JP4413444B2 - 食品包装用熱可塑性樹脂組成物に低温防曇性及び高温防曇性を併せ付与する方法 - Google Patents

食品包装用熱可塑性樹脂組成物に低温防曇性及び高温防曇性を併せ付与する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品包装用熱可塑性樹脂組成物に低温防曇性及び高温防曇性併せ付与する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂は耐衝撃性強度、透明性、保温性、耐候性等に優れることから、そのシートやフィルムが食品包装や農業用フィルム等の用途として多量に使用されている。しかしながら、熱可塑性樹脂の多くは疎水性であるために種々の問題点を有している。例えば、フィルムを使用して食品の包装や農業用ハウスとして使用する場合、フィルムの両面(内面及び外面)に温度差が生じたり、急激に温度が変化する使用条件では、フィルム表面に水滴が付着し曇りを生じる為に内容物が見えなくなったり、光透過が阻害される等使用上の不都合を生じる場合がある。
【0003】
具体例としては、広く行われている、ポリ塩化ビニルフィルムやポリオレフィン系多層フィルム等の農業用被覆材を使用してのハウス栽培やトンネル栽培においては、外気温度が室内温度より低い場合にはフィルムにより被覆された室内部の土壌中や栽培作物からの水蒸気がフィルム内表面に水滴状に凝縮し曇りとなり太陽光線の透過を妨げたり、フィルム表面で凝縮した水滴が落下して農作物の生育不良を招いたり、病害虫の発生を促進したりする現象が発生する場合がある。
【0004】
又、食品の包装の場合、特に包装された食品の水分量が高く、包装体内部が多湿状態の雰囲気であったり、冷凍・冷蔵保存する場合において温度が露点に達し包装体内部の水蒸気圧が飽和水蒸気圧になると、この温度を境にして水蒸気の凝縮が起こり、著しい場合にはフィルム表面に凝縮した水滴のために、外部から内容物の識別がでなくなる。又、凝縮した水滴が落下すると、その部分の水分濃度が高くなり腐敗等の変質を引き起こすこともある。
【0005】
これらフィルムの表面の物性を改善するために一般に界面活性剤により防曇性を賦与する方法が採用されている。この防曇性を賦与する方法としては、液状の防曇剤をフィルムの表面に塗布する方法、防曇剤をフィルムに練り込む方法及び練り込みと塗布とを併用する方法とがある。
【0006】
塗布型の方法としては、ショ糖脂肪酸エステルを使用する方法(特開昭56−166234号公報、特開昭57−80431号公報、特公昭61−36864号公報、特開平10−265593号公報)、ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法(特開平9−12751号公報、特開平10−60420号公報、特開平10−158421号公報、特開平10−265593号公報、特開平11−300904号公報)、あるいはポリグリセリン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを併用する方法(特開平11−166061号公報、特開平11−277688号公報)等が開示されている。
【0007】
これら樹脂の表面に防曇剤を塗布する方法は初期の防曇性やコスト面では優れているが、塗布された防曇剤は樹脂表面に付着して凝縮した水滴に溶解して樹脂表面から流去されてしまうために効果の持続性に劣る欠点があり、長期間保存される食品あるいは農業用フィルムには適さない。
【0008】
又、樹脂に練り込む方法としては、ポリ塩化ビニル樹脂ストレッチフィルムに、ポリグリセリン脂肪酸エステル反応物より未反応のポリグリセリンを除去したものを添加する方法(特開昭59−71352号公報)、スチレン系樹脂フィルムに、特定比率のオレイン酸とラウリン酸の混合脂肪酸からなり、ジエステル含有率が30%以上であるポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法(特開平6−212095号公報)、スチレン系樹脂フィルムに、脂肪酸又はグリセリン脂肪酸エステルとグリシドールから合成されたモノエステル化率の高いポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法(特開平9−194655号公報)、あるいは、きのこ包装用のストレッチフィルムにモノ、ジ、又はポリグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法(特開平11−152163号公報)等が開示されている。
