JP4400042B2 - 担持酸化ルテニウム触媒及び塩素の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、担持酸化ルテニウム触媒及び塩素の製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、担持酸化ルテニウム触媒及び塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒及び該触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
担体に担持された酸化ルテニウム触媒は塩化水素の酸化反応による塩素の製造法の触媒として有用であることが特許文献1に記載されている。しかしながら活性低下が大きいという問題があった。また、触媒の活性低下を小さくする方法として担体の焼成温度を制御する方法が特許文献2に記載されているが、さらに活性低下が少ない触媒の開発が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−281314号公報
【特許文献2】
特開2002−79093号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
かかる現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、担持酸化ルテニウム触媒及び塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒及び該触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法を提供する点に存する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、比表面積が13〜16m /gであり、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造するための担持酸化ルテニウム触媒であって、触媒担体が、ルチル結晶形の酸化チタン20〜40質量%及びαアルミナ60〜80質量%の範囲の混合物担体である担持酸化ルテニウム触媒、及び該触媒を用いて塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法に係るものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の第一の発明に記載されている担持酸化ルテニウム触媒とは、比表面積13〜16m/gである担持酸化ルテニウム触媒である。
【0007】
担体としては、特許文献2に示されるような公知の担体が用いられる。好ましい担体は、ルチル結晶形酸化チタンを含有する担体であり、特に好ましい担体はルチル結晶形酸化チタンとαアルミナの混合物である。
【0008】
担体がルチル結晶形酸化チタンとαアルミナの場合の酸化チタンとアルミナの含有量は、好ましくは、ルチル結晶形の酸化チタン20〜80質量%及びαアルミナ20〜80質量%であり、より好ましくは、ルチル結晶形の酸化チタン20〜40質量%及びαアルミナ60〜80質量%である。ルチル結晶形酸化チタン含有量が多すぎると活性低下が大きく、少なすぎると活性が低いという問題がある。
【0009】
触媒の比表面積を13〜16m/gにする方法としては、担体の比表面積をあらかじめ13〜16m/gにする方法があげられる。担体の比表面積を13〜16m/gにする方法としては、空気中で焼成する方法があげられる。焼成温度としては、好ましくは500〜1000℃、より好ましくは700〜850℃があげられる。焼成温度は、使用する原料の粒子形状、比表面積、組成、成型などに使用する添加剤、焼成ガス線速などにより変化する。
【0010】
比表面積を測定する方法としては分子の吸着を用いたBET法が一般的である。本発明における触媒の比表面積においては窒素吸着によるBET1点法を用いる。
【0011】
担体に担持するルテニウム化合物としては、特許文献2に示されるような公知のルテニウム化合物が用いられる。特に好ましくは、塩化ルテニウム水和物があげられる。
【0012】
担体にルテニウム化合物を担持する方法としては、特許文献2に示されるような公知の方法があげられる。
【0013】
次いで、担持したルテニウム化合物を酸化する方法としては、特許文献2に示されるような公知の方法があげられる。
【0014】
酸化ルテニウムと担体の質量比は、特許文献2に示されるような範囲が一般的である。
【0015】
担持する酸化ルテニウムとしては特許文献2に示されるような公知の化合物が例としてあげられる。
【0016】
本発明のうち第二の発明は、上記の触媒を用いて、塩化水素を酸素により酸化して塩素を製造するものである。塩素を得るにあたり、反応方式としては特許文献2に示されるような公知の反応方式が用いられる。
【0017】
反応温度は、高温の場合、反応の平衡転化率が下がるため低い温度で反応することが望まれ、100〜500℃が好ましく、より好ましくは200〜450℃があげられる。反応圧は通常大気圧〜50気圧程度である。酸素原料としては、空気をそのまま使用してもよいし、純酸素を使用してもよい。塩化水素に対する酸素の理論モル量は1/4モルであるが、理論量の0.1〜10倍供給するのが通常である。また、触媒の使用量は、固定床気相流通方式の場合で、大気圧下原料塩化水素の供給速度との比GHSVで表わすと、通常10〜20000h-1程度である。
