JP4415524B2 - 内燃機関用バルブタイミング調整装置 - Google Patents

内燃機関用バルブタイミング調整装置 Download PDF

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    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃期間(以下、「内燃機関」をエンジンと呼称する)の吸気バルブまたは排気バルブの少なくともいずれか一方の開閉タイミング(以下、「開閉タイミング」をバルブタイミングと呼称する)を運転条件に応じて変更するための内燃機関用バルブタイミング調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エンジンのクランクシャフトと同期回転するタイミングプーリやチェーンスプロケットを介してカムシャフトを駆動し、タイミングプーリやチェーンスプロケットとカムシャフトとの相対回転による位相差により吸気バルブおよび排気バルブの少なくともいずれか一方のバルブタイミングを制御する例えばベーン式のバルブタイミング調整装置が知られている。このバルブタイミング調整装置は、カムシャフト側回転体(従動側回転体)であるベーンロータに嵌合部としてのストッパピンを有し、クランクシャフト側回転体(駆動側回転体)であるハウジング部材に被嵌合部としてのストッパピンを嵌合可能とさせる嵌合穴が設けられることにより両回転体の相対回転を拘束するものである。
【0003】
この両回転体の相対回転の拘束は、エンジンの始動時においてベーンロータを所定位相(最進角位相と最遅角位相との略中間位相)に移動および制止させることが困難であることから行われ、エンジンの始動が完了すると嵌合穴からストッパピンを抜いて両回転体の相対回転の拘束を解除させている。なお、ベーンロータの所定位相(最進角位相と最遅角位相との略中間位相)への拘束は、例えば吸気側(吸気バルブ)ではベーンロータを最遅角位相から若干進角させた位相となるように、また排気側(排気バルブ)では逆にベーンロータを最進角位相から若干遅角させた位相となるように合せられ、エンジンを最適に始動させている。
【0004】
そこで、略中間位相にてストッパピンと嵌合穴とを嵌合させるバルブタイミング調整装置として、特開平11−218009号公報、特開平11−280427号公報、および特開2000−230511号公報等に開示されているものが知られ、ストッパピンと嵌合穴との嵌合を安定して行えるように工夫されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら公報に開示されているものはストッパピンと嵌合穴との嵌合を安定して行えるように工夫されているものの、ストッパピンと嵌合穴との嵌合ができない事態の発生には対応できていない。つまり、ストッパピンと嵌合穴との嵌合が不調に至ると、ベーンロータを所定位相に拘束できなくなりベーンロータが最進角位相と最遅角位相との間を大きく揺動する。そして、このベーンロータの揺動は、ベーンロータの移動最終端部にてハウジング部材との衝突等による打音を発生させたり、エンジンが始動できなくなるので問題である。
【0006】
本発明の目的は上記の点に鑑み、嵌合部と被嵌合部との両者が嵌合に至らなくても所定位相に拘束できてエンジンを確実に始動可能とさせる内燃機関用バルブタイミング調整装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述した課題を解決するために、本発明の請求項1記載の内燃機関用バルブタイミング調整装置によると、内燃機関の駆動軸とともに回転する駆動側回転体と、吸気バルブまたは排気バルブを開閉するように駆動軸の駆動力が伝達される従動軸とともに回転する従動側回転体とを有し、駆動側回転体と従動側回転体とを相対的に回転させて吸気バルブまたは排気バルブの開閉時期を調整し、かつ駆動側回転体と従動側回転体とを連結可能に設けられ、内燃機関の始動時に吸気バルブまたは排気バルブの最進角位相と最遅角位相との略中間位相に固定される嵌合部および被嵌合部を有する嵌合手段を備える内燃機関用バルブタイミング調整装置であって、
嵌合部と被嵌合部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側および遅角側に進角側領域および遅角側領域を広げるように被嵌合部の一部が変形された変形部を有し、
嵌合部と被嵌合部の変形部とを、両回転体の回転方向に対して所定量の隙間を有して係合させる係合手段を備え、
嵌合部は略柱状のピン部であり、被嵌合部はピン部を嵌合可能に形成された穴部および変形部を備えたピン嵌合部であり、変形部は、穴部が開口されてピン部が嵌合する側の開口面に形成され、所定量の隙間を有してピン部とピン嵌合部側とを係合させるように穴部の入口側に形成される段部であり、
段部は、ピン部と穴部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側および遅角側に、それぞれ進角側領域および遅角側領域を広げてピン部と所定量の隙間を有して係合させるように穴部の入口側に形成される第1段部および第2段部から成り、第1段部と第2段部とは、ピン部とピン嵌合部との嵌合方向におけるその段部高さを異ならせて設けられ、ピン部とピン嵌合部との進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動、およびピン部とピン嵌合部とが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力により、ピン部とピン嵌合部とは段部高さを異ならせた第1段部および第2段部に前記ピン部が相互に当接することで両者の係合方向の相対位置を近づけ、かつピン部とピン嵌合部との進角側および遅角側方向への揺動範囲を狭めながら略中間位相に嵌合させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
