JP4413864B2 - 還元的脱ハロゲン化方法 - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、1−ハロゲノ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルを効率良く脱ハロゲン化して、工業的製造装置にも適用可能な、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルの製造方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、下記式(1):
[式中、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味し;R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、または炭素数6〜12のアリール基と炭素数1〜6のアルキレン基とから構成されるアラルキル基を意味する。]で表わされる化合物に、相間移動触媒の存在下、還元剤を反応させることを特徴とする、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステル(2)の製造方法を提供するものである。相間移動触媒を使用することにより、1−ハロゲノ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルを含む有機相と還元剤を含む水相との二相反応を効率よく行うことが可能となる。
R1は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数2〜8のアルケニル基、または炭素数6〜12のアリール基と炭素数1〜6のアルキレン基とから構成されるアラルキル基を意味する。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロプル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等を挙げることができる。炭素数6〜12のアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。当該アリール基は、さらにメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロプル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、水酸基、カルボキシ基等で置換されていてもよい。炭素数2〜8のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−イソプロペニル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアリール基と炭素数1〜6のアルキレン基とから構成されるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。アラルキル基を構成するアリール基は、さらに上記炭素数1〜6のアルキル基、上記炭素数1〜6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、アミノ基、水酸基、カルボキシ基等で置換されていてもよい。
R1としては、炭素数1〜8のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、ブチル基、sec−ブチル基またはt−ブチル基がより好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。R1がt−ブチル基の場合には、副生成物(1−クロロ−2−フルオロ−1−ヒドロキシメチルプロパン)の生成が抑制される効果が認められる。
化合物(1)は、例えば、特開平5−301827号公報に記載の方法により、1−クロロ−シクロプロパン−1,2−ジカルボン酸−1−t−ブチルエステルから簡便に合成できる。
本発明の製造方法で使用する還元剤としては、次の式(3)
MBHmR2 n (3)
で表わされる化合物を用いることができる。ここで、Mは、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子を表わす。R2は、水素原子、シアノ基、アルコキシ基またはアシルオキシ基を表わす。アルコキシ基としては、前記炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。アシルオキシ基としては、アルキルカルボニルオキシ基、アリールカルボニルオキシ基またはアラルキルカルボニルオキシ基を挙げることができる。これらのアルコキシ基またはアシルオキシ基は、さらにハロゲン原子等で置換されていてもよい。アルコキシ基またはアシルオキシ基としては、具体的には、アセチルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ベンジルカルボニルオキシ基が挙げられる。また、N−イソブチルオキシカルボニルプロリルオキシ基、N−ベンジルオキシカルボニルプロリルオキシ基等であってもよい。mは、1〜4の整数を表わし、nは、0〜3の整数を表わし、かつ、mとnとの和は4である。
化合物(3)としては、通常は、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素亜鉛、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化アルコキシホウ素ナトリウム等から選択して使用することができるが、水素化アルコキシホウ素ナトリウムのアルコキシ基としては炭素数1〜6のものが好ましく、水素化ホウ素ナトリウムが特に好ましい。
還元剤は、式(1)で表わされる化合物に対して、1.0〜10.0当量の範囲で使用することが好ましく、1.5〜3.5当量の範囲で使用することがより好ましい。
本発明の製造方法で使用する相間移動触媒としては、テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド等の四級アンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロリド、テトラブチルホスホニウムブロミド等の四級ホスホニウム塩、クラウンエーテル等を挙げることができる。これらのうちでは四級アンモニウム塩が好ましく、四級アンモニウム塩としては、トリオクチルメチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートが好ましく、トリオクチルメチルアンモニウムクロリドが特に好ましい。四級ホスホニウム塩を使用するときは、テトラブチルホスホニウムクロリドが好ましい。
相間移動触媒は、式(1)で表わされる化合物に対して、モル数で1.0〜30%の範囲で使用することが好ましく、10〜20%の範囲で使用することがより好ましい。
反応溶媒としては、水と次に示す溶媒を組み合わせて使用することが好ましい。溶媒としては、ジアルキルエーテル(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテル、メチルn−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等)等のエーテル系溶媒;トルエン、ベンゼン等の芳香族溶媒;酢酸エチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アルコール等の極性溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族溶媒等を使用することができるが、非極性溶媒が好ましく、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、トルエン、ヘキサン、ペプタン、オクタンまたはシクロヘキサンがより好ましく、メチルt−ブチルエーテルまたはヘプタンが特に好ましい。また、2種以上の溶媒を混合して使用してもよい。反応速度、溶解性、化合物(2)におけるジアステレオマーの生成比等の点からメチルt−ブチルエーテルまたはヘプタンが好適である。水と溶媒との混合比は、1:8〜1:1の範囲であることが好ましく、1:4〜1:1の範囲であることがより好ましい。溶媒量は、全量で式(1)で表される化合物に対して、1〜5(v/w)の範囲であることが好ましく、2〜4(v/w)の範囲であることがより好ましい。
なお、反応溶媒として水のみを使用することもでき、また、希塩酸や水酸化ナトリウム水溶液を使用することもできる。
本発明の製造方法では、相間移動触媒の存在下、還元剤を1〜24時間反応させることにより化合物(2)を製造することができる。使用する溶媒の種類によっては数時間で反応を完結することもできる。
