JP4414631B2 - 燃料電池用セパレータの製造方法 - Google Patents

燃料電池用セパレータの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP4414631B2
JP4414631B2 JP2002079111A JP2002079111A JP4414631B2 JP 4414631 B2 JP4414631 B2 JP 4414631B2 JP 2002079111 A JP2002079111 A JP 2002079111A JP 2002079111 A JP2002079111 A JP 2002079111A JP 4414631 B2 JP4414631 B2 JP 4414631B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
separator
resin
carbon powder
contact resistance
rich layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP2002079111A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2003282084A (ja
Inventor
輝幸 大谷
政男 宇都宮
誠 辻
吉宏 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2002079111A priority Critical patent/JP4414631B2/ja
Publication of JP2003282084A publication Critical patent/JP2003282084A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4414631B2 publication Critical patent/JP4414631B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電極とセパレータの接触抵抗が低い燃料電池用セパレータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は、リン酸型燃料電池等の燃料電池と比較して低温でかつ高出力密度の発電が可能であるため、自動車の電源をはじめ小型の移動型電源として期待されている。固体高分子型燃料電池は、通常スルホン酸基を有するフッ素樹脂系イオン交換膜等の高分子イオン交換膜からなる電解質膜とその両面に白金触媒を担持した触媒電極とから形成される単位燃料電池(膜・電極接合体)を、セパレータを介して積層したスタック等により構成される。
【0003】
これら構成部品の中でセパレータは燃料ガス(水素)と酸化剤ガス(酸素又は空気)とを分離すると共に、ガス及び冷却水を供給する流路を確保し、さらに燃料電池セルで発電した電気を外部へ伝達する役割を担っている。セパレータの構成材料としては、耐蝕性及び導電性を両立させる観点から炭素材料又は炭素複合材料が一般的に用いられている。セパレータ表面には、炭素材料又は炭素複合材料に研削加工、モールド成形等を施すことによりガス及び冷却水の流路が形成されている。
【0004】
しかし、炭素粉末と樹脂との複合材料からなる燃料電池用セパレータはセパレータと電極との接触抵抗が高いことが問題になっている。これは、複合材料形成時に溶解温度差により炭素材料よりも流動性が高くなった樹脂分が選択的に複合材料の表面に染み出し、表面が電気伝導性の低い樹脂分で覆われるためであることが分かっている。このため、特開平11-297338号はセパレータを酸性溶液に浸漬することにより樹脂で覆われた表面を荒し、これにより電極部との接触抵抗を低減した燃料電池用セパレータが開示されている。
【0005】
