JP4407005B2 - コーンビーム型放射線ct装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、コーン状放射線ビームが被検体に照射されるとともに、被検体を通り抜けた透過X線が2次元に広がる放射線検出面によって検出されるよう構成された医療用あるいは産業用のコーンビーム型放射線CT装置に係り、特に、被検体の非撮影対象領域に対する不必要な放射線曝射を低減させるあるいは防止するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、X線CT装置と言えば、扇状X線ビーム(ファンビーム)と1次元X線検出器とを用いた装置が汎用的に用いられているが、最近、図17に示すように、扇状X線ビームの代わりコーン状X線ビームXBを用いるとともに、1次元X線検出器の代わりにイメージインテンシファイアなどの2次元に広がるX線検出面XDaを有するX線検出器XDを用いたコーンビーム型X線CT装置が使われ出している。
【0003】
従来のコーンビーム型X線CT装置は、X線管51から出るX線ビームがコーン状(例えば、4角錐状)に整形された状態で被検体Mに照射されるとともに、被検体Mを透過したコーン状X線ビームXBはX線検出器XDの2次元のX線検出面XDaに投影されてX線検出が行われる構成になっているのに加えて、X線管51とX線検出器XDとが被検体Mを挟んで被検体Mの体軸回りに回転すると同時に、被検体Mを載置した天板52が左側へ移動してX線管51とX線検出器XDとが被検体Mの体軸Zの方向に相対的に直進する構成となっている。
【0004】
つまり、従来の装置の場合、全体として見れば、図17に曲線mで示すように、X線管51とX線検出器XDとが被検体Mの体軸Zの方向へ向けて被検体Mの体軸回りを相対的に螺旋状に前進しながら撮影対象領域Maに対するX線の照射・検出が行われてX線断層撮影が進行するのである。また、従来の装置では、X線検出器XDから出力されるX線検出信号に基づき、X線検出器XDの後段で撮影対象領域Maについて画像再構成が行われて、最終的に必要なCT像(断層像)が得られる。
【0005】
このコーンビーム型X線CT装置では、図18に示すように、扇状X線ビームよりも遙に幅のあるコーン状X線ビームXBを用いるとともに、1次元X線検出器よりも遙に広い2次元のX線検出面XDaを持つX線検出器XDを用いるので、1回の回転で多量のX線検出信号が得られるようになり、撮影効率の向上が見込める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のコーンビーム型X線CT装置の場合、被検体Mの非撮影対象領域Mbに対して不必要なX線が曝射されるという問題がある。
従来のコーンビーム型X線CT装置の場合、X線管51およびX線検出器XDと被検体Mとの間の相対的な直進の開始の際は、図19に示すように、コーン状X線ビームXBの後側半角コーンビームXBaが被検体Mの非撮影対象領域Mbに不必要に当たるだけでなく、X線管51およびX線検出器XDと被検体Mとの間の相対的な直進の終了の際も、図20に示すように、コーン状X線ビームXBの前側半角コーンビームXBbが被検体Mの非撮影対象領域Mbに不必要に当たる。
【0007】
すなわち、コーンビーム型X線CT装置では、画像再構成のための信号処理を行う際に被検体Mの体軸Zに対して垂直方向に照射されるX線に対応するX線検出信号を基準にして処理が進められる。そうしないと、最終的なCT像が不鮮明になるからである。したがって、図19および図20に示すように、コーン状X線ビームXBの照射中心が被検体Mの撮影対象領域Maの各端面に達する位置まで、X線管51およびX線検出器XDと被検体Mとの間の相対的な直進を行って、被検体Mの撮影対象領域Maの各端面に被検体Mの体軸Zに対して垂直方向からX線を照射して処理に必要なX線検出信号を得ることになる。
しかし、撮影対象領域Maの各端面の撮影の際は、コーン状X線ビームXBの各半角コーンビームXBa,XBbの部分が非撮影対象領域Mbにまで入り込んで非撮影対象領域Mbに不必要なX線を照射してしまう。不必要なX線曝射は極力避けなければならないことは言うまでもない。
【0008】
この発明は、上記の事情に鑑み、コーン状放射線ビーム方式の断層撮影において被検体の非撮影対象領域に対する不必要な放射線曝射を低減させるあるいは防止することのできるコーンビーム型放射線CT装置を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明に係るコーンビーム型放射線CT装置は、コーン状放射線ビームを被検体に照射する放射線照射手段と、2次元に広がる放射線検出面を有する放射線検出手段とが、被検体を挟んで被検体の体軸回りの向きへは被検体に対し相対的に回転し、被検体の体軸方向へは被検体に対し相対的に直進するよう構成されているとともに、コーン状放射線ビームの照射に伴って放射線検出手段からCT像再構成用の放射線検出信号が出力されるよう構成されたコーンビーム型放射線CT装置において、被検体の体軸の前後方向に対するコーン状放射線ビームの傾き角度(ティルト角度)を相対的に変化させるビーム照射角可変手段と、放射線照射手段および放射線検出手段と被検体との間の相対的な直進の開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して直角の状態となり、相対的な直進に伴ってコーン状放射線ビームの照射中心が被検体の体軸に対して直角の状態へ移行するとともに、相対的な直進の終了時はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対し直角の状態となるようビーム照射角可変手段を相対的な直進と連動し制御してティルト角度を変化させるビーム照射角制御手段とを備えている。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させることによりティルト角度を変化させる構成となっている。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項1に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、被検体を体軸の前後方向に傾斜させることによりティルト角度を変化させる構成となっている。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項1または請求項2に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段と放射線検出手段との外側でこれらを保持するガントリを体軸の前後方向に傾斜させることにより放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させてティルト角度を変化させる構成となっている。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1または請求項2に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段および放射線検出手段を一体的に動作させる回転フレームを体軸の前後方向に傾斜させることにより放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させてティルト角度を変化させる構成となっている。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかに記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角制御手段は次の順序、すなわち(1)放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転を開始してから少なくとも半回転するまでは、コーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となるようにビーム照射角可変手段を制御して、(2)放射線照射手段および放射線検出手段と被検体との間の相対的な直進を開始して、(3)被検体の体軸に対する移行を行い、(4)相対的な直進を終了して、(5)放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転してから少なくとも半回転するまでは、コーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となるようにビーム照射角可変手段を制御する、を順に制御することによって一連の動作を終了している。
【0015】
〔作用〕
次に、この発明に係るコーンビーム型放射線CT装置により断層撮影(CT撮影)を行う際の作用を説明する。
請求項1のコーンビーム型放射線CT装置による断層撮影では、放射線照射手段と放射線検出手段とが被検体を挟んで被検体の体軸回りの向きへ被検体に対し相対的に回転し、被検体の体軸方向へは被検体に対し相対的に直進するとともに、放射線照射手段による被検体へのコーン状放射線ビームの照射に伴って放射線検出手段における2次元に広がる放射線検出面に被検体の放射線透過像が投影されてCT像再構成用の放射線検出信号が出力される。
