JP4411785B2 - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真方式や静電印刷方式等を採用したプリンターや複写機に用いられる静電荷像現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
静電荷像現像用トナーは、製造容易性の観点から、粉砕法により製造されるのが一般的である。粉砕法とは、少なくともバインダー樹脂、着色剤および帯電制御剤を溶融、混練し、冷却した後、粗粉砕および微粉砕し、所望により分級して所望粒径のトナー粒子を得る方法である。帯電制御剤としては、一般に、フッ素系界面活性剤、サリチル酸金属錯体、アゾ系金属化合物のような含金属染料、およびマレイン酸を単量体成分として含む共重合体の如き高分子酸等が使用される。しかしながら、近年のフルカラー化および高画質化の要求に応えるべく上記粉砕法を採用して小粒径で球形のトナー粒子を効率良く生産することは困難であった。
【0003】
そこで混練前のトナー組成物にいわゆる粉砕助剤(バインダー樹脂より脆い樹脂)を添加すると、トナー組成物の粉砕性が向上することが知られている。例えば、特開平4-257868号公報ではスチレン-ブタジエン系樹脂等の結着樹脂にC7〜C10の芳香族石油樹脂を含有させる技術が、特開平8-278658号公報ではバインダー樹脂に水素添加率が50%以上の水添石油樹脂を含有させる技術が、特開平11-65161号公報では結着樹脂にスチレン系モノマーとインデン系モノマーとを含む共重合体を含有させる技術が、特開平11-72956号公報では結着樹脂に脂肪族炭化水素と炭素数9以上の芳香族炭化水素とを含む共重合体を含有させる技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の技術ではトナーの基本性能、例えば、帯電立ち上がり性、帯電安定性、耐熱保管性に悪影響が及んで問題となっていた。特に、トナーの消費量が多く、トナー補充の機会が多いフルカラー画像形成装置において、トナーの帯電立ち上がり性が悪いと、補充されてきたトナーが所定の帯電量まで素早く帯電されず、トナーの帯電量にバラツキが生じるため、トナー像の転写がスムーズに行われず、記録紙上のトナー付着量が不足したり(転写性)、濃度ムラが生じたり(追随性)、トナー像が局所的に転写されない中抜けが生じたり、カブリが発生したり、トナーが実機内で飛散したりする。このような帯電立ち上がり性の悪化の問題は、トナーを高温高湿環境下や低温低湿環境下で使用する場合、ならびにトナーを2成分現像剤として用い、トナー混合比が比較的高い場合に顕著であった。
また、帯電安定性が悪いと、トナーの長期使用に伴いキャリアや帯電部材のトナーに対する帯電付与能が低下してトナー帯電量にバラツキが生じるため、上記したようなトナー転写性や追随性の問題や、中抜け、カブリおよびトナー飛散の問題が生じる。
【0005】
さらに、上記のような技術では、トナー組成物は粉砕され易いものの、微小粒子や大径粒子が発生し易いために所望粒径のトナー粒子が効率よく得られ難く、トナー生産性(収率)に問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、いかなる環境下においても良好な帯電立ち上がり性および帯電安定性を有し、生産性よく製造され得る、画質性および耐熱保管性に優れた静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、フルカラー画像形成、クリーナレスシステムおよびトナーリサイクルシステムに適用可能であって、比較的高い円形度を有し、形状が比較的揃った静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、少なくともバインダー樹脂(A)、重量平均分子量1000〜3000および重量平均分子量/数平均分子量2.0以下の重合体(B)、一般式(I);
【化3】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基である;
MはZn、Cr、AlまたはBである;
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR9R10R11R12N+(式中、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である)である;
nは1または2である。)
【0009】
または一般式(II);
【化4】
(式中、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換または無置換のアリール基である;
MはZn、Cr、AlまたはBである;
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR17R18R19R20N+(式中、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である)である;
nは1または2である。)
で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体および着色剤を含む静電荷像現像用トナーに関する。
【0010】
本発明の発明者等は、特定の重合体(B)とモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体とを組み合わせて用いることにより、初期におけるトナーの飽和帯電量上昇と耐刷時におけるトナー帯電量上昇とを適度に抑制させることができ、結果として帯電立ち上がり性と帯電安定性とが向上することを見い出した。帯電立ち上がり性の悪化は、電気抵抗の高い粉砕助剤がトナー粒子表面に露出することによってトナーの飽和帯電量が上昇することが原因と考えられる。帯電安定性の悪化は耐刷時にトナー帯電量の上昇が起きて、トナー粒子が帯電部材(ブレードやスリーブ)に固着したり、キャリアにスペントしたりすることが原因と考えられる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーを構成するトナー粒子はバインダー樹脂(A)中に少なくとも特定の重合体(B)とモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体ならびに着色剤が分散されてなる。このようなトナーにおいては、比較的電気抵抗の高い重合体(B)と比較的電気抵抗の低いモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体とがトナー粒子表面に露出するため、トナーが素早く帯電され、かつトナー帯電量の上昇が抑制され、結果として良好な帯電立ち上がり性と帯電安定性を達成できる。
【0012】
本発明において使用される重合体(B)は重量平均分子量(Mw)が1000〜3000、好ましくは1000〜2800、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)が2.0以下、好ましくは1.9以下である。重合体(B)のMwが1000未満であると、重合体(B)のガラス転移点が低くなるため、比較的高い温度でトナーを放置したときの保管性(耐熱保管性)が悪化し、実用上使用が困難となる。また、当該重合体中に揮発成分、例えば、アセトン、ベンゼン、モノマー等が残留し易いため、トナー製造時や画像形成時に当該成分が揮発して安全性や臭気が問題となる。すなわち、重合体(B)樹脂のトータルVOCが1000ppmを超え、実用的に使用することが困難となる。一方、Mwが3000を越えると、本材料自身の粉砕性が悪くなり、本材料を用いることによる粉砕性の向上効果が認められなくなる。本明細書中、重合体または樹脂のMwおよびMnはゲルパーミエーションクロマトグラフィ(807-IT型;日本分光工業社製)によって測定された値を用いている。
【0013】
そのような重合体(B)は粉砕性指数0.1〜1.0、好ましくは0.2〜0.6を有することが望ましい。粉砕性指数とは粉砕され易さを表すひとつの指標であり、当該値が小さいほど粉砕され易いことを意味する。
