JP4408544B2 - 親水滑水性表面処理剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被処理基材面に親水性及び滑水性を付与することができる親水滑水性表面処理剤に関するものであり、より詳細には、ガラス、ステンレス、プラスチックなどの被処理基材面を適度に親水化し、かつ、付着水滴を表面から自動的または簡単な機械力により容易に除去できる親水滑水性表面処理剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまで付着水滴を残さないために親水性溶剤中に物質を浸漬して水を溶剤中に拡散させることで水切れをさせ、残った溶剤を気化させる方法や、表面をシリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂で被覆して撥水性を付与する方法が取られている。しかし、親水性溶剤を用いる方法は可燃性の問題があり、また、表面に撥水性を付与する方法は、表面が一様である間は水滴が残らないものの少しでも汚れが付着した場合、汚れを簡単に除去できないうえに、かえって多くの水滴が残る問題がある。このような表面処理剤の中には特殊な有機溶剤によって接触すると簡単に表面を痛めてしまうものが少なくなく、水溶液タイプのものが望まれている。
【0003】
付着水滴を残さないためには、親水性溶剤中に物質を浸漬して水を溶剤中に拡散させて水切れをさせ、残った溶剤を気化させる方法として、フルオロカーボンと親水性溶剤と界面活性剤からなる水切り用組成物が開示されている(特開平10-15303号公報)。また、特開2000-38598号公報には、低分子量オルガノシロキサンと親水性溶剤とを含有する液切れ乾燥用組成物が開示されている。いずれの場合も有機溶剤を用いるため、使用者の健康を害したりコスト面で高いものになるといった問題がある。
付着水滴の容易な除去を目的とした発明としては、例えば、特開平11-293184号公報に、シリコンマクロマーと水酸基含有ビニルモノマーとその他重合性モノマーからなる滑水性表面を形成し得るポリマー組成物が提案され、特開平11-343321号公報に、シリコンマクロマーと環状エーテル基含有ビニルモノマーとその他重合性モノマーからなる滑水性表面を形成し得るポリマー組成物が提案されている。これらには、いずれも物質表面に塗布したのち硬化反応によって水との接触角を約100°の撥水面を形成することが教示されている。これらは表面を撥水化させることで滑水性を発現させるものであり、上述の汚れ対策については何ら説明がされていない。さらにかかる方法では硬化反応をするため、簡単に表面特性を変えることができず、再度、元の状態に戻すことは困難である。
通常、表面を撥水化すると、その処理した直後の水切れ性は良好であるものの疎水性の汚れがかえって付着しやすく、少しでも汚れが付着した場合、汚れが簡単に除去できず、かえって多くの水滴が残る。
【0004】
本発明に近いものとして、シリコンモノマーと親水性ビニルモノマーとを含む共重合体として、例えば、特許2815684号公報、また、特開平4-359913号公報、特開平4-359914号公報、特開平4-360812号公報、特開平5-17324号公報、特開平8-253539号公報には、シリコンモノマーとカチオン性ビニルモノマーを必須成分とする共重合体、及び該共重合体を含有する化粧料が開示されている。これらの共重合体は、シリコンの優れた潤滑性とアクリル系ポリマーの毛髪のセット性を併せ持つ点が優れ、毛髪を処理時の特性を訴求しているが、処理表面の親水性、滑水性に関しては何も触れておらず、また、その用途も異なる。特許2611893号公報には、シリコンモノマーとオキシアルキレンモノマーとを含む共重合体、及び該共重合体を用いた被覆組成物が開示されており、シリコンの撥水性や潤滑性とオキシアルキレンによる帯電防止性を併せ持つ点を訴求しているが、使用時に有機溶剤を用いるため、使用者の健康を害したりコスト面で高いものになる。また、本発明者らによって特開2000-17232号公報には、シリコンモノマーとカルボキシル基含有ビニルモノマーを必須成分とする共重合体を含有する表面処理剤を示したが、水溶性の処理剤であり、かつ塗布処理した表面では良好な水切れ性を示すものの、大量の水で濯ぎ処理を行うと効果が低下するといった耐久性にまだまだ改良の余地がある。
【0005】
