JP4415458B2 - 含フッ素共重合体及び成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素共重合体、特にブロー成形性に優れた含フッ素共重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという。)やテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという。)は、溶融成形可能な含フッ素樹脂であり、チューブ、パイプ、継手、容器などの成形品、電線被覆、コーティング、ライニングなどの材料として幅広く用いられている。PFAやFEPは、通常の溶融成形性樹脂の成形方法である押出し成形、射出成形、トランスファー成形、ブロー成形などの方法で成形できる。
特に、有機液体や腐食性液体の保存や輸送に使用されるボトル、タンク、ドラムなどの形状の容器が、PFAやFEPのブロー成形によって製造されている。
【0003】
しかし、PFAやFEPの比重が大きいため、ブロー成形時に、合わせ金型内で軟化状態にある円筒形状となった樹脂(以下、パリソンという。)は、自重で下方向に引っ張られやすい。その結果、上部のパリソンが伸びてその部分の肉厚が薄くなり、成形体の厚みが不均一になる問題があった。特に、大型の成形体をブロー成形する場合に、パリソン上部の薄肉化が顕著になる。
【0004】
パリソン上部の薄肉化を防止するためには、パリソンが自重によって伸長することを抑制すればよいが、本発明者は、PFAやFEPの溶融張力を高くすることが効果的であることを見出した。
溶融張力を高くする方法として、使用する含フッ素樹脂の高分子量化を検討したが、成形時の含フッ素樹脂の溶融粘度が大きくなる結果、パリソンを押出す時の含フッ素樹脂の成形性が低下し、生産性が低くなる問題があった。
【0005】
一方、溶融張力を高い状態に保持して成形する方法を検討したが、低温でパリソンを押出す必要があり、その結果、パリソンが合わせ金型内で固まりやすくなり、ブロー成形が困難になる問題があった。また、低温でパリソンを押出す場合、含フッ素樹脂の溶融粘度が大きくなり、上記と同様に、生産性が低くなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の有する上記問題点を解消し、ブロー成形において、生産性を低下させることなく、パリソン上部の薄肉化を抑制できる含フッ素共重合体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(a)テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)に基づく重合単位、(b)2重結合を1個有する含フッ素モノマー(ただし、TFEを除く。)に基づく重合単位及び(c)CF 2 =CFO−R f1 −OCF=CF 2 (ここで、R f1 は炭素数1〜8のフルオロアルキレン基(ただし、フルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示す。)で示されるモノマーに基づく重合単位を必須とする含フッ素共重合体であって、含フッ素共重合体中の(a)/(b)/(c)の比率がモル比で70〜99/0.97〜29.97/0.03〜0.7であり、380℃での溶融粘度が1×102〜5×104Pa・sであることを特徴とする含フッ素共重合体を提供する。
【0008】
本発明において、(a)はTFEに基づく重合単位である。
(b)は、以下に記載のモノマーに基づく重合単位が好ましい。(b)のモノマーの例としては、TFEを除く、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオリド、トリフルオロエチレンなどのフルオロエチレン類、ヘキサフルオロプロピレン(以下、HFPという。)、ペンタフルオロプロピレンなどのフルオロプロピレン類、CF3CF2CF2CF2CH=CH2やCF3CF2CF2CF2CF=CH2などのパーフルオロアルキル基の炭素数が4〜12の(パーフルオロアルキル)エチレン類、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などが挙げられる。(b)のモノマーは、単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0009】
(b)のモノマーのより好ましい例としては、HFP及び/又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が挙げられる。
(b)のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の好ましい例としては、式Rf3(OCFXCF2)mOCF=CF2(ここで、Rf3は炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基、mは0〜5の整数を示す。)で示されるモノマーが挙げられる。さらに好ましい例は、前式中のRf3が炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基で、mが0の場合が挙げられ、特にパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(以下、PPVEという。)が、原料入手の容易性の面で最も好ましい。
【0010】
本発明において、(c)は、通常は2重結合を2個又は3個有するモノマーに基づく重合単位である。(c)は、フッ素原子を含有しても含有しなくてもよいが、フッ素原子を含有するものがより好ましい。
【0011】
2重結合を2個有するモノマーとしては、CF2=CFO−Rf4−OCF=CF2(ここで、Rf4は炭素数1〜8のフルオロアルキレン基(ただし、フルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示す。)、CF2=CFO−Rf5−CF=CF2、CF2=CFO−Rf5−CH=CH2、CF2=CF−Rf5−CF=CF2、CF2=CF−Rf5−CH=CH2、CH2=CH−Rf5−CH=CH2(ここで、Rf5は単結合又は炭素数1〜8のフルオロアルキレン基(ただし、フルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示す。)などが挙げられる。
