JP4000510B2 - 異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物及びこれを用いた成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異型押出し成形加工用に適したポリエステル樹脂組成物に関する。詳しくは、成形時の樹脂ダレを起こさず、その成形品は透明性を保持し、かつ充分な機械的特性を有する異型押出し成形品を与えるポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、建材製品としての窓枠や雨樋等をプラスチックスで製造する上で、異型押出し成形加工が採用されている。この異型押出し成形に適した樹脂として、ダイの複雑な形状に追随し、寸法精度が良好である特性を必要とするが、塩化ビニル樹脂(以下、塩ビ)やポリオレフィン樹脂が一般に使用されている。特に透明性を必要とする用途においては、結晶化により白化するポリオレフィンは使用し難いので、塩ビが主要な樹脂素材となっている。しかしながら近年、塩ビ焼却時のダイオキシン発生の問題、内分泌撹乱物質等による可塑剤使用抑制の問題より塩ビ系樹脂を他の素材に置き換えようとする動きがある。数ある代替素材の内、ポリエステルはその物理的性状、環境適性、価格等の面より有力な素材である。しかし、異型押出し成形加工用に使用されている塩ビをポリエステルで代替するに当たっては二つの大きな課題がある。
【0003】
一般に、異型押出し成形加工の工程は、混練押出し工程から始まり、異型金型工程、サイジング工程、冷却工程、カッティング工程、二次加工工程の順序で進む。ポリエステル樹脂をそれらの工程に適用した場合、異型金型からサイジング工程に向かう途中で、樹脂のタレが生じる為に、次の工程に進めない、もしくは適切な形状を保つことができない。
【0004】
2つ目の課題は、透明な成形品を得る為に非晶性ポリエステルや透明性の高い結晶性ポリエステルを採用しようとした場合、製品化した後の組み立て工程で汚れが付着した時に溶剤や洗剤といった化学薬品で拭き取ることへの耐性が弱く、こすったりした際に白化や膨潤を起こしてしまうことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、異型押出し加工時に樹脂ダレを起こさず、加工後の透明性や耐溶剤性・耐洗剤性に優れる異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を達成すべく、鋭意研究した結果、非晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、結晶核剤を配合することにより、異型押出し加工時に樹脂ダレを起こさず、加工後の透明性や耐溶剤性・耐洗剤性に優れる異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち本発明は以下の特徴を有している。
(1)(ア)非晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤の組み合わせ、または(ア)非晶性ポリエステル、(イ)結晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤の組み合わせの少なくとも一方、からなることを特徴とする異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物であって、(ウ)結晶核剤がステアリン酸ナトリウムであることを特徴とする異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0008】
(2)(ア)非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分であることを特徴とする(1)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0009】
(3)(ア)非晶性ポリエステルの炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることを特徴とする(2)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0010】
(4)(ア)非晶性ポリエステルの炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールであることを特徴とする(2)または(3)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0011】
(5)(イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点が90〜220℃であることを特徴とする(1)〜(4)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0012】
(6)(イ)結晶性ポリエステルの全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことを特徴とする(1)〜(5)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0013】
(7)25℃にて引張モードでの貯蔵弾性率が1×107 Pa以上であり、かつ、引張モードでの貯蔵弾性率が1×107 Paから1×106 Paまでを示す温度領域の巾が60℃以上であることを特徴とする、上記(1)〜(6)記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
【0014】
(8)上記(1)〜(7)の樹脂組成物を異型押出し加工して得られた成形品。
【0015】
【発明実施の形態】