【0014】
本明細書中、粉砕性指数は以下に従って測定された値を用いている。体積平均粒径2mm程度の試料を機械式粉砕機(KTM-0型:川崎重工業社製)で処理量F(5kg/h)、KTM回転数12000(rpm)にて粉砕する際に、試料通過無し時の負荷動力値W0と試料を通過させた時の負荷動力値W1を記録する。その後、KTM粉砕で得られた粉砕物の体積平均粒径D(μm)をコールタマルチサイザーII(コールターベックマン社製)にて測定する。得られた値から下記式に基づいて粉砕性指数を算出する。
粉砕性指数=(D×(W1-W0))/F
【0015】
また、重合体(B)のガラス転移点(Tg)は50℃以上、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜80℃であることが望ましい。Tgが低すぎると、耐熱保管性が悪化する。重合体(B)の軟化点は110〜150℃、好ましくは120〜145℃であることが望ましい。
【0016】
本明細書中、重合体または樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(DSC−200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10℃/minの条件で20〜120℃の間で測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点としている。
また、軟化点はフローテスター(CFT-500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm2、昇温速度6℃/minの条件下で1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点としている。
【0017】
重合体(B)の種類としては、重合体(B)がバインダー樹脂(A)と溶融混練されても相溶せず、かつバインダー樹脂(A)と粉砕性が異なる限り、特に制限されず、例えば、公知の芳香族モノマーおよび/または脂肪族モノマーの単独重合体または共重合体が使用できる。ここで「バインダー樹脂(A)と粉砕性が異なる」とは、重合体(B)の粉砕性指数がバインダー樹脂(A)の粉砕性指数より0.5以上、好ましくは0.7以上小さいことを意味する。メインレジンであるバインダ樹脂(A)に対してそのような粉砕性指数の関係を有する重合体(B)を用いないと、トナーの粉砕性に対する顕著な効果が得られない。また、所望される帯電性ならびに耐熱保管性能が確保できなくなる。
【0018】
芳香族モノマーとしては一般式(1);
【化5】
(式中、R21、R22、R23およびR24はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜4のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基であり、好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子、またはメチル基である)で表されるスチレン系モノマーと、一般式(2);
【化6】
(式中、R25、R26およびR27はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1〜6のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基であり、好ましくは水素原子、塩素原子、臭素原子、またはメチル基である)で表されるインデン系モノマーが挙げられる。
【0019】
スチレン系モノマーの具体例としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、β−メチルスチレン、1−プロペニルトルエン、o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、α−ブロモスチレン、β−ブロモスチレン等が挙げられ、好ましくはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、β−メチルスチレン、1−プロペニルトルエン、より好ましくはスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン、さらに好ましくはスチレン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンである。
インデン系モノマーの具体例としては、例えば、インデン、メチルインデン、エチルインデン等が挙げられる。
芳香族モノマーは単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
【0020】
脂肪族モノマーの具体例としては、上記芳香族モノマーと重合可能であれば特に制限されず、例えば、イソプレン、ピペリレン、1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、クロロプレン、2-ブロモ-1,3-ブタジエン等のジオレフィン系モノマー;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、2−メチル−ブテン−1、2−メチルブテン−2等のモノオレフィン系モノマー;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等のアクリル酸アルキルエステル系モノマー;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等のメタクリル酸アルキルエステル系モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸系モノマー;アクリロニトリル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルおよびビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。好ましくはモノオレフィン系モノマーおよびジオレフィン系モノマーであり、より好ましくはイソプレン、ピペリレン、2−メチル−ブテン−1、2−メチルブテン−2、さらに好ましくはイソプレンである。
肪族モノマーは単独でまたは組み合わせて用いてもよい。
【0021】
上記のようなモノマーからなる重合体(B)の中でも、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンおよびインデン、好ましくはスチレン、α−メチルスチレンおよびイソプロペニルトルエンからなる芳香族モノマー、および/またはイソプレン、ピペリレン、2−メチル−ブテン−1および2−メチルブテン−2、好ましくはイソプレンからなる脂肪族モノマーの単独重合体または共重合体を用いることが好ましい。
【0022】
そのような好ましい重合体(B)として、石油類のスチームクラッキングによりエチレン、プロピレンなどを製造するプラントから副生された分解油留分に含まれるジオレフィンおよびモノオレフィンを原料として合成されたものが好ましく使用され得る。
【0023】
本発明においてより好ましくは、少なくともスチレンおよび/またはα−メチルスチレンを構成単位として含む重合体(B)を用いる。そのような重合体(B)の具体例として、例えば、ポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレン、スチレン-α-メチルスチレン共重合体、α-メチルスチレン−イソプロペニルトルエン−イソプレン共重合体、スチレン−p−イソプロペニルトルエン−イソプレン共重合体等が挙げられ、好ましくはポリスチレン、ポリ-α-メチルスチレンである。重合体(B)における重合重量比は特に制限されないが、スチレンおよび/またはα−メチルスチレンの全モノマーに対する割合は50〜100重量%、好ましくは60〜100重量%であることが望ましい。