【0016】
そして、請求項1のコーンビーム型放射線CT装置の場合、ビーム照射角制御手段が相対的な直進と連動してビーム照射角可変手段を制御することにより、コーン状放射線ビームの被検体の体軸の前後方向に対する傾き角度、すなわちコーン状放射線ビームのティルト角度が撮影の進行に伴って相対的に変化する。すなわち、放射線照射手段および放射線検出手段と被検体との間の相対的な直進の開始時(撮影開始時)は、コーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して直角の状態となり、相対的な直進に伴って(撮影進行に伴って)コーン状放射線ビームの照射中心が被検体の体軸に対して直角の状態へ移行するともに、相対的な直進の終了時(撮影終了時)はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対し直角の状態となるようコーン状放射線ビームのティルト角度が撮影進行に伴い変化するのである。
【0017】
一方、放射線断層撮影の開始に先立って設定される被検体の撮影対象領域は後端面および前端面が被検体の体軸に対し直角の面である。したがって、請求項1の発明の装置の場合、撮影開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の撮影対象領域の後端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。また、撮影進行中、コーン状放射線ビームの照射中心が被検体の体軸に対して直角に移行するまでの間、コーン状放射線ビームの後側が(後端面側の)非撮影対象領域の方へ移動するけれども、撮影進行に伴ってコーン状放射線ビーム自体が撮影対象領域の前端側に移動するので、コーン状放射線ビームの後側から非撮影対象領域へ入り込む領域を低減させることになる。さらに、撮影終了時は、撮影終了直前まで撮影進行に伴ってコーン状放射線ビーム自体が撮影対象領域の後端側から移動するので、やはりコーン状放射線ビームの前側から非撮影対象領域へ入り込む領域を低減させることになる。
【0018】
このように、請求項1の発明のコーンビーム型放射線CT装置においては、全撮影期間中、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射は低減する。
【0019】
また、請求項2のコーンビーム型放射線CT装置では、ビーム照射角可変手段により、放射線照射手段と放射線検出手段とが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられるのに従ってコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する。したがって、請求項2の発明の装置の場合、被検体を傾斜させずにティルト角度を変化させられることになる。
【0020】
また、請求項3のコーンビーム型放射線CT装置では、ビーム照射角可変手段により、被検体が体軸の前後方向に傾斜させられるのに従ってコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する。したがって、請求項3の発明の装置の場合、被検体を傾斜させてティルト角度を変化させられることになる。
【0021】
また、請求項4のコーンビーム型放射線CT装置では、ビーム照射角可変手段により、ガントリが体軸の前後方向に傾斜させられるのに従って放射線照射手段と放射線検出手段とが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられて、さらにコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する。したがって、請求項4の発明の装置の場合、被検体を傾斜させずにガントリを傾斜させるだけでティルト角度を変化させられることになる。
【0022】
また、請求項5のコーンビーム型放射線CT装置では、ビーム照射角可変手段により、回転フレームが体軸の前後方向に傾斜させられるのに従って放射線照射手段と放射線検出手段と回転フレームとが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられて、さらにコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する。したがって、請求項5の発明の装置の場合、被検体を傾斜させずに回転フレームを傾斜させるだけでティルト角度を変化させられることになる。
【0023】
一方、放射線断層撮影の開始に先立って設定される被検体の撮影対象領域は後端面および前端面が被検体の体軸に対し直角の面である。したがって、請求項5の発明の装置の場合、撮影開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の撮影対象領域の後端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。また放射線照射手段と放射線検出手段と回転フレームとが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられているので、放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転をしている間、コーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となる。したがって、コーン状放射線ビームの後側が非撮影対象領域へは入り込むことはなく、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。
【0024】
さらに、撮影終了時はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の撮影対象領域の前端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。また放射線照射手段と放射線検出手段と回転フレームとが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられているので、撮影終了直前までの放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転をしている間、コーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となる。したがって、コーン状放射線ビームの前側が非撮影対象領域へは入り込むことはなく、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。
【0025】
このように、請求項5の発明のコーンビーム型放射線CT装置においては、全撮影期間中、コーン状放射線ビームが非撮影対象領域にはみ出さずにコーン状放射線ビーム全体が常に撮影対象領域内にあり続けるので、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射は起こらなくなる。
【0026】
また、請求項6のコーンビーム型放射線CT装置では、放射線断層撮影の開始に先立って設定される被検体の撮影対象領域は後端面および前端面が被検体の体軸に対し直角の面である。したがって、請求項6の発明の装置の場合、撮影開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の撮影対象領域の後端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。また放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転してから少なくとも半回転するまでの間、ビーム照射角可変手段によってコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となる。したがって、コーン状放射線ビームの後側が非撮影対象領域へは入り込むことはなく、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。
【0027】
さらに、撮影終了時はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の撮影対象領域の前端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。また放射線照射手段と放射線検出手段とが被検体に対し相対的に回転してから少なくとも半回転するまでの間、ビーム照射角可変手段によってコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となる。したがって、コーン状放射線ビームの前側が非撮影対象領域へは入り込むことはなく、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。
【0028】
