JP4413397B2 - Fm無線機のスケルチ回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、FM無線機のスケルチ回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、FM無線機では、選局中や受信レベルが微弱なとき、あるいは無線送受信の切替え時などに受信部から大きな雑音が発生した。このため、復調信号の中から雑音の有無を検出し、雑音が多い場合は復調信号から取り出した音声信号の出力を遮断するスケルチ回路を設けていた。
【0003】
図3は、従来のFM無線機のスケルチ回路の構成を示すブロック図である。同図において、FM復調部21で復調された信号はバンドパスフィルタ(BPF)22で音声信号が取り出され、スイッチ回路(SW)23およびパワーアンプ(PA)24を経てスピーカ(SP)25から出力される。
【0004】
また、復調信号の一部は電子ボリューム26で減衰され、バンドパスフィルタ(BPF)27で高域(10〜50kHz)のノイズ成分が取り出され、ノイズ検波回路(DET)28に出力される。ノイズ検波回路28はノイズ成分を整流して基準電圧と比較し、整流したノイズ成分のレベルが基準電圧より高ければスイッチ回路23を閉じて音声信号を遮断する。電子ボリューム26の減衰量は可変抵抗器(VOL)構成のスケルチ操作子29で調整する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アンテナ端電界強度とノイズレベルとの関係は、図4の特性図に示すように、アンテナ端電界強度が大きくなるにつれてノイズレベルが小さくなり、アンテナ端電界強度が小さくなるにつれてノイズレベルが大きくなる緩やかな逆S字状の特性を有している。
【0006】
前述の従来例において、スケルチレベルの設定はスケルチ操作子29で電子ボリューム26の減衰量を調整することで行っていたが、図4に示す直線領域L1にスケルチレベルを設定する場合は、スケルチ操作子29の1ステップ当りの操作による変化量が大きくても正確なスケルチレベルの設定が可能であるが、アンテナ端電界強度が小さい閾値領域L2にスケルチレベルを設定することは難しかった。
【0007】
そこで、図5に示すように、スケルチ操作子29の1ステップ当りの操作による変化量を細かく設定し、スケルチ設定間隔の分解能を上げれば、アンテナ端電界強度が小さい閾値領域L2でもスケルチレベルを正確に設定することが可能となる。しかし、この場合には直線領域L1にスケルチレベルを設定するには多数のステップ切り替えが必要となり、操作に時間がかかることになる。
【0008】
例えば、スケルチレベルを閾値領域L2に設定した後に、周囲の雑音が高くなり、スイッチ回路23が開いてノイズが出力されて耳障りとなるため、一気に直線領域L1にまでスケルチレベルを切り換えることがある。しかし、ステップ数が多いと操作性に時間がかかることになる。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたもので、スケルチレベルを感度の高い閾値領域に正確に設定することができ、かつスケルチ操作子の操作性を高めたFM無線機のスケルチ回路を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のFM無線機のスケルチ回路は、復調信号のレベルを減衰する可変減衰手段と、可変減衰手段で減衰した復調信号のノイズレベルを検出し一定の基準レベル以上のときは復調信号から取り出した音声信号の出力を遮断するノイズ検出手段と、スケルチ操作手段の操作に基づき可変減衰手段における減衰量を調整しスケルチレベルを設定する制御手段とを備え、制御手段は入力電界強度が小さい閾値領域にスケルチレベルを設定する場合は減衰量を大きく設定すると共に設定間隔を小さく設定する構成を有している。
【0011】
この構成により、感度の高い閾値領域にスケルチレベルを設定する場合は設定間隔が小さいため細かく設定することができ、閾値領域以外の感度の低い領域にスケルチレベルを設定する場合は設定間隔が大きいためスケルチ操作子の操作性を向上させることができることとなる。
【0012】
また、本発明のFM無線機のスケルチ回路は、制御手段が可変減衰手段の減衰量を設定するための減衰量データを記憶するメモリ手段を有し、メモリ手段は閾値領域の減衰量が大きくなるように、かつ設定間隔が小さくなるように減衰量データを記憶する構成を有している。
【0013】
この構成により、制御手段はスケルチ操作子によって指定されたスケルチレベルに対応する減衰量データをメモリ手段から読み出して可変減衰手段における減衰量を設定し、しかも閾値領域の減衰量は大きく、かつ小さな設定間隔で設定することで感度の高い閾値領域にスケルチレベルを設定することができることとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
図1は、本発明によるFM無線機のスケルチ回路の一実施の形態を示すブロック図であり、受信したFM信号から信号波を復調するFM復調部1、復調した信号波から音声信号を取り出すバンドパスフィルタ(BPF)2、音声信号を通過または遮断するスイッチ回路(SW)3、音声信号を増幅するパワーアンプ(PA)4、音声信号を出力するスピーカ(SP)5を備えている。
【0016】
また、復調信号の一部を取り出して減衰する可変減衰手段としての電子ボリューム6、電子ボリューム6の出力から高域(10〜50kHz)のノイズ成分を取り出すバンドパスフィルタ(BPF)7、ノイズ成分を整流して基準電圧と比較し、整流したノイズ成分のレベルが基準電圧より高ければスイッチ回路3を閉じて音声信号を遮断するノイズ検波回路(DET)8を備えている。バンドパスフィルタ7およびノイズ検波回路8によってノイズ検出手段を構成している。
