JP2019181332A - ヨウ化水素分解用触媒 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高いヨウ化水素転化率を達成し得るヨウ化水素分解用触媒を提供すること。【解決手段】白金族金属が、金属酸化物を含有する担体に担持されたヨウ化水素分解用触媒であって、該触媒は、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものであるヨウ化水素分解用触媒。好ましくは、前記第14族非金属元素からなる単体が炭素であるヨウ化水素分解用触媒。【選択図】なし
Description
本発明は、ヨウ化水素分解用触媒に関するものである。
水素は燃焼しても二酸化炭素が発生しないことからクリーンな新エネルギーとして注目されている。二酸化炭素を副生せず、熱化学プロセスにより水素を合成する方法として、水を原料として、ヨウ素、硫黄の循環を利用するISプロセスが知られている。ISプロセスでは、原料の水(H2O)をヨウ素(I2)及び二酸化硫黄(SO2)と反応させてヨウ化水素(HI)と硫酸(H2SO4)を生成させ、それらを熱分解して水素と酸素を製造する。
SO2 + I2 + 2H2O → 2HI + H2SO4 (1)
2HI → I2 + H2 (2)
H2SO4 → SO2 + 0.5O2 + H2O (3)
式(2)で示されるヨウ化水素分解反応において使用される触媒としては、アルミナやセリア等の酸化物担体に白金族金属を担持した担持白金族金属触媒が知られている(例えば非特許文献1〜2)。
SO2 + I2 + 2H2O → 2HI + H2SO4 (1)
2HI → I2 + H2 (2)
H2SO4 → SO2 + 0.5O2 + H2O (3)
式(2)で示されるヨウ化水素分解反応において使用される触媒としては、アルミナやセリア等の酸化物担体に白金族金属を担持した担持白金族金属触媒が知られている(例えば非特許文献1〜2)。
日本化学会誌、1980、p1081
Int.J.Hydrogen Energy、33、2008、p602
ヨウ化水素分解反応の反応転化率が低い場合、未反応ヨウ化水素の循環量が多くなるため、生産性が低下する。そのため、工業的にはヨウ化水素を効率的に分解して、より高いヨウ化水素転化率を達成できる高性能な触媒が望まれている。
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、より高いヨウ化水素転化率を達成し得る触媒を提供する点にある。
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、より高いヨウ化水素転化率を達成し得る触媒を提供する点にある。
すなわち本発明は、白金族金属が金属酸化物を含有する担体に担持されたヨウ化水素分解用触媒であって、
該触媒は、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものであるヨウ化水素分解用触媒に係るものである。
該触媒は、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものであるヨウ化水素分解用触媒に係るものである。
本発明によれば、高いヨウ化水素転化率を達成し得る触媒を提供することができる。
本発明におけるヨウ化水素分解用触媒は、少なくとも白金族金属が、金属酸化物を含有する担体に担持された触媒である。
<白金族金属>
白金族金属とは、周期表第5〜6周期の第8〜10族金属である。好ましい白金族金属としては、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、白金があげられる。
白金族金属とは、周期表第5〜6周期の第8〜10族金属である。好ましい白金族金属としては、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、イリジウム、白金があげられる。
<金属酸化物を含有する担体>
金属酸化物を含有する担体としては、金属酸化物、金属酸化物を含む固溶体、金属元素を含む複合酸化物等、があげられ、また、これらは金属酸化物を含まない物質との混合物であってもよい。
上記金属酸化物に含まれる好ましい金属としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、セリウムがあげられ、好ましい金属酸化物としては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、セリア(CeO2)があげられる。
金属酸化物を含む固溶体としてはセリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)のような金属酸化物と金属酸化物の固溶体があげられる。金属元素を含む複合酸化物としては、チタン酸バリウム(TiBaO3)等のペロブスカイト型複合酸化物、ジンクアルミネート(ZnAl2O4)のようなスピネル型複合酸化物、Ce2Zr2O7のようなパイロクロア型複合酸化物等があげられる。
上記担体の表面積は、BET比表面積で一般に1m2/g〜1000m2/gである。
金属酸化物を含有する担体としては、金属酸化物、金属酸化物を含む固溶体、金属元素を含む複合酸化物等、があげられ、また、これらは金属酸化物を含まない物質との混合物であってもよい。
上記金属酸化物に含まれる好ましい金属としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、セリウムがあげられ、好ましい金属酸化物としては、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、チタニア(TiO2)、セリア(CeO2)があげられる。
金属酸化物を含む固溶体としてはセリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)のような金属酸化物と金属酸化物の固溶体があげられる。金属元素を含む複合酸化物としては、チタン酸バリウム(TiBaO3)等のペロブスカイト型複合酸化物、ジンクアルミネート(ZnAl2O4)のようなスピネル型複合酸化物、Ce2Zr2O7のようなパイロクロア型複合酸化物等があげられる。
上記担体の表面積は、BET比表面積で一般に1m2/g〜1000m2/gである。
