JP4410349B2 - 車高調整装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車高調整装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車高調整装置として、実開平4-104005号公報に記載の如く、油圧緩衝器に取着される油圧ジャッキにより懸架ばねを担持し、該油圧ジャッキに作動油を給排する圧油給排装置を備えるものがある。
【0003】
この従来技術では、圧油給排装置が、油圧タンク内にピストンを嵌挿してポンプ室を区画し、モータにて駆動されるねじ軸にナット(プランジャロッド)を回り止めして螺合し、該ナットをピストンに衝合してピストンを移動可能とする。そして、ナットの前進端検出用リミットスイッチと、後退端検出用リミットスイッチを備え、それらのリミットスイッチの検出結果によりモータを停止し、且つ正逆転切換制御することにより、車高を上昇位置と下降位置に切換制御可能とする。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来技術には以下の問題点がある。
▲1▼圧油給排装置のナットを前進端と後退端に停止させることはできるが、制御によって任意の中間位置に停止させることはできず、車高を任意の位置に調整できない。
【0005】
▲2▼前進端検出用リミットスイッチと後退端検出用リミットスイッチの2個のリミットスイッチを備える必要があり、装置を小型、軽量化できない。
【0006】
▲3▼現在の車高位置を表示器に表示して車高調整できない。
【0007】
本発明の課題は、簡素な装置構成によりながら、車高を任意の位置に調整することにある。
【0008】
また、本発明の課題は、現在の車高調整位置を表示器に表示して車高調整できるようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明は、油圧緩衝器に取着される油圧ジャッキにより懸架ばねを担持し、該油圧ジャッキに作動油を給排する圧油給排装置を備えてなる車高調整装置において、圧油給排装置は、油圧タンク内にピストンを嵌挿してポンプ室を区画し、モータにて駆動されるねじ軸にナットを回り止めして螺合し、該ナットをピストンに衝合してピストンを移動可能とし、モータによるナットの駆動経路にナットの位置を検出可能とする回転式位置検出器を設け、該位置検出器の出力によりモータを制御することにより、ナット及びピストンの位置を任意の位置に停止制御させて車高を任意の位置に調整可能としてなるようにしたものである。
【0010】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の本発明において更に、前記位置検出器が、前記ナットに連係せしめられる揺動アームを備えてなるようにしたものである。
【0011】
請求項3に記載の本発明は、請求項2に記載の本発明において更に、前記揺動アームのピンがナットに一体の回り止め及び検出アームに連係され、該検出アームが油圧タンクの側部に開いた窓状のスライドガイドに摺接して該ナットを回り止めするようにしたものである。
【0012】
請求項4に記載の本発明は、請求項3に記載の本発明において更に、前記揺動アームのピンがねじりばねによりナットの検出アームに常時押当て可能にされているようにしたものである。
【0013】
請求項5に記載の本発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の本発明において更に、前記位置検出器の出力により車高調整位置を表示する車高表示器を運転席のフロントパネルに設けてなるようにしたものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は車高調整装置を示す模式図、図2は油圧緩衝器を示す模式図、図3は圧油給排装置と油圧ジャッキを示す模式図、図4は圧油給排装置を示す断面図、図5は図4のV−V 線に沿う矢視図、図6は油圧タンクと油圧ジャッキのサブ組立体を示す模式図である。
【0017】
車高調整装置10は、図1〜図3に示す如く、油圧緩衝器20に付帯して用いられ、油圧緩衝器20に取着される油圧ジャッキ11により懸架ばね23を担持し、油圧ジャッキ11に作動油を給排する圧油給排装置12を備える。
