JP4408620B2 - 受音装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、受音装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、移動通信端末(例えば携帯電話やPHS等)の着信時に、移動通信端末を手にすることなく通話ができるように構成されたハンドフリーの受音装置がある。このような受音装置の具体的な一例を挙げると、車載用のものでは、図1に示されるように、移動通信端末aに着信があれば、この移動通信端末aに接続されたアダプタbによって、1〜3回の着信コール後に回線が自動接続され、マイクcを介した通話終了後は、相手が切ると自動的に回線を切断するように構成されている。
【0003】
ところで、この受音装置によれば、出力音声はアダプタbに内蔵されたスピーカdから発せられるため、周囲に漏れてしまうという問題がある。それを回避するために、スピーカdに換えて、片耳に装着されるイヤホンを用いるものがあるが、この場合には、耳が塞がれた状態になって周囲音を聞きとることができなくなる虞があるので、特に車載用のものでは運転に支障を来すという問題がある。そこで、このような問題を解消するために、人体の骨を介して音信号を伝える骨伝導アクチュエータを用いた受音装置が提案されている。このような受音装置としては、下記特許文献1,2に記載されるように、骨伝導アクチュエータをシートのヘッドレストに内蔵したもの(例えば、特許文献1参照)、或いは、シートバックやシートクッションに内蔵したもの(例えば、特許文献2参照)等がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−56693号公報
【特許文献2】
特開2002−191469号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の骨伝導アクチュエータを採用した受音装置によると、以下に示すような問題点がある。
すなわち、骨伝導アクチュエータ(以下、アクチュエータという)からの良好な骨伝導信号を得るためには、一定且つ適正な押圧力でアクチュエータの当接部を人体の被当接面に押圧させる必要があるが、従来のようにシートの一部にアクチュエータを固定しているものでは、シート上での姿勢や頭の動きによって押圧力が変わってしまい、アクチュエータからの出力が最適な状態で人体の骨に伝わらないという問題が生じる。
【0006】
また、アクチュエータの当接部が押圧される人体の被当接面は、個人差によって様々な形状(曲面形状)を有しているが、従来例のようにアクチュエータを固定している場合には様々な形状の人体表面に対してアクチュエータの当接部を密着させることが困難であり、使用者毎に当接部の密着状態が変わってしまう。そのことによって、信号伝導レベルに差異が生じてしまうという問題がある。
【0007】
さらには、受音装置の使用者は、運転中や他の使用状況において頻繁に体や頭を動かすことが常であり、また、受音装置使用中に体や頭を動かすことができないとすると、使用感が極めて悪いということにもなる。これに対して、従来のようにアクチュエータを固定しているものでは、良好な受音状態を得ようとすると体や頭を固定するしかなく良好な使用感が得られないという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、骨伝導アクチュエータの当接部を人体の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させること、使用者における被当接面の個人差や使用中の動きに関わりなく、一定の信号伝達レベルを得ることが可能なこと、受音装置使用中に良好な使用感が得られること等が本発明の目的となる。そして、このような受音装置を採用することによって、出力音声の周囲への音漏れを無くすことができ、また、周囲音を同時に聞くことができるハンドフリー受音装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による受音装置は、以下の各独立請求項に係る構成を少なくとも具備するものである。
第1には、人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータを用いた受音装置において、前記アクチュエータを保持する保持部材を備え、該保持部材は、前記アクチュエータを人体に当接させる第1の当接部と、該当接部と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部と、前記第1の当接部と第2の当接部との間に設けられる回動支持部とを有し、前記保持部材は、前記回動支持部においてアーム部材の先端に支持されると共に該アーム部材の他端が支持体に支持され、該アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材が人体の被当接面に押圧されることを特徴とする。
