JP4410112B2 - 椎間板プロテーゼ - Google Patents

Description

本発明は、脊柱の椎骨、特に頚椎の椎骨を連結する線維軟骨板の代用を目的とする、椎間板プロテーゼに関する。

様々なタイプのプロテーゼが、従来技術では知られている。これらのプロテーゼのいくつかは、それらが圧縮性の材料で作製されているので、またはプロテーゼの種々の構成部分が互いに対して過剰に動くことができるので、プロテーゼの少なくとも一部が比較的容易に椎骨から外へと突き出されることがあり、これは患者にとって望ましくないことである。

本発明の目的は、プロテーゼの種々の構成部分の互いに対する動きを制限することを可能にする、単純な椎間板プロテーゼを提案することによって、従来技術のいくつかの欠点を改めることである。

この目的は、上部プレートと呼ばれる第１のプレートと、下部プレートと呼ばれる第２のプレートと、コアとを含んだ少なくとも３つの部分を含み、コアの上面が、上部プレートの下面の少なくとも一部に接触し、コアの下面が、下部プレートの上面の少なくとも一部に接触し、下部プレートが、少なくともコアに対して移動可能である椎間板プロテーゼであって、下部プレートに実質的に平行な軸に沿った下部プレートに対するコアの並進運動を制限しまたは無くすように、かつ下部プレートに実質的に垂直な軸を中心とする下部プレートに対するコアの回転運動を制限しまたは無くすように、下部プレートとコアとの間に協働手段があり、上部プレートを通過する平面と下部プレートを通過する平面が、実質的に一定の角度を形成することを特徴とする、椎間板プロテーゼによって達成される。

別の特徴によれば、下部プレートは、コアの雌手段と協働する雄手段を含む。

別の特徴によれば、下部プレートは、コアの雄手段と協働する雌手段を含む。

別の特徴によれば、角度は、コアが前後方向に鋭角を形成することによって得られる。

別の特徴によれば、同様のプレートを、異なる厚さのコアとともに組み立てることができる。

別の特徴によれば、上部プレートと下部プレートとの間の角度は、０°から１５°の間である。

別の特徴によれば、コアは、上部および／または下部プレートに対して移動可能であり、それによって、プロテーゼの３つの部分の互いに対する位置決め不良を補償することが可能になる。

別の特徴によれば、上部プレートの下面の少なくとも一部は、窪んでおり、コアの上面に対して相補的なものである。

別の特徴によれば、各雄手段の寸法は、コアと下部プレートとの間にわずかな隙間ができるように、各雌手段の寸法よりもわずかに小さい。

別の特徴によれば、各雄手段の寸法は、コアと下部プレートとの間に隙間が少しも生じないように、各雌手段の寸法と実質的に同じである。

別の特徴によれば、下部プレートの雄手段は、プロテーゼの内側に向かって湾曲し、かつプロテーゼの２つの縁部上で互いに反対側に位置付けられた２個のピンであり、コアの雌手段は、２個の凹部である。

別の特徴によれば、ピンの少なくとも一方は、穿孔部を備えたラグと置き換えられ、タグが、この穿孔部に入るだぼ（ｄｏｗｅｌ）を使用して固定されるものである。

別の特徴によれば、下部プレートの雄手段は、下部プレートの中心付近に位置付けられた２個のだぼピンであり、コアの雌手段は、２個のウェルである。

別の特徴によれば、下部プレートの雄手段は、プロテーゼの２つ縁部付近で互いに反対側に位置付けられた２つの壁部であり、コアの雌手段は、凹部である。

別の特徴によれば、下部プレートの雄手段は、プロテーゼの中心に位置付けられたリブであり、コアの雌手段は、溝である。

別の特徴によれば、コアは、ポリエチレンで作製される。

別の特徴によれば、下部プレートは、その正面付近に、プロテーゼ固着手段を椎骨で受容するよう設けられた１つまたは複数の開口を含む。

別の特徴によれば、下部プレートの開口は、長方形であり、固着手段は、下部プレートに対して鋭角を形成する本体と、ヘッドとからなる。

別の特徴によれば、下部プレートの開口は、円形であり、固着手段は、釘形状である。

別の特徴によれば、上部プレートは、椎骨の形状に合うようにその上面の少なくとも一部が凸状である。

本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照しながら以下の記述を読むことによって明らかにされよう。

本発明による椎間板プロテーゼは、図４ａ、図４ｂ、図５ａ、および図６ａに特に見られるように、コア３によって下部プレート２に連接された上部プレート１から構成される。本発明によるプロテーゼの１つの利点は、プロテーゼが頚椎に取り付けられるように構成することができる単純な部品を含むことである。

