JP4405785B2 - ポリエステル系樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル系樹脂組成物及び樹脂シートに関する。さらに詳しくは、本発明は、押出し加工時には厚みむら及び寸法ぶれがなく、カレンダー加工時には金属ロール剥離性が良好であり、透明性に優れたポリエステル系樹脂組成物及びポリエステル系樹脂シートに関する。
一般にポリエステル系樹脂は、加熱溶融粘度が低いために、押出し加工時に吐出むらによる厚み及び寸法の変動が起こる。特に、固有粘度が低い樹脂を使用したり、あるいは、リサイクル品、再生品の混入比率が高いと、粘度低下が著しく、場合によっては材料が押出しされなくなってしまう。
カレンダー加工時においては、粘度が低いために、カレダーロールからの剥離不良が生じる。また、混練時に十分にシェアーが効かず、材料に包含された空気が完全に抜けきらずに、エアマークを生じる場合がある。特に、可塑剤を添加したときにその傾向が強い。
このような障害を克服して、良好な品質の非晶性ポリエステル系樹脂シートを得るために、さまざまな試みがなされている。例えば、金属ロールからのシートの剥離性がよく、表面平滑性に優れたシート状物を、カレンダー加工法により得ることができる非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物として、非晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対し、重量平均分子量5〜600万のアクリル酸系樹脂0.1〜15重量部と、四フッ化エチレン変性アクリル酸系樹脂0.05〜2重量部の一方又は両方を配合してなる組成物が提案されている(特許文献1)。また、薄い広幅のシートを高温の金属ロールから剥離できるポリエステル系樹脂組成物として、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合非晶質ポリエステル系樹脂100重量部に対し、ジエンゴム系又はオレフィンゴム系からなる改質剤1〜17重量部及び滑剤1〜3重量部を含んでなるポリエステル系樹脂組成物が提案されている(特許文献2)。塩化ビニル樹脂製の木口材と同等の加工性を有し、低温環境で加工した場合でも、割れや欠けの発生のないポリエステル樹脂系木口材として、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合非晶質ポリエステル樹脂100重量部に対して、アクリルゴム系改質剤、アクリルシリコンゴム系改質剤、ジエンゴム系改質剤又はオレフィンゴム系改質剤1〜25重量部を配合した着色ポリエステル樹脂系シートの表面側に、2液硬化型ウレタン樹脂塗料を塗布してなるポリエステル樹脂系木口材が提案されている(特許文献3)。また、塩化ビニル樹脂製表面化粧材と同等の二次加工性を有し、エンボス耐熱性に優れたポリエステル樹脂系表面化粧材として、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合非晶質ポリエステル樹脂100重量部に対して、アクリルシリコンゴム系改質剤4〜30重量部を配合して成形した厚み0.05〜0.3mmの着色シートの表面に、2液硬化型ウレタン樹脂透明塗料を塗布し、塗膜層を形成してなるポリエステル樹脂系表面化粧材が提案されている(特許文献4)。さらに、薄い広幅のシートを高温の金属ロールから剥離できる溶融張力が付与されたポリエステル系樹脂組成物として、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合非晶質ポリエステル樹脂100重量部に対して、アクリルゴム系改質剤1〜17重量部及び滑剤1〜3重量部を含んでなるポリエステル系樹脂組成物が提案されている(特許文献5)。
しかしながら、これらの樹脂シートは、いずれも透明性が著しく劣るという問題を有している。
特開2000−136294号公報(第2頁) 特開2001−279068号公報(第2頁) 特開2001−334624号公報(第2頁) 特開2001−341261号公報(第2頁) 特開2001−214044号公報(第2頁)
本発明は、押出し加工時には、厚みむら及び寸法ぶれがなく、カレンダー加工時には、金属ロール剥離性が良好であり、透明性に優れたポリエステル系樹脂組成物及び樹脂シートを提供することを目的としてなされたものである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、樹脂成分として、(A)非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなる非晶性ポリエステル系樹脂組成物が、押出し加工時には、厚みむら及び寸法ぶれがなく、カレンダー加工時には、金属ロール剥離性が良好であり、得られるシートは、透明性に優れることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(A)非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
(2)(A)非晶性ポリエステル系樹脂40〜99重量%と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜60重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
(3)(A)非晶性ポリエステル系樹脂60〜99重量%と(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
(4)(A)非晶性ポリエステル系樹脂24〜98重量%、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜59重量%及び(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
(5)(A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−1)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60モル%以上90モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール10モル%以上40モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である第1項、第2項、第3項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート
(6)(A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−2)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール10モル%以上60モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール40モル%以上90モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である第1項、第2項、第3項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート
(7)(A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−3)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60〜90モル%とネオペンチルグリコール又はネオペンチルグリコールとジエチレングリコール10〜40モル%であるネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である第1項、第2項、第3項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート
(8)(B)重量平均分子量100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体が、スチレン単位が30〜85モル%の共重合体である第1項、第2項、第3項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート及び、
(9)樹脂成分100重量部に対して、(F)無機充填剤1〜50重量部が配合されてなる第1項ないし第8項のいずれかに記載のポリエステル系樹脂シート
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
10)(C)ポリブチレンフタレート系樹脂が、(c−1)ポリテトラメチレングリコールを共重合成分として10〜30重量%含むポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂である第2項又は第4項記載ポリエステル系樹脂シート
11)(C)ポリブチレンフタレート系樹脂が、(c−2)ジカルボン酸成分がテレフタル酸70〜95モル%とイソフタル酸5〜30モル%であり、グリコール成分が1,4−ブタンジオールであるイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂である第2項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート、及び、
12)(C)ポリブチレンフタレート系樹脂が、(c−3)ポリブチレンテレフタレート樹脂である第2項又は第4項記載のポリエステル系樹脂シート
を挙げることができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部が配合され、押出し加工時には厚みむら及び寸法ぶれがなく、カレンダー加工時には金属ロールからの剥離性に優れ、該樹脂組成物から得られる樹脂シートは、透明性に優れている。
本発明のポリエステル系樹脂組成物の第一の態様は、(A)非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物の第二の態様は、(A)非晶性ポリエステル系樹脂40〜99重量%と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜60重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物の第三の態様は、(A)非晶性ポリエステル系樹脂60〜99重量%と(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/エチレン−プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物の第四の態様は、(A)非晶性ポリエステル系樹脂24〜98重量%、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜59重量%及び(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/エチレン−プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物である。
本発明に用いる(A)非晶性ポリエステル系樹脂に特に制限はないが、(a−1)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60モル%以上90モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール10モル%以上40モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンフタレート系樹脂、(a−2)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール10モル%以上60%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール40モル%以上90モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、及び、(a−3)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60〜90モル%とネオペンチルグリコール又はネオペンチルグリコールとジエチレングリコール10〜40モル%であるネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を好適に用いることができる。(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることにより、製膜加工性を向上させることができる。(a−2)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることにより、樹脂シートの耐熱性を向上させることができる。また、(a−3)ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用いることにより、樹脂シートの金属板への熱ラミネート性を向上させることができる。
本発明組成物の第一の態様においては、非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部を配合する。
本発明組成物の第二の態様においては、(A)非晶性ポリエステル系樹脂40〜99重量%と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜60重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部を配合する。
本発明組成物の第三の態様においては、(A)非晶性ポリエステル系樹脂60〜99重量%と(D)エラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部を配合する。
本発明組成物の第四の態様においては、(A)非晶性ポリエステル系樹脂24〜98重量%、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜59重量%及び(D)エラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部、より好ましくは1〜10重量部、さらに好ましくは2〜5重量部を配合する。