【0010】
第2には、人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータを用いた発音装置の使用方法において、前記アクチュエータが保持される保持部材を、前記アクチュエータの当接部と該当接部から離れた位置に形成された凸状の当接部との2点で人体に当接させ、前記各当接部とその中間位置に設けられる回動支点とを含む平面に対して垂直な軸周りに、前記保持部材を回動支持し、前記保持部材は、アーム部材の先端に支持されると共に該アーム部材の他端が支持体に支持され、該アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材が人体の被当接面に押圧されることを特徴とする。
【0011】
第3には、前記アクチュエータを人体に当接させる第1の当接部と、該当接部と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部と、前記第1の当接部と第2の当接部との間に設けられる回動支持部とを有した保持部材と、前記保持部材を、前記回動支持部において、前記各当接部と当該回動支持部とを含む平面に対して垂直な軸周りに回動可能に支持するアーム部材と、前記アーム部材を回動可能に支持すると共に任意位置で保持し、且つ人体側から退避可能とする支持体と、前記アーム部材と前記支持体との間に設けられ、前記アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材を人体の被当接面に押圧する弾性付勢部材と、を備えることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の最も好適と思われる実施形態について図面を参照して詳細に説明を行う。図2は、本実施形態に係る受音装置の外観を示した平面図、図3は、図2中のA−A矢視線における断面図、図4は、本受音装置の使用方法を説明するための斜視図、図5は、本受音装置と頭部との接合状態を示した説明図である。
【0013】
まず、同図に示されるように、本発明の実施形態は、人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータ10を用いた受音装置であることを前提としている。すなわち、アクチュエータ10は、このアクチュエータ10に入力された音声信号を骨伝導信号に変換するように構成された変換器である。
【0014】
そして、第1の実施形態としては、アクチュエータ10を保持する保持部材20を備え、保持部材20は、アクチュエータ10を人体に当接させる第1の当接部21と、当接部21と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部22と、第1の当接部21と第2の当接部22との間に設けられる回動支持部23とを有することを特徴とする。
第2には、保持部材20は、回動支持部23において、各当接部21,22と回動支持部23とを含む平面に対して垂直な軸周りに、回動自在に支持されることを特徴とする。
第3には、保持部材20は、回動支持部23においてアーム部材30の先端に支持されると共にアーム部材30の他端が支持体41に支持され、アーム部材30を介した弾性付勢によって保持部材20が人体の被当接面に押圧されることを特徴としている。
【0015】
これらの特徴によれば、アクチュエータ10を保持する保持部材20には、第1の当接部21、第2の当接部22および回動支持部23が設けられている。そして、この保持部材20は、支持体41に支持されたアーム部材30の先端に、第1の当接部21、第2の当接部22及び回動支持部23を含む平面に対して垂直な軸周りに回動自在となるように支持されて人体の被当接面に押圧される。これにより、骨伝導を得るために必要な位置に保持部材20を配置できるようになると共に、保持部材20を人体の被当接面に押圧すると、第1の当接部21と第2の当接部22とが協働して保持部材20を適宜回動させるので、アクチュエータ10の当接部11を人体の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させることができるようになり、使用者における被当接面の個人差に関わりなく一定の信号伝達レベルを得ることが可能になる。
【0016】
第4には、アーム部材30と支持体41との支持部に弾性付勢部材31を設けることを特徴とする。