【0009】
一方、ポリグリセリンは通常、グリセリンに触媒として少量のアルカリ金属水酸化物を加えて加熱脱水重合して調製されるが、反応は段階的重合反応ではないために、生成した反応物は後述の表1に示されるように種々の重合物の混合されたものとなる。この中で、ジグリセリンは比較的容易に減圧蒸留が可能であり高純度の製品が得られ、又、市販されているが、トリグリセリン以上の重合度のポリグリセリンについては、反応物からグリセリンまたはグリセリンとジグリセリンを蒸留で留去したポリグリセリン混合物で使用されている。これらは通常水酸基価より計算される理論値からの平均重合度で示されている。またポリグリセリンはその重合度により分子中の水酸基の数が異なり、ポリグリセリンの重合度、エステル化率の違いで樹脂への相溶性や物性が異なるものである。
【0010】
しかるに、前記公知例のエステル組成について検討すると、上記特開昭59−71352号公報においては、その実施例にて使用されたポリグリセリンエステルの内容が開示されておらず、上記特開平6−212095号公報においては、その実施例にて使用されたテトラグリセリンの組成は不明であり、上記特開平9−194655号公報においては、ヘキサ及びデカグリセリンモノラウリン酸エステルが試験されて、対応する市販ポリグリセリンエステルの効果が劣ることが開示されているに過ぎない。又、特開平11−152163号公報においては、その実施例にはジグリセリンオレートのみで、又、そのエステル化率についても言及されていない。
【0011】
以上の如く、樹脂の練り込み型の防曇剤としてポリグリセリン脂肪酸エステルの効果については開示されているが、それらの例の何れにおいてもポリグリセリンの重合度組成、エステル化率を含むエステル組成の解析が不十分であり、以上の公知例の記載をもってしては好適なポリグリセリンエステルの組成は明確でない。
【0012】
農業用被覆材としてのフィルムについては、環境問題や経済性の観点から、長期間使用されるケースが増加しており、それに耐える防曇効果の持続性の優れたものの要求が強くなっている。特に夏場の高温時使用での防曇性不足の問題が指摘されているが、従来使用されている防曇剤の範疇では、この高温防曇性を改良すると、逆に初期防曇性や低温での効果が劣るという欠点を有していた。
【0013】
一方、食品包装の場合、冷凍状態若しくは冷蔵状態で流通・保存・販売が急速に増加しており、一般に、冷凍及び冷蔵保存のそれぞれの温度条件が−18℃以下、具体的には−30℃〜−20℃程度の範囲であり、冷蔵保存が−2〜10℃、具体的には−2〜5℃程度の範囲である。このような冷蔵保存時の温度範囲において、内容物である食品に含まれる水分がフィルム表面に凝縮することなくフィルムが曇らずに内容物が鮮明に見える性能を有している低温防曇性が要望されている。
【0014】
この様な低温防曇性を賦与するために、一般にはソルビタンモノオレイン酸エステル、ジグリセリンモノラウリン酸エステル等の液状型防曇剤が使用される。しかしながら、液状防曇剤は、包材表面から凝縮した水分で容易に流出されて防曇性の持続効果に劣ることや、防曇剤の表面ブリードによるブロッキング(包装材料同士の密着)が生じる欠点がある。
【0015】
このように、低温及び高温の防曇性に優れると共に長期に亘りその効果が持続する防曇剤の開発が望まれている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低温及び高温における優れた防曇性を賦与することであり、その防曇性を長期に亘り持続させた熱可塑性樹脂組成物を開発することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、トリグリセリン純度が50質量%以上である特定のポリグリセリンと炭素数が8〜22の範囲である脂肪酸を原料にして、エステル化率が20〜60%の範囲で反応して得られるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる防曇剤を含有させることにより、上記課題が解決することを見出し本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