配合する(B)アクリロニトリル−スチレン系共重合体の重量平均分子量は、300万以上であることがより好ましく、500万以上であることがさらに好ましい。重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体を配合することにより、溶融樹脂の粘度が上昇して押出機又はカレンダー加工機を用いて製膜する際の加工性が改良される。重量平均分子量100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体の配合量が、非晶性ポリエステル系樹脂又は非晶性ポリエステル系樹脂混合物100重量部に対して0.5重量部未満であると、製膜加工性の改良効果が十分に発現せず、押出し加工時にはTダイシートの厚みぶれが大きくなり、また、カレンダー加工時にはカレンダーロール剥離性が悪くなり、安定した製膜が困難となるおそれがある。重量平均分子量100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体の配合量が、非晶性ポリエステル系樹脂又は非晶性ポリエステル系樹脂混合物100重量部に対して15重量部を超えると、樹脂シートの透明性が損われるのみならず、カレンダー加工時に、樹脂の溶融不良が起こり、樹脂シートの外観が悪くなって、安定した製膜が困難となるおそれがある。
本発明組成物に用いる(B)アクリロニトリル−スチレン系共重合体は、スチレン単位が30〜85モル%の共重合体であることが好ましく、アクリルニトリル単位とスチレン単位の合計が70モル%以上の共重合体であることが好ましい。スチレン単位の含有量が30モル%未満であると、ポリエステル系樹脂シートの透明性が損われるおそれがある。スチレン単位の含有量が85モル%を超えると、製膜安定性が低下するおそれがある。アクリロニトリル−スチレン系共重合体は、屈折率が1.54〜1.59であることが好ましい。アクリロニトリル−スチレン系共重合体の屈折率が1.54未満であっても、1.59を超えても、ポリエステル系樹脂シートの透明性が損われるおそれがある。
本発明組成物の第二の態様において、(A)非晶性ポリエステル系樹脂と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂からなる混合物中の(A)非晶性ポリエステル系樹脂の含有量は、40〜99重量%であり、より好ましくは75〜96重量%である。非晶性ポリエステル系樹脂の含有量が該混合物中40重量%未満であると、厚み精度と透明性が不良になるおそれがある。非晶性ポリエステル系樹脂の含有量が該混合物中99重量%を超えると、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂を含有させることによる耐薬品性と耐溶剤性を向上させる効果が十分に発現しなくなるおそれがある。
本発明組成物の第三の態様又は第四の態様において、(A)非晶性ポリエステル系樹脂と(D)エラストマーとの混合物中、又は、(A)非晶性ポリエステル系樹脂、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂及び(D)エラストマー混合物中の(D)エラストマーの含有量は1〜40重量%であり、より好ましくは2〜20重量%である。ポリエステル系樹脂組成物にエラストマーを含有させることにより、樹脂シートの低温特性を向上し、低温時における割れの発生を防止することができる。エラストマーの含有量が上記の混合物中1重量%未満であると、低温特性向上の効果が十分に発現しないおそれがある。エラストマーの含有量が上記の混合物中40重量%を超えると、樹脂シートの耐熱性が低下するおそれがある。
本発明組成物の第三の態様又は第四の態様において用いる(D)エラストマーは、メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/エチレン−プロピレンゴムグラフト共重合体、アクリロニトリル−スチレン/アクリル酸エステルグラフト共重合体、メタクリル酸エステル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマーである。これらの中で、熱可塑性ポリエステルエラストマーは、(A)非晶性ポリエステル系樹脂及び(C)ポリブチレンフタレート系樹脂との相溶性が良好なので、特に好適に用いることができる。
本発明組成物の第二の態様において、(A)非晶性ポリエステル系樹脂と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂からなる混合物中の(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は1〜60重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。(C)ポリブチレンフタレート系樹脂を含有させることにより、耐薬品性と耐溶剤性を向上させることができる。(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が1重量%未満であると、耐薬品性と耐溶剤性の向上効果が十分に発現しないおそれがある。(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が60重量%を超えると、アクリロニトリル−スチレン系樹脂の加工性改良効果が十分に発現せず、製膜加工性が低下するおそれがある。
本発明組成物の第四の態様において、(A)非晶性ポリエステル系樹脂、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂及び(D)エラストマーからなる混合物中の(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量は1〜59重量%であり、より好ましくは5〜20重量%である。(C)ポリブチレンフタレート系樹脂を含有させることにより、耐薬品性と耐溶剤性を向上させることができる。(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が1重量%未満であると、耐薬品性と耐溶剤性の向上効果が十分に発現しないおそれがある。(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂の含有量が59重量%を超えると、アクリロニトリル−スチレン系樹脂の加工性改良効果が十分に発現せず、製膜加工性が低下するおそれがある。
