JP4411958B2 - 塩素の製造方法 - Google Patents

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本発明は、塩素の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法に関する。
担体に担持された酸化ルテニウム触媒は塩化水素の酸化反応による塩素の製造法の触媒として有用であることが特許文献1に記載されている。しかしながら活性低下が大きいという問題があった。また、担持金属ルテニウム触媒中にパラジウム、銅化合物、クロム化合物、バナジウム化合物、アルカリ金属化合物、希土類化合物、マンガン化合物、アルカリ土類化合物などを添加した後に、酸化処理して得られる触媒が特許文献2に例示されている。さらに、触媒の活性低下を小さくする方法として担体の焼成温度を制御する方法が特許文献3に記載されているが、さらに活性低下が少ない触媒の開発が望まれていた。
特開2000−281314号公報 特許第3284879号公報 特開2002−79093号公報
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法を提供する点に存する。
すなわち、本発明は、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物のうち、少なくとも1種のFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物を含む担持酸化ルテニウム触媒を用いる塩素の製造方法に係るものである。
本発明により、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法を提供することができる。
本発明に記載されている担持酸化ルテニウム触媒とは、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物のうち、少なくとも1種のFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物を含む担持酸化ルテニウム触媒である。
担体としては、特許文献3に示されるような公知の担体が用いられる。好ましい担体は、酸化チタンを含有する担体であり、特に好ましい担体はルチル結晶形酸化チタンを含有する担体である。
担体に担持するルテニウム化合物としては、特許文献3に示されるような公知のルテニウム化合物が用いられる。特に好ましくは、塩化ルテニウム水和物があげられる。
担体に担持するFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物としては、Fe、Co、Ni、Rh、Pd、Ir、Os、Ptなどの金属、FeCl、FeCl、FeBr、FeBr、FeI、CoCl、CoBr、CoI、NiCl、NiI、RhCl、RhBr、IrCl、IrBr、IrCl、OsCl、PtCl、PtClなどのハロゲン化物およびその水和物、FeO、Fe、Fe、NiO、Ni、Ni、NiO、CoO、Co、Co、CoO、Rh、IrO、PtOなどの酸化物およびその水和物、Fe(ClO、Fe(ClO、Co(ClO、Ni(ClO、Rh(ClOなどの過塩素酸塩およびその水和物、Fe(NO、Ni(NO、Co(NO、Rh(NOなどの硝酸塩およびその水和物、NiCOなどの炭酸塩およびその水和物、HRhCl、(NHRhCl、HRhBr、などのハロゲン化ロジウム酸およびその塩およびその水和物、Rh(NHClなどのロジウムのアンミン錯塩およびその水和物、Rh(CHCOO)などのロジウムの有機酸塩およびその水和物、Rh(CO)12、Rh(CO)16などのロジウムカルボニル、KOsOなどのオスミウム酸塩およびその水和物、HIrCl、HIrCl、HIrBr、NaIrCl、NaIrCl、KIrCl、KIrCl、(NHIrCl、KIrBrなどのハロゲン化イリジウム酸およびその塩およびその水和物、HPtCl、NaPtCl、KPtCl、(NHPtCl、HPtCl、KPtCl、(NHPtCl、HPtBr、KPtBr、(NHPtBr、KPtBrなどのハロゲン化白金酸およびその塩およびその水和物、HPt(OH)、NaPt(OH)などのヒドロキシ白金酸およびその塩およびその水和物、Pt(NHCl、Pt(NH(NO、Pt(NHCO、Pt(NH(CHCOO)などの白金のアンミン錯塩およびその水和物があげられる。好ましくは上記に記載したイリジウム化合物、特に好ましくはハロゲン化イリジウムおよびその水和物、ハロゲン化イリジウム酸およびその塩およびその水和物があげられる。
担体にルテニウム化合物および、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物を担持する方法としては、特許文献3に示されるような公知の方法があげられる。ルテニウム化合物と、Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物を担持する順序はどちらを先にしても構わないし、同時でも構わない。
次いで、担持したルテニウム化合物を酸化する方法としては、特許文献3に示されるような公知の方法があげられる。
Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物は、担持された化合物の形のまま用いても良いし、酸化剤などにより酸化して用いても良く、還元剤などにより還元して用いても良い。
酸化ルテニウムと担体の質量比は、特許文献3に示されるような範囲が一般的である。
担体上に形成される酸化ルテニウムとしては特許文献3に示されるような公知の化合物が例としてあげられる。
Fe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物と担体との質量比は、好ましくは、0.1/99.9〜20.0/80.0であり、より好ましくは、0.2/99.8〜15.0/85.0である。担持されるFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物の比率が高すぎると活性が低くなる場合があり、担持されるFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物の比率が低すぎると本発明の効果が得られない場合がある。