本発明に係るヨウ化水素分解用触媒中、金属酸化物を含有する担体に対する白金族金属の質量比(白金族金属/金属酸化物を含有する担体)は1/10000以上1/10以下が一般的である。
<白金族金属を、金属酸化物を含有する担体に担持する方法>
白金族金属を、金属酸化物を含有する担体に担持する方法としては、白金族金属のコロイド溶液と金属酸化物を含有する担体とを接触させて、金属酸化物を含有する担体に白金族金属のコロイドを沈着させることにより含浸担持する方法;白金族金属の塩化物や硝酸塩等の白金族金属の化合物を溶解させた溶液と金属酸化物を含有する担体とを接触させて、金属酸化物を含有する担体に白金族金属化合物を沈着させることにより含浸担持したのち、還元する方法;があげられる。白金族金属あるいは白金族金属化合物を、金属酸化物を含有する担体に担持する前に、金属酸化物を含有する担体を、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾してもよい。
白金族金属の化合物としては、白金族金属塩化物、白金族金属塩化物の塩、白金族金属硝酸塩、白金族金属アンミン錯体等があげられ、具体的には、ヘキサクロリド白金(IV)酸、ヘキサクロリド白金(IV)酸ナトリウム、テトラアンミン白金(II) クロリド、塩化ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム(III) クロリド、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、ヘキサアンミンロジウム(III)クロリド、塩化イリジウム(III)、硝酸イリジウム(IV)等があげられる。
白金族金属を、金属酸化物を含有する担体に担持する方法としては、白金族金属のコロイド溶液と金属酸化物を含有する担体とを接触させて、金属酸化物を含有する担体に白金族金属のコロイドを沈着させることにより含浸担持する方法;白金族金属の塩化物や硝酸塩等の白金族金属の化合物を溶解させた溶液と金属酸化物を含有する担体とを接触させて、金属酸化物を含有する担体に白金族金属化合物を沈着させることにより含浸担持したのち、還元する方法;があげられる。白金族金属あるいは白金族金属化合物を、金属酸化物を含有する担体に担持する前に、金属酸化物を含有する担体を、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾してもよい。
白金族金属の化合物としては、白金族金属塩化物、白金族金属塩化物の塩、白金族金属硝酸塩、白金族金属アンミン錯体等があげられ、具体的には、ヘキサクロリド白金(IV)酸、ヘキサクロリド白金(IV)酸ナトリウム、テトラアンミン白金(II) クロリド、塩化ルテニウム、ヘキサアンミンルテニウム(III) クロリド、塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、ヘキサアンミンロジウム(III)クロリド、塩化イリジウム(III)、硝酸イリジウム(IV)等があげられる。
以下に白金族金属化合物溶液と金属酸化物を含有する担体とを接触させて、前記担体に白金族金属を沈着させることにより含浸担持する方法の具体例を示す。
まず白金族金属の塩化物を溶解させ濃度調整した水溶液を、インシピエントウェットネス法や、ポアフィリング法等により、担体に含浸させ、担体の細孔内に溶液を含んだ担持物を得る。なお、インシピエントウェットネス法とは、担体の細孔内が満たされる溶液の量で含浸する方法である。ポアフィリング法とは、予め測定しておいた担体の細孔容積に液量を合わせて含浸する方法である。
まず白金族金属の塩化物を溶解させ濃度調整した水溶液を、インシピエントウェットネス法や、ポアフィリング法等により、担体に含浸させ、担体の細孔内に溶液を含んだ担持物を得る。なお、インシピエントウェットネス法とは、担体の細孔内が満たされる溶液の量で含浸する方法である。ポアフィリング法とは、予め測定しておいた担体の細孔容積に液量を合わせて含浸する方法である。
次に得られた担持物を乾燥し、乾燥した担持物を得る。乾燥温度に制限は無いが、凍結乾燥機が使用可能な温度、例えば−80℃以上が好ましく、送風乾燥器が使用可能な温度、例えば200℃以下が好ましい。より好ましくは用いた溶液の凝固点以上沸点以下の温度である。室温での減圧乾燥や送風乾燥が、エネルギー的に効率がよく好ましい。また、必要に応じて室温乾燥と加熱乾燥を組み合わせてもよい。乾燥雰囲気は、空気中でよいが、必要に応じて窒素等の不活性ガス中で乾燥することも可能である。
乾燥により得られた担持物は、酸化して白金族金属酸化物にしたのち還元してもよく、そのまま還元してもよい。酸化方法としては、空気のような酸素含有ガス中で加熱する方法があげられる。酸化温度としては担持された白金族金属化合物が酸素により酸化されて酸化物になる温度以上であればよいが、短時間で酸化するために、好ましくは220℃以上である。還元方法としては水素により還元する方法があげられる。水素による還元は、水素含有ガスを用いてもよく、アンモニア、ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、水素化ホウ素ナトリウム等の、分解して水素を発生する還元剤を用いてもよい。水素含有ガスを用いる場合は、通常0℃以上800℃以下で還元が実施される。還元温度が高すぎると白金族金属がシンターリングを起こし性能が低下する恐れがあり、還元温度が低すぎると十分に還元が進まない恐れがある。ヒドラジン、ヒドラジン一水和物、水素化ホウ素ナトリウムのような液状あるいは固体状の還元剤は、溶剤の使用等により希釈溶液として用いると取扱いが容易である。また、ヒドラジンあるいはヒドラジン一水和物のような含窒素還元剤を用いる場合は、溶液に水酸化ナトリウム等を添加し、塩基性を調整して還元することもできる。
白金族金属化合物として、白金族金属のアンミン錯体のような加熱自己分解により還元可能な化合物を用いることもでき、このような場合、不活性ガス中での加熱によって容易に白金族金属を担持することができる。また、液相中で白金族金属化合物をアスコルビン酸やクエン酸あるいはそれらの塩を用いて還元することもでき、白金族金属化合物を担体に担持した後にこれらの還元剤を用いて還元する方法や、あるいは、白金族金属化合物を還元しながら担体に担持することもできる。