1.食品包装用熱可塑性樹脂組成物に(1)未反応グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンを含む混合組成物であるポリグリセリン反応物から分子蒸留法により得られてトリグリセリン濃度が50質量%以上であるポリグリセリンと、(2)炭素数が8〜22の脂肪族脂肪酸とから構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルであってそのエステル化率が20〜60%の範囲である防曇剤を含有せしめ、食品包装用熱可塑性樹脂組成物に低温防曇性及び高温防曇性を併せ付与する方法
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明について更に詳しく説明する。
本発明に適用される熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体のいずれか単独又はこれらの混合物からなるポリオレフィン樹脂(ここでエチレン−αオレフィン共重合体のαオレフィンとしては、炭素数4〜10でブテン−1、ペンテン−1、オクテン−1、デセン−1等が挙げられる)、ナイロン−6、ナイロン−12等のポリアミド樹脂、ポリスチレン、ABS等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、フッソ樹脂等を使用できるが、これらに限定されるものではない。また、これらの樹脂を数種類積層させたものでも良い。
【0021】
本発明におけるポリグリセリンは、トリグリセリンが50質量%以上であるポリグリセリン組成物である。
【0022】
ポリグリセリンは、グリセリンの脱水重縮合反応、グリシドール、エピクロルヒドリン、グリセリンハロヒドリン等のグリセリン類縁物質を用いての合成、あるいは合成グリセリンのグリセリン蒸留残分からの回収等によって得られるが、一般的には、グリセリンに少量のアルカリ触媒を加えて200℃以上の高温に加熱し、生成する水を除去しながら重縮合反応させる方法によって得られる。
【0023】
反応は逐次的な分子間脱水反応により、順次高重合体が生成するが反応生成物は均質なもので無く、未反応グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等の複雑な混合組成物となり、反応温度が高いほど,あるいは反応時間が長いほど反応は高重合度側にシフトする。
【0024】
未反応のグリセリンは減圧蒸留による蒸留が可能であり、ジグリセリンは分子蒸留によるり蒸留が可能であるため、一般的にはジグリセリンは高純度品が使用され、それ以上の重合度ポリグリセリンは通常グリセリン又はジグリセリンを蒸留で留去した残分が使用される。重合度は水酸基価による理論値から計算される平均重合度で示される。従って、一般にポリグリセリンといわれるものは複雑な多成分の混合物である。
【0025】
表1に市販のポリグリセリン脂肪酸エステルに使用されるポリグリセリンの組成をガスクロマトグラフィーで分析した例を示した。
【0026】
【表1】
Figure 0004413444
【0027】
本発明に用いられるトリグリセリン純度が50質量%以上であるポリグリセリンは、一般的には、上記の如くグリセリンに少量のアルカリ触媒を加えて加熱反応した各種重合度の異なる成分の混合物から未反応のグリセリン及びジグリセリンを減圧留去精製して得られ、必要に応じて更に精製される。精製方法には分子蒸留法が用いられる
【0028】
本発明に用いられるトリグリセリン脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の炭素数8〜22の範囲である飽和又は不飽和の脂肪族脂肪酸の1種又は2種以上の混合物が用いられる。
【0029】
本発明に係るトリグリセリン純度が50質量%以上であるポリグリセリンと炭素数が8乃至22の範囲である脂肪酸を原料にして得られるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる防曇剤は、エステル化率が20〜60%、より好ましくは25〜35%の範囲である。エステル化率が20%より小さくなると、反応で生成するエステル混合物の組成はモノエステル及び未反応のポリグリセリンの比率が高く、樹脂との相溶性が小さくなり、初期防曇性は大きくなるがブリードが大きく持続性、ブロッキング性に劣るものとなり、またエステル化率が60%より大きくなると樹脂との相溶性は向上するが防曇性が出なくなる。