【0017】
さらに、電子ボリューム6の減衰量を制御する制御回路(CPU)9、スケルチレベルを設定するためのアップ/ダウンスイッチまたはロータリーエンコーダからなるスケルチ操作子(SW)10、電子ボリューム6の減衰量を設定するためのデータを記憶するメモリ回路11、制御回路9によってメモリ回路11から読み出したデータをD/A(ディジタル/アナログ)変換し電子ボリューム6の減衰量を設定するD/Aコンバータ12を備えている。制御回路9、メモリ回路11およびD/Aコンバータ12によって制御手段を構成している。
【0018】
次に、このような構成を有する本実施の形態によるFM無線機のスケルチ回路の動作について説明する。
【0019】
FM復調部1で復調された信号波はバンドパスフィルタ2で音声信号が取り出され、スイッチ回路3およびパワーアンプ4を経てスピーカ5から出力される。また、復調信号の一部は電子ボリューム6で減衰され、バンドパスフィルタ7で高域のノイズ成分が取り出される。ノイズ検波回路8では、ノイズ成分を整流し基準電圧と比較する。整流したノイズ成分のレベルが基準電圧より高ければスイッチ回路3を閉じて音声信号を遮断する。
【0020】
スケルチレベルの設定は、スケルチ操作子10を操作することによって行う。すなわち、高い感度で受信する場合は電子ボリューム6の減衰量を大きくし、ノイズ成分を減衰させた状態で基準電圧と比較する。このようにすると、アンテナ端電界強度が小さい閾値領域L2でも受信することができるが、ノイズレベルも大きいためスケルチ操作子10の1ステップ当りの変化量を細かくすることでスケルチレベルを細かく選択することになる。
【0021】
受信状態が良好な基地局周辺などでは、それほど高い感度での受信が必要とされないため、電子ボリューム6の減衰量を小さくし、ノイズ成分をそれほど減衰させない状態で基準電圧と比較する。そして、スケルチ操作子10の1ステップ当りの変化量を大きくすることで操作性を向上させるようにする。
【0022】
図2は、アンテナ端電界強度とノイズレベルとの関係およびスケルチ操作子10によるスケルチ設定間隔を示す特性図である。同図に示すように、感度の高い閾値領域L2のスケルチ設定間隔は小さくし、直線領域L1のスケルチ設定間隔は大きくする。こうすることで閾値領域L2における細かなスケルチレベルの設定と、直線領域L1におけるスケルチ操作子10の操作性を向上させることができる。
【0023】
具体的には、感度の高い閾値領域L2では1ステップ当りの変化量が小さくなるようにメモリ回路11に減衰量データを記憶し、感度の低い直線領域L1では1ステップ当りの変化量が大きくなるようにメモリ回路11に減衰量データを記憶する。CPU9はスケルチ操作子10の操作状態に応じてメモリ回路11から減衰量データを読み出し、D/Aコンバータ12でアナログ信号に変換して電子ボリューム6の減衰量を調整することになる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は感度の高い閾値領域にスケルチレベルを設定する場合はスケルチ操作子による1ステップ当りの変化量が小さくなるようにノイズ成分の減衰量を設定し、閾値領域以外の感度の低い領域にスケルチレベルを設定する場合はスケルチ操作子による1ステップ当りの変化量が大きくなるようにノイズ成分の減衰量を設定したので、閾値領域に細かくスケルチレベルを設定することができ、かつスケルチ操作子の操作性を向上させることができるFM無線機のスケルチ回路を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるFM無線機のスケルチ回路の一実施の形態を示すブロック図
【図2】アンテナ端電界強度とノイズレベルとの関係および本発明によるスケルチ設定間隔を示す特性図
【図3】従来のFM無線機のスケルチ回路の一例を示すブロック図
【図4】アンテナ端電界強度とノイズレベルとの関係および従来のスケルチ設定間隔を示す特性図
【図5】アンテナ端電界強度とノイズレベルとの関係および従来のスケルチ設定間隔を示す特性図
【符号の説明】
1 FM復調部
2 バンドパスフィルタ
3 スイッチ回路
4 パワーアンプ
5 スピーカ
6 電子ボリューム
7 バンドパスフィルタ
8 ノイズ検波回路
9 制御回路
10 スケルチ操作子
11 メモリ回路
12 D/Aコンバータ
L1 直線領域
L2 閾値領域

Claims (2)

  1. 復調信号のレベルを減衰する可変減衰手段と、
    前記可変減衰手段で減衰した前記復調信号のノイズレベルを検出し一定の基準レベル以上のときは前記復調信号から取り出した音声信号の出力を遮断するノイズ検出手段と、
    スケルチ操作手段の操作に基づき前記可変減衰手段における減衰量を調整しスケルチレベルを設定する制御手段とを備え、
    前記制御手段は入力電界強度が小さい閾値領域にスケルチレベルを設定する場合は前記減衰量を大きく設定すると共に設定間隔を小さく設定することを特徴とするFM無線機のスケルチ回路。
  2. 前記制御手段は前記可変減衰手段の減衰量を設定するための減衰量データを記憶するメモリ手段を有し、前記メモリ手段は前記閾値領域の減衰量が大きくなるように、かつ設定間隔が小さくなるように前記減衰量データを記憶することを特徴とする請求項1記載のFM無線機のスケルチ回路。
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