JP4412193B2 - 仕掛かりパターンの作成方法およびその作成装置 - Google Patents
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Description
「信号かんばん方式」は、在庫ストアに保管されている該処理工程で処理した後の対象物(在庫品)が後工程に引き取られていき、所定の個数以下になった場合に、後工程が該処理工程に所定の個数の該対象物の発注を行い、処理工程は当該発注順に対象物の処理を行うという仕掛かり方法である。
「信号かんばん方式」は、後工程から受ける発注の時期が後工程での作業の進捗状況に応じて変動し得るが、一回の発注により処理する対象物の数を定めている、いわゆる定量不定期型の仕掛かり方法である。
「信号かんばん方式」は、在庫品の数を少なくすることが可能であり、在庫品が切れる(後工程の作業がストップする)という事態を防止することが可能である点で優れている。
特に、近年の処理工程では少量多品種化が進み、「信号かんばん方式」のみで仕掛かりを行うことが困難になってきている。
上記問題を解消するための仕掛かり方法として、種々の仕掛かり方法が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載の如くである。
「定定方式」は、一つの処理工程で処理する複数種類の対象物を、後工程で大量に使用されるもの(以下、「大量品」という。)、および、後工程で少量しか使用されないもの(以下、「少量品」という。)、の二種類に大別し、大量品についてはいわゆる「後補充かんばん方式」を適用し、少量品については「信号かんばん方式」を適用する仕掛かり方法である。
「後補充かんばん方式」は、前工程に発注する時期が定められているが、発注時の対象物の個数は前回の発注から今回の発注までの間に回収された「かんばん」の数で決まるため変動し得る、いわゆる定期不定量型の仕掛かり方法である。
また作成された仕掛かりパターンの良否の判断基準自体が確立されておらず、当該仕掛かりパターンの良否を検証することが困難である。
複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する仕掛かりパターンの作成方法であって、
該処理工程の基本情報を取得する基本情報取得工程と、
各対象物の必要数を取得する必要数取得工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、該必要数取得工程において取得された各対象物の必要数と、に基づいて、各対象物のロットサイクルおよびロットサイズを仮決定するロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物の指定席または自由席の区分を仮決定する指定席・自由席仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において自由席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である自由席出現率に基づいて、自由席の座席数を仮決定する自由席席数仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において指定席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である指定席出現率に基づいて、指定席の座席数を仮決定する指定席席数仮決定工程と、
該自由席席数仮決定工程において仮決定された自由席の座席数と、該指定席席数仮決定工程において仮決定された指定席の座席数と、該ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルおよびロットサイズと、所定の評価関数と、に基づいて、各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分を決定する最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された自由席の座席数と、該基本情報取得工程において取得された基本情報と、に基づいて、自由席処理時間を決定する自由席処理時間決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、自由席処理時間決定工程において決定された直当たりの自由席加工時間と、に基づいて、各対象物を該複数の直に配置する直配置工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、に基づいて、該直配置工程において各直に配置された対象物の座席順を決定する座席順決定工程と、
を具備し、
前記評価関数は、
各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、の少なくとも一つを変数とするものである。
複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する仕掛かりパターンの作成装置であって、
該処理工程の基本情報を取得する基本情報取得工程と、