【0018】
【実施例】
以下に実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例より限定されるものではない。
触媒製造例1
次の方法により触媒を調製した。すなわち、αアルミナ粉末(住友化学(株)、AES−12)7kgと酸化チタン粉末(堺化学(株)、STR−60R、100%ルチル結晶形)3.5kgとメチルセルロース210g(信越化学(株)、メトローズ65SH−4000)を混合し、次いで純水を2198g、酸化チタンゾル(堺化学(株)、CSB、TiO2含量38質量%)1377g、グリセリン42g、ユニルーブ(日本油脂(株)、50MB−26)210gを加え混練した。この混合物を直径3.0mmφ、長さ3〜5mm程度のヌードル状に押出して成型体を得た。得られた成型体50gを分取し、空気中で、室温から800℃まで2.2時間で昇温し、同温度で3時間焼成し、47.5g白色の押出し状酸化チタン−αアルミナの混合物担体を得た。
担体のルチル結晶形酸化チタン含量の計算値は、
TiO2/(TiO2+Al3)×100=36.5質量%であった。
担体のαアルミナ含量の計算値は、
Al3/(TiO2+Al3)×100=63.5質量%であった。
次いで、この担体20.0gに、塩化ルテニウム(添川理化学製、RuCl3・nH2O、Ru含量40.7質量%)0.748gと4.9gの純水に溶解して調製した水溶液を含浸し、25℃で15時間放置した。次いで、得られた固体を、室温から250℃まで空気流通下、1.3時間で昇温し、同温度で2時間焼成し、20.4gの青灰色押出し状酸化チタン−αアルミナ担持酸化ルテニウム触媒(A)を得た。
BET1点法にて測定された触媒(A)の比表面積を表1に示した。
【0019】
実施例1
得られた触媒(A)1.1gを石英製反応管(内径21mm)に充填した。次に、塩化水素80ml/minと酸素40ml/min(いずれも0℃、1気圧換算)をあらかじめ、塩化水素の転化率を50%以上のガス組成に調整させた後触媒(A)の充填層に供給し、ホットスポットを440℃とした。ガスの供給による反応開始から50時間後、反応を停止し、触媒を抜き出した。
次に、ホットスポット440℃で50時間使用後の触媒の活性を測定した。抜き出した触媒のうち1.0gを分取し、直径2mmのα−アルミナ球(ニッカトー(株)製、SSA995)12gで触媒を希釈してニッケル製反応管(内径14mm)に充填し、さらに触媒層上部にα−アルミナ球12gを予熱層として充填した。塩化水素80ml/minと酸素40ml/min(いずれも0℃、1気圧換算)を常圧下に供給し、触媒層を281〜282℃に加熱した。反応開始1.5時間後の時点で、反応管出口のガスを30質量%ヨウ化カリウム水溶液に流通させることによりサンプリングを行い、ヨウ素滴定法及び中和滴定法によりそれぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水素量を測定した。
塩素の生成量から下式より計算された塩化水素の転化率を表1に示した。
塩化水素の転化率(%)=(塩素の生成量(mol/min)×2/塩化水素の供給量(mol/min))×100
なお、440℃で使用する前の触媒(A)の活性を同様に測定し、塩化水素の転化率を表1に示した。
【0020】
比較例1
触媒製造例1で得られた成型体を空気流通下、室温から600℃まで1.7時間で昇温し、同温度で3時間焼成した以外は同様の方法で酸化チタン−αアルミナ担持酸化ルテニウム触媒(B)を調製した。
BET1点法にて測定された触媒(B)の比表面積を表1に示した。
得られた触媒(B)を実施例1と同様の方法でホットスポット440℃、50時間使用し、次いで抜き出した触媒の活性を測定した。塩化水素の転化率を表1に示した。
なお、440℃で使用する前の触媒(B)の活性を同様に測定し、塩化水素の転化率を表1に示した。
【0021】
【表1】
Figure 0004400042
【0022】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により、担持酸化ルテニウム触媒及び塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、活性低下が小さいという特徴を有する触媒及び該触媒の存在下、塩化水素を酸素によって酸化する塩素の製造方法を提供することができた。

Claims (3)

  1. 比表面積13〜16m/gであり、塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造するための担持酸化ルテニウム触媒であって、触媒担体が、ルチル結晶形の酸化チタン20〜40質量%及びαアルミナ60〜80質量%の範囲の混合物担体である担持酸化ルテニウム触媒
  2. 触媒担体が、700〜850℃で焼成された担体である請求項1に記載の触媒。
  3. 塩化水素を酸素によって酸化して塩素を製造する方法であって、請求項1または2記載の触媒を用いる塩素の製造方法。
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