第5には、アーム部材30の弾性反発力によって弾性付勢を得ることを特徴とする。
【0017】
これらの特徴によれば、上述の特徴に併せて、アーム部材30と支持体41との支持部に設けられた弾性付勢部材31により、人体の被当接面に保持部材20が押圧されるとアーム部材30に弾性反発力が発生して弾性付勢が得られる。これにより、保持部材20を人体の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させることが可能となり、骨伝導を得るための必要な押圧力が得られると共に、使用者がアクチュエータ10を所定の押圧力で押圧する必要はなくなり、受音装置使用時における使い勝手が向上する。
【0018】
第6には、アーム部材30の他端は、支持体41に対して回動可能に支持され、アーム部材30を任意位置で保持すると共に人体側から退避可能にしたことを特徴とする。
【0019】
この特徴によれば、上述の特徴に併せて、支持体41によって支持されたアーム部材30の他端は、回動されたアーム部30を任意位置で保持すると共に人体側から退避可能、つまり人体側から遠ざかることを可能としている。これにより、受音装置の使用者は、受音装置使用中に体や頭を動かしても、使用者の動きに追従してアーム部材30が動くように構成されるので、受音装置使用中における良好な使用感を得ることができると共に、一定の押圧力が確保されるので一定の信号伝達レベルを常に得ることができる。また、受音装置の不使用時、アーム部30は人体側から退避されるので、乗り降り時等に使用者に干渉することはない。
【0020】
第7には、保持部材20は、アーム部材30の先端に着脱可能に支持されることを特徴とする。
【0021】
これにより、保持部材20とアーム部材30とを一体形成する必要はなく、製造コストを低減することができる。さらに、アーム部材30から保持部材20を外すことができるので、保持部材20の破損、故障時等のリペアコストが低減される。
【0022】
第8には、支持体41は、車載シート40の一部に設けられる支持部材41A,Bであることを特徴とする。
【0023】
この特徴によれば、上述の特徴に合わせて、アーム部材30は、車載シート40に設けられた支持部材41A,Bの少なくともいずれかである支持体41に支持される。これにより、発音装置の使用者は、運転中に体や頭を動かしても、常に保持部材20が頭部に押圧されるので良好な使用感を得ることができると共に、アクチュエータ10を介して骨伝導信号が脳に作用されるので、ハンドルから手を離さずに送話者と通話ができるようになる。その際、周囲に音が漏れないので使い勝手が向上すると共に、周囲音も同時に聞くことができるので、通話時における乗員の安全性が損なわれることはない。
【0024】
第9には、アクチュエータ10は、電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする。
【0025】
この特徴によれば、アクチュエータ10の小型軽量化が図られると共に、保持部材20は、アクチュエータ10の当接部11と凸状の当接部22との2点で人体に当接した際に、回動支点を中心として垂直な平面内で軽快に回動するので、アクチュエータ10と被当接面との密着性がさらに向上し、良好な使用感が得られる。
【0026】
第10には、アクチュエータ10が保持される保持部材20を、アクチュエータ10の当接部11と該当接部11から離れた位置に形成された凸状の当接部22との2点で人体に当接させ、各当接部11,22とその中間位置に設けられる回動支点とを含む平面に対して垂直な軸周りに、保持部材20を回動支持することを特徴とする。
第11には、保持部材20を人体の被当接面に向けて一定押圧力で付勢すると共に、保持部材20を任意の位置で保持可能にしたことを特徴とする。
第12には、アクチュエータ10は、電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする。
【0027】
これらの特徴によれば、アクチュエータ10の小型軽量化が図られると共に、保持部材20は、アクチュエータ10の当接部11と凸状の当接部22との2点で人体に当接した際に、回動支点を中心として垂直な平面内で軽快に回動するので、アクチュエータ10と被当接面との密着性がさらに向上し、良好な使用感が得られる。さらに、この保持部材20は、人体の被当接面に向けて一定押圧力で付勢されると共に任意の位置で保持される。これにより、骨伝導を得るために必要な位置に保持部材20を配置できるようになると共に、アクチュエータ10の当接部11を人体の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させることができるので、使用者における被当接面の個人差に関わりなく一定の信号伝達レベルを得ることが可能になる。