コーン状放射線ビームの後側が非撮影対象領域へは入り込むことはなく、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。さらに、撮影終了時は、コーン状放射線ビームの前側側面が被検体の撮影対象領域の前端面と一致しており、やはり放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まる。
【0029】
このように、請求項6の発明の発明のコーンビーム型放射線CT装置においては、全撮影期間中、コーン状放射線ビームが非撮影対象領域にはみ出さずにコーン状放射線ビーム全体が常に撮影対象領域内にあり続けるので、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射は起こらなくなる。
【0030】
【発明の実施の形態】
続いて、この発明の一実施例を図面を参照しながら説明する。図1は第1実施例に係るコーンビーム型X線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【0031】
図1に示す第1実施例のX線CT装置は、被検体Mにコーン状X線ビームCBを照射するX線照射部1と、2次元に広がるX線検出面2aを有するX線検出器2と、被検体Mを載置したままで被検体Mの体軸Zの方向へ往復移動可能な天板3とを備えていて、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mを挟んで被検体Mの体軸Z回りの向きに回転するとともに、被検体Mの体軸Zの方向に相対的に直進するよう構成されているのに加え、コーン状X線ビームCBの照射に伴ってX線検出器2から出力されるX線検出信号に基づきX線CT像(X線断層像)用の画像再構成が行われるよう構成されている。なお、X線照射部1は、本発明における放射線照射手段に相当し、X線検出器2は、本発明における放射線検出手段に相当する。以下、第1実施例装置の各部構成を具体的に説明する。
【0032】
X線照射部1は、図2に示すように、X線ビームを放射するX線管4と、X線管4から放射されるX線ビームをコーン状(例えば、4角錐状)のX線ビームCBに整形するコリメータ5とを備え、天板3の上の被検体Mにコーン状X線ビームCBを照射するよう構成されている。X線検出器2は、イメージインテンシファイア(I・I管)2AとI・I管2Aの後部に付設されたTVカメラ2Bとを備え、コーン状X線ビームCBの照射により生じた被検体Mの透過X線像がI・I管2Aに投影されて検出されるとともに、TVカメラ2Bから透過X線像に対応した映像信号が出力される通常構成の検出器である。
【0033】
一方、第1実施例装置のX線照射部1およびX線検出器2は、図1に示すように、ガントリGの内側に配置されているとともに、モータ6の回転力がプーリ7およびベルト8を介して伝達されるのに伴って回転する回転リング9に固定されており、回転駆動部10のコントロールによるモータ6の回転により回転リング9が連動して矢印RA,RBの示す方向に回転するのに従い、X線照射部1とX線検出器2とが被検体Mの体軸Zの周りを対向配置状態を保ったまま一体的に回転するよう構成されている。
さらに、X線照射部1に関しては、高電圧発生器12などを含む照射制御部11のコントロールにより、管電圧・管電流等の設定照射条件に従ってコーン状X線ビームCBを照射するよう構成されている。
【0034】
また、被検体載置用の天板3に関しては、撮影中、天板駆動部13のコントロールにより、被検体Mを乗せたままで被検体Mの体軸Zの方向に天板3が正逆のいずれの方向にも直進するよう構成されている。
その他、ガントリGの開口側縁には、被検体Mの位置決め(撮影対象領域の設定)などに使われる投光器14およびハンドスイッチ15も設けられている。
なお、回転駆動部10によるX線照射部1およびX線検出器2の回転コントロールや、照射制御部11によるX線ビームの照射コントロール、或いは、天板駆動部13による天板3の移動コントロールなどは、操作卓16からの入力操作等や撮影進行状況に応じて撮影制御部17から適時に送出される指令信号に従って行われる。
【0035】
他方、第1実施例のX線CT装置は、X線ビームの照射に伴ってX線検出器2から出力される映像信号を適当な段階でAD変換したX線検出信号(X線画像信号)を記憶する検出信号メモリ18と、検出信号メモリ18に記憶されるX線検出信号に基づき3次元画像再構成処理を行う画像再構成部19と、3次元画像再構成結果に従って得られたX線CT像を一時的に記憶するCT像メモリ20とを備えている他、CT像メモリ20に記憶されたX線CT像を画面表示する表示モニタ21やフィルムに焼き付けて画像写真として出力する画像焼付け器(レーザ式イメージャー)22なども備えている。これら画像信号処理系のコントロールも、操作卓16からの入力操作等や撮影進行状況に応じて撮影制御部17から適時に送出される指令信号に従って行われる。
【0036】
そして、第1実施例のコーンビーム型X線CT装置の場合、この発明を特徴づける構成として、図2および図3の矢印RCで示すように、断面正方形で四角錐状に拡がるコーン状X線ビームCBの被検体Mの体軸Zの前後方向に対する傾き角度(ティルト角度θ)を変化させるビーム照射角可変手段としてのガントリティルト部23と、撮影中、コーン状X線ビームCBが被検体Mの撮影対象領域Maをはみ出さないように、あるいははみ出すのを少しでも減らすようにティルト角度θを調整するためにX線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとの間の相対的な直進(つまり撮影の進行)と連動してガントリティルト部23を制御するビーム照射角制御部24とを備えている。以下、このコーン状X線ビームCBのティルト角度θに関する特徴的な構成について詳しく説明する。
【0037】
なお、図1〜図4に示す第1実施例装置の場合、ティルト角度θは、体軸Zと直角になった基準状態(θ=0)の照射中心CNと刻々の照射中心CNのなす角度となっている。また、図3においては天板3の動きを省略して図示してある。さらに、図4においては、後述するように、撮影の際には被検体Mが体軸Zの方向とは逆に右から左へ直進してゆくので、撮影対象領域Maに対するX線ビームの走査(スキャン)は左から右へ進むことから、X線ビームにとっては左側が後側となり、右側が前側となる。したがって、図2に示すように、四角錐状のコーン状X線ビームCBの右側斜面が後側側面CBaであり、左側斜面が前側側面CBbとなる。
【0038】
ガントリティルト部23の方は、図4に示すように、X線照射部1およびX線検出器2を保持するガントリGの下部に配置されているモータ25と、このモータ25により回転するピニオン26と、ガントリGを体軸Zの前後方向に傾斜可能に支えるベースBaに固定されているラック27とを備えており、ビーム照射角制御部24のコントロールによるモータ25の回転によりピニオン26が連動して回転するのに従い、ピニオン26がラック27に沿って移動してガントリGがX線照射部1およびX線検出器2と一体に体軸Zの前後方向に傾斜することにより、コーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させるよう構成されている。
【0039】
ビーム照射角制御部24の方は、図4(a)に示すように、X線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとの間の相対的な直進の開始時(天板3の移動開始時=撮影開始時)はコーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θa)となる。図4(b)に示すように、続く相対的な直進中(天板3の移動中=撮影進行時)、コーン状X線ビームCBの照射中心CNが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=0)へ移行する。図4(c)に示すように、相対的な直進の終了時(天板3の移動終了時=撮影終了時)にコーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対し直角の状態(θ=θb)となって撮影が終わるようガントリティルト部23のモータ25を相対的な直進(つまり天板3の移動)と連動してコントールするよう構成されている。
【0040】
上述したように、第1実施例の装置の場合、撮影期間中ずっとティルト角度θが変化し続ける制御構成となっているが、ビーム照射角制御部24は撮影初期の一定期間の間にティルト角度θが角度θaから角度0に移行した後、ティルト角度θが角度0の状態を維持して撮影を続行し、撮影終期の一定期間の間にティルト角度θが角度0から角度θbに移行する制御構成であってもよい。
なおビーム照射角制御部24のコントロールも、操作卓16からの入力操作等や撮影進行状況に応じて撮影制御部17から適時に送出される指令信号に従って行われる。
【0041】