【0024】
重合体(B)としてポリスチレンを用いる場合、その重量平均分子量は1000〜2000であることがさらに好ましい。
また重合体(B)としてポリ-α-メチルスチレンを用いる場合、その重量平均分子量は2000〜2800であることがさらに好ましい。
【0025】
重合体(B)の使用量は、帯電立ち上がり性、帯電安定性および生産性のさらなる向上の観点から、後述のバインダー樹脂(A)100重量部に対して1.5〜25重量部、好ましくは2〜15重量部、より好ましくは3〜10重量部が望ましい。重合体(B)は2種以上組み合わせて使用されてよく、その場合はそれらの合計量が上記範囲内になればよい。
【0026】
バインダー樹脂(A)の種類としては、上記したような重合体(B)との不相溶性および粉砕性の関係を有する限り特に制限されず、静電潜像現像用トナーの分野で公知のバインダー樹脂、例えば、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−(メタ)アクリル系共重合体樹脂、エポキシ系樹脂、COC(環状オレフィン樹脂(例えば、TOPAS-COC(Ticona社製)))等が挙げられる。
【0027】
本発明においては、特にオイルレス定着用トナーとしての定着性および耐オフセット性をより向上させるため、あるいは、透光性を必要とするフルカラートナーにおいて画像の光沢性をより有効に制御するために、ポリエステル系樹脂として軟化点の異なる2種類のポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。定着性をより向上させるために軟化点が95〜120℃の第1ポリエステル系樹脂を使用し、耐オフセット性をより向上させるために軟化点が130〜160℃の第2ポリエステル系樹脂を使用することが好ましい。この場合に第1ポリエステル系樹脂の軟化点が95℃より低くなると耐オフセット性が低下したりドットの再現性が低下し、120℃より高いと定着性向上の効果が不十分となる。また第2ポリエステル系樹脂の軟化点が130℃より低いと耐オフセット性向上の効果が不十分となり、160℃より高くなると定着性が低下する。このような観点からより好ましい第1ポリエステル系樹脂の軟化点は100〜115℃で、第2ポリエステル系樹脂の軟化点は135〜155℃である。また第1および第2ポリエステル系樹脂のガラス転移点は50〜75℃、好ましくは55〜70℃とすることが望ましい。ガラス転移点が低いとトナーの耐熱性が不十分となる。また、高すぎると定着強度が不十分となる。
【0028】
第1ポリエステル系樹脂としては、多価アルコール成分と多価カルボン酸成分を重縮合させて得られたポリエステル樹脂、特に多価アルコール成分としてビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物を主成分とし、多価カルボン酸成分としてテレフタル酸、フマル酸、ドデセニルコハク酸、ベンゼントリカルボン酸のみからなる群より選択される少なくとも1種を主成分として用いて得られたポリエステル樹脂が好ましい。
【0029】
また、第2ポリエステル系樹脂としては、ポリエステル樹脂の原料モノマーと、ビニル系樹脂の原料モノマーと、両方の樹脂の原料モノマーと反応する両反応性モノマーとの混合物を用い、同一容器中でポリエステル樹脂を得る縮重合反応およびビニル系樹脂を得るラジカル重合反応を並行して行わせて得られたポリエステル系樹脂が好適に使用できる。このような樹脂は、ワックスの分散性、トナーの強靭性、定着性、耐オフセット性を向上させる観点から好ましい。第2ポリエステル系樹脂中のビニル系樹脂の含有量は5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%とする。これはビニル系樹脂の含有量が5重量%より低いとトナーの定着強度が低下し、40重量%を超えると耐オフセット性やトナーの強靭性の低下、負の帯電レベルの低下等が生じ易くなる。また、トナーにポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックスを含有させた場合にはビニル系樹脂の含有量が5重量%より低いとポリエチレンワックスの分散性が低下し、40重量%を超えるとポリプロピレンワックスの分散性が低下する傾向がある。
【0030】
第1ポリエステル系樹脂と第2ポリエステル系樹脂との重量比は7:3〜2:8、好ましくは6:4〜3:7とすることが好ましい。第1ポリエステル系樹脂と第2ポリエステル系樹脂とをこのような範囲で使用することにより、トナーとして定着時のつぶれによる広がりが小さくドット再現性に優れており、さらに低温定着性に優れ低速および高速の画像形成装置においても優れた定着性を確保することができる。また、両面画像形成時(定着機を2度通過時)にも優れたドット再現性を維持することができる。第1ポリエステル系樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、低温定着性が不十分となり幅広い定着性を確保できなくなる。また、第2ポリエステル系樹脂の割合が上記範囲より少ない場合は、耐オフセット性が低下するとともに定着時のトナーのつぶれが大きくなりドット再現性が低下する傾向がある。
【0031】
その他、本発明においては、バインダー樹脂(A)の一部あるいは全部としてエポキシ系樹脂を使用することもできる。本発明で使用されるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物などが好適に使用できる。例えば、エポミックR362、R364、R365、R367、R369(以上、三井石油化学工業社製)、エポトートYD-011、YD-012、YD-014、YD-904、YD-017(以上、東都化成社製)、エピコート1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等、市販のものも使用できる。
【0032】
本発明で使用される帯電制御剤は、
一般式(I);
【化7】
で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体である。
【0033】
式(I)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子、または炭素数1〜5のアルキル基である。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子またはtert-ブチル基であり、より好ましくは、R1、R3、R6およびR8は同時に水素原子であり、かつR2、R4、R5およびR7は同時にtert-ブチル基である。
【0034】
MはZn、Cr、AlまたはBであり、好ましくはBまたはAlであり、より好ましくはAlである。
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR9R10R11R12N+(式中、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である)である。アルカリ金属イオンとしては、例えば、Na+、K+またはLi+等が挙げられる。R9R10R11R12N+としては、例えば、アンモニウムイオン、モノメチルアンモニウムイオン、ジメチルアンモニウムイオン、トリメチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等が挙げられる。X+は好ましくは水素イオン、またはアルカリ金属イオンであり、より好ましくは水素イオンまたはK+である。
nはMのイオン価によって決定される価であり、1または2である。
【0035】
上記のような式(I)で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体の好ましい具体例として、例えば、下記一般式(i)〜(iv)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは下記一般式(iii)で表される化合物を用いる。