【0012】
2重結合を3個有するモノマーとしては、3つのトリフルオロビニロキシ基や3つのトリフルオロビニル基で3置換された炭素数2〜8のフルオロアルカン(ただし、フルオロアルカン骨格中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)又は3置換された芳香族化合物などが挙げられる。
【0013】
特に、(c)のモノマーとしては、CF2=CFO−Rf1−OCF=CF2及び/又はCF2=CFO−Rf2−CF=CF2(ここで、Rf1は炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基(ただし、パーフルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示し、Rf2は単結合又は炭素数1〜8のパーフルオロアルキレン基(ただし、パーフルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示す。)で示されるモノマーが、原料入手の容易性の面から好ましい。
【0014】
(c)のモノマーの好ましい具体例としては、CF2=CFOCF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)2OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)3OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)4OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)5OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)6OCF=CF2、CF2=CFOCF2OCF(CF3)CF2OCF=CF2、CF2=CFO(CF2)2OCF(CF3)CF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFO(CF2)2CF=CF2、CF2=CFO(CF2)3CF=CF2などが挙げられる。
【0015】
本発明の含フッ素共重合体中の(a)/(b)/(c)の比率は、モル比で70〜99/0.97〜29.97/0.03〜0.7である。(a)の比率が50より少ない場合は、得られる成形体の機械強度、耐熱性、耐薬品性などが低下する。また、99を超えるとブロー成形性が不良となる。(b)の比率が0.99より少ないとブロー成形性が不良となり、49.99を超えると得られる成形体の機械強度、耐熱性、耐薬品性などが低下する。(c)の比率が0.01より少ないと溶融張力の改善効果がほとんどなく、1を超えると溶融粘度が大きくなり成形が困難になる。(a)/(b)/(c)の比率は、モル比で60〜99/0.99〜39.99/0.01〜1がより好ましく、70〜99/0.97〜29.97/0.03〜0.7がさらに好ましく、本発明では70〜99/0.97〜29.97/0.03〜0.7とする。
【0016】
本発明の含フッ素共重合体は、(a)、(b)および(c)以外に、その他のビニル単量体に基づく重合単位を10モル%以下の割合で含むものでもよい。その他のビニル単量体の例としては、エチレン、プロピレン、ブテンなどのオレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブテニルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、アリルアルコール、アリルグリシジルエーテルなどのアリル化合物、酢酸ビニル、ピバリン酸ビニル、酪酸ビニル、クロロ酢酸ビニルなどのビニルエステル類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチルなどのアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる。
【0017】
本発明の含フッ素共重合体の製造方法は、特に限定されず、バルク重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合などの従来公知の方法が採用される。
溶液重合の場合には、重合媒体としてハイドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、アルコール、ハイドロカーボンなどが用いられる。懸濁重合の場合には、ハイドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロカーボンなどの媒体に水を加えたもの重合媒体として用いられる。乳化重合の場合には、重合媒体として水が用いられるが、溶液重合で用いられる同様の重合媒体を併用してもよい。
【0018】
重合開始源としては、ラジカル開始剤、レドックス触媒系開始剤、光、熱、電離放射線などが採用される。
好ましいラジカル開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系開始剤、イソブチリルパーオキシド、オクタノイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシドのようなジアシルパーオキシド類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートのようなパーオキシジカーボネート類、tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシアセテートのようなパーオキシエステル類、(X(CF2)nCOO)2(ここで、Xは水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、nは1〜10の整数である。)で示される含フッ素ジアシルパーオキシド類などの有機過酸化物開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムのような無機過酸化物開始剤などが挙げられる。