それにより、駆動側回転体と従動側回転体の両回転体の回転方向に対して所定量の隙間を有して係合させる係合手段を有していることから、嵌合部と被嵌合部の変形部とを容易に係合できる。そして、嵌合部と被嵌合部の変形部とが容易に係合した時点にて、エンジンを確実に始動可能とさせる位相に拘束させ、その後において嵌合部と被嵌合部との嵌合により、より両者の相対位置を安定させるのである。このように、嵌合部と被嵌合部との両者が嵌合に至らなくても所定位相に拘束できてエンジンを確実に始動可能とさせる内燃機関用バルブタイミング調整装置を提供できる。
また、嵌合部は略柱状のピン部であり、被嵌合部はピン部を嵌合可能に形成される穴部および変形部を備えたピン嵌合部であり、変形部は、穴部が開口されてピン部が嵌合する側の開口面に形成され、所定量の隙間を有してピン部とピン嵌合部側とを係合させるように穴部の入口側に形成される段部である。
それにより、ピン部は、自らが嵌合する側の開口面に沿ってその開口面に形成された穴部に導かれる際、先ず穴部の入口側に形成される段部に係合する。この係合は、所定量の隙間を有するように形成された段部であることからピン部が容易に引っかかることにより行われる。そして、段部に係合されたピン部が穴部に嵌合する。このように、簡潔な構成の係合手段が構成できる。
更に、段部は、ピン部と穴部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側および遅角側に、それぞれ進角側領域および遅角側領域を広げてピン部と所定量の隙間を有して係合させるように穴部の入口側に形成される第1段部および第2段部から成り、第1段部と第2段部とは、ピン部とピン嵌合部との嵌合方向におけるその段部高さを異ならせて設けられ、ピン部とピン嵌合部との進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動、およびピン部とピン嵌合部とが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力により、ピン部とピン嵌合部とは段部高さを異ならせた第1段部および第2段部に前記ピン部が相互に当接することで両者の係合方向の相対位置を近づけ、かつピン部とピン嵌合部との進角側および遅角側方向への揺動範囲を狭めながら略中間位相に嵌合させるようにしたから、嵌合部と被嵌合部との嵌合できる確率を高めるとともに、目標嵌合位置にバルブタイミングを近接させてエンジン始動性を高めることができる。
なお、前記したピン部とピン嵌合部とが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力による両者の近接速度は、ピン部とピン嵌合部との進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動速度よりも遅く、段部高さを異ならせることにより反復揺動幅を抑えながらピン部とピン嵌合部とが係合し合う方向にその両者の相対位置を近づけることができる。
【0013】
本発明の請求項2の記載によると、段部は、進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側を複数段に構成する。ここで、駆動軸と従動軸間に発生する反復トルクによりピン部とピン嵌合部とが近接と離間を繰り返しながら、ピン部とピン嵌合部とが係合し合う方向にその両者の相対位置が近くことが確認されている。つまり、ピン部とピン嵌合部とが係合する方向とは逆の戻り行程を含んでいるのである。このことから、段部を進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側に複数段に構成することにより、複数段の段部のうち開口面側の段部から穴部に向け順に係合する際に上記した戻り行程が段部よって係止される。すなわち、繰り返し発生する戻り行程と複数段の段部とが対応して戻り行程が阻止され、ピン部とピン嵌合部との係合からピン部の穴部への嵌合を速やかに実行させることができる。
【0014】
本発明の請求項3の記載によると、ピン部は、先細り状のテーパ部を有するとともにこのテーパ部のテーパ角度は6°未満に形成され、ピン嵌合部に形成された穴部にテーパ部が嵌合されることにより、ピン部とピン嵌合部とを略中間位相に嵌合させる。
【0015】
ここで、本発明者は、上記したテーパ部を大きく設けることによるピン部と穴部との嵌合容易効果と、テーパ部を大きく設けることによるピン部の穴部からの嵌合不安定(ピン部が穴部への嵌合させる作用力に反して抜ける力が発生)作用とを検討した。その結果、このテーパ部を6°未満に形成することにより、嵌合容易効果と嵌合不安定作用抑制効果とを両立させることができるようになった。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態である内燃機関用バルブタイミング調整装置を図面を参照して詳細に説明する。なお、以下説明する内燃機関用バルブタイミング調整装置は、嵌合部と被嵌合部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側に進角側領域あるいは遅角側領域を広げるように被嵌合部の一部が変形され、嵌合部と被嵌合部の変形部とを、駆動側回転体と従動側回転体の両回転体の回転方向に対して所定量の隙間を有して係合させる係合手段を備えることにより、嵌合部と被嵌合部との両者が嵌合に至らなくても所定位相(バルブタイミング)に拘束できてエンジンを確実に始動可能とさせる内燃機関用バルブタイミング調整装置が提供できる技術に関する。
