JP4412854B2 - インクジェット記録用耐光性付与剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録における記録画像に、耐光性を付与するインクジェット用耐光性付与剤に関し、詳しくは、特定の重合性ヒンダードアミン化合物と他の重合性モノマーとを重合させて得られるポリマーからなるインクジェット記録用耐光性付与剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インクジェット記録方式は、ノズルから高速で射出したインク液滴を被記録材料に付着させて記録する方式であり、フルカラー化が容易なことや記録騒音が低い等の特徴を有する。この方式では、インクジェットノズルに目詰まりを生じないこと、鮮やかな色調を有すること等の条件が要求されるので、使用するインクの染料は、耐候性に優れた染料を選択することができないのが現状である。該インク染料は、インク吸収性に富むように工夫された上質紙や表面に多孔性顔料を塗工したインクジェット記録用紙と共に用いられるが、インクジェット記録用紙に記録された記録画像は耐候性が充分ではなく、特に光により変色、褪色が生じる問題点がある。
【0003】
耐光性に優れた画像を得るために、特開平8−112964号公報、特開平8−132727号公報に開示されたように、記録層に水溶性インクの染料と錯体を形成する金属塩の添加が挙げられている。しかし、金属塩の添加だけでは、染料の発色性のバランスが取りにくい問題がある。
【0004】
また、記録画像の耐光性を改良する目的でインクジェット記録用紙に各種耐光性材料を使用する方法が報告されている。例えば、特開昭57−87988号公報、特開昭57−87989号公報には、紫外線吸収剤や酸化防止剤の使用が報告されており、特公平4−34512号公報、特開2000−280611号公報には、ヒンダードアミン系化合物を含有することが開示されているが、記録後の記録部の耐光性に関する性能が充分ではなかった。
【0005】
従って、本発明の目的は、インクジェット記録における記録画像に充分な耐光性を与える耐光性付与剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、検討を重ねた結果、耐光性を付与する特定のヒンダードアミン基を有するポリマーが、上記課題を解決し得ることを知見し、本発明に到達した。
【0007】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、下記一般式(I)で表される重合性ヒンダードアミン化合物と少なくとも1種の他の重合性モノマーとを共重合させて得られるポリマーからなり、上記の他の重合性モノマーが後記の一般式(A)、(E)若しくは(G)で表されるもの又はアクリルアミドであるインクジェット記録用耐光性付与剤、並びに該耐光性付与剤を用いたインクジェット記録用紙及びインクジェット用インクを提供するものである。
【化4】
(式中、R1は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xは−OY基を表し、Yは、モノイソシアネート化合物から誘導される基を表す)
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係る上記一般式(I)で表される重合性ヒンダードアミン化合物において、R1 で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。
【0009】
また、Xで表される基は、モノイソシアネート化合物から誘導される−OY基である。オキシル基とは、安定化されたラジカルO・のことであり、該基は、一般的なヒンダードアミン基を構成する基である水素基、アルキル基、アルコキシ基と比較して優れた耐光性付与能力を与えるものである。−OY基は、オキシル基の前駆体であり、該基は、加熱等で容易にオキシル基に変換される。Xが−OY基の場合も耐光性付与効果を有しているので変換しないで用いてもよい。
【0010】
上記−OY基のYを導入するモノイソシアネート化合物としては、例えば、メチルスルホニルイソシアネート、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ヘキシルイソシアネート、オクチルイソシアネート、ヘキサデシルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、3,4−ジクロロフェニルイソシアネート、m−ニトロフェニルイソシアネート、トルエンスルホニルイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、シクロヘキシルイソシアネート等の脂環族イソシアネート類等が挙げられる。
【0011】
また、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニル−4,4’−ジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トランス−1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート類、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4及び/又は(2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類等のジイソシアネート化合物の一方のイソシアネート基をイソシアネート官能性基を一つ有する化合物で封止したものが挙げられる。
【0012】