本発明組成物において、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂に特に制限はなく、例えば、(c−1)ポリテトラメチレングリコールを共重合成分として10〜30重量%含むポリテトラメチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(c−2)ジカルボン酸成分がテレフタル酸70〜95モル%とイソフタル酸5〜30モル%であり、グリコール成分が1,4−ブタンジオールであるイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂、(c−3)ポリブチレンテレフタレート樹脂などを挙げることができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物には、(E)滑剤を配合することができる。滑剤を配合することにより、カレンダー加工時の金属ロールからの剥離安定性を向上させることができる。(E)滑剤の配合量は、ポリエステル系樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、0.2〜10重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。本発明において、ポリエステル系樹脂組成物の樹脂成分とは、(A)非晶性ポリエステル系樹脂、(B)重量平均分子量が100万以上のアクリロニトリル−スチレン系共重合体、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂及び(D)エラストマーの合計量である。滑剤の配合量が樹脂成分100重量部に対して0.2重量部未満であると、カレンダーロール剥離安定性が十分ではなく、外観の良好な樹脂シートが得られないおそれがある。滑剤の配合量が樹脂成分100重量部に対して10重量部を超えると、滑性が過剰になり、樹脂シートが外観不良になるのみならず、樹脂シート表面へのブリード現象により、印刷適性が阻害されるおそれがある。
本発明組成物に用いる滑剤に特に制限はなく、例えば、低分子量ポリエチレン、パラフィンなどの炭化水素系滑剤、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、複合型ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸系滑剤、脂肪族アルコール系滑剤、ステアロアミド、オキシステアロアミド、オレイルアミド、エルシルアミド、リシノールアミド、ベヘンアミド、メチロールアミド、メチレンビスステアロアミド、メチレンビスステアロベヘンアミド、高級脂肪酸のビスアミド酸、複合型アミドなどの脂肪族アマイド系滑剤、ステアリン酸−n−ブチル、ヒドロキシステアリン酸メチル、多価アルコール脂肪酸エステル、飽和脂肪酸エステル、エステル系ワックスなどの脂肪族エステル系滑剤、脂肪酸金属石鹸系族滑剤などを挙げることができる。これらの中で、炭化水素系滑剤及び脂肪族エステル系滑剤を好適に用いることができ、脂肪族エステル系滑剤を特に好適に用いることができる。
本発明のポリエステル系樹脂組成物には、(F)無機充填剤を配合することができる。(F)無機充填剤の配合量は、樹脂成分100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、5〜30重量部であることがより好ましい。無機充填剤を配合することにより、樹脂シートの艶消し効果、粘度上昇によりドローダウンが減少する加工性改良効果などが発現する。無機充填材の配合量が樹脂成分100重量部に対して1重量部未満であると、樹脂シートの艶消し効果、粘度上昇による加工性改良効果などの発現が不十分となるおそれがある。無機充填剤の配合量が樹脂成分100重量部に対して50重量部を超えると、カレンダーの加工性が悪くなり、外観が良好な樹脂シートが得られないおそれがある。
本発明組成物に用いる無機充填剤に特に制限はなく、例えば、タルク、炭酸カルシウム、クレー、カーボンブラック、水酸化マグネシウム、マイカ、硫酸バリウム、天然ケイ酸、合成ケイ酸、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などを挙げることができる。これらの中で、タルク、炭酸カルシウム及び酸化チタンを特に好適に用いることができる。
本発明のポリエステル系樹脂シートの第一の態様は、本発明組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなるポリエステル系樹脂シートである。本発明のポリエステル系樹脂シートの第二の態様は、本発明組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなるポリエステル系樹脂シートである。
本発明に用いる押出機に特に制限はなく、例えば、単軸押出機、同方向回転二軸押出機、異方向回転二軸押出機などを挙げることができる。使用するTダイに特に制限はなく、例えば、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを挙げることができる。使用するカレンダー加工機に特に制限はなく、例えば、直立型3本ロール、直立型4本ロール、L型4本ロール、逆L型4本ロール、Z型ロールなどを挙げることができる。
本発明の樹脂シートには、必要に応じて、エンボス加工を施すことができる。エンボス加工の方法に特に制限はなく、例えば、オンラインで製膜と同時にエンボス加工することができ、あるいは、オフラインでドラム加熱型エンボッサー、マルチシリンダー型エンボッサーなどを用いてエンボス加工することもできる。
本発明の樹脂シートは、表面にウレタン系トップコート又は紫外線硬化型トップコートを施すことができる。トップコートを施すことにより、樹脂シートの耐擦傷性を向上し、表面に傷のつきにくい優れた樹脂シートを得ることができる。ウレタン系トップコートは、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分からなる二液型ポリウレタンを塗布して硬化させることにより、形成することができる。紫外線硬化型トップコートは、コート層の紫外線硬化波長とは異なる波長帯の特性吸収波長を有し、材料劣化を引き起こす特定の紫外線を吸収する紫外線吸収剤と光安定剤を含む材料を化粧フィルムに塗布して、紫外線硬化することにより形成することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例において、アクリロニトリル−スチレン系共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ[東ソー(株)、HLC−8020]、カラム[東ソー(株)、TSKgel、GMH−XL]、ガードカラム[東ソー(株)、TSKguardcolumn、HXL−H]及びRI検出器を用い、カラムオーブン温度40℃で、10mg/mLテトラヒドロフラン溶液を流量1mL/minで通液して測定し、ポリスチレン標準試料換算の分子量として求めた。
また、実施例及び比較例において、樹脂組成物及び樹脂シートの評価は、下記の方法により行った。
(1)Tダイシート厚み精度
L/D28のフルフライト型スクリューを装着した40mm押出機[池貝鉄工(株)]を用い、600mm幅のTダイのリップ巾を0.7mmに調整して製膜を行った。温度条件は、シリンダー4ゾーン220℃、アダプター220℃、ダイ220℃とし、スクリュー回転速度は60rpmとした。この条件にて厚み0.05mmのシートを製膜し、巾30cmにスリットして巻き取った。巻き取ったシートを、巾方向に5cm間隔で5箇所、長さ方向に1m間隔で5箇所、合計5×5=25箇所の厚みをマイクロゲージを用いて測定し、平均値を算出し、{(最大厚み−平均値)÷平均値}×100又は{(平均値−最小厚み)÷平均値}×100の大きい方の値を厚み精度(%)とした。
(2)カレンダーロール剥離安定性
カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用い、ロールNo.1〜4のロール温度を180〜195℃として製膜した。配合物をバンバリーミキサーにて混練、溶融したのち、カレンダーロールにて圧延加工し、厚み0.1mmのシートを製膜し、No.4金属ロールからの剥離性を下記の基準にて評価した。
○:シートのネックインがなく、金属ロールからの剥離も均一で安定している。
×:シートにネックインの傾向があり、金属ロールからの剥離も不均一で、剥離性の悪い部分がある。
(3)ヘーズ
厚み0.5mmのプレスシートを作製し、JIS K 7105 6.4にしたがってヘーズを測定した。
(4)ラボトルク
ラボプラストミル[(株)東洋精機製作所、R−30]に樹脂組成物33gを充填し、170℃、50rpmで混練し、定常負荷トルク(kg・m)を測定した。
(5)ゲル化性
ラボプラストミル[(株)東洋精機製作所、R−30]に樹脂組成物33gを充填し、170℃、50rpmで混練し、ピーク負荷トルクに達するまでの時間をゲル化時間(秒)として測定した。
(6)折り曲げ白化性
厚み0.1mmのカレンダーシートを、長手側を平行にして接触させた2枚のステンレス鋼板(6cm×5cm、1mm厚)に両面テープで貼り付け、90°に折り曲げ、折り曲げた表面の白化の度合いを目視で観察し、下記の基準により評価した。
◎:白化は認められない。
○:わずかに白化が認められる。
×:大きな白化が認められる。
実施例1
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部と(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部を混合し、Tダイから押し出し、厚み0.05mmの樹脂シートを製膜した。安定した製膜加工が可能であった。得られたTダイシートの厚み精度は、3.8%であった。樹脂シートのヘーズは、13%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.1kg・mであった。
実施例2
(a−3)ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[東洋紡績(株)、SR173CA]100重量部と(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部を混合し、Tダイから押し出し、厚み0.05mmの樹脂シートを製膜した。安定した製膜加工が可能であった。得られたTダイシートの厚み精度は、4.2%であった。樹脂シートのヘーズは、17%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.0kg・mであった。
実施例3
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]70重量部、(c−2)イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂[ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP]30重量部及び(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部を混合し、Tダイから押し出し、厚み0.05mmの樹脂シートを製膜した。安定した製膜加工が可能であった。得られたTダイシートの厚み精度は、5.0%であった。樹脂シートのヘーズは、28%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.8kg・mであった。
比較例1
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]をTダイから押し出し、厚み0.05mmの樹脂シートを製膜した。サージング現象により、安定した製膜加工性は得られなかった。得られたTダイシートの厚み精度は、10.0%であった。樹脂シートのヘーズは、12%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.6kg・mであった。
比較例2
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部とアクリル系加工助剤[三菱レイヨン(株)、メタブレンP530]3重量部を混合し、Tダイから押し出し、厚み0.05mmの樹脂シートを製膜した。安定した製膜加工が可能であった。得られたTダイシートの厚み精度は、3.6%であった。樹脂シートのヘーズは、37%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.1kg・mであった。
比較例3〜5
比較例1〜2と同様にして、第1表に示す配合組成について評価を行った。
実施例1〜3及び比較例1〜5の結果を、第1表に示す。
Figure 0004405785
[注]
PETG:シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イーストマン・ケミカル社、PETG6763。
共重合PET:ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、東洋紡績(株)、SR173CA。
rcoPBT:イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP。
AS樹脂:アクリロニトリル−スチレン共重合体、ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万。
アクリル系加工助剤:三菱レイヨン(株)、メタブレンP530。
シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部、ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部又はシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂70重量部とイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂30重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部を配合した実施例1〜3では、シートの厚み精度が良好である。これに対して、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂又はネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂のみを押し出した比較例1と比較例3では、シートの厚み精度が不良である。また、アクリル系加工助剤を配合した比較例2と比較例4では、厚み精度は良好であるが、ヘーズが高く、透明性が不足している。シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂30重量部、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂70重量部及び重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部を配合した比較例5では、厚み精度が不良であり、ヘーズが高く、透明性も不足している。
