JP2009196065A - 昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤及び回転砥石のツルーイング方法 - Google Patents

昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤及び回転砥石のツルーイング方法 Download PDF

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久修 小林
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Abstract

【課題】ツルーイング装置の位置をより適切にすることで、より小型化してフロアスペースを削減することが可能な研削盤を提供する。
【解決手段】工作物回転軸上に対向配置されて工作物Wを回転させる一対の工作物支持手段と、工作物に対して相対的に移動して工作物を研削する回転砥石22と、回転砥石22を成形可能な成形面62を有するツルーイング手段60とを備え、ツルーイング手段60は、支持された工作物の下方に配置されているとともに昇降手段61を備えている。そして昇降手段61は、回転砥石を成形しない場合には、回転砥石と工作物を近接させた場合に回転砥石と工作物とが接触しても回転砥石及び工作物に成形面が接触しない下方位置にツルーイング手段を下降させ、回転砥石を成形する場合には、回転砥石と工作物を近接させた場合に回転砥石を成形可能な上方位置にツルーイング手段を上昇させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤、及び回転砥石のツルーイング方法に関する。
従来、例えばEPS(Electric Power Steering)のステアリングロッドを工作物とした場合、当該工作物のネジ部(ボールネジ部)のネジ溝を研削加工する際、図7(A)及び(B)の例に示す研削盤101、201等を用いて加工している。なお、ステアリングロッドの加工すべきネジ部は、両端よりも中央寄りの一部の円筒面にのみ形成されている。また、本明細書では、Y軸方向は鉛直上向きの方向を示しており、X軸方向とZ軸方向は水平方向を示している。そしてX軸方向はワークWの回転軸(工作物回転軸)に直交する方向を示しており、Z軸方向はワークWの回転軸に平行な方向を示している。
ここで、図7(A)及び(B)を用いて従来の研削盤101、201の例を示し、従来の研削盤101、201の概略構成とツルーイング装置の位置とツルーイング方法の概要を説明する。
従来の研削盤101、201では、ワークWの一方の端面を心押しセンタ43(心押し台41に挿通されたラム42に設けられている)で支持し、他方の端面を主軸センタ33(主軸台31の主軸32に設けられている)で支持しており、ワークWの両端面を支持している。また、支持したワークWをZ軸方向に平行な工作物回転軸回りに回転させるために、制御装置50からの駆動信号にて主軸32を回転させ、主軸32から駆動ピン34を介して、ワークWを挟持させた駆動金具35を回転させている。以下、「工作物回転軸」とは、ワークWを回転させる主軸の回転軸を指す。なお、主軸台31及び心押し台41は、基台102、202上に固定されており、種々の長さのワークWに対して、心押し台41に挿通させたラム42が、制御装置50からの駆動信号によってワークWの長手方向にスライドすることで、主軸センタ33と心押しセンタ43との間隔が調整される。
また、制御装置50は、研削盤101、201を制御する数値制御装置、作業者が操作する操作盤、動作状態や操作指示を表示する表示装置等から構成されている。
また、研削盤101、201には、ワークWを主軸センタ33と心押しセンタ43とで挟持するまでに一時的に保持するための仮受け台73、74と、砥石22(回転砥石)を押し付けた際のワークWの湾曲を防止するレスト装置71、72が設けられている。レスト装置71は、図5(C)に示すように、ワークWにおける砥石22の反対側を支持体71Aで支持し、ワークWの上下を支持ピン71B、71Cにて支持する。
また、研削盤101では、基台102上にZ軸方向に平行に設けられたリニアガイドGZに沿ってZ軸方向に移動可能な砥石台10が設けられている。制御装置50は、Z軸方向駆動モータ10Mに駆動信号を出力するとともに、検出手段10E(エンコーダ等)からの検出信号にて、砥石台10のZ軸方向の位置及び速度等を制御可能である。
また、砥石台10にはX軸方向に平行に設けられたリニアガイドGXに沿ってX軸方向に移動可能な砥石テーブル20が設けられている。制御装置50は、X軸方向駆動モータ20Mに駆動信号を出力するとともに、検出手段20E(エンコーダ等)からの検出信号にて、砥石テーブル20のX軸方向の位置及び速度等を制御可能である。