【0028】
第12には、アクチュエータ10を人体に当接させる第1の当接部21と、当接部21と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部22と、第1の当接部21と第2の当接部22との間に設けられる回動支持部23とを有した保持部材20と、保持部材20を、回動支持部23において、各当接部21,22と回動支持部23とを含む平面に対して垂直な軸周りに回動可能に支持するアーム部材30と、アーム部材30を回動可能に支持すると共に任意位置で保持し、且つ人体側から退避可能とする支持体41と、アーム部材30と支持体41との間に設けられ、アーム部材30を介した弾性付勢によって、保持部材20を人体の被当接面に押圧する弾性付勢部材31と、を備えることを特徴とする。
第13には、アクチュエータ10は、電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする。
【0029】
これらの特徴によれば、アクチュエータ10の小型軽量化が図られると共に、保持部材20は、アクチュエータ10の当接部11と凸状の当接部22との2点で人体に当接した際に、回動支点を中心として垂直な平面内で軽快に回動するので、アクチュエータ10と被当接面との密着性がさらに向上し、良好な使用感が得られる。さらに、この保持部材20は、人体の被当接面に向けて一定押圧力で付勢されると共に任意の位置で保持される。これにより、骨伝導を得るために必要な位置に保持部材20を配置できるようになると共に、アクチュエータ10の当接部11を人体の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させることができるので、使用者における被当接面の個人差に関わりなく一定の信号伝達レベルを得ることが可能になる。したがって、このような受音システムによれば、出力音声の周囲への音漏れを無くすことができ、また、周囲音を同時に聞くことができるハンドフリーの受音装置を提供することが可能となる。
【0030】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について図2〜5を参照しながら詳細に説明を行う。
同図に示されるように、本受音装置は、車載用のハンドフリーシステムのような受音装置に適用されるものであり、アクチュエータ10を保持する保持部材20と、この保持部材20が支持されるアーム部材30と、これら保持部材20及びアーム部材30を支持する車載シート40を備えて構成されている。
【0031】
まず、保持部材20について説明する。
この保持部材20の両端部には、図3に示されるように、シート中心に向けて凸状に形成された一対の第1の当接部21と第2の当接部22とが上下に離間した状態で一体的に形成されており、保持部材20の正面視がほぼC字形状やコ字形状とされている。これら第1の当接部21および第2の当接部22には、少なくとも何れか一方にアクチュエータ10が収納されるため、例えば、第2の当接部22よりも第1の当接部21の方が相対的に大となるように形成されている。
なお、アクチュエータ10の振動発生方式として、動電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つを用いることができる。
【0032】
そして、相対的に大とされた凸部、つまり第1の当接部21に形成された収納部24には、音声信号を骨伝導信号に変換するアクチュエータ10が車載シート40側に向けた状態で備えられている。このとき、このアクチュエータ10の当接部11は、図2,3に示されるように、保持部材20の表面よりも突出されており、そのため、保持部材20に保持されたアクチュエータ10は、従来のように車載シートに内蔵されてシート表皮越しに人体と接するのではなく、その当接部11が直接、人体の被接合面とされる頭部に接するように配置される。
また、相対的に小とされた凸部、つまり第2の当接部22は押さえ部とされ、保持部材20が押圧されるとアクチュエータ10の当接部11と協働して頭部を押圧する。
【0033】
そして、これらの第1の当接部21と第2の当接部22との間の保持部材20には、図3に示されるように、フランジ状の回動支持部23が、第1の当接部21と第2の当接部22とを含んだ平面内に位置されるように一体的に形成されている。さらに、この回動支持部23のほぼ中央部には、所定径状の挿通孔25が形成されている。
このように構成された保持部材20は、車載シート40との間に介在されたアーム部材30の先端部において回動可能、且つ着脱可能に片持ち支持される。
