JP4411735B2 - リチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極活物質を有する正極と、リチウムをドープ/脱ドープすることが可能である負極活物質を含有する負極と、非水電解質とを備えるリチウムイオン二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子技術の進歩に伴い、各種電子機器の高性能化、小型化、ポータブル化が進行している。これに伴い、電子機器を駆動させる電源となる電池に対しても、軽量且つ高容量であることが求められており、更なるエネルギー密度の向上が求められている。
【0003】
このような電池としては、従来よりニッケル・カドミウム電池や鉛電池等の二次電池が用いられている。しかし、ニッケル・カドミウム電池や鉛電池は放電電圧が低く、所望のエネルギー密度を達成することができなかった。そこで、リチウムをドープ/脱ドープすることが可能である負極活物質を使用した非水電解質電池、いわゆるリチウムイオン二次電池が注目されている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、放電電圧が高く、自己放電が少なく、且つサイクル特性が良好で、高エネルギー密度であるという優れた特長を有している。このような理由から、リチウムイオン二次電池は様々な分野で使用される機会が増加しており、例えば、屋外で使用されることの多い電子機器である携帯電話やノート型パソコン等の電源として使用されることが増えている。これらの電子機器は、例えば車のダッシュボード上に放置されることがある。車のダッシュボードは夏場では温度が80℃以上になることがあるので、電子機器の電源となるリチウムイオン二次電池には、このような高温環境下に長時間放置されても電池特性が劣化しないこと、即ち高温保存特性の向上が強く求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リチウムイオン二次電池は、高温環境下に長時間放置された場合、電池内部に酸素ラジカルが発生し、この酸素ラジカルにより非水電解質が分解されてしまう。このため、リチウムイオン二次電池は、高温環境下に長時間放置された場合、電池特性が著しく劣化していた。
【0006】
そこで、本発明は従来の実情に鑑みて提案されたものであり、高温保存特性に優れるリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るリチウムイオン二次電池は、正極活物質を有する正極と、リチウムをドープ/脱ドープすることが可能である負極活物質を含有する負極と、非水電解質とを備えるリチウムイオン二次電池において、非水電解質に、酸化防止剤とビニレンカーボネートが含有され、酸化防止剤は、フェニル−β−ナフチルアミン又は2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールであり、非水電解質100重量部に対して1.0×10 −3 重量部以上、6重量部以下の範囲であり、ビニレンカーボネートは、12重量部含有されている。
【0008】
以上のように構成された本発明に係るリチウムイオン二次電池は、非水電解質中に酸化剤及びビニレンカーボネートが含有され、酸化防止剤がフェニル−β−ナフチルアミン又は2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールであり、非水電解質100重量部に対して1.0×10 −3 重量部以上、6重量部以下の範囲で含有されることによって、高温環境下に保存された電池の内部に発生する酸素ラジカルを捕捉するので、酸素ラジカルが非水電解質を分解する分解反応の進行が抑制されている。従って、非水電解質電池は、高温環境下に保存されても非水電解質の分解が防止されているので、電池特性が劣化しない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る非水電解質電池について、詳細に説明する。
【0010】
本発明を適用した非水電解液二次電池はいわゆるリチウムイオン二次電池であり、基本的な構成要素として、正極、負極、非水電解質を備える。
【0011】
そして、この非水電解質は、酸化防止剤が含有されている。ここで酸化防止剤とは、種々の自動酸化性物質に対し、光や熱などの条件下における酸素の作用を防止又は抑制する性質を備える化合物である。
【0012】
酸化防止剤としては、例えばキノン類、芳香族アミン類、フェノール類、ビタミンE、ビタミンC、セサモール、クェルセチン等の有機化合物が挙げられる。
【0013】
この酸化防止剤は、酸素ラジカルを捕捉して、非水電解質と酸素ラジカルとが反応することを抑制する。従って、非水電解質電池は、高温環境下において非水電解質が酸素ラジカルにより分解されることが抑制されているので、電池特性が劣化せず、高温保存特性に優れる。
【0014】
