JP4156395B2

JP4156395B2 - 非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及び樹脂シート

Info

Publication number: JP4156395B2
Application number: JP2003029975A
Authority: JP
Inventors: 真一竹岡; 暁子石原
Original assignee: Achilles Corp
Current assignee: Achilles Corp
Priority date: 2003-02-06
Filing date: 2003-02-06
Publication date: 2008-09-24
Anticipated expiration: 2023-02-06
Also published as: JP2004238534A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はカレンダー加工用の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、並びにその樹脂組成物からなる樹脂シートに関する。
【０００２】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレートシートは、食品や医薬品等の包装材、建築や家電等の積層用シート等、様々な用途に使用されている。このような用途に使用されているポリエチレンテレフタレートシートは、従来から一般的に押出成形法や射出成形法により成形されている。しかしながら、これらの成形方法では、成形シートに局部的に厚さの異なる部分が発生しやすく、均一な厚さのシートを得ることが困難であり、得られるシートは印刷、各種ラミネート、コーティング等の加工に必ずしも適切なものではなかった。これらの成形方法に対して、一般的にポリ塩化ビニル等のシート成形方法として用いられているカレンダー加工法は、溶融樹脂を加熱された金属ロールで圧延して所望の厚さのシートにする方法であり、均一な厚さのシートを製造することが可能である。しかしながら、カレンダー加工において、材料に非結晶性ポリエチレンテレフタレートを用いた場合、金属ロールからの剥離性が悪く、シート成形が困難であるという問題を有していた。
【０００３】
そのため、滑剤を配合することによってカレンダー加工におけるロール滑性（ロール剥離性）を向上する方法が検討されており、特開２００２−２１２３９９号公報（特許文献１）には、熱可塑性ポリエステル系樹脂にヒドロキシ脂肪酸オリゴエステル又はその金属塩を配合することが記載されている。また、特開平１１−３４３３５３号公報（特許文献２）には、非結晶性ポリエチレンテレフタレートに脂肪酸エステル系滑剤を配合することが記載されている。更に、特開２０００−１８６１９１号公報（特許文献３）には、非結晶性ポリエチレンテレフタレートに有機リン酸エステル類又は有機リン酸エステル類と脂肪酸エステル類を配合することが記載されている。
【０００４】
【特許文献１】
特開２００２−２１２３９９号公報
【０００５】
【特許文献２】
特開平１１−３４３３５３号公報
【０００６】
【特許文献３】
特開２０００−１８６１９１号公報
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記各公報に記載された滑剤を用いた場合には、ロール表面に配合成分の一部が分離付着する、いわゆるプレートアウトが発生してしまい、長時間カレンダー加工を行った場合に金属ロールが汚染されてしまうという問題があった。更に、得られた樹脂シートに印刷加工を施した場合、経時的に印刷適性（密着性）が低下してしまい、印刷加工を必要とする用途に適したシートが得られないという問題があった。すなわち、上記各公報に記載された滑剤では、非結晶性ポリエチレンテレフタレートをカレンダー加工する際、ロール滑性と抗プレートアウト性、並びに、樹脂シートの印刷適性の全てをバランス良く向上することが困難であった。
【０００８】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、カレンダー加工におけるロール滑性及び抗プレートアウト性に優れ、且つ、印刷適性に優れた樹脂シートを製造することが可能な非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、並びにその樹脂組成物からなる樹脂シートを提供することを目的とする。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分に、オレフィン系ワックスと脂肪酸エステルと脂肪酸エステルのカルシウム塩とがそれぞれ特定量配合された滑剤を所定量配合することによって、カレンダー加工におけるロール滑性及び抗プレートアウト性に優れ、且つ、印刷適性に優れた樹脂シートを製造することが可能な非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【００１０】
すなわち、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対し、オレフィン系ワックスと、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステルのカルシウム塩と、を含有する滑剤０．１〜４重量部を配合してなる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、前記オレフィン系ワックスの配合量が０．０１〜１重量部であり、前記脂肪酸エステルの配合量が０．０１〜０．５重量部であり、前記脂肪酸エステルのカルシウム塩の配合量が０．０１〜２．５重量部であることを特徴とするものである。