【0018】
図12は、本発明の第1実施形態であるバルブタイミング調整装置1を含むガソリンエンジン100全体を示す全体概略構成図である。バルブタイミング調整装置1は、エンジン100に付設され、油圧により駆動される可変バルブタイミング機構50(以下「VVT」と呼称する)、このVVT50への駆動力を印加するオイルコントロールバルブ80(以下「OCV」と呼称する)、駆動軸としてのクランクシャフト11の回転角度(クランク角度)を検出するクランク角センサ40、従動軸としての吸気側カムシャフト22の回転角度(クランク角度)を検出するカム角センサ41、およびバッテリ60より電源供給されこれらセンサ40、41等からの入力信号40a、41aに基づいてOCV80に対して駆動信号70aを送信して駆動制御するECU70等を備えている。
【0019】
エンジン100は、往復移動するピストン12の下端部にクランクシャフト11が連結されてクランクシャフト11を回転させている。このクランクシャフト14の近傍には、磁性体ロータと電磁ピックアップ(ともに図示しない)とから構成されるクランク角センサ40が配設され、クランクシャフト11の回転角度(クランク角度)を検出している。また、吸気側カムシャフト22の近傍には、磁性体ロータと電磁ピックアップ(ともに図示しない)とから構成されるカム角センサ41が配設され、吸気側カムシャフト22の回転角度(カム角度)を検出している。
【0020】
吸気通路20および排気通路30には、吸気バルブ21および排気バルブ31が各々配設され、これらバルブ21、31を開閉駆動するための吸気側カムシャフト22および排気側カムシャフト32が各々配置されている。また、各カムシャフト22、32の一端には、吸気側タイミングプーリ23、排気側タイミングプーリ33が各々装着されており、これらタイミングプーリ23、33は、タイミングベルト34を介してクランクシャフト11に連結されている。従って、エンジン100の作動時にはクランクシャフト11からタイミングベルト34および各タイミングプーリ23、33を介して各カムシャフト22、32に回転駆動力が伝達され、各カムシャフト22、32が回転することにより吸気バルブ21、および排気バルブ31が開閉駆動される。これら各バルブ21、31は、クランクシャフト11の回転およびピストン12の上下動に同期して、すなわち吸気行程、圧縮行程、爆発・膨張行程、および排気行程よりなるエンジン100における一連の4行程に同期して、所定の開閉タイミングで駆動される。
【0021】
VVT50は、クランクシャフト11からの駆動力がタイミングベルト34を介して吸気側タイミングプーリ23に伝達され、この吸気側タイミングプーリ23の回転に対する吸気側カムシャフト22の回転の位相を変化させることにより、吸気バルブ21のバルブタイミングを連続的に変更させるための機構である。そして、吸気バルブ21の開閉タイミングを変更することにより、吸気バルブ21と排気バルブ31が同時に開弁する期間であるバルブオーバーラップ期間の変更を実現している。なお、VVT50を駆動する油圧は、油圧ポンプ61によってオイルパン62から吸い上げられ、所定の圧力をもって供給される。
【0022】
上記のVVT50のシステム構成について、図1および図2を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施形態であるVVT50が配設された吸気側カムシャフト22近傍の構成図であり、図1(a)は、正面図であり、図1(b)は、図1(a)中のA−A線断面図である。図2は、ストッパピン周辺を示す細部説明図であり、図2(a)は、図1(b)中のB方向矢視図、図2(b)は、図2(a)中のC−C線断面図である。なお、図1(a)は、図2(b)に示すフロントプレート5およびボルト121を取り外した状態を示す。吸気側タイミングプーリ23、シューハウジング3、およびフロントプレート5は、駆動側回転体を構成し互いにボルト120により同軸上に固定されている。
【0023】
また、ベーンロータ9は、ノックピン2により回転角度方向の位置決めがなされ、ボルト121によりカムシャフト22に一体に固定されており従動側回転体を構成している。なお、カムシャフト22は、タイミングプーリ23に対し所定の位相差にて回動可能である。カムシャフト22およびタイミングプーリ23は、図1(b)に示す矢印B方向からみて時計方向に回転する。以下この回転方向を進角方向とする。図1中の4は、コイルスプリングであり、このコイルスプリング4の巻き始め端部と巻き終わり端部とが各々シューハウジング3とベーンロータ9に係止し、シューハウジング3とベーンロータ9とを相対回転させる力を発生させベーンロータ9をシューハウジング3に対して進角方向に付勢させている。
【0024】
シューハウジング3およびベーンロータ9の軸方向両端面は、タイミングプーリ23およびフロントプレート5により覆われている。カムシャフト22の外周壁23aは従動側回転体の軸受け部を構成している。従って、カムシャフト22およびベーンロータ9はタイミングプーリ23およびシューハウジング3に対して同軸に相対回転可能である。ベーンロータ9の内壁には、嵌合部としてのピン部(以降、ストッパピンと呼称する)7がカムシャフト22の軸方向と略平行に挿入されて摺動可能とさせるピン挿入穴8が設けられている。なお、ストッパピン7は略柱状形状体であり、この筒状体の一端に付勢手段としてのスプリング10を配設してタイミングプーリ23側に付勢させている。タイミングプーリ23の側端面には、被嵌合部としての穴部(以降、ストッパ穴と呼称する)111aを備えたピン嵌合部(以降、ブッシュと呼称する)111が圧入されて設けられている。つまり、ストッパピン7は、このブッシュ111に形成されたストッパ穴111aに嵌合可能である。ストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合した状態では、シューハウジング3に対するベーンロータ9の相対回転は拘束される。これらストッパピン7、ストッパ穴111aおよびスプリング8は嵌合手段を構成している。