【0036】
【化8】
【0037】
上式(i)で表される化合物は市販のボントロンE-81(Cr錯体)(オリエント化学工業社製)として入手可能である。
上式(ii)で表される化合物は市販のボントロンE-84(Zn錯体)(オリエント化学工業社製)として入手可能である。
上式(iii)で表される化合物は市販のボントロンE-88(Al錯体)(オリエント化学工業社製)として入手可能である。
【0038】
また、本発明で使用される帯電制御剤は、
一般式(II);
【化9】
で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体であってもよい。
【0039】
式(II)中、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または置換または無置換のアリール基である。炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。置換または無置換のアリール基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基で置換されていても、または置換されていなくてもよいフェニル基またはナフチル基が挙げられる。アリール基に置換され得る置換基としての炭素数1〜5のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。好ましくは、R13、R14、R15およびR16はそれぞれ独立して置換または無置換のアリール基であり、より好ましくは、R13、R14、R15およびR16は同時にフェニル基である。
【0040】
MはZn、Cr、AlまたはBであり、好ましくはAlまたはBであり、より好ましくはBである。
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR17R18R19R20N+(式中、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して水素原子、またはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基およびtert-ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基である)である。アルカリ金属イオンとしては、例えば、Na+、K+またはLi+等が挙げられる。R17R18R19R20N+としては、前記したR9R10R11R12N+の具体例と同様のイオンが挙げられる。X+は好ましくは水素イオン、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンであり、より好ましくはNa+、K+、Li+またはNH4 +、さらに好ましくはK+である。
nはMのイオン価によって決定される価であり、1または2である。
【0041】
上記のような式(II)で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体の好ましい具体例として、例えば、下記一般式(v)〜(viii)で表されるが化合物が挙げられる。
【0042】
【化10】
【0043】
上式(v)で表される化合物は市販のLR147(日本カーリット(株)社製)として入手可能である。
上記(vi)で表される化合物は市販のLR112(日本カーリット(株)社製)として入手可能である。
上記(vii)で表される化合物は市販のLR173(日本カーリット(株)社製)として入手可能である。
上記(viii)で表される化合物は市販のLR297(日本カーリット(株)社製)として入手可能である。
【0044】
上記のようなモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体を用いることにより、初期におけるトナーの飽和帯電量の上昇と耐刷時におけるトナー帯電量の上昇とを適度に抑制させてトナーを長期にわたって適正な帯電量に維持することができ、帯電立ち上がり性と帯電安定性とを向上させることができる。上記モノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体以外の帯電制御剤を使用すると、トナーを長期にわたって適正な帯電量に維持することができず、初期および/または耐刷時にトナーの帯電量にバラツキが生じるため、トナー像の転写がスムーズに行われず、転写された記録紙上のトナー付着量が不足したり(転写性)、濃度ムラが生じたり(追随性)、トナー像が局所的に転写されない中抜けが生じたり、カブリが発生したり、トナーが実機内で飛散したりする。
【0045】
モノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体の使用量はバインダー樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部が望ましい。
【0046】
本発明で使用される着色剤としては、従来からフルカラートナー用の着色剤として使用されている公知の顔料及び染料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、銅フタロシアニン、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ピグメント・イエロー185、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を挙げることができる。
【0047】
マゼンタ、シアンおよびイエローのトナー中の着色剤の含有量としてはバインダー樹脂(A)100重量部に対し、2〜15重量部の範囲が好ましい。なお、マゼンタ、シアンおよびイエローのトナーに使用される着色剤は、使用されるバインダー樹脂(A)と予め溶融混練した後、粉砕して得られるマスターバッチとして使用されることが好ましく、そのときの使用量は得られるトナー中の着色剤含有量が上記範囲内になればよい。
【0048】
また、黒トナーにおいては、各種カーボンブラック、活性炭、チタンブラック等の着色剤の一部または全部を磁性体と置き換えることができる。本発明において非磁性黒トナー中の着色剤の含有量としてはバインダー樹脂(A)100重量部に対し、2〜15重量部の範囲が好ましい。また磁性体としては、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄等、公知の磁性体微粒子が使用可能である。磁性粒子の平均粒径は製造時における分散性を得る意味において、好ましくは1μm以下特に0.5μm以下が好ましい。非磁性トナーとしての特性を持たせつつ、飛散防止等の観点で磁性体を添加する場合は、その添加量はバインダ樹脂(A)100重量部に対して0.5〜10重量部、好ましくは0.5〜8重量部、より好ましくは1〜5重量部である。添加量が10重量部を超えるとトナーに対する現像剤担持体(マグネットローラ内蔵)の磁気的拘束力が強くなって現像性が低下する。磁性トナー中の磁性体の添加量は20重量部から60重量部が好ましい。添加量が20重量部未満では、トナー飛散が増加する傾向にあり、60重量部を超えるとトナー帯電量が安定的に確保できず、画像品質の低下を引き起こす。
【0049】
本発明のトナーを得るに際しては、まず、上記のバインダー樹脂(A)、重合体(B)、モノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体、および着色剤ならびにその他の添加剤、例えば、離型材等をヘンシェルミキサー等の公知の混合装置によって混合した後、公知の混練装置によって溶融混練し、冷却して、混練物を得る。混練装置としては、1または2以上の回転軸(スクリュー、ロータ、ロール等)を有するものが使用されるが、連続生産性、長期耐久性等の点からスクリュー押出機が主に使用できる。
【0050】