【0019】
重合温度は、0℃〜200℃の範囲が好ましく、10〜100℃の範囲が特に好ましい。重合圧力は、0.01〜10MPaの範囲が好ましく、0.5〜3MPaの範囲が特に好ましい。
【0020】
本発明の含フッ素共重合体の380℃での溶融粘度は1×102〜5×104Pa・sである。1×102Pa・sより小さい場合は、得られる成形体の機械強度の面で不利であり、5×104Pa・sより大きい場合は、溶融成形性の面で不利になる。好ましくは5×102〜2×104Pa・sであり、最も好ましくは1×103〜1×104Pa・sである。
【0021】
本発明においては、特定量の(c)を使用することにより、溶融粘度の増大を抑えたままで、溶融張力を高めることができ、ブロー成形性に優れた含フッ素共重合体が得られる。一方、含フッ素共重合体の溶融張力を高めるために高分子量化すると、溶融粘度が大きくなり押出し成形性が低下する。
【0022】
本発明において、上記の効果を達成するうえで、溶融張力(単位:mN)/溶融粘度(単位:Pa・s)の比を0.07〜0.5の範囲に制御することが望ましい。0.07より小さい場合は、ブロー成形においてパリソンの自重による伸張の面で不利になり、0.5を超える場合は、ブロー成形が困難になる。0.07〜0.15の範囲がより好ましい。
【0023】
本発明において、上記の効果が達成される理由については、必ずしも明確でないが、(c)を特定量使用することによる次のような作用機構に基づくと考えられる。本発明の含フッ素共重合体の合成反応では、まず、(c)のモノマー中の一つの2重結合が、(a)のモノマーや(b)のモノマーと共重合し、(c)のモノマー中の残りの2重結合を側鎖に有する含フッ素共重合体が生成する。この側鎖の2重結合に、さらに(a)のモノマーや(b)のモノマーが共重合し、鎖長の長い側鎖を生成する。この長い側鎖の構造が何らかの作用により、溶融粘度の増大を抑えたままで、溶融張力を高めていると考えられる。
【0024】
本発明においては、成形時の発泡や着色の原因となる含フッ素共重合体中の不安定部位を安定化するために、重合で生成した含フッ素共重合体をフッ素化することも好ましく採用される。フッ素化は、(b)が、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)やヘキサフルオロプロピレンに基づく重合単位の場合に特に好ましく採用される。
フッ素化は、フッ素ガス/窒素ガスの混合ガスを用いるのが取り扱い上好ましい。
【0025】
フッ素化温度は200〜280℃が好ましい。200℃より低い場合はフッ素化に長時間を要し、280℃を超える場合は共重合体が溶融して取り扱いが困難となるおそれがある。より好ましくは、220〜250℃の範囲が採用される。フッ素化時間は、フッ素化温度に依存するが、通常1〜24時間が好ましく採用される。高温では短時間で、低温では長時間でフッ素化が完結する。
【0026】
フッ素化により、含フッ素共重合体に含有される少量の2重結合や−COF、−CF2CH2OH、−COOHなどの不安定末端基などが−CF3基などの安定末端基に変換される結果、含フッ素共重合体の熱安定性が向上し、成形時に含フッ素共重合体が発泡や着色しなくなるものと考えられる。
本発明の含フッ素共重合体は、ブロー成形用原料として好ましく使用される。
【0027】
【実施例】
以下に、本発明の実施例および比較例を説明するが、本発明はそれらに限定されない。なお、含フッ素共重合体の溶融粘度、溶融張力、組成及びブロー成形の評価は以下の方法にしたがって測定した。
含フッ素共重合体の溶融粘度(単位:Pa・s):高化式フローテスター(島津製作所製)を用い、直径2.1mm、長さ8mmのダイス、荷重7kg、380℃で押出したときの見掛溶融粘度の値である。
溶融張力(単位:mN):キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い、直径3mm、長さ10mmのダイス、速度5mm/min、380℃で押出し、速度10m/minで引き落とした時の引き落とし強度の値である。
含フッ素共重合体の組成:19F−溶融NMR法により求めた。
【0028】
ブロー成形の評価:次の模擬試験で実施した。溶融粘度測定時に押出された含フッ素共重合体のストランドにおいて、ストランドが1cm押出されたところのストランド径及び10cm押出されたところのストランド径を測定し、10cmでのストランド径/1cmでのストランド径の比(以下、DC比という。)を求める。DC比が大きいものは溶融時に自重で伸びる程度が小さく、ブロー成形に適する。
【0029】
[例1]
撹拌機付きの1Lのオートクレーブを真空まで脱気し、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(以下、AK225cbという。旭硝子社製)の1000g、メタノールの2.5g、PPVEの120g、CF2=CFOCF2CF2CF2CF2OCF=CF2(以下、DVBという。)の5gを仕込んだ。オートクレーブの内温を50℃とし、0.7MPaまでTFEを仕込んだ。開始剤としてビス(パーフルオロブチリル)パーオキシドの1%溶液(溶媒:AK225cb)を仕込んで重合を開始させた。
【0030】
重合の進行に伴い降圧したので、TFEを仕込んで圧力を0.7MPaに保持した。時間が経過するにつれて重合が進まなくなったので、前記開始剤溶液を1mLずつ逐次仕込んで重合を進行させた。後から仕込んだTFE量が100gになった時点で、オートクレーブの内温を10℃まで冷却すると同時に、未重合TFEをパージした。得られたスラリー状態の懸濁液を濾過、乾燥して、白色の含フッ素共重合体の105gを得た。
【0031】
含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/PPVE/DVB=98.4/1.5/0.1であった。溶融粘度は2100Pa・sであり、溶融張力は158mNであった。溶融張力/溶融粘度の比は0.075であり、DC比は0.9であった。
【0032】
[例2]
