JP3662880B2 - カレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物及びそのシート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリエステル樹脂(以下、単にポリエステルともいう)のカレンダー加工における、ロール剥離性、ロングラン加工性、熱安定性およびカレンダーロールからの引き取り性等に優れ、食品、化粧品、飲料用のシュリンクラベル、保香性ヒートシールフィルム、耐油性多層シート等の各種用途のシートやフィルム、特に、工業加工用シートに有用なカレンダー加工に適したポリエステル樹脂組成物及びそのシートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より塩化ビニル系シート(フィルム)は安価でかつ透明性に優れることから各種の用途に使用されている。このシートを製造する方法としては押し出し成形やカレンダー成形が知られているが、押し出し成形ではカレンダー成形と比較して、ダイリップの摩擦が樹脂の加工性(成形性)を左右し、シート(フィルム)の厚さ、幅、流れ方向などにおいて精度が劣り、また大量生産にも不向きである。よって生産性や品質の観点より後者のカレンダー加工がより多く使われている。
【0003】
また塩化ビニルは可塑剤を添加することより比較的自由に柔軟性を調節できることから、シートとしての加工がしやすく(すなわち、シートへの後加工が容易であり)、そのような用途の代表例としては、木材のような外観を付与するために木目を印刷した化粧版シート(フィルム)がある。
【0004】
しかしながら、近年、塩化ビニル焼却時の有害ガスの発生原因の疑いや、可塑剤が内分泌撹乱物質であるとの疑いによる可塑剤使用抑制の点から、塩化ビニル系シート(以下、塩ビシートとも略称する。)を他の素材に置き換えようとする動きがある。数ある代替素材の内、ポリエステルはその物理的性状、価格等の点から有力な素材であるが、ポリエステルで代替するに当たっては以下の大きな課題がある。
【0005】
それは塩ビシートの成形方法として多用されているカレンダー成形への適用が難しいことである。従来、ポリエステル樹脂のシートやフィルムを製造する場合、加工の容易さから押し出し成形が主に使用されてきたが、ポリエステル樹脂をカレンダー加工しようとすると、熱可塑化した際の粘着力が強いために、加工時にロールに粘着(付着)し易く、成形がスムーズに行われ難い。そこでロールへの粘着(付着)を防止するために種々の滑剤を添加することが試みられている。
【0006】
かかる滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックスやパラフィンワックス等の炭化水素系滑剤、高級脂肪酸系滑剤、高級アルコール系滑剤、高級脂肪酸による金属石鹸、脂肪酸アマイド系滑剤、エステル系滑剤や、これら以外の他の滑剤の検討が行われている。例えば、特開平11−343353号公報、特開2000−136294号公報、特開2000−186191号公報、特開2000−302951号公報、特開2001−64496号公報、特開2001−4019号公報および米国特許公報6,068,910においては、ポリエチレンテレフタレートにシクロヘキサンジメタノールを共重合してその結晶化度を下げて、加工性を良くし、さらにこの共重合ポリエステル(非晶性ポリエステル)に様々な滑剤を配合することで、熱可塑化した際のロールへの粘着性を軽減して、カレンダー加工によりシート化を行っている。
【0007】
しかし、上記公報には、ロールからの剥離性が良好と記載されているものもあるが、本発明者の研究の結果、実用化(工業的生産)にあたって、大きな課題があることが分かってきた。すなわち、上記公報に記載されている非晶性ポリエステルと滑剤を使用してカレンダー加工のテストを行ったところ、カレンダーロールからの剥離は、滑剤を多くしていくと達成できるが、このシートをカレンダーロールから剥がし取った後、引き取って、冷却ロールに持っていく際に、樹脂自身の溶融体強度が不足していることから、シートの自重により、いわゆる、「垂れ」が発生し、カレンダーロールから冷却ロールへの引き取りが上手く行かないという問題を生じることが判明した。すなわち溶融シートの引き取り性不足の問題である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑み、加工時(すなわち、カレンダーロールによりシート化する時)におけるロールからのシートの離型性が良好なだけでなく、カレンダーロールからのシートの引き取り性も良好で、しかも出来上がったシートの透明性も十分に高い、カレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物およびそのシートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意研究した結果、非晶性ポリエステル樹脂に、滑剤とともに特定の酸化防止剤を配合することにより、カレンダー加工時におけるロール離型性とともに、カレンダーロールからの溶融シートの引き取り性およびシートの透明性も十分に改善され得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち本発明は以下の特徴を有している。
(1)非晶性ポリエステル、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤および滑剤を含むことを特徴とするカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
(2)非晶性ポリエステル100重量部に対し、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤を0.01〜2重量部、チオエーテル系酸化防止剤を0.01〜2重量部、滑剤を0.01〜5重量部含むものである、上記(1)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