【0034】
次に、アーム部材30について説明する。
アーム部材30は、車載シート40に着座した使用者の頭部の比較的固いところに保持部材20のアクチュエータ10を押圧するようにその外観形状が設定されており、図2,4に示されるように、アーム部材30が取り付け支持される支持部材41A,41Bとしてのヘッドレスト410Aやシートバック410B等の形状に応じて、ほぼ直線状に形成されたり、シート中心に向かって緩やかに湾曲形成されている。
【0035】
図3に示されたように、アーム部材30の先端に設けられた支軸32は、保持部材20の回動支持部23に形成された挿通孔25に挿入された状態で図示しない手段によって抜け止めが施されており、そのため、アクチュエータ10及び第2の当接部22をシート中心に向けた状態で、保持部材20は支軸32周りに回動可能、且つ着脱可能に支持される。このとき、支軸32周りは、保持部材20が自重により所定角度以上、下向きに回動しないように規制する図示しない周り止め手段が配設されている。
そのことにより、アーム部材30によって押圧された保持部材20が人体の被当接面に接合すると、アクチュエータ10の当接部11と第2の当接部22とが協働して人体の被当接面形状や動きに応じて保持部材20を適宜回動させる。そのため、押圧時におけるアクチュエータ10の逃げや浮き上がりが防止され、常に安定した姿勢でアクチュエータ10の当接部11を人体に密着させることができる。
【0036】
なお、保持部材20をアーム部材30に回動可能に支持させるのであれば、上述した構成、すなわち、保持部材20の回動支持部23に挿通孔25を形成し、この挿通孔25を挿通する支軸32をアーム部材30に設けるようにした構成に限られたものではなく、例えば、保持部材20の回動支持部23に支軸32とほぼ同様の支軸を形成し、この支軸が挿通される挿通孔をアーム部材30に設けるようにしてもよい。
【0037】
アーム部材30の他端部には、図2に示されるように、このアーム部30の他端部からほぼ直角方向に延びてヘッドレスト410A、或いはシートバック410Bの少なくとも何れか一つに組み込まれるアーム部材用支軸33(図2中破線で示す)が備えられている。このアーム部材用支軸33によって、アーム部30は、図2,4中二点鎖線で示されるように、必要な範囲内で前後左右方向に向かって回動可能、且つ任意位置で保持されると共に、受音装置不使用時には、図4中実線で示されるように、アーム部30が人体から遠ざかる方向に回動され、保持部材20がヘッドレスト410Aの側面を押圧することによりアーム部30の姿勢が安定し、車両走行時におけるアーム部30のがたつきが防止される。
【0038】
なお、アーム部30の必要な回動範囲とは、車載シート40に着座する使用者の外耳道以外で骨伝導信号の伝達に適した比較的固い頭部にアクチュエータ10を押圧させることができる範囲のことである。
また、アーム部材30を必要な範囲内の任意位置で保持する機構としてはラチェット機構が考えられるが、所望角度で一時的に係止、係止解除が可能ならば他の機構、例えば、モータや油圧等の駆動源を用いた機構を用いるようにしてもよい。
【0039】
さらに、図2に示されるように、このアーム部材用支軸33とアーム部材30との間に介装された弾性付勢部材31としてのねじりバネ310(図2中破線で示す)によって、保持部材20及びアーム部材30は、シート中心に向かって所定押圧力(図2,3中矢印Pで示す)で常時押圧される。この所定押圧力は、人体の被当接面に保持部材20を押圧した際のアーム部材30に生じる弾性反発力によって骨伝導信号を人体に伝達するのに必要な押圧力が確保されるものであり、使用者の頸部に負担がかかることがないように設定されている。なお、この押圧力は、個人差や好みに応じて強弱調整ができるように可変機構を組み込むようにしてもよい。
そのことによって、受音装置の使用者は、受音装置使用中に体や頭を動かしても、使用者の動きに追従してアーム部材30が動くように構成されるので、受音装置使用中における良好な使用感を得ることができると共に、一定の押圧力が確保されるので一定の信号伝達レベルを常に得ることができる。
【0040】
次に、車載シート40について説明する。
アーム部材30を支持する支持体41は、図4に示されるように、車載シート40に着座した使用者を支持するシート部材であり、衝突時における使用者の頭部後傾を抑止するヘッドレスト410A、或いは、着座した使用者の背部を支持するシートバック410Bの少なくとも何れか一つとされている。そして、これらのヘッドレスト410A、シートバック410Bの何れかにアーム部材用支軸33が取り付けられる。
【0041】