このように、これまでのものは、溶剤系のため使用性が悪い、硬化反応を必要とするため元の状態に戻せない、耐久性がないといった問題があった。このため、水溶液タイプで、かつ、耐久性のある水切れ性の良好な表面を形成し得る親水滑水性表面処理剤の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、水溶液の状態で塗布、または洗浄することが出来るにもかかわらず、水に接触しても表面に定着して、物質の表面を適度に親水化し、水から引き上げたときの水切れ性に優れた親水滑水性表面処理剤を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の共重合体を表面処理剤として使用することにより上記課題を解決するに至った。
即ち、下記式1で表される(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマー及び下記式2で表される(B)シリコンマクロマーを必須成分とし、該(A)親水性ビニルモノマーは20〜95重量%の範囲で含まれ、該(B)シリコンマクロマーは5〜50重量%の範囲で含まれ、必要により残部は(C)疎水性ビニルモノマーからなる共重合体を含有することを特徴とする親水滑水性表面処理剤を提供することにより、上記課題を達成したものである。
【0008】
【化3】
Figure 0004408544
(式1中のR1は水素又はメチル基であり、Rxはカチオン性官能基である。)
【0009】
【化4】
Figure 0004408544
(式2中のR2は水素又はメチル基であり、R3はエーテル基を含有しても良い炭素数1〜6の2価脂肪族基を示し、R4は炭素数1〜30の脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシル基を示し、hは0、1又は2の数字を示し、jは0〜500の数字を示す。)
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明に係る親水滑水性表面処理剤は、(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマー及び(B)シリコンマクロマーを必須成分とし、該(A)親水性ビニルモノマーは20〜95重量%の範囲で含まれ、該(B)シリコンマクロマーは5〜50重量%の範囲で含まれ、必要により残部は(C)疎水性ビニルモノマーからなる共重合体を含有するものである。
【0011】
本発明の親水滑水性表面処理剤が使用される被処理基材としては、ステンレス、ガラス、各種プラスチックなどの表面が挙げられる。本発明の表面処理剤は、これら表面を適度に親水化し、付着水滴を表面から自動的または簡単な機械力により容易に除去するものである。例えば、台所、レンジ、タイル、風呂の壁や浴槽、鏡、ガラス、便器、床等に使用する住居用液体洗剤や表面処理剤等の面処理剤としての使用においては、良好な水切れ性が得られることから、水垢の付着を抑制でき、さらにカビの発生を抑制する。また、適度な親水性を示すことから疎水性汚れの付着防止機能を付与することができる。
【0012】
上記親水滑水性表面処理剤におけるよる(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマーは共重合体における必須成分であり、下記式1で表される。
【0013】
【化5】
Figure 0004408544
【0014】
ここで、式1のR1は水素又はメチル基であり、Rxはカチオン性官能基である。特に、ピリジン系カチオン性官能基、下記式3、及び下記式4、に示すカチオン性官能基を挙げることができる。
【0015】
【化6】
Figure 0004408544
【0016】
式3中のaは0または1であり、R5は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン鎖であり、水酸基を1つ以上含んでも良く、R6はメチル基またはエチル基である。
【0017】
【化7】
Figure 0004408544
【0018】
式4中のbは0または1であり、R7は炭素数1〜8の直鎖もしくは分岐状アルキレン鎖であり、水酸基を1つ以上含んでも良く、R8はメチル基またはエチル基であり、R9は水素、炭素数1〜24の直鎖状もしくは分岐状アルキル基であり、水酸基を1つ以上含んでも良く、Xは、ヨウ素、臭素、塩素イオン、または炭素数1〜2のアルキル硫酸イオン等が望ましい。
【0019】