各対象物の必要数を取得する必要数取得工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、該必要数取得工程において取得された各対象物の必要数と、に基づいて、各対象物のロットサイクルおよびロットサイズを仮決定するロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物の指定席または自由席の区分を仮決定する指定席・自由席仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において自由席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である自由席出現率に基づいて、自由席の座席数を仮決定する自由席席数仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において指定席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である指定席出現率に基づいて、指定席の座席数を仮決定する指定席席数仮決定工程と、
該自由席席数仮決定工程において仮決定された自由席の座席数と、該指定席席数仮決定工程において仮決定された指定席の座席数と、該ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルおよびロットサイズと、所定の評価関数と、に基づいて、各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分を決定する最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された自由席の座席数と、該基本情報取得工程において取得された基本情報と、に基づいて、自由席処理時間を決定する自由席処理時間決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、自由席処理時間決定工程において決定された直当たりの自由席加工時間と、に基づいて、各対象物を該複数の直に配置する直配置工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、に基づいて、該直配置工程において各直に配置された対象物の座席順を決定する座席順決定工程と、
を行い、仕掛かりパターンを作成する制御部と、
該仕掛かりパターンの作成に係るデータを入力可能な入力部と、
該入力部により入力されたデータおよび該制御部により作成された仕掛かりパターン等を表示することが可能な表示部と、
を具備し、
前記評価関数は、
各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、の少なくとも一つを変数とするものである。
図1および図2に示す如く、本実施例の仕掛かりパターンの作成方法は、所定の仕掛かりパターンを作成するものである。
ここで、本出願における「仕掛かりパターン」は、所定の処理工程で処理する対象物の処理する時期、処理する順序、一回に処理する個数(ロットサイズ)、等を定めた所定の時間的な長さを有するパターンであって、当該仕掛かりパターンを1サイクルとし、該仕掛かりパターンに従って該処理工程の処理作業を行う。
本実施例の仕掛かりパターンの作成方法は、複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する。
言い換えれば、本実施例の仕掛かりパターンの作成方法により作成される仕掛かりパターンは、複数の直を具備し、該複数の直はそれぞれ複数の座席を具備し、該座席にはそれぞれ該複数種類の対象物のいずれかがロット単位で配置される。
例えば、処理工程が金型を用いてプレス加工を行うプレス工程の場合、対象物はプレス加工前のブランク(所定の形状にカットされた板状の材料)であり、製品は所定の形状にプレス加工された後のプレス品である。
図1は本発明の仕掛かりパターンの作成方法に係る直の実施例を示す模式図である。
図1は、処理工程が金型を用いてプレス加工を行うプレス工程であって、該プレス工程が8:00から22:00まで稼動し、8:00から14:00までを「一直」、14:00から22:00までを「二直」と設定し、次の日の8:00から14:00までを「三直」、14:00から22:00までを「四直」と設定し、次の日に再び「一直」、「二直」を設定する・・・というように、2日で1サイクルの仕掛かりパターンであって、1サイクルの仕掛かりパターン内に4つの直を設定したものである。
なお、本実施例では処理工程が一つの工場内の一箇所に集中している場合を想定しているが、本発明は処理工程が同一工場内の複数の場所、または複数の工場に分散している場合にも適用可能である。この場合、同一工場内の場所毎または工場毎に、単数または複数の直を設定することが可能である。
図2は図1に示す計4つの直を予め設定した処理工程の各直に4つの座席を設定したものである。従って、本実施例の場合、仕掛かりパターンに設定される総座席数は計16席となる。
なお、各直に設定される座席の数は、各直の時間を後述する「最小ロット加工時間」で割った値から小数点以下を切り下げした値で表される。
図4に示す如く、作成装置1は主に制御部2、入力部3、表示部4等を具備する。
制御部2は、具体的にはCPU、ROM、及びRAM等がバスで接続される構成であっても良く、あるいは、ワンチップのLSI等からなる構成であっても良い。また、制御部2は専用品でも良いが、市販のパソコンやワークステーション等を用いて達成することも可能である。
入力部3は専用品でも良いが、市販のキーボードやタッチパネル等を用いて達成することも可能である。
また、該処理工程の制約条件に係る情報には、「最小ロット加工時間」、「最大ロットサイクル」、「直当たり最大段取り回数」等が含まれる。
なお、1サイクルの仕掛かりパターンに設定される直の数は、処理工程で処理される対象物の種類の数や前記「最小ロット加工時間」(すなわち、外段取りに要する時間)に基づいて適宜定めることが望ましい。