(3)非晶性ポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、かつ、全ジカルボン酸成分当たりイソフタル酸を5〜50モル%含むか、または、全ジオール成分当たりネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールから選ばれる1種または2種以上のジオールを5〜50モル%含む、共重合ポリエステルである、上記(1)または(2)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
(4)非晶性ポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、かつ、全ジオール成分当たりネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種または2種以上のジオールを5〜50モル%含む、共重合ポリエステルである、上記(1)または(2)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
(5)共重合ポリエステルが、ジオール成分として少なくともネオペンチルグリコールを含むものである、上記(4)記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
(6)分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤が、下記一般式(I)で表される化合物である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
式(I):
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、R1〜R3は同一または異なってもよいアルキレン基を示し、R4〜R9は同一または異なってもよく、それぞれ、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはt−ブチル基を示す。)
(7)チオエーテル系酸化防止剤が下記一般式(II)で表される化合物である
、上記(1)〜(6)のいずれかに記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
式(II):
【0013】
【化4】
【0014】
(式中、R1〜R8は同一または異なってもよいアルキレン基を示し、R9〜R12は同一または異なってもよいアルキル基を示す。)
(8)請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物をカレンダー加工して得られたシート。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物は、非晶性ポリエステル、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤および滑剤を含むことを特徴とする。
【0016】
本発明で使用する、非結晶性ポリエステルとは、示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、50℃/分で300℃から−100℃まで冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/分の速度で再度昇温したときに、その2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを持たないポリエステルを指す。
【0017】
本発明で使用する非晶性ポリエステルは、特に限定はされないが、カレンダー加工して得られるシートの伸度、強度、耐衝撃性等の点から、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエステルが好ましい。ここでいう主成分とは全ジカルボン酸成分及び全ジオール成分をそれぞれ100モル%としたとき、両成分(テレフタル酸およびエチレングリコール)がそれぞれ50モル%以上、好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%以上であることを意味する。
【0018】
またさらに、かかるテレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエステルの場合、▲1▼全ジカルボン酸成分当たりイソフタル酸を5〜50モル%(好ましくは10〜40モル%)含むか、または、▲2▼全ジオール成分当たりネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールから選ばれる1種または2種以上のジオールを5〜50モル%(好ましくは10〜40モル%)含む、共重合組成であるのが好ましく、上記▲1▼および▲2▼の両方を満たす共重合組成であればより好ましい。また、上記▲2▼の場合、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールの3者から選ばれる1種または2種以上のジオールを含む共重合組成であるのがより好ましい。
このような共重合ポリエステルであれば、ポリエチレンテレフタレートが示す良好な強度、伸度、耐衝撃性等を保持しつつ、かつ、樹脂を非晶性にすることができるので、透明性の点でより好ましい結果が得られる。
また、上記▲2▼を満たす場合、ネオペンチルグリコールを含む共重合組成であれば、そのようなポリエステルは、滑剤(特に後述の有機リン酸エステルの金属塩やポリオレフィン系ワックス)との相溶性が向上し、ロール離型性を得るための滑剤の量を少なくできるので、シートの透明性向上に有利に作用するのみならず、シートの強度、伸度、耐衝撃性等の機械的物性もさらに一層向上する。
【0019】
また、かかるテレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするポリエステルにおいては、上記のイソフタル酸以外の他の多価カルボン酸が共重合されていてもよく、このような多価カルボン酸としては、例えば、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸が挙げられ、これらはいずれか1種または2種以上が使用される。
【0020】