【0025】
シューハウジング3は、周方向にほぼ等間隔に台形状に形成されたシュー3a、3b、3c、3dを有している。シュー3a、3b、3c、3dの周方向の4箇所の間隙にはそれぞれベーン9a、9b、9c、9dを収容する収容室としての扇状空間部90が形成されており、シュー3a、3b、3c、3dの内周面は断面円弧状に形成されている。ベーンロータ9は周方向にほぼ等間隔にベーン9a、9b、9c、9dを有し、このベーン9a、9b、9c、9dがシュー3a、3b、3c、3dの周方向の間隙に形成されている扇状空間部90に回転可能に収容されている。そして、シュー3aとベーン9aとの間、シュー3bとベーン9bとの間、シュー3cとベーン9cとの間、およびシュー3dとベーン9dとの間には、各々遅角油圧室110a、110b、110c、110dが形成されている。また、シュー3aとベーン9bとの間、シュー3bとベーン9cとの間、シュー3cとベーン9dとの間、およびシュー3dとベーン9aとの間には、各々進角油圧室110e、110f、110g、110hが形成されている。
【0026】
図2に示すように、ストッパピン7とストッパ穴111aとが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側(図2中の右側)に進角側領域を広げるようにストッパ穴111a(被嵌合部)の一部が変形され、ストッパピン7とブッシュ111とが駆動側回転体と従動側回転体の両回転体の回転方向に対して所定量の隙間(図2(b)中のΔL1寸法)を有して係合するように変形部としての段部(第1段部)111bを形成させた。この段部111bは、ストッパ穴111aが嵌合される側に開口した開口面111cに形成されており、これら段部111bとストッパピン7は係合手段を構成している。
【0027】
具体的には、ブッシュ111の一方の軸方向端面を部分的に切り欠いて段部111bを構成する。この切り欠く際に形成される切り欠き線(図2(a)中のY1、Y2)は、ベーンロータ9の相対回転によりストッパピン7の移動する方向と略直行する方向となる略直線である。本実施形態では、ストッパピン7のストッパ穴111aへの嵌合位置よりも進角側となる進角側移動領域に所定量の隙間(ΔL1)を有するようにストッパピン7の端部の一部を切り欠いて1段の段部111bを構成している。つまり、上記した切り欠き線Y1、Y2と接するようにストッパ穴111aが配設させることにより、所定量の隙間(ΔL1寸法)を有して進角側領域を広げるように形成されている。
【0028】
なお、上記した隙間(ΔL1寸法)は、本実施形態ではストッパピン7の外径の20から30%の寸法を確保した。つまり、ストッパピン7の外径がφ10mmである場合には、本実施形態では約2mmから3mmの間に設定される。この程度の隙間寸法に設定すれば、ストッパピン7のストッパ穴111aへの嵌合に比してストッパピン7が段部111bに容易に引っかかることからストッパピン7の段部111bへの係合が格段に高確率に行われる。図2(b)中の破線X1位置から破線X2位置は、ストッパピン7が開口面111cに沿って遅角側から進角側に向けてストッパ穴111aに導かれ段部111bに係合した状態を示す。
【0029】
そして、このストッパピン7が段部111bへ係合した時点にて、エンジン100を確実に始動可能とさせる位相に拘束できる。また、ストッパピン7が段部111bへ係合したのちに段部111b内を進角および遅角方向に反復揺動することがあっても、ストッパピン7の段部111b内における移動量が少ないことからストッパピン7の段部111bへの当接による衝撃力は小さく抑えられる。更に、格段に高確率に行われるストッパピン7の段部111bへの係合により、ベーンロータ9の移動最終端部にてベーンロータ9とハウジング部材としてのシューハウジング3との衝突等による打音を発生させなくなる。そして、段部111bに係合されて図2(b)中の破線X2位置にあるストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合する。
【0030】
図5は、変形例のストッパピン周辺を示す図1(b)中のB方向矢視図であり、図2に示した段部111bに対して、図5に示す段部構成としてもよい。この段部111baは、ブッシュ111の一方の軸方向端面を切り欠き線Y3、Y4に沿って切り欠いて構成されている。この切り欠き線Y3、Y4は、ベーンロータ9の相対回転によりストッパピン7の移動する方向と略直行する方向、かつストッパピン7の周曲面に略平行となる曲線である。具体的には、ストッパピン7の周曲面の曲率よりも大きい曲率の切り欠き線Y3、Y4とし、ストッパピン7がベーンロータ9の相対回転により移動して段部111bに係合する直前位置でのストッパピン7の先端部と開口面111cとの接触面積を大きくしている。これにより、ストッパピン7の先端部と開口面111cとの接触面圧が小さくなるように考慮され、その接触部での摩耗を抑制させている。
【0031】
図4は、エンジン100の低速運転域におけるVVT50による進角および遅角特性を示す説明図である。エンジン100の低速運転域においては、特にベーンロータ9を所定位相(最進角位相と最遅角位相との略中間位相)に移動させる際に、シューハウジング3に対するベーンロータ9の相対回転を揺動させる反復トルクが発生する。この反復トルクにより、図4中に示す進角から遅角方向(グラフY軸の下から上方向)への移動行程中に遅角から進角方向への戻り行程R(例えば図4中(イ)と(ロ)間)を複数回に渡り生じさせている。この反復トルクによる戻り行程は、遅角から進角方向への移動行程中においても発生する。