しかしながら、セパレータ表面を酸性溶液等の処理液により化学処理する方法は処理液の樹脂層への浸透により行われるため、表面の樹脂層を除去するのみならず炭素粉末と複合体を形成している表面近傍の樹脂についても変性させ、セパレータの耐久性を劣化させる原因となっている。また樹脂リッチ層が厚く形成されている場合には処理液が樹脂リッチ層内部に深く浸透せず、電極部との接触抵抗を十分に低減することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明の目的は、電極部との接触抵抗が低い炭素複合材料からなる燃料電池用セパレータ、及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的に鑑み鋭意研究の結果、本発明者らは、炭素粉末と樹脂との炭素複合材料からなる燃料電池用セパレータにおいて、電気伝導性の低いセパレータ表面の樹脂リッチ層を物理的手法により除去することにより、電極部との接触抵抗が低い燃料電池用セパレータが得られることを発見し、本発明に想到した。
【0008】
すなわち、炭素粉末と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とを含む炭素複合材料からなる本発明の燃料電池用セパレータは、前記セパレータの表面の前記樹脂を多く含有する樹脂リッチ層が研削されており、もって前記セパレータ表面に存在する炭素粉末の面積率が前記セパレータ表面全体に対し50%以上であることを特徴とする。
【0009】
セパレータ表面における炭素粉末の面積率(A)と、セパレータ中心部の断面における炭素粉末の面積率(B)との比((A)/(B))が0.6以上であるのが好ましく、そのためにセパレータ表面から1〜100μmの深さまで樹脂リッチ層が研削されているのが好ましい。
【0010】
炭素粉末と熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂とを含む炭素複合材料からなる本発明の燃料電池用セパレータの製造方法は、セパレータ表面に存在する炭素粉末の面積率がセパレータ表面全体に対し50%以上になるまで、セパレータ表面の樹脂を多く含有する樹脂リッチ層を物理的手法により除去する工程を含むことを特徴とする。
【0011】
樹脂リッチ層を除去する工程をショットピーニング又はショットブラストにより行うのが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
[1] 燃料電池用セパレータ
(1) 構成材料
本発明の燃料電池用セパレータは、構成材料として炭素粉末と樹脂(熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂)とを含む炭素複合材料を用いる。
【0013】
本発明に用いる炭素粉末は特に限定されないが、例えば人造黒鉛、燐片状黒鉛、土塊状黒鉛、膨張黒鉛、キッシュ黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、コークス粉、これらの混合物等を用いることができる。
【0014】
本発明に用いる樹脂は熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれでもよい。
熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリカルボジイミド樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコン樹脂、フルフリルアルコール樹脂、セルロース等が挙げられる。
【0015】
熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリアクリル酸、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオキサメチレン、ポリアリレート、アラミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、これらの混合物等が挙げられる。
【0016】
(2) 表面構成