したがって、第1実施例装置の場合、図3に曲線mで示すように、X線照射部1およびX線検出器2の回転と天板3の直進との組み合わせにより、X線断層撮影の実行中、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zの方向へ向けて被検体Mの体軸回りを相対的に螺旋状に前進する(螺旋スキャンを行う)とともに、被検体Mの体軸Zの前後方向にガントリGがいわば首をゆっくり傾けるように前後へ傾斜移動してコーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させながらX線の照射・検出を行うことになる。普通、X線照射部1およびX線検出器2が1回転する間の螺旋状の前進ピッチは、特定の寸法に限られるものではないが、例えばX線検出面2aの体軸Zの方向の寸法の半分程度である。
【0042】
上に説明したビーム照射角制御部24によるモータ25のコントロールは、被検体Mの直進状況、つまり撮影対象領域Maの体軸Zの位置に合わせて行う必要があるが、第1実施例の装置の場合、撮影対象領域Maの位置は天板3の位置に対応しているので、撮影対象領域Maの先端・後端の両位置と天板3の位置の対応関係を予め求出して撮影制御部17に保持するとともに、撮影制御部17によって、天板3の現在位置と撮影対象領域Maの先端・後端の各位置との関係を監視しながら必要な指令信号をビーム照射角制御部24へ送出するよう構成されていて、照射角制御部24が適当なタイミングと速度とでモータ25を回転させるコントロールを行う。
【0043】
また、撮影対象領域Maの先端・後端の両位置と天板3の位置との対応関係を求出して保持させる構成としては、例えば、次のようなものが用いられる。すなわち、被検体Mを天板3に載せてから天板3を移動させて被検体MをガントリGに進ませ、被検体Mの撮影対象領域Maの先端・後端とする各位置へ順に投光器14の光を当てるとともにハンドスイッチ15を押すことにより、ハンドスイッチ15が押された時の天板3の各位置を、それぞれ撮影対象領域Maの先端・後端の各位置として撮影制御部17に取り込んで保持する構成を用いることができる。
【0044】
第1実施例のコーンビーム型X線CT装置の場合、撮影の開始に先立って設定される被検体Mの撮影対象領域Maは後端面と前端面とが被検体Mの体軸Zに対して直角の面である。したがって、以上のようにしてコーン状X線ビームCBのティルト角度θが制御される場合、撮影開始時には、図4(a)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの撮影対象領域Maの後端面と一致するので、X線ビーム全体が撮影対象領域Ma内に留まっている。また、図4(b)に示すように、撮影進行中、コーン状X線ビームCBの照射中心CNが被検体Mの体軸Zに対して直角に移行するまでの間は、コーン状X線ビームCBの後側が非撮影対象領域Mbの方へ向けて移動するけれども、撮影進行に伴ってコーン状X線ビームCB自体が撮影対象領域Maの前端側へ移動してゆくので、コーン状X線ビームCBの後側から非撮影対象領域Mbへはみ出す領域を低減させることになる。さらに、撮影終了時は、図4(c)に示すように、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの撮影対象領域Maの前端面と一致するので、やはりコーン状X線ビームCBの前側から非撮影対象領域Mbへはみ出す領域を低減させることになる。
【0045】
このように、第1実施例のコーンビーム型X線CT装置によれば、撮影中、非撮影対象領域Mbへの不必要なX線曝射は低減する。
また、第1実施例装置の場合、被検体Mは傾斜させず、ガントリGを傾斜させるだけでX線照射部1とX線検出器2とを傾斜させてコーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させられるので、傾斜姿勢を避けたい人体が被検体Mである医療用装置向きである。さらに、不必要なX線曝射の低減に伴って、X線管4を有効に利用することができて、処理能力(スループット)を高めることができるという効果もある。
【0046】
続いて、以上に述べた構成を有する第1実施例のコーンビーム型X線CT装置によるX線断層撮影の進行プロセスを、図面を参照しながら説明する。図5は第1実施例装置によるX線断層撮影の進行状況を示すフローチャートである。
【0047】
〔ステップS1〕被検体Mを天板3に載せた後、天板3を移動させて被検体MをガントリGの方へ進ませ、投光器14およびハンドスイッチ15を用いて被検体Mの撮影対象領域Maの先端・後端の各位置を天板3の位置と対応付けて撮影制御部17へ取り込む。
【0048】
〔ステップS2〕図4(a)に示すように、ガントリGを前倒しにするとともに天板3を移動させることにより、X線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとを撮影初期位置にセットしておいて、操作卓16の入力操作によりX線断層撮影を始める。
【0049】
〔ステップS3〕撮影開始時は、図4(a)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが、撮影対象領域Maの後端面と一致した状態(ティルト角度θ=θa)で撮影が行われる。
【0050】
〔ステップS4〕天板3の移動と連動してガントリGが前倒し姿勢から垂直姿勢に戻ってゆくに連れてコーン状X線ビームCBの照射中心CNが、図4(b)に示すように、被検体Mの体軸Zに対して直角となる状態(ティルト角度θ=0)へと移りながら撮影が進む。
【0051】
〔ステップS5〕ティルト角度θ=0となった後は、天板3の移動と連動してガントリGが後倒し姿勢を深めてゆくに連れて、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが、撮影対象領域Maの前端面と一致した状態(ティルト角度θ=θb)へと移りながら撮影が進む。
【0052】
〔ステップS6〕撮影終了時は、図4(c)に示すように、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが、撮影対象領域Maの前端面と一致した状態(ティルト角度θ=θb)で撮影が行われる。これで被検体MへのX線照射は終わり、随時、被検体Mは天板3より降ろされる。
【0053】
〔ステップS7〕撮影対象領域Maの撮影と平行して検出信号メモリ18へ記憶されたX線検出信号に基づき画像再構成部19により3次元画像再構成処理が行われるとともに、3次元画像再構成処理の結果に従って希望断面のX線CT像が作成されてCT像メモリ20へ記憶される。
【0054】
〔ステップS8〕CT像メモリ20に記憶されたX線CT像を表示モニタ21の画面に映し出して観察したり、あるいは、画像焼付け器22によりフィルムに焼き付けて画像写真として出力したりすれば、X線断層撮影は完全に終わることになる。
【0055】
次にこの発明の第2実施例を図面を参照しながら説明する。図6は第2実施例に係るコーンビーム型X線CT装置におけるコーン状X線ビームCBのティルト角度θの変化を示す模式図である。第2実施例に係るX線CT装置は、ガントリティルト部23の代わりに天板ティルト部28を備えていて、天板3ごと被検体Mを体軸Zの前後方向に傾けることによりコーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させられるよう構成されている他は、先の第1実施例と同一であるので、相違する点のみ説明し、共通する点についての説明は省略する。図6に示す第2実施例の場合、ティルト角度θは、コーン状X線ビームCBと直角になった基準状態(θ=0)の時の体軸Zと刻々の体軸Zのなす角度となっている。
【0056】
すなわち、第2実施例装置の天板ティルト部28は、図6に示すように、天板3の下側に配置されているとともに下向き円弧状面を有する揺動基台29と、ベースBbに配置されているとともに揺動基台29の円弧状面が乗っている回転ローラ30,30とを備え、回転ローラ30の回転により揺動基台29が被検体Mの体軸Zの前後方向に移動しながら徐々に持ち上げられるのに伴って天板3が被検体Mごと体軸Zの前後方向に少しずつ傾くことにより、撮影期間中、コーン状X線ビームCBのティルト角度θが角度θa〜角度θbの間で連続的に変化するよう構成されている。回転ローラ30のコントロールは勿論、ビーム照射角制御部24により行われる。
【0057】
したがって、以上のようにしてコーン状X線ビームCBのティルト角度θが制御される場合、撮影開始時には、図6(a)に示すように、天板3は前端側が持ち上がる向きに傾斜姿勢となって、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの撮影対象領域Maの後端面と一致し、図6(b)に示すように、撮影進行中、天板3が水平姿勢となってコーン状X線ビームCBの照射中心CNが被検体Mの体軸Zに対して直角に移行してから、図6(c)に示すように、撮影終了時は、天板3は後端側が持ち上がるように傾斜することにより、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの撮影対象領域Maの前端面と一致するので、先の第1実施例の場合と同様、やはりコーン状X線ビームCBが非撮影対象領域Mbへはみ出す領域を低減させることになる。
【0058】