そして砥石テーブル20には、Z軸方向に平行な砥石回転軸回りに回転する略円筒状の砥石22、及び制御装置50からの駆動信号によって砥石22を回転させる砥石駆動モータ21が設けられている。
また、図7(A)に示す従来の研削盤101は、砥石22を必要に応じて成形(ツルーイング、ドレッシング)可能なツルーイング装置60を主軸台31に備えており、砥石22は定期的にツルーイング装置60にて成形される。なお、研削盤101の例では、ツルーイング装置60は、X軸方向において、ワークWに対して砥石22の側に設けられており、砥石22を成形する場合、図7(A)の点線に示す位置に砥石台10及び砥石テーブル20を移動させ、成形砥石62にて砥石22の加工面を成形する。なお、成形砥石62の回転は、制御装置50から制御される。
また、図7(B)に示す従来の研削盤201の例では、図7(A)に示す従来の研削盤101に対してツルーイング装置60の位置が異なり、ツルーイング装置60が砥石テーブル220に設けられている。研削盤201では、砥石22を成形する場合、ツルーイング装置60をX軸方向に移動させて成形している。
このように、加工工具として砥石を備え、当該砥石を成形するツルーイング装置を備えた従来の研削盤の例として、特許文献1に記載された従来技術には、主軸台及び心押し台を載置して左右にスライド可能な主軸テーブル上、且つワークに対して砥石の側に相当する位置にツルーイング装置を設けたCNCねじ研削盤が記載されており、ツルーイング装置の配置としては図7(A)に示す研削盤101と同様である。
また、特許文献2に記載された従来技術には、主軸台上、且つワークに対して砥石の側に相当する位置にツルーイング装置を設けた加工装置(研削盤)が記載されており、ツルーイング装置の配置としては図7(A)に示す研削盤101と同様である。
特開2002−028864号公報 特開2003−225845号公報
図7(A)に示す従来の研削盤101では、ワークWの加工には必要ないがツルーイング装置60を用いて砥石22を成形するためのみに必要となる砥石22のX軸方向へのストローク、及びワークWの加工には必要ないがツルーイング装置60を用いて砥石22を成形するためのみに必要となる砥石22のZ軸方向へのストロークを設ける必要があり、研削盤101が大型化している。これは、X軸方向におけるワークWに対して砥石22の側にツルーイング装置60を備えている特許文献1、及び特許文献2も同様である。なお、特許文献1では、ツルーイング装置が主軸テーブルに設けられているので、主軸テーブルの移動範囲が大きくなっており、研削盤が大型化している。
また、図7(B)に示す従来の研削盤201では、砥石テーブル220にツルーイング装置60を設け、砥石テーブル220のX軸方向のサイズが大きくなり、研削盤201が大型化している。また、ツルーイング装置60をX軸方向に移動させる駆動手段(図示省略)を備える必要がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、ツルーイング装置の位置をより適切にすることで、より小型化してフロアスペースを削減することが可能な研削盤を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段として、本発明の第1発明は、請求項1に記載されたとおりの昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤である。
請求項1に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤は、工作物を両側から工作物回転軸回りに回転可能となるように支持するとともに、前記工作物回転軸上に対向配置された一対の工作物支持手段と、支持された前記工作物に対して相対的に移動して前記工作物を研削する回転砥石と、前記回転砥石を成形可能な成形面を有するツルーイング手段と、を備えている。
また、前記一対の工作物支持手段は、前記工作物を略水平に支持し、前記ツルーイング手段は、支持された前記工作物の下方に配置されているとともに昇降手段を備えている。
そして、前記昇降手段は、前記回転砥石を成形しない場合には、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物回転軸に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記回転砥石と前記工作物とが接触しても前記回転砥石及び前記工作物に前記成形面が接触しない下方位置に前記ツルーイング手段を下降させ、前記回転砥石を成形する場合には、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記回転砥石を成形可能な上方位置に前記ツルーイング手段を上昇させる。
また、本発明の第2発明は、請求項2に記載されたとおりの昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤である。
