JP4412872B2 - シリコン基板の粗面化法及びそれを用いた太陽電池の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は基板の粗面化法に関し、特に太陽電池などに用いられるシリコン基板等の基板の粗面化法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
太陽電池は表面に入射した太陽光などの光エネルギーを電気エネルギーに変換するものである。この電気エネルギーへの変換効率を向上させるため、従来から様々な試みがなされてきた。そのひとつに基板の表面に入射した光の反射を少なくする技術があり、入射した光の反射を低減することで電気エネルギーヘの変換効率を高めることができる。
【0003】
太陽電池は、材料によって結晶系、アモルファス系、化合物系などに分類される。このうち、現在市場で流通しているのはほとんどが結晶系シリコン太陽電池である。この結晶系シリコン太陽電池はさらに単結晶型、多結晶型に分類される。単結晶型シリコン太陽電池は基板の品質がよいため、高効率化が容易であるという長所を有する反面、基板の製造コストが大きいという短所を有する。それに対し、多結晶型シリコン太陽電池は基板の品質が劣るために高効率化が難しいという欠点はあるものの、低コストで製造できるというメリットがある。また、最近では多結晶シリコン基板の品質の向上やセル化技術の進歩により、研究レベルでは18%程度の変換効率が達成されている。
【0004】
一方、量産レベルの多結晶シリコン太陽電池は低コストであったため、従来から市場に流通してきたが、近年環境問題が取りざたされる中でさらに需要が増してきており、低コストで且つより高い変換効率が求められるようになった。
【0005】
シリコン基板を用いて太陽電池素子を形成する場合に、基板の表面を水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液でエッチングすると、表面に微細な凹凸が形成されて基板表面の反射をある程度低減させることができる。
【0006】
面方位が(100)面の単結晶シリコン基板を用いた場合は、このような方法でテクスチャー構造と呼ばれるピラミッド構造を基板の表面に均一に形成することができるものの、アルカリ水溶液によるエッチングは結晶の面方位に依存することから、多結晶シリコン基板で太陽電池素子を形成する場合、ピラミッド構造を均一には形成できず、そのため全体の反射率も効果的には低減できないという問題がある。
【0007】
このような問題を解決するために、太陽電池素子を多結晶シリコン基板で形成する場合に、基板表面に微細な突起を反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching)法で形成することが提案されている(たとえば特公昭60−27195号、特開平5−75152号、特開平9−102625号公報参照)。すなわち、多結晶シリコンにおける不規則な結晶の面方位に左右されずに微細な突起を均一に形成し、特に多結晶シリコンを用いた太陽電池素子においても、反射率をより効果的に低減しようとするものである。
【0008】
しかしながら、凹凸を形成するための条件は非常に微妙であり、また、装置の構造によっても変化するため、条件の検討は非常に難しいことが多い。微細な突起を均一に形成できない場合は、太陽電池の光電変換効率が低下し、個々の太陽電池の価値はその発電効率で決まることから、そのコストを低減するためには、太陽電池の変換効率を向上させなければならない。
【0009】
また、反応性イオンエッチング法で用いられる反応性イオンエッチング装置は一般に平行平板電極型をしており、基板を設置している電極の側にRF電圧を印加し、他の一方の側及び内部の側壁をアースに接続してある。この容器内部を真空ポンプで真空引きし、真空引き完了後、エッチングガスを導入し、圧力を一定に保持しながら内部の被エッチング基板をエッチングする。エッチングが完了した後に、容器内部を大気圧に戻す。
【0010】
このような手順を踏むことから、反応性イオンエッチング装置では真空引き及び大気リークの待ち時間が多い。また、反応性イオンエッチング装置はLSIなどの精密な小型半導体素子に用いられる場合が多いが、太陽電池用基板のエッチングに用いる際には太陽電池自身の面積が大きいため、1回あたりの処理枚数が少なく、コストが高くなるという問題があった。そのため反応性イオンエッチング装置を太陽電池の製造工程に用いる場合には、いかに高タクトで処理を行うかも重要なポイントである。