上記のイソシアネート官能性基を一つ有する化合物としては、水酸基を有するものとしてアルコール類、フェノール類が挙げられ、アミノ基を有するものとして脂肪族アミン、芳香族アミン等が挙げられ、カルボキシル基を有するものとして脂肪族有機酸、芳香族有機酸等が挙げられる。
【0013】
上記のモノイソシアネート化合物のなかでも、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネート、脂環族イソシアネートが低コストであり、除去が容易であるので好ましく、脂肪族イソシアネート、芳香族イソシアネートがより好ましい。
【0014】
本発明に係る上記一般式(I)で表される重合性ヒンダードアミン化合物において、Xがオキシル基のものは、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと(2−アルキル)アクリル酸とのエステル化反応により得られ、Xが−OY基のものは、Xがオキシル基のもののオキシル基を還元により1−ヒドロキシ基に変換した後、モノイソシアネート化合物と反応させることで得られる。
【0015】
本発明に係る一般式(I)で表されるモノマーと共重合可能な他の重合性モノマーとしては、末端に少なくとも1つ二重結合を有するものが好ましい。但し、これらのモノマーは全てのものが、全ての条件で使用できるのではなく、使用される条件に応じて適宜選択して使用される。
【0016】
上記の好ましい重合性モノマーの中でも下記一般式(A)〜(J)で表されるものが、インクジェット記録画像に影響を与えることなく、優れた耐光性付与効果を有するのでより好ましい。尚、下記一般式(B)、(C)、(D)、(F)、(H)及び(J)は、参考化合物を示す一般式である。本発明では、下記一般式(A)、(E)若しくは(G)で表されるもの又はアクリルアミドを用いる。
【0017】
【化5】
(式中、R2 は、各々独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3 は、炭素数1〜8のアルキル基を表し、R4 は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R5 は、炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、R6 は、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基又は−N(R’)2 を表し、R’は、R3 と同様の基を表し、nは、1〜10の整数を表し、An- はアニオンを表し、Cat+ はカチオンを表す)
【0018】
上記式において、R2 、R3 、R’で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、上記記載のR1 と同様のものが挙げられ、R4 又はR6 で表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチルが挙げられ、R5 で表される炭素数1〜4のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、メチルエチレン、ジメチルエチレン、プロピレン、メチルプロピレン、2−メチルプロピレン、ブチレンが挙げられ、An- で表されるアニオンとしては、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン、フッ素アニオン等のハロゲンアニオン;過塩素酸アニオン、塩素酸アニオン、チオシアン酸アニオン、六フッ化リンアニオン、六フッ化アンチモンアニオン、四フッ化ホウ素アニオン等の無機系アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、トルエンスルホン酸アニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等の有機スルホン酸アニオン;オクチルリン酸アニオン、ドデシルリン酸アニオン、オクタデシルリン酸アニオン、フェニルリン酸アニオン、ノニルフェニルリン酸アニオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ第三ブチルフェニル)ホスホン酸アニオン等の有機リン酸系アニオン等が挙げられ、Cat+ で表されるカチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等の1属元素イオン、4級アンモニウムカチオン等が挙げられる。
【0019】
また、上記の本発明に係る一般式(I)で表されるモノマーと共重合可能な他の重合性モノマー中に酸性基、塩基性基が含まれている場合、これらは中和処理されていてもよい。中和処理は、モノマーの段階で行ってもよく、重合後に行ってもよい。
【0020】
一般式(I)で表される重合性ヒンダードアミン化合物と少なくとも1種の他の重合性モノマーとを共重合させる方法としては、種々の重合方法、例えば溶液重合、乳化重合、逆相乳化重合、懸濁重合、塊状重合、沈殿重合等が挙げられ、これらの重合の開始方法は、ラジカル重合法、熱重合法、カチオン重合法、アニオン重合法、光又は放射線を照射する方法等がある。本発明に係る共重合体の場合は、イオン性基の有無に拘わらず重合が可能であるのでラジカル重合法が好ましい。
【0021】
本発明のインクジェット記録用耐光性付与剤において、その分子量は、特に制限されることはなく、使用に適するように適宜選択することができる。数平均分子量が700より小さいと揮散して耐光性効果の持続性が損なわれる場合があり、25000を超えると溶解性や分散性が悪化して作業性に問題を生じる場合があるので700〜25000が好ましく、1000〜20000がより好ましい。