請求項2に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤は、請求項1に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、前記昇降手段には、更に、前記工作物の下方に配置されて前記工作部を載置可能であるとともに前記昇降手段と一体となって昇降する仮受け台が設けられている。
そして、前記仮受け台は、前記下方位置において、前記工作物支持手段にて支持されている前記工作物に干渉しないように前記昇降手段に設けられているとともに、前記上方位置において、前記工作物を、前記工作物支持手段にて支持される位置よりも上方に持ち上げるように前記昇降手段に設けられている。
また、本発明の第3発明は、請求項3に記載されたとおりの昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤である。
請求項3に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤は、請求項1または2に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、前記昇降手段には、更に、前記工作物と前記回転砥石との間を遮蔽する保安カバーが、前記昇降手段と一体となって昇降するように設けられている。
そして、前記保安カバーは、前記下方位置において、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物回転軸に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記工作物と前記回転砥石とが接触しても前記回転砥石及び前記工作物に前記保安カバーが接触しないように設けられているとともに、前記上方位置において、前記回転砥石に対する前記工作物回転軸の側の空間と前記回転砥石との間を遮蔽するように前記昇降手段に設けられている。
また、本発明の第4発明は、請求項4に記載されたとおりの昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤である。
請求項4に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤は、請求項1〜3のいずれかに記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、前記工作物における被加工個所はネジ溝が形成されたネジ部であり、前記回転砥石にて前記ネジ溝を研削加工する。
また、本発明の第5発明は、請求項5に記載されたとおりの回転砥石のツルーイング方法である。
請求項5に記載の回転砥石のツルーイング方法は、請求項1〜4のいずれかに記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤における回転砥石のツルーイング方法であって、前記昇降手段を用いて前記ツルーイング手段を前記上方位置に上昇させて、前記成形面に前記回転砥石が接触するように、前記ツルーイング手段に対して前記回転砥石を相対的に移動させて前記回転砥石を成形するツルーイングを、前記回転砥石にて研削を終えた工作物を取り出す際に行う。
請求項1に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤を用いれば、昇降手段を備えたツルーイング手段を、工作物の下方に配置する。これにより、ツルーイングの必要がない場合はツルーイング手段を下降させて工作物及び回転砥石と干渉しない位置に移動させ、ツルーイングの必要が発生した場合にツルーイング手段を上昇させて回転砥石をツルーイングすることができる。また、ツルーイング手段を工作物の加工個所の下方に配置すれば、ツルーイングの際の回転砥石の位置を、工作物を研削する場合の回転砥石の位置に非常に近い位置とすることができるので、ツルーイングのみに必要となる回転砥石のストロークが不要となるため、研削盤をより小型化することができる。
また、請求項2に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤では、昇降手段にツルーイング手段の他にも仮受け台を設ける。これにより、ツルーイングの有無にかかわらず(ツルーイング手段を上方位置に移動させても、回転砥石を近接させなければツルーイングしない)、研削前の工作物のセット、及び研削後の工作物の取り出しが容易になるので便利である。また、ツルーイング手段を上方位置に移動させた場合に工作物を強制的に上方に持ち上げるので、工作物とツルーイング手段との干渉を適切に回避することができる。
また、請求項3に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤では、ツルーイング手段を上方位置に移動させた場合に、回転砥石と作業者の間(工作物回転軸を挟んで回転砥石と作業者が対向した位置となる)を保安カバーで遮蔽する。これにより、研削盤を大型化することなく、作業者への安全性をより向上させることができる。