本発明においては混練物中、重合体(B)がに均一に分散されており、かつその平均分散粒径は0.05〜2μm、好ましくは0.1〜1.5μm、より好ましくは0.3〜1.2μmに制御されていることが好ましい。より好ましくは分散粒子の95%以上が粒径2μm以下で分散している。混練物中における重合体(B)の分散状態を上記のように制御することによって、その後の粉砕工程において上記混練物は重合体(B)の分散粒子を結ぶように粉砕面が形成されながら粉砕され、結果として表面に重合体(B)が有効に露出したトナー粒子が生産性よく得られるためである。混練物中における上記粒径の重合体(B)粒子が存在するところでは、粉砕はバインダー樹脂(A)と重合体(B)粒子との接触面(界面)ではなく、重合体(B)粒子の内部を通って起こるため、当該粉砕面は重合体(B)によって構成され、結果として得られるトナー粒子は表面に重合体(B)が露出した構成を有すると考えられる。また、このように混練物中の重合体(B)の分散状態を制御することによって、重合体(B)が中心部と比較して表層部に密に分散されたトナー粒子が得られ、長期使用時におけるトナー粒子の破壊が抑制でき、またトナー粒子からの重合体(B)粒子の剥離(脱離)が現像装置内で起こるのを抑制できるため、トナー粒子片や脱離粒子のキャリア(2成分現像剤)や現像スリーブおよび規制ブレード(1成分現像剤)等へのスペントや固着をより有効に防止でき、より安定した帯電能が確保できる。
【0051】
溶融混練後、冷却して得られる混練物中の重合体(B)の分散状態は、使用される重合体(B)の体積平均粒径、混練前の混合条件、および混練条件等を適宜変更することによって制御され得る。すなわち、使用される重合体(B)の粒径を小さくすると、混練物中における重合体(B)の分散粒径は小さくなる。また、混合条件および混練条件を強めると、混練物中における重合体(B)の平均分散粒径は小さくなる。具体的には、例えば、体積平均粒径1〜5mmの重合体(B)を他のトナー材料とともにヘンシェルミキサーで混合し、2軸押し出し混練機(PCM-30:池貝鉄工社製)で溶融混練する場合、通常、ヘンシェルミキサーの混合速度を周速20〜50m/sに、混合時間を2〜10分間に、混練機の混練温度を120〜200℃に、混練機における被処理物の通過時間を1〜5分間に設定することによって、重合体(B)が上記分散粒径で均一に分散された混練物が得られる。
【0052】
混練物中の重合体(B)の分散粒径は測定し難いことから、後述の粉砕工程において体積平均粒径約2mmに粉砕されたトナー粗粉砕物の粒子中における重合体(B)の分散粒径が上記範囲内であればよい。なお、混練物中の重合体(B)の分散粒径と体積平均粒径約2mmに粉砕されたトナー粗粉砕物の粒子中における重合体(B)の分散粒径は変わらない。体積平均粒径約2mmに粉砕されたトナー粗粉砕物の粒子中における重合体(B)の分散粒径は粒子をミクロトームでスライスした後、TEM(透過型電子顕微鏡)にて10000倍の写真を撮影することにより測定することができる。
【0053】
次いで、上記のようにして得られた混練物を、粉砕、分級し、所望により表面改質処理する。粉砕工程においては、通常、混練物をフェザーミル等により粗粉砕した後、クリプトロンシステム(KTM:川崎重工業社製)、イノマイザーシステム(ホソカワミクロン社製)、ファインミル(日本ニューマチック工業社製)およびターボミル(ターボ工業社製)等の高速気流中衝撃法を応用した機械式粉砕装置ならびに/または衝突板やトナー粒子同士をジェット気流に乗せて粉砕するジェット粉砕機、I型ジェットミル、PJM(共に日本ニューマチック工業社製)およびAFG(ホソカワミクロン社製)等のジェットミルにより微粉砕する。好ましくは、混練物を体積平均粒径約2mmまでフェザーミルにより粗粉砕した後、一旦、体積平均粒径10μm程度までクリプトロンシステム(KTM:川崎重工業社製)等の機械式粉砕装置により微粉砕し、さらにジェット粉砕機(IDS;日本ニューマチック社製)等のジェットミルにより微粉砕する。本発明においては、最終的に粒子の体積平均粒径が4〜8μm、好ましくは5〜7μmになるように粉砕されることが望ましい。
【0054】
分級工程で使用される分級装置としては、粉砕物を所望粒径に分級できれば公知の分級装置が使用可能であり、例えば、エルボージェット(日鉄鉱業社製)、DS分級機(日本ニューマチック工業社製)、ティープレックス型分級機(ホソカワミクロン社製)等を用いることができる。被処理粒子を球形化できる分級装置であるティープレックス型分級機(ホソカワミクロン社製)等を用いることが好ましい。
【0055】
本発明において添加されてもよい離型剤としてワックスを使用することが好ましい。このようなワックスとしては静電荷像現像用トナーの分野で公知のワックスが使用可能であり、例えば、ポリエチレンワックスおよびポリプロピレンワックス等の低分子量ポリオレフィンワックス、カルナバワックスおよびライスワックス等の天然ワックス、サゾールワックス、モンタン系エステルワックス、フィッシャートロプシュワックス等を挙げることができる。
【0056】
耐オフセット性向上の観点からはポリプロピレンワックスを用いることが好ましい。また、スミア性(自動原稿送り時あるいは両面複写時に片面に既に画像が形成された用紙の紙送りの際にローラで画像が擦られて画像ににじみや汚れ等の画質低下を起こす現象)を向上させる観点からはポリエチレンワックスを用いることが好ましい。さらに、オイル量を減らしてなるオイルレスまたは微量オイル塗布の定着用フルカラートナーを達成するためには、天然ワックス、エステル系ワックスに代表される低融点のワックスを使用することが好ましい。
【0057】
上述した観点から特に好ましいポリプロピレンワックスは160℃における溶融粘度が50〜300cps、軟化点が130〜160℃および酸価が1〜20KOHmg/gであるポリプロピレンワックスである。また、特に好ましいポリエチレンワックスは160℃における溶融粘度が1000〜8000cpsおよび軟化点が130〜150℃であるポリエチレンワックスである。すなわち、上記溶融粘度、軟化点および酸価を有するポリプロピレンワックスは上記バインダー樹脂に対する分散性が優れており、遊離ワックスによる問題、例えば、白斑点、ノイズやフィルミングを生じることなく、耐オフセットの向上を達成することができる。特にポリエステル樹脂をバインダー樹脂として使用する場合には、酸化型ワックスを使用することが好ましい。なお、ワックスの溶融粘度はブルックフィールド型粘度計により測定された値である。
【0058】
離型剤を添加する場合、その添加量は、通常バインダ樹脂(A)100重量部に対して0.5〜20重量部である。特に、定着時での使用するオイル量を減らしてなるオイルレスまたは微量オイル塗布の定着用フルカラートナーを達成するためには、モノクロトナーでの画像形成と比較してトナーの付着量が増えるため、定着装置における定着部材と紙等のメディアとの分離が困難となる。そのような場合には、分離性能を確保するため、離型剤はバインダ樹脂(A)100重量部に対して4〜20重量部添加することが好ましい。離型剤は2種以上組み合わせて使用されてよく、その場合にはそれらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0059】
また、負帯電性に効果のあるスルホン酸基、フッ素含有基、ケイ素含有基等の極性官能基を有する各種樹脂(帯電制御樹脂)をトナー粒子に含有させても良い。この帯電制御樹脂(CCR)は、極性官能基を有するモノマーを単独であるいはこれら同士を組み合わせて重合させたものであっても、また、このような極性官能基を有するモノマー成分と、例えばスチレン系モノマー、(メタ)アクリル系モノマー等の単官能性モノマーおよび/または多官能性モノマーとの共重合により得られたものであっても、あるいはまた単官能性モノマーおよび/または多官能性モノマーを重合させてなる重合体と極性官能基を有するモノマーを含む重合体とのポリマーブレンドであっても良い。帯電制御樹脂を添加する場合、その添加量はバインダー樹脂(A)100重量部に対して0.1〜5重量部であることが望ましい。