また、上記のネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていてもよく、このような多価アルコール成分としては、例えば、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が挙げられ、これらはいずれか1種または2種以上が使用される。
【0021】
本発明における好適な非晶性ポリエステルは、具体的には、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール=90〜70/10〜30//100モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,3−プロピレングリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,4−ブタンジオール=95〜70/5〜30//90〜50/10〜50モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=100//60〜80/40〜20モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=95〜80/5〜20//70〜90/30〜10モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%である。これらの非晶性ポリエステルであれば、適度な非晶状態であり、加工して得られるシートの透明性がより高くなり、また、ガラス転移温度も下記で示すような範囲に適切に調節することができる。
さらには、上記のうちでも、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%においては、ロール離型性と、カレンダーロールからの溶融シートの引き取り性と、出来上がったシートの透明性のバランスが高いレベルで調節できさらに好ましい。
【0022】
本発明で用いる非晶性ポリエステルの数平均分子量は、下限は好ましくは15000、より好ましくは18000、さらに好ましくは20000である。上限は好ましくは40000、より好ましくは35000である。数平均分子量が15000未満であると、樹脂凝集力不足のために出来上がったシートの強伸度が不足し、脆くなって使用できないことがある。一方、40000以上になると溶融粘度が上がるために、カレンダー加工するのに最適な温度も上がってしまい、結果的にロール離型性を悪くしてしまうことがある。
【0023】
本発明で用いる非晶性ポリエステルの酸価は、好ましくは60当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。酸価が60当量/106gを越えると、カレンダー加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがったシートの機械的強度が低下する。また、樹脂の分解が進むことより、ロールからのシートの離型性も低下する。
【0024】
本発明では、非晶性ポリエステルに、少なくとも、滑剤、イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤を配合する。すなわち、プラスチックの酸化防止剤としては種々の化合物が知られているが、イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤を併用し、これらを滑剤とともに、非晶性ポリエステルに配合することで、非晶性ポリエステルのカレンダー加工時、カレンダーロールでシート化された溶融シートの、カレンダーロールから冷却ロールへの引き取り性が向上し(すなわち、「垂れ」を防止でき)、しかも、最終的に十分に高い透明性を有するシートを製造できる。なお、分子骨格中にイソシアヌレート基を持たないヒンダードフェノール型酸化防止剤をチオエーテル系酸化防止剤と併用しても、このような効果は得られない。
【0025】
本発明において、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤は、特に限定されないが、下記一般式(I)で表される化合物が好ましい。
式(I):
【0026】
【化5】
【0027】
(式中、R1〜R3は同一または異なってもよいアルキレン基を示し、R4〜R9は同一または異なってもよく、それぞれ、メチル基、エチル基、イソプロピル基またはt−ブチル基を示す。)
【0028】
該式(I)の化合物において、式中、R1〜R3で示されるアルキレン基は炭素数が1〜3が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。また、R1〜R3は同一であるのが好ましい。
【0029】
また、式中、R4〜R9で示されるアルキル基は、同一であるのが好ましく、同一である場合、メチル基、イソプロピル基、t−ブチル基が好ましく、特に好ましくはt−ブチル基である。
【0030】
当該式(I)の化合物の特に好ましい具体例として、R1〜R3がメチレン基、R4〜R9がt−ブチル基の、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートが挙げられる。該トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレートは、目的とする溶融シートの引き取り性(カレンダーロールから冷却ロールへの引き取り性)の点で特に好ましいだけでなく、汎用性、経済性の点でも好ましい。
【0031】
本発明において、イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤の配合量(非晶性ポリエステル100重量部当たりの配合量)の下限は0.01重量部であることが好ましく、より好ましくは0.02重量部、とりわけ好ましくは0.05重量部である。また、上限は2重量部が好ましく、より好ましくは1.8重量部、とりわけ好ましくは1.5重量部である。配合量が0.01重量部以下では満足できる溶融シートの引き取り性が得られない虞がある。一方、配合量が2重量部を越えると、非晶性ポリエステルとの相溶性が低下して、シートの透明性が損なわれたり、シートを長期使用していると当該酸化防止剤がブリードアウトして、シートの外観に対して悪影響をあたえる虞がある。