【0011】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、基板、特に太陽電池に用いられるシリコン基板等の基板表面に凹凸を効率よく均一に形成する方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のシリコン基板の粗面化法によれば、シリコン基板の表面をドライエッチング法で粗面状にする前記シリコン基板の粗面化法において、前記シリコン基板の表面を開口部が多数形成されたプレート部材で覆蓋して、前記シリコン基板から気化したシリコン化合物を前記プレート部材と前記シリコン基板との間に閉じ込めつつドライエッチングを行うことを特徴とする。
さらに、本発明のシリコン基板の粗面化法によれば、前記プレート部材を前記シリコン基板から5〜30mm離して設置することを特徴とする。
さらに、本発明のシリコン基板の粗面化法によれば、前記開口部による前記プレート部材の開口率が5〜40%であることを特徴とする。
さらに、本発明のシリコン基板の粗面化法によれば、前記ドライエッチング法が反応性イオンエッチング法であることを特徴とする。
さらに、本発明のシリコン基板の粗面化法によれば、前記プレート部材の中央部の厚みを薄くすることを特徴とする。
さらに、本発明の太陽電池の形成方法によれば、前記シリコン基板の粗面化法によって再付着した前記シリコン化合物を前記シリコン基板から除去することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態をバルク型シリコン太陽電池を例にとって添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明に係る基板の粗面化法を用いて形成されるバルク型シリコン太陽電池の構造を示す図である。図1において、1はシリコン基板、1aは凹凸構造、1bは一導電型不純物拡散層、1cは逆導電型不純物拡散層(BSF)、1dは表面反射防止膜、1eは表面電極、1fは裏面電極を示している。
【0018】
前記シリコン基板1は単結晶もしくは多結晶のシリコン基板である。この基板1はp型、n型いずれでもよい。単結晶シリコンの場合は引き上げ法などによって形成され、多結晶シリコンの場合は鋳造法などによって形成される。多結晶シリコンは、大量生産が可能で製造コスト面で単結晶シリコンよりもきわめて有利である。引き上げ法や鋳造法によって形成されたインゴットを300μm程度の厚みにスライスして、10cm×10cmもしくは15cm×15cm程度の大きさに切断してシリコン基板とする。
【0019】
シリコン基板1の表面側には入射した光を有効に取り込むために微細な凹凸1aを形成する。これは、真空引きされたチャンバー内にガスを導入し、一定圧力に保持して、チャンバー内に設けられた電極にRF電力を印加することでプラズマを発生させ、生じた活性種であるイオン・ラジカル等の作用により基板表面をエッチングするものである。反応性イオンエッチング(RIE)法と呼ばれるこの方法は図2及び図3のように示される。
【0020】
図2および図3において、1はシリコン基板、2aはマスフローコントローラー、2cはRF電極、2dは圧力調整器、2eは真空ポンプ、2fはRF電源である。装置内にマスフローコントローラー2a部分からエッチングガスとエッチング残渣生成用ガスを導入するとともに、RF電極2cでプラズマを発生させてイオンやラジカルを励起活性化して、RF電極2cの上部に設置されたシリコン基板1の表面に作用させてエッチングする。図2に示す装置では、RF電極2cを装置内に設置して1枚のシリコン基板1の表面をエッチングするが、図3に示す装置では、RF電極2cを装置の外壁に設置して複数枚のシリコン基板1の表面を同時にエッチングするようにしている。
【0021】
発生した活性種のうち、イオンがエッチングに作用する効果を大きくした方法を一般に反応性イオンエッチング法と呼んでいる。類似する方法にプラズマエッチング法などがあるが、プラズマ発生の原理は基本的に同じであり、基板1に作用する活性種の種類の分布をチャンバー構造あるいは電極構造や発生周波数等により異なる分布に変化させているだけである。そのため、本発明は反応性イオンエッチング法に限らず、広くプラズマエッチング法全般に対して有効である。
