  2. 砥石軸に設けられた大径の円柱状の鏡面仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを備え、前記鏡面仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、この鏡面仕上砥石部の傾斜面によって被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成するレンズ研削加工方法であって、
    前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を前記鏡面仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該鏡面仕上砥石部の一方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工し、
    この後、そのコバ面の他方を前記鏡面仕上砥石部の周面に接触させて研削加工するとともに該鏡面仕上砥石の他方の傾斜面を前記コバ面に接触させて研削加工してヤゲンを形成することを特徴とするレンズ研削加工方法。
  3. 後部を中心にして上下方向に回動し且つ左右方向に移動可能なキャリッジと、このキャリッジの先端部に回転可能に設けられ且つ被加工レンズを保持するレンズ回転軸と、このレンズ回転軸と平行な砥石軸を有し且つこの砥石軸回りに回転する研削砥石と、前記レンズ回転軸と砥石軸との軸間距離を調整する軸間距離調整手段とを備えたレンズ研削加工装置であって、
    大径の円柱状の仕上砥石部および小径の円柱状の粗砥石部とを前記研削砥石に設け、
    前記仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成し、
    前記軸間距離調整手段とキャリッジの左右方向の移動を制御する制御部を設け、
    この制御部は、前記軸間距離調整手段とキャリッジの左右方向の移動を制御して、前記被加工レンズのコバ面の前側又は後側の一方を前記仕上砥石部の周面と一方の傾斜面に接触させて研削加工させ、この後、そのコバ面の他方を前記仕上砥石部の周面と他方の傾斜面に接触させて研削加工させて、前記被加工レンズのコバ面にヤゲンを形成することを特徴とするレンズ研削加工装置。
  4. 大径の円柱状の鏡面仕上砥石部を前記粗砥石部に対して前記仕上砥石部と反対側の位置に設け、
    前記鏡面仕上砥石部の一端と他端に傾斜面をそれぞれ形成したことを特徴とする請求項3に記載のレンズ研削加工装置。
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