【００１１】
また、本発明の樹脂シートは、上述のような本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂シートである。
【００１２】
本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及び樹脂シートにおいては、前記オレフィン系ワックスが、数平均分子量５０，０００以下のポリオレフィンワックスであることが好ましく、更に、前記ポリオレフィンワックスが酸価１０以上のポリオレフィン変性ワックスであることがより好ましい。
【００１３】
また、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及び樹脂シートにおいては、前記脂肪酸エステル及び前記脂肪酸エステルのカルシウム塩を構成する脂肪酸が、炭素数２０〜３０の飽和脂肪酸であることが好ましい。
【００１４】
更に、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物及び樹脂シートにおいては、前記非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分が、非結晶性ポリエチレンテレフタレート４０〜８５重量％とアクリル系軟質樹脂１５〜６０重量％とからなるものであることが好ましい。
【００１５】
なお、本発明における「シート」とは、シート及びフィルムを含むものである。
【００１６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【００１７】
先ず、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について説明する。
【００１８】
本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対し、オレフィン系ワックスと、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステルのカルシウム塩と、を含有する滑剤０．１〜４重量部を配合してなる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、前記オレフィン系ワックスの配合量が０．０１〜１重量部であり、前記脂肪酸エステルの配合量が０．０１〜０．５重量部であり、前記脂肪酸エステルのカルシウム塩の配合量が０．０１〜２．５重量部であることを特徴とするものである。
【００１９】
本発明にかかる非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分は、非結晶性ポリエチレンテレフタレート単独からなるものであってもよいが、非結晶性ポリエチレンテレフタレートと他の樹脂とからなるものであってもよい。他の樹脂としては特に制限されないが、例えば、アクリル系軟質樹脂が挙げられる。このように他の樹脂を混合する場合は、樹脂全量中に非結晶性ポリエチレンテレフタレートを４０重量％以上含んでいることが好ましい。このような本発明にかかる非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分としては、非結晶性ポリエチレンテレフタレート４０〜８５重量％とアクリル系軟質樹脂１５〜６０重量％とからなるものであることがより好ましく、非結晶性ポリエチレンテレフタレート６０〜８０重量％とアクリル系軟質樹脂２０〜４０重量％とからなるものであることが更に好ましい。
【００２０】
このような非結晶性ポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸１００モル％からなるジカルボン酸成分と、エチレングリコール６０〜８０モル％及び１，４−シクロヘキサンジメタノール２０〜４０モル％からなるグリコール成分との共重合体であることが、ロール滑性等のカレンダー加工性の点で好ましい。
【００２１】
また、上記アクリル系軟質樹脂は、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、不飽和単量体、多官能架橋性単量体、多官能グラフト単量体等を含む単量体混合物を重合してなる多層構造重合体であり、例えば、メタクリル酸メチル単量体、不飽和単量体及び多官能架橋性単量体からなる単量体混合物を重合してなる一層の重合体層に、アクリル酸エステル単量体及び不飽和単量体からなる単量体混合物を重合してなる一層の重合体層を外層とした多層構造重合体、並びに、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、不飽和単量体、多官能架橋性単量体及び多官能グラフト単量体からなる単量体混合物を重合してなる一層の重合体層に、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル及び不飽和単量体からなる単量体混合物を重合してなる一層の重合体層を外層とした多層構造重合体等が挙げられる。更に、上記アクリル系軟質樹脂は、Ｔｇが５０℃以下であることが好ましく、Ｔｇが３０℃以下であることがより好ましい。このようなアクリル系軟質樹脂を非結晶性ポリエチレンテレフタレートと共に用いることにより、得られる樹脂シートの諸物性（強度や柔軟性等）が向上する傾向にある。