第2実施例装置によれば、被検体Mを傾斜させてコーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させるので、被検体Mの傾斜姿勢が問題にならない産業用装置向きである。
【0059】
上述の第1および第2実施例のように、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mに対して相対的な回転を開始するとともに相対的な直進を開始する場合は、撮影進行に伴ってコーン状X線ビームCB自体が撮影対象領域Maの前端側へ移動してゆく。
【0060】
しかしながら、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zに対して回転する速度が速い場合や、天板3の直進する速度が遅い場合、X線照射部1およびX線検出器2が図7に示すような位置まで被検体Mの体軸Zに対して回転するとき(180°分だけ半回転するとき)には、すなわちX線照射部1が被検体Mよりも下でX線検出器2が被検体Mよりも上に位置するときには、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaについては被検体Mの体軸Zに対して斜め方向に入射して来るので、撮影進行に伴ってコーン状X線ビームCB自体が撮影対象領域Maの前端側へ移動していくにもかかわらず、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaから非撮影対象領域Mbへはみ出す領域を効果的に低減させるわけではない。
【0061】
同様に、撮影終了の直前にX線照射部1およびX線検出器2が図7に示すような位置まで回転するときにも、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbについては被検体Mの体軸Zに対して斜め方向に入射して来るので、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbから非撮影対象領域Mbへはみ出す領域を効果的に低減させるわけではない。
【0062】
さらに、螺旋スキャンのうち、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mに対して相対的な回転をしてから少なくとも半回転した後に被検体Mに対して直進を開始して、直進を終了した後に被検体Mに対して相対的な回転をしてから少なくとも半回転した後にスキャンを終了するといった、図8(a)または(b)に示すような曲線mを軌跡線とするシングルスキャン(円走査)を組み合わせた螺旋スキャンのとき、図7に示すような位置に来た場合、X線照射部1およびX線検出器2は被検体Mに対して直進をまだ開始していないので、コーン状X線ビームCBから非撮影対象領域Mbへのはみ出し領域はほとんど低減されない。
【0063】
したがって、上述のようなシングルスキャンを組み合わせた螺旋スキャンの場合において、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zに対して回転する速度が速いとき、または天板3の直進する速度が遅いとき、上記はみ出し領域は低減されない。
【0064】
そこで、第1および第2実施例より有用な実施例として、すなわち上述のようなX線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zに対して回転する速度が速い場合や、天板3の直進する速度が遅い場合はおろか、上述のようなシングルスキャンを組み合わせた螺旋スキャンの場合でも、コーン状X線ビームCB全体が常にかつ完全に撮影対象領域Ma内に留まり続けるような実施例として、下記の第3実施例が挙げられる。
【0065】
なお、下記の第3実施例および後述する第4実施例は、シングルスキャンを組み合わせた螺旋スキャンで撮影を行った場合についてである。
【0066】
次にこの発明の第3実施例を図面を参照しながら説明する。図9および図10は第3実施例に係るコーンビーム型X線CT装置におけるコーン状X線ビームCBのティルト角度θの変化を示す模式図である。なお、図9および図10は、ガントリGを傾斜させることによってティルト角度θを変化させるといった第1実施例に準じた場合についての模式図であるが、天板3を傾斜させるといった第2実施例に準じた場合についても、同様なのでその説明を省略する。
【0067】
X線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとの間の相対的な回転の開始時は、図9(a)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θa)となる。X線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転するとき、すなわち図7に示すような位置まで回転するときには、図9(b)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θb)となる。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が回転を開始してから180°分だけ半回転するまでは、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態となるように、ガントリGに対して図9(a)の角度から図9(b)の角度に緩やかに傾斜させる歳差運動が行われることになる。
【0068】
同様に、X線照射部1およびX線検出器2が1回転するときは、図9(a)に示すように、回転開始時と同じ位置に来る。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転してから1回転するまでは、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態となるように、ガントリGに対して図9(b)の角度から図9(a)の角度に緩やかに傾斜させる歳差運動が行われることになる。なお、このX線照射部1およびX線検出器2の回転がシングルスキャンに相当する。
【0069】
次に、X線照射部1およびX線検出器2の被検体Mに対する回転とともに、直進を開始する。図9(c)に示すように、続く相対的な直進中(天板3の移動中=撮影進行時)、コーン状X線ビームCBの照射中心CNが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=0)へ移行するとともに、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが撮影対象領域Maの前端面にまで直進すると(天板3の移動終了時)、図10(a)に示すように、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θb)となる。
【0070】
なお、直進期間中ずっとティルト角度θが変化し続けるように、ガントリGを図9(a)の角度(θ=θa)から図10(a)の角度(θ=θb)に緩やかに傾斜させる。もちろん、第1実施例でも述べたように、ビーム照射角制御部24は直進初期の一定期間の間にティルト角度θが角度θaから角度0に移行した後、ティルト角度θが角度0の状態を維持して撮影を続行し、直進終期の一定期間の間にティルト角度θが角度0から角度θbに移行するようにガントリGを制御させる構成であってもよい。
【0071】
直進終了後、図10(a)に示すようなX線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとの間の相対的な回転の開始時からX線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転するとき、すなわち図7に示すような位置まで回転するときには、図10(b)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θa)となる。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が回転を開始してから180°分だけ半回転するまでは、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態となるように、ガントリGに対して図10(a)の角度から図10(b)の角度に緩やかに傾斜させる歳差運動が行われることになる。
【0072】
同様に、X線照射部1およびX線検出器2がさらに1回転するときは、図10(a)に示すように、回転開始時と同じ位置に来る。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転してから1回転するまでは、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態となるように、ガントリGに対して図10(b)の角度から図10(a)の角度に緩やかに傾斜させる歳差運動が行われることになる。なお、このX線照射部1およびX線検出器2の回転が直進終了時でのシングルスキャンに相当する。
【0073】