本発明の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物は、(ア)非晶性ポリエステルおよび、(イ)結晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤の少なくとも一方、からなるものである。
【0016】
ここで言う非晶性とは以下のように定義する。すなわち示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した後、50℃/minで300℃から−100℃まで冷却し、次に−100℃から300℃まで20℃/minの速度で再度昇温する。その2度の昇温過程のどちらにも明確な融解ピークを持たないことを示す。逆に結晶性とは同様な条件でDSCを測定すると明確な融解ピークを示すことである。
【0017】
非晶性ポリエステルは一般的には耐溶剤性に乏しく、溶剤の接触等により表面が荒れたり非晶性樹脂でありながら溶剤の接触により結晶白化する。本発明は上記構成をとることにより、耐溶剤性を向上させることが出来る。これは、できあがった成形品中に存在する結晶性ポリエステルまたは結晶核剤が存在するため、溶剤と接触した際に光の波長以下の結晶となり、見た目には透明性を損なわなくなり、さらに結晶化することにより溶剤が成形品表面に付着しても樹脂の膨潤が起こらず、分子運動が妨げられるためと考えられるが、理由の如何によるものではない。
【0018】
なお、(イ)結晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤は両方が用いられていることも好ましい。これは、結晶性樹脂が結晶核剤の影響により成形品自身の透明性を損なわない程度に速やかに結晶化するものと考えられる。
【0019】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、結晶性ポリエステルを添加する場合には、ポリエステル(ア)と(イ)の合計を100重量部とした場合に、(ア)非晶性ポリエステルの配合下限は好ましくは30重量部、より好ましくは50重量部、さらに好ましくは65重量部であり、配合上限は好ましくは97重量部、より好ましくは90重量部である。(イ)結晶性ポリエステルの配合下限は好ましくは3重量部、より好ましくは5重量部であり、配合上限は好ましくは70重量部、より好ましくは50重量部、さらに好ましくは35重量部である。非晶性ポリエステルの配合量が30重量部未満であると、異型押出し加工時に樹脂ダレを起こさないようにする上で加工温度での粘弾性を調整しづらく、また、出来上がった成形品の結晶性が顕著となるため外観の白化を起こすことがあるので好ましくない。また非晶性ポリエステルの配合量が97重量部を越えると、結晶性樹脂の効果が十分現れず、非常に高い成形品の耐溶剤性や耐洗剤性が出現しないことがある。
【0020】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂は炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分とすることが望ましい。ここでいう主成分とは全酸成分及びグリコール成分をそれぞれ100モル%としたとき、両成分それぞれが50モル%以上、好ましくは60モル%、さらに好ましくは65モル%以上である。両成分が50モル%未満になると異型押出し加工して得られる成形品の伸度及び機械的物性が低下することがある。
【0021】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂のうち炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸はテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることが望ましい。これらのジカルボン酸を使用すると異型押出し加工して得られる成形品の伸度及び機械的物性がさらに向上する。好ましくはテレフタル酸を50モル%以上、さらには60モル%以上含むものであることが好ましく、テレフタル酸とイソフタル酸の両方をふくむものも好ましい。
【0022】
本発明の(ア)非晶性ポリエステル樹脂は、上記のテレフタル酸、イソフタル酸以外の他の多価カルボン酸を共重合しても良く、例えばオルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。
【0023】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステルのうち炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールであることが好ましい。また、エチレングリコールを50モル%以上、さらには60モル%以上含むものが好ましい。
【0024】
本発明における好適な非晶性ポリエステルの組み合わせは、具体的には、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール=90〜70/10〜30//100モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,2−プロピレングリコール=100//80〜50/20〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,3−プロピレングリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/1,4−ブタンジオール=95〜70/5〜30//90〜50/10〜50モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=100//60〜80/4.0〜20モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/2−メチル−1,3−プロパンジオール=95〜80/5〜20//70〜90/30〜10モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%が挙げられる。