【0022】
本発明では、例えば三フッ化メタン(CHF3)を20sccm、塩素(Cl2)を50sccm、酸素(O2)を10sccm、SF6を80sccm、さらにこれらに加えてH2Oを1sccm流しながら、反応圧力7Pa、プラズマを発生させるRFパワー500Wで3分間程度エッチングする。これによりシリコン基板1の表面には凹凸構造1aが形成される。エッチング中はシリコンがエッチングされて気化するが、一部は気化しきれずに分子同士が吸着して基板1の表面に残渣として残る。
【0023】
また、ガス条件、反応圧力、RFパワーなどの凹凸1aを形成する条件をエッチング後にシリコン基板1の表面に残渣が残るような条件に設定すると、凹凸1aを確実に形成することができる。ただし、その凹凸1aのアスペクト比に関しては、条件によって最適化が必要である。逆に、エッチング後に残渣が残らないような条件ではいかなる条件でも凹凸1aを形成することはできない。
【0024】
本発明では、基板1を開口部を有するプレート部材4で覆蓋してエッチングすることで残渣の形成を促進させ、これに伴って凹凸1aの形成を促進させることができる。
【0025】
開口部を有するプレート部材4の概要を図4に示す。このプレート部材4の材質は特に問わない。アルミ材、ガラス系材質のどちらでも使用可能である。加工の容易さという面では金属が好ましいが、ステンレス系の材質などではシリコンのエッチングに用いるガスに曝されると腐食するために不適である。一方、エッチング中はプラズマに曝されるために発熱する。この温度は条件によって大幅に変わるが、プラズマ中に温度が上昇して凹凸1aの形成が一旦終了すれば大気中で基板1を取り出すといった工程となるため、温度の上下動に耐える材質が好ましい。そのため、高温のプラズマに曝される場合にはガラス系材質が望ましい。このように条件によって好ましい材質を選択することができる。
【0026】
プレート部材4には開口部4aが一様に多数形成されている。この開口部4aの開口パターンは特に問わない。例えば図4に示すようなスリット状のパターンを用いることもできるし、ドットの千鳥パターンを用いることもできる。ただし、開口していない面積の大きい部分があるとエッチングムラが発生する。
【0027】
開口部4aの開口率は5〜40%にするのが望ましい。開口部4aの開口率が5%未満であるとシリコンのエッチングに必要なガスの供給が不十分となり、逆に残渣の形成速度が遅くなるため、凹凸1aの形成が遅くなる。また、開口部4aの開口率が40%を越えると、エッチング時に生成するシリコン化合物が揮発する際に基板1とプレート部材4の内部に閉じこめる効果が弱くなり、残渣の形成の促進効果が少なくなる。
【0028】
プレート部材4を用いてドライエッチングする方法を図5に示す。なお、図5中、5bはシリコン基板、5fはチャンバー壁、5aはプレート部材、5cは基板トレイ、5eは絶縁体である。開口部4aを有するプレート部材5aと基板5bとは5mmから30mmの間隔を保持してエッチングを行うことが望ましい。このようにすることでエッチングするときに生成するシリコン化合物が基板5bとプレート部材5aの内部に閉じこめられる効果が生じ、シリコンを主成分とする残渣が基板5b上に容易に生成しやすくなり、残渣の形成が促進されると同時に、凹凸1aの形成を促進することができる。この開口部4aを有するプレート部材5aと基板5bとの間隔が5mm未満では凹凸1aを形成するときにプレート部材5aの開口部4aが基板5bの表面に模様として転写されてムラとなる。また、30mmを越えると残渣を早く形成して凹凸1aの形成を促進する効果が少なくなる。
【0029】
プレート部材4と基板1との距離を保持するための方法は、特に問わない。例えば図4および図5のように側壁4bを設けることで間隔を保持する方法が簡単である。被エッチング基板1の枚数が多く、プレート部材4が大面積になる場合には、プレート部材4が自重によって湾曲してしまい、被エッチング基板1とプレート部材4との距離が局所的に狭まって開口部4aのパターンの跡が基板1上に転写されてムラとなる可能性がある。その場合にはプレート部材4の厚みを増したり、側壁4bの厚みを増すなどの対策が有効である。また、プレート部材4の中央のみを薄くして自重を減らして湾曲を防止するという方法も有効である。プレート部材4の厚みは特に問わない。強度と材料コスト、及びエッチング条件の関係により自由に設定することができる。