一般に、処理工程の待ち時間のロスを小さくし、処理工程の稼動効率を向上させる観点からは、処理工程で処理される対象物の種類の数が多くなるほど、あるいは「最小ロット加工時間」が大きくなるほど、最大ロットサイクルも大きくする必要がある。
「直当たり最大段取り回数」は、一つの直の間に最大で何種類の対象物を処理可能であるかを示す指標であり、いわゆる外段取りによる処理工程の待ち時間のロスを発生させないという条件を満たしつつ、一つの直に設定し得る最大の座席数を示すものである。
なお、本実施例では該基本情報を外部のデータベース等に格納し、作成装置1が該データベース等から該基本情報を取得する構成としたが、該基本情報を作成装置1自身に格納する構成としても良い。
ここで、本出願における「必要数」は、後工程から該処理工程に発注された対象物の個数(より厳密には製品の個数)または該処理工程から前工程に発注した対象物の個数を指すものとする。
また、本出願における「前工程」は、該処理工程に対象物を供給する工程を指し、「後工程」は該処理工程が処理後の対象物、すなわち製品を供給する工程を指すものとする。
なお、前工程および後工程は同一の工場内に存在していても、別の工場に存在していても良い。また、前工程および後工程は、該処理工程を有する会社等とは別の会社等の有する工程でも良い。
必要数取得工程200において、作成装置1は、外部のデータベース等に格納された各対象物の必要数に係る情報を取得する。
また、該必要数該に係る情報を格納する外部のデータベースは、前記基本情報を格納する外部のデータベースと一体でも別体でも良い。
なお、本実施例の仕掛かりパターンの作成方法は、基本情報取得工程100が終了したら必要数取得工程200に移行し、必要数取得工程200が終了したらロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300に移行する構成であるが、必要数取得工程200が終了したら基本情報取得工程100に移行し、基本情報取得工程100が終了したらロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300に移行する構成としても同様の効果を奏する。
ここで、本出願における「ロットサイクル」は、いわゆる外段取りによる処理工程の待ち時間のロスを発生させないという条件下で、対象物を何直に一回の割合で処理すればよいかを示す指標(単位:1/直)である。
また、本出願における「ロットサイズ」は当該対象物を処理すべき直においてまとめて処理する個数、すなわち当該対象物の一ロット当たりの個数を示し、必要数から求められる直当たり必要数と前記ロットサイクルの積で表される(単位:個)。
さらに、「直当たり必要数」は、ある対象物が発注されてから発注期限までの期間に含まれる実際に対象物を処理する直および実際には処理しない直の総和で必要数を割ったものを指すものとする。すなわち、「直当たり必要数」は、直当たりの平均の対象物の処理個数を示す指標である(単位:個/直)。
図5に示す如く、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300において、作成装置1は、基本情報として取得した各対象物の一個あたりの処理時間(単位:sec/個)と各対象物の直当たり必要数との積(単位:sec/直)を算出する。このようにして求められた各対象物の一個あたりの処理時間と各対象物の直当たり必要数との積は、各対象物についての「直当たりの平均の処理時間」(図5において、太い実線で表される)を示す。
このとき、「直当たりの平均の処理時間」が「最小ロット加工時間」よりも長い対象物は、必要数取得工程200において取得された必要数分の当該対象物を、納入期限までの全ての直で同じ個数ずつ平均的に処理した場合に、いわゆる外段取りによる処理工程の待ち時間のロスが発生しないことを示している。
一方、「直当たりの平均の処理時間」が「最小ロット加工時間」よりも短い対象物は、必要数取得工程200において取得された必要数分の当該対象物を、納入期限までの全ての直で同じ個数ずつ平均的に処理した場合に、いわゆる外段取りによる処理工程の待ち時間のロスが発生することを示している。従って、このような対象物については、各直で平均して処理せず、何直かに一回の割合でまとめて処理することによりいわゆる外段取りによる処理工程の待ち時間のロスが発生しない。
(N−1)×(直当たりの平均の処理時間)<(最小ロット加工時間)≦N×(直当たりの平均の処理時間) (式1)
指定席・自由席仮決定工程400において、作成装置1は、基本情報取得工程100において取得された基本情報に含まれる「最大ロットサイクル」と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物を指定席または自由席のいずれに配置するかを仮決定する。
また、作成装置1は、前記ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300において仮決定されたロットサイクルの値が、「最大ロットサイクル」よりも大きい対象物を、「自由席」に配置するものと仮決定する。
「自由席」に配置されることが仮決定された対象物は、直当たり必要数が小さい、または一個当たりの処理時間が短いために、「直当たり必要数」に直の数を掛けた値、すなわち、「仕掛かりパターンの1サイクル当たり必要数」個分の対象物を一回にまとめて処理しても、当該処理に要する時間(図5において斜線で表される)が「最小ロット加工時間」よりも短く、当該処理工程の最大ロットサイクル(直の数)を4とした場合には必ず外段取りによる処理工程の待ち時間のロスが発生する対象物である。
ここで、自由席出現率は、指定席・自由席仮決定工程400において自由席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数で表される。