図１ａおよび図１ｂで特に見られる上部プレート１は、その下面の少なくとも一部１０が、コア３のわずかに凸状をなす上面に合うように、わずかに窪んでいる。コア３の上面は、上部プレート１の凹部１０と相補的であり、上部プレート１とコア３との間での動きが可能になる。

代替の実施形態では、図１０ａおよび図１０ｂに示すように、プロテーゼを取り付ける椎骨により良く適合させるため、上部プレート１の上面の一部が、凸状になっており、この椎骨の底面は窪んでいる。この場合、上部プレート１の凸状部分は、図１０ｂに特に見られるように、上部プレートの前部に位置付けされる。

下部プレート２は実質的に平面である。事実上下部プレート２の下面は、椎骨の最上部が実質的に平らであるので、凸状または凹状である必要はない。図２ａ、図２ｂ、図７ａ、および図８ａの実施形態では、下部プレート２は、下部プレート２の実質的に平行な２つの縁部２１、２２で互いに反対側に位置付けられた２つのピン２０を含む。各ピン２０は、プロテーゼの内側に向かって湾曲し、したがってコア３上に位置付けられた凹部３０に入ることができる。図３ａおよび図３ｂで特に見られるコア３は、下部プレート２に取り付けられるよう設けられた実質的に平面である下面を含む。コア３は、頚部プロテーゼでは薄く（例えば３ｍｍの厚さ）、腰部プロテーゼではより厚い（例えば１５ｍｍ）。

図３ａ、図３ｂ、図４ａ、および図４ｂの実施形態では、下部プレート２に実質的に平行な軸に沿った並進と、下部プレート２に実質的に垂直な軸を中心とした回転との両方において、下部プレート２に対するコア３の隙間が制限されるように、コア３の各凹部３０の寸法が、下部プレート２の各ピン２０の寸法よりわずかに大きくなっている。したがって上部プレート１とコア３との間の動きならびに下部プレート２に対するコア３の隙間によって、患者は動くことが可能になり、必要に応じてプロテーゼの位置決め不良を補償することが可能になる。この隙間は、プロテーゼに加えられる応力に起因した時期尚早の摩耗の防止ももたらす。

図５ａおよび図５ｂの実施形態では、並進と回転の両方において下部プレート２に対するコア３の隙間が少しも生じないように、コア３の各凹部３０の寸法が、下部プレート２の各ピン２０の寸法と実質的に同じになっている。後者の場合、認められたプロテーゼの唯一の動きは、コア３に対する上部プレート１の動きである。 図９ａおよび図９ｂの実施形態では、ピン２０の一方を、穿孔部２００を備えたラグと置き換える。タグ２３は、穿孔部２００に入るだぼ２４を用いてラグに固定する。代替の実施形態では、両方のピンを、表面にタグ２３が固定されるラグと置き換える。

図６ａ、図６ｂ、図６ｃ、図６ｄ、および図６ｅの実施形態では、下部プレート２は、いかなるピン２０も含まず、下部プレート２の中心付近に位置付けられた２つのだぼピン２５を含む。この場合コア３は、相補的にいかなる凹部３０も含まず、その下面の下側に２つのウェル３５を含む。下部プレート２のだぼピン２５の寸法とコア３のウェル３５の寸法は、図６ｂおよび図６ｃに示す代替の実施形態において、並進および回転でわずかな隙間が可能になるようなものであり、また図６ｄおよび図６ｅに示す代替の実施形態では、隙間が生じないようなものである。

図示されない別の実施形態で、下部プレート２は、その上面にリブを含み、ピン２０もだぼピン２５も含まない。コア３は、相補的に、その下面の下側に溝を含む。下部プレートのリブの寸法とコアの溝の寸法は、ある代替の実施形態では、並進および回転でわずかな隙間ができるようなものであり、また別の実施形態では、隙間ができないようなものである。

図示されない別の実施形態で、下部プレート２は、ピン２０の代わりに、下部プレートの実質的に平行な２つの縁部２１、２２付近であるがピン２０以外のプロテーゼ内に互いに反対側に配置された２つの壁部を含む。コア３は、壁部に対して相補的な凹部を含む。この実施形態におけるコアの各凹部の寸法は、並進および回転でわずかな隙間ができるようにまたはできないように、下部プレートの各壁部の寸法よりもわずかに大きいかまたは実質的に同じである。

図示されない他の実施形態では、雌構成要素が、下部プレートに位置付けられ、雄構成要素がコアに位置付けられる。

本発明による椎間板プロテーゼは、特に、例えば頚椎などの、脊椎前彎異常の矯正を可能にし、また脊椎の前彎を増大させる。したがって、プロテーゼの上部プレート１と下部プレート２との間で、図４ｂの前後方向Ｆに鋭角が存在することが必要である。例えばこの角度は、０°から１５°の間である。患者に必要とされる角度を調節するには、コア３の上面に相当する平均平面とコア３の下面を通過する平面とが適切な角度をなしているコア３を選択するだけでよい。