【0030】
本発明は主に凹凸1aを形成するために必要なエッチングのマスクとなる残渣の発生を促進させることにより、凹凸1aの形成速度を向上させることが目的であるが、被エッチング基板1への凹凸1aの形成が面内で均一になるという副次的な大きな効果がある。これは特に大面積の場合に有効である。
【0031】
この微細な凹凸1aは円錐形もしくはそれが連なったような形状を呈し、RIE法によりガス濃度もしくはエッチング時間を制御することにより、その大きさを変化させることができる。この微細な凹凸1aの幅と高さはそれぞれ2μm以下に形成される。この微細な凹凸1aをシリコン基板1の必要な部分の全面にわたって均一且つ正確に制御性を持たせて形成するためには、1μm以下が好適である。この微細な凹凸1aのアスペクト比(凹凸1aの高さ/幅)は、2以下であることが望ましい。このアスペクト比が2以上の場合、製造過程で微細な凹凸1aが破損し、太陽電池セルを形成した場合にリーク電流が大きくなって良好な出力特性が得られない。
【0032】
反応性イオンエッチング装置あるいは類似のプラズマエッチング装置で凹凸1aを形成した後、シリコン基板1の表面に残ったエッチング残渣を除去する。これにより作製する太陽電池の特性を向上させることができる。エッチング残渣を除去する方法としては、たとえば反応性イオンエッチング装置あるいは類似のプラズマエッチング装置によって凹凸1aを形成して基板1を取り出した後に水槽内で超音波をかける。この超音波を印加する装置の種類としては、通常市販されている主な洗浄用超音波装置の周波数は数十kHzから数百kHzで印加する振動子も材質、形状、出力など様々なタイプがあるが、残渣を除去する容易さによって選択すればよい。残渣除去の容易さは凹凸1aの形状、大きさ、残渣の残量、基板1の厚みなどによっても変化し、さらに超音波の周波数によっても変化するが、残渣の除去が比較的困難な条件であっても印加時間を長くすることで残渣を除去することが可能である。
【0033】
シリコン基板1の表面側には、図1に示すように、逆導電型半導体不純物が拡散された層1bが形成されている。この逆導電型半導体不純物が拡散された層1bは、シリコン基板1内に半導体接合部を形成するために設けるものであり、例えばn型の不純物を拡散させる場合、POCl3を用いた気相拡散法、P2O5を用いた塗布拡散法、及びP+イオンを直接拡散させるイオン打ち込み法などによって形成される。この逆導電型半導体不純物を含有する層1は0.3〜0.5μm程度の深さに形成される。
【0034】
このシリコン基板1の表面側には、反射防止膜1dが形成されている。この反射防止膜1dは、シリコン基板1の表面で光が反射するのを防止して、シリコン基板1内に光を有効に取り込むために設ける。この反射防止膜1dは、シリコン基板1との屈折率差等を考慮して、屈折率が2程度の材料で構成され、厚み500〜2000Å程度の窒化シリコン膜や酸化シリコン(SiO2)膜などで構成される。
【0035】
シリコン基板1の裏面側には、一導電型半導体不純物が高濃度に拡散された層1cを形成することが望ましい。この一導電型半導体不純物が高濃度に拡散された層1cは、シリコン基板1の裏面近くでキャリアの再結合による効率の低下を防ぐために、シリコン基板1の裏面側に内部電界を形成するものである。
【0036】
つまり、シリコン基板1の裏面近くで発生したキャリアがこの電界によって加速される結果、電力が有効に取り出されることとなり、特に長波長の光感度が増大すると共に、高温における太陽電池特性の低下を低減できる。このように一導電型半導体不純物が高濃度に拡散された層1cが形成されたシリコン基板1の裏面側のシート抵抗は15Ω/□程度になる。
【0037】
シリコン基板1の表面側および裏面側には、表面電極1eおよび裏面電極1fが形成されている。この表面電極1e及び裏面電極1fは主にAg紛、バインダー、フリットなどからなるAgペーストをスクリーン印刷して焼成し、その上に半田層を形成する。表面電極1eは、例えば幅200μm程度に、またピッチ3mm程度に形成される多数のフィンガー電極(不図示)と、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極(1e)で構成される。裏面電極1fは、例えば幅300μm程度に、またピッチ5mm程度に形成される多数のフィンガー電極(不図示)と、この多数のフィンガー電極を相互に接続する2本のバスバー電極(1f)で構成される。