【0018】
車高調整装置10の説明に先立ち、油圧緩衝器20について説明する。
(油圧緩衝器20)(図1、図2)
油圧緩衝器20は、図1、図2に示す如く、シングルチューブ分離加圧式であり、ダンパチューブ21とピストンロッド22と懸架ばね23とを有する。
【0019】
ダンパチューブ21の上端側外周部にストッパリング24で固定した油圧ジャッキ11に上スプリングシート25を取着し、ピストンロッド22に下スプリングシート26を取着し、懸架ばね23を上スプリングシート25と下スプリングシート26の間に介装し、路面からの衝撃を懸架ばね23により吸収する。
【0020】
油圧緩衝器20は、ダンパチューブ21の一端軸封部にロッドガイド27を液密に固定し、このロッドガイド27にピストンロッド22を貫通支持するとともに、オイルシール28を備える。油圧緩衝器20は、ダンパチューブ21に作動油を充填するとともに、ピストンロッド22に固定したピストン29をダンパチューブ21の内部で液密に摺動自在とし、ダンパチューブ21の内部をロッド側室30Aとピストン側室30Bに区画している。油圧緩衝器20は、ダンパチューブ21の内部にフリーピストン31を摺動自在に配置し、このフリーピストン31により区画される加圧ガス室32とリザーバ室33を備え、リザーバ室33とピストン側室30Bとの間にフリーピストンストッパ34を加締め固定し、フリーピストンストッパ34のオリフィス35によりピストン側室30Bとリザーバ室33とを連通する。リザーバ室33は、油圧緩衝器20の圧縮行程と伸長行程でピストンロッド22の容積変化分の作動油を補償する。
【0021】
油圧緩衝器20は、ピストンロッド22のダンパチューブ21への挿入端にバルブストッパ36、ピストン29、バルブストッパ37をナット38で固定している。そして、ピストン29は、伸側流路39に伸側減衰バルブ39Aを、圧側流路40(不図示)に圧側減衰バルブ40Aを備える。これにより、油圧緩衝器20は、伸長行程では伸側減衰バルブ39Aを撓み変形させて伸側減衰力を発生させ、圧縮行程では圧側減衰バルブ40Aを撓み変形させるとともに前述のオリフィス35の通路抵抗による圧側減衰力を発生させ、結果として、懸架ばね23の伸縮振動を制振させる。
【0022】
尚、油圧緩衝器20は、最伸長時に、ピストンロッド22のバルブストッパ36を、ロッドガイド27に保持してあるリバウンドラバー41に当て、最伸長ストロークを規制する。また、油圧緩衝器20は、最圧縮時に、ピストンロッド22に取着してあるバンプラバー42をダンパチューブ21に固定のバンプストッパキャップ43に当て、最圧縮ストロークを規制する。
【0023】
(車高調整装置10)(図1〜図6)
車高調整装置10は、油圧ジャッキ11と圧油給排装置12とから構成される。
【0024】
油圧ジャッキ11は、図1〜図3に示す如く、ダンパチューブ21にストッパリング24で固定されるインナハウジング51と、インナハウジング51に液密に固定されるアウタハウジング52とを有し、インナハウジング51とアウタハウジング52にプランジャ53を嵌挿してジャッキ室54を区画し、プランジャ53に前述のスプリングシート25を取着可能としている。油圧ジャッキ11は、圧油給排装置12に接続される給排ホース55をアウタハウジング52に接続され、ジャッキ室54に作動油を給排され、結果として、プランジャ53を伸縮可能とする。油圧ジャッキ11のプランジャ53が伸びると、懸架ばね23の反力によってダンパチューブ21が持ち上がり、車高は上がる。油圧ジャッキ11のプランジャ53が縮むと、車高は下がる。
【0025】
圧油給排装置12は、図1、図3〜図6に示す如く、油圧タンク61と、ギヤハウジング62(第1ギヤハウジング62Aと第2ギヤハウジング62Bをボルト62Cにより一体化したもの(図4))とを有し、油圧タンク61とギヤハウジング62をOリング60を介する液密状態にて、複数のボルト64により結合し、ギヤハウジング62とモータ63を複数本のボルト65により結合している。
【0026】
圧油給排装置12は、油圧タンク61の内部にピストン66を嵌挿してポンプ室67を区画し、モータ63にて駆動されるねじ軸68にナット69を回り止めして螺合し、ナット69の端面をピストン66の端面に衝合してピストン66を移動可能とする。ピストン66は、油圧タンク61の内面に液密に摺接するためのオイルシール66Aを備える。ナット69の構成については後に詳述する。