また、請求項4に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤では、昇降式のツルーイング手段を備えてより小型化したネジ研削盤を実現することができる。
また、請求項5に記載の回転砥石のツルーイング方法では、回転砥石にて研削を終えた工作物を取り出す際にツルーイングを行い、1回の上昇動作にて、工作物の持ち上げと、ツルーイング手段のツルーイング位置への移動とを、行うことができるので便利である。
以下に本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて説明する。図1(A)〜(C)、及び図2(A)、(B)は、本発明の研削盤1の第1の実施の形態における概略外観図の例を示している。
図1(A)は、昇降式のツルーイング装置60を下方位置に下降させてワークW(工作物に相当)の加工個所を砥石22(回転砥石に相当)を用いて研削する場合の研削盤1の概略平面図の例を示しており、図1(B)は図1(A)の状態における概略右側面図の例を示している。なお、図1(B)は砥石22と、ワークWと、ツルーイング装置60との位置関係を判り易くするために、図1(A)に対して主軸装置30R、仮受け台74の一部等を省略しており、図1(C)はワークWの外観の例を示している。図1(C)に示すワークWの例では、加工個所Kにはネジ溝が粗研削で形成され、円筒面の一部は平面に形成されてラック部KRが形成され、端面には研削盤1がワークWの回転角度を制御するための位置決め溝WMが形成されている。以下に説明する実施の形態では、この粗研削にて形成されたネジ溝を、砥石22で仕上げ研削するものである。
また、図2(A)は、昇降式のツルーイング装置60を上方位置に上昇させてツルーイング装置60を用いて砥石22をツルーイング(成形)する場合の研削盤1の概略平面図の例を示しており、図2(B)は図2(A)の状態における概略右側面図の例を示している。なお、図2(B)は図1(B)と同様に、砥石22と、ワークWと、ツルーイング装置60との位置関係を判り易くするために、図1(A)に対して主軸装置30R、仮受け台74の一部等を省略している。
●[第1の実施の形態(図1〜図4)]
[仮受け台73、74が昇降手段61と一体的に昇降する場合]
図1(A)、(B)及び図2(A)、(B)に示す本実施の形態にて説明する研削盤1は、図7(A)及び(B)に示す従来の研削盤101、201に対して、ツルーイング装置60の位置と、主軸装置30L、30Rにて加工個所Kの近傍を支持する構成である点と、ワークWの加工個所Kの近傍を支持するレスト装置71、72が省略されている点と、仮受け台73、74が基台2に固定されずに昇降手段61に固定されて一体的に昇降する点が異なる。この場合、ツルーイング装置60を上昇させていっても、仮受け台73、74上のワークWも一体となって上昇するので、ツルーイング装置60とワークWとは干渉しない。
図7(A)に示す従来の研削盤101ではツルーイング装置60がX軸方向においてワークWに対して砥石22の側、且つ主軸台31に設けられており、図7(B)に示す従来の研削盤201ではツルーイング装置60が砥石テーブル220上に設けられているが、本実施の形態にて説明する研削盤1では、ツルーイング装置60は、ワークWの下方に配置され、且つ昇降可能である。また、ツルーイング装置60の成形砥石62は、Z軸方向の位置において、ワークWの加工個所Kと重なる位置であってもよい。
主軸装置30Lは、主軸台31Lと、工作物回転軸回りに回転する主軸32Lと、主軸32Lと一体となって回転するチャック部33Lにて構成され、Z軸方向に平行に設けられたリニアガイドGLに沿って移動可能である。また、主軸32Lとチャック部33Lは同軸上に配置され、工作物回転軸の方向に沿って、ワークWを挿通可能な径を有する穴部が設けられている。また、チャック部33Lは、挿通したワークWの円筒面を支持(挟持)する開閉可能なチャック爪が設けられており、チャック部33Lとチャック部33Rにて、対向配置された一対の工作物支持手段を構成している。
制御装置50は、主軸装置30LのZ軸方向の位置を制御可能であり、主軸32L及びチャック部33Lの回転を制御可能であり、チャック部33Lのチャック爪の開閉を制御可能である。
なお、主軸装置30Rについては、主軸装置30Lと同様であるので説明を省略する。
ツルーイング装置60は、制御装置50からの制御信号に基づいて昇降可能な昇降手段61に設けられて、主軸装置30L、30Rにて支持されたワークWの下方に配置されている。