【００２２】
本発明にかかる滑剤は、オレフィン系ワックスと、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステルのカルシウム塩と、を含有するものである。
【００２３】
上記オレフィン系ワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリブチレンワックス等が挙げられるが、ロール滑性等のカレンダー加工性の点から、数平均分子量が５０，０００以下のポリオレフィンワックスであることが好ましく、数平均分子量が３０，０００以下のポリオレフィンワックスであることがより好ましい。また、上記ポリオレフィンワックスの中でも、酸化等の方法によって分子中にカルボン酸基、水酸基を含有させたり、マレイン酸やエポキシ基含有化合物等を反応させて不飽和基を含有させたりしたポリオレフィン変性ワックスが好ましく、ＪＩＳＫ５９０２に記載の測定法による酸価が１０以上であることがより好ましい。このようなオレフィン系ワックスを用いることにより、ロール滑性が向上する傾向にある。また、本発明においては、このようなオレフィン系ワックスを単独若しくは２種類以上を組み合わせて用いることができる。
【００２４】
また、上記脂肪酸エステルとしては、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステルからなる合成ワックス、又は天然ワックス等が挙げられるが、上記脂肪酸は炭素数２０〜３０の飽和脂肪酸であることが好ましく、例えば、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。本発明においては、中でもモンタン酸であることが好ましい。このような脂肪酸を用いることにより、ロール滑性が向上する傾向にある。また、上記脂肪族アルコールは、炭素数２〜３５の脂肪族飽和アルコールであることが好ましく、例えば、オクチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。このような脂肪酸と脂肪族アルコールとからなる脂肪酸エステルとしては、例えば、ベヘン酸オクチルエステル、ベヘン酸ステアリルエステル、ベヘン酸ラウリルエステル、セロチン酸セリルエステル、モンタン酸グリコールエステル等の合成ワックス、モンタンワックス、カルナウバワックス、ミツロウ等の天然ワックス等が挙げられる。本発明においては、中でもモンタン酸グリコールエステル、モンタンワックスを用いることが好ましい。このような脂肪酸エステルを用いることにより、樹脂との混練操作が容易となる傾向にある。また、本発明においては、このような脂肪酸エステルを単独若しくは２種類以上を組み合わせて用いることができる。
【００２５】
また、上記脂肪酸エステルのカルシウム塩としては、上述したような脂肪酸エステルとカルシウムとの塩が挙げられ、上述したような炭素数２０〜３０の飽和脂肪酸及び炭素数２〜３５の脂肪族飽和アルコールからなる脂肪酸エステルとカルシウムとの塩であることが好ましい。本発明においては、中でもモンタン酸グリコールエステルのカルシウム塩を用いることが好ましい。このような脂肪酸エステルのカルシウム塩を用いることにより、得られる樹脂シートの外観や諸物性等を良好なものとすることができるとともに、ロール滑性が向上する傾向にある。また、本発明においては、このような脂肪酸エステルのカルシウム塩を単独若しくは２種類以上を組み合わせて用いることができる。
【００２６】
本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、上述したような３種類の成分を含有する滑剤を、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して０．１〜４重量部配合することが必要であり、０．５〜２重量部配合することがより好ましい。滑剤の配合量が０．１重量部未満の場合には、ロール滑性の向上が十分ではなく、４重量部を超える場合には、プレートアウトの発生や印刷適性の低下が生じてしまう。
【００２７】
また、上記オレフィン系ワックスの配合量は、上記滑剤全量としての配合量の範囲内で、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して０．０１〜１重量部であることが必要であり、０．１〜０．５重量部であることがより好ましい。配合量が０．０１重量部未満の場合には、ロール滑性の向上が十分ではなく、１重量部を超える場合には、プレートアウトの発生が生じてしまう。
【００２８】
また、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物における脂肪酸エステルの配合量は、上記滑剤全量としての配合量の範囲内で、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して０．０１〜０．５重量部であることが必要であり、０．１〜０．４重量部であることがより好ましい。配合量が０．０１重量部未満の場合には、ロール滑性の向上が十分ではなく、０．５重量部を超える場合には、印刷適性の低下が生じてしまう。
【００２９】
また、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物における脂肪酸エステルのカルシウム塩の配合量は、上記滑剤全量としての配合量の範囲内で、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して０．０１〜２．５重量部であることが必要であり、０．１〜１重量部であることがより好ましい。配合量が０．０１重量部未満の場合には、ロール滑性の向上が十分ではなく、２．５重量部を超える場合には、プレートアウトの発生が生じてしまう。