また、酸化防止剤が非水電解質中に含有される含有量は、非水電解質100重量部に対して1.0×10-3重量部以上、10重量部以下の範囲であることが好ましく、5.0×10-3重量部以上、6重量部以下の範囲であることがより好ましい。酸化防止剤の含有量が1.0×10-3重量部未満である場合、酸化防止剤が酸素ラジカルを捕捉する作用が得られない虞がある。一方、酸化防止剤の含有量が10重量部を越える場合、電池内部のイオン伝導を妨げる虞があり、非水電解質電池は電池容量が低下する可能性がある。従って、非水電解質電池は、非水電解質に酸化防止剤が上記範囲で含有されていることにより、高温保存特性がより確実に向上し、高容量で電池特性に優れる。
【0015】
負極は、負極集電体上に負極活物質を含有する負極活物質層が形成されている。負極集電体としては、例えばニッケル箔等が用いられる。
【0016】
負極活物質としては、リチウムのドープ/脱ドープが可能な炭素材料、結晶質、非結晶質金属酸化物等が挙げられる。炭素材料としては、例えば熱分解炭素類、コークス類、(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、グラファイト、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、炭素繊維、及び活性炭等が挙げられる。特に、負極活物質として炭素材料であるグラファイトを用いることが好ましい。
【0017】
正極は、正極集電体上に正極活物質を含有する正極活物質層が形成されている。正極集電体としては、例えばアルミニウム箔等の金属箔が用いられる。
【0018】
正極活物質としては、Liを主体とする金属酸化物、Liを含有する層間化合物等が使用可能であり、具体的には、一般式LiMxOy(式中、MはCo、Ni、Mn、Fe、Al、V、Tiのうち少なくとも1種類以上を含有する。)で表されるリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。
【0019】
非水電解質としては、電解質塩を非水溶媒に溶解して調製される液状のいわゆる電解液であっても良いし、電解質塩を非水溶媒に溶解した溶液を高分子マトリックス中に保持させたポリマーゲル電解質であってもよい。非水電解質としてポリマーゲル電解質を用いる場合、使用する高分子材料としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。
【0020】
電解質塩としては、イオン伝導性を示すリチウム塩であれば特に限定されることはなく、例えばLiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiB(C6H5)4、LiCl、LiBr、CH3SO3Li、CF3SO3Li等が挙げられる。これらの電解質塩は、1種類を単独で用いても良く、2種類以上を混合して用いることも可能である。
【0021】
非水溶媒は、電解質イオンの輸送能力の高い低粘度溶媒と、電解質塩の溶解能力の高い高誘電率溶媒とを混合した溶液である。低粘度溶媒としては、メチルエチルカーボネート(MEC)、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,2−ジエトキシエタン、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)等が挙げられる。高誘電率溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等があげられる。
【0022】
また、非水溶媒として使用可能である有機溶媒としては、2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。なお、これらの非水溶媒は、1種類を単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いても良い。
【0023】
電圧安定性の点からは、PC等の環状エルテル類、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート等の鎖状エステル類を用いることが好ましい。プロピレンカーボネート(以下、PCと称する)を高誘電率溶媒とするPC系電解液は、高い導電率が得られ、電池のサイクル特性を向上できるという特長を有する。しかし、負極活物質として、結晶性が高く、電池のエネルギー密度の向上効果が期待されるグラファイトと組み合わせて使用した場合、PCはグラファイトにより分解される虞があり、リチウムイオン二次電池としては電池容量が減少する可能性がある。
【0024】
このため、負極活物質としてグラファイトを用いる場合には、高誘電率溶媒として、グラファイトにより分解されにくいエチレンカーボネート(以下、ECと称する。)等を用いる。
【0025】