昇降手段61は、ツルーイング装置60を下方位置と上方位置の間で昇降し、下方位置は図1(B)に示すように、Z軸方向に平行な工作物回転軸に交差する方向から、砥石22をワークW(主軸装置30L、30Rの工作物回転軸)に近接するように移動させた場合に、砥石22とワークWとが接触しても成形砥石62の成形面が砥石22及びワークWに接触しない(干渉しない)、下側の位置である。
また、上方位置は図2(B)に示すように、Z軸方向に平行な工作物回転軸に交差する方向から、砥石22をワークW(主軸装置30L、30Rの工作物回転軸)に近接するように移動させた場合に、砥石22とワークWとが接触することなく砥石22を成形砥石62の成形面に接触させることが可能な(すなわち、砥石22を成形可能な)、上側の位置である。
なお、ツルーイング装置60を上方位置に上昇させた状態である図2(B)の状態とする前には、図2(A)に示すように、制御装置50は、チャック部33L、33Rのチャック爪を開放してワークWの把持を開放した後、主軸装置30L、30Rを互いに離間する方向に移動させ、ワークWが主軸装置30L、30Rに挿通されていない状態として、その後に、ツルーイング装置60を上方位置に上昇させる。
なお、図1(B)に示すように、Z軸方向から見た場合に、ワークWと砥石22の各回転軸(工作物回転軸と砥石回転軸)はZ軸方向に平行であり、Y軸方向の高さを同じに設定することが好ましい。また、図2(B)に示すようにツルーイング装置60を上方位置まで上昇させた場合に、成形砥石62の回転軸と砥石回転軸とのY軸方向の高さが同じとなるように設定すれば、砥石22がワークWと接触する加工点を成形できるので、より好ましい。
なお、ツルーイング時におけるツルーイング装置60の最適位置は、成形砥石62の回転軸線が主軸装置30L、30Rの回転軸線と一致した位置である。
次に、図3を用いて砥石22の成形方法について説明する。
研削盤1は、工場のライン等では、図3に示すように安全カバーCで覆われている。
ワークWを研削する場合、まず作業者は開閉扉Fを開いてワークWを仮受け台73、74上にセットして(図3(A))、開閉扉Fを閉じて、起動スイッチ(図示省略)を押す。
すると、研削盤1に設けられた制御装置50は、設定されたプログラムに従って砥石22等を制御して研削を行う(図3(B))。研削が終了すると、研削終了を示す信号が出力されるので、作業者は開閉扉Fを開いてワークWを取り出し(図3(C))、次に研削するワークWをセットする、という作業を繰り返す。
例えば、制御装置50は、研削したワークWの数をカウントしており、所定数のワークWを研削したと判定すると(成形タイミングであると判定すると)、ワークWの研削の完了後(研削終了の信号を出力前)に、砥石22の成形処理を実行する。そして、成形処理が完了すると、研削終了の信号を出力する。従って、作業者は砥石22の成形を意識する必要がない。
砥石22の成形処理では、制御装置50は、X軸方向について砥石22が成形砥石62と対向する位置となるように、砥石台10をZ軸方向に移動させる。
また制御装置50は、チャック部33L、33Rのチャック爪を開放した後、主軸装置30L、30Rを互いに離間する方向に移動させ、ワークWが主軸装置30L、30Rに挿通されていない状態とする(図2(A)参照)。
続いて、制御装置50は、昇降手段61を駆動してツルーイング装置60を上方位置に上昇させる(図2(B)参照)。なお、本実施の形態にて説明する研削盤1では、図1(B)及び図2(B)に示すように、昇降手段61と一体となって昇降する仮受け台73、74が昇降手段61に設けられている。
ここで、仮受け台73、74は、ツルーイング装置60が下方位置にある場合(図1(B)参照)、主軸装置30L、30Rに支持されているワークWの下方、且つワークWに干渉しない位置(図1(B)において、仮受け台73、74とワークWとの間には間隙が形成されている)に設けられている。
仮受け台73、74に載置したワークWのY軸方向(高さ方向)の位置は、主軸32L、32Rの回転軸よりも僅かに低い位置であり、仮受け台73、74上に載置したワークWをチャック部33L、33Rで支持すると(つかむと)、ワークWは仮受け台73、74から僅かに浮いた状態となる。
また、仮受け台73、74は、ツルーイング装置60が上方位置に上昇すると(図2(B)参照)、ワークWを持ち上げる(図2(B)参照)。なお、上記したように、ワークWを持ち上げる前に、主軸装置30L、30RにワークWが挿通されていない状態とする必要がある。
そして、制御装置50は、砥石テーブル20をX軸方向に移動させて、砥石22と成形砥石62とを接触させて、成形砥石62にて砥石22を研削して成形する。なお、接触させる前に、砥石22と成形砥石62の回転を開始させる。
砥石22の成形が終了すると、制御装置50は砥石テーブル20をX軸方向に移動させて砥石22と成形砥石62とを離間させ、砥石22と成形砥石62の回転を停止させる。そして、制御装置50は、砥石台10をZ軸方向に移動させ、砥石22を保安カバー75と対向する位置に移動させる。