上記(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマーは、具体的に、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジプロピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキル等の(メタ)アクリル酸のアミン誘導体類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類、あるいは、塩酸、硫酸、クエン酸、蓚酸等の塩、または塩化メチル、塩化エチル、臭化メチル、臭化エチル、ヨウ化メチル、ベンジルクロリド等のハロゲン化アルキルやジメチル硫酸、ジエチル硫酸等のジアルキル硫酸等を用いた4級アミン塩等を挙げることができる。
【0020】
本発明に用いる上記(B)シリコンマクロマーとしては、下記式3で表される構造を有している。
【0021】
【化8】
Figure 0004408544
【0022】
式2中のR2は水素又はメチル基であり、R3はエーテル基を含有しても良い炭素数1〜6、好ましくは1〜4の2価脂肪族基を示し、R4は炭素数1〜30、好ましくは2〜18の脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシル基を示し、hは0、1又は2の数字を示し、jは0〜500、好ましくは10〜300の数字を示すものである。(B)シリコンマクロマーは、単独で用いても良いし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0023】
上記式2で示されるシリコンマクロマーは、市販品(チッソ(株)製)として入手でき、例えば商品名サイラプレーンFM−0711(上記式2において、R2=メチル基、R3=プロピレン鎖、h=2、j=11、R3=ブチル基である。後述の実施例において以下FM−0711と記する)、商品名サイラプレーンFM−0721(上記式2において、R1=メチル基、R2=プロピレン鎖、h=2、j=65、R3=ブチル基である。後述の実施例においてFM−0721と記する)、商品名サイラプレーンFM−0721(上記式2において、R1=メチル基、R2=プロピレン鎖、h=2、j=130、R3=ブチル基である。後述の実施例においてFM−0725と記する)等が挙げられる。
【0024】
上記(C)疎水性ビニルモノマーとしては、例えば炭素数1〜24の直鎖あるいは分岐状アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリアクリル酸ブチルマクロモノマー等があり、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0025】
上記(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマーは、その1種以上を必須成分とし、必要に応じてアニオン性、ノニオン性および両性を有する親水性ビニルモノマーを併用しても良い。上記(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマーはその共重合体中に20〜95質量%、好ましくは30〜95質量%、更に好ましくは、50〜95質量%の範囲で含まることが望ましい。上記範囲を下回ると、後述の(B)シリコンマクロマーを適量含有していたとしても、その共重合体による表面処理剤は被処理基材面に十分な親水性を付与することができなくなる。また、上記範囲を上回ると、後述の(B)シリコンマクロマーを適量含有していたとしても、被処理基材面に十分か滑水性を付与することができなくなる。
【0026】
上記(B)シリコンマクロマーは、上記(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマーと同様に、その1種以上を必須成分とし、必要に応じてアニオン性、ノニオン性および両性を有する親水性ビニルモノマーを併用しても良い。上記(B)シリコンマクロマーはその共重合体中に5〜50質量%、好ましくは5〜45質量%、更に好ましくは、10〜45質量%の範囲で含まることが望ましい。上記範囲を上回ると、上述の(A)親水性ビニルモノマーを適量含有していたとしても、その共重合体による表面処理剤は被処理基材面に十分な親水性を付与することができなくなる。また、上記範囲を下回ると、上述の(A)親水性ビニルモノマーを適量含有していたとしても、被処理基材面に十分か滑水性を付与することができなくなる。