炭素粉末と樹脂との炭素複合材料からなるセパレータは樹脂分がセパレータ表面に偏在している。この樹脂分は電気絶縁性であるため電気抵抗(接触抵抗)を増大させて電圧損失を大きくし、燃料電池の性能を低下させる原因となっている。このため本発明の燃料電池用セパレータは、セパレータ表面の樹脂(熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂)を多く含む樹脂リッチ層を研削することにより、セパレータの表面に存在する炭素粉末の面積率がセパレータ表面全体に対し50%以上になっている。これによりセパレータ表面の導電性が向上し、電極部との接触抵抗が顕著に低減する。
【0017】
セパレータの中心部はセパレータの表面よりも導電性の高い炭素粉末を多く含有している。従って、セパレータの表面に露出している炭素粉末の面積率がセパレータ中心部の断面における炭素粉末の面積率に近くなるまで、セパレータの表面が研削されているのが好ましい。すなわち、セパレータの表面に露出している炭素粉末の面積率(A)と、セパレータ中心部の断面における炭素粉末の面積率(B)との比((A)/(B))は0.6以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.8以上がさらに好ましい。セパレータ中心部の断面における炭素粉末の面積率(B)はセパレータ中心部の断面全体に対して好ましくは70〜98%であり、より好ましくは85〜98%である。
【0018】
セパレータ表面に存在する炭素粉末はセパレータの表面全体に対して50%以上の面積率を有していればよく、セパレータの表面全体に均一に露出していなくてもよい。従って、セパレータ表面の一部に炭素粉末が多く露出していてもよいが、その場合は電極部と接触する部分に多く露出していることが必要である。
【0019】
[2] 燃料電池用セパレータの製造方法
(1) 成形セパレータの作製
炭素粉末と樹脂(熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂)を、炭素粉末/樹脂の体積比で好ましくは70/30〜98/2、より好ましくは85/15〜98/2となるように混合して混練する。炭素粉末及び樹脂は上記具体例に挙げたものを好ましく用いることができる。混合はニーダー、加圧ニーダー、二軸スクリュー式混練機、ボールミル、ミキサー等の通常の混練機により行うことができる。その際樹脂をアルコールやエーテル等の適宜な有機溶媒に溶解して粘度を下げて混練した後、必要に応じて有機溶媒を除去する方法を用いてもよい。
【0020】
得られた混練物から任意の燃料電池用セパレータに成形する方法は、公知の成形方法を用いてよい。一般的には生産性の観点からモールド成形によるのが好ましく、例えば加圧成形、射出成形、静水圧成形等を用いることができる。また一旦半硬化物のシートを形成した後、さらに加圧成形することにより所望の形状のセパレータを形成してもよい。
【0021】
セパレータ表面には電極にガスを供給するガス流路等の溝を形成する。例えば切削加工、モールド成形等を用いてセパレータの表面にガス流路を形成し、裏面に冷却水の流路を形成する。
【0022】
(2) 表面処理
作製した炭素複合セパレータは絶縁性の樹脂が表面を覆っているため、セパレータ表面に存在する炭素粉末の面積率が前記セパレータ表面全体に対し50%以上になるまでセパレータ表面の樹脂リッチ層を除去する。樹脂リッチ層を除去する方法として化学的手法(酸性溶液にセパレータを浸漬する等)はセパレータの強度を低下させるばかりでなく、十分な深さまで樹脂リッチ層を除去することができないので好ましくない。このため、本発明の方法は物理的手法によって樹脂リッチ層を除去する。物理的手法の好ましい例としては、ショットピーニング、ショットブラスト(サンドブラスト、ウエットブラスト等)、バフ研磨、機械研磨等を挙げることができる。中でもショットブラスト及びショットピーニングは生産性が高く、研削量を自由に変えることができるためより好ましい。
【0023】
(a) ショットブラスト