実施例4
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、15%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.8kg・mであった。
実施例5
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]10重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、25%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.3kg・mであった。
実施例6
(a−3)ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[東洋紡績(株)、SR173CA]95重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、26%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.9kg・mであった。
実施例7
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]85重量部、(c−2)イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂[ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP]10重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、22%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.9kg・mであった。
実施例8
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]87重量部、(D)メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースFM]3重量部、(D)熱可塑性ポリエステルエラストマー[東レ・デュポン(株)、ハイトレル2551]10重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、28%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.8kg・mであった。
実施例9
(a−2)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PCTG5445]85重量部、(c−2)イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂[ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP]15重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、28%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.8kg・mであった。
比較例6
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部と(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダー金属ロールからの剥離性の悪い部分があり、カレンダーロール剥離安定性は、不良であった。樹脂シートのヘーズは、14%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.5kg・mであった。
比較例7
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部、アクリル系加工助剤[三菱レイヨン(株)、メタブレンP530]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、41%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、2.8kg・mであった。
比較例8
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]100重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]20重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダー加工時に、樹脂の溶融不良現象が起こり、シートの外観が悪くなって、安定して製膜することができなかった。樹脂シートのヘーズは、30%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.8kg・mであった。
比較例9
(a−3)ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[東洋紡績(株)、SR173CA]95重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、アクリル系加工助剤[三菱レイヨン(株)、メタブレンP530]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜した。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。樹脂シートのヘーズは、44%であった。ラボプラストミル試験におけるラボトルクは、3.0kg・mであった。
実施例4〜9及び比較例6〜9の結果を、第2表に示す。
Figure 0004405785
Figure 0004405785
[注]
PETG:シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イーストマン・ケミカル社、PETG6763。
PCTG:シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イーストマン・ケミカル社、PCTG5445。
共重合PET:ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、東洋紡績(株)、SR173CA。
rcoPBT:イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリプラスチックス(株)、ジュラネックス500LP。
B−11A:メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A。
FM:メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体、鐘淵化学工業(株)、カネエースFM。