【0038】
次に、本発明の他の実施形態を薄膜多結晶シリコン太陽電池を例にとって説明する。図6は本発明に係る基板の粗面化法を用いて形成されるサブストレート型薄膜多結晶シリコン太陽電池の構造を示す図である。
【0039】
ここでは光入射側のシリコン層をn型とした場合について説明するが、光入射側をp型とする場合にも用いることができ、その場合は文中の導電型を逆に読み替えればよい。また、本発明はサブストレート型薄膜多結晶シリコン太陽電池に限られるものではなく、スーパーストレート型太陽電池にも応用可能であり、さらには薄膜多結晶シリコン太陽電池に限られるものでもなく、アモルファスシリコン太陽電池、化合物半導体を用いた薄膜太陽電池にも広く応用可能である。さらにまた、多層型(タンデム)型の薄膜太陽電池にも応用可能である。
【0040】
図6において、6は基板、6aは凹凸構造、6bは裏電極、6cは裏面グリッド電極、6dはp+型シリコン層、6eは光活性層、6fはn型シリコン層、6gは透明導電膜、6hは表電極を示している。
【0041】
ガラス等からなる基板6の表面側には、入射した光を反射させずに有効に取り込むために凹凸構造6aを形成する。これは、例えば真空引きされたチャンバー内にガスを導入し、一定圧力に保持して、チャンバー内に設けられた電極にRF電力を印加することでプラズマを発生させ、生じた活性種であるイオン・ラジカル等の作用により基板表面をエッチングして形成する。反応性イオンエッチング(RIE)法と呼ばれる方法は図2及び図3を用いて上で説明した方法と同じである。
【0042】
本発明では、例えばCHF3を20sccm、Cl2を20sccm、SF6を80sccm流しながら、反応圧力5Pa、プラズマを発生させるRFパワー500Wで3分間エッチングする。これにより基板6の表面には凹凸構造6aが形成される。
【0043】
RIE法を用いて図6に示す凹凸構造6aを形成すると、高速に形成できるとともに、凹凸形状の制御が非常に容易になり、太陽電池の低コスト化が可能となる。また、室温で基板6の表面の凹凸構造6aを形成でき、常圧CVD法で凹凸形状のSnO2膜を形成する場合のように500℃程度の高温を必要としないため、強化ガラス上でも凹凸形状に形成でき、低コスト化を図ることが可能となる。また、基板6としてステンレスなどからなる金属基板を用いる場合にも、凹凸6aを室温で形成することにより、基板の昇温、降温にかかる時間を節約でき、基板6の反りといった問題もなくなる。また、金属基板では、通常、歩留向上のために基板6の表面の研磨処理が必要であるが、RIE法では、凹凸6aの形成と同時に基板6全体の傷が平滑化されるので、金属基板の表面に凹凸形状6aを形成する処理が非常に効率的となり、従来よりも低コストで形成することが可能になる。また、従来のサンドブラスト法による凹凸形状6aの形成処理では、凹凸6aの形成時に基板6に与える衝撃が大きいために、サンドブラスト処理で発生した欠陥層をエッチングで除去する必要があったが、RIE法では上記のような欠陥層の発生を回避でき、欠陥層のエッチング工程を不要とできる。さらに、従来のサンドブラスト法で形成した凹凸6aは、その谷部の形状を緩やかにするためにSiO2を谷部に形成する必要があったが、RIE法を用いると、凹凸形状6aが滑らかになり、その谷部を埋める処理が必要なくなる。
【0044】
このようにしてガラス等からなる基板6上に凹凸構造6aを形成した上に、裏電極6bとなる金属層をスパッタリング法等によって厚さ0.1〜2μm程度に形成する。なお、必要に応じてこの金属層上に透明導電膜を形成することで、裏電極6b側の実効的反射率の向上を図ることもできる。この場合、透明導電膜材料としては例えば酸化亜鉛などを用いることができ、膜厚は10〜300nm程度とすればよい。
【0045】
次に、裏電極6b上に、BSF層となるp+型シリコン層6dをプラズマCVD法等で厚さ20〜1000nm程度に形成する。p型不純物原子としてボロン等を高濃度にドープする。
【0046】
次に、p+型シリコン層6d上に、光活性層となるp型もしくは実質的にi型の結晶質を含むシリコン層6eを触媒CVD法又はプラズマCVD法等で厚さ0.5〜20μm程度に形成する。