【0032】
このように、エンジン100の低速運転域、特にエンジン100の始動時においてベーンロータ9を所定位相に移動および制止させることが困難であることから、上記したストッパピン7と段部111bおよびストッパ穴111a間とを始動に適した中間位相に固定(係止および嵌合)させている。なお、例えばストッパピン7と段部111bとが進角から遅角方向へ移動したのちに係止すれば、この進角から遅角方向への移動行程中における遅角から進角方向への戻り行程R(図4中に示す)を阻止できる。この戻り行程Rに要する時間が削減されてストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合する。つまり、速やかにストッパピン7とストッパ穴111aを嵌合させて両者7、111aの相対位置を安定させることができる。
【0033】
ストッパピン7が開口面111cに沿って遅角側から進角側に向けてストッパ穴111aに導かれる動作状況を、図3および図13を用いて説明する。図3は、ストッパピン7の段部111bへの係合過程を説明する模式断面図であり、図3(a)は、ストッパピン7の段部111bへの係合初期時を示し、図3(b)は、ストッパピン7が段部111bに係合する状態を示し、図3(c)は、ストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合する状態を示す。図13は、図12中のVVT50とOCV80間の作動油供給経路を示す模式図である。
【0034】
エンジン100の始動が行われると、ECU70よりの指令を受けてOCV80により油路の切替え制御がなされ進角油圧室110hにオイルポンプ61よりの油圧が導入される。すると、コイルスプリング4の付勢力と進角油圧室110hに加わる油圧力、および図4を用いて説明した反復トルク中の進角方向の駆動トルクの合力によりベーン9aが進角方向(図3中の右方向)に移動する。このようにストッパピン7はストッパ穴111a方向へ押し出され、図2(b)中のX1位置から図3(a)に示す位置まで移動する。つまり、ストッパピン7は、自らが嵌合する側の開口面111cに沿ってその開口面111cに形成されたストッパ穴111aに導かれる際、先ずストッパ穴111aの入口側に形成される段部111bに引っ掛かり配置される。このストッパピン7の段部111bへの配置は、所定量の隙間(ΔL1)を有するように形成された段部111bであることから容易に行われる。
【0035】
そして、図3(b)に示すように上記したストッパピン7を進角方向に移動させる合力(駆動力)が加わりストッパピン7の段部111bへの配置を維持した状態において、図4を用いて説明した反復トルクがベーン9aを進角方向(図3中の右方向)に移動させるように駆動トルクF1が働き、ストッパピン7が段部111bの端部壁111dに当接して両者7、111bを係合させる。
【0036】
図3(b)に示す状態から、図4を用いて説明した反復トルク中の遅角方向(図3中の左方向)に移動させるようにベーン9aに駆動トルクF2が働き、この駆動トルクF2がコイルスプリング4の付勢力と進角油圧室110hに加わる油圧力に抗してストッパピン7をストッパ穴111a方向へ導く。そして、スプリング10の付勢力とオイルポンプ61よりの油圧作用力の合力F3によりストッパ穴111a方向へ押し出され、ストッパピン7がストッパ穴111aへ嵌合し、この状態を図3(c)に示す。
【0037】
上記したようにストッパピン7の段部111bへ係合を経て、ストッパピン7がストッパ穴111aへ嵌合する行程中にエンジン100の始動が行われ、ストッパピン7の段部111bへ係合ののちストッパピン7がストッパ穴111aへ嵌合することで両者7、111aの相対位置を安定させるのである。このように、ストッパピン7とストッパ穴111aとの両者が嵌合に至らなくても簡潔な構成の係合手段を有することにより所定位相に拘束でき、エンジン100を確実に始動可能とさせる内燃機関用バルブタイミング調整装置1を提供できる。
【0038】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態を図6に示す。第1実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付し説明を省略する。なお、図6は、第1実施形態に対し段部の構成が異なる。図6は、本発明の第2実施形態であるVVT50におけるストッパピン7の段部111bへの係合過程を説明する模式断面図であり、図6(a)は、ストッパピン7の段部111bへの係合初期時を示し、図6(b)は、ストッパピン7が段部111bに係合する状態を示し、図6(c)は、ストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合する状態を示す。
【0039】
図6では、ストッパピン7とストッパ穴111aとが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の遅角側(図6中の左側)に遅角側領域を広げるようにストッパ穴111a(被嵌合部)の一部が変形され、ストッパピン7とブッシュ111とが駆動側回転体と従動側回転体の両回転体の回転方向に対して所定量の隙間(図6(a)中のΔL2寸法)を有して係合するように変形部としての段部(第2段部)211bを形成させた。エンジン100の始動時の初爆が得られるまでの極低回転時は、オイルポンプ61からの油圧作用力が得られにくい。つまり、この油圧作用力を得てストッパピン7を遅角側から進角側に向けて移動する構成のVVT50においては、図6に示す段部211bの構成が好適であり、以下説明する。