また、例えば−20℃近くになる雪山のような低温環境下で使用される電子機器の電源として非水電解質電池を使用する場合、この非水電解質電池の非水溶媒としては、ビニレンカーボネート(以下、VCと称する)を用いることが好ましい。VCは凝固点が22℃付近であるので、VCを含有する非水電解質は低温環境下であってもイオン伝導性が良好であり、非水電解質電池としては、低温環境下で使用されても電池特性が劣化しない。
【0026】
ところで、一般にVCを高誘電率溶媒として用いたリチウムイオン二次電池は低温特性は向上するが高温保存特性は非常に悪く、高温環境下に長時間放置した場合、電池容量の劣化が著しいことが本発明者らの検討により確認された。つまり、VCを含有する非水電解質は、高温環境下に保存された電池の内部に発生する酸素ラジカルによって、非常に分解されやすかった。
【0027】
これに対して、本発明においては非水電解質中に酸化防止剤が含有されており、この酸化防止剤が酸素ラジカルを捕捉して、非水電解質、特にVCと酸素ラジカルとが反応することを抑制している。従って、本発明に係る非水電解質電池は、非水溶媒としてVCを用いた場合に高温環境下に保存されたとしても、非水電解質が分解することが防止されているので、電池特性が劣化しない。
【0028】
つまり、非水電解質にVCが含有されている非水電解質電池は、高温保存特性及び低温特性の両方に優れる。
【0029】
また、ビニレンカーボネートの重量をaとし、酸化防止剤の重量をbとするときに、VCと上記酸化防止剤との混合比a/bが1以上、12000以下の範囲であることが好ましく、2以上、2400以下の範囲であることがより好ましい。 a/bが1未満である場合、低温環境下における非水電解質のイオン伝導性が不十分となる虞がある。一方、a/bが12000を越える場合、高温環境下において酸化防止剤が酸素ラジカルを捕捉する作用が不十分となり、VCが酸素ラジカルにより分解される虞がある。従って、この非水電解質電池は、a/bが1以上、12000以下の範囲であることにより、高温保存特性及び低温特性がより確実に向上する。
【0030】
【実施例】
以下、本発明に係る非水電解質電池について、具体的な実験結果に基づいて説明する。なお、ここでは実施例及び比較例として、図1に示すように、負極集電体1上に負極活物質を含有する負極活物質層が形成されている帯状の負極2と、正極集電体3上に正極活物質を含有する正極活物質層が形成されている帯状の正極4とがセパレータ5を介して積層され、長手方向に巻回されてなる渦巻型の電極体が電池缶6に装填され、非水電解液が電池缶6に注入されてなる非水電解液二次電池、いわゆるリチウムイオン二次電池を複数作製した。以下に示す実施例1〜実施例19、比較例1、比較例2は、本発明の参考例に相当するものであり、実施例20、実施例21、実施例24〜実施例28は、本発明の実施例に相当するものであり、実施例22、実施例23、実施例29、実施例30は、本発明の参考例に相当するものである。
【0031】
<実験1>
ここでは、酸化防止剤を添加した電解液を含有するリチウムイオン二次電池を実施例として作製した。
【0032】
実施例1
〔負極の作製方法〕
先ず、負極活物質として黒鉛化成型体粉末を作製した。はじめに、フィラーとなる石炭系コークス100重量部に対し、バインダとなるコールタール系ピッチを30重量部加え、これを約100℃にて混合した後、プレスを用いて圧縮成型して炭素成型体の前駆体を得た。次に、この前駆体を1000℃以下で熱処理して炭素成型体を得た。そして、この炭素成型体に200℃以下で溶融させたバインダーピッチを含浸し、更に1000℃以下で熱処理するという、ピッチ含浸/焼成工程を数回繰り返した。更に、この炭素成型体を不活性雰囲気中、2800℃にて熱処理することで黒鉛化成型体を得た。そして、粉砕分級することで、黒鉛化成型体粉末とした。
【0033】
なお、この黒鉛化成型体粉末についてX線回折測定を行った結果、(002)面の面間隔は0.337nmであり、(002)回折線から計算されるC軸結晶子厚みは50.0nmであった。また、ピクノメータ法による真密度は2.23g/cm3であり、ブルナウアーエメットテラー法による比表面積は1.6m2/gであった。また、レーザ回折法による粒度分布の平均粒径は33.0μmであり、累積10%粒径が13.3μmであり、累積50%粒径が30.6μmであり、累積90%粒径が55.7μmであり、黒鉛粒子の破壊強度の平均値は7.1kgf/mm2であった。また、JISK−1469に記載される測定方法により求めた嵩密度は0.98g/cm3であった。
【0034】
ここで、嵩密度の測定方法を具体的に説明する。先ず、予め質量を測定した容量100g/cm3であるメスシリンダに、粉末状の黒鉛化成型体粉末を入れた。この黒鉛化成型体粉末が投入されたメスシリンダの質量を秤量し、その質量からメスシリンダ本体の質量を差し引くことで、投入した黒鉛化成型体粉末の質量(W)を測定した。次に、黒鉛化成型体粉末が入れられたメスシリンダにコルク栓をし、このメスシリンダをゴム板に対して約5cmの高さから50回落下させて、黒鉛化成型体粉末を圧縮した。そして、圧縮された黒鉛化成型体粉末の容積(V)を測定した。以上のようにして測定した黒鉛化成型体粉末の質量(W)及び黒鉛化成型体粉末の容積(V)から、下記に示す式(1)により嵩密度を求めた。