ショットブラストにより研削する場合、乾式ブラスト(サンドブラスト等)及びウエットブラストのいずれも使用することができる。乾式ブラストはショットブラストガン等によりセパレータ表面に砥粒を高速で吹き付けることにより行う。ブラストの強さは砥粒の種類、砥粒の粒径、吹き付け圧力、ノズルの高さ、ブラストガンの移動速度、吹き付け時間等の条件を変えることにより調節することができる。砥粒の種類は特に限定されないが、例えばアルミナ、ガラス、炭化ケイ素、二酸化ケイ素、酸化ジルコニウム等の粒子を用いることによりセパレータの樹脂リッチ層を効果的に除去することができる。研削効率を高めるために砥粒の平均粒径は50〜500μmが好ましく、吹き付け圧は1〜3kgf/cm2が好ましい。
【0024】
ウエットブラストは液体と研磨材の混合物からなるスラリーを空気圧で加速して吹き付けることにより行う。砥粒は乾式ブラストと同じものを用いることができるが、ウエットブラストでは細かな砥粒を用いても飛散しないため、乾式ブラストよりも粒度分布の広い砥粒を用いることができる。液体は水に限定されず、セパレータの表面を変性させたりセパレータの強度を損なわない範囲で溶剤等を用いてもよい。好ましいブラスト条件としては、平均粒径が50〜500μm、砥粒濃度が10〜90重量%、液体圧力が0.5〜3kgf/cm2、空気圧力が0.5〜3kgf/cm2である。
【0025】
(b) ショットピーニング
ショットピーニングは砥粒を加速し、加工面に衝突させる表面硬化処理であり、表面を硬化させるとともにショットブラストと同様に表面を研削する効果も有する。砥粒にはショットブラストと同様のものを用いることができ、平均粒径は50〜500μm程度が好ましい。砥粒を対象に打ち当てるための流体は気体(空気等)であっても液体(水等)でもよく、射出圧力は0.5〜3kgf/cm2が好ましい。
【0026】
(c) バフ研磨
バフ研磨は布製、フェルト製、不織布(ナイロン等)製等の適当な材質からなる研磨輪を用い、表面にバフ研磨材を付けてセパレータ表面を研磨し、これにより表面の樹脂リッチ層を除去する。バフ研磨材は、アルミナ、シリカ、水酸化アルミニウム、珪藻土、炭酸カルシウム、硅石、ゼオライト、ベントナイト、バーライト、ガラス、ダイヤモンド等通常用いられる研磨材の1種又は2種以上を用いることができる。研磨材の粒径が大き過ぎるとセパレータ表面に深い傷をつけるおそれがあり、一方細か過ぎると研磨効果を十分に発揮できない。このため研磨材の平均粒径は0.25〜1μmであるのが好ましい。
【0027】
セパレータの一部、例えば電極部との接触部分の樹脂リッチ層のみを除去する場合には、まず、電極部との接触部分以外の部分(シール部)にシール部と同一形状のマスキング用プレート作製し、これをセパレータの上に置き、電極部との接触部分のみが露出するようにする。次に電極部との接触部分に砥粒を高速で吹きつけてセパレータの表面を覆う樹脂リッチ層を除去する。最後にマスキング用プレートを除去することにより、セパレータ表面存在する炭素粉末の面積率がセパレータ表面全体に対し50%以上となるセパレータを作製することができる。
【0028】
セパレータ表面を覆う樹脂リッチ層の厚さはセパレータの製法等によっても異なるため研削量を適宜変えてよいが、通常セパレータ表面から1〜100μmの深さまで研削するのが好ましい。このように研削することにより樹脂リッチ層を効果的に除去することができ、電極部との接触抵抗を顕著に低減することができる。
【0029】
【実施例】
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
(1) セパレータの作製
炭素粉末として燐片状黒鉛粉末(平均粒径50μm)及び熱硬化性樹脂としてレゾール型フェノール樹脂を黒鉛/樹脂=90/10の体積比で混合し、加圧ニーダーにより十分に混練した。次に得られた混練物をセパレータ成形用金型内に投入し、加圧成形することにより両面にガスの給排流路を有し、サイズが400×230×2.3mmのセパレータA、B及びCをそれぞれ得た。成形条件を表1に示す。