つまり、ガントリGは、ビーム照射角制御部24(第3実施例の場合には、ガントリティルト部23)によって、直進開始前でのシングルスキャンのときは、図9(a)の角度(θ=θa)から図9(b)の角度(θ=θb)に一旦傾斜した後、図9(b)の角度(θ=θb)から図9(a)の角度(θ=θa)に傾斜する歳差運動を行う。そして、直進開始時から直進終了時の螺旋スキャンのときは、ガントリGは、図9(a)の角度(θ=θa)から図10の角度(θ=θb)に緩やかに傾斜する。さらに直進終了時でのシングルスキャンのときは、図10(a)の角度(θ=θb)から図10(b)の角度(θ=θa)に一旦傾斜した後、図10(b)の角度(θ=θa)から図10(a)の角度(θ=θb)に傾斜する歳差運動を行う。
【0074】
以上に詳述したように、第3実施例に係るコーンビーム型X線CT装置の場合、撮影開始直後及び撮影終了直前のX線照射部1およびX線検出器2が被検体Mに対し相対的に回転してから少なくとも1回転するまでの間、すなわちシングルスキャンの間、ビーム照射角制御部24(第3実施例の場合には、ガントリティルト部23)によって、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaおよび前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対してそれぞれ常に直角の状態となるので、コーン状X線ビームCB全体が非撮影対象領域Mbへはみ出すことはない。なお、第3実施例の場合、シングルスキャンは少なくとも1回転するまでの間であったが、少なくとも半回転するまでの間であってもよい。
【0075】
このように、第3実施例のコーンビーム型X線CT装置によれば、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zに対して回転する速度が速い場合や、天板3の直進する速度が遅い場合はおろか、シングルスキャンを組み合わせた螺旋スキャンの場合でも、撮影期間中、コーン状X線ビームCB全体が常に撮影対象領域Ma内に留まり続け、コーン状X線ビームCBが非撮影対象領域Mbへはみ出さないので、非撮影対象領域Mbへの不必要なX線曝射を防止することができる。
【0076】
上述の第3実施例の場合、螺旋スキャン中、ガントリGおよび天板3などは複雑な歳差運動でもって傾斜されて、CT撮影が行われる。また、第3実施例のような歳差運動をシングルスキャン中に行う場合には、ガントリティルト部23に対して、図1中のX軸,およびY軸を回転駆動させる機構がそれぞれ必要になり、上述のような歳差運動を行わせるべくX軸,およびY軸の機構をそれぞれ制御しなければいけないので、複雑になる。そこで、第3実施例より有用な実施例として、すなわちそれぞれの機構を制御しなくとも、簡易な歳差運動でもって傾斜することによって、CT撮影を行うような実施例として、下記の第4実施例が挙げられる。
【0077】
次にこの発明の第4実施例を図面を参照しながら説明する。図11は第4実施例に係るコーンビーム型X線CT装置を模式的に示す正面図と側面図とであり、図12は第4実施例に係るコーンビーム型X線CT装置におけるコーン状X線ビームCBのティルト角度θの変化を示す模式図である。
【0078】
先ず、第4実施例のコーンビーム型X線CT装置を特徴づける構成について、説明する。第4実施例装置は、図11(a)(の正面図)と図11(b)(の側面図)に示すように、回転リング9の内側にX線照射部1およびX線検出器2を一体的に動作させる回転フレームFを備えるとともに、コーン状X線ビームCBのティルト角度θを変化させるビーム照射角可変手段として、回転リング9と回転フレームFとをつなぐ傾斜回転軸31と、傾斜回転軸31を回転させる回転ギア32と、回転ギア32を回転させるピニオン33と、ピニオン33を回転させるモータ34とを備えている。
【0079】
上述の構成を備えることによって、以下の作用をもたらす。すなわち、モータ34が駆動することによってピニオン33が回転して、ピニオン33の回転に連動してピニオン33の回転とは逆方向に回転ギア32が回転する。そして、回転ギア32の回転によって、傾斜回転軸31は、図11(a)の矢印RDまたは矢印REの方向に回転する。傾斜回転軸31の回転によって、回転フレームFは体軸Zの前後方向に傾斜させられるのに従ってX線照射部1とX線検出器2と回転フレームFとが一体的に体軸Zの前後方向に傾斜させられて、さらにコーン状X線ビームCBのティルト角度θが変化するようになっている。
【0080】
すなわち、第1実施例でも述べたように、回転リング9が回転することによって、X線照射部1とX線検出器2とが被検体Mの体軸Zの周りを一体的に回転する。回転リング9と回転フレームFとは傾斜回転軸31によってつながれているので、回転リング9の回転と傾斜回転軸31の回転とによって、X線照射部1とX線検出器2とは被検体Mの体軸Zの周りを回転しながら、体軸Zの前後方向に傾斜させられることになる。もちろん、体軸Zの周りの回転を止めてX線照射部1とX線検出器2とを体軸Zの前後方向に傾斜させたり、体軸Zの前後方向の傾斜を止めてX線照射部1とX線検出器2とを体軸Zの周りの回転をさせることも可能である。
【0081】
詳述すると、図11(a)の矢印RDの方向に傾斜回転軸31が回転すると、図11(c)(の側面図)の矢印RDの方向にX線照射部1とX線検出器2と回転フレームFとが一体的に傾斜させられる。同様に、図11(a)の矢印REの方向に傾斜回転軸31が回転すると、図11(c)の矢印REの方向にX線照射部1とX線検出器2と回転フレームFとが一体的に傾斜させられる。
【0082】
以上より、第1および第3実施例の場合はガントリGの傾斜によってX線照射部1とX線検出器2とを一体的に体軸Zの前後方向に傾斜させたが、第4実施例の場合はガントリGを傾斜させずに回転フレームFの傾斜によってX線照射部1とX線検出器2とを一体的に体軸Zの前後方向に傾斜させることになる。
【0083】
続いて、コーン状X線ビームCBのティルト角度θの変化について説明する。X線照射部1およびX線検出器2と被検体Mとの間の相対的な回転の開始時は、図12(a)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θa)となるように傾斜回転軸31を回転することによって、回転フレームFが傾斜させられる。そして傾斜回転軸31の回転を止めた状態で回転フレームFを体軸Zの周りに少なくとも1回転させると、開始時と同じティルト角度θを保ったまま、回転フレームF、X線照射部1、およびX線検出器2は体軸Zの周りを一体的に回転する。
【0084】
上述の1回転の間、X線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転するとき、回転フレームFは開始時と同じティルト角度θを保ったまま回転するので、側面視すると見かけ上は逆向けのティルト角度θ、すなわちティルト角度θ=θbとなり、図10(b)に示すように、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態(θ=θb)となる。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が回転を開始してから180°分だけ半回転するまでの間も、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態に、すなわち開始時と同じティルト角度θの状態に保たれつつ、側面視すると見かけ上は回転フレームFは体軸Zの前後方向に傾斜される。コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態に保たれるので、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが撮影対象領域Maの後端面と一致する。なお、この(回転フレームFと)X線照射部1とX線検出器2との回転がシングルスキャンに相当する。
【0085】
同様に、X線照射部1およびX線検出器2が1回転するときは、図10(a)に示すように、回転開始時と同じ位置に来る。もちろん、X線照射部1およびX線検出器2が180°分だけ半回転してから1回転するまでは、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態(開始時と同じティルト角度θの状態)に保たれつつ、側面視すると見かけ上は回転フレームFは体軸Zの前後方向に傾斜される。
【0086】
次に、X線照射部1およびX線検出器2の被検体Mに対する回転とともに、直進を開始する。このとき傾斜回転軸31の回転も同時に開始する。そして直進期間中、回転フレームFの角度(θ=θa)から角度(θ=0)に、さらに角度(θ=0)から角度(θ=θb)に緩やかに傾斜させて、直進終了時(コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが撮影対象領域Maの前端面にまで直進するとき)には回転フレームFの角度は角度(θ=θb)になっている。なお、この段落での回転フレームFの角度は、X線照射部1が被検体Mよりも上でX線検出器2被検体Mよりも下に位置するときのティルト角度である。
【0087】