<表面修飾>
本発明におけるヨウ化水素分解用触媒は、該触媒が、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものである触媒である。本発明における非金属元素は金属以外の元素を意味し、半金属元素を含む。従って、本発明における周期表第14族非金属元素は、C,Si,およびGeからなる群より選ばれる少なくとも一種である。なお、以下、「周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上」を、「修飾剤」と記載することがある。
本発明におけるヨウ化水素分解用触媒は、該触媒が、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものである触媒である。本発明における非金属元素は金属以外の元素を意味し、半金属元素を含む。従って、本発明における周期表第14族非金属元素は、C,Si,およびGeからなる群より選ばれる少なくとも一種である。なお、以下、「周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上」を、「修飾剤」と記載することがある。
<修飾剤>
周期表第14族非金属元素からなる単体は、結晶であっても非晶であってもよい。従って、周期表第14族非金属元素からなる単体は、炭素、ケイ素、ゲルマニウムの結晶あるいは非晶のいずれかを意味する。
周期表第14族非金属元素を二種含む化合物としては、炭化ケイ素(SiC)、炭化ゲルマニウム(GeC)があげられる。周期表第14族非金属元素の固体酸化物としては、シリカ(SiO2)、二酸化ゲルマニウム(GeO2)があげられる。
修飾剤が周期表第14族非金属元素からなる単体を含む場合、本発明の効果を失わない範囲で部分的に該単体の酸化物や水素化物を含んでもよい。部分的に酸化物を含む炭素の単体としては、酸化ダイヤモンドや酸化グラフェンがあげられる。また、部分的に水素化物を含むケイ素の単体としては、水素化アモルファスシリコンがあげられる。
周期表第14族非金属元素からなる単体は、結晶であっても非晶であってもよい。従って、周期表第14族非金属元素からなる単体は、炭素、ケイ素、ゲルマニウムの結晶あるいは非晶のいずれかを意味する。
周期表第14族非金属元素を二種含む化合物としては、炭化ケイ素(SiC)、炭化ゲルマニウム(GeC)があげられる。周期表第14族非金属元素の固体酸化物としては、シリカ(SiO2)、二酸化ゲルマニウム(GeO2)があげられる。
修飾剤が周期表第14族非金属元素からなる単体を含む場合、本発明の効果を失わない範囲で部分的に該単体の酸化物や水素化物を含んでもよい。部分的に酸化物を含む炭素の単体としては、酸化ダイヤモンドや酸化グラフェンがあげられる。また、部分的に水素化物を含むケイ素の単体としては、水素化アモルファスシリコンがあげられる。
これら修飾剤による表面修飾は、前記担体あるいは白金族金属の少なくとも一方に実施されればよく、前記単体と白金族金属の両方が表面修飾されてもよい。従って、予め表面修飾された担体に白金族金属を担持することもできるし、白金族金属を担体に担持した後に修飾することもできる。また、例えば予め修飾した白金族金属コロイドを担体に担持することも可能である。
本発明の表面修飾は、化学結合を含まない物理修飾でも、化学結合を含む物理修飾でも構わない。また、物理修飾においても、物理的効果にとどまらず、白金族金属に隣接させることにより電子的効果を与えることも可能である。
本発明の表面修飾は、化学結合を含まない物理修飾でも、化学結合を含む物理修飾でも構わない。また、物理修飾においても、物理的効果にとどまらず、白金族金属に隣接させることにより電子的効果を与えることも可能である。
<表面修飾する方法>
以下に、前記担体および/または白金族金属を表面修飾する方法について説明する。
炭素で修飾する方法としては、炭化水素含有ガス雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。炭化水素としてはアルケンが挙げられ、アルケンとしては、プロピレン、エチレン、1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、等があげられる。また、エタンやプロパンやブタンのように白金族金属存在下でアルケンを発生させるアルカンを使用することも可能である。プロピレン含有ガス雰囲気下で修飾する方法としては、例えばIranian Journal of Chemical Engineering Volume 7, No. 2 page 51 (Spring),IAChE(2010)記載の方法が挙げられる。
以下に、前記担体および/または白金族金属を表面修飾する方法について説明する。
炭素で修飾する方法としては、炭化水素含有ガス雰囲気下で加熱する方法が挙げられる。炭化水素としてはアルケンが挙げられ、アルケンとしては、プロピレン、エチレン、1−ブテン、trans−2−ブテン、cis−2−ブテン、等があげられる。また、エタンやプロパンやブタンのように白金族金属存在下でアルケンを発生させるアルカンを使用することも可能である。プロピレン含有ガス雰囲気下で修飾する方法としては、例えばIranian Journal of Chemical Engineering Volume 7, No. 2 page 51 (Spring),IAChE(2010)記載の方法が挙げられる。
ケイ素で修飾する方法としては、モノシランを原料としたCVD(chemical vapor deposition)法によって修飾する方法があげられる。水素を含むケイ素で修飾する方法としては、モノシランを放電させプラズマの状態にして堆積させるプラズマCVD法によって修飾する法があげられる。
ケイ素の酸化物であるシリカで修飾する方法としては、アルキルアミノアルコキシシランとアルコキシシランを加水分解させた後、焼成してシリカ層を形成させる方法が挙げられ、具体例としてはCARBON Volume 47, page 1251,(2009)に記載されているように、CARBON Volume 46, page 365,(2008)記載の調製方法に従って3−アミノプロピルトリエトキシシランとトリエトキシシランを加水分解させ、焼成によりSiO2層を形成させる方法があげられる。また、トリエトキシシランのようなアルコキシシランを含浸担持したのち、含酸素雰囲気下で加熱することにより酸化分解してシリカ層を形成させる方法も好ましい方法としてあげられる。