【0030】
本発明に係るトリグリセリン純度が50質量%以上であるポリグリセリンと炭素数8乃至22の範囲である脂肪酸を原料にして得られるポリグリセリン脂肪酸エステルからなる防曇剤の具体例としては、トリグリセリンラウレート、トリグリセリンパルミテート、トリグリセリンステアレート、トリグリセリンベヘネート等が挙げられる。
【0031】
本発明に係る防曇剤の使用量は、熱可塑性樹脂に対し、0.5〜5.0質量%が好ましく、1.0〜3.0質量%がより好ましい。
【0032】
脂肪酸の炭素数が8乃至12のポリグリセリン脂肪酸エステルは、低温防曇性が要求される用途、具体的には食品包装用ラップフィルム等に好ましく使用される。脂肪酸の炭素数が16乃至22のポリグリセリン脂肪酸エステルは、高温持続防曇性が要求される用途、具体的には農業用フィルム等に好ましく使用される。
【0033】
本発明に係るトリグリセリン純度が50質量%以上であるポリグリセリンと炭素数が8乃至22である脂肪酸から得られるポリグリセリン脂肪酸エステルは各種熱可塑性樹脂を製造する際、公知の安定剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の各種添加剤と併用でき、又防曇防霧性を得るため公知のフッソ系、シリコン系等の防霧剤と併用することも可能である。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を、シート、フィルム、その他の成型品に成型加工する方法としては、公知の方法が利用できる。予め、バンバリーミキサー、一軸あるいは多軸混練機で前記熱可塑性樹脂組成物を均一に混練した後、各種成型法により目的の成型品を得ることができる。フィルム、シート化の方法としては、Tダイ法、インフレーション法、カレンダー法等の常法が利用できる。又、フィルムに強度やその他の機能を付与する目的に共押出し法や、他のフィルム等のラミネーションによる多層化もできる。更に、チューブラー二軸延伸、テンダー二軸延伸を施すこともできる。成型品では、通常の押出し法、射出成型法、ブロー成型法等が利用できる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
[試料1の調製]
温度計、攪拌装置を付した四つ口フラスコにグリセリン400g及び苛性ソーダ40gを仕込み、窒素ガスを導入しつつ260℃に昇温し3時間反応を行い、表2に示す組成の反応物Aを得た(ガスクロマトグラフィー分析)。次いでこの組成物を減圧蒸留してグリセリンを除去の後分子蒸留(蒸発面温度240℃、真空度0.1torr)により大部分のジグリセリンを除去して表3に示す組成のポリグリセリンAを得た。
【0036】
【表2】
Figure 0004413444
【0037】
【表3】
Figure 0004413444
【0038】
次に、温度計、攪拌装置を付した四つ口フラスコに、上記表3の組成のポリグリセリンA240gと工業用ステアリン酸330g及び苛性ソーダ0.5gを仕込み、窒素ガスを導入しつつ230℃に昇温し2時間反応を行い、酸価3のエステルを得た。本エステルはエステル化率=25%である。
【0039】
[試料2の調製]
試料1で得られたポリグリセリンA240g、工業用パルミチン酸310g及び苛性ソーダ0.5gを使用して試料1同様に反応して酸価3のエステルを得た。本エステルのエステル化率=25%である。
【0040】
[試料3の調製]
試料1で得られたポリグリセリンA240g、工業用ラウリン酸250g及び苛性ソーダ0.5gを試料1同様に反応して酸価3のエステルを得た。本エステルのエステル化率=27%である。
【0041】
[試料4の調製]
温度計、攪拌装置を付した四つ口フラスコにグリセリン400g、及び苛性ソーダ40gを仕込み、窒素ガスを導入しながら250℃に昇温し2時間反応を行い表4に示す組成の反応物Bを得た。
【0042】
【表4】
Figure 0004413444
【0043】
得られた反応物Bを試料ポリグリセリンAと同様にして、グリセリン及びジグリセリンを除去して、表5に示す試料ポリグリセリンBを得た。
【0044】
【表5】
Figure 0004413444
【0045】
ポリグリセリンBを240g、工業用ステアリン酸330g及び苛性ソーダ0.5gを試料1と同様にして反応し酸価3のエステルを得た。本エステルのエステル化率=30%である。
【0046】
[試料5の調製]