【0022】
また、本発明のインクジェット記録用耐光性付与剤において、光安定性を付与する基である下記式(II)で表されるヒンダードアミン基の含有量は特に制限されることなく任意の値を選択できる。耐光性付与剤に対して10質量%より小さいと充分な耐光性が発揮されない場合があり、75質量%より大きいと着色して記録画像の色調に影響を及ぼす場合があるので10〜75質量%が好ましく、20〜60質量%がより好ましい。
【0023】
【化6】
(式中、Xは、一般式(I)と同様の基を表す)
【0024】
本発明のインクジェット記録用耐光性付与剤においてその使用方法は、記録画像に対して耐光性を与え得る方法であれば、特に制限を受けず、インクジェット用インクに用いてもよく、インクジェット記録が施される紙材、布材、樹脂材、木材等の被記録基材に用いてもよく、記録された画像に後から用いてもよい。例えば、インクジェット記録用紙に用いる場合は、インク受理層を形成する塗工剤に添加使用して用いることができる。
【0025】
本発明の耐光性付与剤は、記録画像の耐光性をさらに上げるために用いられる酸化防止剤及び紫外線吸収剤やその他の添加剤と併用して用いてもよい。
【0026】
上記の酸化防止剤としては、熱や酸素による酸化を防止するフェノール系、リン系、硫黄系の酸化防止剤等が挙げられる。フェノール系酸化防止剤としては、モノフェノール系:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビスフェノール系:2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール等、高分子型フェノール系:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェノール)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−(メチレン−3−(3’5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン、ビス(3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド)グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール(類)等が挙げられる。硫黄系酸化防止剤としては、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート等が挙げられる。リン系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(モノ及び/又はジノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト等の公知のものが挙げられる。
【0027】
紫外線吸収剤としては、有機系、無機系のものが適宜選択される。有機系の紫外線吸収剤としては、サリチル酸系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系等が使用可能である。サリチル酸系としては、フェニルサリシレート、p−tert−ブチルフェニルサリシレート、p−オクチルフェニルサリシレート等が挙げられる。ベンゾフェノン系としては、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ジヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノン等が挙げられる。ベンゾトリアゾール系としては、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ・tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−〔2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール〕等が挙げられる。シアノアクリレート系としては、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート、エチル−2−シアノ−3,3’−ジフェニルアクリレート等の公知のものが挙げられる。無機系の紫外線吸収剤としては、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化チタン、酸化イットリウム等の遷移金属酸化物が適宜使用される。
【0028】
その他の添加剤としては、分散剤、増粘剤、消泡剤、着色剤、帯電防止剤、防腐剤、顔料等が挙げられる。
【0029】
【実施例】
以下、製造例、評価例等により、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
【0030】
[合成例1]
<重合性ヒンダードアミン化合物(N−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)の合成>
窒素置換した反応用フラスコに、1−オキシル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール200g、メチルメタクリレート465g、IPソルベント1620を400mlを仕込み、80℃でオルトチタン酸イソプロピル3gを滴下し、生成するメタノールと過剰分のメチルメタクリレートとを共沸留去しながら80〜120℃で10時間反応させた。室温まで冷却後、反応系にトルエン500ml、水500mlを加え撹拌して、生成した酸化チタンを濾別し、水相を廃棄して得られた有機相を2回水洗した後、脱溶媒して融点79℃の中間体の結晶209gを得た。窒素置換した反応用フラスコに、この中間体200g、N,N’−ジメチルアセトアミド600gを仕込み、アスコルビン酸ナトリウム99gを溶解した25%水溶液を滴下し、1時間撹拌した。4℃以下で脱気した水を2000g加えて析出させた固相を濾取し、冷水洗浄した後、70℃で真空乾燥し、融点85℃の結晶を得た。