【0032】
本発明において、チオエーテル系酸化防止剤とは、分子内にチオエーテル基を有する酸化防止剤であり、特に限定はされないが、例えば、ジラウリル−3−3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート(これら3者のうちでもジステアリル−3,3’−チオジプロピオネートが好ましい。)や、下記一般式(II)で示される化合物が挙げられ、これらのうちでも、下記一般式(II)で示される化合物が好適である。かかるチオエーテル系酸化防止剤は、いずれか1種を使用しても、2種以上を併用してもよい。
式(II):
【0033】
【化6】
【0034】
(式中、R1〜R8は同一または異なってもよいアルキレン基を示し、R9〜R12は同一または異なってもよいアルキル基を示す。)
【0035】
当該式(II)の化合物において、R1〜R4においては炭素数1〜3が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基が挙げられる。また、R1〜R4は同一であるのが好ましい。また、R5〜R8においては、炭素数1〜4が好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基が挙げられる。また、R5〜R8は同一であるのが好ましい。R9〜R12においては、炭素数6〜18が好ましい。また、R9〜R12は同一であるのが好ましい。
当該式(II)の化合物の特に好ましい例として、R1〜R4がメチレン基、R5〜R8がエチレン基、R9〜R12がラウリル基である、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)が挙げられる。
【0036】
該ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)は目的とする溶融シートの引き取り性(カレンダーロールから冷却ロールへの引き取り性)の点で特に好ましいだけでなく、汎用性や経済性の観点からも好ましい。
【0037】
本発明において、チオエーテル系酸化防止剤を、前記イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤とともに配合することで、ロールからの溶融シートの引き取り性は飛躍的に向上する。すなわち、比較的少量のチオエーテル系酸化防止剤を、イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤とともに使用することで、イソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤のみを使用する場合に比べて、溶融シートの引き取り性が飛躍的に向上し、その結果、ポリエステルの透明性を低下させることなく、良好な溶融シートの引き取り性が得られる。チオエーテル系酸化防止剤の配合量(非晶性ポリエステル100重量部当たりの配合量)の下限は0.01重量部であることが好ましく、より好ましくは0.02重量部、さらに好ましくは0.05重量部である。一方上限は2重量部であることが好ましく、より好ましくは1.8重量部、さらに好ましくは1.5重量部である。0.01重量部以下ではロール引き取り性が十分に向上し得ない場合があり、一方、2重量部を越えると非晶性ポリエステルとの相溶性が低下して、シートの透明性が損なわれたり、シートを長期使用していると当該酸化防止剤のブリードアウトが起こったりして、シート外観に対して悪影響をあたえる可能性がある。
【0038】
本発明のポリエステル樹脂には、加工時のポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する(熱劣化による樹脂の着色を防止する)ために、上記のイソシアヌレート基を分子骨格中に有するヒンダードフェノール型酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤以外の他の酸化防止剤を配合しても良い。当該他の酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物が好適である。
【0039】
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルフィド、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)スルフィド、ビス(3−tert−ブチル−5−エチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラート]、ビス[2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、4−メトキシフェノール、シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコール、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セチルガレート、β−ナフトール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,6−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]ヘキサン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]スルフィド、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルアミノ]ヘキサン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール、ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0040】