ケイ素の酸化物であるシリカで修飾する方法としては、アルキルアミノアルコキシシランとアルコキシシランを加水分解させた後、焼成してシリカ層を形成させる方法が挙げられ、具体例としてはCARBON Volume 47, page 1251,(2009)に記載されているように、CARBON Volume 46, page 365,(2008)記載の調製方法に従って3−アミノプロピルトリエトキシシランとトリエトキシシランを加水分解させ、焼成によりSiO2層を形成させる方法があげられる。また、トリエトキシシランのようなアルコキシシランを含浸担持したのち、含酸素雰囲気下で加熱することにより酸化分解してシリカ層を形成させる方法も好ましい方法としてあげられる。
本発明のヨウ化水素分解用触媒は、前述のヨウ化水素ガスの分解反応に用いられる。前記ヨウ化水素分解用触媒の存在下、ヨウ化水素を分解して、ヨウ素と水素を得る工程により、水素を製造することができる。
ISプロセスのように水を含むヨウ化水素を分離して原料ヨウ化水素ガスを得る場合、原料ヨウ化水素ガスは予め水を分離して十分に少なくした方がより高い転化率を得やすいため好ましいが、分離コストを低減するために水蒸気を含んだヨウ化水素ガスを用いることもできる。また、未反応ヨウ化水素ガスを水等の溶液に吸収して回収する場合等、溶液の逆流防止のため、必要に応じて、窒素等の不活性ガスを加えることも可能である。
ヨウ化水素ガスの分解反応方法としては、固定床反応、移動床反応、流動層反応等があげられる。好ましい反応方法としては固定床反応があげられる。従って、本発明のヨウ化水素分解用触媒は固定床反応に用いられる成形された形状であることが好ましい。固定床反応用のヨウ化水素分解用触媒の成形方法としては、押出し法、打錠成型法、転動造粒法等があげられる。固定床反応においては、水素選択分離膜を組み込んだ膜型固定床反応器も好ましく用いることができる。
ヨウ化水素ガスの分解反応条件としては、反応温度300℃から700℃、反応圧力は絶対圧で、0.1MPaから10MPaがあげられる。
ISプロセスのように水を含むヨウ化水素を分離して原料ヨウ化水素ガスを得る場合、原料ヨウ化水素ガスは予め水を分離して十分に少なくした方がより高い転化率を得やすいため好ましいが、分離コストを低減するために水蒸気を含んだヨウ化水素ガスを用いることもできる。また、未反応ヨウ化水素ガスを水等の溶液に吸収して回収する場合等、溶液の逆流防止のため、必要に応じて、窒素等の不活性ガスを加えることも可能である。
ヨウ化水素ガスの分解反応方法としては、固定床反応、移動床反応、流動層反応等があげられる。好ましい反応方法としては固定床反応があげられる。従って、本発明のヨウ化水素分解用触媒は固定床反応に用いられる成形された形状であることが好ましい。固定床反応用のヨウ化水素分解用触媒の成形方法としては、押出し法、打錠成型法、転動造粒法等があげられる。固定床反応においては、水素選択分離膜を組み込んだ膜型固定床反応器も好ましく用いることができる。
ヨウ化水素ガスの分解反応条件としては、反応温度300℃から700℃、反応圧力は絶対圧で、0.1MPaから10MPaがあげられる。
以下に実施例に基づいて本発明により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例より限定されるものではない。
〔実施例1〕炭素修飾Pt/CeO2触媒の製造
次の方法により触媒を調製した。まず、担体の調製を行った。硝酸セリウム・六水和物(和光純薬製、Ce(NO3)3・6H2O)50.4gをイオン交換水41.5gに溶解後、クエン酸24.5g(和光純薬製、C6H8O7)、ポリエチレングリコール200(和光純薬製)5.6gを加えて、混合溶液を調製し、80℃でゲル状になるまで撹拌を行った。次に、得られたゲルを110℃の乾燥器で1時間乾燥した後、マッフル炉を用いて700℃の空気雰囲気で3時間を焼成することにより酸化し、セリアを得た。
このセリア2.0gを計り取り、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(東京化成工業製、C21H46ClN)0.02gをイオン交換水50gに溶解させた溶液に10分間浸漬したのち、ろ過によりろ別し、さらに240gのイオン交換水を用いて洗浄し、イオン交換水を加えて回収することで、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを含浸したセリア担体の懸濁液を得た。
次の方法により触媒を調製した。まず、担体の調製を行った。硝酸セリウム・六水和物(和光純薬製、Ce(NO3)3・6H2O)50.4gをイオン交換水41.5gに溶解後、クエン酸24.5g(和光純薬製、C6H8O7)、ポリエチレングリコール200(和光純薬製)5.6gを加えて、混合溶液を調製し、80℃でゲル状になるまで撹拌を行った。次に、得られたゲルを110℃の乾燥器で1時間乾燥した後、マッフル炉を用いて700℃の空気雰囲気で3時間を焼成することにより酸化し、セリアを得た。
このセリア2.0gを計り取り、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(東京化成工業製、C21H46ClN)0.02gをイオン交換水50gに溶解させた溶液に10分間浸漬したのち、ろ過によりろ別し、さらに240gのイオン交換水を用いて洗浄し、イオン交換水を加えて回収することで、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを含浸したセリア担体の懸濁液を得た。