【0031】
窒素置換した反応用フラスコに、上記で得た結晶195g、トルエン800mlを仕込み、フェニルイソシアネート115gを滴下し、25℃で1時間撹拌した。得られた沈殿を濾別し、これをメタノールで再結晶して結晶260gを得た。
【0032】
この結晶について、以下の分析を行い、N−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートであることを確認した。
【0033】
(分析結果)
融点:181℃、IR(cm-1):3256(−NH)、1709(COOR)、1597(ビニル)、H−NMR:(1.2〜2.3、m、19H)(5.0〜5.4、m、1H)、(5.6〜6.1、m、2H)(7.0〜7.5、m、5H)(8.7、br、1H)
【0034】
[製造例1]
(ポリマー1の合成)
窒素置換した反応用フラスコに、N−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート30.0g、アクリル酸13.2g、ジメチルホルムアミド175g、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル1.35gを仕込み、80℃で4時間撹拌した後、反応液をヘキサン900mlに撹拌しながら滴下して析出させた固相を取り出し、37.2gのポリマー1を得た。
【0035】
[製造例2]
(ポリマー2の合成)
上記で得られたポリマー1 27.0gをジメチルホルムアミド100gに溶解して120℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液を酢酸エチル500mlに滴下して析出させた固相を取り出し、20.1gのポリマー2を得た。
【0036】
[製造例3]
(ポリマー3の合成)
上記で得られたポリマー2 11.0gを水に溶かした水溶液に炭酸ナトリウム2.2gを加え反応させた後、水を留去して得られた固相を取り出し、11.3gのポリマー3を得た。
【0037】
[製造例4]
(ポリマー4の合成)
窒素置換した反応用フラスコに、N−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート10.0g、アクリルアミド2.1g、エチルメチルケトン50g、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2gを仕込み、80℃で8時間撹拌した後、室温まで冷却した後、反応液をヘキサン500mlに滴下して析出させた固相を取り出し、9.9gのポリマー4を得た。
【0038】
[製造例5]
(ポリマー5の合成)
上記で得られたポリマー4 7.3gをイソブチルメチルケトン50gに溶解させて、空気中120℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液をヘキサン300mlに滴下して析出させた固相を取り出し、5.8gのポリマー5を得た。
【0039】
[製造例6]
(ポリマー6の合成)
窒素置換した反応用フラスコに、N−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート10.0g、4−ビニルピリジン3.1g、エチルメチルケトン70g、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.2gを仕込み、80℃で8時間撹拌した後、室温まで冷却した後、反応液をヘキサン300mlに滴下して析出させた固相を取り出し、11.2gのポリマー6を得た。
【0040】
[製造例7]
(ポリマー7の合成)
窒素置換した反応フラスコに、上記で得られたポリマー6 6.2g、ジメチルホルムアミド50g、1−ブロモプロパン3.0gを仕込み、50℃で6時間撹拌した後、系内を空気で置換して120℃、10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液をヘキサン300mlに滴下して析出させた固相を取り出し、6.0gのポリマー7を得た。
【0041】
[製造例8]
(ポリマー8の合成)
窒素置換した反応フラスコに、N−フェニルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート25.0g、2−(2−メトキシエトキシ)エチルメタクリレート13.1g、エチルメチルケトン75g、2,2’−アゾビスイソブチルニトリル0.46gを仕込み、80℃で8時間撹拌した後、室温まで冷却した後、反応液をヘキサン300mlに滴下し析出させた固相を取り出し、イソブチルメチルケトンに溶解させ空気中120℃で10時間撹拌した。室温まで冷却した後、反応液を酢酸ヘキサン300mlに滴下して析出させた固相を取り出し、24.6gのポリマー8を得た
【0042】
<ポリマー1〜8の分析>
上記製造例1〜8により得られたポリマー1〜8について、数平均分子量、CHNによる窒素含有量から算出したヒンダードアミン基( HALS) 含量、IR分析をそれぞれ行った。結果を表1に記す。
【0043】
【表1】
【0044】
[評価例1]
下記の記録画像について、耐光性試験(キセノンランプ、63℃)による色差を測定した。結果を表2に示す。
【0045】
(実施例1)