【0060】
本発明のトナーには、トナー粒子を調製した後の流動性調整剤として、各種有機/無機の微粒子を添加することが好ましい。無機の微粒子としては、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、シリカ、コロイダルシリカ等の各種酸化物、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム等の各種チタン酸化合物、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等の各種金属石鹸、滑石、ベントナイト等の各種非磁性無機微粒子を単独あるいは組み合わせて用いることができる。特にシリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛等の無機微粒子は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、シリコーンオイル、シリコーンワニス等の従来から使用されている疎水化処理剤、さらにはフッ素系シランカップリング剤、またはフッ素系シリコーンオイル、さらにアミノ基や第4級アンモニウム塩基を有するカップリング剤、変性シリコーンオイル等の処理剤を用いて公知の方法で表面処理されていることが好ましい。さらにはクリーニング助剤等の目的で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、非水分散重合法等の湿式重合法、気相法等により造粒した、スチレン系、(メタ)アクリル系、ベンゾグアナミン、メラミン、テフロン、シリコン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の各種有機微粒子を用いることもできる。チタン酸金属塩等の比較的大径の無機微粒子ならびに各種有機微粒子は、疎水化処理してもしなくても良い。これら微粒子は、トナー粒子100重量部に対して、0.1〜6重量部、好ましくは、0.5〜3重量部添加される。上記微粒子は2種以上組み合わせて使用されてよく、この場合にはそれらの合計量が上記範囲内であればよい。
【0061】
以上のようにして得られる本発明のトナーは比較的高い円形度を有し、形状が比較的揃っており、また微小粒子や大径粒子をほとんど含まない。
【0062】
さらに、本発明のトナーは、トナー粒子表面に重合体(B)が露出しているため、色の違いによる帯電量の差が比較的小さく、さらにバインダー樹脂(A)のガラス転移温度が比較的低くても重合体(B)のガラス転移温度を高めに設定することにより耐熱保管性が確保できる。そのため、本発明のトナーはフルカラー画像形成に適している。また、本発明のトナーは現像性および転写性に優れているため、静電荷像担持体(感光体)や中間転写体上の残留トナーをクリーニングする機構を有さないシステム(クリーナレスシステム)やクリーナー部で回収したトナーを再利用するシステム(トナーリサイクルシステム)に有効に適用できる。
【0063】
【実施例】
(第1ポリエステル樹脂の製造)
温度計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸およびフマル酸を重量比82:77:16:32:30に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、220℃で攪拌しながら反応させて、第1ポリエステル樹脂を得た。第1ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は110℃、ガラス転移点(Tg)は60℃、酸価は17.5KOHmg/g、粉砕性指数は1.8であった。なお、第1ポリエステル樹脂は2mm以下に粗砕してトナーの製造に用いた。
【0064】
(第2ポリエステル樹脂の製造)
スチレンおよび2-エチルヘキシルアクリレートを重量比17:3.2に調整し、重合開始剤であるジグミルパーオキサイドとともに滴下ロートに入れた。一方、温度計、攪拌器、流下式コンデンサーおよび窒素導入管を取り付けたガラス製4つ口フラスコに、ポリオキシプロピレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2,2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、イソドデセニル無水コハク酸、テレフタル酸、無水1,2,4-ベンゼントリカルボン酸およびアクリル酸を重量比42:11:11:11:8:1に調整して重合開始剤であるジブチル錫オキサイドとともに入れた。これをマントルヒーター中で窒素雰囲気下にて、135℃で攪拌しながら、滴下ロートよりスチレン等をポリエステル樹脂成分85重量部に対し15重量部となるように滴下した後、昇温して230℃で反応させて、第2ポリエステル樹脂を得た。第2ポリエステル樹脂の軟化点(Tm)は150℃、ガラス転移点(Tg)は62℃、酸価は24.5KOHmg/g、粉砕性指数は1.7であった。なお、第2ポリエステル樹脂は2mm以下に粗砕してトナーの製造に用いた。
【0065】
(重合体(B)の製造)
・樹脂B-1
スチレン(純度99.9%)150gおよびトルエン150gをオートクレーブに仕込み攪拌下に温度を5℃に保ちながらBF3−フェノール錯体1.5gを少量ずつ約10分間で添加した。その後、更に3時間攪拌を続行した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液50mlを加えて30分間激しく攪拌して触媒を分解した後、水層を分離し、更に重合油を中性になるまで水洗した後、未反応成分および溶媒であるトルエンを留去し、残渣としてポリスチレンを得た。当該ポリマーを樹脂B-1とし、物性を表1に示した。
【0066】
・樹脂B-2
α−メチルスチレン(純度99.8%)150gおよびトルエン150gをオートクレーブに仕込み攪拌下に温度を5℃に保ちながらBF3−フェノール錯体1.5gを少量ずつ約10分間で添加した。その後、更に3時間攪拌を続行した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液50mlを加えて30分間激しく攪拌して触媒を分解した後、水層を分離し、更に重合油を中性になるまで水洗した後、未反応成分および溶媒であるトルエンを留去し、残渣としてポリ-α-メチルスチレンを得た。当該ポリマーを樹脂B-2とし、物性を表1に示した。
【0067】
・樹脂B-3
α−メチルスチレン(純度99.8%)150gおよびトルエン150gをオートクレーブに仕込み攪拌下に温度を5℃に保ちながらBF3−フェノール錯体1.5gを少量ずつ約10分間で添加した。その後、更に2.5時間攪拌を続行した。次に5%水酸化ナトリウム水溶液50mlを加えて30分間激しく攪拌して触媒を分解した後、水層を分離し、更に重合油を中性になるまで水洗した後、未反応成分および溶媒であるトルエンを繰り返し留去し、残渣としてポリ-α-メチルスチレンを得た。当該ポリマーを樹脂B-3とし、物性を表1に示した。
【0068】
・樹脂B-4
イソプロペニルトルエン(純度98%)200g、α−メチルスチレン(純度98%)200g、石油ナフサの熱分解によって得られるC5系石油留分(イソプレン)120gおよびトルエン500gを三つ口フラスコに入れ攪拌下ドライアイス浴で冷却しながらBF3−フェノール錯体を少量ずつ添加し3時間反応させた。次に5%水酸化ナトリウム水溶液を加えて30分間激しく攪拌して触媒を分解した後、水層を分離し、更に重合油を中性になるまで水洗した後、未反応成分および溶媒であるトルエンを加熱減圧下で留去し、残渣としてイソプロペニルトルエン-α-メチルスチレン-イソプレン共重合体を得た。当該ポリマーを樹脂B-4とし、物性を表1に示した。
【0069】
・樹脂B-5
反応時間を2時間とした以外は、樹脂B-1と同じ製法でポリスチレンを得た。当該ポリマーを樹脂B-5とし、物性を表1に示した。
・樹脂B-6