そして、図示しない移動通信端末とアダプタとが接続され、シガーライタソケットや車載ソケット等から電源供給を受けたアダプタの電源がONされている状態で移動通信端末に着信があれば、アダプタが数回の着信コールを行う。その間に、図4に示されるように、車載シート40に着座した使用者が、起立したアーム部材30を手動、或いは自動的に回動させたのち、保持部材20のアクチュエータ10および第2当接部22を頭部、なるべくは頭部の比較的固いところに当接し押圧させる。すると、アクチュエータ10が使用者の頭部を押圧した際にアーム部材30には弾性反発力が発生し、骨伝導信号を得るために必要な所定の弾性付勢が得られる。またこのとき、図5に示されるように、押圧された保持部材20は、アクチュエータ10の当接部11と第2の当接部22とによって使用者の被接合面形状に合わせて支軸32周りに回動されることにより、アクチュエータ10の当接部11が使用者の頭部に密着される。そのことにより、アクチュエータ10からの骨伝導信号が使用者の頭骨を通して蝸牛に伝わり脳に作用するので、使用者は、相手の発話を明瞭に聞き取ることができるようになる。また、その際の発話内容は、同乗者に聞かれたり、外部に漏れることはなく、しかも、使用者の両耳は開放されており周囲音も同時に聞けるので、周囲の状況の把握が遅れてしまうことはない。そして、胸元、或いはフロントピラーやサンバイザ等に取り付けられた発話用マイクを介した通話終了後は、相手が通話を切ると自動切断される。その後、アーム部30は、使用者によって手動、或いは自動的に起立状態に戻され、保持部材20がヘッドレスト410Aを押圧することにより姿勢が安定される。
【0042】
ところで、保持部材20に備えられたアクチュエータ10とアダプタとを結ぶ接続ケーブルは、予めアーム部材30及び車載シート40内に配索されるようになっているが、このような接続ケーブルによる接続ではなく、例えば近距離無線技術に対応したもの、或いは赤外線技術に対応したものによってアクチュエータ10が駆動されるように構成してもよい。
さらには、保持部材20、或いはアーム部材30の少なくとも何れかに発話用マイクを具備させるようにしてもよい。このような場合には、ハウリング防止用の補正回路がアダプタに組み込まれるのが好ましい。
【0043】
このような実施例の受音装置によれば、アクチュエータ10を保持する保持部材20は、アクチュエータ10を人体に当接させる第1の当接部21と、当接部21と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部22と、第1の当接部21と第2の当接部22との間に設けられる回動支持部23とを有する。さらに、保持部材20は、回動支持部23において、各当接部21,22と回動支持部23とを含む平面に対して垂直な軸周りに、回動自在に支持される。さらにまた、保持部材20は、回動支持部23においてアーム部材30の先端に支持されると共にアーム部材30の他端が支持体41に支持され、アーム部材30を介した弾性付勢によって保持部材20が人体の被当接面に押圧される。
【0044】
そのため、保持部材20に備えられたアクチュエータ10は、支持体41に支持されたアーム部材30の先端に、第1の当接部21、第2の当接部22及び回動支持部23を含む平面に対して垂直な軸周りに回動自在となるように支持されて人体の被当接面に押圧される。これにより、骨伝導を得るために必要な位置に保持部材20を配置できるようになると共に、保持部材20を使用者の被当接面に押圧すると、第1の当接部21と第2の当接部22とが協働して保持部材20を適宜回動させるので、アクチュエータ10の当接部11の密着性が向上し、使用者の被当接面に一定且つ適正な押圧力で押圧させることができるようになり、使用者における被当接面の個人差に関わりなく一定の信号伝達レベルを得ることが可能になる。したがって、アクチュエータ10からの骨伝導信号が使用者の頭骨を通して脳に作用されるため、使用者は、相手の発話を明瞭に聞き取ることができるようになる。また、発話内容は、同乗者に聞かれたり、外部に漏れることはなく、しかも、使用者の両耳は開放されているため、周囲音も同時に聞けるので周囲の状況の把握が遅れてしまうことはない。
【0045】
なお、実施例では車載用のハンドフリーシステムを例として説明したが、本発明は特にこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の車載用ハンズフリーシステムの構成を説明するための概略図である。
【図2】本実施形態に係る受音装置の外観を示した平面図である。
【図3】図2中のA−A矢視線における断面図である。
【図4】本受音装置の使用方法を説明するための斜視図である。