酸化ルテニウムとFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物との質量比は、好ましくは、1.0/99.0〜80.0/20.0であり、より好ましくは、5.0/95.0〜50.0/50.0である。酸化ルテニウムとFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物の比率が高すぎると活性が低くなる場合があり、酸化ルテニウムとFe、Co、Ni、Rh、Os、Ir、Pt金属または化合物の比率が低すぎると本発明の効果が得られない場合がある。
本発明は、上記の触媒を用いて、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するものである。塩素を得るにあたり、反応方式としては特許文献3に示されるような公知の反応方式が用いられる。
反応温度は、高温の場合、反応の平衡転化率が下がるため低い温度で反応することが望まれ、100〜500℃が好ましく、より好ましくは200〜450℃があげられる。反応圧は通常0.1〜5MPa程度である。酸素原料としては、空気をそのまま使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、理論量の0.1〜10倍供給するのが通常である。また、触媒の使用量は、固定床気相流通方式の場合で、0.1MPa下原料塩化水素の供給速度との比GHSVで表わすと、通常10〜20000h-1程度である。
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例より限定されるものではない。
触媒製造例1
次の方法により触媒を調製した。すなわち、αアルミナ粉末(住友化学(株)、AES−12)40.0gと酸化チタン粉末(堺化学(株)、STR−60R、100%ルチル結晶)40.0gとメチルセルロース1.6g(信越化学(株)、メトローズ65SH−4000)を混合し、次いで純水を20.0g、酸化チタンゾル(堺化学(株)CSB、TiO2含量38質量%)10.5gを加え混練した。この混合物を直径1.5mmφのヌードル状に押出した。押出したものを60℃で2時間乾燥した後、長さ3〜5mm程度に破砕し、69.9gの成型体を得た。得られた成型体7.4gを分取し、空気中で、室温から630℃まで2時間で昇温し、同温度で3時間焼成し、7.3gの白色押出し状酸化チタン−αアルミナの混合物担体を得た。
次いで、この担体と同様の調製法で調製した担体10.0gに、塩化ルテニウム水和物(エヌ・イーケムキャット製、RuCl3・nH2O、Ru含量40.0質量%)0.593gとヘキサクロロイリジウム酸水和物(和光純薬製、HIrCl・nH2O、Ir含量36.5質量%)0.177gを2.0gの純水に溶解して調製した水溶液を含浸し、24℃で15時間放置した。次いで、得られた固体11.1gの内5.5gを分取し、室温から250℃まで空気流通下、1.3時間で昇温し、同温度で2時間焼成し、5.1gの青灰色押出し状酸化チタン−αアルミナ担体に酸化ルテニウムとイリジウム化合物が担持された触媒(A)を得た。
実施例1
得られた触媒(A)1.2gを石英製反応管(内径21mm)に充填した。次に、塩化水素80ml/minと酸素40ml/min(いずれも0℃、0.1MPa換算)をあらかじめ、塩化水素の転化率を50%以上のガス組成に調整させた後触媒(A)の充填層に供給し、ホットスポットを300℃とした。300℃での運転を150時間行った後、ホットスポットを380℃とした。380℃での運転を157時間行った後、反応を停止し、触媒を抜き出した。
次に、300℃で150時間、380℃で157時間使用後の触媒の活性を測定した。抜き出した触媒のうち1.0gを分取し、直径2mmのα−アルミナ球(ニッカトー(株)製、SSA995)12gで触媒を希釈してニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに触媒層上部にα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。塩化水素80ml/minと酸素40ml/min(いずれも0℃、1気圧換算)を常圧下に供給し、触媒層を282〜283℃に加熱した。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30質量%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを行い、ヨウ素滴定法及び中和滴定法によりそれぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量を測定した。
塩素の生成量から下式より計算された塩化水素の転化率を表1に示した。
塩化水素の転化率(%)=(塩素の生成量(mol/min)×2/塩化水素の供給量(mol/min))×100
なお、300℃で150時間、380℃で157時間使用する前の触媒(A)の活性を同様に測定し、塩化水素の転化率を表1に示した。
比較例1
触媒製造例1で得られた触媒にヘキサクロロイリジウム酸水和物を用いないこと以外は同様の方法で酸化チタン−αアルミナ担持酸化ルテニウム触媒(B)を調製した。
得られた触媒(B)を実施例1と同様の方法で、300℃で150時間、380℃で157時間使用し、次いで抜き出した触媒の活性を測定した。塩化水素の転化率を表1に示した。
なお、300℃で150時間、380℃で157時間使用する前の触媒(B)の活性を同様に測定し、塩化水素の転化率を表1に示した。
Figure 0004411958
*300℃で150時間、その後380℃で157時間使用前後の活性

Claims (2)

  1. 塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、Ir金属またはIr化合物を含む担持酸化ルテニウム触媒を用いる塩素の製造方法。
  2. 触媒担体が、酸化チタンを含む担体である担持酸化ルテニウム触媒を用いる請求項1記載の製造方法。
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