【0025】
さらには、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//85〜60/15〜40モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=95〜80/5〜20//90〜70/10〜30モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=100//75〜50/25〜50モル%、テレフタル酸/イソフタル酸//エチレングリコール/ジエチレングリコール=95〜80/5〜20//90〜75/10〜25モル%、テレフタル酸//エチレングリコール/1,4−シクロヘキサンジメタノール=100//80〜60/20〜40モル%であることがさらに好ましい。
【0026】
この中でもエチレングリコールとネオペンチルグリコール(60/40〜90/10(モル比))、エチレングリコールと1,4−シクロヘキサンジメタノール(60/40モ〜90/10(モル比))の組み合わせは、異型押出し加工性と成形品の透明性を両立させやすく、最も好ましくはエチレングリコールとネオペンチルグリコールの組み合わせである。
【0027】
本発明の(ア)非晶性ポリエステル樹脂は、上記のエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール以外の他の多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、、ヘキサンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
【0028】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点は90〜220℃であることが好ましい。より好ましい下限は100℃、さらに好ましくは110℃である。一方より好ましい上限は200℃、さらに好ましくは190℃である。融点が90℃未満になると結晶性が低下することにより、耐溶剤性や耐洗剤性が低下する。一方融点が220℃を越えると異型押出し加工する際の押出し機バレル温度を高く設定する必要が生じるため、ポリエステルの加水分解により分子量が低下するため加工時の樹脂ダレが生じたり、成形品の機械的強度の低下が起こったりする。
【0029】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステルは、その全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことが好ましい。より好ましくは55モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上である。耐溶剤性を発揮させるためには成形品中に存在する結晶性ポリエステルを速やかに結晶化させることが重要であるが、十分な結晶性を付与するには上記成分を50モル%以上含むことが好ましい。逆に50モル%未満になると耐溶剤性が低下する。上記成分の中でも特にエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールを使用すると比較的結晶化が速やかに進行するので耐溶剤性の観点より好ましい。
【0030】
本発明に用いられる(イ)結晶性ポリエステル樹脂は、上記のエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール以外の他の多価カルボン酸成分、多価アルコール成分が共重合されていても良く、例えば多価カルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸等の公知のものが使用できる。一方多価アルコール成分としては1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ノナンジオール、ダイマージオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物やプロピレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン等が使用できる。
【0031】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂及び(イ)結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量は、好ましくは15000〜40000、より好ましくは18000〜35000、さらに好ましくは20000〜35000である。数平均分子量が15000未満であると、樹脂凝集力不足のために成形品の強伸度が不足し、脆くなって使用できない。一方、40000以上になると溶融粘度が上がり過ぎるために、異型押出し加工するのに最適な温度も上がってしまい、結果的にを悪くしてしまう。
【0032】
本発明に用いられる(ア)非晶性ポリエステル樹脂及び(イ)結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは100当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。酸価が100当量/106gを越えると、異型押出し加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがった成形品の機械的強度が低下する。また、樹脂の分解が進むことにより、加工時の樹脂ダレも悪化する。
【0033】
本発明に用いられるポリエステル樹脂組成物の、220℃、剪断速度100sec-1のときの溶融粘度は、好ましくは6000〜600000dPa・sec、より好ましくは7000〜100000dPa・sec、さらに好ましくは8000〜50000dPa・secである。溶融粘度が6000dPa・sec未満だと加工時の樹脂ダレが悪化する。一方600000dPa・secを越えると溶融粘度が高すぎて、生産性が低下するため実用的でない。