該フェノール系酸化防止剤の配合量(非晶性ポリエステル100重量部当たりの配合量)の上限は好ましくは1.0重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下であり、一方、下限は好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、1.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でないことがある。
【0041】
有機亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[デシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ(デシル)チオホスファイト、トリイソデシルチオホスファイト、フェニル・ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、テトラデシルポリ(オキシエチレン)・ビス(エチルフェニル)ホスファイト、フェニル・ジシクロヘキシルホスファイト、フェニル・ジイソオクチルホスファイト、フェニル・ジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソオクチルホスファイト、ジフェニル・2−エチルヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジフェニル・(トリデシル)チオホスファイト、ノニルフェニル・ジトリデシルホスファイト、フェニル・p−tert−ブチルフェニル・ドデシルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ビス[オクタデシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、オクチルポリ(オキシプロピレン)・トリデシルポリ(オキシプロピレン)ホスファイト、モノイソプロピルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、モノイソオクチルホスファイト、ジドデシルホスファイト、モノドデシルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、モノシクロヘキシルホスファイト、モノドデシルポリ(オキシエチレン)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、モノシクロヘキシル・フェニルホスファイト、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトライソオクチル・4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトラキス(ノニルフェニル)・ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・プロピレンオキシプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、ペンタキス(ノニルフェニル)・ビス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]トリホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]ペンタホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス(4,4’−イソプロピリデンジフェニル)ペンタホスファイト、デカキス(ノニルフェニル)・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ビス(ブトキシカルボエチル)・2,2−ジメチレン−トリメチレンジチオホスファイト、ビス(イソオクトキシカルボメチル)・2,2−ジメチレントリメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・エチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・ヘキサメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・2,2’−オキシジエチレンジチオホスファイト、ペンタドデシル・ジ(ヘキサメチレン)トリチオホスファイト、ジフェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジシクロヘキシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニル・アルキル(C12〜C15)ホスファイト、2−tert−ブチル−4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]フェニルジ(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ヘキサトリデシル・4,4’,4”−1,1,3−ブタントリイル−トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)トリホスファイト、トリドデシルチオホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ジブチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジオクチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト並びにこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムの金属塩が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0042】
該有機亜リン酸エステル系化合物の配合量(非晶性ポリエステル100重量部当たりの配合量)の上限は好ましくは3.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下であり、下限は好ましくは0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難い場合があり、また、3.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でないことがある。