自由席席数仮決定工程500において、作成装置1は、指定席・自由席仮決定工程400において自由席に配置されることが仮決定された各対象物の自由席出現率を算出し、該自由席出現率の総和を算出する。
次に、作成装置1は、該自由席出現率の総和に基づいて、以下の(式2)を満たす整数Mfを算出し、当該Mfの値を「仮決定された自由席の座席数」とする。
(Mf−1)/(最大ロットサイクル)<(自由席出現率の総和)≦Mf/(最大ロットサイクル) (式2)
ここで、指定席出現率は、指定席・自由席仮決定工程400において指定席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数で表される。
指定席席数仮決定工程600において、作成装置1は、指定席・自由席仮決定工程400において指定席に配置されることが仮決定された各対象物の指定席出現率を算出し、該指定席出現率の総和を算出する。
次に、作成装置1は、該指定席出現率の総和に基づいて、以下の(式3)を満たす整数Mrを算出し、当該Mrの値を「仮決定された指定席の座席数」とする。
(Mr−1)/(最大ロットサイクル)<(指定席出現率の総和)≦Mr/(最大ロットサイクル) (式3)
ここで、「仕掛かりパターンの1サイクルの総座席数」は各直に設定される座席数の総和である。また、各直に設定される座席の数は、各直の時間を「最小ロット加工時間」で割った値から小数点以下を切り下げした値で表される。
以下、当該調整後のロットサイズを「調整ロットサイズ」、当該調整後のロットサイクルを「調整ロットサイクル」と呼ぶこととする。
この条件では、指定席に配置されることが仮決定されている対象物Aから対象物Hまでの指定席出現率の総和は3.5(=0.50+5×0.50+2×0.25)である。
よって、調整後の指定席の座席数は自由席出現率の総和は14(13/4<3.5≦14/4)となる。そして、調整後の自由席の座席数は2のままであるため、(γ)自由席席数仮決定工程500において仮決定された自由席の座席数と「調整指定座席数」との和は16(=2+14)となる。
また、(β)仕掛かりパターンの1サイクルの総座席数は16(=4×4)である。
従って、「対象物Aのロットサイズおよびロットサイクルを2倍にする調整」を行ったものは、(γ)≦(β)の条件を満たす「候補」である。
ここで、「評価関数」は、(γ)≦(β)の条件を満たす「候補」の種々のパラメータ(各対象物の仮決定または調整されたロットサイクル・ロットサイズ)および前記基本情報の一部または全部を変数として入力することにより、所定の評価値を算出する関数である。そして、「評価値」とは、評価関数により求められる値であって、(γ)≦(β)の条件を満たす「候補」に基づいて作成される仕掛かりパターンの良否を所定の判断基準に従って判断するための指標となる値である。
ここで、「評価関数」の例としては、各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、を表すものが挙げられる。
この場合、各対象物の最終的なロットサイクル、最終的な指定席または自由席の区分および出現率は図6の如くとなる。
(直当たりの自由席処理時間)={Σ(W×X×Y/Z)}/S (式4)
ここで、Wは各対象物の一個あたりの処理時間であり、基本情報取得工程100において取得された基本情報に含まれる。
また、Xは最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイズである。
また、Yは最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルである。
また、Zは最大ロットサイクルであり、基本情報取得工程100において取得された基本情報に含まれる。
また、Sは最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された自由席の座席数である。
直配置工程900において、作成装置1は、最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された自由席の座席数に基づいて、該自由席を複数の直のいずれかに設定するかを決定する。
また、どの自由席にどの対象物を配置するかを決定する。このとき、各自由席に配置される対象物の最終ロットサイズ分の処理時間の和と自由席処理時間決定工程800において決定された直当たりの自由席処理時間との差が極力小さくなるように配置する。
ここで、「均等に」とは、特定の直に自由席を多数設定し、他の直には全く自由席を多数設定しないといった設定をしないこと、および、自由席が設定される直が連続し、次に自由席が設定されない直が連続するといった設定をしないこと、を指す。
例えば、図7に示す如く、一直と三直にそれぞれ自由席を一つ配置する。また、自由席に配置されることが決定された対象物I、対象物J、対象物Kのうち、最終ロットサイズが最も大きい対象物Iを一直の自由席に配置し、残りの対象物Jおよび対象物Kを三直の自由席に配置する。
そして、当該処理時間に基づいて、一つの直に配置される対象物の最終ロットサイズ分の処理時間の和が各直でほぼ「均等に」なるように、指定席に配置されることが決定された対象物を各直に配置していく。
このとき、最終ロットサイクルの値が小さい(出現率が大きい)対象物から順に配置するとともに、各対象物を複数の直に均等に配置する。