【0040】
図6(a)は、第1実施形態時と同要領にてストッパピン7が段部211bへ配置されている状況である。なお、エンジン100の始動時には、油圧により進角させる力が得られにくく、かつこの油圧により進角させる力に反して図4を用いて説明した反復トルク中の遅角方向(図6中の左方向)に移動させるようにベーン9aに駆動トルクF2が働く際に、進角方向へのストッパピン7の移動が困難な状況となる。このストッパピン7の進角方向への移動が阻止される状況下において、段部211bがΔL2寸法だけ遅角側領域を広げて設けられていると、早期にストッパピン7が段部211bに拘束される。このストッパピン7の段部211bへの拘束後に上記した遅角方向に反復トルク中の駆動トルクF2が作用しても、ストッパピン7が段部211bの端部211dに係合し、ストッパピン7が遅角方向に移動することがない。
【0041】
そして、図6(c)に示すように反復トルクF1がベーン9aを進角方向(図3中の右方向)に移動させるように働きストッパピン7がストッパ穴111aへ導かれる。そして、スプリング10の付勢力とオイルポンプ61よりの油圧作用力の合力F3によりストッパ穴111a方向へ押し出され、ストッパピン7がストッパ穴111aへ嵌合する。
【0042】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態を図7に示す。第1実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付し説明を省略する。なお、図7は、第1実施形態に対し段部の構成が異なる。図7は、本発明の第3実施形態であるVVT50におけるストッパピン7周辺を示す模式断面図である。
【0043】
図7では、ストッパピン7とストッパ穴111aとが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側(図7中の右側)に進角側領域および遅角側(図7中の左側)に遅角側領域を広げるようにストッパ穴111a(被嵌合部)の一部が変形され、ストッパピン7とブッシュ111とが駆動側回転体と従動側回転体の両回転体の回転方向に対して所定量の隙間(図7中のΔL3寸法およびΔL4寸法)を有して係合するように変形部としての段部(第1段部)311b、段部(第2段部)321bを各々形成させた。また、段部311bと段部321bとは、ストッパピン7とストッパ穴111aとの嵌合方向におけるその段部高さを異ならせて設けられている。
【0044】
図8に示す模式断面図用いて、ストッパピン7の上記した段部311b、321bへ係合、およびストッパ穴111aへの嵌合過程を説明する。なお、本実施形態では、遅角油圧室110aに油圧が加わりストッパピン7が進角側から遅角側に向けてストッパ穴111a方向に押し出される状況である。図8(a)は、遅角油圧室110aに加わる油圧の作用力と図4を用いて説明した反復トルク中の遅角方向の駆動トルクF2の合力、およびスプリング10の付勢力とオイルポンプ61よりの油圧作用力の合力F3により、図8(a)中の実線表示のストッパピン7から破線表示のストッパピン7位置へと(ハ)方向に移動し、ストッパピン7が段部321bに当接したのち係合する。
【0045】
図8(a)に示す状態から、図4を用いて説明した反復トルク中の進角方向の駆動トルクF1と上記した合力F3により、図8(b)中の実線表示のストッパピン7から破線表示のストッパピン7位置へと(ニ)方向に移動し、ストッパピン7が段部311bに当接したのち係合する。そして、図8(b)に示す状態から、図4を用いて説明した反復トルク中の遅角方向の駆動トルクF2と上記した合力F3により、図8(c)中の実線表示のストッパピン7から破線表示のストッパピン7位置へと(ニ)方向に移動し、ストッパピン7がストッパ穴111aに嵌合する。
【0046】
このように、ストッパピン7とストッパ穴111aとの進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動(駆動トルクF1およびF2による)、およびストッパピン7とストッパ穴111aとが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力(合力F3)により、ストッパピン7とストッパ穴111aとは高さを異ならせた段部311bと段部321bとに相互に当接することで両者7、111aの嵌合方向の相対位置を近づけ、かつストッパピン7とストッパ穴111aとの進角側および遅角側方向への揺動範囲を狭めたのちに嵌合する。
【0047】
なお、ストッパピン7とストッパ穴111aとが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力(合力F3)による両者7、111aの近接速度は、ストッパピン7とストッパ穴111aとの進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動(駆動トルクF1およびF2による)速度よりも遅く、段部311b、321bの高さを異ならせることにより反復揺動幅を抑えながらストッパピン7とストッパ穴111aとが係合し合う方向にその両者の相対位置を近づけることができる。このように、ストッパピン7とストッパ穴111aとの嵌合できる確率を高めるとともに、目標嵌合位置にバルブタイミングを近接させてエンジン100の始動性を高めることができる。