【0043】
本発明においては、非晶性ポリエステルのカレンダーロールへの付着低減(ロールからの溶融シートの離型性向上)のために、非晶性ポリエステルに滑剤を配合する。
【0044】
滑剤の配合量(非晶性ポリエステル100重量部当たりの配合量)は0.01〜5重量部であることが好ましく、下限は0.05重量部がより好ましく、0.1重量部がさらに好ましく、0.2重量部が最も好ましい。上限は4.5重量部が好ましく、4重量部がより好ましく、3.5重量部が最も好ましい。滑剤の量が0.01重量部未満ではロール離型性の向上効果が得難いことがあり、5重量部を越えると加工で得られたシートの透明性、非着色性、印刷性が低下する傾向を示す。
【0045】
本発明に用いられる滑剤としては、ポリオレフィン系ワックス、有機リン酸エステルの金属塩、有機リン酸エステル、アジピン酸またはアゼライン酸と高級脂肪族アルコールとのエステル化合物、エチレンビスステアリン酸アマイド、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイドなどの脂肪酸アマイド、グリセリン高級脂肪酸エステル化合物、ペンタエリスリトール高級脂肪酸エステル化合物、高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸、石油または石炭より誘導されるパラフィン、ワックス、天然または合成された高分子エステルワックス、高級脂肪酸による金属石鹸等が挙げられる。これらは1種または2種以上を併用してもよい。ロールからのシートの離型性と出来たシートの透明性を両立する観点から、ポリオレフィン系ワックスおよび/または有機リン酸エステルの金属塩を使用するのが好ましく、特に好ましくはポリオレフィン系ワックスおよび有機リン酸エステルの金属塩を併用するのがよい。
【0046】
本発明で滑剤として使用するポリオレフィン系ワックスには、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス及びこれらの誘導体が挙げられ、当該誘導体としては、アクリル酸、酢酸ビニル、スチレン、マレイン酸といった他のモノマーとの共重合体及び部分的に酸化した分解型がある。
【0047】
本発明で滑剤として使用する有機リン酸エステルの金属塩としては、例えば、下記一般式(III)で表される有機リン酸エステルの金属塩および/または下記一般式(IV)で表される有機リン酸エステルの金属塩が挙げられる。
【0048】
式(III):
[{RO(CfH2fO)n}3-a-ePO(O)a(OH)e]d{M(OH)b}c
【0049】
〔式中、Rは炭素数4〜30の炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnまたはAlを表し、aは1または2を表し、eは0または1を表し(但し、aが1のときは0または1、aが2のときは0である。)、bは0〜2を表し、cは1または2を表し、dは1〜3を表し、fは2または3を表し、nは0〜60を表し、また、a,b,c,dは金属(M)の価数(以下、mと記載する)との間に次の関係を有する。m=1のとき、b=0,d=1,a=c、m=2のとき、b=0,c=1,a×d=2、または、b=1,d=1,a=c、m=3のとき、b=0,d=3,a=c、b=1,c=1,a×d=2、または、b=2,d=1,a=cであり、さらに、m≧2のとき、金属(M)には互いに異なるホスフェートイオン基が結合していてもよく、その場合に、d=2または3は互いに異なるホスフェートイオン基の合計数である。また、dが2または3のとき、それぞれの[ ]内の構造は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
【0050】
式(IV):
[{R1O(CfH2fO)n}3-a-ePO(O)a(OH)e]d{M(OCOR2)s(OH)x}t
【0051】
〔式中、R1は炭素数4〜30の炭化水素基を表し、R2は炭素数1〜25のアルキル基を表し、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、ZnまたはAlを表し、aは1または2を表し、eは0または1を表し(但し、aが1のときは0または1、aが2のときは0である。)、dは1または2を表し、sは1または2を表し、xは0または1を表し、tは1または2を表し、fは2または3を表し、nは0〜60を表す。また、s+x=1または2であり、a,d,s,tは金属(M)の価数(以下、mと記載する)との間に次の関係を有する。m=2のとき、s=1,d=1,a=tであり、m=3のとき、s=1,t=1,a×d=2、または、s=2,d=1,a=tであり、さらに、m=3のときは、金属(M)には互いに異なるホスフェートイオン基が結合していてもよく、その場合に、d=2は各種ホスフェートイオン基の合計数を意味する。また、dが2のとき、それぞれの[ ]内の構造は互いに同一でも異なっていてもよい。〕
【0052】
一般式(III)中のRで示される炭素数4〜30の炭化水素基および一般式(IV)中のR1で示される炭素数4〜30の炭化水素基としては、アルキル基、フェニル基、アリールアルキル基、アルケニル基またはアルキルフェニル基が好ましい。また、一般式(III)および一般式(IV)中のMで表される、アルカリ金属としては、例えば、Li、Na、K等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、例えば、Mg、Ca、Ba等が挙げられる。
【0053】
当該一般式(III)で表される有機リン酸エステルの金属塩および一般式(IV)で表される有機リン酸エステルの金属塩は、常法により製造することができ、その製造方法は特に制限されない。
【0054】
一般式(III)で表される有機リン酸エステルの金属塩の好ましい例としては、例えば、下記表1に示す化合物(1)〜化合物(13)、下記表2に示す化合物(14)〜化合物(16)等が挙げられ、一般式(IV)で表される有機リン酸エステルの金属塩の好ましい例としては、例えば、下記表2に示す化合物(17)〜化合物(26)が挙げられる。
【0055】