反応時間を4.5時間とした以外は、樹脂B-2と同じ製法でポリ-α−メチルスチレンを得た。当該ポリマーを樹脂B-6とし、物性を表1に示した。
【0070】
(顔料マスターバッチの製造)
フルカラートナーの製造に使用する顔料は以下の方法によって得られる顔料マスターバッチとして用いた。各実施例または比較例で使用するバインダー樹脂と顔料を重量比(樹脂:顔料)7:3の割合で加圧ニーダーに仕込み、120℃で1時間混練した。冷却後、ハンマーミルで粗粉砕し、イエロー、マゼンタおよびシアンの各色の顔料含有率30重量%顔料マスターバッチを得た。顔料としてはC.I.Pigment Yellow180(ヘキスト社製)、C.I.Pigment Blue15-3(大日本インキ社製)、C.I.Pigment Red184(大日本インキ社製)を用いた。
【0071】
トナーの製造
実施例1:トナーY-1
第1ポリエステル樹脂、第2ポリエステル樹脂および顔料マスターバッチを、第1ポリエステル樹脂;40重量部、第2ポリエステル樹脂;60重量部およびC.I.Pigment Yellow180;7.0重量部となるように用い、これに樹脂B-1を5重量部、帯電制御剤として上記一般式(i)で表される化合物を1.0重量部、酸化型低分子量ポリプロピレン(100TS;三洋化成社製、軟化点140℃、酸価3.5KOHmg/g)を5重量部添加し、ヘンシェルミキサーで周速40m/sにて材料温度が45℃以上にならないように制御しながら5分間混合した後、2軸押し出し混練機(PCM-30:池貝鉄工社製)の排出部を取り外したものを使用して溶融混練した。混練温度は170℃であり、被処理物の通過時間は約1分間であった。得られた混練物を冷却プレスローラーで2mm厚に圧延し、冷却ベルトで冷却した後、フェザーミル(目開き2mmパス)で粗粉砕した。その後、機械式粉砕機(KTM-0型:川崎重工業社製)で平均粒径約10μmまで粉砕し、さらに、ジェット粉砕機(IDS:日本ニューマチック工業社製)で平均粒径5.8μmまで粉砕粗粉分級した後、微粉分級をロータ型分級機(ティープレックス型分級機タイプ:100ATP:ホソカワミクロン社製)を使用して行い、体積平均粒径6.2μm、体積平均粒径(D)の2倍(2D)以上の粒径を有する粒子の含有割合が0.1重量%、かつ2.5μm以下の粒径を有する粒子の含有割合が0体積%のイエロートナー粒子を得た。また、本トナー粒子の平均円形度は0.960、円形度の標準偏差が0.037であった。このトナー粒子100重量部に対して、疎水性シリカ(TS-500:キャボジル社製)0.5重量部と、酸化チタン(STT30A:チタン工業社製)1.0重量部、チタン酸ストロンチウム(平均粒径0.2μm)1.0重量部を添加し、ヘンシェルミキサーで(周速40m/sec, 60秒間)混合処理した後、目開き90μmの篩でふるいイエロートナー(Y-1)を得た。
【0072】
実施例2, 3:トナーC-1, M-1
顔料マスターバッチを変更し、第1ポリエステル樹脂、第2ポリエステル樹脂および顔料マスターバッチを、第1ポリエステル樹脂;40重量部、第2ポリエステル樹脂;60重量部およびC.I.Pigment Blue15-3;5.0重量部、または第1ポリエステル樹脂;40重量部、第2ポリエステル樹脂;60重量部およびC.I.Pigment Red184;4.5重量部となるように用いたこと以外は、実施例1においてと同様の方法により、トナーC-1, M-1を得た。
【0073】
実施例4:Bk-1
顔料マスターバッチを酸性カーボンブラック(モーガルL;キャボット社製;pH2.5;平均1次粒径24nm)に変更し、第1ポリエステル樹脂、第2ポリエステル樹脂および酸性カーボンブラックを、第1ポリエステル樹脂;40重量部、第2ポリエステル樹脂;60重量部および酸性カーボンブラック8.0重量部となるように用いたこと以外は、実施例1においてと同様の方法により、トナーBk-1を得た。
【0074】
実施例5〜7,比較例1〜2:トナーC-2〜C-6
樹脂B-1をそれぞれB-2〜B-6に代えて用いる以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC2〜C-6を得た。
実施例8〜10:トナーC-7〜C-9
一般式(i)の化合物をそれぞれ一般式(ii)、(iii)または(v)の化合物に代えて用いる以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC-7〜C-9を得た。
【0075】
比較例3:トナーC-10
一般式(i)の化合物を添加しないこと以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC-10を得た。
比較例4:トナーC-11
樹脂B-1を添加しないこと以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC-11を得た。
【0076】
比較例5:トナーC-12
一般式(i)の化合物をクロム錯塩型アゾ染料(ボントロンS-34;オリエント化学工業社製)に代えて用いる以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC-12を得た。
比較例6:トナーC-13
一般式(i)の化合物をKayacharge N-4(日本化薬社製)に代えて用いる以外は、実施例2においてと同様の方法により、トナーC-13を得た。
【0077】
重合体(B)の物性ならびに得られたトナーの製造条件および物性を以下の表に示す。
【表1】
【0078】
【表2】
【0079】
(測定方法)
・樹脂のガラス転移点Tgの測定法
示差走査熱量計(DSC-200:セイコー電子社製)を用いて、リファレンスをアルミナとし、10mgの試料を昇温速度10℃/minの条件で20〜120℃の間で測定し、メイン吸熱ピークのショルダー値をガラス転移点とした。
・樹脂の軟化点Tmの測定法
フローテスター(CFT-500:島津製作所社製)を用い、ダイスの細孔(径1mm、長さ1mm)、加圧20kg/cm2、昇温速度6℃/minの条件で1cm3の試料を溶融流出させたときの流出開始点から流出終了点の高さの1/2に相当する温度を軟化点とした。
・分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ(807-IT型;日本分光工業社製)を使用し、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを使用して、ポリスチレン換算により分子量を求めた。
・酸価は、10mgの試料をトルエン50mlに溶解し、0.1%のブロムチモールブルーとフェノールレッドの混合指示薬を用いて、予め標定されたN/10水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、N/10水酸化カリウム/アルコール溶液の消費量から算出した値である。
【0080】
・粉砕性指数
試料(体積平均粒径を約2mmに調整されたバインダー樹脂または重合体(B))を機械式粉砕機(KTM-0型:川崎重工業社製)で処理量F(5kg/h)、KTM回転数12000(rpm)にて粉砕する際に、試料通過無し時の負荷動力値W0と試料を通過させた時の負荷動力値W1を記録する。その後、KTM粉砕で得られた粉砕物の体積平均粒径D(μm)をコールタマルチサイザーII(コールターベックマン社製)にて測定する。
本発明で用いた粉砕性指数は、下記式により算出される。
粉砕性指数=(D×(W1-W0))/F
【0081】
・トナーの体積平均粒径、体積平均粒径(D)の2倍(2D)以上の粒径を有する粒子の含有割合および2.5μm以下の粒径を有する粒子の含有割合はコールターマルチサイザーII(コールタカウンタ社製)を用いて、アパチャーチューブ50μmを用いて測定した。
・円形度は「相当円の周囲長/粒子投映像の周囲長」で表される。平均円形度はフロー式粒子像解析装置(FPIA-2000:シスメックス社製)を用いて水分散系で測定した。併せて、円形度の標準偏差(円形度SD)についても解析を行った。
【0082】