上記(C)疎水性ビニルモノマーがその共重合体の残部であり、(A)、(B)、及び(C)の全体で100質量%ととされる。
【0027】
本発明に係る親水滑水性表面処理剤として用いる上記共重合体は、以下のような方法で容易に製造することができる。上記共重合体は、溶媒としては水、または低級のアルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコールが挙げられ、特に水、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
また、重合開始剤としては、使用する溶媒によって制限されるため特定できないが、重合溶媒に溶解する一般的なラジカル重合に用いる開始剤が使用でき、ベンゾイルパーオキサイドなどの過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物を用いることができ、10時間半減期温度が30℃〜70℃のものが好ましい。これらモノマー溶液及び開始剤水溶液は、重合熱の除去や送液中の重合等を抑えて安定に製造する為に、別々に、かつ、分割または連続的に重合溶媒中に添加することが望ましい。また、重合開始剤は、その一部又は全量を重合溶媒中に予め配合しておいてもよい。
重合に際して溶媒は、モノマー混合物の濃度が20〜50重量%程度となるように調整して使用することが好ましい。
重合温度は、用いる重合開始剤の種類などによって一概には決定することができないが、高い反応率を得るために重合開始剤の半減期が5分〜500分程度とすることが望ましく、特に用いた重合溶媒の沸点温度に近いことが温度制御の点から望ましい。また、重合時間は、モノマー濃度や重合温度によって変わるがおよそ1〜12時間程度とすれば良いが、好ましくは2〜10時間とするのがよい。
【0028】
上記親水滑水性の共重合体の平均分子量は、1,000〜1,000,000の範囲であるのが好ましく、より好ましくは5,000〜800,000の範囲とするのがよい。
上記共重合体は親水滑水性表面処理剤を提供するが、かかる組成物においては、該共重合体の含有量が、組成物の質量を基準として0.01〜20質量%であるのが好ましく、より好ましくは0.1〜15質量%である。また、かかる組成物は水溶液形態であるのが好ましい。このような範囲内で上記共重合体が含有されていれば、表面処理剤として組成物は十分な親水効果及び滑水効果を発揮することができる。
【0029】
また、本発明の親水滑水性表面処理剤組成物は水系溶液形態であるのが好ましい。水系溶媒は水そのものに限らず、低級アルコール類、オキサイド類、ケトン類等の水相溶性溶媒、及びその混合溶媒などであっても良く、上記共重合体の溶解性、安定性に悪影響を与えない範囲で水系溶媒を加え、或いは使用することができる。
なお、上記組成物には、上記共重合体の他に、必要に応じて性能に悪影響のない範囲で、炭素数1〜4の直鎖あるいは分岐状1価アルコール類、炭素数1〜12の多価アルコール類、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド付加化合物等の水可溶性有機溶媒やアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性界面活性剤の1種又は2種以上を併用しても良い。なお、残部としては水を用いることができる。また、必要に応じて、防腐剤、香料、色素、等を併用してもよい。
【0030】
上記親水滑水性表面処理剤で、被処理基材である試料ガラス、或いはプラスチック等を処理したとき、その試料の水への接触角は、10°以上、80°以下の範囲になることが望ましく、好ましくは15°以上、75°以下であり、更に好ましくは20°以上、70°以下である。接触角が10°を下回ると基材面は水切れ性を示さず、80°を超えると水滴が残りやすく、一様に水が切れた表面状態を得ることが困難となる。
【0031】
滑水速度の測定方法としては、ガラス、タイルやABS、PP、FRPなどの樹脂等の硬い素材からなる材料に表面改質剤1%水溶液または分散液を、2×2cmに切断したガーゼで塗布量が0.5mL/cm2となるように塗り広げ、試料面が60°になるように傾けて流水(約6L/minの水道水)で10秒間濯ぎ、この試料板をイオン交換水が入った100mL容のビーカーに30秒間浸漬させ、その後、瞬時に試料板を液面から垂直に引き上げ、引き上げると同時に時間を測定する。水によってできる界面は徐々に下方へ移動しながら水は試料板から落下し、最終的に端部に溜まる。この水溜まりの変化がない、すなわち、水の動きが止まった時点での時間を測定し、浸漬した試料長をこの時間で割ることで算出したものである。