【0031】
【表1】
Figure 0004414631
【0032】
(2) 表面処理
得られたセパレータA、B及びCの表面をサンドブラストにより研削し、表面を覆っている樹脂リッチ層を除去して炭素粒子を露出させた。サンドブラストは砥粒として平均粒径60μmのアルミナ粒子を用い、吹き付け圧2kgf/cm2で行った。それぞれのセパレータの研削量の調節は吹き付け時間を変えることにより行った。
【0033】
(3) 評価
▲1▼ 研削量と炭素粉末の面積率との関係
上記(1)で作製したセパレータA、B及びCの各表面を#1000のエメリー紙により研磨し、研磨面を顕微鏡を通して撮影した。セパレータ表面全体に対する露出した炭素粉末の面積率(%)を表面からの深さ毎に測定した。セパレータA、B及びCを用いた場合の表面からの深さと炭素粉末の面積率との関係を表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0004414631
【0035】
▲2▼ 接触抵抗
上記(2)で研削したセパレータA、B及びCと金めっき電極を用い、図1に示すように金めっき電極1/セパレータ2/セパレータ2'/金めっき電極1'の順に積層した。次いで油圧プレスにより得られた積層体に5kgf/cm2の面圧を付加した。次に上記2つの金めっき電極間に直流電源3を接続し、上記2枚のセパレータ間に電圧計4を接続した。直流電源3からセパレータ同士の接触部に1A/cm2の電流を加え、そのときの両セパレータ間の電圧降下量を電圧計4により測定した。測定した電圧降下量から下記式により各研削量(表面からの深さ)における接触抵抗(mΩ・cm2)を求めた。下記式中、Vは測定した電圧降下量(mV)を表し、Sはセパレータ同士の接触面積(cm2)を表す。
接触抵抗(mΩ・cm2)={V(mV)×S(cm2)}/{1(A/cm2)×S(cm2)}
セパレータA、B及びCを用いたときの研削量(表面からの深さ)と接触抵抗との関係を表3及び図2〜4に示す。また深さ80μmまで研削したセパレータAの接触抵抗を図5に示す。
【0036】
▲3▼ 曲げ強度
100×10×2mm(長さ×幅×厚さ)の専用成形型を用いた以外は上記(1)のセパレータA、B及びCと同様にして、それぞれ曲げ試験用テストピースA、B及びCを作製した。得られた各曲げ試験用テストピースを用い(2)と同様にして表面からの深さ80μmまでそれぞれ研削した。このテストピースを用いて1000時間発電を行った後、評点間距離80mm、変位速度0.05mm/秒で3点曲げ試験を行った。結果を表4及び図5(曲げ試験用テストピースA)に示す。
【0037】
比較例1
(1) セパレータの作製
実施例1と同様にしてセパレータを作製した。
【0038】
(2) 表面処理
上記(1)で得られたセパレータA、B及びCをそれぞれ20重量%の硝酸を含む硝酸水溶液中に液温60℃で浸漬し、表面を覆っている樹脂リッチ層を除去した。それぞれのセパレータにおいて、樹脂リッチ層の除去量の調節は浸漬時間を変えることにより行った。この硝酸水溶液による処理ではどんなに時間をかけても25μm以上の深さに樹脂リッチ層を除去することはできなかった。
【0039】
(3) 評価
▲1▼ 接触抵抗
上記(2)で表面処理したセパレータA、B及びCと金めっき電極を用い、実施例1と同様にして積層体を作製して電圧降下量を測定した。電圧降下量から求めた接触抵抗により、樹脂リッチ層の除去量(表面からの深さ)と接触抵抗との関係を表3及び図2〜4に示す。また深さ20μmまで樹脂リッチ層を除去したセパレータAの接触抵抗を図5に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0004414631
【0041】
実施例1では、A、B及びCのいずれのセパレータにおいても炭素粉末の面積率が90%になるまで樹脂リッチ層を研削することにより接触抵抗を顕著に低減することができた。これに対して硝酸水溶液を用いた比較例1ではセパレータ表面から25μm以上の深さにすることができず、セパレータB及びC(炭素粉末の面積率がそれぞれ25%及び10%)においては接触抵抗を十分に低減することができなかった。