【0027】
圧油給排装置12は、図4に示す如く、モータ63の出力軸71にウォーム71Aを備え、ギヤハウジング62に軸受72等により軸支されている中間軸73の一端に固定のウォームホイール73Aを上述のウォーム71Aに噛合いさせ、この中間軸73の他端にウォーム73B(不図示)を備える。他方、圧油給排装置12は、ギヤハウジング62にOリング74Aを介する液密状態にてロッドガイド74を設け、このロッドガイド74に前述のねじ軸68の基端側を貫通支持し、ギヤハウジング62に設けた軸受75とロッドガイド74に設けたブッシュ76によりねじ軸68を軸支し、ねじ軸68に固定したウォームホイール68Aを上述の中間軸73のウォーム73B(不図示)に噛合いさせている。このとき、ねじ軸68は基端部と先端ねじ部68Bとの間にフランジ68Cを備え、ロッドガイド74の端面とフランジ68Cの間にスラストベアリング77を介装してある。ロッドガイド74は、オイルシール78を備える。これにより、圧油給排装置12では、モータ63の回転が2段の減速歯車列(出力軸71のウォーム71Aと中間軸73のウォームホイール73Aの噛合い、中間軸73のウォーム73B(不図示)とねじ軸68のウォームホイール68Aの噛合い)で減速されてねじ軸68を駆動する。
【0028】
圧油給排装置12は、ねじ軸68のねじ部68Bに前述のナット69が螺合する。ナット69は、プラスチックにて射出成形され、この射出成形により、回り止め及び検出アーム69Aとねじ部69Bが成形される。アーム69Aは、図4、図5に示す如く、油圧タンク61の側部に窓状に開いたスライドガイド79に挟まれて摺接し、ねじ軸68により螺動せしめられるナット69を回り止めし、直線往復動せしめる。これにより、圧油給排装置12は、モータ63の正転と逆転によりねじ軸68を駆動することによってナット69を直線往復動し、(a) モータ63の正転時には、ねじ軸68の前進動によりピストン66を前進させてポンプ室67を圧縮し、ポンプ室67の作動油を油圧ジャッキ11のジャッキ室54に供給し、油圧ジャッキ11のプランジャ53を伸ばし、車高を上げる。他方、(b) モータ63の逆転時には、ねじ軸68の後退動によりピストン66を後退させてポンプ室67を拡張可能とし、懸架ばね23により油圧ジャッキ11のプランジャ53を縮め、油圧ジャッキ11のジャッキ室54の作動油をポンプ室67に排出し、車高を下げる。
【0029】
然るに、圧油給排装置12は、油圧タンク61の側部に回転式位置検出器(ポテンショメータ)80をカバー80Aとともにボルト80Bにより固定してある。位置検出器80は、図4、図5に示す如く、検出軸81に揺動アーム82を固定し、揺動アーム82のピン83をねじりばね84によりナット69のアーム69Aに常時押当て可能としている。これにより、位置検出器80は、ねじ軸68に螺合されているナット69に連係し、ナット69の位置、換言すればピストン66の位置、即ち現在の車高調整位置を検出可能とする。圧油給排装置12では、位置検出器80の出力によりモータ63を制御し、車高を前述の如くに調整可能とする。尚、位置検出器80としては、例えば、アルプス電気(株)製回転角センサRD101×0021を採用できる。
【0030】
また、圧油給排装置12は、位置検出器80の出力により現在の車高調整位置を表示する車高表示器(不図示)を有し、この車高表示器を運転席のフロントパネルに設けてある。
【0031】
尚、車高調整装置10にあっては、図6に示す如く、油圧タンク61と、油圧ジャッキ11とを給排ホース55により接続し、この油圧タンク61に作動油を注入した後、ピストン66を嵌挿したサブ組立体90を用意可能とする。他方、ギヤハウジング62にモータ63を結合し、ギヤハウジング62に中間軸73、ねじ軸68、ナット69等を内蔵したサブ組立体91(不図示)を用意し、このサブ組立体91を上述のサブ組立体90に組込むことにより、圧油給排装置12が構成できる。
【0032】
従って、本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲1▼圧油給排装置12のナット69の位置を、該ナット69の移動範囲の全域で、回転式位置検出器80により検出可能とした。従って、圧油給排装置12のナット69を前進端と後退端で停止し、且つ正逆転切換制御できるだけでなく、任意の中間位置にも停止制御させることができ、車高を任意の位置に調整できる。