TPEE:熱可塑性ポリエステルエラストマー、東レ・デュポン(株)、ハイトレル2551。
AS樹脂:アクリロニトリル−スチレン共重合体、ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万。
アクリル系加工助剤:三菱レイヨン(株)、メタブレンP530。
モンタン酸系ワックス:モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP。
第2表に見られるように、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部又は10重量部と、モンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した実施例4〜5、ネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂95重量部とメタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体5重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部及びモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した実施例6、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂85重量部、イソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂10重量部及びメタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体5重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部及びモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した実施例7、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂87重量部、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体3重量部及び熱可塑性ポリエステルエラストマー10重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部及びモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した実施例8、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂85重量部とイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート系樹脂15重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部及びモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した実施例9においては、シートはカレンダーロールから安定して剥離し、カレンダー加工性が良好である。
これに対して、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部にモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した比較例6では、カレンダーロールからの剥離安定性がなく、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂100重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体20重量部とモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合した比較例8では、溶融不良を起こしている。また、アクリル系加工助剤を配合した比較例7と比較例9では、カレンダーロールから安定して剥離するが、ヘーズが高く、透明性が不良である。
実施例10
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]95重量部、(D)スチレン−ブタジエン・エチレンジメタクリレート系共重合体[鐘淵化学工業(株)、M300]5重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜し、特性評価を行った。樹脂シートのヘーズは、17%であった。また、折り曲げ白化性は、非常に良好であった。
実施例11
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]95重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部及び(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜し特性評価を行った。樹脂シートのヘーズは、20%であった。また、折り曲げ白化性は、良好であった。
実施例10〜11の結果を、第3表に示す。
Figure 0004405785
[注]
PETG:シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イーストマン・ケミカル社、PETG6763。
M300:スチレン−ブタジエン・エチレンジメタクリレート系共重合体、鐘淵化学工業(株)、M300。
B−11A:メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A。
AS樹脂:アクリロニトリル−スチレン共重合体、ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万。
モンタン酸系ワックス:モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP。
第3表に見られるように、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂95重量%とエラストマー5重量%の混合物100重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部とモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合して得られた実施例10〜11のシートは、カレンダー加工により安定して製膜することができ、ヘーズが低く、折り曲げても白化をほとんど生じない。
実施例12
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]95重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、(B)アクリロニトリル−スチレン共重合体[ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万]3重量部、(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部及び(F)炭酸カルシウム[備北粉化工業(株)、ソフトン1200]10重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜し特性評価を行った。カレンダーロール剥離安定性は、良好であった。ラボプラストミル試験において、ゲル化時間は80秒であり、ラボトルクは3.0kg・mであった。