【0042】
▲2▼ 曲げ強度
実施例1と同様にして曲げ試験用テストピースA、B及びCを作製した。次に得られた各曲げ試験用テストピースを用い上記(2)と同様にしてそれぞれ表面からの深さ20μmまで樹脂リッチ層を除去した。このテストピースを用いて1000時間発電を行った後、評点間距離80mm、変位速度0.05mm/秒で3点曲げ試験を行った。結果を表4及び図5(曲げ試験用テストピースA)に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0004414631
【0044】
曲げ試験用テストピースA、B及びCのいずれにおいても、サンドブラストにより研削した実施例1の曲げ試験用テストピースは研削無しの場合と比較して曲げ強度に変化はなかった。これに対し、硝酸水溶液を用いて樹脂リッチ層を除去した比較例1のテストピースは曲げ強度が大幅に低下した。
【0045】
実施例2
実施例1と同様にしてセパレータA及び曲げ試験用テストピースAを作製した。得られたセパレータA及び曲げ試験用テストピースAの表面をウエットブラストにより80μmの深さまで研削した。ウエットブラストは、砥粒として平均粒径300μmのアルミナ粒子を用い、これを水と混合して砥粒濃度50重量%のスラリーを作製し、水圧2kgf/cm2、空気圧2kgf/cm2でセパレータ表面に吹き付けて行った。研削したセパレータA及び曲げ試験用テストピースAを用い、実施例1と同様にして電圧降下量(接触抵抗)及び曲げ強度を測定した。その結果、接触抵抗が31mΩ・cm2、曲げ強度が48MPaであった。表面処理方法とセパレータAを用いたときの接触抵抗及び曲げ強度(1000時間発電後)との関係を図5に示す。
【0046】
参考例1
実施例1と同様にしてセパレータA及び曲げ試験用テストピースAを作製した。得られたセパレータA及び曲げ試験用テストピースAの表面をバフ研磨により80μmの深さまで研削した。バフ研磨は丸本ストルアス(株)製の研磨輪を用い、研磨材として平均粒径0.25μmのダイヤモンドペースト粒子を用いて行った。研削したセパレータA及び曲げ試験用テストピースAを用い、実施例1と同様にして電圧降下量(接触抵抗)及び曲げ強度を測定した。その結果、接触抵抗が32mΩ・cm2、曲げ強度が47MPaであった。表面処理方法とセパレータAを用いたときの接触抵抗及び曲げ強度(1000時間発電後)との関係を図5に示す。
【0047】
図5に示すように、セパレータ表面をサンドブラスト、ウエットブラスト及びバフ研磨の物理的手法により研削したセパレータ(実施例1、2、参考例1)はいずれの場合も接触抵抗が大きく低減し、曲げ強度は未処理の場合と同等の強度を示した。これに対し表面処理に酸性溶液を用いた比較例1のセパレータは接触抵抗が高く、曲げ強度が低下した。
【0048】
【発明の効果】
上記の通り、炭素複合材料からなる本発明の燃料電池用セパレータは、セパレータ表面の樹脂リッチ層が研削されているので、電極との接触抵抗を顕著に低減することができる。また樹脂リッチ層の除去を物理的手法により行うことにより曲げ強度を損なわずに、接触抵抗を十分に低減できる深さまで研削することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 表面処理したセパレータの電圧降下を測定する装置図である。
【図2】 セパレータAにおいて、表面からの深さと接触抵抗との関係を示すグラフである。
【図3】 セパレータBにおいて、表面からの深さと接触抵抗との関係を示すグラフである。
【図4】 セパレータCにおいて、表面からの深さと接触抵抗との関係を示すグラフである。
【図5】 実施例及び比較例の表面処理方法と接触抵抗及び曲げ強度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1,1'・・・金めっき電極
2,2'・・・セパレータ
3・・・直流電源
4・・・電圧計