【0034】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、(ウ)結晶核剤を添加することができる。この場合、結晶核剤の配合下限は好ましくは0.1重量部、配合上限は好ましくは10重量部である。より好ましくは、下限0.5重量部、上限5重量部である。配合量が0.1重量部より少ないと、微結晶化に効果を持たず、耐溶剤性効果が薄れることがある。逆に、10重量部を越えると、異型押出し加工時の流動性や、成形品としての機械的物性が低下することがあり、好ましくない。結晶核剤は結晶性ポリエステルの結晶化速度や、非晶性ポリエステルの配向を速め、速やかに結晶化、配向化を完了させると共に、結晶核の数を調節することにより球晶の大きさもコントロールできる。生成する球晶の直径が可視光の波長以下の非常に微細な結晶であれば、樹脂結晶化後も透明性を失わず、成形品の透明性と耐溶剤性を両立することが容易になる。なお、球晶の直径は、300nm以下、さらには200nm以下、特には100nm以下が好ましい。結晶核剤の具体例としてはタルク、シリカ、グラファイト、炭素粉、ピロフェライト、石膏、中性粘土等の無機質微粒子や、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタン酸ワックス塩、モンタン酸ワックスエステル塩、テレフタル酸塩、カルボン酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸とからなるイオン性共重合体等が挙げられる。それらの中で、特に効果の大きいものは、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタンワックスエステル塩、テレフタル酸塩、カルボン酸塩、α−オレフィンである。
【0035】
本発明のポリエステル樹脂には、加工時のポリエステル樹脂の熱劣化を抑制する(熱劣化による樹脂の着色や樹脂ダレの発生を防止する)ために酸化防止剤を配合した組成物にして使用するのが望ましい。当該酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、有機亜リン酸エステル系化合物等が好適である。
【0036】
本発明で使用するフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル4−エチルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,2−ビス(4−ヒドロキジフェニル)プロパン、ビス(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)スルフィド、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ブタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)スルフィド、ビス(3−tert−ブチル5−エチル−2−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)メタン、ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、エチレンビス[3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチラ−ト]、ビス[2−(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル5−メチルベンジル)−4−メチル−6−tert−ブチルフェニル]テレフタレート、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、4−メトキシフェノール、シクロヘキシルフェノール、p−フェニルフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−tert−ブチルピロカテコール、エチルガレート、プロピルガレート、オクチルガレート、ラウリルガレート、セチルガレート、β−ナフトール、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジベンジル)ベンゼン、1,6−ビス[2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]ヘキサン、テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルオキシメチル]メタン、ビス(3−シクロヘキシル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メタン、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]スルフィド、n−オタタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート、ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル4−ヒドロキジフェニル)プロピオニルアミノ]ヘキサン、2,6−ビス(3−tert−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−4−メチルフェノール、ビス[S−(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)]チオテレフタレート、トリス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)ブタン等が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0037】