直進終了後は、直進開始時と同様に傾斜回転軸31の回転を止めたまま回転フレームFを体軸Zの周りに少なくとも1回転させる。もちろん、上述の1回転の間、直進開始時と同様にコーン状X線ビームCBの前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態(開始時と同じティルト角度θの状態)に保たれるので、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが撮影対象領域Maの前端面と一致する。なお、このX線照射部1およびX線検出器2の回転が直進終了時でのシングルスキャンに相当する。
【0088】
つまり、直進開始前でのシングルスキャンのときは、傾斜回転軸31の回転を止めたまま回転フレームFを回転させることによって、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaが撮影対象領域Maの後端面と一致する。そして、直進開始時から直進終了時の螺旋スキャンのときは、回転フレームFは角度(θ=θa)から角度(θ=θb)に緩やかに傾斜する。さらに直進終了時でのシングルスキャンのときは、傾斜回転軸31の回転を止めたまま回転フレームFを回転させることによって、コーン状X線ビームCBの前側側面CBbが撮影対象領域Maの前端面と一致する。
【0089】
以上に詳述したように、第4実施例に係るコーンビーム型X線CT装置の場合、傾斜回転軸31の回転と回転リング9の回転とにより、回転フレームFが体軸Zの前後方向に傾斜させられるのに従ってX線照射部1とX線検出器2と回転フレームFとが一体的に体軸Zの前後方向に傾斜させられる。また直進開始時および直終了時は、それぞれコーン状X線ビームCBの後側側面CBaおよび前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して直角の状態となっている。また直進開始時および直終了時は、傾斜回転軸31の回転を止めているので、撮影開始直後及び撮影終了直前のX線照射部1とX線検出器2が被検体Mに対し相対的に回転をしている間、すなわちシングルスキャンのときは、コーン状X線ビームCBの後側側面CBaおよび前側側面CBbが被検体Mの体軸Zに対して常に直角の状態となる。したがって、撮影期間中、コーン状X線ビームCB全体が撮影対象領域Maに留まりつづけ、コーン状X線ビームCBが非撮影対象領域Mbへはみ出さないので、非撮影対象領域Mbへの不必要なX線曝射を防止できる。
【0090】
また、第3実施例では直進開始および直進終了時のシングルスキャンのときは、ガントリGは傾斜されているが、第4実施例では直進開始および直進終了時のシングルスキャンのときは、わざわざ傾斜回転軸31を回転させなくとも予め傾斜回転軸31を傾けたまま状態にするだけで回転フレームFは同じティルト角度θを保ったまま、側面視では体軸Zの前後方向に傾斜させられる。したがって、第4実施例は、簡易な歳差運動でもって傾斜することに関して、第3実施例より有用な実施例である。また、X軸,およびY軸の機構をそれぞれ制御しなくとも、回転リング9と傾斜回転軸31との機構の制御、すなわちモータ6とモータ34との制御だけで歳差運動を行わせることができる。
【0091】
この発明は、上記実施の形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
(1)実施例の場合、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zのまわりを回転すると同時に被検体Mが体軸Zの方向に直進することにより、螺旋スキャンが行われると同時に、X線照射部1およびX線検出器2が体軸Zの前後方向に傾斜することにより、コーン状X線ビームCBのティルト角度θが変化する構成であった。
しかし、図13に示すように、被検体Mは不動のままでX線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zのまわりを回転しながら同時に被検体Mの体軸Zの方向に直進することにより、螺旋スキャンが行われると同時にX線照射部1およびX線検出器2が体軸Zの前後方向に傾斜することにより、ティルト角度θが変化する構成の装置、あるいは、図14に示すように、被検体Mが体軸Zを回転軸として回転しながら体軸Zの方向に直進することにより、螺旋スキャンが行われると同時に、X線照射部1およびX線検出器2が体軸Zの前後方向に傾斜することにより、ティルト角度θが変化する構成の装置が、それぞれ変形例として挙げられる。
【0092】
また、図15に示すように、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zのまわりを回転しながら同時に被検体Mの体軸Zの方向に直進することにより、螺旋スキャンが行われると同時に、被検体Mが体軸Zの前後方向に傾斜することによりティルト角度θが変化する構成の装置、あるいは、図16に示すように、X線照射部1およびX線検出器2は完全に不動のままで被検体Mが体軸Zを回転軸として回転しながら同時に体軸Zの方向に直進することにより、螺旋スキャンが行われるのに加え、被検体Mが体軸Zの前後方向に傾斜することによりティルト角度θが変化する構成の装置が、それぞれ変形例として挙げられる。
【0093】
(2)実施例の場合、X線照射部1およびX線検出器2が体軸Zの前後方向に傾斜することにより、コーン状X線ビームCBのティルト角度θが変化する構成であった。
しかし、X線照射部1またはX線検出器2を固定しておいて、他方を体軸Zの前後方向に動かすことによりティルト角度θが変化する構成の装置や、X線照射部1およびX線検出器2を互いに体軸Zの前後方向に逆方向の関係に動かすことによりティルト角度θが変化する構成の装置などが、それぞれ変形例として挙げられる。
【0094】
(3)実施例の場合、X線検出器がI・I管を用いた構成であったが、2次元に広がるX線検出面には半導体X線検出素子が縦横にアレイ配列された所謂フラットパネル型X線センサをX線検出器に用いた構成の装置が、変形例として挙げられる。フラットパネル型X線センサは薄型・軽量であるから、X線検出器を回転させる構成には特に好適である。
【0095】
(4)実施例の場合は螺旋スキャンが行われる構成であったが、X線照射部1およびX線検出器2が被検体Mの体軸Zのまわりを1回転する間は被検体Mが停止しており、X線照射部1およびX線検出器2の1回転が終わって停止してから、被検体Mが体軸Zの方向に所定距離だけ直進し、X線照射部1およびX線検出器2の回転と被検体Mが体軸Zの方向の直進が交互に行われるよう構成された非螺旋スキャン式の装置も、変形例として挙げられる。
【0096】
(5)実施例の場合は放射線がX線であったが、この発明の場合、放射線はX線に限られることはなく、放射性同位元素やライナックやその他の短波長電磁波など被検体の透過が可能な放射線であれば何でも用いることができる。
【0097】
【発明の効果】
以上に詳述したように、請求項1の発明のコーンビーム型放射線CT装置によれば、撮影開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して直角となって撮影対象領域の後端面に一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域に留まり、撮影進行中、コーン状放射線ビームの照射中心が被検体の体軸に対して直角に移行するまでの間は、コーン状放射線ビーム自体が直進の進行に伴って撮影対象領域の前端側に移動して放射線ビーム全体が撮影対象領域に留まり、また撮影終了時はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対して直角になって撮影対象領域の前端面と一致して放射線ビーム全体が撮影対象領域に留まるようコーン状放射線ビームのティルト角度が撮影の進行と連動して変化させられる構成を備えており、放射線断層撮影中、コーン状放射線ビームから非撮影対象領域へのはみ出し領域が従来と比べて少ないので、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射を低減することができる。さらに、不必要な放射線曝射の低減に伴って、処理能力(スループット)を高めることができるという効果もある。
【0098】
また、請求項2のコーンビーム型放射線CT装置によれば、ビーム照射角可変手段により、放射線照射手段と放射線検出手段とが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられてコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する構成を備えており、被検体を傾斜させずにティルト角度を変化させられるので、撮影実行中でも傾斜姿勢をなるべく避けたい人体が被検体となる医療用として好適である。
【0099】
また、請求項3のコーンビーム型放射線CT装置によれば、ビーム照射角可変手段により、被検体が体軸の前後方向に傾斜させられてコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する構成を備えており、被検体を傾斜させてティルト角度を変化させられるので、撮影実行中に傾斜姿勢をとらせることが問題にならない人体以外の物体が被検体となる産業用として好適である。