次に、白金を担持するための原料として用いる白金コロイド溶液の調製を行った。塩化白金(IV)酸・六水和物(和光純薬製、H2PtCl6・6H2O)0.027gをイオン交換水100gに溶解し、クエン酸三ナトリウム・二水和物(和光純薬製、C6H5Na3O7・2H2O)0.15gを加えて、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、還流冷却器を具備したガラスフラスコに入れ、アルゴンガスでバブリングしたのち、120℃のオイルバスを用いて、1.5時間アルゴンガス雰囲気下で還流を行い、室温まで冷却して0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液を得た。この0.01質量%白金コロイド水溶液6.0gを測り取り、予め白金の含有量が0.1質量%になるように調整したヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム(Na2PtCl6)水溶液1.4gを加えて、ガラスフラスコに入れた前述のトリメチルステアリルアンモニウムクロリド含浸したセリア担体の懸濁液に加え、さらに還元剤としてアスコルビン酸(東京化成工業製、C6H8O6)を0.02g、さらにイオン交換水40gを加えて、アルゴンの雰囲気下、60℃で加熱撹拌を行った。30分後に、室温までに冷却し、得られた白金担持セリアの懸濁液をろ過し、1Lのイオン交換水で洗浄し、空気下、十分に乾燥するまで室温で風乾し、粉末状の0.1質量%Pt/CeO2を得た。得られた粉末をエチレンガス流通(10ml/min)下、300℃で6時間保持することにより、修飾処理を行い、粉末状の炭素修飾0.1質量%Pt/CeO2触媒2.0gを得た。
〔実施例2〕シリカ修飾Pt/CeO2触媒の製造
次の方法により触媒を調製した。まず、担体の調製を行った。硝酸セリウム・六水和物(和光純薬製、Ce(NO3)3・6H2O)50.4gをイオン交換水41.5gに溶解後、クエン酸24.5g(和光純薬製、C6H8O7)、ポリエチレングリコール200(和光純薬製)5.6gを加えて、混合溶液を調製し、80℃でゲル状になるまで撹拌を行った。次に、得られたゲルを110℃の乾燥器で1時間乾燥した後、マッフル炉を用いて700℃の空気雰囲気で3時間を焼成することにより酸化し、セリアを得た。
次に得られたセリア1.4gを測り取り、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(東京化成工業製、C21H46ClN)0.02gをイオン交換水50gに溶解させた溶液に10分間浸漬したのち、ろ過によりろ別し、さらに240gのイオン交換水を用いて上記のセリアを洗浄し、イオン交換水で回収することで、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを含浸したセリア担体の懸濁液を得た。
次の方法により触媒を調製した。まず、担体の調製を行った。硝酸セリウム・六水和物(和光純薬製、Ce(NO3)3・6H2O)50.4gをイオン交換水41.5gに溶解後、クエン酸24.5g(和光純薬製、C6H8O7)、ポリエチレングリコール200(和光純薬製)5.6gを加えて、混合溶液を調製し、80℃でゲル状になるまで撹拌を行った。次に、得られたゲルを110℃の乾燥器で1時間乾燥した後、マッフル炉を用いて700℃の空気雰囲気で3時間を焼成することにより酸化し、セリアを得た。
次に得られたセリア1.4gを測り取り、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(東京化成工業製、C21H46ClN)0.02gをイオン交換水50gに溶解させた溶液に10分間浸漬したのち、ろ過によりろ別し、さらに240gのイオン交換水を用いて上記のセリアを洗浄し、イオン交換水で回収することで、トリメチルステアリルアンモニウムクロリドを含浸したセリア担体の懸濁液を得た。
次に、白金を担持するための原料として用いる白金コロイドの調製を行った。塩化白金(IV)酸・六水和物(和光純薬製、H2PtCl6・6H2O)0.027gをイオン交換水100gに溶解し、クエン酸三ナトリウム・二水和物(和光純薬製、C6H5Na3O7・2H2O)0.15gを加えて、混合溶液を得た。得られた混合溶液を、還流冷却器を具備したガラスフラスコに入れ、アルゴンガスでバブリングしたのち、120℃のオイルバスを用いて、1.5時間アルゴンガス雰囲気下で還流を行い、室温まで冷却して0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液を得た。この白金コロイド水溶液7.5gを測りとり、予め白金の含有量が0.1質量%になるように調整したヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム(Na2PtCl6)水溶液0.78gを加えて、還流冷却器を具備したガラスフラスコに入れた前述のトリメチルステアリルアンモニウムクロリド含浸したセリア担体の懸濁液に加え、さらに還元剤としてクエン酸三ナトリウム・二水和物(和光純薬製、C6H5Na3O7・2H2O)0.10gを加え、撹拌しながら120℃のオイルバスで加熱することにより1.5時間還流し、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウムの還元およびセリアへの白金担持を行った。還流後、室温までに冷却して得たPt/CeO2の懸濁液をろ過し、さらに1Lのイオン交換水を用いて洗浄後、100gのイオン交換水と1.4gの29%アンモニア水を加えてフラスコに入れて撹拌した。次にウォーターバスを用いて60℃に加熱し、撹拌しながら、0.14gの3−アミノプロピルトリエトキシシラン(H2N(CH2)3Si(OC2H5)3)を含む20gの水溶液を滴下した。さらに1時間撹拌したあとに、0.14gのオルトケイ酸テトラエチル(Si(OC2H5)4)を含むエタノール溶液20gを滴下し、1時間撹拌した。その後、室温までに冷却し、ろ過および1Lのイオン交換水による洗浄を行い、空気中で十分風乾することで粉末状の0.1質量%Pt/CeO2を得た。得られた粉末をアルゴンガス気流下で、100℃までに昇温し、3時間を保持した後、350℃まで昇温し、3時間保持することで、粉末状のシリカで修飾された0.1質量%Pt/CeO2触媒1.4gを得た。
〔実施例3〕炭素修飾Pt/α−Al2O3触媒の製造
α−Al2O3(AL31−03、住友化学製)2.0gをイオン交換水14gに加え、室温で撹拌を行った。次に実施例1で調製した0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液20gを加えた。撹拌後、静置によりPt/α−Al2O3が沈降していることを確認してろ過、イオン交換水による洗浄を行い、空気中、室温で風乾し、粉末状の2.0gの0.1質量%Pt/α−Al2O3を得た。