【0035】
D=W/V ・・・式(1)
【0036】
次に、負極活物質として黒鉛化成型体粉末90重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン10重量部とを混合して負極合剤を調製した後に、N−メチルピロリドン中に分散させて負極合剤スラリーとした。そして、負極集電体1となる厚さが10μmである帯状の銅箔の両面に、負極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させ、一定圧力で圧縮成型した後にスリットすることで、帯状の負極2を作製した。
【0037】
〔正極の作製方法〕
先ず、炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルとを混合した混合物を、空気中、900℃で5時間焼成することにより、正極活物質としてLiCoO2を合成した。なお、得られた物質についてX線回折測定を行い、測定結果がJCPDSファイルに登録されたLiCoO2のデータと一致していることを確認した。次に、LiCoO2を粉砕してLiCoO2粉末とした。なお、LiCoO2粉末は、レーザ回折法により測定した粒度分布の平均粒径は累積50%粒径が15μmとなるように、粉砕された。
【0038】
次に、LiCoO2粉末95重量部と炭酸リチウム粉末5重量部とを混合して混合粉末とした。そして、混合粉末91重量部と、導電剤として鱗片状黒鉛6重量部と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量部とを混合して正極合剤を調製した後に、N−メチルピロリドン中に分散させて正極合剤スラリーとした。そして、正極集電体3となる厚さが20μmである帯状のアルミニウム箔の両面に、この正極合剤スラリーを均一に塗布して乾燥させ、一定圧力で圧縮成型した後にスリットすることで、帯状の正極4を作製した。
【0039】
〔電解液の調製〕
先ず、重量比でLiPF6:EC:PC:DMCが12:30:7:51として混合し、電解液を作製した。次に、この電解液100重量部に対して、酸化防止剤としてフェニル−β−ナフチルアミンを0.2重量部添加してなる電解液を調製した。
【0040】
上述のようにして作製した帯状の負極2と帯状の正極4とを、厚さが25μmであり微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータ5を介して、負極2、セパレータ5、正極4、セパレータ5の順に積層した後に多数回巻き回すことで、外径18mmである渦巻型の電極体を作製した。
【0041】
次に、この電極体を、ニッケルメッキを施した鉄製の電池缶6に収納した。そして、電極体上下両面に絶縁板7を配設し、ニッケル製の負極リード8を負極集電体1から導出して電池缶6に溶接した。なお、電池缶6は負極2と導通をもつこととなり、リチウムイオン二次電池の外部負極となる。また、アルミニウム製の正極リード9を正極集電体3から導出し、電池内圧に応じて電流を遮断する電流遮断用薄板を介して電池蓋10に溶接した。なお、電池蓋10は正極4と導通をもつこととなり、リチウムイオン二次電池の外部正極となる。
【0042】
そして、電池缶6の中に上述のようにして調製した非水電解液を注入した後に、アスファルトを塗布した封口ガスケット11を介して電池缶6をかしめることにより電池蓋10を固定する。
【0043】
なお、リチウムイオン二次電池においては、負極リード8および正極リード9に接続するセンターピン12が設けられているとともに、電池内部の圧力が所定値よりも高くなったときに内部の気体を抜くための安全弁装置13及び電池内部の温度上昇を防止するためのPTC素子14が設けられている。
【0044】
以上のようにして、直径が18mm、高さが65mmである円筒型の非水電解液二次電池を作製した。
【0045】
実施例2〜実施例9
酸化防止剤として、下記表1に示す有機化合物を電解液に添加すること以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0046】
比較例1
酸化防止剤を電解液に添加しないこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0047】
以上のようにして作製した実施例1〜実施例9及び比較例1のリチウムイオン二次電池に対して、初期容量を測定し、低温特性及び高温保存特性を評価した。
【0048】
<初期容量の測定>
まず、23℃環境下において、充電電流を0.5Aとして終止電圧が4.2Vまで、7時間の定電流定電圧充電を行った。次に、23℃環境下において、放電電流を0.2Aとして終止電圧が2.75Vまでの定電流放電させて初期の電池容量を測定し、これを初期容量とした。