なお、ここから更に昇降手段61を上昇させて、アーム等の補助部材を介して図3(A)〜(C)に示す開閉扉Fを開くように構成してもよい。
保安カバー75は、昇降手段61と一体となって昇降するように設けられ、例えば板状部材であり、作業者がワークWのセットまたは取り出しを行う際、作業者と砥石22との間、すなわち、砥石22に対する工作物回転軸の側の空間と砥石22との間を遮蔽する。作業者はツルーイング装置60に対して砥石22と反対側(図2(B)の例では、研削盤1の左側)に立ち、ワークWのセットと取り出しを行うので、保安カバーは、主軸装置30L、30Rの工作物回転軸と砥石22との間を遮蔽することが好ましい。
なお、保安カバー75は省略してもよいし、仮受け台73、74は、昇降手段61に設けることなく、基台2に設けられていてもよい。
[仮受け台73、74が昇降手段61と一体的に昇降せずに、基台2に固定されている場合(図4(A)、図4(B))]
仮受け台73、74が基台2に固定されている場合、ツルーイング装置60を上昇させていくと、やがてワークWと干渉してしまう。
従って、仮受け台73、74を基台2に設けた研削盤では、砥石22をツルーイングする際、ツルーイング装置60を、ワークWに干渉しない高さ、且つ砥石22をワークWに近接する方向に移動させた場合に砥石22がワークWと接触することなく成形砥石62と接触させることが可能な高さまでに上昇を抑えておけばよい。
例えば、ワークWを加工時のツルーイング装置60の位置(下方位置)は、図4(A)の例に示す位置となり、砥石22をツルーイング時のツルーイング装置60の位置(上方位置)は、図4(B)の例に示す位置となる。なお、図4(A)、図4(B)では、ワークWと砥石22とツルーイング装置60との位置関係を判り易くするために、仮受け台73、74、主軸装置等の記載を省略している。
なお、砥石22のツルーイングの前に作業者がワークWを手作業等で取り外せば、仮受け台73、74が基台2に固定されていても、ワークWと干渉することなくツルーイング装置60を上昇させることができる。この場合は、ツルーイング装置60を上述した最適位置まで上昇させることができる。
これにより、砥石22の成形時におけるX軸方向の後退側ストローク(砥石22がワークWから離間する側のストローク)は、従来の研削盤101より小さくなり、X軸方向のストローク量を従来の研削盤101より小さくすることができる。従って、従来の研削盤101に対しては砥石台10と主軸台31のX軸方向の間隔Dをより小さくすることが可能であり、従来の研削盤201に対しては砥石台10のX軸方向の長さを小さくできるので、基台2のX軸方向の長さDXをより短くすることができる。
また、砥石22の成形時におけるZ軸方向のストローク量については、砥石台10を主軸台31の後ろ側まで移動させる必要がなくなるので、従来の研削盤101に対して基台2における主軸台31の後ろ側に相当するエリアEが不要となり、研削盤1をより小型化(フロアスペースを削減)することができる。
●[第2の実施の形態(図5〜図6)]
次に、図5〜図6を用いて第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態における研削盤1は、図1〜図2にて説明した研削盤1に対して、ワークWの両端を挿通したチャック部で支持する主軸装置30L、30Rの代わりに、ワークWの両端を、主軸センタ33を備えた主軸装置30と、心押しセンタ43を備えた心押し装置40と、で支持する点が異なる。また、第1の実施の形態では、ワークWの加工個所の近傍をチャック部で支持して研削時におけるワークWの湾曲を抑制しているが、第2の実施の形態では、ワークWの両端を支持するため、レスト装置71、72にて加工個所の近傍を支持して研削時におけるワークWの湾曲を抑制している。
なお、主軸センタ33と心押しセンタ43については、既に図7(A)及び(B)を用いて説明した従来の研削盤101、201と同様であるので、説明を省略する。
以下では、ツルーイング装置60の構成、及びツルーイング方法において、第1の実施の形態との相違点について説明する。
[仮受け台73、74、レスト装置71、72が昇降手段61と一体的に昇降する場合(図5(A)、図6(A))]
図5(A)はワークWを加工時の砥石22の位置の例を示す平面図であり、図6(A)はツルーイング時の砥石22の位置の例を示す平面図である。なお、それぞれの側面図は図1(B)(ツルーイング装置60が下方位置)、図2(B)(ツルーイング装置60が上方位置)と同様である。なお、下方位置、上方位置については既に第1の実施の形態にて説明しているので説明を省略する。
この場合、図6(A)に示すように、主軸センタ33と心押しセンタ43とを離間させることで、ワークWの支持を開放することができ、開放したワークWを仮受け台、レスト装置とともに上昇させることができる。