次に、得られた粉末の炭素修飾を行った。得られた粉末をガラス管に充填し、アルゴンで置換した後、10ml/分のエチレンガス流通下で200℃まで2時間かけて昇温し、同温度で6時間保持し、エチレン供給を止め、アルゴンで置換し、室温まで降温することで、粉末状の2.0gの炭素修飾0.1質量%Pt/α−Al2O3を得た。
α−Al2O3(AL31−03、住友化学製)2.0gをイオン交換水14gに加え、室温で撹拌を行った。次に実施例1で調製した0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液20gを加えた。撹拌後、静置によりPt/α−Al2O3が沈降していることを確認してろ過、イオン交換水による洗浄を行い、空気中、室温で風乾し、粉末状の2.0gの0.1質量%Pt/α−Al2O3を得た。
次に、得られた粉末の炭素修飾を行った。得られた粉末をガラス管に充填し、アルゴンで置換した後、10ml/分のエチレンガス流通下で200℃まで2時間かけて昇温し、同温度で6時間保持し、エチレン供給を止め、アルゴンで置換し、室温まで降温することで、粉末状の2.0gの炭素修飾0.1質量%Pt/α−Al2O3を得た。
〔比較例1〕Pt/CeO2触媒の製造
白金担持セリアをエチレンガス流通(10ml/min)下、300℃、6時間処理することを行わない以外、実施例1と同様の方法で、炭素による修飾を行っていない0.1質量%Pt/CeO2触媒2.0gを得た。
白金担持セリアをエチレンガス流通(10ml/min)下、300℃、6時間処理することを行わない以外、実施例1と同様の方法で、炭素による修飾を行っていない0.1質量%Pt/CeO2触媒2.0gを得た。
〔比較例2〕Pt/α−Al2O3触媒の製造
α−Al2O3(AL31−03、住友化学製)1.5gと実施例1と同様の方法で調製した0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液15gを用い、炭素修飾を行わない以外は実施例3記載の手順に従い、Pt/α−Al2O3触媒1.5gを得た。
α−Al2O3(AL31−03、住友化学製)1.5gと実施例1と同様の方法で調製した0.01質量%の白金を含む白金コロイド水溶液15gを用い、炭素修飾を行わない以外は実施例3記載の手順に従い、Pt/α−Al2O3触媒1.5gを得た。
〔触媒評価実験1〕(水を含むヨウ化水素ガスを用いた触媒の性能比較評価)
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2で得られた触媒について、400℃、常圧条件で、水を含むヨウ化水素ガスを用いて触媒の性能評価を実施した。各実施例で得られた0.1質量%の白金を担持した粉末触媒0.04gを、内径8mmφで内部に外径4mmφの内温測定用保護管を入れた上部に気化層を設けた石英製反応管に充填した。次に気化層の上部から窒素ガスを4Nml(0℃,0.1MPa(絶対圧)換算)/分で流通させながら電気炉を用いて400℃まで触媒層を昇温し、さらに気化層の上部から、ヨウ化水素ガスが3Nml/分で供給されるように送液ポンプで制御されたヨウ化水素含有量57%のヨウ化水素水溶液(純正化学製)を供給し、反応を開始した。供給したヨウ化水素水溶液は予熱器で240℃に加熱された気化層で気化させ、電気炉の炉温を調整することで触媒層の最高温度を400℃に維持した。なお、送液ポンプを用いて反応管の出口に連続的に水と窒素を供給しヨウ素の析出を防止することで、反応管閉塞に伴う反応状態の変化を回避して上記反応評価実験を行った。10時間反応時の触媒性能を測定するため、反応管出口のガスをイオン交換水の入った窒素で予め置換したガラス製ガス吸収ビンに流通させることによりサンプリングを20分間行い、チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いた酸化還元滴定によりヨウ素の生成量を、水酸化ナトリウム水溶液を用いたpH滴定法によりヨウ化水素の残存量を測定し、ヨウ素のモル生成速度(mol/h)と残存ヨウ化水素のモル排出速度(mol/h)を求めた。このヨウ素のモル生成速度と残存ヨウ化水素のモル排出速度から、下式よりヨウ化水素の転化率を計算し、表1に示した。
ヨウ化水素転化率=ヨウ素のモル生成速度×2÷(ヨウ素のモル生成速度×2+残存ヨウ化水素のモル排出速度)
実施例1、実施例2、実施例3、比較例1、比較例2で得られた触媒について、400℃、常圧条件で、水を含むヨウ化水素ガスを用いて触媒の性能評価を実施した。各実施例で得られた0.1質量%の白金を担持した粉末触媒0.04gを、内径8mmφで内部に外径4mmφの内温測定用保護管を入れた上部に気化層を設けた石英製反応管に充填した。次に気化層の上部から窒素ガスを4Nml(0℃,0.1MPa(絶対圧)換算)/分で流通させながら電気炉を用いて400℃まで触媒層を昇温し、さらに気化層の上部から、ヨウ化水素ガスが3Nml/分で供給されるように送液ポンプで制御されたヨウ化水素含有量57%のヨウ化水素水溶液(純正化学製)を供給し、反応を開始した。供給したヨウ化水素水溶液は予熱器で240℃に加熱された気化層で気化させ、電気炉の炉温を調整することで触媒層の最高温度を400℃に維持した。なお、送液ポンプを用いて反応管の出口に連続的に水と窒素を供給しヨウ素の析出を防止することで、反応管閉塞に伴う反応状態の変化を回避して上記反応評価実験を行った。10時間反応時の触媒性能を測定するため、反応管出口のガスをイオン交換水の入った窒素で予め置換したガラス製ガス吸収ビンに流通させることによりサンプリングを20分間行い、チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いた酸化還元滴定によりヨウ素の生成量を、水酸化ナトリウム水溶液を用いたpH滴定法によりヨウ化水素の残存量を測定し、ヨウ素のモル生成速度(mol/h)と残存ヨウ化水素のモル排出速度(mol/h)を求めた。このヨウ素のモル生成速度と残存ヨウ化水素のモル排出速度から、下式よりヨウ化水素の転化率を計算し、表1に示した。
ヨウ化水素転化率=ヨウ素のモル生成速度×2÷(ヨウ素のモル生成速度×2+残存ヨウ化水素のモル排出速度)