【0048】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態を図9に示す。第1実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付し説明を省略する。なお、図9は、第1実施形態に対し段部の構成が異なる。図9は、本発明の第4実施形態であるVVT50におけるストッパピン7周辺を示す模式断面図である。
【0049】
図9に示すように、遅角側に複数段(本実施形態では3段)の段部411b、421b、431bを構成する。なお、複数段の段部411b、421b、431bは、開口面111c側より徐々にストッパピン7とブッシュ111との係合する隙間寸法を小さく形成させてある。ここで、図4を用いて説明した反復トルクによりストッパピン7とブッシュ111とが近接と離間を繰り返しながら、ストッパピン7とブッシュ111とが係合し合う方向にその両者の相対位置が近くことが確認されている。つまり、ストッパピン7とブッシュ111とが係合する方向とは逆の戻り行程を含んでいるのである。このことから、段部411b、421b、431bを遅角側に複数段に構成すれば、これら複数段の段部411b、421b、431bのうち開口面側の段部411b側からストッパ穴111aに向け順に係合する際に上記した戻り行程が段部411b、421b、431bよって順に係止される。すなわち、繰り返し発生する戻り行程と複数段の段部411b、421b、431bとが対応して戻り行程が阻止され、ストッパピン7とブッシュ111との係合からストッパピン7のストッパ穴111aへの嵌合を速やかに実行させることができる。
【0050】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態を図10に示す。第1実施形態と実質的に同一構成部分には同一符号を付し説明を省略する。なお、図10は、第1実施形態に対しテーパを有してストッパピンおよびこれと嵌合するストッパ穴とを嵌合させる構成とした。図10は、本発明の第5実施形態であるVVT50におけるストッパピン7a周辺を示す模式図であり、図10(a)は、ストッパピン7aを示す正面図、図10(b)は、ストッパ穴211aを示す断面図である。図10(a)に示すようにストッパピン7aは、先細り状のテーパ角度θを有するテーパ部を形成させた。このテーパ部のテーパ角度θは、本実施形態において3°に形成し、このテーパ部と嵌合する略同一のテーパ角度θを有するストッパ穴211aを備えた(図10(b)参照)。
【0051】
図11は、テーパ角度の違いによるストッパピン7aのストッパ穴211aからの抜け易さ確度を示す説明図である。図11は、テーパ角度θを大きく設けると、ストッパピン7aのストッパ穴211aからの嵌合不安定(ストッパピン7aがストッパ穴211aへの嵌合させる作用力に反して抜ける力が発生)作用が働き、抜け易さ確度が大きくなることを示す。一方、テーパ角度θを大きく設けるとストッパピン7aとストッパ穴211aとの嵌合が容易となる。詳述すれば、テーパ角度θを大きくするとストッパ穴211aのストッパピン7a嵌合方向入口(図10(b)のD部)が広くなり、かつテーパ角度θを大きくしたストッパピン7aの先端側が細くなることによる。
【0052】
そこで、テーパ角度θを大きくすることによる嵌合不安定作用を抑えつつ嵌合が容易となる大きなテーパ角度θを検討した結果、テーパ角度θを6°未満に形成すれば、嵌合容易効果と嵌合不安定作用抑制効果とを両立できることを発明者は発見した(図11参照)。具体的には、テーパ角度θを1°から6°の間に設定する。ここで、上記した嵌合容易効果と嵌合不安定作用抑制効果とを効果的に発揮させるには2°から4°の間に設定することが望ましい。なお、テーパ角度θの下限値を1°としたのは、テーパ加工の図示指示とテーパを設けることによる上記した嵌合容易効果の得られる双方を考慮した結果である。
【0053】
なお、本発明の実施にあたり、遅角側に複数段の段部411b、421b、431bを構成させた(図9参照)が、進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側に複数段の段部を構成させてもよい。これにより、進角側から遅角側あるいは遅角側から進角側への少なくともいずれか一方向における、ストッパピン7とブッシュ111との係合およびストッパピン7のストッパ穴111aへの嵌合を速やかに実行できる。
【0054】
また、本発明の実施にあたり、ストッパピン7とブッシュ111とが係合する段部に所定量の隙間を有し、この隙間が進角側あるいは遅角側のいずれか一方に設ける場合(上記したΔL1およびΔL2寸法の場合)は、ストッパピン7の外径の20から30%の寸法を目安に確保させる。しかし、これに限定されることなく、嵌合部と被嵌合部とを容易に係合できる点、ストッパピン7の段部への当接による衝撃力を小さく抑える点等を考慮して所定量の隙間寸法が決定される。
【0055】
また更に、本発明の実施にあたり、進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側に1段あるいは複数段の段部を形成させてストッパピン7との間に係合手段を構成させる際、第5実施形態にて示したストッパピンおよびこれと嵌合するストッパ穴との間にテーパを有する構成が組み合わされてストッパピン7のストッパ穴211aへの嵌合が安定かつ速やかに実行される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるVVTが配設された吸気側カムシャフト近傍の構成図であり、
(a)は、正面図であり、
(b)は、図1(a)中のA−A線断面図である。
【図2】ストッパピン周辺を示す細部説明図であり、
(a)は、図1(b)中のB方向矢視図、
(b)は、図2(a)中のC−C線断面図である。