Claims (1)

  1. 炭素粉末と熱硬化性樹脂とを含む炭素複合材料からなる燃料電池用セパレータの製造方法において、電極部との接触部分以外の部分にマスキングプレートを置き、前記セパレータ表面の電極部との接触部分に存在する炭素粉末の面積率が前記セパレータ表面の電極部との接触部分全体に対し50%以上になるまで、前記セパレータ表面の電極部との接触部分の前記樹脂を多く含有する樹脂リッチ層をショットピーニング又はショットブラストにより除去する工程を含むことを特徴とする燃料電池用セパレータの製造方法。
JP2002079111A 2002-03-20 2002-03-20 燃料電池用セパレータの製造方法 Expired - Lifetime JP4414631B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002079111A JP4414631B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 燃料電池用セパレータの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002079111A JP4414631B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 燃料電池用セパレータの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003282084A JP2003282084A (ja) 2003-10-03
JP4414631B2 true JP4414631B2 (ja) 2010-02-10

Family

ID=29228712

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002079111A Expired - Lifetime JP4414631B2 (ja) 2002-03-20 2002-03-20 燃料電池用セパレータの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4414631B2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4824894B2 (ja) * 2001-03-06 2011-11-30 東レ株式会社 燃料電池用セパレーターおよびその製造方法
JP2006107989A (ja) * 2004-10-07 2006-04-20 Nichias Corp 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP2006164770A (ja) * 2004-12-08 2006-06-22 Nichias Corp 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP5045867B2 (ja) * 2005-05-23 2012-10-10 日清紡ホールディングス株式会社 燃料電池セパレータ
JP4747804B2 (ja) * 2005-11-25 2011-08-17 パナソニック電工株式会社 燃料電池用セパレータの製造方法
JP5068051B2 (ja) 2006-09-29 2012-11-07 昭和電工株式会社 燃料電池用セパレータおよびその製造方法
JP5068052B2 (ja) 2006-09-29 2012-11-07 昭和電工株式会社 燃料電池用セパレータ、燃料電池用セルおよび燃料電池用セルユニット、ならびに燃料電池用セパレータおよび燃料電池用セルユニットの製造方法
JP5380771B2 (ja) * 2006-11-28 2014-01-08 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用セパレータ、燃料電池用セパレータの製造方法、及び燃料電池
JP2009099475A (ja) * 2007-10-19 2009-05-07 Shin Etsu Polymer Co Ltd 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP5662687B2 (ja) * 2010-01-28 2015-02-04 パナソニックIpマネジメント株式会社 燃料電池セパレータの製造方法、及びこの方法により製造された燃料電池セパレータを備える燃料電池
KR101219394B1 (ko) * 2010-05-11 2013-01-11 한국과학기술원 연료전지용 복합재료 분리판의 제조방법, 및 이에 의해 제조되는 연료전지용 복합재료 분리판
JP5601518B2 (ja) * 2010-10-19 2014-10-08 東海カーボン株式会社 燃料電池用セパレータの製造方法
JP5760379B2 (ja) * 2010-10-25 2015-08-12 日立化成株式会社 光半導体装置の製造方法及び光半導体装置
WO2015163253A1 (ja) * 2014-04-24 2015-10-29 昭和電工株式会社 カーボン集電体およびそれを備えた燃料電池
JP2019133838A (ja) * 2018-01-31 2019-08-08 トヨタ自動車株式会社 燃料電池用セパレータ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2003282084A (ja) 2003-10-03

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4414631B2 (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法
JP5045867B2 (ja) 燃料電池セパレータ
JP4383710B2 (ja) 燃料電池スタック用双極極板
KR100892187B1 (ko) 연료전지용 격리판 및 그 제조 방법
JP4257544B2 (ja) 固体高分子型燃料電池セパレータ
JP4747804B2 (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法
US7842433B2 (en) Fuel cell separator plate and method for producing it
JP5003914B2 (ja) 燃料電池用セパレータ
JP3573444B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用炭素質セパレータ部材及びその製造方法
JP5249609B2 (ja) 燃料電池セパレータ及びその製造方法
JP3824795B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用セパレータ部材の製造方法
JP2006066138A (ja) 燃料電池用セパレータ及びその製造方法及びそれを用いた固体高分子型燃料電池
JP5249610B2 (ja) 燃料電池セパレータの製造方法
JP4410020B2 (ja) 燃料電池用セパレータ材の製造方法
JP4692188B2 (ja) 燃料電池用セパレータとその製造方法
JP4656370B2 (ja) 固体高分子型燃料電池用セパレータ、その製造方法及び固体高分子型燃料電池
JP5662687B2 (ja) 燃料電池セパレータの製造方法、及びこの方法により製造された燃料電池セパレータを備える燃料電池
JP5266304B2 (ja) 燃料電池用セパレータとその製造方法
JP2015038840A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池用セパレータの製造方法
WO2002035630A1 (fr) Separateur pour pile a combustible
KR101195104B1 (ko) 연료 전지 세퍼레이터의 제조 방법, 연료 전지 세퍼레이터, 개스킷을 가지는 연료 전지 세퍼레이터의 제조 방법, 및 연료 전지의 제조 방법
JP2005026137A (ja) 燃料電池セパレータの製造方法、燃料電池セパレータおよび固体高分子型燃料電池
WO2012144390A1 (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法、前記方法により製造される燃料電池用セパレータ、及び前記方法で使用される燃料電池用セパレータ製造用圧縮成形金型
US20050003261A1 (en) Porous fuel cell separator, method of manufacture thereof, and solid polymer fuel cell
JP2005026135A (ja) 燃料電池セパレータおよび固体高分子型燃料電池

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041130

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20061226

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070306

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080924

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081118

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20091111

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091120

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121127

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4414631

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131127

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term