上記方法で求めた基材表面の水切れ速度は1cm/sec以上となることが望ましく、好ましくは2cm/sec以上、さらに好ましくは3cm/sec以上で水が切れることが望ましい。水切れ速度が1cm/sec未満では、水切れ実感が乏しくなる。
【0032】
本発明に係る親水滑水性表面処理剤はフロントガラス、ウインドガラス、窓ガラス、鏡等のガラス面、車体、アルミサッシ、通気ファン、標識板等の金属面、フイルム、シート、浴室内用具、食器トレー等のプラスチック面、或いは便器、浴槽等の無機材質面等の硬質基材面に適用することができる。
上記親水滑水性表面処理剤は単独又は洗浄剤と共に用いられ、塗布、浸漬、或いは噴霧などによって基材面の処理をすることができる。
上記洗浄剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコシド、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン等を含むガラス、プラスチック等の家具、食器用等の界面活性剤を挙げることができる。
本発明に係る親水滑水性表面処理剤は、基材表面に水溶液の状態で塗布、または洗浄剤と同時に使用することが出来るにもかかわらず、その処理後の水に接触してもしっかりと表面に定着して、物質の表面を適度に親水化し、水から引き上げたときの水切れ性に優れた親水滑水性を発現させることができる。
【0033】
【実施例】
以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0034】
(実施例1〜16)
先ず、本実施例1〜16に用いられる上記共重合体(1)〜(10)の製造方法について説明する。
攪拌機、温度計、環流冷却器、窒素導入管、モノマー用滴下口及び開始剤用滴下口を備えた1Lの5つ口フラスコに、エタノール280部を入れ、窒素気流下78℃まで加熱して、重合溶媒を調製した。次に、500mL容ビーカーに、表1に記載のモノマー比からなる混合モノマー250部及びエタノール120部を加え、モノマー混合溶液を調製した。また、200mL容ビーカーに、開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリルを1.8部及びエタノール60部を加え均一溶液とし、開始剤溶液を調製した。重合溶媒の温度を78℃に維持しながら、開始剤溶液全部、モノマー混合溶液全部を連続的に3時間かけて滴下し、更に5時間加熱、攪拌を続け目的のそれぞれの共重合体を得た。
【0035】
共重合体(11)の製造方法
共重合体(1)〜(10)と同様に5つ口フラスコをもちいて重合体を得た後、用いたメタクリル酸ジメチルアミノエチルと等モルのヨウ化エチルを5つ口フラスコに加え、更に78℃で6時間過熱してカチオン性化反応を行った。得られたカチオン性部を表1ではDM-Etと略記した。
【0036】
比較例に使用する共重合体(12)〜(14)の製造方法
上記共重合体(1)〜(11)と同様に表1記載のモノマー比からなる混合モノマーを用いて目的の共重合体を得た。
表1に各実施例及び比較例で用いられる共重合体(1)〜(14)のモノマー含有量を記載する。尚、表中の成分名は以下のように略記されている。
DM:メタクリル酸ジメチルアミノエチル
DMC:メタクリル酸ジメチルアミノエチルメチルアンモニウムクロライド
2−VPr:2−ビニルピリジン
MAA:メタクリル酸
AMPS:2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸
M40G:メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(p=4)
M230G:メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール(p=23)
MA:アクリル酸メチル
EA:アクリル酸エチル
IsoBA:アクリル酸isoブチル
LMA:メタクリル酸ラウリル
t-BMA:メタクリル酸ターシャリーブチル
AB−6:ポリアクリル酸ブチルマクロマー(東亞合成(株)製マクロモノマーAB−6)
【0037】
【表1】
Figure 0004408544