該フェノール系酸化防止剤の配合量は、好ましい上限は1.0重量部以下、特に好ましくは0.8重量部以下、一方好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、1.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない
【0038】
本発明で使用する有機亜リン酸エステル系化合物の具体例としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(メチルフェニル)ホスファイト、トリイソオクチルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(オクチルフェニル)ホスファイト、トリス[デシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリ(デシル)チオホスファイト、トリイソデシルチオホスファイト、フェニル・ビス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、フェニル・ジイソデシルホスファイト、テトラデシルポリ(オキシエチレン)・ビス(エチルフェニル)ホスファト、フェニル・ジシクロヘキシルホスファイト、フェニル・ジイソオクチルホスファイト、フェニル・ジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソオクチルホスファイト、ジフェニル・2−エチルヘキシルホスファイト、ジフェニル・イソデシルホスファイト、ジフェニル・シクロヘキシルフェニルホスファイト、ジフェニル・(トリデシル)チオホスファイト、ノニルフェニル・ジトリデシルホスファイト、フェニル・p−tert−ブチルフェニル・ドデシルホスファイト、ジイソプロピルホスファイト、ビス[オタデシルポリ(オキシエチレン)]ホスファイト,オクチルポリ(オキシプロピレン)・トリデシルポリ(オキシプロピレン)ホスファイト、モノイソプロピルホスファイト、ジイソデシルホスファイト、ジイソオクチルホスファイト、モノイソオクチルホスファイト、ジドデシルホスファイト、モノドデシルホスファイト、ジシクロヘキシルホスファイト、モノシクロヘキシルホスファイト、モノドデシルポリ(オキシエチレン)ホスファイト、ビス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、モノシクロヘキシル・フェニルホスファイト、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトライソオクチル・4,4’−チオビス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)ジホスファイト、テトラキス(ノニルフェニル)・ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・プロピレンオキシプロピルジホスファイト、テトラトリデシル・4,4’−イソプロピリデンジシクロヘキシルジホスファイト、ペンタキス(ノニルフェニル)・ビス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]トリホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス[ポリ(プロピレンオキシ)イソプロピル]ペンタホスファイト、ヘプタキス(ノニルフェニル)・テトラキス(4,4’−イソプロピリデンジフェニル)ペンタホスファイト、デカキス(ノニルフェニル)・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタホスファイト、ビス(ブトキシカルボエチル)・2,2−ジメチレン−トリメチレンジチオホスファイト、ビス(イソオクトキシカルボメチル)・2,2−ジメチレントリメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・エチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・ヘキサメチレンジチオホスファイト、テトラドデシル・2,2’−オキシジエチレンジチオホスファイト、ペンタドデシル・ジ(ヘキサメチレン)トリチオホスファイト、ジフェニルホスファイト、4,4’−イソプロピリデン−ジシクロヘキシルホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェニル・アルキル(C12〜C15)ホスファイト、2−tert−ブチル−4−[1−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキジフェニル)イソプロピル]フェニルジ(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジトリデシル・4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジオクタデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト、トリス(シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ヘキサトリデシル・4,4’,4”−1,1,3−ブタントリイル−トリス(2−tert−ブチル−5−メチルフェニル)トリホスファイト、トリドデシルチオホスファイト、デカフェニル・ヘプタキス(プロピレンオキシイソプロピル)オクタボスファイト、ジブチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジオクチル・ペンタキス(2,2−ジメチレントリメチレン)ジホスファイト、ジデシル・2,2−ジメチレントリメチレンジホスファイト並びにこれらのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルジウム、バリウム、亜鉛及びアルミニウムの金属塩が挙げられる。なお、これらの化合物は1種でも2種以上を併用して用いてもよい。