[仮受け台73、74、レスト装置71、72が昇降手段61と一体的に昇降せずに、基台2に固定されている場合(図5(B)、図6(B))]
仮受け台73、74、レスト装置71、72が基台2に固定されている場合、ツルーイング装置60を上昇させていくと、やがてワークWと干渉してしまう。
従って、仮受け台73、74、レスト装置71、72を基台2に設けた研削盤では、既に説明したように、砥石22をツルーイングする際、ツルーイング装置60を、ワークWに干渉しない高さ、且つ砥石22をワークWに近接する方向に移動させた場合に砥石22がワークWと接触することなく成形砥石62と接触させることが可能な高さまでに上昇を抑えておけばよい。
また、図4(A)及び図4(B)の説明と同様に、図5(B)はツルーイング装置60の下方位置を示しており、図6(B)はツルーイング装置60の上方位置を示している。
なお、砥石22のツルーイングの前に作業者がワークWを手作業等で取り外せば、仮受け台73、74、レスト装置71、72が基台2に固定されていても、ワークWと干渉することなくツルーイング装置60を、上述した最適位置まで上昇させることができる。
以上、第1及び第2の実施の形態にて説明した研削盤1は、研削時における砥石22のZ軸方向の動作範囲内にツルーイング装置60を配置しているので、研削盤1の小型化に有効である。昇降手段を備えたツルーイング装置60をワークWの下に配置したことで、砥石22の横送りストローク(Z軸方向の可動範囲)、切り込みストローク(X軸方向の可動範囲)を、最小限にすることができ、研削盤1の機械設置面積を大幅に削減することができる。
また、仮受け台73、74を昇降手段61に設けることで、ワークWのセットと取り出しが容易となり、作業者がワークWを取り外す必要がなく、便利である。また、ツルーイング装置60をワークWと干渉させることなく上昇させることができるので、ツルーイングに適切な高さを自由に設定することができる。
また、保安カバー75を昇降手段61に設けることで、より安全な研削盤とすることができる。
また、ワークWをクランプした状態(支持、把持した状態であり、研削加工終了時点の状態)で成形することが可能であるため、ストローク量の低減と合わせて、短時間で成形が可能であり、生産性が向上する。また、ツルーイング装置60が研削盤1の手前側に配置されるので、成形砥石62の交換等の保守性が良い。
また、本実施の形態の説明では、ワークWに対して砥石22をX軸方向に移動させたが、砥石22に対してワークWをX軸方向に移動させる構成にすることもできる。従って、砥石22はワークWに対して相対的にX軸方向に移動するものである。
同様に、Z軸方向については、ワークWに対して砥石22をZ軸方向に移動させたが、砥石22に対してワークWをZ軸方向に移動させる構成にすることもできる。従って、砥石22はワークWに対して相対的にZ軸方向に移動するものである。
また、第1の実施の形態では一対の工作物支持手段の双方がチャック部である例を説明し、第2の実施の形態では一対の工作物支持手段が主軸センタ33と心押しセンタ43である例を説明したが、一対の工作物支持手段は、これに限定されるものではない。例えば、一方がセンタ部材で他方がチャック部材であってもよい。また、一対の工作物支持手段は、少なくとも一方が、互いに近接する方向及び離間する方向に移動可能であればよい。
本発明の研削盤1は、本実施の形態で説明した外観、構成、成形処理等に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。
また、第2の実施の形態に示す研削盤1は、主軸センタ33または心押しセンタ43の少なくとも一方が、互いに近接する方向及び離間する方向に移動可能であればよい。
第1の実施の形態における、研削盤1の構成と研削時の砥石22の位置(A)、研削時の砥石22とワークWに対するツルーイング装置60の位置(B)、ワークWの外観(C)の例を説明する図である。 第1の実施の形態における、ツルーイング時の砥石22の位置(A)、ツルーイング時の砥石22とワークWに対するツルーイング装置60の位置(B)の例を説明する図である。 安全カバーCで覆った研削盤1にて、ワークWをセットして研削し、研削したワークWを取り出す作業を説明する図である。 仮受け台73、74が昇降手段61と一体的に昇降せずに、基台2に固定されている場合の例を説明する図である。 第2の実施の形態における、研削盤1の構成と研削時の砥石22の位置(A)、研削時の砥石22とワークWに対するツルーイング装置60の位置(B)、レスト装置71の構成(C)の例を説明する図である。 第2の実施の形態における、ツルーイング時の砥石22の位置(A)、ツルーイング時の砥石22とワークWに対するツルーイング装置60の位置(B)の例を説明する図である。 従来の研削盤101(主軸台31にツルーイング装置60を設けた例)、従来の研削盤201(砥石テーブル220にツルーイング装置60を設けた例)を説明する図である。
符号の説明