例えば、図7に示す如く、最終ロットサイクルが1(1/直)の対象物Aを一直から四直まで全てに配置し、最終ロットサイクルが2(1/直)の対象物Bを一直および三直に配置し、最終ロットサイクルが2(1/直)の対象物Cを二直および四直に配置し、最終ロットサイクルが2(1/直)の対象物Dを二直および四直に配置し、最終ロットサイクルが4(1/直)の対象物Eを一直に配置し、最終ロットサイクルが4(1/直)の対象物Fを三直に配置し、最終ロットサイクルが4(1/直)の対象物Gを四直に配置し、最終ロットサイクルが4(1/直)の対象物Hを二直に配置する。
このとき、指定席に配置される対象物を最終ロットサイクルが小さい順に並べ、自由席に配置される対象物を最後に並べる。このようにして、仕掛かりパターンが作成される。例えば、図8に示す如くである。
複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する仕掛かりパターンの作成方法であって、
該処理工程の基本情報を取得する基本情報取得工程100と、
各対象物の必要数を取得する必要数取得工程200と、
該基本情報取得工程100において取得された基本情報と、必要数取得工程200において取得された各対象物の必要数と、に基づいて、各対象物のロットサイクルおよびロットサイズを仮決定するロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300と、
該基本情報取得工程100において取得された基本情報と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物の指定席または自由席の区分を仮決定する指定席・自由席仮決定工程400と、
該指定席・自由席仮決定工程400において自由席に配置されることが仮決定された対象物の自由席出現率に基づいて、自由席の座席数を仮決定する自由席席数仮決定工程500と、
該指定席・自由席仮決定工程400において指定席に配置されることが仮決定された対象物の指定席出現率に基づいて、指定席の座席数を仮決定する指定席席数仮決定工程600と、
該自由席席数仮決定工程500において仮決定された自由席の座席数と、該指定席席数仮決定工程600において仮決定された指定席の座席数と、該ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程300において仮決定された各対象物のロットサイクルおよびロットサイズと、所定の評価関数と、に基づいて、各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分を決定する最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された自由席の座席数と、該基本情報取得工程100において取得された基本情報と、に基づいて、自由席処理時間を決定する自由席処理時間決定工程800と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、自由席処理時間決定工程800において決定された直当たりの自由席加工時間と、に基づいて、各対象物を該複数の直に配置する直配置工程900と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された各対象物の最終ロットサイクルと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程700において決定された各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、に基づいて、該直配置工程900において各直に配置された対象物の座席順を決定する座席順決定工程1000と、
を具備する。
このように構成することにより、所定の判断基準に従って容易に仕掛かりパターンを作成することが可能である。
各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、の少なくとも一つを変数とするものである。
このように構成することにより、処理工程の実情に合わせて好適な仕掛かりパターンを容易に作成することが可能である。
200 必要数取得工程
300 ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程
400 指定席・自由席仮決定工程
500 自由席席数仮決定工程
600 指定席席数仮決定工程
700 最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程
800 自由席処理時間決定工程
900 直配置工程
1000 座席順決定工程
Claims (2)
- 複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する仕掛かりパターンの作成方法であって、
該処理工程の基本情報を取得する基本情報取得工程と、
各対象物の必要数を取得する必要数取得工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、該必要数取得工程において取得された各対象物の必要数と、に基づいて、各対象物のロットサイクルおよびロットサイズを仮決定するロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物の指定席または自由席の区分を仮決定する指定席・自由席仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において自由席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である自由席出現率に基づいて、自由席の座席数を仮決定する自由席席数仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において指定席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である指定席出現率に基づいて、指定席の座席数を仮決定する指定席席数仮決定工程と、