【0100】
また、請求項4のコーンビーム型放射線CT装置によれば、ビーム照射角可変手段により、ガントリが体軸の前後方向に傾斜させられるのに従って放射線照射手段と放射線検出手段とが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられて、さらにコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する構成を備えており、被検体を傾斜させずにガントリを傾斜させるだけでティルト角度を変化させられるので、撮影実行中でも傾斜姿勢をなるべく避けたい人体が被検体となる医療用として好適である。
【0101】
また、請求項5のコーンビーム型放射線CT装置によれば、ビーム照射角可変手段により、回転フレームが体軸の前後方向に傾斜させられるのに従って放射線照射手段と放射線検出手段と回転フレームとが一体的に体軸の前後方向に傾斜させられて、さらにコーン状放射線ビームのティルト角度が変化する構成を備えており、被検体を傾斜させずに回転フレームを傾斜させるだけでティルト角度を変化させられるので、撮影実行中でも傾斜姿勢をなるべく避けたい人体が被検体となる医療用として好適である。また、撮影開始直後及び撮影終了直前の放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転をしている間、コーン状放射線ビームの後側側面及び前側側面が被検体の体軸に対してそれぞれ常に直角の状態となる。したがって、放射線断層撮影中、放射線ビーム全体が撮影対象領域内に留まり続け、コーン状放射線ビームが非撮影対象領域へはみ出さないので、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射を防止できる。
【0102】
また、請求項6の発明のコーンビーム型放射線CT装置によれば、撮影開始直後及び撮影終了直前の放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転してから少なくとも半回転するまでの間、ビーム照射角可変手段によってコーン状放射線ビームの後側側面及び前側側面が被検体の体軸に対してそれぞれ常に直角の状態となる。したがって、放射線断層撮影中、コーン状放射線ビーム全体が常に撮影対象領域内に留まり続け、コーン状放射線ビームが非撮影対象領域へはみ出さないので、非撮影対象領域への不必要な放射線曝射を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施例のコーンビーム型X線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施例装置で使われるコーン状X線ビームを模式的に示す斜視図である。
【図3】第1実施例装置による螺旋スキャンの実行状況を示す模式図である。
【図4】第1実施例装置におけるコーン状X線ビームのティルト角度の変化を示す模式図である。
【図5】第1実施例装置によるX線断層撮影の進行状況を示すフローチャートである。
【図6】第2実施例装置におけるコーン状X線ビームのティルト角度の変化を示す模式図である。
【図7】X線照射部およびX線検出器が被検体の体軸に対して180°分だけ半回転したときの被検体に対するコーン状X線ビームの照射の一例を示す模式図である。
【図8】第3および第4実施例装置によるシングルスキャンを組み合わせた螺旋スキャンの実行状況を示す模式図である。
【図9】第3実施例装置におけるコーン状X線ビームのティルト角度の変化を示す模式図である。
【図10】第3実施例装置におけるコーン状X線ビームのティルト角度の変化を示す模式図である。
【図11】第4実施例装置のコーンビーム型X線CT装置を模式的に示す正面図と側面図とである。
【図12】第4実施例装置における直進開始前のコーン状X線ビームのティルト角度の変化を示す模式図である。
【図13】変形例での螺旋スキャンとティルト角度変化の状況を示す模式図である。
【図14】他の変形例での螺旋スキャンとティルト角度変化の状況を示す模式図である。
【図15】他の変形例での螺旋スキャンとティルト角度変化の状況を示す模式図である。
【図16】他の変形例での螺旋スキャンとティルト角度変化の状況を示す模式図である。
【図17】従来装置によるX線断層撮影の実行状況を示す模式図である。
【図18】従来装置のコーン状X線ビームの照射検出状況を模式的に示す斜視図である。
【図19】従来装置での撮影対象領域の先端側の撮影状況を示す模式図である。
【図20】従来装置での撮影対象領域の後端側の撮影状況を示す模式図である。
【符号の説明】
1 …X線照射部
2 …X線検出器
3 …天板
4 …X線管
5 …コリメータ
10 …回転駆動部
11 …照射制御部
13 …天板駆動部
17 …撮影制御部
19 …画像再構成部
23 …ガントリティルト部
24 …ビーム照射角制御部
28 …天板ティルト部
M …被検体
Ma …撮影対象領域
Mb …非撮影対象領域
CB …コーン状X線ビーム
CBa …後側側面
CBb …前側側面
CN …照射中心
G …ガントリ
F …回転フレーム
Z …体軸
θ …ティルト角度
Claims (6)
- コーン状放射線ビームを被検体に照射する放射線照射手段と、2次元に広がる放射線検出面を有する放射線検出手段とが、被検体を挟んで被検体の体軸回りの向きへは被検体に対し相対的に回転し、被検体の体軸方向へは被検体に対し相対的に直進するよう構成されているとともに、コーン状放射線ビームの照射に伴って放射線検出手段からCT像再構成用の放射線検出信号が出力されるよう構成されたコーンビーム型放射線CT装置において、被検体の体軸の前後方向に対するコーン状放射線ビームの傾き角度(ティルト角度)を相対的に変化させるビーム照射角可変手段と、放射線照射手段および放射線検出手段と被検体との間の相対的な直進の開始時はコーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して直角の状態となり、相対的な直進に伴ってコーン状放射線ビームの照射中心が被検体の体軸に対して直角の状態へ移行するとともに、相対的な直進の終了時はコーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対し直角の状態となるようビーム照射角可変手段を相対的な直進と連動して制御しティルト角度を変化させるビーム照射角制御手段とを備えていることを特徴とするコーンビーム型放射線CT装置。
- 請求項1に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させることによりティルト角度を変化させる構成となっているコーンビーム型放射線CT装置。
- 請求項1に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、被検体を体軸の前後方向に傾斜させることによりティルト角度を変化させる構成となっているコーンビーム型放射線CT装置。
- 請求項1または請求項2に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段と放射線検出手段との外側でこれらを保持するガントリを体軸の前後方向に傾斜させることにより放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させてティルト角度を変化させる構成となっているコーンビーム型放射線CT装置。
- 請求項1または請求項2に記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角可変手段は、放射線照射手段および放射線検出手段を一体的に動作させる回転フレームを体軸の前後方向に傾斜させることにより放射線照射手段と放射線検出手段とを一体的に体軸の前後方向に傾斜させてティルト角度を変化させる構成となっているコーンビーム型放射線CT装置。
- 請求項1から請求項5のいずれかに記載のコーンビーム型放射線CT装置において、ビーム照射角制御手段は次の順序、すなわち(1)放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転を開始してから少なくとも半回転するまでは、コーン状放射線ビームの後側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となるようにビーム照射角可変手段を制御して、(2)放射線照射手段および放射線検出手段と被検体との間の相対的な直進を開始して、(3)被検体の体軸に対する移行を行い、(4)相対的な直進を終了して、(5)放射線照射手段および放射線検出手段が被検体に対し相対的に回転してから少なくとも半回転するまでは、コーン状放射線ビームの前側側面が被検体の体軸に対して常に直角の状態となるようにビーム照射角可変手段を制御する、を順に制御することによって一連の動作を終了することを特徴とするコーンビーム型放射線CT装置。
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