1 研削盤
2 基台
10 砥石台
10M Z軸方向駆動モータ
10E 検出手段
20 砥石テーブル
20M X軸方向駆動モータ
20E 検出手段
21 砥石駆動モータ
22 砥石
30 主軸装置
30L、30R 主軸装置
31、31L、31R 主軸台
32、32L、32R 主軸
33 主軸センタ(工作物支持手段)
33L、33R チャック部(工作物支持手段)
34 駆動ピン
35 駆動金具
40 心押し装置
41 心押し台
42 ラム
43 心押しセンタ(工作物支持手段)
50 制御装置
60 ツルーイング装置
61 昇降手段
62 成形砥石(ツルーイング手段)
71、72 レスト装置
73、74 仮受け台
75 保安カバー
W ワーク(長尺ワーク)

Claims (5)

  1. 工作物を両側から工作物回転軸回りに回転可能となるように支持するとともに、前記工作物回転軸上に対向配置された一対の工作物支持手段と、
    支持された前記工作物に対して相対的に移動して前記工作物を研削する回転砥石と、
    前記回転砥石を成形可能な成形面を有するツルーイング手段と、を備え、
    前記一対の工作物支持手段は、前記工作物を略水平に支持し、
    前記ツルーイング手段は、支持された前記工作物の下方に配置されているとともに昇降手段を備えており、
    前記昇降手段は、
    前記回転砥石を成形しない場合には、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物回転軸に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記回転砥石と前記工作物とが接触しても前記回転砥石及び前記工作物に前記成形面が接触しない下方位置に前記ツルーイング手段を下降させ、
    前記回転砥石を成形する場合には、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物回転軸に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記回転砥石を成形可能な上方位置に前記ツルーイング手段を上昇させる、
    昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤。
  2. 請求項1に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、
    前記昇降手段には、更に、前記工作物の下方に配置されて前記工作部を載置可能であるとともに前記昇降手段と一体となって昇降する仮受け台が設けられており、
    前記仮受け台は、
    前記下方位置において、前記工作物支持手段にて支持されている前記工作物に干渉しないように前記昇降手段に設けられているとともに、前記上方位置において、前記工作物を、前記工作物支持手段にて支持される位置よりも上方に持ち上げるように前記昇降手段に設けられている、
    昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤。
  3. 請求項1または2に記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、
    前記昇降手段には、更に、前記工作物と前記回転砥石との間を遮蔽する保安カバーが、前記昇降手段と一体となって昇降するように設けられており、
    前記保安カバーは、
    前記下方位置において、前記工作物回転軸に交差する方向から前記工作物回転軸に対して前記回転砥石を相対的に移動させて近接させた場合に前記工作物と前記回転砥石とが接触しても前記回転砥石及び前記工作物に前記保安カバーが接触しないように設けられているとともに、前記上方位置において、前記回転砥石に対する前記工作物回転軸の側の空間と前記回転砥石との間を遮蔽するように前記昇降手段に設けられている、
    昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤であって、
    前記工作物における被加工個所はネジ溝が形成されたネジ部であり、前記回転砥石にて前記ネジ溝を研削加工する、
    昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の昇降式のツルーイング手段を備えた研削盤における回転砥石のツルーイング方法であって、
    前記昇降手段を用いて前記ツルーイング手段を前記上方位置に上昇させて、前記成形面に前記回転砥石が接触するように、前記ツルーイング手段に対して前記回転砥石を相対的に移動させて前記回転砥石を成形するツルーイングを、前記回転砥石にて研削を終えた工作物を取り出す際に行う、
    回転砥石のツルーイング方法。

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