【００３０】
本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は、滑剤全体としての配合量及び各成分の配合量を上述したような範囲にすることによって、カレンダー加工におけるロール滑性と抗プレートアウト性、並びに、樹脂シートの印刷適性の全てがバランス良く優れたものとすることができる。例えば、オレフィン系ワックス及び脂肪酸エステルのカルシウム塩をそれぞれ単独で用いた場合には、優れたロール滑性が得られず、脂肪酸エステルを単独で用いた場合には、優れた印刷適性が得られない。また、３種類の成分を全て用いたとしても、オレフィン系ワックス及び脂肪酸エステルのカルシウム塩の配合量が上記範囲の上限値を超えた場合には、優れた抗プレートアウト性が得られず、脂肪酸エステルの配合量が上記範囲の上限値を超えた場合には、優れた印刷適性が得られない。すなわち、本発明における滑剤全体としての配合量及び各成分の配合量によってのみ、ロール滑性、抗プレートアウト性及び印刷適性の全てがバランス良く優れたものとすることができる。
【００３１】
また、本発明にかかる滑剤としては、上記３種類以外の他の一般的な滑剤を含有していてもよく、その場合、他の滑剤の配合量としては、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して１．５重量部以下であることが好ましい。
【００３２】
更に、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物には、上記各成分に加えて、必要に応じて、酸化防止剤、耐候剤、帯電防止剤、加工助剤、シリコーンオイル、染料や顔料等の着色剤、炭酸カルシウム等の充填剤、難燃剤等の添加剤を、カレンダー加工におけるロール滑性と抗プレートアウト性、並びに、樹脂シートの印刷適性を阻害しない範囲で添加することができる。このような添加剤の配合量としては、非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対して３０重量部以下であることが好ましい。
【００３３】
次に、本発明の樹脂シートについて説明する。
【００３４】
本発明の樹脂シートは、上述したような本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂シートである。
【００３５】
このような樹脂シートの製造方法としては特に制限されないが、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物は優れたカレンダー加工性を有するものであることから、カレンダー加工法によって製造することが好ましい。この製造方法としては、例えば、上記非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を、カレンダー加工機を用いて混練し、シート状に加工することによって行われる。なお、上記非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を予めヘンシェルミキサー等で混合してから、カレンダー加工機を用いて混練及びカレンダー加工を行ってもよい。また、カレンダー加工機としては、２本以上の金属ロールを備えるカレンダー加工機であればよく、ロール表面温度としては、１７０〜１９０℃でカレンダー加工することが好ましい。
【００３６】
また、このようにして得られた樹脂シートの使用方法は特に制限されず、従来のポリエチレンテレフタレートシートや、ポリ塩化ビニルシートと同様、食品や医薬品等の包装材、建築や家電等の積層用シート、ステッカー用のシート等として使用することができる。
【００３７】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【００３８】
（実施例１〜３、比較例１〜１２）
表１及び表２に示す諸成分を同表に示す量（重量部）で配合し、これらをバンバリーミキサーにて９０〜１６０℃の温度範囲で約１０分間溶融混練し、次いでカレンダー加工機を用いてロール表面温度１８５℃にてカレンダー加工を行い、厚さ０．１ｍｍ、幅１，２００ｍｍの樹脂シートを得た。
【００３９】
なお、表１及び表２に示す諸成分としては、具体的には以下のものを使用した。
非結晶性ポリエチレンテレフタレート：ＴＳＵＮＡＭＩＧＳ−２（イーストマンケミカル社製、ジカルボン酸成分：テレフタル酸１００モル％、グリコール成分：エチレングリコール７０モル％、１，４−シクロヘキサンジメタノール３０モル％）；
アクリル系軟質樹脂：パラペットＳＡ１０００−Ｆ１０（クラレ社製）；
オレフィン系ワックス：ポリエチレン酸化型ワックス；
脂肪酸エステルのカルシウム塩：モンタン酸エチレングリコールエステルカルシウム塩；
脂肪酸エステル：モンタン酸エチレングリコールエステル。
【００４０】
[ロール滑性試験]
実施例１〜３及び比較例１〜１２において、非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物をカレンダー加工した際のロール滑性を下記の評価基準に基づいて評価した。得られた結果を表１及び表２に示す。
ロール滑性評価基準：
○：ロール取られ（シートがロールに粘着すること）がない；
△：ロール取られはややあるが、作業上問題ない；