【0038】
(実施例1〜5、比較例1、2)
上記の方法によって実施例1〜5、及び、比較例1、2として上記共重合体(1)〜(5)及び(12)、(13)の各1%水溶液または分散溶液を0.5g/m2になるようにスライドガラス板を処理し水切れ速度と水滴残りの状態を以下の基準で判定した。また、同様に処理したガラス板の接触角を測定し、結果を表2に示す。なお、ブランクは水のみで処理した場合を示す。
尚、表2中の評価方法は以下の通りである。
<水滴残り>
○:水滴が殆どない
△:水滴が僅かに残る
×:水滴が激しく残る
<接触角>
ポリマー処理した試料板に純水10μLを垂らし、コンタクトアングルメーター(協和界面科学(株)製)を用いて10秒後の接触角を測定した。
【0039】
【表2】
Figure 0004408544
【0040】
(実施例6〜11、比較例3〜5)
処理板にABS樹脂を用い、共重合体(6)〜(14)の各1%水/エタノール=1/1(w/w)溶液または分散溶液を0.5g/m2になるように樹脂板を処理し、実施例1〜5、比較例1〜2と同様に水切れ速度、水滴残り、接触角を求め、結果を表3に示す。
【0041】
【表3】
Figure 0004408544
【0042】
(実施例12〜16、及び比較例6〜7)
処理溶液がポリオキシエチレンアルキル(12,13)エーテル硫酸ナトリウム(3E.O)(ライオン(株)製:サンノールDL-1430)を0.2%、共重合体(1)〜(5)、(12)、及び(14)を1%からなる水溶液または分散液を用いる以外は実施例1〜5と同様にガラス板を用いて水切れ性評価を行ない結果を表4に示す。
【0043】
【表4】
Figure 0004408544
【0044】
実施例1〜16の全てにおいて、被処理基材面の接触角は良好な角度を維持し、水滴残りが見られなかったが、比較例1〜7は水残りが見られた。
従って、上記親水滑水性表面処理剤を被処理基材表面に処理することにより、その被処理基材面に優れた親水性、滑水性を付与することができる。
【0045】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明に係る親水滑水性表面処理剤は、上記式1で表される(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマー及び上記式2で表される(B)シリコンマクロマーを必須成分とし、該(A)親水性ビニルモノマーは20〜95重量%の範囲で含まれ、該(B)シリコンマクロマーは5〜50重量%の範囲で含まれ、必要により残部は(C)疎水性ビニルモノマーからなる共重合体を含有するので、水溶液の状態で塗布、または洗浄することが出来るにもかかわらず、水に接触しても表面に定着して、物質の表面を適度に親水化し、水から引き上げたときの水切れ性も優れたものにしている。

Claims (3)

  1. 下記式1で表される(A)カチオン性官能基を有する親水性ビニルモノマー及び下記式2で表される(B)シリコンマクロマーを必須成分とし、該(A)親水性ビニルモノマーは20〜95重量%の範囲で含まれ、該(B)シリコンマクロマーは5〜50重量%の範囲で含まれ、必要により残部は(C)疎水性ビニルモノマーからなる共重合体を含有することを特徴とする親水滑水性表面処理剤。
    Figure 0004408544
    (式1中のR1は水素又はメチル基であり、Rxはカチオン性官能基である。)
    Figure 0004408544
    (式2中のR2は水素又はメチル基であり、R3はエーテル基を含有しても良い炭素数1〜6の2価脂肪族基を示し、R4は炭素数1〜30の脂肪族基、芳香族基、ヒドロキシル基を示し、hは0、1又は2の数字を示し、jは0〜500の数字を示す。)
  2. 被処理基材面に、水との接触角が80°以下である親水面を形成すると共に、該被処理基材面を水中に浸漬し、引上げた後、これを垂直に保持した時の該被処理基材面にできる空気と水からなる界面の後退速度が1cm/sec以上となる滑水面を形成することを特徴とする請求項1記載の親水滑水性表面処理剤。
  3. 請求項1又は2記載の親水滑水性表面処理剤において、上記共重合体が水系溶媒中に0.01〜20質量%の範囲で含有され、且つ該被表面処理剤の洗浄剤と共に用いられることを特徴とする親水滑水性表面処理剤。
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