【0049】
<高温保存特性の評価>
上述のようにして初期容量を測定した後に、23℃環境下に3時間保存後、23℃環境下において充電電流を0.5Aとして終止電圧が4.2Vまで、7時間の定電流定電圧充電を行った。その後、85℃環境下で330時間保存した後、23℃環境下で放電電流を0.2Aとして終止電圧が2.75Vまでの定電流放電を行った。
【0050】
そして、23℃環境下において、充電電流を0.5Aとして終止電圧が4.2Vまで、7時間の定電流定電圧充電を行った。その後、23℃環境下において、放電電流を0.2Aとして終止電圧が2.75Vまで放電させて電池容量を測定し、これを回復容量とした。そして、回復容量値から高温保存特性を評価した。
【0051】
<低温特性の評価>
まず、23℃環境下において、充電電流を0.5Aとして終止電圧が4.2Vまで、7時間の定電流定電圧充電を行った。次に、−20℃の低温環境下において、放電電流を0.5Aとして終止電圧が2.75Vまでの定電流放電させて、−20℃での電池容量を測定した。そして、−20℃での電池容量値から、低温特性を評価した。
【0052】
以上の測定結果と、酸化防止剤の物質名とを合わせて表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1から明らかなように、電解液に酸化防止剤が含有されている実施例1〜実施例9のリチウムイオン二次電池は、85℃環境下に330時間保存後であっても回復容量が高く、1200mAh以上の容量を備えることがわかった。一方、電解液に酸化防止剤が含有されていない比較例1は、回復容量が1100mAhと小さいことがわかった。
【0055】
従って、リチウムイオン二次電池は、非水電解質中に酸化防止剤が含有されることにより、高温保存特性に優れることがわかった。
【0056】
実施例10〜実施例19
電解液に酸化防止剤として添加したフェニル−β−ナフチルアミンの含有量を、下記に示す表2の通りに変化させたこと以外は実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。そして、これら実施例10〜実施例19における初期容量、−20℃での電池容量、回復容量を上述した方法と同様にして測定し、低温特性及び高温保存特性を評価した。以上の測定結果及び酸化防止剤(フェニル−β−ナフチルアミン)の含有量を表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
また、実施例1及び実施例10〜実施例19の測定結果から、初期容量及び回復容量と、酸化防止剤(フェニル−β−ナフチルアミン)の含有量との関係を示す特性図を図2に示す。
【0059】
ここで、実施例10及び実施例11を比較すると、酸化防止剤としてフェニル−β−ナフチルアミンの含有量が1.0×10-4重量部である実施例10と、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が5.0×10-4重量部である実施例11とでは、回復容量がほぼ同じであるが、実施例11及び実施例12を比較すると、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が1.0×10-3重量部である実施例12は、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が1.0×10-3重量部未満である実施例11よりも回復容量がより高いことがわかった。
【0060】
また、実施例17及び実施例18を比較すると、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が10重量部である実施例17は、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が10重量部を越える実施例11よりも回復容量がより高く、初期容量がより高いことがわかった。
【0061】
従って、リチウムイオン二次電池は、酸化防止剤が電解液中に含有される含有量が1.0×10-3重量部以上、10重量部以下の範囲であることにより、高温保存特性がより確実に向上し、高容量で電池特性に優れることがわかった。
【0062】
<実験2>
ここでは、酸化防止剤及びビニレンカーボネートを添加した電解液を含有するリチウムイオン二次電池を実施例として作製した。
【0063】
実施例20
先ず、重量比でLiPF6:EC:PC:DMC:VCが12:30:7:39:12となるように混合し、これに酸化防止剤としてフェニル−β−ナフチルアミンを添加して、フェニル−β−ナフチルアミンの含有量が0.2重量部である電解液を調製すること以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
【0064】
実施例21