・トナー収率は、使用されたトナー材料の全重量および得られたトナーの重量を測定し、以下の式に従って算出した。
収率=(得られたトナーの重量)/(トナー材料の全重量)×100
【0083】
得られたトナーを各種項目について評価した。
(耐熱保管性)
100ccのガラス製のスクリュウ管にトナー10gを秤量し、60℃にて5時間放置保管した後、トナーの凝集状態をランク付け評価した。結果を表3に示した。
○:凝集トナーがなく、全く問題無なかった;
△:軽い軟凝集が存在するが、軽い力で直ぐ解れ、実使用上問題無かった;
×:強い凝集塊が存在し、容易に解れず、実使用上問題有あった。
【0084】
・1成分現像剤としての評価
(帯電量)
プリンタ(Intercolor LP 3000C;セイコーエプソン社製)のトナーカートリツジに各トナーを入れ、現像させることなく、またトナーの入れ替えなしに、現像スリーブ上で1回転目、5回転目および10回転目のトナー帯電量を吸引法で測定した。結果を表3に示す。
【0085】
(カブリ、中抜け、飛び散り、転写性、追随性および網点・ライン再現性)
プリンタ(Intercolor LP 3000C;セイコーエプソン社製)のトナーカートリツジに各トナーを表4の組み合わせで入れ、単色のベタ画像および網点およびラインからなる画像をHH環境(30℃、85%RH)およびLL環境(10℃、15%RH)で画出しし、上記項目について色ごとに評価を行った。評価結果は画出し初期の結果であり、4色のトナーの結果のうち最も悪い結果を表4に記した。
なお、カブリは全ての画像上でのカブリを観察することによって評価した。
中抜けはベタ画像上の白点を観察することによって評価した。
飛び散りは画出し後の実機内でのトナー飛散を観察することによって評価した。
転写性は感光体ドラム上のトナー付着量に対する紙上のトナー付着量の割合を求めることによって評価した。
追随性はB/W比30%の画像を印字した後、ベタ画像を印字したときの、ベタ画像上の濃度むらを観察することによって評価した。
網点・ライン再現性はそれぞれ網点画像およびライン画像をルーペで観察することによって評価した。
○:良好(実用的に好適である);
△:実使用モードで問題なし;
×:いかなる使用モードでも実用上問題があった。
【0086】
・2成分現像剤としての評価
上記実施例ならびに比較例で得られたトナーを2成分系現像剤として評価に供するため、バインダ型キャリアを製造した。
(バインダ型キャリアの製造)
ポリエステル系樹脂(花王社製:NE-1110)100重量部、磁性粒子(マグネタイト;EPT-1000:戸田工業社製)700重量部およびカーボンブラック(モーガルL;キャボット社製)2重量部をヘンシェルミキサーで十分混合し、二軸押出混練機でシリンダ部180℃、シリンダヘッド部170℃に設定し、溶融混練した。この混練物を冷却し、その後、ハンマーミルで粗粉砕し、ジェット粉砕機で微粉砕、分級して、体積平均粒径40μmのバインダ型キャリアを得た。キャリアの粒径はコールターマルチサイザーII(コールタカウンタ社製)を用いアパチャーチューブ150μmを用いて測定した。
【0087】
2成分現像剤としてトナーの評価を行う場合において、各トナーは、後処理で用いる疎水性シリカTS-500(キャボット社製)0.5重量部をH-2000(クラリアント社製)0.5重量部に変更して用いた。なお、その他の後処理剤は1成分現像剤としてのトナーにおいてと同様であった。
【0088】
(帯電量)
2成分現像剤の帯電立ち上がり特性を評価するため、トナーとキャリアをトナー混合比7重量%で調合し、1分, 5分, 30分の帯電量を電解分離法により測定した。その結果をもとに帯電立ち上がり特性を、◎;良好、○:実用上問題無し,△:特定の使用条件により問題が生じる,×:実用上問題有りにランク分けした。結果を表3に示した。
【0089】
(カブリ、中抜け、飛び散り、転写性、追随性および網点・ライン再現性)
また、各トナーと上記バインダ型キャリアをそれぞれトナー混合比7重量%になるように混合してスターターを作成し、各スターターを表4の組み合わせで、デジタル複写機(DiALTA Di350;ミノルタ社製)に搭載し、NN環境(25℃、55%RH)で単色のベタ画像および網点およびラインからなる画像を3000枚印字し、上記項目について色ごとに評価を行った。評価結果は3000枚耐刷後の結果であり、4色の現像剤の結果のうち最も悪い結果を表4に記した。各項目およびランクについての説明は1成分現像剤としての評価においてと同様である。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【発明の効果】
本発明のトナーは、いかなる環境下においても良好な帯電立ち上がり性および帯電安定性を有し、生産性よく製造され得る。本発明のトナーはまた、画質性および耐熱保管性に優れている。本発明のトナーはさらに、フルカラー画像形成、クリーナレスシステムおよびトナーリサイクルシステムに適用可能であり、比較的高い円形度を有し、形状が比較的揃っている。
Claims (9)
- 少なくともバインダー樹脂(A)、重量平均分子量1000〜3000および重量平均分子量/数平均分子量2.0以下の重合体(B)、一般式(I);
MはZn、Cr、AlまたはBである;
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR9R10R11R12N+(式中、R9、R10、R11およびR12はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である)である;
nは1または2である。)
または一般式(II);
MはZn、Cr、AlまたはBである;
X+は水素イオン、アルカリ金属イオンまたはR17R18R19R20N+(式中、R17、R18、R19およびR20はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である)である;
nは1または2である。)
で表されるモノヒドロキシモノカルボン酸金属錯体および着色剤を含む静電荷像現像用トナー。 - 一般式(I)および一般式(II)においてMがBである請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合体(B)が、芳香族モノマーおよび/または脂肪族モノマーの単独重合体または共重合体である請求項1または2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 芳香族モノマーがスチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエンおよびインデンからなる群から選択される1またはそれ以上のモノマーであり、脂肪族モノマーがイソプレン、ピペリレン、2−メチル−ブテン−1および2−メチルブテン−2からなる群から選択される1またはそれ以上のモノマーである請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合体(B)が少なくともスチレンおよび/またはα−メチルスチレンを含む請求項1〜4いずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合体(B)が重量平均分子量1000〜2000のポリスチレンである請求項1〜5いずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 重合体(B)が重量平均分子量2000〜2800のポリ−α−メチルスチレンである請求項1〜5いずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 静電荷像現像用トナーが1成分現像用トナーである請求項1〜8いずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
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