反応は、5〜60℃の温度範囲にて行うことができるが、10〜50℃の温度範囲にて行うことが好ましく、15〜30℃の温度範囲で行うことが特に好ましい。また、反応に際して発熱量が多い場合には冷却下に実施することが望ましい。
反応終了後、化合物(2)は、通常実施される方法に従って反応混合物より採取される。例えば、分液操作により無機物を水層として分離して除き、有機層の溶媒を留去することにより得られる。得られた目的物は、必要に応じて蒸留またはクロマトグラフィーによりさらに精製することができる。かかる手順により化合物(2)を得ることができる。
化合物(2)の2位のフッ素原子と1位のカルボン酸部分の配置は、シクロプロパン環の面に対して同じ側に存在するもの(シス体)と異なる側に存在するもの(トランス体)の2種がある。本発明の製造方法では、シス体とトランス体との比が87:13〜97:3の範囲で生成する。従って、本発明の製造方法は、ニューキノロン系合成抗菌剤の合成中間体となる1,2−シス−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸の製法として特に優れている。本発明の方法ではトランス体の含有率が反応開始前の含有率よりも低下し、反応後の反応混合物中のシス体の含有率が増加しており、本発明の方法によって目的とするシス体を有利に得ることができる。
1,2−シス−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸は、本発明の製造方法によって得られた、ジアステレオマーの混合物である2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルを2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸に誘導した後、一般的な方法により光学分割することによって製造することができる。
光学分割は、優先晶出法、ジアステレオマー法、酵素法、クロマトグラフィー法等によって実施することができる。具体的には、例えば、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルを加水分解した後、その加水分解生成物(ラセミ体)に光学分割剤を反応させて、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸の光学活性体と光学分割剤とのジアステレオマー塩の混合物を得、次いで所望のジアステレオマー塩を析出等させて分離した後、分離したジアステレオマー塩をアルカリ処理することにより行われる。次いで、得られた光学活性体を単離する。
なお、エステル化合物は蒸留操作によってシス体とトランス体とに分離することができるため、予め蒸留操作によってトランス体を除いたエステル化合物を得、次いで当該エステル化合物を加水分解して得られるカルボン酸化合物を使用することにより、光学分割の効率を高めることができる。
光学分割剤としては、(+)および(−)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン、(+)および(−)−α−メチルベンジルアミン、(+)および(−)−α−エチルベンジルアミン、(+)および(−)−(p−トリル)エチルアミン、(+)および(−)−フェニル−2−(p−トリル)エチルアミン、(+)および(−)−エリトロ−2−アミノ−1,2−ジフェニルエタノール、(+)および(−)−1−(1−ナフチル)エチルアミン、(+)および(−)−シス−2−(ベンジルアミノ)シクロヘキサンメタノール、(+)および(−)−α−メチル−p−ニトロベンジルアミン等を使用することができ、目的とする2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸の光学活性体に応じて適宜選択して用いることができる。
光学分割剤は、ジアルキルエーテル中で反応させることが好ましく、ジアルキルエーテルとしては、メチルt−ブチルエーテル、エチルt−ブチルエーテル、メチルn−ブチルエーテル、エチルn−ブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル等が挙げられ、中でもメチルt−ブチルエーテルが好ましく用いられる。
ジアステレオマー塩のアルカリ処理には、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等の塩基が用いられる。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(第三級ブチルエステル;シス/トランス=62/38、本願明細書においては1位のハロゲン原子の有無に関わらず、フッ素原子とカルボン酸エステル部分とがシクロプロパン環に対して同じ側にあるものをシスという;0.97g、5.0mmol)とテトラブチルアンモニウムブロミド(161mg、10mol%)とをメチルt−ブチルエーテル(1.94mL)に溶解して40℃に加温した溶液に、水素化ホウ素ナトリウム水溶液(濃度:1g/2.6mL、1.45mL)を攪拌羽根で攪拌しながらゆっくり添加した。添加後、40℃にて20時間攪拌羽根で攪拌した後、反応混合物に水を加えた。ジイソプロピルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)424mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率53%)を含むジイソプロピルエーテル溶液を得た。HPLC分析条件;カラム:MERCK Chromorith Performance RP−18 100−4.6mm、移動相:pH4.2リン酸緩衝液/アセトニトリル=70/30、流速:1.0mL/min、検出波長:220nm。また、ガスクロマトグラフィーにて分析したところ[分析条件;検出器:FDI、columu Glscience NEUTRA BOND−5、30m×0.25mm、試料気化室温度:250℃、検出部温度:250℃、キャリアーガス:窒素(80kPa)、水素(60kPa)、空気(50kPa)]、シス/トランス=95/5であった。
反応溶媒としてメチルt−ブチルエーテルの代わりにヘキサンを用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、40℃にて6時間攪拌した。その後、実施例1と同様の処理を行い、化合物(2a)のジイソプロピルエーテル溶液をHPLCにて分析したところ、収率59%であり、GCにて分析したところ、シス/トランス=96/4であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、3g、15.4mmol)とトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(1.25g、20mol%)とをヘプタン(6mL)に溶解し、室温にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(1.75g、46.2mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に水(4.5mL)を加え、3時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(50mL×3)、標題化合物(2a)2.22g(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率89%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=90/10であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、1g、5.1mmol)とトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(415.3mg、20mol%)とをヘプタン(2mL)に溶解し、40℃にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(583.1mg、15.4mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に0.1規定水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加え、7時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)663.7mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率77%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=91/9であった。