雌構成要素が下部プレートに位置付けられ、かつ雄構成要素がコアに位置付けられている場合、脊椎前彎コアは、前後方向に鋭角を形成するので、下部プレートの空洞または開口に入る突起部によってプレートと一体化することができる。

従来技術で知られているプロテーゼの傾斜は、コアが平らなときは上部プレートの形状によって、前記コアが凸状であるときはコアに対する上部プレートの位置によって得られる。本明細書で述べた従来技術の第１の場合に対し、本発明によるプロテーゼの機械加工は、コアがプレートを構成する材料よりも安価な材料（例えばポリエチレン）で構成されているので、より経済的である。本明細書で述べた従来技術の第２の場合に対し、本発明のコアは、プロテーゼが所定の位置にあるときには、プレート間の角度が実質的に一定であるので、プロテーゼの外側に突き出されにくい。

外科医がある患者に対して確定的な脊椎前彎を必要とする場合、外科医は、下部プレート２に対して隙間をもたらさないコア３を選択することになる。一方、外科医が、ある範囲内の値でのみ脊椎前彎を維持すればよい場合には、外科医は、下部プレート２に対して並進および回転の際にわずかな隙間をもたらすコアを選択することになる。

本発明による椎間板プロテーゼは、図７ａ、図７ｂ、図８ａ、および図８ｂに示されるある代替の実施形態において、前彎と共に増大する所定位置のプロテーゼに対して、脊柱から加えられた力の横方向の合力の作用の下、プロテーゼが移動しないように、脊柱に固着することができる。この場合、下部プレート２は、プロテーゼの背面付近に位置付けられた１つまたは複数の開口２８、２９を含み、固着手段４、５を受容することが可能になる。

このように図７ａおよび図７ｂの場合、下部プレート２の開口２８は長方形であり、固着手段４は、本体４０およびヘッド４１から構成される。ヘッド４１の寸法は、下部プレート２の開口２８の寸法よりもわずかに大きく、したがって固着手段４が椎骨の所定位置に入ると、下部プレート２が、固着手段４のヘッド４１と前記椎骨との間に挟まれるようになされている。９０°以下の角度は、固着手段４の本体と下部プレート２との間で構成される。

図８ａおよび図８ｂの場合、２つの円形開口２９が下部プレート２に含まれ、固着手段５は釘形状であり、その頭部は開口２９の寸法よりも大きく、固着手段５の頭部と表面にプロテーゼが固着される椎骨との間に下部プレート２を挟むことが可能になる。

本発明によれば、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく、数多くのその他の特定の形態をとる実施形態が可能になることが、当業者には明らかであろう。その結果、本発明の実施形態を例示と見なさなくてはならないが、特許請求の範囲によって規定された領域内で変更を加えることができ、本発明を上記所与の詳細事項に限定してはならない。

一実施形態による上部プレートを示す下面図である。 一実施形態による上部プレートを示す斜視下面図である。 一実施形態による下部プレートを示す平面図である。 一実施形態による下部プレートを示す斜視平面図である。 一実施形態によるコアを示す平面図である。 一実施形態によるコアを示す斜視平面図である。 図１ａ、図１ｂ、図２ａ、図２ｂ、図３ａ、および図３ｂの実施形態による椎間板プロテーゼを示す斜視平面図である。 図１ａ、図１ｂ、図２ａ、図２ｂ、図３ａ、および図３ｂの実施形態による椎間板プロテーゼを示す側面図である。 第２の実施形態による椎間板プロテーゼを示す側面図である。 第２の実施形態による椎間板プロテーゼを示す、図５ａの平面Ｄ−Ｄに沿った断面図である。 第３の実施形態による椎間板プロテーゼを示す側面図である。 図６ａの平面Ａ−Ａに沿った断面図であり、コアが、下部プレートに対してわずかな隙間を有する状態を示す図である。 椎間板プロテーゼを示す、図６ｂの平面Ｂ−Ｂに沿った断面図である。 図６ａの平面Ａ−Ａに沿った断面図であり、コアが、下部プレートに対して全く隙間を持たない状態を示す図である。 椎間板プロテーゼを示す、図６ｄの平面Ｂ−Ｂに沿った断面図である。 その他の実施形態による下部プレートを示す平面図である。 異なる実施形態によりプロテーゼ固着手段が挿入された、図７ａの下部プレートを示す斜視側面図である。 その他の実施形態による下部プレートを示す斜視下面図である。 異なる実施形態によりプロテーゼ固着手段が挿入された、図８ａの下部プレートを示す斜視平面図である。 第４の実施形態による下部プレートを示す平面図である。 図９ａの平面Ｃ−Ｃに沿った下部プレートを示す断面図である。 別の実施形態による上部プレートを示す背面図である。 別の実施形態による上部プレートを示す側面図である。