【図5】本受音装置と頭部との接合状態を示した説明図である。
【符号の説明】
10 アクチュエータ
11 当接部
20 保持部材
21 第1の当接部
22 第2の当接部
23 回動支持部
30 アーム部材
31 弾性付勢部材
40 車載シート
41 支持体
41A 支持部材
41B 支持部材

Claims (13)

  1. 人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータを用いた受音装置において、
    前記アクチュエータを保持する保持部材を備え、該保持部材は、前記アクチュエータを人体に当接させる第1の当接部と、該当接部と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部と、前記第1の当接部と第2の当接部との間に設けられる回動支持部とを有し、
    前記保持部材は、前記回動支持部においてアーム部材の先端に支持されると共に該アーム部材の他端が支持体に支持され、該アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材が人体の被当接面に押圧されることを特徴とする受音装置。
  2. 前記保持部材は、前記回動支持部において、前記各当接部と当該回動支持部とを含む平面に対して垂直な軸周りに、回動自在に支持されることを特徴とする請求項1に記載の受音装置。
  3. 前記アーム部材と前記支持体との支持部に弾性付勢部材を設けることを特徴とする請求項に記載の受音装置。
  4. 前記アーム部材の弾性反発力によって前記弾性付勢を得ることを特徴とする請求項に記載の受音装置。
  5. 前記アーム部材の他端は、前記支持体に対して回動可能に支持され、該アーム部材を任意位置で保持すると共に人体側から退避可能にしたことを特徴とする請求項のいずれかに記載の受音装置。
  6. 前記保持部材は、前記アーム部材の先端に着脱可能に支持されることを特徴とする請求項〜5のいずれかに記載の受音装置。
  7. 前記支持体は、車載シートの一部に設けられる支持部材であることを特徴とする請求項のいずれかに記載の受音装置。
  8. 前記アクチュエータは、電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の受音装置。
  9. 人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータを備えた受音装置の使用方法において、
    前記アクチュエータが保持される保持部材を、前記アクチュエータの当接部と該当接部から離れた位置に形成された凸状の当接部との2点で人体に当接させ、前記各当接部とその中間位置に設けられる回動支点とを含む平面に対して垂直な軸周りに、前記保持部材を回動支持し、
    前記保持部材は、アーム部材の先端に支持されると共に該アーム部材の他端が支持体に支持され、該アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材が人体の被当接面に押圧されることを特徴とする受音装置の使用方法。
  10. 前記保持部材を人体の被当接面に向けて一定押圧力で付勢すると共に、該保持部材を任意の位置で保持可能にしたことを特徴とする請求項に記載の受音装置の使用方法。
  11. 前記アクチュエータは、動電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする請求項又は1に記載の受音装置の使用方法。
  12. 人体に当接させることによって骨を介して音声信号を伝導させるアクチュエータを備えた受音システムにおいて、
    前記アクチュエータを人体に当接させる第1の当接部と、該当接部と離間した位置に凸状に形成される第2の当接部と、前記第1の当接部と第2の当接部との間に設けられる回動支持部とを有した保持部材と、
    前記保持部材を、前記回動支持部において、前記各当接部と当該回動支持部とを含む平面に対して垂直な軸周りに回動可能に支持するアーム部材と、
    前記アーム部材を回動可能に支持すると共に任意位置で保持し、且つ人体側から退避可能とする支持体と、
    前記アーム部材と前記支持体との間に設けられ、前記アーム部材を介した弾性付勢によって、前記保持部材を人体の被当接面に押圧する弾性付勢部材と、を備えることを特徴とする受音システム。
  13. 前記アクチュエータは、動電型、圧電型、電磁型、磁歪型の少なくとも何れか1つによるものであることを特徴とする請求項1に記載の受音システム。
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