比較例10
(a−1)シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂[イーストマン・ケミカル社、PETG6763]95重量部、(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体[鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A]5重量部、(E)モンタン酸系ワックス[モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP]1.2重量部及び(F)炭酸カルシウム[備北粉化工業(株)、ソフトン1200]10重量部を混合し、バンバリーミキサーで混練し、カレンダーロール径8インチのL型4本カレンダー加工機を用いて、厚み0.1mmの樹脂シートを製膜し特性評価を行った。カレンダーロール剥離安定性は、不良であった。ラボプラストミル試験において、ゲル化時間は90秒であり、ラボトルクは2.6kg・mであった。
実施例12及び比較例10の結果を、第4表に示す。
Figure 0004405785
[注]
PETG:シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂、イーストマン・ケミカル社、PETG6763。
B−11A:メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、鐘淵化学工業(株)、カネエースB−11A。
AS樹脂:アクリロニトリル−スチレン共重合体、ジーイー スペシアルテイ ケミカルズ社、BLENDEX869、重量平均分子量600万。
モンタン酸系ワックス:モンタン酸部分エステルとモンタン酸カルシウム塩の混合物、ヘキストジャパン社、ヘキストワックス−OP。
炭酸カルシウム:備北粉化工業(株)、ソフトン1200。
第4表に見られるように、シクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂95重量部とメタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体5重量部に対して、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体3重量部及びモンタン酸系ワックス1.2重量部を配合し、さらに炭酸カルシウム10重量部を添加した実施例12では、カレンダロール剥離安定性が良好であり、安定したカレンダー加工が可能である。これに対して、他の配合組成が同じであっても、重量平均分子量600万のアクリロニトリル−スチレン共重合体を配合しない比較例10では、カレンダロール剥離安定性が不良である。
本発明のポリエステル系樹脂組成物は、押出し加工時には、厚みむら及び寸法ぶれがなく、カレンダー加工時には、金属ロール剥離性が良好であり、透明性に優れたポリエステル系樹脂シートを製造することができる。

Claims (9)

  1. (A)非晶性ポリエステル系樹脂100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
  2. (A)非晶性ポリエステル系樹脂40〜99重量%と(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜60重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
  3. (A)非晶性ポリエステル系樹脂60〜99重量%と(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
  4. (A)非晶性ポリエステル系樹脂24〜98重量%、(C)ポリブチレンテレフタレート系樹脂1〜59重量%及び(D)メタクリル酸エステル−スチレン/ブタジエンゴムグラフト共重合体、メタクリル酸エステル−アクリロニトリル/アクリル酸エステルゴムグラフト共重合体及び熱可塑性ポリエステルエラストマーからなる群より選ばれる1種以上のエラストマー1〜40重量%からなる混合物100重量部に対して、(B)重量平均分子量が100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体0.5〜15重量部を配合してなるポリエステル系樹脂組成物を押出機とTダイを用いて製膜してなる、又は、該樹脂組成物の樹脂成分100重量部に対して、(E)滑剤0.2〜10重量部を配合し、カレンダー加工機を用いて製膜してなることを特徴とするポリエステル系樹脂シート
  5. (A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−1)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60モル%以上90モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール10モル%以上40モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のポリエステル系樹脂シート
  6. (A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−2)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール10モル%以上60モル%未満と1,4−シクロヘキサンジメタノール40モル%以上90モル%未満であるシクロヘキサンジメタノール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のポリエステル系樹脂シート
  7. (A)非晶性ポリエステル系樹脂が、(a−3)ジカルボン酸成分がテレフタル酸であり、グリコール成分がエチレングリコール60〜90モル%とネオペンチルグリコール又はネオペンチルグリコールとジエチレングリコール10〜40モル%であるネオペンチルグリコール共重合非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のポリエステル系樹脂シート
  8. (B)重量平均分子量100万以上600万以下のアクリロニトリル−スチレン系共重合体が、スチレン単位が30〜85モル%の共重合体である請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載のポリエステル系樹脂シート
  9. 樹脂成分100重量部に対して、(F)無機充填剤1〜50重量部が配合されてなる請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のポリエステル系樹脂シート
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