DVBの仕込量を30gとする以外は、例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の110gを得た。含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/PPVE/DVB=98.0/1.5/0.5であった。溶融粘度は4100Pa・sであり、溶融張力は316mNであった。溶融張力/溶融粘度の比は0.077であり、DC比は0.98であった。
【0033】
[例3]
DVBの5gのかわりにCF2=CFOCF2CF2CF2CF2CF2OCF=CF2(以下、DVPという。)の5gを用いる以外は例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の105gを得た。含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/PPVE/VDP=98.4/1.5/0.1であった。溶融粘度は1900Pa・sであり、溶融張力は153mNであった。溶融張力/溶融粘度の比は0.081であり、DC比は0.90であった。
【0034】
[例4]
DVBの5gのかわりにCF2=CFOCF2CF2CF2CF2CF=CF2(以下、DVB2という)の5gを用いる以外は例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の105gを得た。含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/PPVE/DVB2=98.4/1.5/0.1であった。溶融粘度は1600Pa・sであり、溶融張力は112mNであった。溶融張力/溶融粘度の比は0.07であり、DC比は0.85であった。
【0035】
[例5]
AK225cbを1000gのかわりに500g、メタノールを2.5gのかわりに0.2g、PPVEのかわりにHFPの600gを仕込む以外は例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の130gを得た。含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/HFP/DVB=93.4/6.5/0.1であった。溶融粘度は2500Pa・sであり、溶融張力は189mNであった。溶融張力/溶融粘度の比は0.076であり、DC比は0.95であった。
【0036】
[例6]
例1で得た含フッ素共重合体を、体積比でフッ素ガス/窒素ガス=20/80のフッ素ガス雰囲気下、240℃で6時間保持してフッ素化した。得られたフッ素化された含フッ素共重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、フッ素化前に検出された−CF=CF2に由来する吸収が検出されなかった。溶融粘度は2100Pa・sで、溶融張力は158mNであり、フッ素化前と同じ値であった。DC比は0.90であった。
【0037】
[例7(比較例)]
DVBを仕込まない以外は例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の97gを得た。得られた含フッ素共重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、−CF=CF2に由来する吸収は検出されなかった。溶融粘度は1800Pa・sで、溶融張力は97mNであり、例1の含フッ素共重合体に比べて溶融張力は低い値であった。溶融張力/溶融粘度の比は0.054であり、DC比は0.7であった。
【0038】
[例8(比較例)]
DVBを仕込まない以外は例5と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の120gを得た。得られた含フッ素共重合体の赤外吸収スペクトルを測定した結果、−CF=CF2に由来する吸収は検出されなかった。溶融粘度は1900Pa・sで、溶融張力は71mNであり、例5の含フッ素共重合体に比べて溶融張力は低い値であった。溶融張力/溶融粘度の比は0.038であり、DC比は0.7であった。
【0039】
[例9(比較例)]
DVBを5gのかわりに100g仕込む以外は例1と同様に重合して、白色の含フッ素共重合体の105gを得た。含フッ素共重合体の組成は、モル比でTFE/PPVE/DVB=98.4/1.5/1.2であった。溶融粘度は大きすぎて測定できなかった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の含フッ素共重合体は、溶融張力が高く、ブロー成形性に優れる。また、この含フッ素共重合体をフッ素化することにより、含フッ素共重合体の熱安定性が向上し、成形時に含フッ素共重合体の発泡や着色を全くなくす効果も発現する。
Claims (5)
- (a)テトラフルオロエチレンに基づく重合単位、(b)2重結合を1個有する含フッ素モノマー(ただし、テトラフルオロエチレンを除く。)に基づく重合単位及び(c)CF 2 =CFO−R f1 −OCF=CF 2 (ここで、R f1 は炭素数1〜8のフルオロアルキレン基(ただし、フルオロアルキレン基中にエーテル性酸素原子を含んでいてもよい。)を示す。)で示されるモノマーに基づく重合単位を必須とする含フッ素共重合体であって、含フッ素共重合体中の(a)/(b)/(c)の比率がモル比で70〜99/0.97〜29.97/0.03〜0.7であり、380℃での溶融粘度が1×102〜5×104Pa・sであることを特徴とする含フッ素共重合体。
- (b)の重合単位が、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び/又はヘキサフルオロプロピレンに基づく重合単位である請求項1に記載の含フッ素共重合体。
- 溶融張力(単位:mN)/溶融粘度(単位:Pa・s)の比が、0.07〜0.5である請求項1又は2に記載の含フッ素共重合体。
- 請求項1、2又は3に記載の含フッ素共重合体をフッ素化してなる、安定化された含フッ素共重合体。
- 請求項1、2、3又は4に記載の含フッ素共重合体をブロー成形した成形体。
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