【0033】
▲2▼複数のリミットスイッチを用いることなく、単一の回転式位置検出器80を用いながら、上述▲1▼を実現でき、装置構成を簡素にできる。
【0034】
請求項2の発明によれば下記▲3▼の作用がある。
▲3▼位置検出器80がナット69に連係する揺動アーム69Aを備えるから、モータ63によるナット69の駆動経路に対する位置検出器80の接続構造を簡易にできる。
【0035】
▲4▼運転席のフロントパネルに車高表示器を設けたから、運転者は乗車のまま、現在の車高位置を見ながら任意の位置に車高調整できる。
【0036】
また、本実施形態によれば、以下の作用がある。
▲5▼車高調整装置10を、油圧タンク61と油圧ジャッキ11とを給排ホース55により接続し、油圧タンク61に作動油を注入してピストン66を嵌挿したサブ組立体90と、ギヤハウジング62にモータ63を結合し、ギヤハウジング62にねじ軸68、ナット69等を内蔵したサブ組立体91とに分割し、これらを組立てるようにしたから、組立性、メンテナンス性を向上できる。
【0037】
▲6▼ねじ軸68に噛合いせしめられたナット69がピストン66と分離されているから、ナット69とピストン66の軸芯にずれがあっても、ピストン66のスムースな移動を損なうことがない。
【0038】
▲7▼ナット69をプラスチックにより成形し、ねじ部69Bも一体成形したから、ねじを切削加工にて形成するものに比し、フリクションが少なく、またナット69に回り止め及び検出アーム69Aも一体成形したから、構成を簡素化できる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、簡素な装置構成によりながら、車高を任意の位置に調整することができる。
【0041】
また、本発明によれば、現在の車高調整位置を表示器に表示して車高調整できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は車高調整装置を示す模式図である。
【図2】 図2は油圧緩衝器を示す模式図である。
【図3】 図3は圧油給排装置と油圧ジャッキを示す模式図である。
【図4】 図4は圧油給排装置を示す断面図である。
【図5】 図5は図4のV−V線に沿う矢視図である。
【図6】 図6は油圧タンクと油圧ジャッキのサブ組立体を示す模式図である。
【符号の説明】
10 車高調整装置
11 油圧ジャッキ
12 圧油給排装置
20 油圧緩衝器
23 懸架ばね
61 油圧タンク
63 モータ
66 ピストン
67 ポンプ室
68 ねじ軸
69 ナット
69A 検出アーム
79 スライドガイド
80 回転式位置検出器
82 揺動アーム
83 ピン
84 ねじりばね
Claims (5)
- 油圧緩衝器に取着される油圧ジャッキにより懸架ばねを担持し、該油圧ジャッキに作動油を給排する圧油給排装置を備えてなる車高調整装置において、
圧油給排装置は、油圧タンク内にピストンを嵌挿してポンプ室を区画し、モータにて駆動されるねじ軸にナットを回り止めして螺合し、該ナットをピストンに衝合してピストンを移動可能とし、
モータによるナットの駆動経路にナットの位置を検出可能とする回転式位置検出器を設け、該位置検出器の出力によりモータを制御することにより、ナット及びピストンの位置を任意の位置に停止制御させて車高を任意の位置に調整可能としてなることを特徴とする車高調整装置。 - 前記位置検出器が、前記ナットに連係せしめられる揺動アームを備えてなる請求項1記載の車高調整装置。
- 前記揺動アームのピンがナットに一体の回り止め及び検出アームに連係され、該検出アームが油圧タンクの側部に開いた窓状のスライドガイドに摺接して該ナットを回り止めする請求項2に記載の車高調整装置。
- 前記揺動アームのピンがねじりばねによりナットの検出アームに常時押当て可能にされている請求項3に記載の車高調整装置。
- 前記位置検出器の出力により車高調整位置を表示する車高表示器を運転席のフロントパネルに設けてなる請求項1〜4のいずれかに記載の車高調整装置。
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