【0047】
次に、光活性層6e上に、n型シリコン層6fをプラズマCVD法等で厚さ5〜1000nm程度に形成する。n型不純物原子としてリン等を高濃度にドープする。なお、接合品質をより改善する必要がある場合には、前記光活性層6eと前記n型シリコン層6fとの間にi型のシリコン膜、好ましくは水素化アモルファスシリコン膜を膜厚1〜20nm程度に形成すればよい。
【0048】
次に、n型シリコン層6f上に、ITO等の透明導電膜6gをスパッタリング法等によって厚さ60〜100nm程度に形成する。さらに、透明導電膜6g上に、Ag等から成る櫛形状の表金属集電極6hおよび裏面グリッド電極6cを蒸着法やプリント法等によって形成する。以上によって、薄膜多結晶シリコン太陽電池が得られる。
【0049】
基板6の材料としてはガラスに限らず、金属、プラスチック、樹脂のうちのいずれでもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シリコン基板の表面をドライエッチング法で粗面状にするシリコン基板の粗面化法において、前記シリコン基板の表面を開口部が多数形成されたプレート部材で覆蓋して、前記シリコン基板から気化したシリコン化合物を前記プレート部材と前記シリコン基板との間に閉じ込めつつドライエッチングを行うことにより、従来に比較して大幅に凹凸の形成速度が速くなる。そのため、高効率の太陽電池などに必要な基板の表面の凹凸構造(粗面)を高タクト、低コストで形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る基板の粗面化法で形成されるバルク型シリコン太陽電池を示す図である。
【図2】 本発明に係る基板の粗面化法に用いる装置の一例を示す図である。
【図3】 本発明に係る基板の粗面化法に用いる装置の他の例を示す図である。
【図4】 本発明に係る基板の粗面化法に用いるプレート部材の一例を示す図である。
【図5】 本発明に係る基板の粗面化法を示す図である。
【図6】 本発明に係る基板の粗面化法で形成されるサブストレート型の薄膜多結晶シリコン太陽電池を示す図である。
【符号の説明】
1;(シリコン)基板、1a;凹凸(構造)、1b;一導電型不純物拡散層、1c;他の導電型不純物拡散層、1d;反射防止膜、1e;表面電極、1f;裏面電極、2a;マスフローコントローラー、2b;チャンバー壁、2c;RF電極、2d;圧力調整器、2e;真空ポンプ、2f;RF電源、4;プレート部材、4a;開口部、4b;側壁部、5a;プレート部材、5b;(シリコン)基板、5c;基板トレイ、5e;絶縁体、6;基板、6a;凹凸(構造)、6b;裏電極、6c;裏面グリッド電極、6d;p+型シリコン層、6e;光活性層、6f;n型シリコン層、6g;透明導電膜、6h;表電極
Claims (6)
- シリコン基板の表面をドライエッチング法で粗面状にするシリコン基板の粗面化法において、前記シリコン基板の表面を開口部が多数形成されたプレート部材で覆蓋して、前記シリコン基板から気化したシリコン化合物を前記プレート部材と前記シリコン基板との間に閉じ込めつつドライエッチングを行うことを特徴とするシリコン基板の粗面化法。
- 前記プレート部材を前記シリコン基板から5〜30mm離して設置することを特徴とする請求項1に記載のシリコン基板の粗面化法。
- 前記開口部による前記プレート部材の開口率が5〜40%であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリコン基板の粗面化法。
- 前記ドライエッチング法が反応性イオンエッチング法であることを特徴とる請求項1乃至3のいずれかに記載のシリコン基板の粗面化法。
- 前記プレート部材の中央部の厚みを薄くすることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のシリコン基板の粗面化法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載のシリコン基板の粗面化法によって再付着した前記シリコン化合物を前記シリコン基板から除去することを特徴とする太陽電池の形成方法。
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