0.1規定水酸化ナトリウム水溶液(1.5mL)を加えた後、24時間攪拌する以外は実施例4と同様にして、標題化合物(2a)543.2mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率66%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=88/12であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、1g、5.1mmol)とトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(415.3mg、20mol%)とをトルエン(2mL)に溶解し、40℃にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(583.1mg、15.4mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に水(1.5mL)を加え、24時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)477.4mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率58%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=89/11であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、1g、5.1mmol)とトリオクチルメチルアンモニウムクロリド(415.3mg、20mol%)とをシクロペンチルメチルエーテル(2mL)に溶解し、40℃にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(583.1mg、15.4mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に水(1.5mL)を加え、24時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)535.0mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率65%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=89/11であった。
溶媒をオクタンに変える以外は実施例7と同様にして、標題化合物(2a)609.1mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率74%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=89/11であった。
溶媒をヘキサンに変える以外は実施例7と同様にして、標題化合物(2a)592.6mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率72%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=90/10であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、1g、5.1mmol)とテトラブチルアンモニウムクロリド(285.6mg、20mol%)とをメチルt−ブチルエーテル(3mL)に溶解し、40℃にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(583.1mg、15.4mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に0.02規定塩酸(1.5mL)を加え、22時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)395.0mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率48%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=92/8であった。
1−クロロ−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸t−ブチル(シス/トランス=62/38、1g、5.1mmol)とテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート(349.0mg、20mol%)とをメチルt−ブチルエーテル(3mL)に溶解し、40℃にてその溶液に水素化ホウ素ナトリウム(583.1mg、15.4mmol)を添加した。添加後、そのままの温度にて、この溶液に0.02規定塩酸(1.5mL)を加え、24時間攪拌した。この反応液に水を加えた後、メチルt−ブチルエーテルを加えて抽出し(30mL×3)、標題化合物(2a)395.0mg(高速液体クロマトグラフィー定量値、収率58%)を含むメチルt−ブチルエーテル溶液を得た。GCにて分析したところ、シス/トランス=93/7であった。
参考例1
(1S,2S)−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸の製造
実施例に従って得られた化合物(2a)のエタノール溶液(6.8mL)に5規定水酸化ナトリウム水溶液(6.8mL)を加え、50℃にて12時間反応させた。反応終了後、室温に冷却後、エタノールを減圧留去した。得られた残渣に氷冷下、1規定塩酸をpHが2以下となるまで加え、メチルt−ブチルエーテル(15mL×2)にて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧留去し、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸のラセミ体を得た。このラセミ体をメチルt−ブチルエーテル(30mL)に溶解し、室温にて攪拌しながら、(R)−(+)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミン(1.0当量)を滴下した。析出した1,2−シス−2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸と(R)−(+)−N−ベンジル−α−メチルベンジルアミンとのジアステレオマー塩をイソプロピルエーテル(45mL)にて再結晶した(収量:1.51g、光学純度:99%e.e.)。次いで、得られたジアステレオマー塩に2規定水酸化ナトリウム水溶液(4.7mL)を加え、クロロホルムで洗浄し(10mL×2)、水層を6規定塩酸(5mL)で中和した。中和後、酢酸エチルで抽出し(10mL×3)、有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧留去して標題化合物を得た(収量:478.3mg、光学純度:99%e.e.)。
Claims (10)
- 下記式(1):
MBH m R 2 n (3)
[式中、Mはアルカリ金属原子を示し、R 2 は水素原子、シアノ基、アルコキシ基またはアシルオキシ基を示し、mは1〜4の整数を示し、nは0〜3の整数を示し、mとnとの和は4である。]
で表される還元剤を反応させることを特徴とする、2−フルオロシクロプロパン−1−カルボン酸エステルの製造方法。 - 式(1)のXが、塩素原子である請求項1に記載の製造方法。
- 式(1)のR1が炭素数1〜8のアルキル基である請求項1または2記載の製造方法。
- 炭素数1〜8のアルキル基がt−ブチル基である請求項3記載の製造方法。
- 相間移動触媒が四級アンモニウム塩である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
- 四級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムブロミドである請求項5記載の製造方法。
- 四級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムクロリドである請求項5記載の製造方法。
- 四級アンモニウム塩がテトラブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェートである請求項5記載の製造方法。
- 四級アンモニウム塩がトリオクチルメチルアンモニウムクロリドである請求項5記載の製造方法。
- 還元剤が水素化ホウ素ナトリウムである請求項1〜9のいずれか1項記載の製造方法。
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