なお、これらの化合物(化合物(1)〜化合物(26))は、ポリエーテルアルコール成分におけるオキシエチレン単位またはオキシトリメチレン単位の繰り返し数(式中の(CfH2fO)n における繰り返し数(n))が小数を含む数で示されているように、ポリエーテルアルコール成分におけるオキシエチレン単位またはオキシトリメチレン単位の繰り返し数が同一若しくは異なる複数のリン酸エステル金属塩の混合体(組成物)である。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、カレンダー加工して得られるシートの用途に応じて、他の添加剤を適量更に添加してもよく、かかる他の添加剤としては、充填剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、帯電防止剤、抗菌剤、エポキシ化合物、架橋剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。
【0059】
本発明のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物は、前記の成分をヘンシェルミキサー等の公知の混合装置を用いて混合し、該混合物をバンバリーミキサー、ミキシングロール、ウォーミングロール等で混練して、カレンダー加工に供される。
【0060】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、220℃、剪断速度100sec-1のときの溶融粘度が、6000dPa・sec以上であるのが好ましく、7000dPa・sec以上がより好ましく、8000dPa・sec以上がさらに好ましい。また、上限は好ましくは60000dPa・sec以下、より好ましくは50000dPa・sec以下、さらに好ましくは40000dPa・sec以下である。溶融粘度が6000dPa・sec未満だと、そのようなポリエステル樹脂組成物は、樹脂の粘着性が増すためにロールからのシートの離型性が低下することがある。一方、溶融粘度が60000dPa・secを越えると、そのようなポリエステル樹脂組成物は、溶融粘度が高すぎて、生産性が低下することがある。
【0061】
本発明のポリエステル樹脂組成物をカレンダー加工する際のロール温度は、特に限定されないが、160〜200℃程度が好ましく、特に好ましくは170〜190℃程度である。
【0062】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、カレンダー加工において、180℃の加熱ロールへの粘着時間(混練開始から実質的に組成物が加熱ロールに粘着してしまうまでの時間)が15分以上という、優れたロール離型性を有する。
【0063】
また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、カレンダー加工により0.7mm厚のシートとした際のヘーズが15%以下という、従来のポリエステル樹脂組成物では達成できなかった、カレンダー加工適性(加工後シートの高い透明性)を有する。
【0064】
本発明のポリエステル樹脂組成物をカレンダー加工して得られるシートの厚みは、シートの用途によっても異なるが、一般に10〜1000μm、好ましくは30〜800μmである。なお、ここでの「シート」とは、一般に「フィルム」と呼ばれることが多いような薄厚のものも包含する概念で用いている。
【0065】
本発明のシートは、食品、化粧品、飲料用のシュリンクラベル、保香性ヒートシールフィルム、耐油性多層シート、建材用シート、食品包装容器用シート、ブリスターパック用シート、文具用シート等に好適であり、特に高い透明性が要求される建材用シート、食品包装容器用シート、ブリスターパック用シート、文具用シート等に特に好適である。また、透明性が高いこと以外に、非晶性ポリエステルを使用していることから、熱可塑化しやすく、加工が比較的容易であるという利点を有するので、印刷が施される化粧版シートに有用である。
【0066】
以下、本明細書における特性値の測定方法を説明する。
(1)ポリエステル樹脂の組成
樹脂を重クロロホルムに溶解し、1H−NMRにより定量した。
(2)ポリエステル樹脂のガラス転移温度
示差走査熱量計を用い、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し20℃/minの昇温速度で測定した。
(3)ポリエステル樹脂の数平均分子量
ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いてゲル浸透クロマトグラフィによりポリスチレン換算値として求めた。
(4)ポリエステル樹脂の酸価
クロロホルムに樹脂を溶解し、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0067】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例に何ら限定されるものではない。
【0068】
<非晶性ポリエステルの合成例>
(非晶性ポリエステルA)
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル960重量部、エチレングリコール580重量部、ネオペンチルグリコール170重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、非晶性ポリエステルAを得た。
非晶性ポリエステルAはNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール75モル%、ネオペンチルグリコール25モル%の組成を有していた。また、ガラス転移温度は78℃、数平均分子量は26000、酸価は27当量/106gであった。
【0069】
(非晶性ポリエステルB〜E)
非晶性ポリエステルAと同様の方法で、表3に示す組成の組成(数値は樹脂中のモル%)、物性の非晶性ポリエステルB〜Eを合成した。
【0070】
【表3】
【0071】
<実施例1〜8および比較例1〜8>