〔実施例4〕シリカ修飾Ru/TiO2触媒の製造
チタニア粉末〔堺化学工業(株)製のSTR−60R、ルチル型比率100%〕にイオン交換水を加えて混練し、団子状の混練物を得た。得られた混練物を直径1mmφのヌードル状に押出し、室温で形状を保持出来るまで風乾したのち、60℃の送風乾燥器中で5時間乾燥した。乾燥後、長さ2〜4mmに破砕し、チタニア成形体を得た。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、600℃で3時間保持して焼成し、チタニア担体(BET比表面積:35m2/g)を得た。得られたチタニア担体の内5.0gを用いてシリカ修飾を行った。すなわち、チタニア担体5.0gにオルトケイ酸テトラエチル〔和光純薬工業(株)製のSi(OC2H5)4〕0.55gをエタノール2.7gに溶解して調製した溶液を含浸させ、空気雰囲気下、室温で一晩風乾し、オルトケイ酸テトラエチルを含浸した固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から300℃まで2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持することでオルトケイ酸テトラエチルを酸化分解し、シリカの含有量が3.1%である白色のシリカ修飾チタニア担体5.1gを得た。
次に塩化ルテニウム水和物(添川理化学製のRuCl3・nH2O、Ru含有量41.34%)0.13gをイオン交換水3.0gに溶解して調製した水溶液を上記で得られた5.1gのシリカ修飾チタニア担体にインシピエントウェットネス法により含浸させ、7時間かけて室温で十分に風乾し、茶色の固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から250℃まで3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、1質量%のルテニウムを含むシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニアを得た。得られたシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニアを乳鉢で破砕したのち、篩を用いて0.5mmから1.0mmに分級した。次にこの分級したシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニア0.10gを計り取り、石英ガラス管に充填し、電気炉を用いて、550℃の水素ガス気流下で4時間保持することで還元を行い、0.1gのシリカ修飾1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
チタニア粉末〔堺化学工業(株)製のSTR−60R、ルチル型比率100%〕にイオン交換水を加えて混練し、団子状の混練物を得た。得られた混練物を直径1mmφのヌードル状に押出し、室温で形状を保持出来るまで風乾したのち、60℃の送風乾燥器中で5時間乾燥した。乾燥後、長さ2〜4mmに破砕し、チタニア成形体を得た。得られた成形体を、空気中で室温から600℃まで1.7時間かけて昇温した後、600℃で3時間保持して焼成し、チタニア担体(BET比表面積:35m2/g)を得た。得られたチタニア担体の内5.0gを用いてシリカ修飾を行った。すなわち、チタニア担体5.0gにオルトケイ酸テトラエチル〔和光純薬工業(株)製のSi(OC2H5)4〕0.55gをエタノール2.7gに溶解して調製した溶液を含浸させ、空気雰囲気下、室温で一晩風乾し、オルトケイ酸テトラエチルを含浸した固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から300℃まで2時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持することでオルトケイ酸テトラエチルを酸化分解し、シリカの含有量が3.1%である白色のシリカ修飾チタニア担体5.1gを得た。
次に塩化ルテニウム水和物(添川理化学製のRuCl3・nH2O、Ru含有量41.34%)0.13gをイオン交換水3.0gに溶解して調製した水溶液を上記で得られた5.1gのシリカ修飾チタニア担体にインシピエントウェットネス法により含浸させ、7時間かけて室温で十分に風乾し、茶色の固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から250℃まで3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成し、1質量%のルテニウムを含むシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニアを得た。得られたシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニアを乳鉢で破砕したのち、篩を用いて0.5mmから1.0mmに分級した。次にこの分級したシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニア0.10gを計り取り、石英ガラス管に充填し、電気炉を用いて、550℃の水素ガス気流下で4時間保持することで還元を行い、0.1gのシリカ修飾1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
〔実施例5〕炭素修飾−シリカ修飾Ru/TiO2触媒の製造
実施例4で得られた、0.5〜1.0mに分級した1質量%のルテニウムを含むシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニア0.10gを、計り取り、石英ガラス管に充填し、電気炉を用いて、550℃の水素ガス気流下で4時間保持することで還元を行い、シリカ修飾1質量%Ru/TiO2を得た。次にこのシリカ修飾1質量%Ru/TiO2をさらに炭素で修飾した。すなわち、得られたシリカ修飾1質量%Ru/TiO2を室温まで冷却した後、エチレンガス気流下で200℃に昇温し、同温度で2時間保持したのち、さらに1.5時間かけて300℃に昇温し同温度で1時間保持することにより炭素修飾を行い、0.1gの炭素修飾−シリカ修飾1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