【0039】
有機亜リン酸エステル系化合物の配合量は、好ましい上限は3.0重量部以下、特に好ましくは2.0重量部以下であり、好ましい下限は0.01重量部以上、特に好ましくは0.02重量部以上である。配合量が0.01重量部未満では、加工時の熱劣化を抑制する効果が得られ難く、また、3.0重量部を越えると熱劣化を抑制する効果は飽和し経済的でない。
【0040】
なお、フェノール系酸化防止剤と有機亜リン酸エステル系化合物とを併用すると熱劣化の抑制効果がより向上し、好ましい。
【0041】
本発明において、ポリエステル樹脂組成物の引張モード貯蔵弾性率は、25℃において107 Pa以上で、かつ180℃より低い温度で107 Pa以下となることが好ましい。さらに、250℃以下の領域で、107 Paから106Paまでを示す温度領域の幅が60℃以上であることが好ましい。25℃において107 Pa未満であると、この特許の目的とする塩ビ成形品代替用途には不向きである。また、該温度領域の幅を60℃以上有することで、異型押出し加工中に、異型押出しの温度制御のぶれや分布にも対応して適した粘弾性を保持することができる。この異型押出し加工に適した粘弾性とする為には、結晶性ポリエステルを非晶性ポリエステルに適当量配合することで達成できる。また、結晶核剤の添加量により、調整することもできる。
【0042】
加えて、TDIの二量体のようなイソシアネート系硬化剤や、ビスフェノールA型やフェノールノボラック型のエポキシ系硬化剤を少量配合反応させることで分岐を導入しても達成できる。特にTDIの二量体(商品例としてBASF社の「デスモジュールTT」)は反応性が高く、水酸基末端のポリエステルへの分岐導入に適している。添加量はポリエステル100部に対し、0.05部以上10部未満が好ましい。より好ましくは、0.2部以上2部未満である。さらに、超高分子量のアクリル系高分子や、フッ素系高分子を共重合したアクリル系高分子を配合混練しても達成できる。特にフッ素系高分子を共重合したアクリル系高分子(商品例として三菱レイヨン社の「メタブレンA−3000」)は、極少量の添加量で容易に粘弾性を調整できるので、異型押出し用途に好適である。添加量はポリエステル100部に対し、0.01部以上1部未満が好ましい。より好ましくは、0.02部以上、0.5部未満である。
【0043】
なお、引張モードでの貯蔵弾性率は、シート状の樹脂を動的粘弾性測定装置にかけて得られたものとする。サンプルシートのサイズは、例えば、長さ15mm(掴み代除く)、幅4mm、厚さ約1mmで、測定条件は、周波数を10Hzに固定して、20℃/分の昇温速度で−20℃から測定不能となるまで(最大250℃)のスキャンとする。サンプルシートの作成方法については、例えば、ポリエステル樹脂の軟化点より10℃以上高い温度に設定したヒートプレス等により、ポリエステル樹脂をポリイミドフィルム等の耐熱性の高いフィルムに挟んでプレスし、平滑なシートを得ることができる。
【0044】
本発明のポリエステル樹脂組成物には、用途に応じて他の成分も適宜添加することができる。例えぱ、耐衝撃性向上剤、充填剤、紫外線吸収剤、表面処理剤、滑剤、光安定剤、顔料、帯電防止剤、抗菌剤、エボキシ化合物、架橋剤、イオウ系酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、加工助剤、発泡剤等があげられる。
【0045】
【実施例】
本発明を更に詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。
【0046】
合成例に記載された測定値は以下の方法によって測定したものである。
【0047】
ポリエステル組成:樹脂を重クロロホルムに溶解し、H−NMRにより定量した。
【0048】
ガラス転移温度、融点:示差走査熱量計を用い、測定試料10mgをアルミパンに入れ、蓋を押さえて密封し20℃/minの昇温速度で測定した。
【0049】
数平均分子量:ヘキサフルオロイソプロパノールを溶媒として用いてゲル浸透クロマトグラフィによりポリスチレン換算値として求めた。
【0050】
酸価:クロロホルム30mlに樹脂1gを溶解し、0.1N水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0051】
貯蔵弾性率:ポリエステル樹脂組成物のサンプルを、200℃に調整した卓上型ヒートプレス(テスター産業株式会社製)上にポリイミドフィルム(東レデュポン社製「カプトン」)を介して載せ、2N/mm2の圧力で20秒保持して、1mm厚みのシートサンプルを得た。これを、長さ15mm(掴み代除く)、幅4mmに裁断し、アイティー計測制御株式会社製、動的粘弾性測定装置「DVA−200」にサンプルセットして、引張モードにて測定した。測定条件は、周波数を10Hzに固定して、20℃/分の昇温速度で−20℃から測定不能となるまで(最大250℃)のスキャンとした。
【0052】
<非晶性ポリエステル(A)の合成例>
撹拌機、温度計、流出用冷却器を装備した反応缶内にテレフタル酸ジメチル960重量部、エチレングリコール527重量部、ネオペンチルグリコール156重量部、テトラブチルチタネート0.34重量部加え、170〜220℃で2時間エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了後、反応系を220℃から270℃まで昇温する一方、系内をゆっくり減圧してゆき、60分かけて500Paとした。そしてさらに130Pa以下で55分間重縮合反応を行い、非晶性ポリエステル(A)を得た。
【0053】
非晶性ポリエステル(A)はNMR分析の結果、ジカルボン酸成分はテレフタル酸100モル%、ジオール成分はエチレングリコール80モル%、ネオペンチルグリコール20モル%の組成を有していた。またガラス転移温度は78℃、数平均分子量は28000、酸価30当量/106gであった。
【0054】