【図3】ストッパピンの段部への係合過程を説明する模式断面図であり、
(a)は、ストッパピンの段部への係合初期時を示し、
(b)は、ストッパピンが段部に係合する状態を示し、
(c)は、ストッパピンがストッパ穴に嵌合する状態を示す。
【図4】VVTによる進角および遅角特性を示す説明図である。
【図5】変形例のストッパピン周辺を示す図1(b)中のB方向矢視図である。
【図6】本発明の第2実施形態であるVVTにおけるストッパピンの段部への係合過程を説明する模式断面図であり、
(a)は、ストッパピンの段部への係合初期時を示し、
(b)は、ストッパピンが段部に係合する状態を示し、
(c)は、ストッパピンがストッパ穴に嵌合する状態を示す。
【図7】本発明の第3実施形態であるVVTにおけるストッパピン周辺を示す模式断面図である。
【図8】図7中のストッパピンの段部への係合過程を説明する模式断面図である。
【図9】本発明の第4実施形態であるVVTにおけるストッパピン周辺を示す模式断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態であるVVTにおけるストッパピン周辺を示す模式図であり、
(a)は、ストッパピンを示す正面図、
(b)は、ストッパ穴を示す断面図である。
【図11】テーパ角度の違いによるストッパピンのストッパ穴からの抜け易さ確度を示す説明図である。
【図12】本発明の第1実施形態であるバルブタイミング調整装置を含むガソリンエンジン全体を示す全体概略構成図である。
【図13】図12中のVVTとOCV間の作動油供給経路を示す模式図である。
【符号の説明】
1 バルブタイミング調整装置
3 シューハウジング(従動側回転体)
7 ストッパピン(嵌合部としてのピン部、嵌合手段の一部)
9 ベーンロータ(駆動側回転体)
11 クランクシャフト(駆動軸)
21 吸気バルブ
22 カムシャフト(従動軸)
31 排気バルブ
50 VVT(バルブタイミング調整装置)
100 エンジン(内燃機関)
111 ブッシュ(ピン嵌合部)
111a、211a ストッパ穴(穴部、嵌合手段の一部)
111b、111ba、211b、311b 321b、411b、421b、431b 段部(変形部、第1および第2の段部のいずれかであり係合手段の一部を構成)

Claims (3)

  1. 内燃機関の駆動軸とともに回転する駆動側回転体と、
    吸気バルブまたは排気バルブを開閉するように前記駆動軸の駆動力が伝達される従動軸とともに回転する従動側回転体とを有し、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを相対的に回転させて前記吸気バルブまたは前記排気バルブの開閉時期を調整し、
    かつ前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを連結可能に設けられ、前記内燃機関の始動時に前記吸気バルブまたは前記排気バルブの最進角位相と最遅角位相との略中間位相に固定される嵌合部および被嵌合部を有する嵌合手段を備える内燃機関用バルブタイミング調整装置であって、
    前記嵌合部と前記被嵌合部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側および遅角側に進角側領域および遅角側領域を広げるように前記被嵌合部の一部が変形された変形部を有し、
    前記嵌合部と前記被嵌合部前記変形部とを、前記両回転体の回転方向に対して所定量の隙間を有して係合させる係合手段を備え、
    前記嵌合部は略柱状のピン部であり、前記被嵌合部は前記ピン部を嵌合可能に形成された穴部および前記変形部を備えたピン嵌合部であり、前記変形部は、前記穴部が開口されて前記ピン部が嵌合する側の開口面に形成され、前記所定量の隙間を有して前記ピン部と前記ピン嵌合部側とを係合させるように前記穴部の入口側に形成される段部であり、
    前記段部は、前記ピン部と前記穴部とが嵌合し合う位置に加え、その嵌合し合う位置の進角側および遅角側に、それぞれ進角側領域および遅角側領域を広げて前記ピン部と所定量の隙間を有して係合させるように前記穴部の入口側に形成される第1段部および第2段部から成り、前記第1段部と前記第2段部とは、前記ピン部と前記ピン嵌合部との嵌合方向におけるその段部高さを異ならせて設けられ、前記ピン部と前記ピン嵌合部との進角側および遅角側方向への相対位置移動時に生じる進角側および遅角側方向への反復揺動、および前記ピン部と前記ピン嵌合部とが嵌合し合う方向にその両者の相対位置を近づけように加わる作用力により、前記ピン部と前記ピン嵌合部とは段部高さを異ならせた前記第1段部および前記第2段部に前記ピン部が相互に当接することで両者の係合方向の相対位置を近づけ、かつ前記ピン部と前記ピン嵌合部との進角側および遅角側方向への揺動範囲を狭めながら前記略中間位相に嵌合させるようにしたことを特徴とする内燃機関用バルブタイミング調整装置。
  2. 前記段部は、進角側あるいは遅角側の少なくとも一方の側を複数段に構成することを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング調整装置。
  3. 前記ピン部は、先細り状のテーパ部を有するとともに該テーパ部のテーパ角度は6°未満に形成され、
    前記ピン嵌合部に形成された前記穴部に前記テーパ部が嵌合されることにより、前記ピン部と前記ピン嵌合部とを前記略中間位相に嵌合させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の内燃機関用バルブタイミング調整装置。
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