該自由席席数仮決定工程において仮決定された自由席の座席数と、該指定席席数仮決定工程において仮決定された指定席の座席数と、該ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルおよびロットサイズと、所定の評価関数と、に基づいて、各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分を決定する最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された自由席の座席数と、該基本情報取得工程において取得された基本情報と、に基づいて、自由席処理時間を決定する自由席処理時間決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、自由席処理時間決定工程において決定された直当たりの自由席加工時間と、に基づいて、各対象物を該複数の直に配置する直配置工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、に基づいて、該直配置工程において各直に配置された対象物の座席順を決定する座席順決定工程と、
を具備し、
前記評価関数は、
各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、の少なくとも一つを変数とすることを特徴とする仕掛かりパターンの作成方法。 - 複数種類の対象物をロット単位で処理する処理工程に複数の直を設定し、該複数の直のそれぞれについて複数の座席を設定し、該複数の座席に該複数種類の対象物のいずれかをロット単位で配置する仕掛かりパターンの作成装置であって、
該処理工程の基本情報を取得する基本情報取得工程と、
各対象物の必要数を取得する必要数取得工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、該必要数取得工程において取得された各対象物の必要数と、に基づいて、各対象物のロットサイクルおよびロットサイズを仮決定するロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程と、
該基本情報取得工程において取得された基本情報と、ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルと、に基づいて各対象物の指定席または自由席の区分を仮決定する指定席・自由席仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において自由席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である自由席出現率に基づいて、自由席の座席数を仮決定する自由席席数仮決定工程と、
該指定席・自由席仮決定工程において指定席に配置されることが仮決定された対象物のロットサイクルの逆数である指定席出現率に基づいて、指定席の座席数を仮決定する指定席席数仮決定工程と、
該自由席席数仮決定工程において仮決定された自由席の座席数と、該指定席席数仮決定工程において仮決定された指定席の座席数と、該ロットサイクル・ロットサイズ仮決定工程において仮決定された各対象物のロットサイクルおよびロットサイズと、所定の評価関数と、に基づいて、各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分を決定する最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において自由席に配置されることが決定された対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された自由席の座席数と、該基本情報取得工程において取得された基本情報と、に基づいて、自由席処理時間を決定する自由席処理時間決定工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルおよび最終ロットサイズ、最終的な指定席および自由席の座席数、および各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、自由席処理時間決定工程において決定された直当たりの自由席加工時間と、に基づいて、各対象物を該複数の直に配置する直配置工程と、
該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終ロットサイクルと、該最終ロットサイクル・ロットサイズ・指定席・自由席決定工程において決定された各対象物の最終的な指定席または自由席の区分と、に基づいて、該直配置工程において各直に配置された対象物の座席順を決定する座席順決定工程と、
を行い、仕掛かりパターンを作成する制御部と、
該仕掛かりパターンの作成に係るデータを入力可能な入力部と、
該入力部により入力されたデータおよび該制御部により作成された仕掛かりパターン等
を表示することが可能な表示部と、
を具備し、
前記評価関数は、
各対象物のロットサイズの和、各対象物の処理時間の和、処理後の対象物の在庫の合計金額、処理後の対象物の在庫の体積の和、処理後の対象物の在庫の重量の和、の少なくとも一つを変数とすることを特徴とする仕掛かりパターンの作成装置。
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