非晶性ポリエステル(B)〜(E)は、非晶性ポリエステル(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表1に示す。(数値は樹脂中のモル%)
【0055】
結晶性ポリエステル(a)〜(e)は、非晶性ポリエステル(A)と同様にして製造を行った。組成、及び測定結果を表3に示す。(数値は樹脂中のモル%)
【0056】
【表1】
【0057】
表1に示したポリエステルを表4、5に示した各成分とビーカー内で混合し、該混合物を、回転数30rpm、全バレル温度180℃に設定した押出機(株式会社東洋精機製作所製「ラボプラストミル」、L/D=30、スクリュー径=20mm、フルフライト、圧縮比2.0)で混練した。混練した樹脂を、押出機に取り付けたASTM ExtrusionDie No.1 Garvey Typeより異型押出し加工して成形品の樹脂ダレを評価した。この時、成形品引き取り状況を、○:「樹脂のタレもなくスムーズなものであった。」、×:「樹脂のタレが生じ、サイジング工程へ移ることができなかった。」として、樹脂ダレの有無を評価し、また、得られたシートの貯蔵弾性率と共に、表2,3に示す。
【0058】
尚、表2,3に記載された結晶核剤、安定剤、硬化剤、添加剤は以下の化合物を意味する。
I:ステアリン酸ナトリウム
II:トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
III:BASF社の「デスモジュールTT」
IV:三菱レイヨン社の「メタブレンA−3000」
【0059】
また表中のポリエステル量、結晶核剤、安定剤量、硬化剤量、添加剤量における数値は重量部である。
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
表中透明性と耐溶剤性の評価方法は下記の通りである。
【0063】
透明性:成形品を目視で比較し以下の判断基準で評価を行った。(5:極透明、4:透明性良好、3:透明、2:わずかに不透明、1:少し不透明。)
【0064】
耐溶剤性:成形品をメチルエチルケトンに10分間浸漬後、白化、膨潤が起こっているかを目視で比較し以下の判断基準で評価を行った。(5:変化無し、4:やや膨潤するが大きな変化はなし、3:白化が起こる、2:白化が起こりかつ表面が少し膨潤する、1:白化が起こりかつ表面が溶ける)
【0065】
透明性、耐溶剤性評価の欄で、比較例の「−」は粘着して成形品化できなかったことを意味する。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のポリエステル樹脂組成物は、非晶性ポリエステル、結晶性ポリエステル、結晶核剤を組み合わせた組成物であって、このため過去に難しかったポリエステル樹脂組成物の異型押出し加工を容易にするだけでなく(特に樹脂ダレを防止し)、出来上がった成形品の透明性が良好でありかつ耐溶剤性、耐洗剤性に優れた品質の異型押出し成形品加工を可能にすることができる。
Claims (8)
- (ア)非晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤の組み合わせ、または(ア)非晶性ポリエステル、(イ)結晶性ポリエステルおよび(ウ)結晶核剤の組み合わせの少なくとも一方、からなることを特徴とする異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物であって、(ウ)結晶核剤がステアリン酸ナトリウムであることを特徴とする異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- (ア)非晶性ポリエステルが、炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸と炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールを主成分であることを特徴とする請求項1記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- (ア)非晶性ポリエステルの炭素数8〜14の芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸あるいはイソフタル酸であることを特徴とする請求項2記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- (ア)非晶性ポリエステルの炭素数2〜10の脂肪族または脂環族グリコールがエチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項2または3記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- (イ)結晶性ポリエステル樹脂の融点が90〜220℃であることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれかに記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- (イ)結晶性ポリエステルの全グリコール成分を100モル%としたとき、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールのうち少なくとも1種を50モル%以上含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 25℃にて引張モードでの貯蔵弾性率が1×107Pa以上であり、かつ、引張モードでの貯蔵弾性率が1×107 Paから1×106 Paまでを示す温度領域の巾が60℃以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の異型押出し成形加工用ポリエステル樹脂組成物。
- 請求項1〜7記載の樹脂組成物を異型押出し加工して得られた成形品
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