実施例4で得られた、0.5〜1.0mに分級した1質量%のルテニウムを含むシリカ修飾担持酸化ルテニウム/チタニア0.10gを、計り取り、石英ガラス管に充填し、電気炉を用いて、550℃の水素ガス気流下で4時間保持することで還元を行い、シリカ修飾1質量%Ru/TiO2を得た。次にこのシリカ修飾1質量%Ru/TiO2をさらに炭素で修飾した。すなわち、得られたシリカ修飾1質量%Ru/TiO2を室温まで冷却した後、エチレンガス気流下で200℃に昇温し、同温度で2時間保持したのち、さらに1.5時間かけて300℃に昇温し同温度で1時間保持することにより炭素修飾を行い、0.1gの炭素修飾−シリカ修飾1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
〔比較例2〕Ru/TiO2触媒の製造
まず、実施例4と同じチタニア粉末〔堺化学工業(株)製のSTR−60R〕を用い、実施例4と同じ方法でチタニア担体(BET比表面積:35m2/g)を得た。
次に塩化ルテニウム水和物(NEケムキャット製、RuCl3・nH2O、Ru含有量41.7%)0.126gをイオン交換水3.0gに溶解して調製した水溶液を上記で得られた担体5.0gに含浸させ、空気下、室温で一晩かけて十分に風乾し、茶色の固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から250℃まで3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成することで酸化し、1質量%のルテニウムを含む担持酸化ルテニウム/チタニアを得た。この担持酸化ルテニウム/チタニア0.1gを計り取り、実施例4記載の水素還元方法で還元を行い、0.1gの1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
まず、実施例4と同じチタニア粉末〔堺化学工業(株)製のSTR−60R〕を用い、実施例4と同じ方法でチタニア担体(BET比表面積:35m2/g)を得た。
次に塩化ルテニウム水和物(NEケムキャット製、RuCl3・nH2O、Ru含有量41.7%)0.126gをイオン交換水3.0gに溶解して調製した水溶液を上記で得られた担体5.0gに含浸させ、空気下、室温で一晩かけて十分に風乾し、茶色の固体を得た。得られた固体を、空気流通下、室温から250℃まで3時間かけて昇温した後、同温度で2時間保持して焼成することで酸化し、1質量%のルテニウムを含む担持酸化ルテニウム/チタニアを得た。この担持酸化ルテニウム/チタニア0.1gを計り取り、実施例4記載の水素還元方法で還元を行い、0.1gの1質量%Ru/TiO2触媒を得た。
〔触媒性能評価実験2〕(水を含まないヨウ化水素ガスを用いた触媒の性能比較評価)
実施例4、実施例5および比較例2で得られた触媒について、400℃、常圧条件で、水を含まないヨウ化水素ガス(合同資源製 ボンベ入り高純度ヨウ化水素 純度99.999%以上)を用いて触媒の性能評価を実施した。
各実施例で得られたルテニウム担持触媒0.10gをそれぞれ充填した内径8mmφで内部に外径4mmφの熱電対保護管を備えた石英製反応管(内径8mm)を、電気炉を用いて、室温から内温400℃まで窒素気流下、常圧下で昇温し、同温度で供給ガスを20Nml/分のヨウ化水素ガスと2Nml/分の窒素ガスの混合ガスに切り替えることで、反応を開始した。反応開始4時間目の性能を測定するため、反応管出口のガスを水に流通させることにより12分間サンプリングを行い、チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いた酸化還元滴定によりヨウ素の生成量を、水酸化ナトリウム水溶液を用いたpH滴定法によりヨウ化水素の残存量を測定し、ヨウ素のモル生成速度(mol/h)と残存ヨウ化水素のモル排出速度(mol/h)を求めた。このヨウ素のモル生成速度と残存ヨウ化水素のモル排出速度から、下式よりヨウ化水素の転化率を計算し、表2に示した。
ヨウ化水素の転化率=ヨウ素のモル生成速度×2÷(ヨウ素のモル生成速度×2+残存ヨウ化水素のモル排出速度)
実施例4、実施例5および比較例2で得られた触媒について、400℃、常圧条件で、水を含まないヨウ化水素ガス(合同資源製 ボンベ入り高純度ヨウ化水素 純度99.999%以上)を用いて触媒の性能評価を実施した。
各実施例で得られたルテニウム担持触媒0.10gをそれぞれ充填した内径8mmφで内部に外径4mmφの熱電対保護管を備えた石英製反応管(内径8mm)を、電気炉を用いて、室温から内温400℃まで窒素気流下、常圧下で昇温し、同温度で供給ガスを20Nml/分のヨウ化水素ガスと2Nml/分の窒素ガスの混合ガスに切り替えることで、反応を開始した。反応開始4時間目の性能を測定するため、反応管出口のガスを水に流通させることにより12分間サンプリングを行い、チオ硫酸ナトリウム水溶液を用いた酸化還元滴定によりヨウ素の生成量を、水酸化ナトリウム水溶液を用いたpH滴定法によりヨウ化水素の残存量を測定し、ヨウ素のモル生成速度(mol/h)と残存ヨウ化水素のモル排出速度(mol/h)を求めた。このヨウ素のモル生成速度と残存ヨウ化水素のモル排出速度から、下式よりヨウ化水素の転化率を計算し、表2に示した。
ヨウ化水素の転化率=ヨウ素のモル生成速度×2÷(ヨウ素のモル生成速度×2+残存ヨウ化水素のモル排出速度)
水を含むヨウ化水素ガスの転化率を表1に、水を含まないヨウ化水素ガスの転化率を表2の結果に示したように、何れの場合においても本発明による修飾された触媒を用いた方が高いヨウ化水素転化率を得られた。
Claims (3)
- 白金族金属が、金属酸化物を含有する担体に担持されたヨウ化水素分解用触媒であって、
該触媒は、周期表第14族非金属元素からなる単体、周期表第14族非金属元素を二種含む化合物、および第14族非金属元素の固体酸化物からなる群より選ばれる一種以上で表面修飾されたものであるヨウ化水素分解用触媒。 - 前記第14族非金属元素からなる単体が炭素である請求項1に記載のヨウ化水素分解用触媒。
- 前記第14族非金属元素の固体酸化物が、シリカである請求項1記載のヨウ化水素分解用触媒。
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