Claims (18)

1. 上部プレート（１）と呼ばれる第１のプレートと、下部プレート（２）と呼ばれる第２のプレートと、コア（３）とを含んだ少なくとも３つの部分を備えており、コア（３）が、上部プレート（１）の下部凹面の少なくとも一部（１０）に接触する上部凸面と、下部プレート（２）の上面の少なくとも一部に接触する下面とを備え、上部プレート（１）が、少なくともコア（３）に対して移動可能である椎間板プロテーゼであって、
   下部プレート（２）に実質的に平行な軸に沿った下部プレート（２）に対するコア（３）の並進運動を制限するように、かつ下部プレート（２）に実質的に垂直な軸を中心とする下部プレート（２）に対するコア（３）の回転運動を制限するように、下部プレート（２）とコア（３）との間でプロテーゼの縁部付近に互いに反対側に位置付けられた協働手段があり、
   前記協働手段が、突出部および収容部によってそれぞれ形成された雄手段および雌手段を備えており、前記並進運動および回転運動の制限が互いに独立していることを特徴とする椎間板プロテーゼ。
2. 下部プレート（２）が、コア（３）の雌手段と協働する雄手段を含むことを特徴とする、請求項１に記載の椎間板プロテーゼ。
3. 下部プレート（２）が、コア（３）の雄手段と協働する雌手段を含むことを特徴とする、請求項１に記載の椎間板プロテーゼ。
4. コア（３）が前後方向（Ｆ）に鋭角を形成することにより、プレートの平面間に課される角度が得られることを特徴とする、請求項１から３のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
5. 同じプレート（１、２）を異なる厚さのコア（３）と組み立てることができることを特徴とする、請求項４に記載の椎間板プロテーゼ。
6. 上部プレート（１）と下部プレート（２）との角度が、０°から１５°の間であることを特徴とする、請求項４または５のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
7. コア（３）が上部（１）および／または下部（２）プレートに対して移動可能であり、プロテーゼの３つの部分（１、２、３）の互いに対する位置決め不良を補償することが可能になることを特徴とする、請求項１から６のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
8. 上部プレート（１）の下面の少なくとも一部（１０）が、窪んでおり、コア（３）の上面（３１）と相補的であることを特徴とする、請求項１から７のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
9. 各雄手段の寸法が、コア（３）と下部プレート（２）との間にわずかな隙間ができるように、各雌手段の寸法よりもわずかに小さいことを特徴とする、請求項１から８のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
10. 各雄手段の寸法が、コア（３）と下部プレート（２）との間に隙間が少しもないように、各雌手段の寸法と実質的に同じであることを特徴とする、請求項１から８のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
11. 雄手段が、プロテーゼの内側に向かって湾曲されかつプロテーゼの２つの縁部（２１、２２）で互いに反対側に位置付けられた２つのピン（２０）であり、雌手段が、２つの凹部（３０）であることを特徴とする、請求項１から１０のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
12. ピン（２０）の少なくとも一方が、穿孔部（２００）を備えたラグと置き換えられ、タグ（２３）が、穿孔部（２００）に入るだぼ（２４）を使用して固定されることを特徴とする、請求項１１に記載の椎間板プロテーゼ。
13. 雄手段が、プロテーゼの２つの縁部（２１、２２）付近に互いに反対側に位置付けられた２つの壁部であり、雌手段が、凹部であることを特徴とする、請求項１から１０のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
14. コア（３）がポリエチレン製であることを特徴とする、請求項１から１３のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
15. 下部プレート（２）が、正面付近に、プロテーゼ固着手段（４、５）を椎骨で受容するよう設けられた１つまたは複数の開口（２８、２９）を含むことを特徴とする、請求項１から１４のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。
16. 下部プレート（２）の開口（２８）が長方形であり、固着手段（４）が、下部プレート（２）と鋭角を形成する本体（４０）およびヘッド（４１）からなることを特徴とする、請求項１５に記載の椎間板プロテーゼ。
17. 下部プレート（２）の開口（２９）が円形であり、固着手段（５）が釘形状であることを特徴とする、請求項１６に記載の椎間板プロテーゼ。
18. 上部プレート（１）の上面の少なくとも一部が、椎骨の形状に合うように凸状であることを特徴とする、請求項１から１７のいずれか一項に記載の椎間板プロテーゼ。

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