×：大きなロール取られがあり、シート成形不可能。
【００４１】
[ロール持続滑性試験]
実施例１〜３及び比較例１〜１２の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を、ロール表面温度１９０℃、ロール間隔０．２ｍｍに調整された８インチ、２本ロールで１時間溶融混練することにより耐熱促進させて、滑剤の持続滑性を下記の評価基準に基づいて評価した。その結果を表１及び表２に示す。
ロール持続滑性評価基準：
○：１時間混練前後において、ロール滑性に差が見られない；
△：１時間混練後、ロール滑性の低下が見られたが、作業上問題なく、シート成形可能；
×：１時間混練後、ロール滑性が大きく低下し、作業性が悪く、シート成形が極めて困難。
【００４２】
[抗プレートアウト性試験]
実施例１〜３及び比較例１〜１２の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物について、上記ロール持続滑性試験と同様の試験を行い、１時間溶融混練後のロールの汚染状態を下記の評価基準に基づいて目視にて評価した。その結果を表１及び表２に示す。
抗プレートアウト性評価基準：
○：プレートアウトなし；
△：ややプレートアウトが発生し、ロール表面に曇りが生じる；
×：激しくプレートアウトが発生する。
【００４３】
[印刷適性試験]
実施例１〜３及び比較例１〜１２で得られた樹脂シートを、温度７０℃、湿度９５％にて１週間経時促進させた後、ＰＶＣシート用印刷インク（永瀬スクリーン印刷研究所製、ビニエイト（目盛り用）を溶剤（トルエン／ＭＩＢＫ＝１／１）で希釈し、１８℃における動粘度が４９０ｍＰａ・Ｓとなるように調製したもの）を、メイヤバーＮｏ．１２を用いて厚さ約１０μｍで塗工し、室温にて２４時間乾燥することで溶剤を除去して塗膜を作製した。その後、ＪＩＳＫ５６００に規定されるクロスカット法に準拠して、塗膜上に碁盤目状の切り傷を付け、この上に粘着テープを貼り、当該粘着テープを剥がした後の塗膜の付着状態及び欠損部面積を下記の評価基準に基づいて評価した。その結果を表１及び表２に示す。
印刷適性評価基準：
○：密着性良好（欠損部面積が前正方形面積の１５％未満）；
△：密着性やや悪い（欠損部面積が前正方形面積の１５％〜３５％）；
×：密着性悪い（欠損部面積が前正方形面積の３５％を超える）。
【００４４】
【表１】

【００４５】
【表２】

以上の結果から明らかなように、本発明の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物（実施例１〜３）は、比較例１〜１２の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物と比較して、ロール滑性、ロール持続滑性、抗プレートアウト性及び印刷適性の全てがバランス良く優れていることが確認された。
【００４６】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、カレンダー加工におけるロール滑性と抗プレートアウト性に優れ、且つ、印刷適性に優れた樹脂シートを製造することが可能な非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物、並びにその樹脂組成物からなる樹脂シートを得ることができる。

Claims

非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分１００重量部に対し、オレフィン系ワックスと、脂肪酸エステルと、脂肪酸エステルのカルシウム塩と、を含有する滑剤０．１〜４重量部を配合してなる非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物であって、前記オレフィン系ワックスの配合量が０．０１〜１重量部であり、前記脂肪酸エステルの配合量が０．０１〜０．５重量部であり、前記脂肪酸エステルのカルシウム塩の配合量が０．０１〜２．５重量部であることを特徴とする非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
前記オレフィン系ワックスが、数平均分子量５０，０００以下のポリオレフィンワックスであることを特徴とする請求項１記載の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
前記ポリオレフィンワックスが、酸価１０以上のポリオレフィン変性ワックスであることを特徴とする請求項２記載の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
前記脂肪酸エステル及び前記脂肪酸エステルのカルシウム塩を構成する脂肪酸が、炭素数２０〜３０の飽和脂肪酸であることを特徴とする請求項１〜３のうちのいずれか一項に記載の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
前記非結晶性ポリエチレンテレフタレートを主成分とする樹脂成分が、非結晶性ポリエチレンテレフタレート４０〜８５重量％とアクリル系軟質樹脂１５〜６０重量％とからなるものであることを特徴とする請求項１〜４のうちのいずれか一項に記載の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物。
請求項１〜５のうちのいずれか一項に記載の非結晶性ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物からなる樹脂シート。