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールの含有量が0.2重量部である電解液を調製すること以外は実施例20と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0065】
比較例2
酸化防止剤を添加しないこと以外は実施例20と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0066】
このように作製した実施例20、21及び比較例2に対して、初期容量、−20℃での電池容量、回復容量を上述した方法を同様にして測定し、低温特性及び高温保存特性を評価した。以上の測定結果と、酸化防止剤の含有量、VCの含有量とを合わせて表3に示す。また、VCの重量をaとし、酸化防止剤の重量をbとするとき、VCと上記酸化防止剤との混合比a/bを表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
表3より明らかなように、酸化防止剤及びVCが含有されている電解液を含有する実施例20及び実施例21は、回復容量が1000mAhを越えるほど高く、且つ、−20℃での電池容量が非常に高いことがわかった。
【0069】
これに対して、酸化防止剤が含有されていない電解液を含有する比較例2は、−20℃での電池容量が高いものの、回復容量が悪いことがわかった。
【0070】
従って、リチウムイオン二次電池は、酸化防止剤及びVCが含有されている電解液を含有することにより、低温特性及び高温保存特性に優れることがわかった。
【0071】
実施例22〜実施例30
フェニル−β−ナフチルアミンの含有量を変化させて、VCの重量をaとし、酸化防止剤(フェニル−β−ナフチルアミン)の重量をbとするときに、a/bが表4に示す値である電解液を備えること以外は実施例20と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。
【0072】
このように作製した実施例22〜30に対して、初期容量、−20℃での電池容量、高温保存特性を上述した方法と同様にして測定し、低温特性及び高温保存特性を評価した。以上の測定結果と、酸化防止剤(フェニル−β−ナフチルアミン)の含有量、VCの含有量、VCと酸化防止剤との混合比であるa/bとを合わせて表4に示す。
【0073】
【表4】
【0074】
また、実施例20及び実施例22〜実施例30の測定結果から、初期容量、低温環境下での電池容量及び回復容量と、a/bとの関係を示す特性図を図3に示す。
【0075】
ここで、実施例22及び実施例23を比較すると、a/bが1である実施例23は、a/bが1未満である実施例22よりも−20℃での電池容量がより向上し、初期容量、回復容量も向上することがわかった。また、実施例28及び実施例29を比較すると、a/bが12000である実施例28は、a/bが12000を越える実施例29よりも回復容量が大きいことがわかった。
【0076】
従って、リチウムイオン二次電池は、VCと酸化防止剤との混合比、即ちa/bが1以上、12000以下の範囲であることにより、低温特性及び高温保存特性に確実に優れることがわかった。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明に係る非水電解質電池は、非水電解質に酸化防止剤が含有されていることにより、高温保存特性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リチウムイオン二次電池の断面図である。
【図2】初期容量及び回復容量と、酸化防止剤(フェニル−β−ナフチルアミン)の含有量との関係を示す特性図である。
【図3】初期容量、低温環境下での電池容量及び回復容量と、ビニレンカーボネートと酸化防止剤との混合比a/bとの関係示す特性図である。
【符号の説明】
0 負極集電体、2 負極、3 正極集電体、4 正極
Claims (2)
- 正極活物質を有する正極と、リチウムをドープ/脱ドープすることが可能である負極活物質を含有する負極と、非水電解質とを備えるリチウムイオン二次電池において、
当該非水電解質に、酸化防止剤とビニレンカーボネートが含有され、
上記酸化防止剤は、フェニル−β−ナフチルアミン又は2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールであり、非水電解質100重量部に対して1.0×10 −3 重量部以上、6重量部以下の範囲であり、
上記ビニレンカーボネートは、12重量部含有されているリチウムイオン二次電池。 - 上記ビニレンカーボネートと上記酸化防止剤との混合比(ビニレンカーボネートの重量)/(酸化防止剤の重量)は、2以上、12000以下の範囲である請求項1記載のリチウムイオン二次電池。
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