表3に示した非晶性ポリエステルA〜Eと下記表4、5に示す配合剤a〜fとをビーカー内で混合し、各混合物を180℃に設定した2本のチルドロール上で混練した。時折へらでチルドロールに付着した樹脂を剥がしながら混合し、5分混練後、ロール間隔を0.3mmに設定(シート厚み0.3mm設定)し、溶融シートをロールから30cmの距離まで引き取り、その際の「垂れ」を目視で観察することにより、シート引き取り性を評価した。またその際のロールからのシートの剥離性(ロール離型性)も評価した。評価基準は以下のとおりである。
【0072】
シート剥離性:
○−ロールからの剥離性良好。
×−ロールへの粘着性が強く、剥離が困難で、正常なシートが採取できない。
シート引き取り性:
◎−垂れが全く生じない。
○−わずかに垂れが発生するが実用上差し支えない。
×−溶融シートが自重で垂れてしまい、正常なシートが採取できない。
【0073】
さらに、シートの透明性を以下の方法で評価した。
上記のシート引き取り性およびシートの剥離性(ロール離型性)の評価で使用したものと同様の2本のテストロールを用いて、上記と同様の混練を行い、5分後にロール間隔を0.5mmに設定してシート厚み0.5mmのシートを得た。シート表面の平滑性を高めるのと厚みを一定にするために、そのシートを13cm×13cmの大きさに切り、2枚重ねてフェロタイププレート(ステンレスハードクローム)の間に挟んだ。次に、180℃、90秒、12N/cm2の条件でプレスして急冷し、0.7mm厚の評価サンプルを得た。
ヘイズの測定:上記評価サンプルを3cm×3cmの大きさに切断し、試験片とした。その試験片を日本電子工業株式会社製ND−Σ80型を使用し、測定した。ヘイズ値が小さいほど、透明性が良好であり、ヘイズが15%以下を合格(○)とし、ヘイズが15%を超えるものを不合格(×)とした。
【0074】
これらの結果を表4、5に示す。なお、シート引き取り性、透明性評価の欄の内、−はシート剥離性が悪く正常なシートが採取できないため、評価未実施であることを示す。
【0075】
表4、5中の酸化防止剤a〜dと滑剤e,fは以下の化合物を意味する。
a:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
b:ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)
c:テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン
d:ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート
e:トリデシルポリ(オキシエチレン)ホスフェート亜鉛塩(表1中の化合物(8))
f:スチレン変性ポリエチレンワックス
また、表4、5中のポリエステル量、酸化防止剤および滑剤の量は重量部である。
【0076】
【表4】
【0077】
【表5】
【0078】
【発明の効果】
以上の説明により明らかなように、本発明のポリエステル樹脂組成物では、非晶性ポリエステルに、滑剤とともに分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤およびチオエーテル系酸化防止剤を配合したことにより、カレンダー加工において、カレンダーロールからのシート離型性はもとより、カレンダーロールから冷却ロールへの溶融シートの引き取り性が極めて良好となり、しかも、透明性の高いシート(出来上がりのシート)を製造することができる。すなわち、本発明によれば、カレンダー加工用として従来にない高品質のポリエステル樹脂組成物を提供できる。また、加工して得られるシート(出来上がりのシート)は、ポリエステルが有する良好な物理的性状を備えるとともに、透明性が高く、しかも、内分泌攪乱物質の疑いのある可塑剤を含まないので安全性が高く、さらに、非晶性ポリエステルを使用していることから、後加工も比較的容易である。
Claims (8)
- 非晶性ポリエステル、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤および滑剤を含むことを特徴とするカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 非晶性ポリエステル100重量部に対し、分子骨格中にイソシアヌレート基を有するヒンダードフェノール型酸化防止剤を0.01〜2重量部、チオエーテル系酸化防止剤を0.01〜2重量部、滑剤を0.01〜5重量部含むものである、請求項1記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 非晶性ポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、かつ、全ジカルボン酸成分当たりイソフタル酸を5〜50モル%含むか、または、全ジオール成分当たりネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,3−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオールから選ばれる1種または2種以上のジオールを5〜50モル%含む、共重合ポリエステルである、請求項1または2記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 非晶性ポリエステルが、テレフタル酸とエチレングリコールを主成分とし、かつ、全ジオール成分当たりネオペンチルグリコール、ジエチレングリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールから選ばれる1種または2種以上のジオールを5〜50モル%含む、共重合ポリエステルである、請求項1または2記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 共重合ポリエステルが、ジオール成分として少なくともネオペンチルグリコールを含むものである、請求項4記載のカレンダー加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル樹脂組成物をカレンダー加工して得られたシート。
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