上記の製造例で得られたインクジェット記録用耐光性付与剤であるポリマー3、7、8の2質量%水溶液、ポリマー5の2質量%メタノール溶液を、市販のインクジェット用紙にスプレーで塗布、自然乾燥させて作成した実施例用試験用紙をインクジェットプリンター(商品名:DeskJet815C、ヒューレトパッカード社製)にセットし、マゼンダ、イエロー、シアンをプリントした。
【0046】
(比較例1)
上記製造例において、N−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートの代わりに、1−メトキシ−2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートを用いたもの(比較例1−1〜1−4:表中ポリマーA−3、ポリマーA−5、ポリマーA−7、ポリマーA−8)、N−ブチルカルバモイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレートの代わりに、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレートを用いたもの(比較例1−5〜1−8:表中ポリマーB−3、ポリマーB−5、ポリマーB−7、ポリマーB−8)、及び耐光性付与剤を無添加のもの(比較例1−9)について、実施例1と同様に2質量%の溶液を塗布した比較例用試験用紙にマゼンダ、イエロー、シアンをプリントした。
【0047】
【表2】
【0048】
[評価例2]
以下の方法によりインク受容層を形成したインクジェット記録用紙を用いて、上記評価例1と同様に、マゼンダ、シアンについて評価した。結果を表3に示す。
【0049】
(実施例2)
非晶性シリカ(商品名:Mizukasil P−78D、水澤化学工業社製)100質量部、PVA(商品名:PVA−R−1130、クラレ社製)40質量部、ポリマー7を20質量部を固形分10質量%になるように水を加え溶解させた塗工液を調製して、乾燥質量で7g/m2 になるよう普通紙にダイコーターで塗工して実施例試験用紙を作成した。
【0050】
(比較例2)
ポリマー7の代わりに、上記したポリマーA−7又はB−7を用い、実施例2と同様に比較例用試験用紙を作成した。
【0051】
【表3】
【0052】
[評価例3]
以下の方法によりインク受容層を形成したインクジェット記録用紙を用いて、上記評価例1と同様に、マゼンダ、シアンについて評価した。結果を表4に示す。
【0053】
(実施例3)
下記方法で得られたカチオン系水性ウレタン100質量部にポリビニルアルコール100質量部、非晶性シリカ(商品名:Mizukasil P−78D、水澤化学工業社製)30質量部、表4に記載のポリマー15質量部を加えた後、水で希釈して固形分10質量%に調整して、乾燥質量で10g/m2 になるよう普通紙にダイコーターで塗工して実施例用試験用紙を作成した。
【0054】
(カチオン系水性ポリウレタンの調製)
分子量1000のポリエチレングリコールモノメチルエーテルとヘキサメチレンジイソシアネートのヌレート三量化物とから得られるノニオン性ジイソシアネート2.7モル、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート10.8モル、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸とイソフタル酸から得られる分子量1750のポリエステルポリール2.0モル及びN−メチルジエタノールアミン7.0を仕込み窒素気流下、N−メチルピロリドン溶媒中、90℃で2時間反応させて得られたプレポリマー溶液を、N−メチルジエタノールアミンと同モルの酢酸で中和し、この溶液を固形分30質量%となるように550ppmの消抱剤(フッ素系界面活性剤)水溶液に滴下して、カチオン系水性ポリウレタンを製造した。
【0055】
(比較例3)
実施例3から耐光性付与剤を除いて比較例用試験用紙を作成した。
【0056】
【表4】
【0057】
[評価例4]
下記の記録画像について、上記評価例1と同様に耐光性試験を行った。結果を表5に示す。
【0058】
(実施例4)
記録用耐光性付与剤であるポリマー3を1質量%になるようにインクジェットプリンター(商品名:DeskJet815C、ヒューレトパッカード社製)のインクに添加し、マゼンダ、シアンをプリントした。
【0059】
(比較例4)
ポリマー3の代わりにポリマーA−3を用いたもの、耐光性付与剤を無添加のものについて同様にマゼンダ、シアンをプリントした。
【0060】
【表5】
【0061】
【発明の効果】
本発明によって、インクジェット記録における記録画像に充分な耐光性を与える耐光性付与剤を提供できる。
Claims (5)
- 下記一般式(I)で表される重合性ヒンダードアミン化合物と少なくとも1種の他の重合性モノマーとを共重合させて得られるポリマーからなり、
上記の他の重合性モノマーが下記一般式(A)、(E)若しくは(G)で表されるもの又はアクリルアミドであるインクジェット記録用耐光性付与剤。
- 数平均分子量が700〜25000の範囲にある請求項1に記載のインクジェット記録用耐光性付与剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用耐光性付与剤を含有する塗工剤によりインク受理層が形成されているインクジェット記録用紙。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用耐光性付与剤を含有したインクジェット記録用インク。
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