ポリグリセリンBを240g、工業用パルミチン酸310g及び苛性ソーダ0.5gを使用して試料1と同様に反応して酸価3のエステルを得た。本エステルのエステル化率=30%である。
【0047】
[試料6の調製]
ポリグリセリンBを240g、工業用ラウリン酸250g及び苛性ソーダ0.5gを使用して試料1と同様に反応して酸価3のエステルを得た。本エステルのエステル化率=30%である。
【0048】
[試料7]
ソルビタンモノステアレート:リケマールS−250[理研ビタミン社]
[試料8]
ソルビタンモノパルミテート:エマゾールP−250[理研ビタミン社]
[試料9]
ジグリセリンモノオレート:リケマールO−71−DE[理研ビタミン社]
【0049】
[試料10]
テトラグリセリンモノステアレート:SYグリスターMS−310(前記表1に示すテトラグリセリン製品。)
[試料11]
ヘキサグリセリンモノステアレート:SYグリスターMS−550(前記表1に示すヘキサグリセリン製品。)
【0050】
[試験例1]
ポリ塩化ビニル樹脂100部(質量部。以下、同じ)、ジオクチルフタレート30部、ジオクチルアジペート10部、トリクレジルフォスフェート5部、エポキシ樹脂4部、カルシウム−亜鉛系液状安定剤3部、カルシウム−亜鉛系粉末安定剤2部、前記試料からなる防曇剤2.5部を混合し、熱ロールで180℃にて混練りし、厚さ0.1mmのフィルムを作成し防曇性を評価した。
結果を表6に示した。
【0051】
【表6】
Figure 0004413444
【0052】
但し、各試験は下記のように行った。
1) 低温初期:
上部傾斜箱にフィルムを張り、外気温5℃、水温20℃、傾斜角10度で12時間後のフィルムの濡れ状態を観察評価した。
2) 高温持続:
上部傾斜箱にフィルムを張り、外気温20℃、水温40℃、傾斜角10度で1ケ月後のフィルムの濡れ状態を観察評価した。
3) 展張初期:
小型ハウス展張後5時間後の濡れ状態を観察評価した。
4) 展張持続:
1月展張、同年6月の濡れ状態を観察評価した。
【0053】
又、評価は下記の基準により行った。
◎ 防曇性良好で水滴付着が殆ど認められない。
○ 20%程度に水滴の付着が認められる。
△ 50%程度に水滴の付着が認められる。
× 全面に水滴が付着し防曇効果が認められない。
【0054】
[試験例2]
エチレン−酢酸ビニル共重合体(VAC=5%、MI=3g/10分)100部、前記試料からなる防曇剤1.5部を混合しバンバリーミキサーにて混練りの後、Tダイ法にて厚さ50μmのフィルムを作成した。このフィルムを用い防曇性、透明性、ブロッキング性を評価した。
評価結果を表7に示した。
【0055】
【表7】
Figure 0004413444
【0056】
但し、各試験は下記のように行った。
1) 低温防曇性:
300mlのガラス製ビーカーに20℃の水150mlを入れ、フィルムを張り、密閉する。このビーカーを室温5℃のショーケースに傾斜角10度で12時間後のフィルムの防曇性を観察評価した。
2) 高温防曇性:
上部傾斜箱にフィルムを張り、外気温20℃、水温40℃、傾斜角10度で1日後のフィルムの防曇性を観察評価した。
【0057】
又、下記の基準で評価した。
防曇性:試験例1と同様に評価した。
透明性:フィルム成型後、20℃×65%RHに放置して7日後のHazeを測定した。
ブロッキング性:フィルムを2枚張り合わせ、2×10cmの大きさに切り出し、常温にて100kg/cm×30min.プレス後、剥離抵抗を測定した。
【0058】
【発明の効果】
本発明のポリクセリセリン脂肪酸エステルを防曇剤として使用することにより、樹脂表面の物性が良好で、低温防曇性及び高温防曇性の優れた食品包装用樹脂製品が得られる。

Claims (1)

  1. 食品包装用熱可塑性樹脂組成物に(1)未反応グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンを含む混合組成物であるポリグリセリン反応物から分子蒸留法により得られてトリグリセリン濃度が50質量%以上であるポリグリセリンと、(2)炭素数が8〜22の脂肪族脂肪酸とから構成されるポリグリセリン脂肪酸エステルであってそのエステル化率が20〜60%の範囲である防曇剤を含有せしめ、食品包装用熱可塑性樹脂組成物に低温防曇性及び高温防曇性を併せ付与する方法
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